説明

ガス発生器

【課題】作動時において、リテーナとカバー部材が干渉せず、第1燃焼室と第2燃焼室が相互に関連することで円滑に作動できるようにしたガス発生器を提供する。
【解決手段】ハウジング11内には、点火室カップ32と第2燃焼室カップ41が半径方向に間隔をおいて配置されている。第2燃焼室カップ41の第2連通孔42はカバー部材50で覆われている。リテーナ60が、点火室カップ32と第2燃焼室カップ41(カバー部材50)に嵌め込まれている。カバー部材50とリテーナ60間には、カバー部材50の膨張変形を許容する間隙70が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌の人員拘束装置等に使用されるガス発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固形ガス発生剤を使用するガス発生器では、顆粒状、ペレット状、ディスク状など種々の形状のガス発生剤を使用している。ガス発生剤は、外部からの振動や衝撃で粉化すると表面積が増大するため、ガス発生器の出力に影響が出てくる。そのため、燃焼室内でガス発生剤が、がたつかないように固定する手段が必要になる。
【0003】
特許文献1では、ハウジング構造12内に、点火器カップ56と発生剤カップ84が半径方向に並べて配置されている。発生剤カップ84内の第2室82には、第二ガス発生剤86と起爆器90が収容されている。発生剤カップ84の側壁100には複数のガス出口オリフィス104が形成されており、ガス出口オリフィス104を含む円筒形の側壁100の外側壁は、筒状の感圧絶縁遮壁材106により覆われている。
【0004】
図1に示されているとおり、第1室34内の第一ガス発生剤36は、リテーナ50で保持されており、リテーナ50は、さらに感圧絶縁遮壁材106の一部も押さえつけている。そして、感圧絶縁遮壁材106の他の部分は点火器カップ56と発生剤カップ84で挟み付けられているため、点火器カップ56の方向には膨張変形できないし、点火器カップ56側に向いた発生剤カップ84のガス出口オリフィス104は開口しにくい。さらにリテーナ50は、フィルタ42上面と当接していることから、第1室34への挿入量が制限されるため、第1ガス発生剤36の充填量によっては、ガス発生剤の保持機能が充分に果たせない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−503584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、第1燃焼室内のガス発生剤を保持するためのリテーナと、第2燃焼室と第1燃焼室とを連通するための連通孔を閉塞するためのカバー部材を有する構造のガス発生器であり、作動時において、前記リテーナと前記カバー部材が干渉せず、第1燃焼室と第2燃焼室が相互に関連することで円滑に動作できるようにしたガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、
ガス排出口(14)を有するディフューザシェル(12)とクロージャシェル(13)からなるハウジング(11)の内側には第1ガス発生剤(33)が充填された第1燃焼室(31)が形成されており、
前記第1燃焼室(31)の内部には、点火室(30)を形成する点火室カップ(32)と第2燃焼室(40)を形成する第2燃焼室カップ(41)が半径方向に間隔をおいて並んで配置されており、
前記点火室カップ(32)内の点火室(30)には、第1点火器(21)が収容されており、前記点火室カップ(32)の周壁部(32c)には、作動時に前記第1燃焼室(31)と連通するための第1連通孔(34)が形成されており、
前記第2燃焼室カップ(41)内の第2燃焼室(40)には、第2点火器(25)と第2ガス発生剤(43)が収容されており、前記第2燃焼室カップ(41)の周壁部(41c)には、作動時に前記第1燃焼室(31)と連通するための第2連通孔(42)が形成されており、さらに前記第2連通孔(42)が、前記第2燃焼室カップ(41)に被せられたカップ状のカバー部材(50)により覆われており、
ハウジング(11)内には、第1開口部(62)と第2開口部(63)を有する、前記第1ガス発生剤(33)を保持するための円板状のリテーナ(60)が配置されており、
前記円板状のリテーナ(60)が、前記第1開口部(62)が前記点火室カップ(32)に嵌め込まれ、前記第2開口部(63)が前記第2燃焼室カップ(41)に嵌め込まれることで取り付けられており、前記第2燃焼室カップ(41)に被せられた前記カバー部材(50)と前記第2開口部(63)の間に環状間隙(70)が形成されている、ガス発生器を提供する。
【0008】
本発明のガス発生器は、第1燃焼室内に充填された第1ガス発生剤が移動しないように保持するためのリテーナと、第2燃焼室(第2燃焼室カップ)に形成された第2連通孔を覆うカバー部材を有している。
【0009】
そして、作動時において、第2燃焼室内の第2ガス発生剤が燃焼したとき、第2燃焼室(第2燃焼室カップ)を外側から包囲するカバー部材が半径方向外側へ変形することで、カバー部材で閉塞されていた第2連通孔が開口され、第2燃焼室と第1燃焼室が連通される構造である。
【0010】
そして、このようなガス発生器の動作におけるカバー部材の変形は、
(I)点火室カップと第2燃焼室カップとの間に間隔が形成されていること、
(II)第2燃焼室カップに被せられたカバー部材とリテーナの第2開口部の間に間隙が形成されていること、から円滑になされるものである。
【0011】
本発明のガス発生器において、上記のカバー部材の変形をより円滑にするため、カバー部材として、その開口部に切り込みが形成されているものを用いることができる。このようなカバー部材を用いることで、切り込みにおいてカバー部材が開裂するため、第2連通孔が開口され、ガスの排出経路が開放され易くなるため、第2燃焼室からの燃焼ガスの排出が円滑になされるようになる。
【0012】
本発明で用いるリテーナは、点火室カップに圧入できるような構造にすることが好ましい。このような圧入できる構造にすることで、リテーナを点火器カップに嵌め込むだけで固定することができるため、作業が簡単になる。
【0013】
本発明で用いるカバー部材は、第2燃焼室カップに嵌め込み易くするため、開口部が外側に拡がった拡径部を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガス発生器は、作動前においては、リテーナの作用により、第1燃焼室内の第1ガス発生剤の移動が阻止される。
そして、作動時においては、カバー部材の作用により、第1燃焼室にて燃焼ガスが発生した場合でも、第2燃焼室内の第2ガス発生剤が着火燃焼されることはない。また、リテーナとカバー部材が干渉せず、相互に作用することで、第2燃焼室内の第2ガス発生剤が着火燃焼したときには、第2連通孔が開放され、第2燃焼室から円滑に燃焼ガスの排出がなされる。
さらに第1燃焼室内に充填されるガス発生剤の量により、リテーナの取り付け高さを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のガス発生器の軸方向断面図。
【図2】図1の半径方向断面図。
【図3】図1で使用したカバー部材の斜視図。
【図4】図1で使用したリテーナの斜視図。
【図5】図1のガス発生器の動作を説明するための図。
【図6】(a)は別実施形態のリテーナの斜視図、(b)は(a)の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面により、本発明のガス発生器について説明する。図1は本発明のリテーナを使用したガス発生器の断面図であり、図2は、図1の半径方向への断面図である(理解し易くするため、一部の表示は略している)。
【0017】
図1のガス発生器10では、ディフューザシェル12とクロージャシェル13とが接合部15で溶接されて、外郭容器となるハウジング11が形成されている。
【0018】
ディフューザシェル12の周面には、複数のガス排出口14が設けられており、このガス排出口14は、アルミニウム等のシールテープ16で内側から閉塞されている。
【0019】
クロージャシェル13の底面には2つの孔が設けられており、2つの孔は、ハウジング11の中心軸Xから、それぞれ半径方向外側に偏って形成されている。
【0020】
一方の孔には、第1点火器カラー22に固定された第1点火器21が取り付けられ、他方の孔には、第2点火器カラー26に固定された第2点火器25が取り付けられている。
【0021】
ハウジング11内部には、筒状のフィルタ18が配置されており、フィルタ18の外周面とガス排出口14及びシールテープ16の間には筒状の間隙17が設けられている。
【0022】
フィルタ18の内側には第1燃焼室31が形成され、第1ガス発生剤33が充填されている。
【0023】
第1燃焼室31内にはさらに、点火室カップ32と第2燃焼室カップ41が半径方向に間隔をおいて隣接配置されている。
【0024】
点火室カップ32は、開口部32a、天板32b、周壁部32cを有しており、開口部32a側から第1点火器21に被せた状態で第1点火器カラー22に嵌め込まれている。点火室カップ32は、中心軸X1がハウジング11の中心軸Xから半径方向外側に偏るように配置されている。
【0025】
点火室カップ32の周壁部32cは、天板32bから開口部32aにかけて一定の外径を有しており、複数の第1連通孔34が形成されている。複数の第1連通孔34は、ガス発生器10が作動する前にはシール部材(図示せず)にて閉塞されており、ガス発生器10の作動後には開口して、第1燃焼室31と点火室30とを連通させる。
【0026】
図2に示すとおり、第1連通孔34は、周壁部32cのうち、第1ガス発生剤33が多く存在する位置(筒状フィルタ18との間隔がより大きくなるような位置)に形成されている。
【0027】
点火室カップ32内は点火室30となり、点火室30の第1点火器21を除いた空間には、公知のエンハンサやガス発生剤が伝火薬35として充填されている。
【0028】
第2燃焼室カップ41は、開口部41a、天板41b、周壁部41cを有しており、開口部41a側から第2点火器25に被せた状態で第2点火器カラー26に嵌め込まれている。第2燃焼室カップ41は、中心軸X2がハウジング11の中心軸Xから半径方向外側に偏るように配置されている。
【0029】
第2燃焼室カップ41の周壁部41cは、天板41bから開口部41aにかけて一定の外径を有しており、2つの第2連通孔42が形成されている。
【0030】
図2に示すとおり、2つの第2連通孔42(42a、42b)は、周壁部41cのうち、第1ガス発生剤33が多く存在する位置(筒状フィルタ18との間隔がより大きくなるような位置)に形成されている。なお、第2連通孔42は、高さ位置を異ならせて形成することができるため、全体では2つを超える数(例えば合計で4〜10個)を形成することができる。
【0031】
2つの第2連通孔42(42a、42b)は、点火室カップ32の中心軸X1と第2燃焼室カップ41の中心軸X2を結ぶ線Yに対して対称となる位置に形成されている。なお、線Yは、第2連通孔42a、42bの中間点と中心軸X2を結ぶ線とも一致している。
【0032】
中心軸X2と第2連通孔42aの中心を結ぶ線と線Yがなす角度(α1)と、中心軸X2と第2連通孔42bの中心を結ぶ線と線Yがなす角度(α2)は同一であり、α1=α2=15〜45°の範囲内にすることができる。
【0033】
第2燃焼室カップ41内部は第2燃焼室40となり、公知の第2ガス発生剤43が充填されている。
【0034】
第2燃焼室カップ41の天板41b側から、カップ状のカバー部材50が被せられている。
【0035】
カップ状のカバー部材50は、図1、図3(カバー部材50の斜視図)に示すように、底部51、開口部52、周面部53を有しており、第2燃焼室カップ41の天板41bとカバー部材50の底部51が当接した状態となっている。カバー部材50は、肉厚が0.4mmの鉄製のものであり、底部51は中心部を含む一部が開口していてもよい。
【0036】
第2燃焼室カップ41の第2連通孔42(42a、42b)は、カバー部材50により外側から覆われており、第2燃焼室カップ41の周壁部41cとカバー部材50の周面部53は密着されている。
【0037】
カバー部材50は、開口部52近傍の周面部53には、外径が大きくなった拡径部54が形成されており、さらに拡径部54には三角形状の切り込み55が形成されている。
【0038】
切り込み55は、第2連通孔42a、42bと当接するカバー部材50の面の反対面側の拡径部54に形成されていればよいが、図3に示すように、第2連通孔42a、42bの両方から最も遠い位置(図2で示す線Yとカバー部材50が交わる位置)の拡径部54に形成されている。周面部53には、切り込み55の頂点の延長線上に延びるスコアー(脆弱部)56を形成してもよい。
【0039】
なお、カバー部材50に切り込み55を形成したときには、第2燃焼室カップ41に被せたカバー部材50が回転して切り込み55の位置が変化しないようにするため、カバー部材50の底部51がハウジング11の天井面に圧接されるようにしたり、第2燃焼室カップ41の天板41bに凹凸を形成したりすることで、前記回転を防止してもよい。
【0040】
第1燃焼室31には、第1ガス発生剤35の移動を阻止するためのリテーナ60が配置されている。
【0041】
リテーナ60は、図4に示すように、ベース部61、点火室カップ32を貫通させるための第1開口部62、第2燃焼室カップ41を貫通させるための第2開口部63を有している。
さらに第1開口部62の周縁には、図1のディフューザシェル12側に突き出された第1環状壁64が形成されており、ベース部61の周縁には、図1のディフューザシェル12側に突き出された第2環状壁65が形成されている。第1環状壁64の高さは、第2環状壁65よりも高くなっている。
【0042】
リテーナ60は、第1開口部62が点火室カップ32に嵌め込まれ、第2開口部63が第2燃焼室カップ41(カバー部材50)に嵌め込まれている。
【0043】
第1開口部62の第1環状壁64の内径は、点火室カップ32の周壁部32cの外径よりも僅かに小さくなるように調整されているため、第1環状壁64が周壁部32cに対して圧接されている(押しつけられた状態で当接されている)。このように第1環状壁64と周壁部32cが圧接状態になるようにすることで、第1燃焼室31内においてリテーナ60全体が固定される。
【0044】
第2開口部63の内径は、第2燃焼室カップ41に被せられたカバー部材50の外径より大きくなるように調整されており、第2開口部63の内周縁とカバー部材50の周面部53との間には環状間隙70が形成されている。
【0045】
リテーナ60の第2環状壁65は、フィルタ18の内周面との間に、第1ガス発生剤33が通過しない大きさの間隔をおいて配置されているが、当接されていてもよい。
【0046】
次に、図1のガス発生器10の動作を説明する。なお、第1点火器21と第2点火器25は、衝突時の衝撃の程度に応じて、第1点火器21のみが作動する場合、第1点火器21が先に作動して第2点火器25が遅れて作動する場合、第1点火器21と第2点火器25が同時に作動する場合があるが、以下においては、第1点火器21が先に作動して第2点火器25が遅れて作動する場合について説明する。
【0047】
作動前においては、リテーナ60の作用により、第1燃焼室31内の第1ガス発生剤33の移動が阻止されている。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、コントロールユニットからの作動信号を受け、第1点火器21が作動点火して、点火室30内部の伝火薬35を着火燃焼させる。
そして燃焼生成物(高温ガスや火炎等)は、第1連通孔34を通って第1燃焼室31に入り、第1ガス発生剤33を着火、燃焼させて燃焼ガスを発生させる。
このとき、第2燃焼室カップ41に形成された第2連通孔42は、カバー部材50で閉じられており、上記燃焼ガスによって第2燃焼室40内の第2ガス発生剤43が着火燃焼されることはない(図5(a)に示す状態)。
【0048】
第1燃焼室31内の第1ガス発生剤33から発生した燃焼ガスは、フィルタ18を通って濾過及び冷却された後、シールテープ16を破り、ガス排出口14から排出される。
【0049】
第1点火器21から遅れて第2点火器25が作動点火し、第2燃焼室40内の第2ガス発生剤43が着火燃焼し、燃焼ガスが発生する。
この燃焼ガスにより、第2連通孔42(42a、42b)を閉塞しているカバー部材50の周面部53は、半径方向外側に押されて変形し、図3で示す切り込み55に対して引張応力が作用するため、そこから容易に開裂する(図5(b)で示す状態)。
このとき、リテーナ60の第2開口部63とカバー部材50(周面部53)との間には環状間隙70が形成されており、さらに点火室カップ32と第2燃焼室カップ41との間にも間隙が形成されているため、カバー部材50の変形による開裂が阻害されることはない。
【0050】
その結果、第2燃焼室カップ41とカバー部材50との間にガス通路となる隙間80(図5(b)参照)が形成される。この間隙80を通り、ガスはクロージャシェル13側(図1の下向き)に流れ、第1燃焼室31へ到達する。このように燃焼ガスは、第2燃焼室カップ41とカバー部材50に接触しながら流れることから冷却され、含まれる燃焼残渣が捕捉されるため、フィルタ18にまで至る燃焼残渣量が減少される。
【0051】
リテーナ60は、第1環状壁64を点火器カップ32の周壁部32cに圧入して取り付けるものであるため、第1ガス発生剤33の充填量により、圧入深さ(軸方向における高さ位置)を調整することができる。このため、1つの部品(1つのリテーナ60)で、広い範囲の出力性能のガス発生器が提供できる。
【0052】
なお、本発明のリテーナ60は、図1のような第1燃焼室31を区画する部材としてフィルタ18を使用したガス発生器以外にも、フィルタ18の代わりに筒状のリング部材で燃焼室を区画したガス発生器にも使用することができる。
【0053】
次に、図6により、別実施形態のリテーナ160について説明する。図6(a)は斜視図、図6(b)は部分断面図である。
【0054】
リテーナ160は、図4に示すリテーナ60とは一部構造が異なるものであるが、図4に示すリテーナ60と同様に図1に示すようにして使用される。
【0055】
リテーナ160は、図6(a)に示すように、ベース部161、点火室カップ32を貫通させるための第1開口部162、第2燃焼室カップ41を貫通させるための第2開口部163を有している。
さらに第1開口部162の周縁には、図1のディフューザシェル12側に突き出された第1環状壁164が形成されており、ベース部161の周縁には、図1のディフューザシェル12側に突き出された第2環状壁165が形成されている。第1環状壁164の高さは、第2環状壁165よりも高くなっている。
【0056】
第1環状壁164は、図6(b)に示すように、ディフューザシェル12側(ベース161側とは反対側)になるほど内径が小さくなっている(φA<φB)。
【0057】
第1環状壁164には、図4のリテーナ60とは異なり、周方向に等間隔で複数のV字状の切り込み170が形成されている。切り込み170は、ディフューザシェル12側(ベース161側とは反対側)に向かって幅が大きくなっている。
【0058】
第1環状壁164の内径を上記のように変化させ、切り込み170を入れることで、第1環状壁164に弾性力を付与でき、それにより、第1開口部162を点火室カップ32に対して挿入しやすくできる。
【0059】
次に、図1で示すガス発生器10の組立方法の一実施形態を説明する。
まず、クロージャシェル13の2つの穴に対して、第1点火器カラー22に固定された第1点火器21と、第2点火器カラー26に固定された第2点火器25を固定する。
次に、第1点火器カラー22に点火室カップ32(伝火薬35が充填されている)を嵌め込んで固定し、第2点火器カラー26に第2燃焼室カップ41(第2ガス発生剤43が充填されている)を嵌め込んで固定する。
次に、第2燃焼室カップ41にカバー部材50を被せる。なお、前工程において、第2燃焼室カップ41にカバー部材50を被せたものを、第2点火器カラー26に嵌め込んでもよい。
次に、筒状フィルタ18を配置した後、第1ガス発生剤33を充填する。
次に、リテーナ60を、第1開口部62を点火室カップ32に圧入して嵌め込み、第2開口部63を第2燃焼室カップ41に嵌め込んで取り付ける。このとき、第1環状壁64を点火室カップ32に対して圧入することで、第1環状壁64と点火室カップ32を圧接状態にする。この手順のみにより、リテーナ60が固定でき、リテーナ60の第2環状壁65により、フィルタ18の位置が決まる。
次に、ディフューザシェル12を被せて、接合部15を溶接して一体化する。
【0060】
本発明のガス発生器10は、リテーナ60を取り付けるとき、第1環状壁64を点火室カップ32に対して圧入するだけで固定できる。このため、リテーナ60と他の部材との取り付け状態を調整する必要が無くなり、作業が非常に簡単になる。
【符号の説明】
【0061】
10 ガス発生器
11 ハウジング
12 ディフューザシェル
13 クロージャシェル
14 ガス排出口
18 筒状フィルタ
21 第1点火器
25 第2点火器
30 点火室
31 第1燃焼室
32 点火室カップ
33 第1ガス発生剤
34 第1連通孔
40 第2燃焼室
41 第2燃焼室カップ
42 第2連通孔
43 第2ガス発生剤
50 カバー部材
60 リテーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス排出口(14)を有するディフューザシェル(12)とクロージャシェル(13)からなるハウジング(11)には第1ガス発生剤(33)が充填された第1燃焼室(31)が形成されており、
前記第1燃焼室(31)の内部には、点火室(30)を形成する点火室カップ(32)と第2燃焼室(40)を形成する第2燃焼室カップ(41)が半径方向に間隔をおいて並んで配置されており、
前記点火室カップ(32)内の点火室(30)には、第1点火器(21)が収容されており、前記点火室カップ(32)の周壁部(32c)には、作動時に前記第1燃焼室(31)と連通するための第1連通孔(34)が形成されており、
前記第2燃焼室カップ(41)内の第2燃焼室(40)には、第2点火器(25)と第2ガス発生剤(43)が収容されており、前記第2燃焼室カップ(41)の周壁部(41c)には、作動時に前記第1燃焼室(31)と連通するための第2連通孔(42)が形成されており、さらに前記第2連通孔(42)が、前記第2燃焼室カップ(41)に被せられたカップ状のカバー部材(50)により覆われており、
ハウジング(11)内には、第1開口部(62)と第2開口部(63)を有する、前記第1ガス発生剤(33)を保持するための円板状のリテーナ(60)が配置されており、
前記円板状のリテーナ(60)が、前記第1開口部(62)が前記点火室カップ(32)に嵌め込まれ、前記第2開口部(63)が前記第2燃焼室カップ(41)に嵌め込まれることで取り付けられており、前記第2燃焼室カップ(41)に被せられた前記カバー部材(50)と前記第2開口部(63)の間に環状間隙(70)が形成されている、ガス発生器。
【請求項2】
前記カバー部材が、開口部に切り込みが形成されているものであり、
前記切り込みが、前記カバー部材が前記第2連通孔と当接する面とは反対面側に形成されている、請求項1記載のガス発生器。
【請求項3】
前記円板状のリテーナが、前記第1開口部の周囲に形成された第1環状壁を有しており、前記第1環状壁の内周面が前記点火室カップの周壁部外面に圧接されることで固定されている、請求項1又は2記載のガス発生器。
【請求項4】
前記円板状のリテーナが、前記第1開口部の周囲に形成された第1環状壁を有しており、前記第1環状壁の内周面が前記点火室カップの周壁部外面に圧接されることで固定されており、
前記第1環状壁が、前記ディフューザシェル側に伸ばされ、内径が前記ディフューザシェル側方向に小さくなるように形成されたものであり、さらに円周方向に間隔をおいて切り込みを有している、請求項1〜3のいずれか1項記載のガス発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−207326(P2011−207326A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76604(P2010−76604)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】