ガス遮断装置
【課題】短時間で検出したガス漏れと比較的安全な暖房器具等を判別できずガスの流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断していた。
【解決手段】流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量変化値が記憶部１６に記憶されている流量閾値以上であるか否かを判定し、流量閾値以下であると判定した場合は漏れ器具判別部１３が作動しないように制御し、流量閾値よりも大きいと判定した場合は、その流量変化値が記憶部１６で記憶されている流量変化閾値との比較を行う。
【解決手段】流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量変化値が記憶部１６に記憶されている流量閾値以上であるか否かを判定し、流量閾値以下であると判定した場合は漏れ器具判別部１３が作動しないように制御し、流量閾値よりも大きいと判定した場合は、その流量変化値が記憶部１６で記憶されている流量変化閾値との比較を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ガスメータより下流に接続されたガス機器のガス使用時に、ガス使用上の安全を図る及びガス使用上の利便性を向上させるガス遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ガス器具の使用の際には、ガスの消し忘れやガス漏れなどによる事故を未然に防止するために、ガスのユーザ宅やガス供給路を管理しているガス事業者において、異常時に通報やガス供給路の遮断を行うシステムが普及しつつある。従来のガス保安装置としては、ガス流量などに基づき、大流量が流れたときにガスの供給を遮断したり、微小流量で長時間ガスが流れたときに遮断したり、流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断するものなどが用いられている。
【０００３】
ガスのユーザの家屋等では、ガス供給路の入口部分にガス流量を計測するガスメータが設置されている。この種のガスメータとして、従来は所定の流量ごとに流れたガスの量を積算する膜式のガスメータが一般的であったが、最近では、超音波信号を用いて瞬時流量を求め、この瞬時流量を積算することでガスの流量を計測する超音波式のガスメータも提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】国際公開第００／０１６０４４号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来のガス遮断装置では、短時間で検出したガス漏れと比較的安全な暖房器具等を判別できずガスの流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断していた。更に、比較的小さい流量ではガスの瞬時流量変化が小さいため、誤ってガス器具使用とガス漏れを判定する可能性があり、ガス使用上の安全性と利便性に限界があった。
【０００５】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ガス漏れとガス器具の使用を判別し、所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止することで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能なガス遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明のガス遮断装置は、ガス供給管に接続され、ガスの瞬時流量を計測する流量計測部と、ガス供給管に設けられ、ガス通路を遮断する遮断弁と、前記流量計測部により計測されるガスの流量変化値が第１の閾値より小さい場合にガス漏れと判断し、流量変化値が前記第１の閾値より大きい場合にガス器具と判断する漏れ器具判別部と、前記漏れ器具判別部の判定を前記流量値が第２の閾値以下の場合は実行しない流量判定部と、前記第１の閾値及び前記第２の閾値を記憶する記憶部とを備えたものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、短時間で検出したガス漏れと比較的安全な暖房器具等を判別できずガスの流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断し、且つ比較的小さい流量ではガスの瞬時流量変化が小さいため、誤ってガス器具使用とガス漏れを判定する可能性があり、ガス使用上の安全性と利便性に限界があったが、ガス漏れとガス器具の使用を判別する機能と所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止する機能を用いることで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となるガス遮断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明のガス遮断装置は、ガス供給管に接続され、ガスの瞬時流量を計測する流量計測部と、ガス供給管に設けられ、ガス通路を遮断する遮断弁と、前記流量計測部により計測されるガスの流量変化値が第１の閾値より小さい場合にガス漏れと判断し、流量変化値が前記第１の閾値より大きい場合にガス器具と判断する漏れ器具判別部と、前記漏れ器具判別部の判定を前記流量値が第２の閾値以下の場合は実行しない流量判定部と、前記第１の閾値及び前記第２の閾値を記憶する記憶部とを備えたものである。
【０００９】
これにより、短時間で検出したガス漏れと比較的安全な暖房器具等を判別できずガスの流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断し、且つ比較的小さい流量ではガスの瞬時流量変化が小さいため、誤ってガス器具使用とガス漏れを判定する可能性があり、ガス使用上の安全性と利便性に限界があったが、且つガス漏れとガス器具の使用を判別する機能と所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止する機能を用いることで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となる。
【００１０】
また、本発明は、第１の閾値または第２の閾値を設定及び確認するために外部通信装置と通信を行う通信部を備えたものである。
【００１１】
これにより、ガス事業者は各ガス需要家毎に前記流量変化の第１の閾値と前記流量値の第２の閾値を設定できることで、各ガス需要家毎に使用しているガス器具の総量に合わせて前記流量変化の閾値と前記流量値（例えば、使用しているガス器具の総量に所定のマージンを加えた流量）の閾値を調整することで、精度の高い判定を実現することが可能となる。
【００１２】
また、本発明は、第１の閾値と第２の閾値を記憶部に複数記憶できるものである。
【００１３】
これにより、緊急対応が不要な少ない漏れと緊急対応が必要な大きい漏れをガス事業者に通報することで、危険度に応じた対応をすることが可能となり、ガス使用上の安全性向上とガス事業者の利便性を向上することが可能となる。
【００１４】
（実施の形態１）
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【００１５】
図１は本発明の実施形態１に係るガス遮断装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、ガスのユーザの家屋等に設置されるガスメータを利用するガス遮断装置の構成例を示す。
【００１６】
本実施形態のガス遮断装置１０は、ユーザの家屋等に敷設されたガス供給管２０の途中に設けられ、このガス供給管２０の下流側の配管には複数のガス器具として器具Ａ２１、器具Ｂ２２、器具Ｃ２３が接続されている。このガス遮断装置１０は、屋外または屋内の所定位置に設置される。
【００１７】
ガス遮断装置１０は、流量計測部１１、流量演算部１２、漏れ器具判別部１３、流量判別部１４、制御部１５、記憶部１６、通信部１７、感震器１８、遮断弁１９を有して構成される。
【００１８】
流量計測部１１は、ガス供給管２０の経路中に接続され、後述するように、超音波信号を用いてガス供給管２０内のガス流により生じる伝搬時間差を求め、ガスの瞬時流量を検出するものである。
【００１９】
流量計測部１１は、ガス供給管２０に連通する矩形断面を持つ計測流路３５を有し、この計測流路３５の相対向する流路壁の上流側と下流側には、一対の超音波送受信器３６、３７が配置されている。これらの超音波送受信器３６、３７は、超音波伝播経路が計測流路３５を流動するガス流を斜めに横切るように設定され、交互に超音波を送受信させることによって、ガス流に対して順方向と逆方向に超音波の伝搬を行う。
【００２０】
このとき、超音波送受信器３６、３７間の距離、すなわち測定距離をＬ、ガス流に対する超音波伝播経路の角度をφ、超音波送受信器３６、３７の上流から下流への超音波伝播時間をｔ１、下流から上流への超音波伝播時間をｔ２、音速をＣとすると、流速Ｖは以下の式により求められ、計測した時点の流速Ｖと計測流路３５の断面積とからガス流の流量を算出する。
【００２１】
Ｖ＝Ｌ／２ｃｏｓφ（（１／ｔ１）−（１／ｔ２）） ・・・（１）
流量演算部１２は、流量計測部１１から定期間隔（例えば２秒）毎に出力される流量を基に、流量の平均を求めることで流量値を算出する。ほかには、流量計測部１１から出力される流量を積算して積算流量値を算出したり、漏れ器具判別のための流量を算出するなど、流量に関する各種演算を行うものである。
【００２２】
漏れ器具判別部１３は、流量判別部１４から出力される流量変化値によりガス漏れの判断を行う。
【００２３】
流量判別部１４は、漏れ器具判別部１３を動作させるかどうかを判断する。
【００２４】
制御部１５は、保安処理部の機能を有しており、ガス遮断装置各部の動作制御、通信、警告やガスの遮断などの保安処理を行うものである。
【００２５】
記憶部１６は、器具判別に用いる判定値等の器具判別情報、流量計測部１１により計測された瞬時流量値情報、流量演算部１２により算出されたガス流量値情報や積算流量値情報などの流量情報、及び、使用器具や使用状況の履歴情報など、ガス遮断装置１０にて用いる各種情報を記憶するものである。ここで、制御部１５、流量演算部１２、器具判別部１３、流量判定部１４は、マイクロコンピュータ（マイコン）等を構成するプロセッサ及び動作プログラムにより構成され、プロセッサにおいて所定の動作プログラムを実行して対応する処理を行うことにより、各機能が実現される。また、流量判定部１４、記憶部１６は、フラッシュＲＯＭ、ＲＡＭ等のメモリにより構成される。
【００２６】
通信部１７は、保安制御部がガス遮断の判断又は警報の判断を行った際に、前記記憶部から送られる前記流量値、前記積算流量値、流量の積算時間及び前記器具判定部で判別された器具等のデータをガス事業者に通信するものである。
【００２７】
感震器１８は、地震などの振動を検出して検出信号を制御部１５に出力するものである。遮断弁１９は、ガス供給管２０の経路中に接続され、制御部１５からの指示に基づいてガス供給管２０を閉塞してガスの供給を遮断するものである。
【００２８】
次に、動作について説明する。流量計測部１１にて計測される流量値は定期時間毎に流量演算部１２へ出力される。流量演算部１２は、流量計測部１１から出力された流量値を流量判定部１４へ出力するとともに、流量計測部１１から出力された流量値と１定期時間前に流量計測部１１から出力された流量値との差分により算出される流量変化値を流量判定部１４へ出力する。
【００２９】
流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量値が記憶部１６に記憶されてい
る流量閾値（例えば、使用しているガス器具の総量に所定のマージンを加えた流量値、特許請求の範囲における第２の閾値に相当）以上であるか否かを判定する。
【００３０】
そして、流量演算部１２から出力される流量値が記憶部１６に記憶されている流量閾値以下であると判定した場合は、流量判定部１４は漏れ器具判別部１３が作動しないように制御する（作動を中止させて処理を行わないようにする）。
【００３１】
一方、流量演算部１２から出力される流量値が記憶部１６に記憶されている流量閾値よりも大きいと判定した場合は、流量演算部１２から出力される流量変化値と記憶部１６で記憶されている流量変化閾値（特許請求の範囲における第１の閾値に相当）との比較を行う。
【００３２】
流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量変化値が記憶部１６で記憶されている流量変化閾値よりも小さい場合、流量演算部１２から出力される流量変化値を漏れ器具判別部１３に伝送し、漏れ器具判別部１３によりガス漏れ判定を行う。漏れ器具判別部１３によりガス漏れが生じていると判定された場合は、制御部１５は前記通信部１７を介してガス事業者への警報、または、前記遮断弁１９を駆動しガス供給管を閉栓する。
【００３３】
また、流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量変化値が記憶部１６で記憶されている流量変化閾値よりも大きい場合は、ガス漏れが行っていないと判断し、流量演算部１２から出力される流量値を制御部１５に伝送する。
【００３４】
制御部１５は、流量判定部１４から伝送された流量値を確認すると、その流量値を用いて器具Ａ２１、器具Ｂ２２、器具Ｃ２３のうち、どの器具がガスを使用しているのかを特定する処理を行う。
【００３５】
以上の処理動作により、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となる。
【００３６】
なお、本実施の形態では、流量演算部１２は、流量計測部１１から出力された流量値と１定期時間前に流量計測部１１から出力された流量値との差分により算出される流量変化値を流量判定部１４へ出力する、と説明したが、流量変化値は流量演算部１２ではなく流量判定部１４で求めるようにしてもよい。また、流量変化値は、必ずしもある時点で出力された流量値とその１定期時間前との差分値によって演算される必要はなく、１定期時間前の流量値に限らない。
【００３７】
また、前記流量変化閾値と前記流量閾値（例えば、使用しているガス器具の総量に所定のマージンを加えた流量値）を、通信部１７を介して設定及び確認できる通信設定部を制御部１５内に有した場合、ガス事業者は各ガス需要家毎に流量変化閾値と流量値閾値を設定できることで、各ガス需要家毎に使用しているガス器具に合わせて流量変化閾値と流量値閾値を調整することで、精度の高い判定を実現することが可能となる。
【００３８】
また、流量変化閾値と流量値閾値を複数有した場合、緊急対応が不要な少ない漏れと緊急対応が必要な大きい漏れをガス事業者に通報することで、危険度に応じた対応をすることが可能となり、ガス使用上の安全性向上とガス事業者の利便性を向上することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【００３９】
本発明は、ガス漏れとガス器具の使用を判別する機能と所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止する機能を用いることで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となるガス遮断装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明の実施形態１におけるガス遮断装置の構成を示すブロック図
【図２】本発明の実施形態１における超音波流量計の概略構成を示す構成図
【符号の説明】
【００４１】
１０ ガス遮断装置
１１ 流量計測部
１２ 流量演算部
１３ 漏れ器具判別部
１４ 流量判定部
１５ 制御部
１６ 記憶部
１７ 通信部
１８ 感震器
１９ 遮断弁
２０ ガス供給管
２１、２２、２３ 器具
３５ 計測流路
３６、３７ 超音波送受信器
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ガスメータより下流に接続されたガス機器のガス使用時に、ガス使用上の安全を図る及びガス使用上の利便性を向上させるガス遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ガス器具の使用の際には、ガスの消し忘れやガス漏れなどによる事故を未然に防止するために、ガスのユーザ宅やガス供給路を管理しているガス事業者において、異常時に通報やガス供給路の遮断を行うシステムが普及しつつある。従来のガス保安装置としては、ガス流量などに基づき、大流量が流れたときにガスの供給を遮断したり、微小流量で長時間ガスが流れたときに遮断したり、流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断するものなどが用いられている。
【０００３】
ガスのユーザの家屋等では、ガス供給路の入口部分にガス流量を計測するガスメータが設置されている。この種のガスメータとして、従来は所定の流量ごとに流れたガスの量を積算する膜式のガスメータが一般的であったが、最近では、超音波信号を用いて瞬時流量を求め、この瞬時流量を積算することでガスの流量を計測する超音波式のガスメータも提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】国際公開第００／０１６０４４号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、従来のガス遮断装置では、短時間で検出したガス漏れと比較的安全な暖房器具等を判別できずガスの流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断していた。更に、比較的小さい流量ではガスの瞬時流量変化が小さいため、誤ってガス器具使用とガス漏れを判定する可能性があり、ガス使用上の安全性と利便性に限界があった。
【０００５】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ガス漏れとガス器具の使用を判別し、所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止することで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能なガス遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明のガス遮断装置は、ガス供給管に接続され、ガスの瞬時流量を計測する流量計測部と、ガス供給管に設けられ、ガス通路を遮断する遮断弁と、前記流量計測部により計測されるガスの流量変化値が第１の閾値より小さい場合にガス漏れと判断し、流量変化値が前記第１の閾値より大きい場合にガス器具と判断する漏れ器具判別部と、前記漏れ器具判別部の判定を前記流量値が第２の閾値以下の場合は実行しない流量判定部と、前記第１の閾値及び前記第２の閾値を記憶する記憶部とを備えたものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、短時間で検出したガス漏れと比較的安全な暖房器具等を判別できずガスの流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断し、且つ比較的小さい流量ではガスの瞬時流量変化が小さいため、誤ってガス器具使用とガス漏れを判定する可能性があり、ガス使用上の安全性と利便性に限界があったが、ガス漏れとガス器具の使用を判別する機能と所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止する機能を用いることで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となるガス遮断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明のガス遮断装置は、ガス供給管に接続され、ガスの瞬時流量を計測する流量計測部と、ガス供給管に設けられ、ガス通路を遮断する遮断弁と、前記流量計測部により計測されるガスの流量変化値が第１の閾値より小さい場合にガス漏れと判断し、流量変化値が前記第１の閾値より大きい場合にガス器具と判断する漏れ器具判別部と、前記漏れ器具判別部の判定を前記流量値が第２の閾値以下の場合は実行しない流量判定部と、前記第１の閾値及び前記第２の閾値を記憶する記憶部とを備えたものである。
【０００９】
これにより、短時間で検出したガス漏れと比較的安全な暖房器具等を判別できずガスの流量区分別に所定流量で所定時間ガスが流れたときに遮断し、且つ比較的小さい流量ではガスの瞬時流量変化が小さいため、誤ってガス器具使用とガス漏れを判定する可能性があり、ガス使用上の安全性と利便性に限界があったが、且つガス漏れとガス器具の使用を判別する機能と所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止する機能を用いることで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となる。
【００１０】
また、本発明は、第１の閾値または第２の閾値を設定及び確認するために外部通信装置と通信を行う通信部を備えたものである。
【００１１】
これにより、ガス事業者は各ガス需要家毎に前記流量変化の第１の閾値と前記流量値の第２の閾値を設定できることで、各ガス需要家毎に使用しているガス器具の総量に合わせて前記流量変化の閾値と前記流量値（例えば、使用しているガス器具の総量に所定のマージンを加えた流量）の閾値を調整することで、精度の高い判定を実現することが可能となる。
【００１２】
また、本発明は、第１の閾値と第２の閾値を記憶部に複数記憶できるものである。
【００１３】
これにより、緊急対応が不要な少ない漏れと緊急対応が必要な大きい漏れをガス事業者に通報することで、危険度に応じた対応をすることが可能となり、ガス使用上の安全性向上とガス事業者の利便性を向上することが可能となる。
【００１４】
（実施の形態１）
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【００１５】
図１は本発明の実施形態１に係るガス遮断装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、ガスのユーザの家屋等に設置されるガスメータを利用するガス遮断装置の構成例を示す。
【００１６】
本実施形態のガス遮断装置１０は、ユーザの家屋等に敷設されたガス供給管２０の途中に設けられ、このガス供給管２０の下流側の配管には複数のガス器具として器具Ａ２１、器具Ｂ２２、器具Ｃ２３が接続されている。このガス遮断装置１０は、屋外または屋内の所定位置に設置される。
【００１７】
ガス遮断装置１０は、流量計測部１１、流量演算部１２、漏れ器具判別部１３、流量判別部１４、制御部１５、記憶部１６、通信部１７、感震器１８、遮断弁１９を有して構成される。
【００１８】
流量計測部１１は、ガス供給管２０の経路中に接続され、後述するように、超音波信号を用いてガス供給管２０内のガス流により生じる伝搬時間差を求め、ガスの瞬時流量を検出するものである。
【００１９】
流量計測部１１は、ガス供給管２０に連通する矩形断面を持つ計測流路３５を有し、この計測流路３５の相対向する流路壁の上流側と下流側には、一対の超音波送受信器３６、３７が配置されている。これらの超音波送受信器３６、３７は、超音波伝播経路が計測流路３５を流動するガス流を斜めに横切るように設定され、交互に超音波を送受信させることによって、ガス流に対して順方向と逆方向に超音波の伝搬を行う。
【００２０】
このとき、超音波送受信器３６、３７間の距離、すなわち測定距離をＬ、ガス流に対する超音波伝播経路の角度をφ、超音波送受信器３６、３７の上流から下流への超音波伝播時間をｔ１、下流から上流への超音波伝播時間をｔ２、音速をＣとすると、流速Ｖは以下の式により求められ、計測した時点の流速Ｖと計測流路３５の断面積とからガス流の流量を算出する。
【００２１】
Ｖ＝Ｌ／２ｃｏｓφ（（１／ｔ１）−（１／ｔ２）） ・・・（１）
流量演算部１２は、流量計測部１１から定期間隔（例えば２秒）毎に出力される流量を基に、流量の平均を求めることで流量値を算出する。ほかには、流量計測部１１から出力される流量を積算して積算流量値を算出したり、漏れ器具判別のための流量を算出するなど、流量に関する各種演算を行うものである。
【００２２】
漏れ器具判別部１３は、流量判別部１４から出力される流量変化値によりガス漏れの判断を行う。
【００２３】
流量判別部１４は、漏れ器具判別部１３を動作させるかどうかを判断する。
【００２４】
制御部１５は、保安処理部の機能を有しており、ガス遮断装置各部の動作制御、通信、警告やガスの遮断などの保安処理を行うものである。
【００２５】
記憶部１６は、器具判別に用いる判定値等の器具判別情報、流量計測部１１により計測された瞬時流量値情報、流量演算部１２により算出されたガス流量値情報や積算流量値情報などの流量情報、及び、使用器具や使用状況の履歴情報など、ガス遮断装置１０にて用いる各種情報を記憶するものである。ここで、制御部１５、流量演算部１２、器具判別部１３、流量判定部１４は、マイクロコンピュータ（マイコン）等を構成するプロセッサ及び動作プログラムにより構成され、プロセッサにおいて所定の動作プログラムを実行して対応する処理を行うことにより、各機能が実現される。また、流量判定部１４、記憶部１６は、フラッシュＲＯＭ、ＲＡＭ等のメモリにより構成される。
【００２６】
通信部１７は、保安制御部がガス遮断の判断又は警報の判断を行った際に、前記記憶部から送られる前記流量値、前記積算流量値、流量の積算時間及び前記器具判定部で判別された器具等のデータをガス事業者に通信するものである。
【００２７】
感震器１８は、地震などの振動を検出して検出信号を制御部１５に出力するものである。遮断弁１９は、ガス供給管２０の経路中に接続され、制御部１５からの指示に基づいてガス供給管２０を閉塞してガスの供給を遮断するものである。
【００２８】
次に、動作について説明する。流量計測部１１にて計測される流量値は定期時間毎に流量演算部１２へ出力される。流量演算部１２は、流量計測部１１から出力された流量値を流量判定部１４へ出力するとともに、流量計測部１１から出力された流量値と１定期時間前に流量計測部１１から出力された流量値との差分により算出される流量変化値を流量判定部１４へ出力する。
【００２９】
流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量値が記憶部１６に記憶されてい
る流量閾値（例えば、使用しているガス器具の総量に所定のマージンを加えた流量値、特許請求の範囲における第２の閾値に相当）以上であるか否かを判定する。
【００３０】
そして、流量演算部１２から出力される流量値が記憶部１６に記憶されている流量閾値以下であると判定した場合は、流量判定部１４は漏れ器具判別部１３が作動しないように制御する（作動を中止させて処理を行わないようにする）。
【００３１】
一方、流量演算部１２から出力される流量値が記憶部１６に記憶されている流量閾値よりも大きいと判定した場合は、流量演算部１２から出力される流量変化値と記憶部１６で記憶されている流量変化閾値（特許請求の範囲における第１の閾値に相当）との比較を行う。
【００３２】
流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量変化値が記憶部１６で記憶されている流量変化閾値よりも小さい場合、流量演算部１２から出力される流量変化値を漏れ器具判別部１３に伝送し、漏れ器具判別部１３によりガス漏れ判定を行う。漏れ器具判別部１３によりガス漏れが生じていると判定された場合は、制御部１５は前記通信部１７を介してガス事業者への警報、または、前記遮断弁１９を駆動しガス供給管を閉栓する。
【００３３】
また、流量判定部１４は、流量演算部１２から出力される流量変化値が記憶部１６で記憶されている流量変化閾値よりも大きい場合は、ガス漏れが行っていないと判断し、流量演算部１２から出力される流量値を制御部１５に伝送する。
【００３４】
制御部１５は、流量判定部１４から伝送された流量値を確認すると、その流量値を用いて器具Ａ２１、器具Ｂ２２、器具Ｃ２３のうち、どの器具がガスを使用しているのかを特定する処理を行う。
【００３５】
以上の処理動作により、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となる。
【００３６】
なお、本実施の形態では、流量演算部１２は、流量計測部１１から出力された流量値と１定期時間前に流量計測部１１から出力された流量値との差分により算出される流量変化値を流量判定部１４へ出力する、と説明したが、流量変化値は流量演算部１２ではなく流量判定部１４で求めるようにしてもよい。また、流量変化値は、必ずしもある時点で出力された流量値とその１定期時間前との差分値によって演算される必要はなく、１定期時間前の流量値に限らない。
【００３７】
また、前記流量変化閾値と前記流量閾値（例えば、使用しているガス器具の総量に所定のマージンを加えた流量値）を、通信部１７を介して設定及び確認できる通信設定部を制御部１５内に有した場合、ガス事業者は各ガス需要家毎に流量変化閾値と流量値閾値を設定できることで、各ガス需要家毎に使用しているガス器具に合わせて流量変化閾値と流量値閾値を調整することで、精度の高い判定を実現することが可能となる。
【００３８】
また、流量変化閾値と流量値閾値を複数有した場合、緊急対応が不要な少ない漏れと緊急対応が必要な大きい漏れをガス事業者に通報することで、危険度に応じた対応をすることが可能となり、ガス使用上の安全性向上とガス事業者の利便性を向上することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【００３９】
本発明は、ガス漏れとガス器具の使用を判別する機能と所定流量以下では瞬時流量の大きさでガス漏れの判断を停止する機能を用いることで、ガス使用上の安全性と利便性を向上させることが可能となるガス遮断装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明の実施形態１におけるガス遮断装置の構成を示すブロック図
【図２】本発明の実施形態１における超音波流量計の概略構成を示す構成図
【符号の説明】
【００４１】
１０ ガス遮断装置
１１ 流量計測部
１２ 流量演算部
１３ 漏れ器具判別部
１４ 流量判定部
１５ 制御部
１６ 記憶部
１７ 通信部
１８ 感震器
１９ 遮断弁
２０ ガス供給管
２１、２２、２３ 器具
３５ 計測流路
３６、３７ 超音波送受信器
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ガス供給管に接続され、ガスの瞬時流量を計測する流量計測部と、
ガス供給管に設けられ、ガス通路を遮断する遮断弁と、
前記流量計測部により計測されるガスの流量変化値が第１の閾値より小さい場合にガス漏れと判断し、流量変化値が前記第１の閾値より大きい場合にガス器具と判断する漏れ器具判別部と、
前記漏れ器具判別部の判定を前記流量値が第２の閾値以下の場合は実行しない流量判定部と、
前記第１の閾値及び前記第２の閾値を記憶する記憶部と、
を備えるガス遮断装置。
【請求項２】
第１の閾値または第２の閾値を設定及び確認するために外部通信装置と通信を行う通信部を備えた請求項１記載のガス遮断装置。
【請求項３】
記憶部は、第１の閾値と第２の閾値を複数記憶できる請求項１または２記載のガス遮断装置。
【請求項１】
ガス供給管に接続され、ガスの瞬時流量を計測する流量計測部と、
ガス供給管に設けられ、ガス通路を遮断する遮断弁と、
前記流量計測部により計測されるガスの流量変化値が第１の閾値より小さい場合にガス漏れと判断し、流量変化値が前記第１の閾値より大きい場合にガス器具と判断する漏れ器具判別部と、
前記漏れ器具判別部の判定を前記流量値が第２の閾値以下の場合は実行しない流量判定部と、
前記第１の閾値及び前記第２の閾値を記憶する記憶部と、
を備えるガス遮断装置。
【請求項２】
第１の閾値または第２の閾値を設定及び確認するために外部通信装置と通信を行う通信部を備えた請求項１記載のガス遮断装置。
【請求項３】
記憶部は、第１の閾値と第２の閾値を複数記憶できる請求項１または２記載のガス遮断装置。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１０−１０１８２０（Ｐ２０１０−１０１８２０Ａ）
【公開日】平成２２年５月６日（２０１０．５．６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２７５１２６（Ｐ２００８−２７５１２６）
【出願日】平成２０年１０月２７日（２００８．１０．２７）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年５月６日（２０１０．５．６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１０月２７日（２００８．１０．２７）
【出願人】（０００００５８２１）パナソニック株式会社 (73,050)
【Ｆターム（参考）】
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