説明

ガス警報器

【課題】光源の供給がない環境下で警報が出され続けて、警報の発報が停止した場合でも、光源の供給がある環境下となれば、直ちに警報を発報させることができるようにする。
【解決手段】計測部103に独立して電力を供給する第1の電池104を設ける。警報部203に対して独立して電力を供給する第2の電池204を設ける。第1の電池104はリチウム電池(10年間以上連続して計測部103に電力を供給可能な電池容量を有する電池)とし、第2の電池204は2次電池205と太陽電池206とを組み合わせた電池とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池駆動式のガス警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用として普及しているガス警報器には、都市ガスやプロパンガスなどの可燃性ガスの検知を目的にしたもの、燃焼機器の不完全燃焼ガス(一酸化炭素)の検知を目的としたもの、またはその両方の機能を合わせ持ったものなどがある。このようなガス警報器は、100VのAC電源を用いるものが一般的であるが、設置上の制約を受けることから、近年、5年から10年は電池交換が不要な長寿命の電池駆動式のガス警報器の実用化が望まれている。
【0003】
〔従来例1〕
図2に特許文献1に記載された電池駆動式のガス警報器の要部を示す。同図において、1はガスセンサ素子、2はガスセンサ素子1を警報器として動作させる手段(以下、警報手段と呼ぶ)、3は2次電池、4は太陽電池、5は保護手段である。
【0004】
このガス警報器において、ガスセンサ素子1は、一酸化炭素などの検出ガスの濃度に応じて電圧などの出力値を発生する。警報手段2は、ガスセンサ素子1の出力値を監視し、検出ガスの濃度が所定値(警報発報以上のガス濃度)を上回った場合、ランプを点滅させたり、ブザーを鳴動させるなどして、警報を発する。
【0005】
警報手段2およびガスセンサ素子1に対しては、2次電池3と太陽電池4とが並列に設けられ、2次電池3と太陽電池4との間に、2次電池3から太陽電池4に電流が流れることを防止したり、2次電池3への過充電を防止するための保護手段(ダイオードなどの電子部品)5が設けられている。
【0006】
このガス警報器では、太陽電池4を用いているため、光源の供給がある限り継続的に、警報手段2やガスセンサ素子1に電力を供給することが可能である。これにより、長寿命の電池駆動式のガス警報器が実現され、5年から10年の間、電池交換を不要としたいという要望に応えることが可能となる。
【0007】
なお、2次電池3は、夜間など、光源の供給がない環境下でのバックアップ用の電源として用いられる。すなわち、光源の供給がある環境下では、2次電池3への充電を行いながら、太陽電池4によって発電された電力が警報手段2やガスセンサ素子1に供給され、光源の供給がない環境下では、2次電池3に蓄積された電力が警報手段2やガスセンサ素子1に供給される。
【0008】
〔従来例2〕
図3に特許文献2に記載された電池駆動式の警報器の要部を示す。同図において、6は図2に示したガスセンサ素子1や警報手段2を含む警報回路、7は電源駆動回路である。電源駆動回路7には、バックアップ用電池8と主電源用電池9とが並列に設けられており、切り換えスイッチ10を介して警報回路6に主電源用電池9とバックアップ用電池8とから選択的に電力を供給することができるようになっている。
【0009】
このガス警報器において、主電源用電池9としては太陽電池が用いられ、バックアップ用電池8としてはリチウム電池が用いられている。また、切り換えスイッチ10は、通常は主電源用電池(太陽電池)9側への接続状態とされ、主電源用電池(太陽電池)9の電圧が一定電圧以下になった場合に、バックアップ用電池(リチウム電池)8側への接続状態に切り換えられる。
【0010】
このガス警報器では、光源の供給がある環境下では、主電源用電池(太陽電池)9で発電された電力が警報回路6へ供給され、光源の供給がない環境下では、バックアップ用電池(リチウム電池)8からの電力が警報回路6へ供給される。これにより、長寿命の電池駆動式のガス警報器が実現され、5年から10年の間、電池交換を不要としたいという要望に応えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−201475号公報
【特許文献2】特開2000−222655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来の電池駆動式のガス警報器によると、主電源として用いられる太陽電池に加え、バックアップ用の電源として2次電池やリチウム電池を搭載しているが、電力を警報器全体で使用する回路構成としているために、例えば、夜間、照明が消灯されている状態で、警報を出し続けて2次電池やリチウム電池の電力が全て消費された場合、全ての機能が停止してしまう恐れがある。このような状態で、全ての機能が停止してしまうと、照明を点灯した段階での警報の発報が遅れ、信頼性が損なわれる。
【0013】
この点について、図2に示した従来例1のガス警報器で説明すると、夜間、照明が消灯されている状態で、警報手段2が警報を出し続けると、太陽電池4からの電力の供給がないために、2次電池3に蓄積されている電力が全て消費され、全ての機能が停止してしまう。このような状態で、人が入室のために照明を点灯すると、太陽電池4からの電力の供給が開始されるが、ガスセンサ素子1は直ちには動作せず、その動作が立ち上がるまで、警報の発報が遅れる。
【0014】
また、図3に示した従来例2のガス警報器で説明すると、夜間、照明が消灯されている状態で、警報回路6が警報を出し続けると、切り換えスイッチ10がバックアップ用電池(リチウム電池)8側への接続状態に切り換えられているため、バックアップ用電池(リチウム電池)8に蓄積されている電力が全て消費され、全ての機能が停止してしまう。このような状態で、人が入室のために照明を点灯すると、主電源用電池(太陽電池)9での発電が開始され、切り換えスイッチ10が主電源用電池(太陽電池)9側への接続状態に切り換えられて、主電源用電池(太陽電池)9から警報回路6への電力の供給が開始されるが、警報回路6内のガスセンサ素子1は直ちには動作せず、その動作が立ち上がるまで、警報の発報が遅れる。
【0015】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、太陽電池を用いて電池寿命の長期化を図るとともに、光源の供給がない環境下で警報が出され続けて、警報の発報が停止した場合でも、光源の供給がある環境下となれば直ちに警報を発報させることが可能な、信頼性の高い電池駆動式のガス警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を達成するために本発明は、所定のガスの濃度を計測する計測部と、この計測部によって計測されるガスの濃度に基づいて警報を発する警報部とを備えるガス警報器において、計測部に独立して電力を供給する第1の電池と、警報部に独立して電力を供給する第2の電池とを備え、第1の電池は、所定期間以上連続して計測部に電力を供給可能な電池容量を有する電池とされ、第2の電池は、少なくとも太陽電池を含む電池とされていることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、計測部に対しては第1の電池(所定期間以上(例えば、10年以上)連続して計測部に電力を供給可能な電池容量を有する電池)から電力が供給され、警報部に対しては第2の電池(太陽電池を含む電池)から電力が供給される。これにより、光源の供給がない環境下で警報が出され続けて、警報の発報が停止した場合でも、計測部には第2の電池からの電力が供給され続ける。このため、光源の供給がある環境下となって、第2の電池(太陽電池を含む電池)からの警報部への電力の供給が開始されれば、直ちに警報が発報されるものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、計測部に独立して電力を供給する第1の電池と、警報部に独立して電力を供給する第2の電池とを設け、第1の電池は、所定期間以上連続して計測部に電力を供給可能な電池容量を有する電池とし、第2の電池は、少なくとも太陽電池を含む電池とするようにしたので、太陽電池を用いて電池寿命の長期化を図るとともに、光源の供給がない環境下で警報が出され続けて、警報の発報が停止した場合でも、光源の供給がある環境下となれば直ちに警報を発報させることが可能となり、信頼性を高めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るガス警報器(電池駆動式のガス警報器)の一実施の形態の要部を示すブロック図である。
【図2】特許文献1に記載された電池駆動式のガス警報器の要部を示す図である。
【図3】特許文献2に記載された電池駆動式のガス警報器の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係るガス警報器(電池駆動式のガス警報器)の一実施の形態の要部を示すブロック図である。同図において、100は計測部側の回路ブロック、200は警報部側の回路ブロックである。
【0021】
〔計測部側の回路ブロック〕
計測部側の回路ブロック100には、ガスセンサ素子101と警報器回路102とを備える計測部103と、この計測部103に独立して電力を供給する第1の電池104とが設けられている。
【0022】
計測部103において、ガスセンサ素子101は第1の電池104からの電力の供給を受けて動作し、一酸化炭素などの検出ガスの濃度に応じて電圧などの出力値を発生する。
【0023】
計測部103において、警報器回路102は、第1の電池104からの電力の供給を受けて動作し、ガスセンサ素子101の出力値を監視し、検出ガスの濃度が所定値(警報発報以上のガス濃度)を上回った場合、警報部側の回路ブロック200への制御信号をONとする。
【0024】
計測部側の回路ブロック100において、第1の電池104は、リチウム電池とされ、10年間以上連続して計測部103に電力を供給可能な電池容量を有している。
【0025】
〔警報部側の回路ブロック〕
警報部側の回路ブロック200には、LED(発光ダイオード)201とブザー202とスイッチSW1とを備える警報部203と、この警報部203に独立して電力を供給する第2の電池204とが設けられている。
【0026】
警報部203において、LED201とブザー202とは並列に接続され、このLED201とブザー202との並列回路への第2の電池204からの電力の供給路にスイッチSW1が設けられている。
【0027】
スイッチSW1は、通常はOFFとされており、計測部側の回路ブロック100からの制御信号がONとされた場合に、すなわち警報器回路102からの制御信号がONとされた場合に、ONとされる。
【0028】
警報部側の回路ブロック200において、第2の電池204は、2次電池205と、太陽電池206と、保護手段207とから構成されている。2次電池205と太陽電池206とは並列に設けられ、2次電池205と太陽電池206との間に、2次電池205から太陽電池206に電流が流れることを防止したり、2次電池205への過充電を防止するための保護手段(ダイオードなどの電子部品)207が設けられている。
【0029】
〔光源の供給がある環境下での警報の発報〕
このガス警報器において、光源の供給がある環境下で、ガスセンサ素子101の検出ガスの濃度が所定値(警報発報以上のガス濃度)を上回ると、警報器回路102からの警報部203への制御信号がONとなる。
【0030】
これにより、警報部203におけるスイッチSW1がONとされ、第2の電池204からの電力がLED201およびブザー202へ供給され、LED201が点滅し、ブザー202が鳴動する。この場合、第2の電池204は、2次電池205への充電を行いながら、太陽電池206によって発電された電力をLED201およびブザー202へ供給する。
【0031】
〔光源の供給がない環境下での警報の発報〕
このガス警報器において、光源の供給がない環境下で、ガスセンサ素子101の検出ガスの濃度が所定値(警報発報以上のガス濃度)を上回ると、警報器回路102からの警報部203への制御信号がONとなる。
【0032】
これにより、警報部203におけるスイッチSW1がONとされ、第2の電池204からの電力がLED201およびブザー202へ供給され、LED201が点滅し、ブザー202が鳴動する。この場合、第2の電池204は、太陽電池206からの電力の供給がないために、2次電池205に蓄積されている電力をLED201およびブザー202へ供給する。
【0033】
これにより、夜間、照明が消灯されている状態でも、2次電池205をバックアップ用の電源として、警報が発報される。この場合、LED201やブザー202での電力消費は大きく、照明が消灯されている状態で警報が出され続けると、2次電池205に蓄積されている電力が全て消費され、警報の発報が停止する。
【0034】
しかし、このような警報の発報が停止した状態でも、計測部103には第1の電池104からの電力が供給され続ける。すなわち、計測部103での検出ガスの濃度の計測が続けられ、警報部203への制御信号がONとされ続ける。このため、人が入室のために照明を点灯し、太陽電池206からの電力の供給が開始されると、この太陽電池206からの電力がLED202とブザー202との並列回路に供給され、直ちに警報が発報されるものとなる。
【0035】
このようにして、本実施の形態によれば、太陽電池206を用いて電池寿命の長期化を図るとともに、光源の供給がない環境下で警報が出され続けて、警報の発報が停止した場合でも、光源の供給がある環境下となれば直ちに警報を発報させることが可能となり、信頼性が高められるものとなる。
【0036】
なお、本実施の形態において、ガスセンサ素子101としては、接触燃焼式、半導体式、定電位電界式、固体電界質式など各種のガスセンサ素子を利用することが可能である。
【0037】
また、本実施の形態において、2次電池205としては、ニッケル・水素、ニッケル・カドミウム、リチウムイオンなどの各種の2次電池の利用することが可能である。
【0038】
また、本実施の形態において、太陽電池206は、単結晶、多結晶シリコーン、アモルファスシリコーン、化合物半導体などの各種の太陽電池を利用することが可能である。
【0039】
また、本実施の形態では、第2の電池204として、2次電池205と太陽電池206とを組み合わせた電池を用いたが、必ずしも2次電池205と組み合わせなくてもよく、太陽電池206のみとしてもよい。太陽電池206のみとした場合、光源の供給がない環境下では電力を供給することができなくなるので、2次電池205と太陽電池206とを組み合わせた構成とすることが望ましい。
【0040】
また、本実施の形態では、第1の電池104をリチウム電池としたが、10年間以上連続して計測部103に電力を供給可能な電池容量を有する電池であればよく、他のタイプの電池を用いるようにしてもよい。
【0041】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0042】
100…計測部側の回路ブロック、101…ガスセンサ素子、102…警報器回路、103…計測部、104…第1の電池、200…警報部側の回路ブロック、201…LED、202…ブザー、203…警報部、204…第2の電池、205…2次電池、206…太陽電池、207…保護手段、SW1…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のガスの濃度を計測する計測部と、この計測部によって計測されるガスの濃度に基づいて警報を発する警報部とを備えるガス警報器において、
前記計測部に独立して電力を供給する第1の電池と、
前記警報部に独立して電力を供給する第2の電池とを備え、
前記第1の電池は、所定期間以上連続して前記計測部に電力を供給可能な電池容量を有する電池とされ、
前記第2の電池は、少なくとも太陽電池を含む電池とされている
ことを特徴とするガス警報器。
【請求項2】
請求項1に記載されたガス警報器において、
前記第1の電池は、リチウム電池とされ
前記第2の電池は、太陽電池と、この太陽電池によって充電される2次電池とから構成されている
ことを特徴とするガス警報器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−58062(P2013−58062A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195679(P2011−195679)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】