説明

ガラスラン

【課題】成形性がよく、組付け性に優れた、リヤ側コーナー部からフロント方向に斜めに延設される意匠モール部を有するガラスランを提供する。
【解決手段】ガラスラン10は上辺部11とフロント側縦辺部12とリヤ側縦辺部13とフロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15と意匠モール部30から形成される。意匠モール部30の上端は、リヤ側コーナー部14に一体的に接続されるとともに、意匠モール部30の下部は、リヤ側縦辺部13よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられる。意匠モール部30は、取付基部31と、意匠リップ部32とを有し、取付基部と意匠リップ部32でドアフレーム2のアウターパネル2aの先端を挟持する。意匠リップ部32は、上端がリヤ側コーナー部15の車外側カバーリップ26と連続して形成され、下端が上記アウターウエザストリップ60と当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスラン関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ドアは図13に示すように、ドア1のベルトラインの上部にドアフレーム2が形成され、リヤドア1bにおいては、ドアフレーム2の上辺部におけるリヤ側に寄った部位の下面から下方にデビジョンバー7が延設されている。そして、リヤドア1bのデビジョンバー7のリヤ側の部分には固定して装着されるクォータードアガラス6が装着され、ドアフレーム2とデビジョンバー7のフロント側にはガラスラン110が嵌めこまれて、ドアガラス5が昇降自在に装着されている。
【0003】
そして、図13に示すように、クォータードアガラス6とドアフレーム2及びデビジョンバー7との間には、クォーターウエザストリップ150が装着されてその間をシールしている。また、ドアフレーム2及びデビジョンバー7には、ガラスラン110が装着されて、ドアガラス5との間をシールしている。
【0004】
しかしながら、この場合には、クォータードアガラス6、クォーターウエザストリップ150及びデビジョンバー7が必要であり、コストも高く、重量も大きくなっている。
そこで、デビジョンバー7を廃止して、ドアフレーム2のみで構成することが考えられるが、その場合には図14に示すように、デザイン等のため、ガラスラン210のリヤ側縦辺部213において、ガラスラン210の車外側カバーリップ226から一体的に意匠モール部230をフロント側に斜めに張り出して設けることが行われている。
【0005】
その場合には、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230を形成するために、大型一体成型が必要である。大型一体成型においては、金型構造が複雑となり金型コストが増大するとともに、成形時間も長くなり生産性が低下する。さらに、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230が一体的に形成されているため、ドアフレーム2への取付けのときに、リヤ側縦辺部213と意匠モール部230が別々に角度を変えて撓むことができず、柔軟性が悪く、ドアフレーム2への取付の手間がかかることになる。
【0006】
また、図15に示すように、自動車用ドアのガラスラン310において、リヤ側コーナー部315からリヤ側縦辺部313と意匠モール部330をフロント方向に斜めに延設するものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながらこの場合においても、リヤ側縦辺部313から意匠モール部330を一体に形成しており、成形コストの増大や組付け性の低下が生じている。
【0007】
さらに、図16に示すように、自動車用ドアのガラスラン410において、リヤ側縦辺部413とアウターウエザストリップ460との接続部分で、車外側カバーリップ426を切除して、型成形で車外側カバーリップ426を形成して、アウターウエザストリップ460と一体的に成形するものが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、この場合には、単にアウターウエザストリップ460との接続部分のコーナー部において、リヤ側縦辺部413の車外側カバーリップ426とアウターウエザストリップ460とを接続するのみであり、ドアガラス5の一部を覆うような意匠モール部の全体を形成するものではない。
【0008】
また、図17に示すように、自動車用ドアのガラスラン510において、リヤ側縦辺部513とアウターウエザストリップ560との接続部分で、リヤ側縦辺部513をフロント側に斜めに形成するものが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、このガラスラン510は、合成樹脂製の取付け部(モール部)520とゴム状弾性体のガラスシールリップ部530を別々に形成し、合体させるものであり、ドアフレーム2への組付け時に取付け部(モール部)520とガラスシールリップ部530の成形と組付けの手間がかかることとなる。
【特許文献1】特開2002−264661号公報
【特許文献2】特開平9−150634号公報
【特許文献3】特開2002−283852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、成形性がよく、組付け性に優れた、リヤ側コーナー部からフロント方向に斜めに延設される意匠モール部を有するガラスランが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、該ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスランにおいて、
ガラスランは、押出成形で成形されドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形されドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上辺部とフロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上辺部とリヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成されリヤ側コーナー部からドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設されドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成され、
フロント側縦辺部と、上辺部と、フロント側コーナー部、リヤ側コーナー部及びリヤ側縦辺部は、車外側側壁と、底壁及び車内側側壁で断面略コ字形に形成され、車外側側壁と車内側側壁の先端からそれぞれ断面略コ字形の内部の方向斜めにドアガラスと摺動する車外側シールリップと車内側シールリップが延設され、車外側側壁と車内側側壁の先端からそれぞれ外面に沿って車外側カバーリップと車内側カバーリップが延設され、
意匠モール部の上端は、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、意匠モール部の下部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられ、意匠モール部は、ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、取付基部のフロント側の側端から車外側を取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部とを有し、取付基部と意匠リップ部でドアフレームのアウターパネルの先端を挟持し、意匠リップ部は、上端がリヤ側コーナー部の車外側カバーリップと連続して形成され、下端が上記アウターウエザストリップと当接することを特徴とするガラスランである。
【0011】
請求項1の本発明では、ガラスランは、押出成形で成形されドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形されドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形されドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上辺部とフロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上辺部とリヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成されリヤ側コーナー部からドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設されドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成される。このため、ドアガラスの昇降をドアガラスの周辺を保持するガラスランで保持してシールすることができるとともに、ドアガラスのリヤ側においてその一部をドアフレームのアウターパネルと意匠モール部でカバーして、見栄えを良くすることができる。
【0012】
ガラスランは、フロント側縦辺部と、上辺部と、フロント側コーナー部、リヤ側コーナー部及びリヤ側縦辺部は、車外側側壁と、底壁及び車内側側壁で断面略コ字形に形成され、車外側側壁と車内側側壁の先端からそれぞれ断面略コ字形の内部の方向斜めにドアガラスと摺動する車外側シールリップと車内側シールリップが延設され、車外側側壁と車内側側壁の先端からそれぞれ外面に沿って車外側カバーリップと車内側カバーリップが延設される。このため、車外側シールリップと車内側シールリップでガラスランの側端部を保持して、ドアフレームとドアガラスの間をシールすることができる。車外側カバーリップと車内側カバーリップで、ドアフレームのアウターパネルとインナーパネルの先端を挟持してガラスランを保持するとともに、車外側カバーリップでインナーパネルの先端をカバーして、見栄えを向上させることができる。
【0013】
意匠モール部上端は、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、意匠モール部の下部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられる。このため、意匠モール部とリヤ側コーナー部を一緒に型成形する場合と比べて、リヤ側コーナー部を形成する金型を小さく構造を簡単にすることができ、成形が容易であるとともにコストも低減できる。また、意匠モール部とリヤ側コーナー部との間に隙間が生ずることがなく、見栄えが向上する。
意匠モール部は、リヤ側縦辺部よりもフロント側に傾斜して形成され、ドアガラスのリヤ側部分を覆うことができる。さらに、ガラスランをドアフレームに取付けるときに、意匠モール部がリヤ側コーナー部を中心にしてリヤ側縦辺部とは別々に、角度を変えることができ、ガラスランをドアフレームに取付ける作業が容易である。
【0014】
意匠モール部は、ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、取付基部のフロント側の側端から車外側を取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部を有し、取付基部と意匠リップ部でドアフレームのアウターパネルの先端を挟持する。このため、ドアフレームのアウターパネルに意匠モール部が確実に取付けられ、意匠リップ部がアウターパネルの先端を覆うことができる。
【0015】
意匠リップ部の上端は、上端がリヤ側コーナー部の車外側カバーリップと連続して形成され、下端がアウターウエザストリップと当接する。このため、上辺部及びリヤ側コーナー部の車外側カバーリップから連続してカバーリップを形成し、さらにアウターウエザストリップまでカバーリップを連続させることができ、ドアガラスの周囲を取り囲むアウターパネルの先端部分を連続したカバーリップで覆うことができ、見栄えがよい。
【0016】
請求項2の本発明は、取付基部の車外側面から延設されドアガラスの車外側面に当接するシールリップ部を有するガラスランである。
【0017】
請求項2の本発明では、取付基部の車外側面から延設されドアガラスの車外側面に当接するシールリップ部を有するため、シールリップ部でドアガラスの表面から雨水等がドアフレーム内部に進入することを防止できる。
【0018】
請求項3の本発明は、意匠モール部のシールリップ部のドアガラスと当接する部分に低摺動部材を設けたガラスランである。
【0019】
請求項3の本発明では、意匠モール部のシールリップ部のドアガラスと当接する部分に低摺動部材を設けたため、ドアガラスの昇降時に、ドアガラスがスムースに摺動して、異音等の発生がない。
【0020】
請求項4の本発明は、ドアフレームのリヤ側縦辺のアウターパネルをドアガラスの外面側に延設し、アウターパネルの先端を、意匠モール部の断面略L字形に形成された意匠リップ部と取付基部の間の取付凹部に挿入し、係止部材で保持したガラスランである。
【0021】
請求項4の本発明では、ドアフレームのリヤ側縦辺のアウターパネルをドアガラスの外面側に断面略L字形に延設し、アウターパネルの先端を、意匠モール部の断面略L字形に形成された意匠リップ部と取付基部の間の取付凹部に挿入し、係止部材で保持した。このため、アウターパネルの先端を意匠リップ部と取付基部で挟持することができ、意匠モール部を確実に保持することができるとともに、アウターパネルの先端を覆うことができる。
【0022】
請求項5の本発明は、意匠モール部の下端は、意匠リップ部が湾曲して下端コーナー部を形成し、下端コーナー部は、アウターウエザストリップの車外側リップと連結するガラスランである。
【0023】
請求項5の本発明では、意匠モール部の下端は、意匠リップ部が湾曲して下端コーナー部を形成し、下端コーナー部は、アウターウエザストリップの車外側リップと連結するため、ドアフレームのリヤ側縦辺とドアのベルトラインとのコーナー部を円弧状のスムースなラインンとすることができ、見栄えがよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記のように、意匠モール部は、ガラスランの他の部分とは別に形成されて、リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続するとともにリヤ側縦辺部よりもフロント側に傾斜して設けられため、リヤ側コーナー部を形成する金型を小さく構造を簡単にすることができ、成形が容易であるとともにコストも低減でき、ガラスランをドアフレームに取付ける作業が容易である。
意匠モール部は、取付基部と意匠リップ部でドアフレームのアウターパネルの先端を挟持することができる。
意匠リップ部は、上端がリヤ側コーナー部の車外側カバーリップと連続して形成され、下端がアウターウエザストリップと当接するため、上辺部及びリヤ側コーナー部の車外側カバーリップからアウターウエザストリップまでカバーリップを連続させることができ、ドアガラスの周囲を取り囲むアウターパネルの先端部分を連続したカバーリップで覆うことができ、見栄えがよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態における、ガラスランの全体図である。
【図2】本発明の実施の形態における、ガラスランのリヤ側コーナー部と意匠モール部の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態における、ガラスランのリヤ側コーナー部と意匠モール部の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態における、ガラスランの上辺部の断面図であり、図1のA−A線に沿った断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における、意匠モール部の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態における、意匠モール部の背面図である。
【図7】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のE−E線に沿った断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のF−F線に沿った断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における、意匠モール部の断面図であり、図6のG−G線に沿った断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の断面図であり、図3のB−B線に沿った断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の断面図であり、図3のC−C線に沿った断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における、ガラスランの意匠モール部とリヤ側縦辺部をドアフレームに取付けた状態の接続部分の断面図であり、図3のD−D線に沿った断面図である。
【図13】従来の、自動車のリヤドアの側面図である。
【図14】従来のリヤドアに取付けるガラスランの正面図である。
【図15】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたリヤ側部分の正面図である。
【図16】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたリヤ側コーナー部の部分の正面図である。
【図17】従来の他のガラスランをリヤ側ドアに取付けたガラスランと取付部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図1〜図13に基づき説明する。
本発明を自動車のリヤドア1bで使用する場合を例に取り説明するが、本発明はフロントドア1aについても使用することができる。
図13は従来の自動車のリヤドア1bの側面図である。フロントドアとリヤドア1bの両方のベルトラインよりも上部には、ドアガラス5が昇降可能に設けられている。
リヤドア1bには、デビジョンバー7のフロント側に、上下方向に昇降して、ドア窓を開閉することができるドアガラス5と、デビジョンバー7のリヤ側のドアフレーム2とデビジョンバー7で形成される三角形の部分に固定されたクォータードアガラス6が設けられている。しかし、本発明では、このデビジョンバー7とクォータードアガラス6が廃止されて、リヤドア1bは昇降するドアガラス5のみとなる。
【0027】
本発明の実施の形態に使用するガラスラン10は、図1に示すように、押出成形で形成されドアフレーム2の上辺に取付けられる上辺部11と、押出成形で形成されドアフレーム2のフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部12と、押出成形で形成されドアフレーム2のリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部13を有する。また、上辺部11と、フロント側縦辺部12と、リヤ側縦辺部13は、直線状または略直線状に形成されたものが使用される。
【0028】
これらの押出成形部分をドアフレーム2に対応した形状となるように、フロント側とリヤ側のそれぞれのコーナー部分において、型成形により成形してそれぞれを接続してコーナー部が形成されている。即ち、型成形で形成され上辺部11とフロント側縦辺部12を接続するフロント側コーナー部14と、型成形で形成され上辺部11とリヤ側縦辺部13を接続するリヤ側コーナー部15が形成されている。上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13のそれぞれの断面形状の相違をコーナー部で連続的に変化させることにより接続している。
【0029】
さらに、リヤ側縦辺部13とは別に、型成形で形成されリヤ側コーナー部15からドアのベルトラインに取付けられた後述するアウターウエザストリップ60まで延設されドアガラス5の車外側に取付けられる意匠モール部30が形成されている。意匠モール部30は、リヤ側コーナー部15からリヤ側縦辺部13とは分離してドアガラス5の昇降角度とは異なる角度で形成されている。意匠モール部30の詳細については後述する。
【0030】
ガラスラン10の上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13の断面形状と、フロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15の断面形状とは基本的な形状は略同じである。上辺部11の断面形状を例にとり説明する。即ち、その本体は、図4に示すように、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23とから断面略コ字状に形成されている。
【0031】
さらに、車外側側壁21の先端付近から車外側シールリップ24が上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。図1と図2に示すように、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11、リヤ側コーナー部15及びリヤ側縦辺部13は、車外側シールリップ24が連続して形成される。このため、車外側シールリップ24によりドアガラス5の車外側面を連続してシールすることができ、上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13におけるシール性を確保している。
【0032】
車内側側壁22の先端から車内側シールリップ25が、車外側シールリップ24と同様に、上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されて、図3に示すように、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11、リヤ側コーナー部15及びリヤ側縦辺部13は、車内側シールリップ25が連続して形成される。ドアガラス5の車内側面をシールしている。
【0033】
また、車外側側壁21の先端外面から車外側側壁21と略平行あるいは若干湾曲して車外側側壁21に沿って車外側カバーリップ26が形成されている。さらに、車内側側壁22の先端外面から車内側側壁22と略平行あるいは若干湾曲して車内側カバーリップ27が形成されている。そして、図4に示すように、車外側側壁21と車外側カバーリップ26との間にドアフレーム2のアウターパネル2aの先端が挿入され、車内側側壁22と車内側カバーリップ27との間にドアフレーム2のインナーパネル2bの先端が挿入されている。車外側カバーリップ26は、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11及びリヤ側コーナー部15まで連続して形成され、リヤ側縦辺部13とは連続せず、後述するように、意匠モール部30の意匠リップ部32と連続している。
【0034】
車外側側壁21の外面から車外側カバーリップ26の内面に向けて車外側保持リップ28、28が形成されている。車内側側壁22の外面から車内側カバーリップ27の内面に向けて車内側保持リップ29が形成されている。
このため、車外側側壁21の車外側保持リップ28、28と車外側カバーリップ26及び車内側側壁22の車内側保持リップ29と車内側カバーリップ27とでそれぞれドアフレーム2のアウターパネル2aとインナーパネル2bの先端を強く挟持してガラスラン10をドアフレーム2に保持して、ドアフレーム2から外れることを防止することができるとともに、ドアフレーム2の先端を覆い、先端部分の見栄えを向上させている。
【0035】
なお、上辺部11とフロント側縦辺部12では、車外側カバーリップ26と車内側カバーリップ27は大きく形成されているが、後述するようにリヤ側縦辺部13では、車外側カバーリップ26と車内側カバーリップ27は小さく形成され、アウターパネル2aとインナーパネル2bの先端を挟持してはいない。
【0036】
また、車外側側壁21と車外側シールリップ24は、車内側側壁22と車内側シールリップ25よりも小さく形成されている。このため、ドアガラス5が閉じたときにドアガラス5をドアフレーム2の車外側に近接して位置させることができ、ドアフレーム2とドアガラスの段差を小さくして、走行時の気流の流れをスムースにして異音の発生を防止することができる。
【0037】
次に意匠モール部30について説明する。図2、3に示すように、意匠モール部30は、ガラスランの他の部分である上辺部11、フロント側縦辺部12及びリヤ側縦辺部13とは別に型成形で形成されて、リヤ側コーナー部15の型形成時にリヤ側縦辺部13と一緒にリヤ側コーナー部15に一体的に接続される。
【0038】
リヤ側縦辺部13は、ドアフレーム2のリヤ側縦辺に沿って、ドアガラス5のリヤ側端を挟持するようにドアガラス5の昇降角度と同じ角度で下方に向かって延設される。意匠モール部30は、ドアガラス5の車外側面に沿って、リヤ側縦辺部13よりもフロント側に傾斜して設けられる。このため、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30はリヤ側コーナー部15の部分の下端から離れて角度を変えて形成されている。
【0039】
これにより、ドアガラス5をドアフレーム2に取付けるときに、アウターパネル2aに沿って、意匠モール部30がリヤ側コーナー部15を中心にしてリヤ側縦辺部13から離れて角度を変えて撓ませることができ、ガラスラン10をドアフレーム2に取付ける作業が容易である。また、ドアガラス5のリヤ側の下部のコーナー部分をアウターパネル2aの先端で覆うことができる。
【0040】
図5〜図12に示すように、意匠モール部30は、ドアフレーム2のアウターパネル2aに取付けられる取付基部31と、取付基部31のリヤ側の側端から車外側方向と取付基部31に沿って断面L字形に一体的に形成される意匠リップ部32と、取付基部31の車内側面から延設されドアガラス5の車外側面に当接するシールリップ部34を有する。
【0041】
取付基部31とシールリップ部34との間には取付凹部33が形成され、後述するように取付凹部33にはアウターパネル2aの先端が挿入される。このため、アウターパネル2aの先端を意匠リップ部32と取付基部31で保持することができ、意匠モール部30を確実に保持することができるとともに、アウターパネル2aの先端を覆うことができる。
【0042】
意匠リップ部32は、上端がリヤ側コーナー部15の車外側カバーリップ26と連続して形成され、下端がアウターウエザストリップ60と当接する。このため、フロント側縦辺部12、フロント側コーナー部14、上辺部11及びリヤ側コーナー部15のそれぞれの車外側カバーリップ26と連続して意匠リップ部32がカバーリップを形成し、さらに後述するアウターウエザストリップ60までカバーリップを連続させることができ、ドアガラス5の周囲を取り囲むアウターパネル2aの先端部分を連続した所定の幅のカバーリップで覆うことができ、見栄えがよい。
【0043】
意匠リップ部32の下端は、図5と図6に示すように、フロント側に湾曲して下端コーナー部38を形成し、アウターウエザストリップ60と当接する。アウターウエザストリップ60は、図9に示すように、アウターパネル2aの外面を覆う車外側リップ61と、車外側リップ61の上端から延設されドアガラス5の車外側面に当接するシールリップ62と、車外側リップ61の上端から下方に延設されアウターパネル2aを挟持する取付基部63を有する。
【0044】
下端コーナー部38の先端の意匠リップ部32は、アウターウエザストリップ60の車外側リップ61の先端とは、当接してカバーバンド64にて連結される。このため、ドアフレーム2のリヤ側縦辺部13とドア1のベルトラインとのコーナー部を円弧状のスムースなラインとすることができ、見栄えがよい。
【0045】
意匠モール部30の取付基部31には、図5と図6に示すように、意匠リップ部32が延設された側と反対側の側端から複数の切欠き部35が形成されている。切欠き部35が形成されている部分の断面形状を図7に示す。切欠き部35と切欠き部35の間には、保持片36が延設されている。2つの切欠き部35を跨いで、保持片36の上に合成樹脂製の係止部材40が嵌め込まれている。
【0046】
意匠モール部30の取付基部31の下端部31aは、板状に広がって形成され、クリップ孔31bが形成されている。クリップ孔31bにクリップを挿入して、これによりドアフレーム2の補強パネル2cに下端部31aを取付けることができる。
【0047】
図7と図8に示すように、取付基部31の下面からフロント方向にシールリップ部34が延設され、ドアガラス5の車外側面に当接する。このため、取付基部31をドアフレーム2のアウターパネル2aに取付けて、シールリップ部34でドアガラス5の表面から雨水等がドアフレーム2内部に進入することを防止できる。
【0048】
シールリップ部34のドアガラスと当接する部分に低摺動部材を設けることができる。低摺動部材は、短繊維の植毛、シリコン樹脂膜のコーティング、ウレタン樹脂膜のコーティング等を使用することができる。この場合には、ドアガラス5の昇降時に、ドアガラス5とシールリップ部34の摺動抵抗を減少させ、ドアガラス5がスムースに摺動して、異音等の発生を防止することができる。
【0049】
次に、図10〜図12に基づき、ガラスラン10のリヤ側縦辺部13と意匠モール部30をドアフレーム2に取付けた状態を説明する。
図12は、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30がリヤ側コーナー部15と接続する部分の断面図である。この接続する部分では、リヤ側縦辺部13と意匠モール部30が連続しており、リヤ側縦辺部13の車外側側壁21と意匠モール部30の取付基部31が連続して形成されている。
【0050】
車外側側壁21と取付基部31が連続して形成されている。このため、アウターパネル2aの先端は、リヤ側コーナー部15から連続して意匠モール部30の取付基部31へ当接して、保持されることができる。インナーパネル2bは、リヤ側コーナー部15から連続して車内側側壁22と車内側カバーリップ27で挟持される。
【0051】
図10と図11は意匠モール部30の切欠き部35付近の断面図であり、それぞれ図3のB−B線とC−C線に沿った断面図である。リヤ側縦辺部13と意匠モール部30は分離して取付けられており、リヤ側縦辺部13は、ドアフレーム2のインナーパネル2bに設けられたリテーナ3に取付けられている。車内側側壁22と底壁23がリテーナ3により保持され、車外側側壁21は、補強パネル2cにより保持されている。
【0052】
ドアフレーム2のアウターパネル2aの先端がヘヤピン状に補強パネル2cの先端を包んで形成された先端部2dが、意匠モール部30の取付凹部33に挿入されて、意匠モール部30はドアフレーム2に取付けられている。
意匠モール部30の複数の切欠き部35と切欠き部35の間には、保持片36が形成され、保持片36は補強パネル2cの先端で保持されている。このため取付基部31が安定してドアフレーム2に保持される。
意匠モール部30の意匠リップ部32はドアガラス5の車外側面に当接している。
ドアガラス5の車内側は、ガーニッシュ8が取付けられている。ガーニッシュ8でガラスラン10を車内側からカバーして、美観を向上させている。
【0053】
次に、ガラスラン10の製造方法について説明する。
ガラスラン10は、まずその直線部を押出成形により成形し、その後、コーナー部を型成形する。
ガラスラン10の直線部の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
【0054】
次に、ガラスラン10のフロント側コーナー部14とリヤ側コーナー部15の型成形部分の成形は、上記により製造された押出成形部材を所定寸法に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに、型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
【0055】
ガラスラン10の押出成形部がEPDMゴムまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部は、オレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することが好ましい。この場合は、同種の材料であり、ガラスラン10の直線部分とコーナー部の接着性がよい。また、いずれもオレフィン系の材料であり、耐候性がよく、同時に粉砕処理ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーの場合は、加硫が不要のため、製造が容易である。
合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用しているため、加硫接着をすることができ、一体的に固着することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ドア
2 ドアフレーム
5 ドアガラス
10 ガラスラン
11 上辺部
13リヤ側縦辺部
15 リヤ側コーナー部
30 意匠モール部
31 取付基部
32 意匠リップ部
34 シールリップ部
60 アウターウエザストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアのドアフレームの内周に取付けられ、該ドアフレームとドアガラスとの間をシールするガラスランにおいて、
該ガラスランは、押出成形で成形され上記ドアフレームの上辺に取付けられる上辺部と、押出成形で成形され上記ドアフレームのフロント側縦辺に取付けられるフロント側縦辺部と、押出成形で成形され上記ドアフレームのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部と、型成形で形成され上記上辺部と上記フロント側縦辺部を接続するフロント側コーナー部と、型成形で形成され上記上辺部と上記リヤ側縦辺部を接続するリヤ側コーナー部と、型成形で形成され該リヤ側コーナー部から上記ドアのベルトラインに取付けられたアウターウエザストリップまで延設され上記ドアガラスの車外側に取付けられる意匠モール部から形成され、
上記フロント側縦辺部と、上記上辺部と、上記フロント側コーナー部、上記リヤ側コーナー部及びリヤ側縦辺部は、車外側側壁と、底壁及び車内側側壁で断面略コ字形に形成され、上記車外側側壁と車内側側壁の先端からそれぞれ断面略コ字形の内部の方向斜めに上記ドアガラスと摺動する車外側シールリップと車内側シールリップが延設され、上記車外側側壁と車内側側壁の先端からそれぞれ外面に沿って車外側カバーリップと車内側カバーリップが延設され、
上記意匠モール部の上端は、上記リヤ側コーナー部の形成時に一体的に接続されるとともに、上記意匠モール部の下部は、上記リヤ側縦辺部よりもフロント側に位置するように傾斜して設けられ、上記意匠モール部は、上記ドアフレームのアウターパネルに取付けられる取付基部と、該取付基部のフロント側の側端から車外側を上記取付基部に沿って一体的に形成される意匠リップ部とを有し、上記取付基部と上記意匠リップ部で上記ドアフレームのアウターパネルの先端を挟持し、上記意匠リップ部は、上端が上記リヤ側コーナー部の上記車外側カバーリップと連続して形成され、下端が上記アウターウエザストリップと当接することを特徴とするガラスラン。
【請求項2】
上記取付基部の車内側面から延設され上記ドアガラスの車外側面に当接するシールリップ部を有する請求項1に記載のガラスラン。
【請求項3】
上記シールリップ部の上記ドアガラスと当接する部分に低摺動部材を設けた請求項1又は請求項2に記載のガラスラン。
【請求項4】
上記ドアフレームのリヤ側縦辺の上記アウターパネルを上記ドアガラスの外面側に延設し、上記アウターパネルの先端を、上記意匠モール部の断面略L字形に形成された上記意匠リップ部と上記取付基部の間の取付凹部に挿入し、係止部材で保持した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガラスラン。
【請求項5】
上記意匠モール部の下端は、上記意匠リップ部が湾曲して下端コーナー部を形成し、該下端コーナー部は、上記アウターウエザストリップの車外側リップと連結する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガラスラン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−131337(P2012−131337A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284732(P2010−284732)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】