説明

ガラスおよびガラス製造方法

【課題】TFT−LCD用ガラス基板、有機EL用ガラス基板などとして使用されるガラス中の泡を、ヒ素またはアンチモンを使用せずに低減する。
【解決手段】SiO、Al、B、MgO、CaO、SrOおよびBaOを母組成とし、該母組成の総量に対して、質量百万分率表示または質量百分率表示で硫黄をSO換算で1ppm以上、0.02%未満含有し、質量百分率表示でNaおよび/またはKをRO(Rは、Na、Kを意味する)換算で0.03%以上、0.1%未満含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスおよびガラス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ用のガラス基板は、その用途から一般的に、アルカリ金属酸化物を質量百分率表示で10%以上含有するアルカリ含有ガラスとアルカリ金属酸化物を実質的に含有しない無アルカリガラスとに大別される。アルカリ含有ガラスは、プラズマ・ディスプレイ(PDP)、プラズマ・アシスト液晶ディスプレイ(PALC)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)などのガラス基板に使用され、無アルカリガラスは、薄膜トランジスタ駆動カラー液晶ディスプレイ(TFT−LCD)、エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレイ(EL)などのガラス基板に使用される。
【0003】
こうしたフラットパネルディスプレイ用のガラス基板では、視認可能な欠点が実質的に存在しないことが要求されている。代表的な欠点のひとつにガラス中の泡があり、特に100μm以上の泡は存在しないことが好ましい。
【0004】
このような泡に関する要求を満たすために、ガラスの原料は通常、原料を溶解して得られる溶融ガラスから泡を取り除くための清澄剤を含有するものとされる。ガラスに適用される一般的な清澄剤としては、As、Sb等の酸化物系清澄剤、NaSO、KSO、CaSO、BaSO等の硫酸塩系清澄剤、NaCl等が知られている。(例えば、非特許文献1参照。)なお、硫酸塩は、溶融ガラス中ではSO2−として存在していると考えられるが、本発明では酸化物として表示する場合にはSOと記載する。
【0005】
例えば、TFT−LCD用ガラス基板や有機EL用ガラス基板には、アルカリ金属酸化物を実質的に含有しない無アルカリガラスが使用され、その清澄剤としてAsやSbが多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
その他に、無アルカリガラスの清澄剤としては、Fe、SnO、Cl、Fなどが知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0007】
ガラス中の泡を充分に取り除くためには、原料溶解時の清澄反応による脱泡のみではなく、清澄後に再度発生する泡を抑制することも必要となる。
【0008】
即ち、溶解、清澄されたガラスは、フロート法等の成形工程に至るまで、スターラーによる均質化工程や各工程を結ぶ導入管を通るが、これらの構造物である白金やレンガとガラスとの界面で発生する泡(以下、リボイル泡という)を抑制する必要がある。
【0009】
【特許文献1】特許第3465238号公報
【特許文献2】特開平10−324526号公報
【特許文献3】特開平11−4330号公報
【非特許文献1】山根正之他編「ガラス工学ハンドブック」朝倉書店1999年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の泡抑制に関する要求は、前述のとおり非常に厳しいものであり、大きさが100μm以上の泡は存在しないことが好ましく、数10μmという小さな泡であっても少ないことが要求される。
【0011】
前述したように、TFT−LCD用ガラス基板や有機EL用ガラス基板には、従来、アルカリを実質的に含有しない無アルカリガラスが使用され、その清澄剤としてAsやSbが多く用いられている。AsおよびSb、特にAsは溶融ガラスから泡を取り除くという点で極めて優れた清澄剤であるが、環境への負荷が大きくその使用の抑制が求められている。
【0012】
一方、硫酸塩はAsに比べて環境への負荷が著しく少ないという点で極めて優れた清澄剤である。無アルカリガラスにおいても、Cl等との組み合わせにより硫酸塩が使用されている。しかし、無アルカリガラスにおいては清澄作用が劣り泡の抑制が劣るばかりか、一旦清澄した後にリボイル泡が発生しやすいという問題があった。
【0013】
本発明はこのような課題を解決する、すなわち、AsおよびSbを実質含有せず、硫酸塩により効果的に泡の発生を抑制するガラスおよびガラス製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrOおよびBaOを母組成とし、該母組成の総量に対して、質量百万分率表示または質量百分率表示で硫黄をSO換算で1ppm以上、0.02%未満含有し、質量百分率表示でNaおよび/またはKをRO(Rは、Na、Kを意味する)換算で0.03%以上、0.1%未満含有するガラス基板を提供する。
【0015】
また本発明は、前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でClを0.05〜1%含有する上記ガラス基板を提供する。
【0016】
また本発明は、前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でFeをFe換算で、0.0015%以上含有するガラス基板であって、ガラスの還元度をFeイオンの割合で表して、Fe2+/(Fe2++Fe3+)が0.67以下に相当する還元度である上記ガラス基板を提供する。
【0017】
また本発明は、前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でSnO、CeOおよびTiOからなる群から選ばれる1種以上を、0.01〜2%含有する上記ガラス基板を提供する。
【0018】
また本発明は、前記母組成が、酸化物基準の質量百分率表示で
SiO 45〜70%
Al 5〜25%
1〜20%
MgO 0〜10%
CaO 0〜15%
SrO 0〜15%
BaO 0〜20%
を含有する上記ガラス基板を提供する。
【0019】
また本発明は、前記ガラス基板が、TFT−LCD用ガラス基板または有機EL用ガラス基板である上記ガラス基板を提供する。
【0020】
また本発明は、原料を溶解してガラスを製造する方法であって、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrOおよびBaOを原料の母組成とし、該母組成の総量に対して、質量百分率表示で硫酸塩をSOに換算して0.05%以上、1.0%未満、および質量百分率表示でNaおよび/またはKをRO(Rは、Na、Kを意味する)換算で0.03%以上、0.1%未満の割合で原料に含まれるように調製することを特徴とするガラスの製造方法を提供する。
【0021】
また本発明は、前記母組成の総量に対して、質量百分率表示で塩化物をCl換算で、0.1〜3%の割合で原料に含まれるように調製することを特徴とする上記ガラスの製造方法を提供する。
【0022】
また本発明は、前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でFeをFe換算で、0.0015%以上の割合で原料に含まれるように調製し、ガラスの還元度をFeイオンの割合で表して、Fe2+/(Fe2++Fe3+)が0.67以下に相当する還元度になるようにガラスを溶解することを特徴とする上記ガラスの製造方法を提供する。
【0023】
また本発明は、前記母組成の総量に対して、Sn、CeおよびTiのそれぞれの化合物からなる群から選ばれる1種以上を、質量百分率表示でSnO、CeOまたはTiOに換算して0.01〜2%の割合で原料に含まれるように調製することを特徴とする上記ガラスの製造方法を提供する。
【0024】
また本発明は、前記母組成が、酸化物基準の質量百分率表示で
SiO 45〜70%
Al 5〜25%
1〜21%
MgO 0〜10%
CaO 0〜15%
SrO 0〜15%
BaO 0〜20%
含有することを特徴とする上記ガラスの製造方法を提供する。
【0025】
また本発明は、原料を溶解しガラスを製造する際のガラス溶解の最高温度が、1610℃以下であることを特徴とする上記ガラスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明のガラスは、TFT−LCD等の製造工程において影響を及ぼさない程度の微量のアルカリが含有されることにより、ガラスの塩基性度が上がり、ガラス溶解製造時のSOのガラス融液への溶解度が向上する。これにより、SOの清澄剤としての泡抑制効果が向上するとともに、清澄反応後のリボイル泡の発生も抑制することが可能となる。
【0027】
また、ガラス中に微量のアルカリが含有されることにより、ガラスの主原料である珪砂の溶解が促進され、ガラスの均質性が向上され、さらに、溶解初期における未溶融状態の珪砂を核として発生する泡をも抑制することができる。本発明のガラスは、特にTFT−LCD用ガラス基板や有機EL用ガラス基板として有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、ガラスの組成は質量百分率表示で表し、また、たとえば酸化物基準の質量百分率表示でSiO換算のSi含有量を単にSiO含有量またはSiOということがある。また、0.1%以下の微量成分に関しては、質量百万分率(ppm)で表示することもある。
【0029】
無アルカリガラスは、従来、ガラス中にアルカリ酸化物が実質含有されないものであったが、本発明のガラスは、アルカリ酸化物の含有量が0.03%以上、0.1%未満であり、TFT−LCD用ガラス基板や有機EL用ガラス基板として使用される際に、TFT製造工程等に影響を及ぼさないため、従来の無アルカリガラスに代わって使用可能である。ガラス中に0.1%以上のアルカリ酸化物が含有されると、例えばTFT製造工程において、ガラス基板上に形成されるトランジスタ特性が劣化するため、好ましくない。
【0030】
アルカリ成分は主にガラス原料として供給され、NaCO、NaSO、NaCl、NaNO、KCO、KSO、KCl、KNOを用いることができる。また、窓ガラスなどに使用される通常のソーダ石灰ガラスのカレットを使用することもできる。
【0031】
本発明のガラスのガラス転移温度(Tg)は、670℃以上、770℃以下であり、歪点は、典型的には640℃以上、特には660℃以上、730℃以下であることが好ましい。
【0032】
本発明のガラスの熱膨張係数(JIS R3102(1995年)に準じて測定される値)は、典型的には25〜50×10−7−1(測定温度範囲50〜350℃)である。
【0033】
本発明のガラスは、典型的には、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrOおよびBaOを母組成とし、該母組成の総量に対して、質量百万分率表示または質量百分率表示で硫黄をSO換算で1ppm以上、0.02%未満含有し、質量百分率表示でNaおよび/またはKをRO(Rは、Na、Kを意味する)換算で0.03%以上、0.1%未満含有し、前記母組成が、酸化物基準の質量百分率表示で
SiO 45〜70%
Al 5〜25%
1〜20%
MgO 0〜10%
CaO 0〜15%
SrO 0〜15%
BaO 0〜20%
を含有する。なお、たとえば「MgO 0〜10%」は、MgOは10%まで含有してもよいことを示す。
【0034】
SiOは必須成分であり、70%超ではガラスの溶解性が低下し、また失透しやすくなる。好ましくは68%以下、より好ましくは65%以下である。45%未満では比重増加、歪点低下、熱膨張係数増加、耐薬品性の低下が起こる。十分な耐酸性を得るためには好ましくは51%以上、より好ましくは57%以上である。
【0035】
Alはガラスの分相を抑制し、また歪点を高くする成分であり必須である。25%超では失透しやすくなり、耐薬品性の低下が起こる。好ましくは22%以下、より好ましくは19%以下である。5%未満ではガラスが分相しやすくなる、または歪点が低下する。好ましくは10%以上、より好ましくは14%以上である。
【0036】
は比重を小さくし、ガラスの溶解性を高くし、失透しにくくする成分であり、必須である。20%超では歪点が低下する、耐薬品性が低下する、またはガラス溶解時の揮散が顕著になりガラスの不均質性が増加する。好ましくは16%以下であり、より好ましくは12%以下である。1%未満では比重が増加し、ガラスの溶解性が低下する、また失透しやすくなる。好ましくは3%以上、より好ましくは6%以上である。
【0037】
MgOは、比重を小さくしガラスの溶解性を向上させる成分である。10%超ではガラスが分相しやすくなる、失透しやすくなる、または耐薬品性が低下する。好ましくは7%以下であり、より好ましくは5%以下である。MgOを含有する場合、0.1%以上含有することが好ましい。特に溶解性を維持しながら比重を低下させるためには1%以上含有することが好ましい。
【0038】
CaOは、ガラスの溶解性を高め、失透しにくくするため15%まで含有することができる。15%超では比重が増加し、熱膨張係数が大きくなり、また、かえって失透しやすくなる。好ましくは12%以下、より好ましくは8%以下である。CaOを含有する場合、2%以上含有することが好ましい。より好ましくは4%以上である。
【0039】
SrOは、ガラスの分相を抑制し、失透し難くするため15%まで含有することができる。15%超では比重が増加する、熱膨張係数が大きくなる、また、かえって失透しやすくなる。好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下である。SrOを含有する場合、0.5%以上含有することが好ましい。より好ましくは3%以上である。
【0040】
BaOは、ガラスの分相を抑制し、失透しにくくするため20%まで含有することができる。20%超では比重が増加する、また、熱膨張係数が大きくなる。好ましくは10%以下、より好ましくは1%以下である。特に軽量化を重視する場合には含有しないことが好ましい。
なお、本発明のガラスにおいては、ZnOは5%まで含有することができる。
【0041】
本発明のガラスは、AsまたはSbが実質的に含有されなくても、SOもしくは、SOにCl、F、SnO、CeO、TiOなどを加えた清澄剤を添加することにより、効率的に脱泡することができ、またリボイル泡を抑制できるため、効果的に泡の発生を抑えることができる。
【0042】
硫酸塩は、前述の通り溶融ガラス中ではSO2−として存在していると考えられるが、本発明ではSOとして含有量を規定するものとする。
【0043】
本発明のガラスは、前記母組成に対し、1ppm以上、0.02%未満のSOを含有する。SOは主にガラス原料として供給され、BaSO、SrSO、CaSO、NaSO、KSOの無水塩や含水塩を用いることができる。原料から供給されるSOの総量は、0.05%以上、1%未満であることが好ましい。なお、ガラス組成と使用原料により、ガラスの原料であるBaCOやSrCOから不純物として数100ppm程度のSOが供給される。
【0044】
ガラス原料から供給されるSOは、ガラスの溶解の際に容易に揮散する。ガラスに残存する(含有される)SO量は、原料からの供給量の1/10以下となることが一般的である。ガラス中に残存するSO量は供給量に対して微量であり、ガラスの溶解温度や溶解時間といった熱履歴、ガラスの酸化還元の状態、およびガラス組成に依存する部分が大きい。最終的にガラス中に残存するSOが1ppm未満であると清澄効果が少ない。良好な清澄効果を発生させるためには、1ppm以上、好ましくは5ppm以上のSO残存量となる。また0.02%超のSOが残存する場合には、リボイル泡が発生しやすくなる。リボイル泡を抑制するためには、0.02%未満、好ましくは0.01%未満の残存量とする必要がある。
【0045】
本発明のガラスは、微量のアルカリ金属酸化物を含有する。アルカリにより、SOすなわちSO2−の溶解度が増加するため、清澄効果が増進し、かつリボイル泡が発生し難くなるものと考えられる。
【0046】
硫酸塩による清澄は、次の反応であることが知られている。
2SO2− → 2SO + O + 2O2− (1)
この反応は、たとえば、Baを含有し、実質的にアルカリが含有されないガラス中では次の反応として例示することができる。
2BaSO → 2SO + O + 2BaO (2)
ここで、BaをMg、Ca、Srに置き換えても同様の反応を考えることができる。微量のNaを添加することにより、次の反応が同時に進行することが期待できる。
2NaSO → 2SO + O + 2NaO (3)
ここで、NaをKに置き換えても同様の反応を考えることができる。
ガラスの構成成分の化学反応を個々に熱力学計算することにより、ガラスとしての反応の傾向を知ることができる。反応の平衡定数Keは次のようになる。
Ke=(pSO×(pO)×〔RO〕/〔RSO (4)
(Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Na、Kのいずれか)。
【0047】
ここで、(pSO)と(pO)は、SOとOの分圧を示し、〔RO〕と〔RSO〕はガラス中におけるROとRSOの活量を示している。1400℃における平衡定数を表1に示す。また、〔RO〕と〔RSO〕を1と仮定し、log(pO)=−5としたときのlog(pSO)の計算結果を表1に示す。同様の仮定による、1400℃におけるlog(pO)とlog(pSO)の関係を図1に示す。なお、熱力学計算には、Outokumpu社の熱力学計算ソフトウェア「HSC Chemistry Version 4.1」を使用した。
【0048】
図1において、ガラス中の酸素分圧は、FeOとFeの酸化還元状態から見積もることができ、本発明のガラスの場合、log(pO)が−4から−6付近に相当すると推定できる。ただし、こうした見積もりは、SnOなど酸素分圧で状態の変わる化合物が存在しない場合のみ有効である。表1より、無アルカリガラス中のアルカリ土類成分がMgとCaのみから構成されるときは、log(pSO)が正であることから、ガラス中にSO2−が存在するとSOの分圧が1気圧以上となり、SOの泡が容易に発生することが分かる。
【0049】
ガラス中にSrやBaが含まれた場合には、log(pSO)が負となるもののその値は小さく、SO2−のガラスへの溶解度が低いことが分かる。一方、ガラス中にNaやKが含まれるとlog(pSO)が十分に小さくなり、SO2−の溶解度が増加すること、すなわち(3)式の反応が可逆的に左側へも容易に進行することが分かる。またNaに比べてKの方がSO2−をガラスに溶解させる効果が大きいことが分かる。
【0050】
以上、〔RO〕と〔RSO〕を1と仮定して考察したが、これらの活量はガラス中の濃度に依存することが知られている。NaとBaの平衡定数の差が10以上であるため、濃度による活量差を考慮しても、SO2−のガラスへの溶解に対して、0.1%未満の微量のアルカリでBa以上の効果を発揮することが分かる。
【0051】
O(Rは、Na、Kからなる1種以上)の含有量は、溶存するSOに対して過剰であることが好ましく、前記母組成に対し0.03%以上、より好ましくは0.05%以上を含有させるとその効果が顕著になる。ガラス中の泡を取り除き、リボイル泡を抑制するという目的からは、ROの含有量は多いほうが好ましいが、TFT−LCD等の製造工程においてガラス上に形成するトランジスタの特性に影響を与えないためには、ROは0.1%未満であることが好ましい。
【0052】
Na、Kの他、Liも同様の効果が得られると考えられるが、Liがlog(pSO)を低下させる効果はNa、Kに比べて小さいため、Na、Kを使用することが好ましい。RO成分を添加する場合には、NaCO、NaSO、NaCl、NaNO、KCO、KSO、KCl、KNO、または、窓ガラスなどに使用される通常のソーダ石灰ガラスのカレットをRO換算で0.03%以上、0.1%未満添加することが好ましい。
【0053】
本発明のガラスは、AsおよびSbのいずれも実質含有されない。
本発明のガラスは、SOにCl、F、SnO、CeO、TiOなどを加えた清澄剤を添加することにより、更に効率的に脱泡することができ、またリボイル泡を抑制できるため、効果的に泡の発生を抑えることができる。
【0054】
清澄剤としてSOとClとを組合せることが有効である。減圧脱泡と組み合わせて脱泡を行う場合には、Clは減圧下でHClガスを発生させるため、Clを含有させることは好ましい脱泡効果を発揮する。Clを含有させて減圧脱泡を行う場合には、絶対圧にして4kPa以上、50kPa以下、より好ましくは18kPa以上、35kPa以下の範囲で、15分以上、120分未満ガラスを減圧下に置くことが好ましい。
【0055】
Clは、BaCl・2HO、SrCl・6HO、NaCl、KCl、NHClなどをガラス原料に使用することにより含有させることができる。塩化物をCl換算で0.1〜3%に相当する量でガラス原料に添加することが好ましい。原料中のClは、ガラス溶融の過程で1/2から1/5の分量に減少する。Clが清澄剤として有効に作用するためには、その結果としてガラス中の含有量が、質量百分率表示で0.05%〜1%、好ましくは0.1%〜1%となるようにする。含有量が1%を超えると、本発明のガラスをTFT−LCDガラス基板に用いる場合、歪点または耐薬品性が低下するおそれがあるため、1%以下であることが好ましい。
【0056】
SnO、CeO、TiO等がSOのリボイルを抑制する機構は、必ずしも明確ではないが、これらの酸化物は高温で酸素を放出するため、酸素分圧に影響を与え、SOのリボイルを抑制しているものと考えられる。
【0057】
SnO、CeO、TiOがリボイル抑制効果を発揮するためには、0.01%以上、より好ましくは0.05%以上含有させることが必要である。Sn、CeおよびTiからなる群から選ばれる1種以上を添加する場合、SnO、CeOまたはTiOに換算して0.01〜2%、特には0.01〜1%、さらには0.05〜0.5%に相当する量でガラス原料に添加することが好ましい。
【0058】
本発明のガラスをフロート法で製造する場合、フロートバスの還元雰囲気を通過するため、過剰のSnOはメタル化する心配がある。SnOの含有量は1%以下、より好ましくは0.5%以下に抑える必要がある。
【0059】
本発明のガラスをフュージョン法やスロットダウンドロー法で製造する場合、SnOは失透温度を上げる作用があるため、含有量は2%以下とすることが好ましい。より好ましくは1%以下である。
【0060】
CeOは、紫外線照射により、ガラス中でFeと反応して、ソーラリゼーションを起こすことが知られている。これを防ぐためには、CeOの含有量を1%以下とする、より好ましくは含有させないことがよい。
【0061】
TiOは、ガラス中で黄色く着色することが知られている。これを防ぐためには、TiOの含有量を1%以下とする、より好ましくは含有させないことがよい。
【0062】
本発明のガラスは、清澄剤としてFを加えることも可能である。Fはガラスの粘性を下げる効果があり、ガラス中の気泡の浮上を促進する。また、より高温でClと同様の清澄効果を期待することができる。
【0063】
Fは、BaF、SrF、CaF、MgFなどをガラス原料に使用することにより含有させることができる。原料中のフッ化物の添加量は、F換算でFの質量百分率表示で、0.05%以上、1%以下であることが好ましい。ガラス中のFの残存量は、質量百分率表示で0.2%以下が好ましい。含有量が0.2%を超えると、本発明のガラスをTFT−LCDガラス基板に用いる場合、歪点が著しく低下するおそれがある。
【0064】
本発明のガラスは、特に好ましくは、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrOおよびBaOを母組成とし、該母組成の総量に対して、質量百万分率表示または質量百分率表示で硫黄をSO換算で1ppm以上、0.02%未満含有し、質量百分率表示でNaおよび/またはKをRO(Rは、Na、Kを意味する)換算で0.05%以上、0.1%未満含有し、Clを0.05〜1%含有し、SnO、CeOおよびTiOからなる群から選ばれる1種以上を0.01〜1%含有し、前記母組成が、酸化物基準の質量百分率表示で
SiO 51〜68%、
Al 10〜22%、
6〜16%、
MgO 1〜7%、
CaO 2〜12%、
SrO 0.5〜10%、
BaO 0〜1%
を含有する。
【0065】
本発明のガラスの清澄反応は、式(1)〜(3)に示されるとおり、ガラス溶解時の酸素分圧に大きく依存し、ガラス溶解時の酸素分圧は得られたガラスの酸化還元の状態として評価できる。ガラスの酸化還元度は一般的には、Fe2+の含有量とFe3+の含有量とを用いてr=Fe2+/(Fe2++Fe3+)で表されるが、本発明のガラスにおいてはrが0.67以下であることが好ましい。0.67を超えて還元性が強くなると、ガラス溶解時の酸素分圧が低いことを意味し、(1)〜(3)式で示した反応は、容易に右辺へ進行する。この結果、ガラス中のSO2−の溶解度は低下し、SOのリボイル泡が発生しやすい状態となる。また、一度発生したSO泡は、ガラス中に容易に戻ることができなくなってしまう。好ましくは、rは0.63以下、より好ましくは0.59以下であるとSOのリボイル泡の抑制と吸収が効果的に作用する。
【0066】
r測定を可能とするために本発明のガラスは、Feイオンを指標とした場合、Feを必須成分として含有する。Fe(Fe2+とFe3+の合量)のFe換算含有量は0.0015%以上が必要である。FeのFe換算含有量が0.0015%未満ではr測定が困難になる。r測定をより容易にするためにはFeのFe換算含有量は0.01%以上であることが好ましい。また、FeのFe換算含有量は典型的には0.3%以下である。ディスプレイ用ガラスの場合0.2%以下であることが好ましい。0.2%を超えて含有すると青色に着色し、ディスプレイ用ガラスとして好ましくない。好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.07%以下である。
【0067】
rの値は、SnO、TiO、CeOの添加により変化する。これらの金属イオンはガラス中でFeイオンと電子の交換をしてrの値を変化させるため、SnO、TiO、CeOを含有したガラスでは、酸素分圧の指標としてrを利用することは好ましくない。
【0068】
価数の変化するイオンがFe以外に存在しないときに、rを制御する方法として最も有効に作用するのが溶解温度である。すなわち、溶解温度が上がるとガラス中から酸素が放出され、Fe2+が増加する。rの値を0.67以下とするためには、ガラス溶解温度を1610℃以下に保つことが効果的である。
【0069】
本発明のガラスはたとえば以下の方法によって製造される。
目標組成のガラスが得られるように調合された原料を加熱して溶解し溶融ガラスとする。該溶融ガラスは、脱泡、均質化等を行った後冷却される。溶融ガラスの均質化はたとえば攪拌によって促進してもよい。また、通常は冷却する間にガラス基板に適合した板ガラス等に成形される。
前記原料は通常は珪砂、その他の原料からなるが、屑ガラス(カレット)を含んでもよい。
【0070】
前記溶解はたとえば、適切なルツボに原料を入れそのルツボを高温に維持されている電気炉等の炉に入れて行ってもよいし、ガラス溶融窯に原料を連続的に投入しながら行ってもよい。一般的な工業生産においては、通常使用される本発明のガラスの各成分原料を目標組成となるように調合して原料を作製し、最高温度がたとえば約1500〜1600℃であるガラス溶融窯に連続的に投入して溶解し溶融ガラスとする。なお前記原料には適切な量のアルカリ成分が添加される。
【0071】
溶融ガラスはたとえばその後1200〜1500℃に保持されて脱泡される、その際、減圧脱泡を用いて脱泡することもできる。
【0072】
脱泡された溶融ガラスはたとえば板ガラスに成形される。成形法としてはフロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法等が例示される。本発明においては、特に泡の抑制効果が大きいため、安定した品質で大型のガラスを生産することを考慮すると、フロート法が好ましい。板ガラスは徐冷後切断され、たとえば厚さが0.4〜1.5mm、寸法が1700×1400mm以上のTFT−LCD用ガラス基板やEL用ガラス基板とされる。
【実施例1】
【0073】
表2、3は工業用ガラス原料として投入された成分について、表4、5は得られたガラスについて、SiO〜BaOの総量に対して、各含有割合を質量百分率表示で示したものである。
【0074】
得られたガラスのCl量は質量百分率表示で約0.15%(0.14〜0.16%)であり、SO量は質量百分率表示で約0.005%(0.003〜0.007%)であった。なお、表4、5中のFeは、Fe(Fe2+とFe3+の合量)のFe換算含有量である。
【0075】
表4、5に示されたガラスは、全て、密度が2.51g/cm、熱膨張係数が38×10−7−1(50−350℃)、ヤング率が77GPa、歪点が665℃、ガラス転移温度が716℃である。清澄剤構成の相違による物性変化は僅かであり、実質的に同じ値となっている。なお、本実施例において用いたガラス原料中の組成は、Bについて表4、5の値より5%増量して含有させた。SiO、Al、MgO〜Feは原料中の組成割合とガラス組成割合がほぼ同じであった。ClとSOのガラス原料への添加量は、それぞれ0.5%、0.3%であった。
【0076】
表2、3で示された含有割合になるよう工業原料を調合し、600gのガラスを形成する原料を作製した。SO原料として2水石膏を使用し、例A1〜9とA11ではCl原料として6水塩化ストロンチウムを使用した。例A10ではCl原料として塩化アンモニウムを使用した。各工業原料は微量のNaOを含有している。例A11は特にNaOを添加していないが、原料不純物として0.009%のNaOを含有していることを意味しており、かっこ付きで示した。
【0077】
前記原料を白金ルツボに入れ、電気炉を用いて露点80℃の窒素ガス雰囲気中で、1580℃で6時間保持して溶解した。溶解中は適宜(前記6時間のうちの最初の4時間)スターラー攪拌を行い、ガラスを均質化した。この溶融ガラスをカーボン板に流し出し固化後徐冷した。
【0078】
得られたガラスのrは次の方法により測定した。ガラス中のFe2+をビピリジル吸光光度法により定量し、全FeイオンすなわちFe2++Fe3+をICP発光分光分析法で定量して求めた。表中に記載したrは、A1〜A5、A9〜A11が、実施例1で実測した値である。
【0079】
溶解後のガラスを蛍光X線法で組成分析したところ、Cl含有量は、例A1〜11のいずれのガラスにおいても約0.15%であった。同様にSOについても分析したが、例A1〜11のいずれのガラスにおいても約0.005%であった。
【0080】
流しだしたガラスを直径40mmφ、高さ15mmの円柱状に加工し、内径40mmφの白金ルツボに入れ、電気炉を用いて大気雰囲気中で再溶融した。溶融温度は1400℃とし、室温から1℃/分で昇温、1時間保持後、1℃/分で降温した。
【0081】
再溶融後のガラスをルツボ上部から観察したところ、ルツボの底部および側面のガラスと白金との界面に泡の付着が認められた。再溶融前のガラスにはそのような泡が存在しないこと、また1400℃での溶融中にも泡の存在が認められないことから、ガラスと白金との界面の泡はリボイルに相当する泡と考えられる。室温まで冷却後に、ルツボ底部に付着している200μm以上の泡数(個)を計測した。表4、5中の泡数1はこのようにして計測した泡数を示しており、未は未計測である。
【0082】
例A1〜5はNaOとKOの添加量を変えた実施例、例A6はNaOに加えSnOを添加した実施例、例A9はNaOに加えBaOを含有させた実施例、A10はCl源としてNHClを使用しガラスを還元性にした実施例、A11は比較例である。
【0083】
例A1〜5の結果から、NaOやKOを添加するとガラスと白金との界面の泡数が低下することが分かる。例A6でSnOを加えると泡数の低下が更に顕著になることが分かる。例A9でBaOの含有でも例えばA1と比較して泡数が減ることから、アルカリ土類(Mg、Ca、Sr,Ba)の中では分子量の大きい元素(例えばBa)があるとアルカリに類似の効果が現れることが分かる。例A10は、塩化アンモニウムを使用したためrが0.65と例A2に比べて還元になっており、泡数が増加していることが分かる。
【実施例2】
【0084】
実施例2は、実施例1と同一条件で実施例1とは別に実験を行った。実施例1は静的な場で発生するリボイル泡を評価しているのに対し、実施例2は攪拌中の動的な場で発生するリボイル泡の評価を行った。
【0085】
実施例1と同様にして原料を作製し、露点80℃の窒素ガス雰囲気中で1580℃で
6時間保持して溶解した。溶解中は適宜(前記6時間のうちの最初の4時間)スターラー攪拌を行い、ガラスを均質化した。
【0086】
窒素ガスのフローを止め大気雰囲気に切り替え、温度を1380℃に下げた状態で、白金スターラーで30分間の攪拌を行い、攪拌停止後にカーボン板に流し出し固化後徐冷した。徐冷したガラスは厚さ2mmにスライスし研磨し100μm以上の泡数(個/g)を計測した。表4、5中の泡数2はこのようにして計測した泡数を示しており、未は未計測である。表中に記載したrは、A6〜A8が実施例2で実測した値であるが、前述の通りSnO、CeO、TiOを含有するため、かっこ付で参考値とした。
【0087】
例A2、A4を例A11と比較すると、攪拌による泡を抑制する効果がわずかに認められる。例A6はSnO、例A7はCeO、例A8はTiOを、それぞれ添加した場合であるが、いずれも攪拌により発生する泡数が減少していることが分かる。例A10は攪拌により発生する泡が増加しているが、例A2に比べて還元性となっているため、SOが幾分リボイルしやすくなっているものと考えられる。
【実施例3】
【0088】
表6は工業用ガラス原料として投入された成分について、表7は得られたガラスについて、SiO〜BaOの総量に対して、各含有割合を質量百分率表示で示したものである。
【0089】
得られたガラスのCl量は質量百分率表示で約0.15%(0.14〜0.16%)であり、SO量は質量百分率表示で約0.005%(0.003〜0.007%)であった。なお、本実施例において用いたガラス原料中の組成は、Bについて表6の値より5%増量して含有させた(8.4%)。表6のSiO、Al、MgO〜Feは原料中の組成割合とガラス組成割合がほぼ同じであった。ClとSOのガラス原料への添加量は、それぞれ0.5%、0.3%である。
【0090】
表6で示された含有割合になるよう工業原料を調合し、125gのガラスを形成する原料を作製した。この原料は同一成分のガラスカレット125gと混合し、溶解用の原料とした。アルカリ成分は、カレットも含めて表6の値となる。例B1はアルカリ源として、建築物の窓ガラスに用いられるソーダライムガラスのカレットを用いた。例B2は食塩(NaCl)を使用し、Cl添加量は6水塩化ストロンチウム量の調整で一定となるようにした。例B3は芒硝(NaSO)を使用し、SO添加量は2水石膏の調整で一定となるようにした。例B4はソーダ灰(NaCO)を使用した。例B5は特にNaO成分を添加していないが、原料不純物として0.009%のNaOを含有していることを意味しており、かっこ付きで示した。
【0091】
前記工業原料とガラスカレットの混合物を白金ルツボに入れ、電気炉を用いて露点50℃の窒素ガス雰囲気中で、1580℃で1時間保持してスターラー攪拌を行わずに溶解し溶融ガラスとした。この溶融ガラスをカーボン板に流し出し固化後徐冷した。徐冷したガラスは厚さ2mmにスライスし研磨し泡数(個/g)を計測した。表7中の泡数3はこのようにして計測した泡数を示している。
【0092】
例B1〜4のアルカリを添加した条件では、いずれも例B5のアルカリを添加しなかったものに比べ、泡数が低下している。これは、アルカリにより溶解初期のガラス中のSO濃度が上がり、硫酸塩の清澄効果が顕著になったためと考えられる。また、アルカリの添加により、珪砂の解け落ちが促進し、泡の発生核となる珪砂の消失速度が速くなったことも作用していると考えられる。
【0093】
以上述べたように、本発明のガラスにさらにSnO、CeO、TiO等を添加すると、実施例1からリボイル泡の抑制に効果があること、実施例2から攪拌におけるリボイル泡の抑制に効果があることが分かる。また本発明のガラスは、実施例3から溶解初期の泡低減に効果があることが分かる。これらの実施例のガラスは、TFT−LCD用ガラス基板、有機EL用ガラス基板などとして用いられる。例えば、厚さ0.7mm、寸法2400×2200mmのガラス基板が生産される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のガラス基板は、ヒ素やアンチモンといった有害物を使用せずにガラス中の泡を効果的に低減することができるため、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、特にTFT−LCD用ガラス基板、有機EL用ガラス基板などとして使用することができる。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
【表4】

【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸素分圧と亜硫酸ガス分圧の平衡関係

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO、Al、B、MgO、CaO、SrOおよびBaOを母組成とし、該母組成の総量に対して、質量百万分率表示または質量百分率表示で硫黄をSO換算で1ppm以上、0.02%未満含有し、質量百分率表示でNaおよび/またはKをRO(Rは、Na、Kを意味する)換算で0.03%以上、0.1%未満含有するガラス基板。
【請求項2】
前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でClを0.05〜1%含有する請求項1に記載のガラス基板。
【請求項3】
前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でFeをFe換算で、0.0015%以上含有するガラス基板であって、ガラスの還元度をFeイオンの割合で表して、Fe2+/(Fe2++Fe3+)が0.67以下に相当する還元度である請求項1または2に記載のガラス基板。
【請求項4】
前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でSnO、CeOおよびTiOからなる群から選ばれる1種以上を、0.01〜2%含有する請求項1または2に記載のガラス基板。
【請求項5】
前記母組成が、酸化物基準の質量百分率表示で
SiO 45〜70%
Al 5〜25%
1〜20%
MgO 0〜10%
CaO 0〜15%
SrO 0〜15%
BaO 0〜20%
を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項6】
前記ガラス基板が、TFT−LCD用ガラス基板または有機EL用ガラス基板である請求項1〜5のいずれかに記載のガラス基板。
【請求項7】
原料を溶解してガラスを製造する方法であって、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrOおよびBaOを原料の母組成とし、該母組成の総量に対して、質量百分率表示で硫酸塩をSOに換算して0.05%以上、1.0%未満、および質量百分率表示でNaおよび/またはKをRO(Rは、Na、Kを意味する)換算で0.03%以上、0.1%未満の割合で原料に含まれるように調製することを特徴とするガラスの製造方法。
【請求項8】
前記母組成の総量に対して、質量百分率表示で塩化物をCl換算で、0.1〜3%の割合で原料に含まれるように調製することを特徴とする請求項7に記載のガラスの製造方法。
【請求項9】
前記母組成の総量に対して、質量百分率表示でFeをFe換算で、0.0015%以上の割合で原料に含まれるように調製し、ガラスの還元度をFeイオンの割合で表して、Fe2+/(Fe2++Fe3+)が0.67以下に相当する還元度になるようにガラスを溶解することを特徴とする請求項7または8に記載のガラスの製造方法。
【請求項10】
前記母組成の総量に対して、Sn、CeおよびTiのそれぞれの化合物からなる群から選ばれる1種以上を、質量百分率表示でSnO、CeOまたはTiOに換算して0.01〜2%の割合で原料に含まれるように調製することを特徴とする請求項7または8に記載のガラスの製造方法。
【請求項11】
前記母組成が、酸化物基準の質量百分率表示で
SiO 45〜70%
Al 5〜25%
1〜21%
MgO 0〜10%
CaO 0〜15%
SrO 0〜15%
BaO 0〜20%
含有することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のガラスの製造方法。
【請求項12】
原料を溶解しガラスを製造する際のガラス溶解の最高温度が、1610℃以下であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のガラスの製造方法。



【図1】
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【公開番号】特開2006−265001(P2006−265001A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81724(P2005−81724)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】