説明

ガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法

【課題】長期間にわたって連続的かつ安定的に運転することが可能なガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法を提供する。
【解決手段】脱気膜モジュール10で脱気した後の脱気水を、気体溶解膜モジュール20の液相室22内に供給する。酸素(目的ガス)を、目的ガス供給源31から気相室23内に供給する。ここで、気相室23に供給する酸素量が、液相室22に供給する脱気水の供給水量から算出される飽和溶解量よりも多い酸素量となるようにする。気相室23に供給した酸素のうち、前記の算出される飽和溶解量が脱気水に溶解し、飽和酸素水が得られる。酸素の残部が、余剰ガスとして気相室23外に排出される。この余剰ガスと共に、気相室23内の凝縮水が排出されるので、運転を停止して気相室23内の凝縮水を排出する必要がなくなり、連続して効率よく飽和酸素水を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法に係り、詳しくは、気体透過膜によって内部が液相室と気相室に区画された気体透過膜モジュールを有しており、該液相室に水を供給し、該気相室にガスを供給し、該気体透過膜を経由して該気相室内のガスを該液相室内の水に溶解させることにより、ガス溶解水を製造するガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板などの洗浄は、主として、過酸化水素水と硫酸の混合液、過酸化水素水と塩酸と水の混合液、過酸化水素水とアンモニア水と水の混合液など、過酸化水素をベースとする濃厚な薬液を用いて高温で洗浄した後に超純水で濯ぐ、いわゆるRCA洗浄法によって行われている。しかし、このRCA洗浄法では、過酸化水素水、高濃度の酸、アルカリなどを多量に使用するために薬液コストが高く、さらにリンス用の超純水のコスト、廃液処理コスト、薬品蒸気を排気し新たに清浄空気を調製する空調コストなど、多大なコストを要する。
【0003】
これに対し、洗浄工程におけるコストの低減や、環境への負荷の低減を目的とした様々な取り組みがなされ、成果を挙げている。その代表が、特定の気体を溶解した気体溶解水を用い、超音波洗浄等によって被処理物を洗浄する技術である。この特定気体としては、酸素ガス、オゾン、炭酸ガス、希ガス、不活性ガス、水素ガスなどが用いられる。
【0004】
このような気体溶解水を製造する方法として、気体透過膜を内蔵した膜モジュールを用いる方法が知られている。この方法では、気体透過膜の液相側に水を供給すると共に気相側に特定気体を供給し、この気体透過膜を介して気相側のガスを液相側の水に溶解させることにより、気体溶解水を製造する。
【0005】
例えば、特開平11−077023号には、超純水を脱気して溶存気体の飽和度を低下させたのち、この超純水に水素ガスを溶解させることが記載されている。
【0006】
第2図は、同号公報の工程系統図である。超純水は、流量計1を経由して脱気膜モジュール2に送られる。脱気膜モジュール2は、ガス透過膜を介して超純水と接する気相側が真空ポンプ3により減圧状態に保たれ、超純水中に溶存している気体が脱気される。溶存気体が脱気された超純水は、次いで水素ガス溶解膜モジュール4に送られる。水素ガス溶解膜モジュール4においては、水素ガス供給器5から供給される水素ガスが気相側に送られ、ガス透過膜を介して超純水に供給される。溶存水素ガス濃度が所定の値に達した超純水に、薬液貯槽6から薬注ポンプ7によりアンモニア水などの薬液を添加し、所定のpH値に調整する。水素ガスを溶解し、アルカリ性となった水素含有超純水は、最後に精密濾過装置8に送られ、MFフィルターなどにより微粒子が除去される。
【0007】
脱気膜モジュール2の入口及び出口に設置した溶存気体測定センサ9により、超純水中の気体量を測定して飽和度を求め、信号を真空ポンプに送って超純水の飽和度と所望飽和度とを対比し、脱気量を調整する。脱気量の調整は、例えば、真空ポンプによる真空度を真空度調節弁の開度を調整して行う。脱気後の超純水の気体飽和度を溶存気体測定センサ9により測定し、水素ガス溶解膜モジュールから流出する水素含有超純水中の水素ガス濃度を溶存水素測定センサ9Aにより測定する。これらの測定信号を水素ガス供給器に送り、例えば、水素ガス供給路に設けた弁の開度などを調整することにより水素ガスの供給量を制御する。
【特許文献1】特開平11−077023号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特開平11−077023号において、水素ガス溶解膜モジュール4のガス透過膜は、気体のみを透過し、液体を透過しない特性を有するが、水蒸気は透過する。このため、ガス透過膜を透過して液相室から気相室へ水蒸気が拡散してくる。このように液相室から気相室へガス透過膜を透過した水蒸気は、気相室で結露して凝縮水となり、気相室内に溜まる。
【0009】
この凝縮水が少量である場合には、この水素ガス溶解膜モジュール4の性能に及ぼす影響は軽微であるが、凝縮水が多量になると、この凝縮水で被われるガス透過膜の気相室側の膜面積が大きくなり、ガス透過膜のうちガスの透過に寄与する有効面積が減少する。これにより、水素ガス溶解膜モジュール4の性能が低下し、超純水に水素ガスを十分に溶解させることができなくなる。
【0010】
このため、水素ガス溶解膜モジュール4の気相室内に凝縮水が溜まったときに、運転を停止してこの凝縮水を気相室から排出する必要がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決し、長期間にわたって連続的かつ安定的に運転することが可能なガス溶解水供給装置及びガス溶解水の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項1)のガス溶解水供給装置は、気体透過膜によって気相室と液相室に区画された気体溶解膜モジュールと、該気体溶解膜モジュールに供給される水を脱気処理する脱気装置とを有するガス溶解水供給装置において、該気体溶解膜モジュールの気相室に供給するガス量を、該液相室への供給水量から算出される飽和溶解量よりも多いガス量とし、該気相室の下端部を大気開放とし、該気相室に供給したガスのうち溶解しなかった余剰分を排出しながら、ガスを溶解させることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2のガス溶解水供給装置は、請求項1において、前記気体溶解膜モジュールの気相室にガスを供給するガス供給手段として、目的ガスと希釈ガスとを供給するよう構成されたガス供給手段が設けられており、該ガス供給手段は、該目的ガスと希釈ガスとの少なくとも一方の供給量を制御可能であることを特徴とする。
【0014】
本発明(請求項3)のガス溶解水の製造方法は、請求項1又は2のガス溶解水供給装置を用いてガス溶解水を製造するものである。
【0015】
請求項4のガス溶解水の製造方法は、請求項2のガス溶解水供給装置を用いてガス溶解水を製造する方法であって、該ガス溶解水供給装置からのガス溶解水中の目的ガス濃度に応じて前記気相室への目的ガス及び希釈ガスの少なくとも一方のガス供給量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のガス溶解水供給装置(請求項1,2)及びガス溶解水の製造方法(請求項3,4)にあっては、気体溶解膜モジュールの気相室に供給するガス量を、該液相室への供給水量から算出される飽和溶解量よりも多いガス量とし、該気相室の下端部を大気開放としている。そのため、ガス溶解水の製造運転中に気相室内に生じた凝縮水が、該気相室に供給したガスのうち溶解しなかった余剰ガスと共に気相室から排出される。これにより、連続して効率よくガス溶解水を製造することができる。
【0017】
本発明では、このように気相室内の凝縮水の排出にガス供給手段を用いており、ガス溶解水供給装置の構成も簡易なもので足りる。
【0018】
請求項2,4の通り、目的ガスと希釈ガスとの少なくとも一方の供給量を制御することにより、目的ガスが目的濃度通りに溶解したガス溶解水を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。第1図は実施の形態に係る気体溶解膜装置及びガス溶解水の製造方法を説明する系統図である。
【0020】
この実施の形態は、脱気膜モジュール10によって原水を脱気処理した後、気体溶解膜モジュール20によってガス溶解水を生成させるよう構成したものである。
【0021】
脱気膜モジュール10内は、気体透過膜11によって液相室12と気相室13に区画されている。
【0022】
この気体透過膜10としては、水を透過させず、かつ水に溶解させるガスを透過させるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリビニルフェノール−ポリジメチルシロキサン−ポリスルホンブロック共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリテトラフルオロエチレンなどの高分子膜などを挙げることができる。
【0023】
この原水配管10aを介して液相室12に供給する原水としては、ユースポイントで使用する用途を満足する清浄度があり、気体透過膜を極度に劣化ないし変質させる物質(例えば、オゾンなどの酸化性物質。)が含まれていないものであれば特に制限はなく、上水、純水、超純水等が用いられる。また、前記第2図の脱気膜モジュール2などで脱気した脱気水を用いてもよい。
【0024】
この脱気膜モジュール10の気相室13内は、配管14を介して真空ポンプ15によって減圧され、液相室12内の原水が脱気される。
【0025】
なお、脱気膜モジュール10は、気体溶解膜モジュール20と同一構成のものであり、気相室13にはガス流入用のポート16が設けられているが、このガス流入用のポート16はブラインドプレートによって閉鎖されている。また、気相室13内の凝縮水の排出をスムーズに行うために、配管14は気相室13の下端に接続されていることが好ましい。
【0026】
真空ポンプ15には制限はなく、水封式やスクロール式などが用いられる。但し、真空の発生のためにオイルを用いるものは、オイルが逆拡散して気体透過膜11を汚染することがあるので、オイルレスのものが望ましい。また、減圧が十分ではない場合、脱気が不十分となり、下流の気体溶解膜モジュール20で十分に所望のガスを溶解させることができなくなるので、15kPa以下、特に10kPa以下に減圧し得るものであることが好ましい。
【0027】
液相室12内から取り出された脱気処理水は、配管17を介して気体溶解膜モジュール20に送られる。気体溶解膜モジュール20は、気体透過膜21によって液相室22と気相室23とに区画されている。
【0028】
この気相室23へは、目的ガス供給源31及び希釈ガス供給源33から目的ガス及び希釈ガスが流量調節弁32,34及び供給配管35を介して供給される。気相室23からの余剰ガスは、配管36及びガス無害化装置37を介して大気へ放出される。液相室22内のガス溶解水は、配管38を介してユースポイントへ送られる。なお、気相室23内の凝縮水の排出をスムーズに行うために、配管36は気相室23の下端部(最下端又はその近傍)好ましくは最下端に接続されており、該下端部が大気開放となっている。
【0029】
この気相室23に供給するガス量を、液相室22への供給水量から算出される飽和溶解量よりも多量とし、気相室23に供給したガスのうち溶解しなかった余剰分を配管36から排出しながらガスを溶解させることにより、ガス溶解水の製造運転中に気相室23内に生じた凝縮水が余剰ガスと共に気相室23から排出される。このため、連続して効率よくガス溶解水を製造することができる。
【0030】
なお、気相室23が大気開放となっていると、気相室23のガス圧が大気圧に保たれる。このため、液相室22内の水に過飽和にガスを溶解させてしまうことがないので、得られたガス溶解水がユースポイントで発泡することによる洗浄トラブルを回避することができる。
【0031】
目的ガスとしては、酸素、水素、窒素、炭酸ガス、オゾン、アルゴン、クリーンエア、これらのガスの2種以上の混合ガスなどが用いられる。
【0032】
希釈ガスとしては、アルゴンやヘリウムなどの希ガス、窒素などの不活性ガス、炭酸ガス、クリーンエア、これらのガスの2種以上の混合ガスなどが用いられる。
【0033】
なお、流量調節弁32,34は、オイルレスのものが好ましい。また、配管36の途中に、水分トラップを設けてもよい。この水分トラップには特に制限はない。余剰ガスの無害化が不要のときには、ガス無害化装置37を省略してもよい。
【0034】
次に、第1図のガス溶解水供給装置を用いてガス溶解水を製造する方法の一例を説明する。
【0035】
本例では、目的ガスとして酸素を用い、希釈ガスとして窒素を用い、水温を25℃としている。なお、25℃、1atmにおける酸素の水への溶解度は40.9mg/Lである。
【0036】
[飽和酸素水を製造する場合]
飽和酸素水を製造する場合、希釈ガスを用いることは無いので、流量調節弁34は閉弁しておく。
【0037】
まず、原水を脱気膜モジュール10の液相室12内に供給すると共に、真空ポンプ15によって気相室13を減圧する。これにより、原水中の溶存ガスは、気体透過膜11を透過し、気相室13、配管14及び真空ポンプ15を通って系外に排出される。
【0038】
この脱気膜モジュール10で脱気した後の脱気水を、気体溶解膜モジュール20の液相室22内に供給する。また、酸素(目的ガス)を、目的ガス供給源31から気相室23内に供給する。
【0039】
ここで、目的ガス供給源31から気相室23に供給する酸素量が、液相室22に供給する脱気水の供給水量から算出される飽和溶解量よりも多い酸素量となるように、流量調節弁32の開度を調節する。これにより、この気相室23に供給した酸素のうち、前記の算出される飽和溶解量が脱気水に溶解し、脱気水が飽和酸素水になる。また、この気相室23に供給した酸素の残部が、余剰ガスとして気相室23外に排出される。この余剰ガスと共に、気相室23内の凝縮水が気相室23外へ排出されるので、運転を停止して気相室23内の凝縮水を排出する必要がなくなり、連続して効率よく飽和酸素水を製造することができる。
【0040】
具体的には、本例では、酸素の水への溶解度が40.9mg/Lであるので、液相室22に供給する脱気水の供給水量がX(L/min)である場合、この脱気水の供給水量から算出される飽和溶解量は、40.9X(mg/min)である。従って、目的ガス供給源31から気相室23に供給する酸素量A(mg/min)は、40.9X(mg/min)よりも多い酸素量とする。これにより、気相室23に供給する酸素のうち、飽和溶解量である40.9X(mg/min)が脱気水に溶解し、飽和酸素水が得られる。また、気相室23に供給する酸素の残部が、余剰ガスとして、気相室23内の凝縮水と共に排出される。
【0041】
この余剰ガスの1分間当りの流量F(L/min)は、気相室23の体積V(L)の0.1倍以上特に0.3倍以上とするのが好ましい。これにより、気相室23内の凝縮水を余剰ガスと共に良好に排出することができる。なお、このような余剰ガスの流量F(L/min)を得るためには、目的ガス供給源31から気相室23に供給する酸素量Aを、前記の算出される飽和溶解量40.9Xとこの流量Fとの和とすればよい。
【0042】
この液相室22内で得られた飽和酸素水は、配管38を経由してユースポイントに供給される。また、気相室23から排出された余剰ガスは、必要に応じて水分トラップによって凝縮水が除去された後、無害化装置37で無害化されて、大気に排出される。
【0043】
なお、気相室23が大気開放となっていると、気相室23のガス圧が大気圧に保たれる。このため、液相室22内の水に過飽和にガスを溶解させてしまうことがないので、得られたガス溶解水がユースポイントで発泡することによる洗浄トラブルを回避することができる。
【0044】
[飽和濃度未満の酸素溶解水を製造する場合]
飽和濃度未満の酸素溶解水を製造する場合、希釈ガスを用いるので、飽和酸素水を製造する場合とは異なり、以下に説明する通り、流量調節弁34は開弁する。
【0045】
まず、原水を脱気膜モジュール10の液相室12内に供給すると共に、真空ポンプ15によって気相室13を減圧する。これにより、原水中の溶存ガスは、気体透過膜11を透過し、気相室13、配管14及び真空ポンプ15を通って系外に排出される。
【0046】
この脱気膜モジュール10で脱気した後の脱気水を、気体溶解膜モジュール20の液相室22内に供給する。また、目的ガス供給源31からの酸素(目的ガス)と希釈ガス供給源33からの窒素(希釈ガス)との混合ガスを、気相室23内に供給する。
【0047】
ここで、この混合ガスの酸素と窒素の混合比は、この混合ガスで脱気水を飽和させて酸素溶解水としたときに、得られる酸素溶解水が目的とする溶存酸素濃度となるように調節される。また、この混合ガスの供給量は、脱気水の供給水量から算出される混合ガスの飽和溶解量よりも多い混合ガス量となるように調節される。この混合ガスの供給量のうち飽和溶解量を超える量は、余剰ガスとして、気相室23内の凝縮水と共に気相室23外に排出される。
【0048】
これら混合ガスの混合比及び供給量の調節は、流量調節弁32,34の一方又は両方によって行われる。
【0049】
例えば、溶存酸素濃度が20.5mg/L(溶解度50%)の酸素溶解水を製造する場合には、混合ガスの酸素と窒素の混合比が1:1(体積比)となるように、流量調節弁32,34の一方又は両方を調節すればよい。
【0050】
この余剰ガスの1分間当りの流量F(L/min)は、気相室23の体積V(L)の0.1倍以上特に0.3倍以上とするのが好ましい。これにより、気相室23内の凝縮水を余剰ガスと共に良好に排出することができる。
【0051】
この液相室22内で得られた酸素溶解水は、配管38を経由してユースポイントに供給される。また、気相室23から排出された余剰ガスは、必要に応じて水分トラップによって凝縮水が除去された後、無害化装置37で無害化されて、大気に排出される。
【実施例】
【0052】
以下、実施例及び比較例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0053】
実施例1〜4
第1図の装置を用い、ガス溶解水を製造した。装置の詳細は以下の通りである。また、実施例1〜4において、供給酸素量及び供給窒素量を、表1に示す通りとした。
【0054】
脱気膜モジュール:セルガード(株)製G284×1本
溶解膜モジュール:セルガード(株)製G284×1本
溶解膜モジュールの気相室の体積:1.1L
目的ガス:酸素
希釈ガス:窒素
原水:超純水
水温:25℃
溶解膜モジュールへの脱気水の供給水量:20L/min
【0055】
【表1】

【0056】
運転開始から3ヶ月間経過後に、得られたガス溶解水について、東亜DKK(株)製溶存酸素計「OBM−102A型」を用いて溶存酸素濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0057】
また、上記の脱気水の供給水量と、供給酸素量と、供給窒素量とに基づいて、余剰ガス量の予測値と、ガス溶解水の溶存酸素濃度の予測値を算出した。その結果を表1に示す。
【0058】
表1から明らかな通り、得られたガス溶解水の溶存酸素濃度の実測値が算出値と良好に一致した。このことから、運転開始から3ヶ月経過後においても、目的とする溶存酸素濃度のガス溶解水を安定して製造できることがわかった。
【0059】
比較例1
第1図の装置において、気相室23のガス流出用のポートをブラインドプレートによって閉鎖し、供給酸素量を0.57(L/min)としたことの他は実施例1と同様にして、ガス溶解水を製造した。
【0060】
運転開始当初は、得られたガス溶解水の溶存酸素濃度の実測値が算出値と一致した。しかし、運転開始から1ヶ月程度で、酸素ガスの溶解効率が低下し、1.5ヶ月で酸素を脱気水に溶解することができなくなった。運転を停止して気体溶解膜モジュール20を開放したところ、気相室23内に凝縮水が溜まっていた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施の形態に係るガス溶解水供給装置の系統図である。
【図2】従来例に係る水素溶解水の製造工程系統図である。
【符号の説明】
【0062】
10 脱気膜モジュール
11 気体透過膜
12 液相室
13 気相室
15 真空ポンプ
20 気体溶解膜モジュール
21 気体透過膜
22 液相室
23 気相室
31 目的ガス供給源
32,34 流量調節弁
33 希釈ガス供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体透過膜によって気相室と液相室に区画された気体溶解膜モジュールと、該気体溶解膜モジュールに供給される水を脱気処理する脱気装置とを有するガス溶解水供給装置において、
該気体溶解膜モジュールの気相室に供給するガス量を、該液相室への供給水量から算出される飽和溶解量よりも多いガス量とし、
該気相室の下端部を大気開放とし、
該気相室に供給したガスのうち溶解しなかった余剰分を排出しながら、ガスを溶解させることを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項2】
請求項1において、前記気体溶解膜モジュールの気相室にガスを供給するガス供給手段として、目的ガスと希釈ガスとを供給するよう構成されたガス供給手段が設けられており、
該ガス供給手段は、該目的ガスと希釈ガスとの少なくとも一方の供給量を制御可能であることを特徴とするガス溶解水供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2のガス溶解水供給装置を用いてガス溶解水を製造するガス溶解水の製造方法。
【請求項4】
請求項2のガス溶解水供給装置を用いてガス溶解水を製造する方法であって、該ガス溶解水供給装置からのガス溶解水中の目的ガス濃度に応じて前記気相室への目的ガス及び希釈ガスの少なくとも一方のガス供給量を制御することを特徴とするガス供給水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−23002(P2010−23002A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191016(P2008−191016)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】