説明

ガラスクリーニング装置

【課題】ガラスクリーニング装置が特に僅かな洗浄液消費を有しており、ほぼ任意の噴霧パターンをガラスに発生させることができるようにする。
【解決手段】ノズルボディ6が、振動して筋状に進行するそれぞれ1つの洗浄液噴流17,18を発生させる複数のノズル開口15,16を有しており、該ノズル開口15,16の少なくとも2つが、噴霧領域に方向付けられて、互いに設定された角度を成して配置されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のガラスに用いられるガラスクリーニング装置であって、自動車のボディ部分に取り付けるために設けられたノズルホルダと、該ノズルホルダの収容部内に配置されたノズルボディと、ノズルホルダ内に配置された、収容部を洗浄液管路に対する接続管片に接続する通路とが設けられている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなガラスクリーニング装置は、今日の自動車に頻繁に使用され、自動車の前照灯のレンズまたはフロントガラスおよびリヤガラスをクリーニングするための実用から知られている。実用から知られているガラスクリーニング装置では、ノズルボディが、中央通路と、この中央通路で壁にまで案内された半円形の個々の複数の通路とを有している。これによって、ノズルボディはフラットジェットノズルを形成していて、筋状の噴霧パターンをガラスに発生させる。
【0003】
このガラスクリーニング装置では、このガラスクリーニング装置が多数の通路によって高い洗浄液消費を有していることが欠点である。さらに、このガラスクリーニング装置によって、ただ1つの筋状の噴霧パターンしか発生させることができない。しかし、ガラスクリーニング装置の種々異なる使用事例では、その都度の使用事例に対して、適合されたノズルボディを使用し、たとえばフロントガラスにリヤガラスと異なる噴霧パターンを発生させることが所望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のガラスクリーニング装置を改良して、ガラスクリーニング装置が特に僅かな洗浄液消費を有しており、ほぼ任意の噴霧パターンをガラスに発生させることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために本発明の構成では、ノズルボディが、振動して筋状に進行するそれぞれ1つの洗浄液噴流を発生させる複数のノズル開口を有しており、該ノズル開口の少なくとも2つが、噴霧領域に方向付けられて、互いに設定された角度を成して配置されているようにした。
【発明の効果】
【0006】
この構成によって、本発明によるガラスクリーニング装置が、振動して進行する洗浄液噴流を発生させ、したがって、複数の個々の通路よりも僅かな洗浄液消費を有している。筋状の噴霧パターンのためには、本発明のおかげで、ただ1つのノズル開口しか必要とならない。しかし、本発明によれば、ノズルボディが複数のノズル開口を有しており、さらに、これらのノズル開口が、噴霧領域に方向付けられて、互いに設定された角度を成して配置されているので、ほぼ任意の噴霧パターンをガラスに発生させることができる。したがって、たとえばノズルボディの横断面の方形の構成と、ノズルボディの3つの辺に配置されたそれぞれ1つのノズル開口とでは、U字形の噴霧パターンを発生させることができる。これに対して、ノズルボディの、隣り合ったただ2つの辺にしか配置されていないノズル開口では、角形の噴霧パターンを発生させることができる。
【0007】
振動して筋状に進行する洗浄液噴流の発生は、本発明の別の有利な構成によれば、振動して筋状に進行する洗浄液噴流を発生させるノズル開口が、流体ノズルの一部として形成されていると特に簡単に行われる。このような流体ノズルは、今日のガラスクリーニング装置に頻繁に使用され、ガラスにわたって揺動する点状の洗浄液噴流を発生させる。
【0008】
ノズル開口を互いに、設定された角度を成して方向付けることは、本発明の別の有利な構成によれば、ノズルボディが、多角形の横断面を有しており、ノズル開口が、ノズルボディのそれぞれ異なる辺に配置されていると構造的に特に簡単に行われる。
【0009】
種々異なる噴霧パターンは、本発明の別の有利な構成によれば、ノズルホルダ内へのノズルボディの相応の組付け位置の選択によって、ノズルボディが、正方形の横断面を有しており、ノズルボディの、隣接し合った少なくとも2つの辺に、振動して筋状に進行する洗浄液噴流を発生させるそれぞれ1つのノズル開口が配置されていると発生させることができる。
【0010】
ガラスに対する方形の噴霧パターンは、本発明の別の有利な構成によれば、ノズルボディの各辺にそれぞれ1つのノズル開口が配置されていると簡単に発生させることができる。この噴霧パターンによって、ガラスへの洗浄液の特に均一な分配が可能となる。ガラスの均一な湿潤によって、走行風または重力により加速させられる、ガラスからの洗浄液噴流の流去りが回避される。これは、本発明のガラスクリーニング装置による洗浄液の消費のさらなる低下に寄与する。
【0011】
本発明によるガラスクリーニング装置は、ノズルボディが、ノズルホルダの収容部の壁に面した側に、通路溝と、少なくとも壁に接触する、振動して進行する洗浄液噴流を発生させるための渦流発生体と、ノズル開口とを有していると特に廉価に製造することができる。
【0012】
ノズルボディは、たとえば全てのノズル開口に洗浄液を供給するための1つの中央の通路を有していてもよい。しかし、この中央の通路の製造は、極めて手間をかけて行われる。しかし、本発明によるガラスクリーニング装置の製造手間のさらなる減少には、通路溝が、ノズル開口からノズルボディの、反対の側に位置する端面にまで案内されており、ノズルホルダが、通路溝を通路に接続するチャンバを有していることが寄与する。
【0013】
本発明は数多くの構成を許容する。これらの構成の基本原理をさらに明確にするために、そのうちの1つを図面に示し、以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0015】
図1には、自動車のボディ部分1にガラス2の前方で取り付けられたガラスクリーニング装置3が部分断面図で概略的に示してある。このガラスクリーニング装置3は、接続管片5からノズルボディ6に通じる中央の通路7を備えたノズルホルダ4を有している。図面を明瞭にするために、ノズルボディ6は断面して図示していない。接続管片5には、洗浄液ポンプ8に通じる洗浄液管路9が接続されている。洗浄液ポンプ8は洗浄液を洗浄液容器10から接続管片5に圧送する。通路7内には、逆止弁11が配置されている。この逆止弁11によって、専ら洗浄液ポンプ8からノズルボディ6の方向への洗浄液の流れが可能となる。さらに、ノズルホルダ4は、洗浄液を加熱するための加熱装置(図示せず)を有している。ノズルホルダ4は、ノズルボディ6を正確に嵌合した状態にかつ相対回動不能に挿入するための収容部12を有している。ノズルボディ6は収容部12内に圧入されていて、この収容部12の壁13に対してシールされている。さらに、ノズルボディ6はクランプ手段(図示せず)または接着を介して収容部12内に保持することができる。流れ方向で見てノズルボディ6の前方には、ノズルホルダ4が、洗浄液のための、通路7に接続されたチャンバ14を有している。
【0016】
ガラスクリーニング装置3は、チャンバ14に接続された複数のノズル開口15,16を有している。これらのノズル開口15,16は、振動して筋状に進行する洗浄液噴流17,18、つまり、波状のもしくは蛇行状の洗浄液噴流17,18を発生させる。図1に示したガラスクリーニング装置3を位置IIから見た図で図2に示したように、ノズルボディ6は、正方形の横断面と、全部で4つのノズル開口15,16とを有している。上下のノズル開口15の洗浄液噴流17は、図1において、図平面に対して垂直に振動するのに対して、ノズルボディ6の側方の領域に配置された別のノズル開口16の洗浄液噴流18は図平面内で振動する。これにより、全部で4つのノズル開口15,16によって、方形の噴霧パターンがガラス2に発生させられる。
【0017】
図3には、図1に示したガラスクリーニング装置3のノズルボディ6が著しく拡大して示してある。この場合、このノズルボディ6が各ノズル開口15,16に対して、反対の側に位置する端面にまで案内された通路溝19を有していることを認めることができる。この通路溝19内には、渦流発生体20,21が配置されている。この渦流発生体20,21は、組み付けられた状態でノズルホルダ4の収容部12の壁13に接触していて、洗浄液の流れに渦流を発生させる。これによって、図1に示した、振動して筋状に進行する洗浄液噴流17,18が発生させられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるガラスクリーニング装置と、自動車の、隣接する構成部分との断面図である。
【図2】図1に示したガラスクリーニング装置の一部領域を位置IIから見た図である。
【図3】図1に示したガラスクリーニング装置のノズルボディを著しく拡大した斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ボディ部分、 2 ガラス、 3 ガラスクリーニング装置、 4 ノズルホルダ、 5 接続管片、 6 ノズルボディ、 7 通路、 8 洗浄液ポンプ、 9 洗浄液管路、 10 洗浄液容器、 11 逆止弁、 12 収容部、 13 壁、 14 チャンバ、 15 ノズル開口、 16 ノズル開口、 17 洗浄液噴流、 18 洗浄液噴流、 19 通路溝、 20 渦流発生体、 21 渦流発生体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のガラスに用いられるガラスクリーニング装置であって、自動車のボディ部分に取り付けるために設けられたノズルホルダと、該ノズルホルダの収容部内に配置されたノズルボディと、ノズルホルダ内に配置された、収容部を洗浄液管路に対する接続管片に接続する通路とが設けられている形式のものにおいて、ノズルボディ(6)が、振動して筋状に進行するそれぞれ1つの洗浄液噴流(17,18)を発生させる複数のノズル開口(15,16)を有しており、該ノズル開口(15,16)の少なくとも2つが、噴霧領域に方向付けられて、互いに設定された角度を成して配置されていることを特徴とする、自動車のガラスに用いられるガラスクリーニング装置。
【請求項2】
振動して筋状に進行する洗浄液噴流(17,18)を発生させるノズル開口(15,16)が、流体ノズルの一部として形成されている、請求項1記載のガラスクリーニング装置。
【請求項3】
ノズルボディ(6)が、多角形の横断面を有しており、ノズル開口(15,16)が、ノズルボディ(6)のそれぞれ異なる辺に配置されている、請求項1または2記載のガラスクリーニング装置。
【請求項4】
ノズルボディ(6)が、正方形の横断面を有しており、ノズルボディ(6)の、隣接し合った少なくとも2つの辺に、振動して筋状に進行する洗浄液噴流を発生させるそれぞれ1つのノズル開口(15,16)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のガラスクリーニング装置。
【請求項5】
ノズルボディ(6)の各辺にそれぞれ1つのノズル開口(15,16)が配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のガラスクリーニング装置。
【請求項6】
ノズルボディ(6)が、ノズルホルダ(4)の収容部(12)の壁(13)に面した側に、通路溝(19)と、少なくとも壁(13)に接触する、振動して進行する洗浄液噴流(17,18)を発生させるための渦流発生体(20,21)と、ノズル開口(15,16)とを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のガラスクリーニング装置。
【請求項7】
通路溝(19)が、ノズル開口(15,16)からノズルボディ(6)の、反対の側に位置する端面にまで案内されており、ノズルホルダ(4)が、通路溝(19)を通路(7)に接続するチャンバ(14)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のガラスクリーニング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−50883(P2007−50883A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211313(P2006−211313)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】