説明

ガラスラン

【課題】ドアガラスのがたつきを抑制するとともに、ドアガラスの摺動抵抗の増大等を抑制することのできるガラスランを提供する。
【解決手段】自動車ドアはドアガラスGの外周形状に対応してガラスラン2を備えている。ガラスラン2は、底壁部10並びに当該底壁部10の両端から延びる車内側側壁部11及び車外側側壁部12からなる本体部13と、ドアガラスGとの間でシールを行う一対のシールリップ14,15とを備えている。さらに、車内側シールリップ14の先端部近傍の裏面側から車内側側壁部11の延出方向略中央部にかけて略直線状に延設された支持壁部20を備えている。これにより、車内側シールリップ14、車内側側壁部11及び支持壁部20の間には中空部21が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアに取付けられるガラスランに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用ドアには、昇降するドアガラスの周縁部をシールするガラスランが設けられている。ガラスランは、底壁部並びに当該底壁部の両端から延びる一対の側壁部からなる断面略コ字状の本体部と、当該本体部の両側壁部の略先端から本体部内側に延び、ドアガラスをシールする一対のシールリップとを備えている。
【0003】
前記シールリップは、車内外方向に対する自身の変位量と、ドアガラスに対する反力(ドアガラスにかかる荷重値)との関係から見て、変位量が所定範囲内であれば、反力(荷重値)がほぼ一定となるものであることが好ましい。これは、ドアガラスの摺動位置が設定基準位置より車内外方向へずれた場合でもドアガラスの摺動抵抗やシール量を略一定に維持するためである。逆に、ドアガラスに押されてシールリップが所定範囲を超えて側壁部側へ寄った場合には、いわゆる底付きが発生して反力が大きくなり、摺動抵抗が増大する。
【0004】
また、一般的なガラスランは比較的剛性の高いソリッド弾性材料により構成されているため、シールリップが経年変化により変形して、いわゆる「へたり(圧縮永久歪み)」が生じ、ドアガラスに対するシールリップの反力が低下するおそれがある。シールリップの反力が低下すると、ドアガラスへの追従性が低下してシール性が落ちるとともに、ドアガラスの挟持性が落ち、車両走行時等においてはドアガラスが振動して、がたつくおそれがある。
【0005】
近年では、シールリップの耐へたり性や反力を高める対応策として様々な方法がとられている。例えば、シールリップと、これに相対向する側壁部との間をスポンジ弾性材料よりなる弾性補助部により繋ぎ、中空状のシール部を形成したものが見受けられる(例えば、特許文献1、図5参照)。
【特許文献1】特開2001−219745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特開2001−219745号公報(図5参照)に記載の発明では、弾性補助部の途中に屈曲部があるため、例えばドアガラスの摺動位置が設定基準位置より車内側の側壁部側へ寄っていく過程において、車内側のシールリップの変位に伴う反力の増加量が比較的大きく、さらにシールリップの変位量が比較的小さい段階で底付きが発生して反力が大きく上昇し、ドアガラスの摺動抵抗が急激に増大するおそれがある。つまり、ドアガラスがシールリップより適正な反力を受けて支持される範囲が極めて狭く、ドアガラスの位置ずれに良好に対応できないおそれがある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ドアガラスのがたつきを抑制するとともに、ドアガラスの摺動抵抗の増大等を抑制することのできるガラスランを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段を項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.昇降するドアガラスを有する車両用ドアに取付けられ、底壁部並びに当該底壁部の両端から延びる一対の側壁部からなる本体部と、当該本体部の両側壁部の略先端から本体部内側へ延び、ドアガラスとの間でシールを行う一対のシールリップとを有し、ソリッド弾性材料からなるガラスランにおいて、
少なくとも車内側の前記シールリップから前記側壁部にかけて略直線状に延設されたスポンジ弾性材料よりなる支持壁部を備えたことを特徴とするガラスラン。
【0010】
上記手段1によれば、上記支持壁部を備えることにより、シールリップの耐へたり性を向上させるとともに、シールリップの反力を高め、ドアガラスへの追従性を向上させることができる。結果として、ドアガラスのシール性や挟持性の低下抑制、ひいてはドアガラスのがたつき等を抑制することができる。例えば、車外側のシールリップが経年変化を起こし、ドアガラスの摺動位置が設定基準位置より車外側寄りになった場合でも、車内側のシールリップによりドアガラスに適正な反力を加えることができる。
【0011】
さらに、上記支持壁部は、シールリップから側壁部にかけて略直線状に延設され、その途中に屈曲部が予め設けられていないものである。そのため、従来のシールリップだけの構成や支持壁部に屈曲部がある構成に比べて、シールリップの変位量が比較的小さい段階で比較的大きな反力を得ることができる。さらに、支持壁部が変形する際には、シールリップの変形に合わせて湾曲変形する。これにより、シールリップの変形が円滑に行われるため、支持壁部に屈曲部がある構成に比べて、シールリップの変形に伴う反力の増加量が比較的小さく、さらにシールリップの変位量が比較的小さい段階で底付きが発生することもない。つまり、シールリップにより比較的大きな反力を略一定に維持しつつ、車内外方向に比較的広い範囲でドアガラスを支持できるため、ドアガラス摺動時における摺動抵抗の増大を抑制しつつ、ドアガラスのがたつきを抑制することができる。
【0012】
手段2.ガラスラン長手方向と直交する直交断面において、
前記支持壁部は、
前記シールリップのうちの前記ドアガラスとの接点となる位置を通る所定直線に平行して形成されるとともに、
前記ドアガラスの側面に直交する直交直線と前記所定直線とがなす角度θが、
−30°≦θ≦30°
の関係を満たす範囲で形成されていることを特徴とする手段1に記載のガラスラン。
【0013】
支持壁部が上記範囲を逸脱して形成された場合には、上述した支持壁部としての機能を確保することが困難となるおそれがある。上記手段2によれば、そのような不具合もなく、上記手段1の作用効果がより確実に奏されることとなる。なお、シールリップが、ドアガラスの側面に面接触する場合には、ガラスラン長手方向と直交する直交断面において、ドアガラスの側面に平行する方向における接触幅の中心点を上記接点とみなす。
【0014】
手段3.前記支持壁部は、
前記ドアガラスの側面に平行する方向における位置Xが、前記所定直線と重なる位置を0として、
−4.0mm≦X≦4.0mm
の関係を満たす範囲に位置していることを特徴とする手段2に記載のガラスラン。
【0015】
支持壁部が上記範囲を逸脱して形成された場合には、上述した支持壁部としての機能を確保することが困難となるおそれがある。上記手段3によれば、そのような不具合もなく、上記手段1の作用効果がより確実に奏されることとなる。なお、上記手段3では、支持壁部の肉厚方向の中心を通る中心直線の位置を、支持壁部の位置Xとみなしている。つまり、シールリップのうちのドアガラスとの接点となる位置を前記中心直線が通る位置が、前記所定直線と重なる位置(±0mm)となる。
【0016】
手段4.前記支持壁部の肉厚を0.6mm以上、1.6mm以下としたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のガラスラン。
【0017】
支持壁部の肉厚が1.6mmを超える場合には剛性が高くなるため、ドアガラスの摺動抵抗を増大させてしまうおそれがあり、0.6mmを下回る場合には、ドアガラスのがたつき等が発生するおそれが高まる。上記手段4によれば、そのような不具合もなく、上記手段1の作用効果がより確実に奏されることとなる。
【0018】
手段5.前記シールリップの平均肉厚を0.4mm以上、1.2mm以下としたことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のガラスラン。
【0019】
シールリップの平均肉厚が1.2mmを超える場合には剛性が高くなるため、ドアガラスの摺動抵抗を増大させてしまうおそれがあり、0.4mmを下回る場合には、ドアガラスのがたつき等が発生するおそれが高まる。上記手段5によれば、そのような不具合もなく、上記手段1の作用効果がより確実に奏されることとなる。
【0020】
手段6.前記シールリップ及び前記側壁部の少なくとも一方において、前記支持壁部が当接し得る部位に凹凸面を形成したことを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のガラスラン。
【0021】
支持壁部が変形し、シールリップや側壁部に圧着した場合には、当該支持壁部が離れる際に剥離音が発生するおそれがある。上記手段6によれば、仮に支持壁部がシールリップや側壁部に圧着した場合でも、接触面積が少なくなるため貼り付くことがなく、剥離音の発生を抑制することができる。前記凹凸面としては、例えば断面略三角形状の複数の凸条よりなるものが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、車両本体としての自動車ボディの開口部において開閉可能に設けられる車両用ドアとしての自動車ドア(図ではフロントドア:以下、単に「ドア」という)1は、昇降可能なドアガラスGと、当該ドアガラスGの外周形状に対応して、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)よりなるガラスラン2とを備えている。
【0023】
ガラスラン2は、その長手方向にみて上辺部に対応する押出成形部3、前後の縦辺部に対応する押出成形部4,5と、各押出成形部3,4,5の端部同士を接続する型成形部6,7(図1で散点模様を付した部分)とから構成される。各押出成形部3〜5は、図示しない押出成形機によりほぼ直線状に(長尺状に)形成される。また、型成形部6,7は、2つの押出成形部3,4及び押出成形部3,5が所定の角度をなした状態で相互に接続されるように図示しない金型装置にて接続成形される。
【0024】
次に図2,3を参照して、ガラスラン2の構成と、当該ガラスラン2が取付けられるドア1のドアフレーム1aの構成を、ドア1の縦辺部の構成を基に詳細に説明する。図2は、図1のJ−J線部分断面図であり、図3は、図1のK−K線部分断面図である。
【0025】
ドアフレーム1aの縦辺部は、ドアガラスGの車内側に配設されるインナーパネル51及びアウターパネル52と、当該パネル51,52に取付けられたモール部材53及び内装部材54とから構成されている。
【0026】
モール部材53は、光輝金属製又は樹脂製であって、ドアガラスGの車外側に配設される。つまり、本実施形態におけるドアフレーム1aは、車外側をモール部材53に覆われたいわゆるヒドンタイプのものであり、ガラスラン2を嵌め込むための断面略コ字状のチャンネル部(サッシュ)が設けられていない構造となっている。そのため、ガラスラン2は、アウターパネル52とモール部材53との間に取付けられることとなる。また、内装部材54は、アウターパネル52の内周側を覆うように取付けられている。
【0027】
次に、ガラスラン2の縦辺部(押出成形体)5の構成について説明する。ガラスラン2の縦辺部5は、底壁部10並びに当該底壁部10の両端から延びる車内側側壁部11及び車外側側壁部12からなる断面略コ字状をなす本体部13と、車内側側壁部11及び車外側側壁部12からそれぞれ本体部13内側へ延び、ドアガラスGとの間でシールを行う車内側シールリップ14及び車外側シールリップ15と、車外側シールリップ15と対称的に車外側側壁部12の略先端からドアフレーム内周側(図2,3の左方向)かつ車内側(図2,3の上方向)へ向け延出し、その略先端部がドアガラスGの車外側に当接するサブシールリップ16とを備えている。
【0028】
なお、車外側側壁部12は、車内側側壁部11に比べて比較的短く形成されるとともに、それに付随して車外側シールリップ15も車内側シールリップ14に比べて比較的小さく(短く)設定されている。これにより、モール部材53の車外側側面が短く設定でき、見栄えが向上するとともに、適切なシール量を確保しつつ、ドアガラスGを車外側寄りにオフセットされた位置で昇降させることができる。結果として、ドアガラスGの車外側側面と略面一となるようフラッシュサーフィス化が図られている。
【0029】
さらに、本実施形態では、車内側シールリップ14の先端部近傍の裏面側から車内側側壁部11の延出方向略中央部にかけて略直線状に延設された支持壁部20を備えている。これにより、車内側シールリップ14、車内側側壁部11及び支持壁部20の間には中空部21が形成されている。
【0030】
上述したようにガラスラン2はEPDMにより構成されているが、そのうち本体部13やシールリップ14,15などはEPDMソリッドゴム(ソリッド弾性材料)により構成されているのに対し、支持壁部20はEPDMスポンジゴム(スポンジ弾性材料)により構成されている。但し、支持壁部20は、ガラスラン2の縦辺部5等の押出成形に際し、本体部13等とともに一体成形される。
【0031】
支持壁部20は、車内側シールリップ14のうちのドアガラスGとの接点となる位置Aを通る所定の直線Bに沿って形成されている。この直線Bは、ドアガラスGの側面に直交する直交直線Cとなす角度θが−20°(図2において位置Aを中心として反時計回り方向に20°)に設定された直線である。なお、本実施形態では、図3においてドアガラスGの側面に平行する方向(図3の左右方向)における接触幅の中心点を上記接点としている。また、本実施形態における車内側シールリップ14の平均肉厚Sは0.8mmに設定され、支持壁部20の肉厚Tは1.0mmに設定されている。
【0032】
さらに、車内側シールリップ14及び車内側側壁部11における支持壁部20が当接し得る部位には凹凸面23,24が形成されている。本実施形態における凹凸面23,24は断面略三角形状の複数の凸条よりなる。
【0033】
以上詳述したように、支持壁部20を備えることにより、本実施形態では車内側シールリップ14の耐へたり性を向上させるとともに、車内側シールリップ14の反力を高め、ドアガラスGへの追従性を向上させることができる。結果として、ドアガラスGのシール性や挟持性の低下抑制、ひいてはドアガラスGのがたつき等を抑制することができる。
【0034】
さらに、支持壁部20は、車内側シールリップ14の先端部近傍の裏面側から車内側側壁部11の延出方向略中央部にかけて略直線状に延設され、その途中に屈曲部が予め設けられていない構成である。そのため、従来のシールリップだけの構成や支持壁部20に屈曲部がある構成に比べて、車内側シールリップ14の変位量が比較的小さい段階で比較的大きな反力を得ることができる。さらに、支持壁部20が変形する際には、車内側シールリップ14の変形に合わせて略S字変形する。これにより、車内側シールリップ14の変形が円滑に行われるため、支持壁部20に屈曲部がある構成に比べて、車内側シールリップ14の変形に伴う反力の増加量が比較的小さく、さらに車内側シールリップ14の変位量が比較的小さい段階で底付きが発生することもない。つまり、車内側シールリップ14により比較的大きな反力を略一定に維持しつつ、車内外方向に比較的広い範囲でドアガラスGを支持できるため、ドアガラスG摺動時における摺動抵抗の増大を抑制しつつ、ドアガラスGのがたつきを抑制することができる。
【0035】
さらに、車内側シールリップ14及び車内側側壁部11における支持壁部20が当接し得る部位に凹凸面23,24が形成されている。これにより、仮に支持壁部20が車内側シールリップ14や車内側側壁部11に圧着した場合でも、接触面積が少なくなるため貼り付くことがなく、剥離音の発生を抑制することができる。
【0036】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0037】
(a)上記実施形態では、フロントドア用のガラスラン2について具体化したが、このようなガラスランが採用されるドアの部位は何ら限定されるものではなく、例えばリアドアにおいて適用することもできる。また、上記構成をガラスラン2の縦辺部に限らず、例えばガラスラン2の上辺部に採用してもよい。但し、サブシールリップ16に関しては、ドアガラスGの昇降動作により噛み込み等の不具合が生じるおそれがあるため、上辺部においては設けない方が好ましい。
【0038】
(b)上記実施形態では、ガラスラン2が取付けられるドアフレーム1aの構成例として、チャンネル部(サッシュ)を有しないヒドンタイプのものを例示しているが、これに限らず、例えば断面略コ字状のチャンネル部としてのサッシュを備え、当該サッシュにガラスラン2を嵌め込む構成(サッシュタイプ)など他の構成を採用してもよい。
【0039】
(c)上記実施形態では、車内側シールリップ14の平均肉厚Sが0.8mmに設定されているが、平均肉厚Sはこれに限定されるものではない。但し、上記実施形態の作用効果をより確実なものとするために、車内側シールリップ14の平均肉厚Sを0.4mm以上、1.2mm以下とすることがより好ましい。平均肉厚Sが1.2mmを超える場合には剛性が高くなるため、ドアガラスGの摺動抵抗を増大させてしまうおそれがあり、0.4mmを下回る場合には、ドアガラスGのがたつき等が発生するおそれが高まる。
【0040】
(d)上記実施形態では、支持壁部20の肉厚Tが1.0mmに設定されているが、肉厚Tは、これに限定されるものではない。但し、上記実施形態の作用効果をより確実なものとするために、支持壁部20の肉厚Tを0.6mm以上、1.6mm以下とすることがより好ましい。肉厚Tが1.6mmを超える場合には剛性が高くなるため、ドアガラスGの摺動抵抗を増大させてしまうおそれがあり、0.6mmを下回る場合には、ドアガラスGのがたつき等が発生するおそれが高まる。
【0041】
(e)上記実施形態では、車内側シールリップ14のうちのドアガラスGとの接点となる位置Aを通り、かつ、ドアガラスGの側面に直交する直交直線Cとなす角度θが−20°に設定された直線Bに沿って、支持壁部20が形成されている。支持壁部20の形成位置や角度など、その形態は上記実施形態に限定されるものではない。
【0042】
但し、支持壁部20の上記性能を確保する上で、支持壁部20は、図4に示すように、ドアガラスGの側面に平行する方向における位置Xが、前記直線Bと重なる位置を0として、−4.0mm≦X≦4.0mmの関係を満たす範囲Dに位置していることが好ましい。なお、ここでは、支持壁部20の肉厚方向の中心を通る中心直線の位置を支持壁部20の位置Xとみなしている。また、上記同様の理由から、支持壁部20は、前記直線Bと前記直交直線Cとがなす角度θが、−30°≦θ≦30°の関係を満たす範囲で形成されていることが好ましい。
【0043】
(f)上記実施形態では、車内側シールリップ14及び車内側側壁部11における支持壁部20が当接し得る部位において、断面略三角形状の複数の凸条よりなる凹凸面23,24が形成されている。これに限らず、凹凸面23,24を省略した構成としてもよいし、車内側シールリップ14又は車内側側壁部11の一方においてのみ凹凸面を備えた構成としてもよい。もちろん、凹凸面23,24の形態も断面略三角形状の凸条よりなるものに限定されるものではない。
【0044】
(g)上記実施形態では、車内側シールリップ14と車内側側壁部11との間においてのみ支持壁部20を形成しているが、これに代えて又は加えて、車外側シールリップ15と車外側側壁部12との間に同様の支持壁部を備えた構成としてもよい。
【0045】
(h)上記実施形態におけるガラスランを構成する弾性材料としては、EPDMが採用されているが、その外にも、例えばTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)などを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ガラスランの組付けられるドアの正面図である。
【図2】ガラスラン及びその取付構造を説明するための図1のJ−J線部分断面図である。
【図3】ガラスラン及びその取付構造を説明するための図1のK−K線部分断面図である。
【図4】支持壁部の形成位置を説明するための部分拡大図である。
【符号の説明】
【0047】
1…ドア、1a…ドアフレーム、2…ガラスラン、10…底壁部、11…車内側側壁部、12…車外側側壁部、13…本体部、14…車内側シールリップ、15…車外側シールリップ、20…支持壁部、21…中空部、23,24…凹凸面、G…ドアガラス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降するドアガラスを有する車両用ドアに取付けられ、底壁部並びに当該底壁部の両端から延びる一対の側壁部からなる本体部と、当該本体部の両側壁部の略先端から本体部内側へ延び、ドアガラスとの間でシールを行う一対のシールリップとを有し、ソリッド弾性材料からなるガラスランにおいて、
少なくとも車内側の前記シールリップから前記側壁部にかけて略直線状に延設されたスポンジ弾性材料よりなる支持壁部を備えたことを特徴とするガラスラン。
【請求項2】
ガラスラン長手方向と直交する直交断面において、
前記支持壁部は、
前記シールリップのうちの前記ドアガラスとの接点となる位置を通る所定直線に平行して形成されるとともに、
前記ドアガラスの側面に直交する直交直線と前記所定直線とがなす角度θが、
−30°≦θ≦30°
の関係を満たす範囲で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラスラン。
【請求項3】
前記支持壁部は、
前記ドアガラスの側面に平行する方向における位置Xが、前記所定直線と重なる位置を0として、
−4.0mm≦X≦4.0mm
の関係を満たす範囲に位置していることを特徴とする請求項2に記載のガラスラン。
【請求項4】
前記支持壁部の肉厚を0.6mm以上、1.6mm以下としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガラスラン。
【請求項5】
前記シールリップの平均肉厚を0.4mm以上、1.2mm以下としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガラスラン。
【請求項6】
前記シールリップ及び前記側壁部の少なくとも一方において、前記支持壁部が当接し得る部位に凹凸面を形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のガラスラン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−314003(P2007−314003A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144817(P2006−144817)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】