ガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びガラス板の曲げ成形装置
【課題】任意の曲率に湾曲させることが可能で、且つ剛性を有するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びこれを使用したガラス板の曲げ成形装置を提供するを提供する。
【解決手段】本発明のローラアッセンブリ12によれば、ローラアッセンブリ12のガイドシャフト20を、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材24、24…を重ねて構成したので、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。
【解決手段】本発明のローラアッセンブリ12によれば、ローラアッセンブリ12のガイドシャフト20を、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材24、24…を重ねて構成したので、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びガラス板の曲げ成形装置に係り、特に軟化点近傍の温度に加熱されたガラス板を搬送するとともに、搬送中のガラス板を搬送路に沿って任意の曲率に曲げ成形するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びガラス板の曲げ成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス板をローラで搬送しながら曲げ成形する装置として、ローラーフォームコンベア装置が知られている。このローラーフォームコンベア装置は、予め任意の曲率に曲げ形成されたガイドシャフトに複数のリングローラを回転可能に取り付けるとともに、それらのリングローラを連結して、端部に配設した動力又は動力伝達手段によって回転駆動させるローラアッセンブリを備えている。ローラアッセンブリは、複数本が平行に配されて任意の曲率の搬送路を形成する。そして、軟化点近傍の温度に加熱されたガラス板をこの搬送路で搬送しながら、搬送路の曲率に沿うように加熱状態のガラス板を自重で曲げ成形する。
【0003】ローラアッセンブリの構造については種々の例が公知である。
【0004】米国特許4,311,509号明細書には、リングローラの一方の側部に突部が形成されるとともに他方の側部に溝部が形成され、ローラの一方の側部に形成された突部が、隣接するローラの他方の側部に形成された溝部に嵌合され、一方の端部のリングローラを駆動することにより全てのリングローラに回転力が伝達され、全てのリングローラが一体的にガイドシャフトを中心にして回転する湾曲ローラが開示されている。
【0005】特開昭53−115718号公報には、可撓性のベロー形管を備え、ベロー形管はステンレス鋼板で螺旋状にねじ加工されているものが示されている。ベロー形管内には複数のつばが所定間隔をおいてねじ結合され、それぞれのつば内には滑り管が挿入されている。この滑り管をガイドシャフトに外嵌して、滑り管を介してベロー形管を回転することによりガラス板が搬送され、搬送中のガラス板が自重でベロー形管の曲率に沿って曲げ成形される。
【0006】特開平8−188431号公報には、予め任意の曲率に曲げ成形されたガイドシャフトにコイルばねが回転自在に外嵌されているものが示されている。このコイルばねは、端部に回転力が伝達されると、ガイドシャフトを中心に一体的に回転する。
【0007】特開平10−218629号公報には、予め任意の曲率に曲げ成形されたガイドシャフトに複数のリングローラが取り付けられるとともに、隣接するリングローラの相対向する側面に環状リブを形成し、環状リブにゴム等の弾性筒状部材の端部を嵌合させ、弾性筒状部材の端部をねじによって環状リブに固定して隣接するリングローラを互いに連結しているものが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の各例では、いずれもガイドシャフトは予め任意の曲率に形成されているので、曲率の異なる生産品種毎にガイドシャフトを製作する必要があり、コスト面で大きな負担となっていた。また、品種切り替え時にはローラの交換を伴うためジョブチェンジに長時間かかるという欠点があった。これは稼働時間を低下させ、生産性低下の原因になっていた。
【0009】一方、任意の曲率に設定できるローラアッセンブリも提案されている。このローラアッセンブリは、ガイドシャフトがコイルばね状に構成され、このコイルばねにに複数のリングローラが取り付けられ、ガイドシャフトを任意の曲率に変形させるようになっている。
【0010】しかしながら、このローラアッセンブリを、例えば自動車用窓ガラスなどで要求される半径1000mmといった小さい曲率半径Rの曲げ成形に対応させようとすると、太いコイルばねは、その曲率半径が小さいが故に用いることができず、細いコイルばねを使用せざるを得ない。これにより、コイルばねの剛性が不足するので、外力の影響を受け易くなり、曲げ成形されたガラス板の形状精度が悪化するという問題点があった。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、任意の曲率に湾曲させることが可能で、且つ剛性を有するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びこれを使用したガラス板の曲げ成形装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、任意の曲率に曲げられたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に取り付けられた複数のリングローラとを有し、これらのリングローラの回転によってガラス板を所定方向へ搬送しながらガラス板を曲げ成形するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、前記ガイドシャフトは、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成され、該ガイドシャフトに軸受を介して前記リングローラが回転自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】請求項1に記載の発明によれば、ローラアッセンブリのガイドシャフトを、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成したので、ガイドシャフトをコイルばね状に構成した従来のローラアッセンブリと比較して、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。特に湾曲方向と直交する方向に対して、高い剛性を得ることができる。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた隣接するリングローラ同士を互いに連結するとともに、モータからの動力を伝達させてガイドシャフトを中心に回転させた。これにより、ガラス板を搬送するための駆動力を有するローラアッセンブリを提供できる。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた各リングローラ同士を、弾性筒状部材を介して連結した。弾性筒状部材は筒状であり捩じり力に対する変形がし難いので、モータからの動力を隣接するリングローラに確実に伝達できる。
【0016】請求項4に記載のガラス板の曲げ成形装置によれば、請求項1、2又は3のうちいずれか1項に記載のローラアッセンブリを適用したので、生産品種の切り替え時に必要であったローラ交換作業が不要になる。よって、ジョブチェンジ作業を実質的に無くすことができる。
【0017】請求項5に記載のガラス板の曲げ成形装置によれば、ローラアッセンブリの両端部を支持部によって支持するとともに、これらの支持部間の間隔を拡縮機構によって任意に拡縮し、ローラアッセンブリの曲率を任意に設定したので、簡単な機構でローラアッセンブリの曲率を設定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びガラス板の曲げ成形装置の好ましい実施の形態を詳説する。
【0019】図1に示すガラス板の曲げ成形装置10は、複数本のローラアッセンブリ12、12…を備え、これらのローラアッセンブリ12、12…は互いに平行に配置されて搬送路14を形成している。ローラアッセンブリ12、12…で形成された搬送路14は、加熱炉16の下流側端部に形成されている。
【0020】ローラアッセンブリ12は、搬送路14の上流側で直線状に形成され、搬送路14の下流側で所定の曲率に曲げ形成されている。また、ローラアッセンブリ12の曲率は、搬送路14の上流側から下流側に向かって徐々に大きくなり、搬送路14の下流側で所望の曲率になるように設定されている。これにより、加熱炉16内で軟化点近傍の温度に加熱されたガラス板18が、搬送路14に沿って搬送されながら搬送路14の曲率に沿って自重で曲げ形成される。
【0021】ローラアッセンブリ12は図2の断面図に示すように、ガイドシャフト20に複数のリングローラ22、22…を回転自在に取り付けて構成されている。
【0022】ガイドシャフト20は図2、図3に示すように7枚のフラットバーなどの帯状部材24、24…を重ね合わせて構成される。帯状部材24の枚数は7枚に限定されるものではないが、後述する理由により奇数枚に設定するのが好ましい。また、帯状部材24は、所定の剛性を有し且つ容易に湾曲するような金属製のものが好ましく、具体的には、ばね鋼やステンレスなどで作られている。
【0023】重ね合わされて構成されたガイドシャフト20は、保持部材26、26…に嵌合されてばらけるのが防止されている。保持部材26は、その中央部にガイドシャフト20が嵌合する矩形状開口部27が形成され、その外周部は円弧状に形成されている。また、保持部材26、26…は、ガイドシャフト20の長手方向に所定の間隔で配置され、これらの保持部材26の外周部に、自己潤滑性のある黄銅製の滑り軸受28を介してリングローラ22が回転自在に取り付けられている。更に、リングローラ22の外周部には、アルミニウムや耐熱樹脂製のスリーブ30が嵌合されている。なお、スリーブ30の外表面に、ガラス板18を傷つけないための繊維状またはフェルト状の耐熱部材を取り付けてもよい。
【0024】保持部材26はガイドシャフト20に対して、図3に示すスプリングピン32又は図6に示すねじ34、34によって固定される。ガイドシャフト20を湾曲させると、重ね合わせた帯状部材24、24…の上下面で滑りが生じ位置がずれる。このため、図3、図4の如く、スプリングピン32で固定する場合には、図5(A)に示すように、中央部の帯状部材(7枚の場合には上から4枚目の帯状部材)24についてのみ、スプリングピン32が嵌合する丸孔24Aが形成されている。それ以外の帯状部材24については、図5(B)に示すように、スプリングピン32に対して帯状部材24が逃げるための長孔24Bが帯状部材24の長手方向に形成されている。同様の理由により図6のねじ34で固定する場合も、図7(A)の如く中央部の帯状部材24に対してのみ保持部材26に固定できるように、ねじ34と嵌合する切欠き24Cが側面に形成されている。帯状部材24の枚数が奇数が望ましいとしたのも、この理由からである。すなわち、帯状部材24の枚数が偶数の場合には、ガイドシャフト20の芯となる中央部の帯状部材24が存在しないからである。
【0025】図2の如く、隣接するリングローラ22、22…は、それらの環状のリブ23、23に装着されたゴム製の弾性筒状部材36を介して連結されている。リブ23と弾性筒状部材36とは、不図示のねじによって連結されている。なお、弾性筒状部材36に代えて、図8R>8に示す金属ベローズ38やゴムベローズを用いてリングローラ22、22同士を連結してもよい。また、図9R>9、図10に示すように、リングローラ22の一方側に形成された凸部22Aを、リングローラ22の他方側に形成された凹部22Bに嵌合させることによって、リングローラ22、22同士を連結してもよい。
【0026】図2に示すように、ガイドシャフト20の両端には、エンドスリーブ40、42が嵌合されている。また、このエンドスリーブ40、42に、中央部の帯状部材24がスプリングピン44、44によって固定されている。また、エンドスリーブ40、42の側面に形成されたねじ孔45には、固定用ボルト46が螺合されている。ローラアッセンブリ12を任意の曲率に変形させた後、このボルト46を締め込んでガイドシャフト20をエンドスリーブ40、42に押し付けて固定することにより、ガイドシャフト20の曲率がその曲率に保持されるとともに、ガイドシャフト20の剛性が確保される。ガイドシャフト20の押し付け力は、ボルトで締め込む以外に、油圧や空気圧のシリンダ等による押し付け力でも実現できる。
【0027】更に、エンドスリーブ40には、ベアリング48を介してスリーブ50が取り付けられるとともに、エンドスリーブ42には、ベアリング52を介してギア54が取り付けられている。スリーブ50及びギア54も同様に、隣接するリングローラ22と弾性筒状部材36、36を介して連結されている。
【0028】ギア54には、不図示の駆動ギアが噛合され、駆動ギアからの回転駆動力がギア54に伝達されると、その駆動力が弾性筒状部材36を介してリングローラ22に伝達される。これにより、全てのリングローラ22、22…が一体的に回転される。なお、ギア54に代えて、チェーンスプロケットやベルトプーリ、摩擦車などの動力伝達手段により回転力をリングローラ22に伝えてもよい。
【0029】このように構成された実施の形態のローラアッセンブリ12を用いることによって、以下の利点が得られる。
【0030】すなわち、ローラアッセンブリ12を任意の曲率に変形させる場合には、帯状部材24、24…の厚さ方向の剛性のみが問題になるので、小さな力によってローラアッセンブリ12を変形させることができる。このため、半径1000mmといった小さい曲率半径Rの曲げ成形でも十分に対応できる。なお、帯状部材24として、厚さ2mmのステンレス板を適用することにより、上記曲率の曲げ成形が可能になった。
【0031】その一方で、曲げ変形後に固定用ボルト46、46によってガイドシャフト20をエンドスリーブ40、42に固定することで、十分な剛性が得られる。もともと帯状部材24の幅方向の剛性は強いので、外力に強く影響を受け難いローラアッセンブリ12を提供できる。
【0032】公知のローラアッセンブリでは、ガイドシャフトの湾曲形状は固定だったため、一度作ったローラアッセンブリの湾曲形状は変更できなかったが、実施の形態のローラアッセンブリ12では、運転状況に応じてローラアッセンブリ12の湾曲形状を大幅に変更したり微調整したりすることができる。
【0033】以上の利点から、生産において治工具コストの低減、品種切り替えによるジョブチェンジ時間短縮による生産性の向上、ローラアッセンブリ形状微調整可能による作業性向上を図ることができる。
【0034】ローラアッセンブリ12をガラス板の曲げ成形装置10に設置する場合の設置構造を図11の模式図、及び図12の詳細図に示す。ローラアッセンブリ12を任意の曲率に変形させるためには、ローラアッセンブリ12の両端の支持位置(支持幅)及び取り付け角度を任意に設定できる構造が必要であり、設定後はその姿勢で固定できる構成が必要である。
【0035】図11、図12に示す設置構造は、ローラアッセンブリ12の両端部のエンドスリーブ40、42が傾動柱(支持部)56、56に支持され、これらの傾動柱56、56が支柱58、58に角度設定機構60、60を介して、互いに対面した状態を保持しつつ傾動可能に支持されている。また、支柱58、58は、基台62に取り付けられた送りねじ(拡縮機構)64にスライダ66を介して螺合されるとともに、不図示の直動ガイド部材によって互いに対面する方向に進退移動自在に設置されている。送りねじ64に連結された手動操作用ハンドル68を回動させて支柱58、58を送り移動させることにより、支柱58、58の間隔を調整できる。その間隔が狭くなる方向に支柱58、58を移動させることにより、ローラアッセンブリ12が下方に撓み、その曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)。なお、送りねじ64をモータによって駆動してもよい。
【0036】角度設定機構60は、ローラアッセンブリ12の端部の水平線に対する傾斜角度θを設定する機構である。図11、図12に示す角度設定機構60は、傾動柱56をヒンジ70を介して支柱58に傾動自在に支持するとともに、傾動柱56にヒンジ70を介して取り付けられた揺動アーム57と支柱58とを送りねじ72を介して連結することにより構成されている。したがって、送りねじ72を締め込んでいくと、傾動柱56の傾動角が大きくなるので、ローラアッセンブリ12の端部の傾斜角度θが大きくなり、これに対して、送りねじ72を緩めていくと、傾動柱56の傾動角が小さくなるので、ローラアッセンブリ12の端部の傾斜角度θが小さくなる。そして、送りねじ72に設けられた一対のナット73、73を締め込むことにより、送りねじ72がその位置で固定されるので、設定した傾斜角度θに固定される。この傾斜角度θは、支柱58、58の間隔に対応して設定される。すなわち、間隔が狭くなるに従って傾斜角度θが大きくなるに設定され、間隔が広くなるに従って傾斜角度θが小さくなるに設定される。これにより、ローラアッセンブリ12に無理な力を加えることなく、ローラアッセンブリ12を湾曲させることができる。
【0037】このような構造にてローラアッセンブリ12の両端部の支持位置(支持幅)及び取り付け角度を固定することにより、固定用ボルト46(図2参照)によってガイドシャフト20をエンドスリーブ40、42に押し付けて固定しなくても、実用に耐える剛性を確保できる。また、固定用ボルト46によるガイドシャフト20の押し付け固定と併用してもよい。なお、図11のローラアッセンブリ12は、図11上で左側の傾動柱56にモータ74が固定され、このモータ74の駆動ギア76が図13に示すローラアッセンブリ12側のギア54に噛合されている。また、図13の符号31は、スリーブ30の外表面に取り付けられた繊維状またはフェルト状の耐熱部材である。
【0038】角度設定機構は、図12に示したものに限定されるものではなく、例えば14、図15に示した角度設定機構80でも適用できる。この角度設定機構80は、モータ74に取り付けられたブラケット82に揺動軸84を固定し、この揺動軸84を、基台86に設置された軸受88、88に回動自在に支持するとともに、軸受88に貫通配置された揺動軸84の端部85を、ウォームギアを用いたギアボックス90を介してモータ92の出力軸に連結している。したがって、モータ92を回転駆動させることにより、その動力がギアボックス90により減速されて揺動軸84に伝達するので、モータ74が揺動軸84を中心に揺動する。これにより、モータ74の駆動ギア76に噛合されている図11のローラアッセンブリ12がモータ74の揺動に連動して揺動し、傾斜角度θが設定される。
【0039】以上のように構成されたローラアッセンブリ12によれば、ローラアッセンブリ12のガイドシャフト30を、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材24、24…を重ねて構成したので、ガイドシャフトをコイルばね状に構成した従来のローラアッセンブリと比較して、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。
【0040】また、ローラアッセンブリ12によれば、ガイドシャフト20に取り付けられた隣接するリングローラ22、22同士を互いに連結するとともに、モータ74からの動力を伝達させてガイドシャフト20を中心に回転させた。これにより、ガラス板18を搬送するための駆動力を有するローラアッセンブリ12を提供できる。
【0041】更に、ローラアッセンブリ12によれば、ガイドシャフト20に取り付けられた各リングローラ22、22同士を、弾性筒状部材36を介して連結したので、その弾性筒状部材36の曲げ方向弾性変形によって形成される各リングローラ22、22…を結んだ曲線の曲率を、任意の曲率に容易に設定できる。また、弾性筒状部材36は筒状であり捩じり力に対する変形がし難いので、モータ74からの動力を隣接するリングローラに確実に伝達できる。
【0042】一方、図1に示したガラス板の曲げ成形装置10に、このような効果を有するローラアッセンブリ12を適用したので、生産品種の切り替え時に必要であったローラ交換作業が不要になる。よって、ジョブチェンジ作業を実質的に無くすことができる。
【0043】また、ガラス板の曲げ成形装置10によれば、図11の如くローラアッセンブリ12の両端部を揺動柱56、56によって支持するとともに、これらの揺動柱56、56の間隔を送りねじ64によって任意に拡縮し、ローラアッセンブリ12の曲率Rを任意に設定したので、簡単な機構でローラアッセンブリ12の曲率を設定することができる。
【0044】なお、図1の実施の形態では、ガラス板18を自重によって曲げ成形する曲げ成形装置10にローラアッセンブリ12を適用した例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図16に示すように、ガラス板18をローラアッセンブリ12、12…で搬送しながらモールド98で押してガラス板18を強制的に曲げ成形する成形装置100にも適用することができる。このモールド98は、ガラス板18の搬送速度に同期して同方向に移動されつつ、下降されてガラス板18を湾曲形成されたローラアッセンブリ12、12…に押圧する。そして、モールド98はガラス板18を押圧した状態でガラス板18と同方向に同速度で移動された後、上昇移動されて逆方向に移動され、元の押圧開始位置に戻される。すなわち、モールド98は図16上矢印で示した方向にタクト移動され、連続的に搬送されてくるガラス板18を曲げ成形する。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ローラアッセンブリのガイドシャフトを、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成したので、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。
【0046】また、本発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた隣接するリングローラ同士を互いに連結するとともに、モータからの動力を伝達させてガイドシャフトを中心に回転させたので、ガラス板を搬送するための駆動力を有するローラアッセンブリを提供できる。
【0047】更に、本発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた各リングローラ同士を、弾性筒状部材を介して連結したので、その弾性筒状部材の曲げ方向弾性変形によって形成される各リングローラを結んだ曲線の曲率を、任意の曲率に容易に設定でき、また、弾性筒状部材は筒状であり捩じり力に対する変形がし難いので、モータからの動力を隣接するリングローラに確実に伝達できる。
【0048】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置によれば、本発明のローラアッセンブリを適用したので、生産品種の切り替え時に必要であったローラ交換作業が不要になり、よって、ジョブチェンジ時間を実質的に無くすことができる。
【0049】また、本発明に係るガラス板の曲げ成形装置によれば、ローラアッセンブリの両端部を支持部によって支持するとともに、これらの支持部間の間隔を拡縮機構によって任意に拡縮し、ローラアッセンブリの曲率を任意に設定したので、簡単な機構でローラアッセンブリの曲率を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置の一実施形態を示した斜視図
【図2】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの一実施形態を示す横断面図
【図3】ローラアッセンブリを構成するガイドシャフトと保持部材の組立図
【図4】ローラアッセンブリの縦断面図
【図5】ガイドシャフトを構成する帯状部材の要部平面図
【図6】ガイドシャフトと保持部材とをねじで固定する例を示した組立図
【図7】図6に示したガイドシャフトを構成する帯状部材の要部平面図
【図8】リングローラ同士をゴムベローズを介して連結した例を示す断面図
【図9】リングローラ同士を凸部と凹部との嵌合により連結した例を示す断面図
【図10】図9に示したリングローラの斜視図
【図11】ローラアッセンブリを曲げ成形装置に取り付ける場合の取付構造図
【図12】ローラアッセンブリの角度設定機構の詳細図
【図13】ローラアッセンブリを一部破断して示したローラアッセンブリの組立図
【図14】角度設定機構の別実施例を示す平面図
【図15】図14に示した角度設定機構の側面図
【図16】ローラアッセンブリをモールド成形装置に適用した例を示す説明図
【符号の説明】
10、100…ガラス板の曲げ成形装置、12…ローラアッセンブリ、14…搬送路、16…加熱炉、18…ガラス板、20…ガイドシャフト、22…リングローラ、24…帯状部材、26…保持部材、28…滑り軸受、30…スリーブ、32…スプリングピン、36…弾性筒状部材、40、42…エンドスリーブ、60…角度設定機構、64…送りねじ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びガラス板の曲げ成形装置に係り、特に軟化点近傍の温度に加熱されたガラス板を搬送するとともに、搬送中のガラス板を搬送路に沿って任意の曲率に曲げ成形するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びガラス板の曲げ成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス板をローラで搬送しながら曲げ成形する装置として、ローラーフォームコンベア装置が知られている。このローラーフォームコンベア装置は、予め任意の曲率に曲げ形成されたガイドシャフトに複数のリングローラを回転可能に取り付けるとともに、それらのリングローラを連結して、端部に配設した動力又は動力伝達手段によって回転駆動させるローラアッセンブリを備えている。ローラアッセンブリは、複数本が平行に配されて任意の曲率の搬送路を形成する。そして、軟化点近傍の温度に加熱されたガラス板をこの搬送路で搬送しながら、搬送路の曲率に沿うように加熱状態のガラス板を自重で曲げ成形する。
【0003】ローラアッセンブリの構造については種々の例が公知である。
【0004】米国特許4,311,509号明細書には、リングローラの一方の側部に突部が形成されるとともに他方の側部に溝部が形成され、ローラの一方の側部に形成された突部が、隣接するローラの他方の側部に形成された溝部に嵌合され、一方の端部のリングローラを駆動することにより全てのリングローラに回転力が伝達され、全てのリングローラが一体的にガイドシャフトを中心にして回転する湾曲ローラが開示されている。
【0005】特開昭53−115718号公報には、可撓性のベロー形管を備え、ベロー形管はステンレス鋼板で螺旋状にねじ加工されているものが示されている。ベロー形管内には複数のつばが所定間隔をおいてねじ結合され、それぞれのつば内には滑り管が挿入されている。この滑り管をガイドシャフトに外嵌して、滑り管を介してベロー形管を回転することによりガラス板が搬送され、搬送中のガラス板が自重でベロー形管の曲率に沿って曲げ成形される。
【0006】特開平8−188431号公報には、予め任意の曲率に曲げ成形されたガイドシャフトにコイルばねが回転自在に外嵌されているものが示されている。このコイルばねは、端部に回転力が伝達されると、ガイドシャフトを中心に一体的に回転する。
【0007】特開平10−218629号公報には、予め任意の曲率に曲げ成形されたガイドシャフトに複数のリングローラが取り付けられるとともに、隣接するリングローラの相対向する側面に環状リブを形成し、環状リブにゴム等の弾性筒状部材の端部を嵌合させ、弾性筒状部材の端部をねじによって環状リブに固定して隣接するリングローラを互いに連結しているものが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の各例では、いずれもガイドシャフトは予め任意の曲率に形成されているので、曲率の異なる生産品種毎にガイドシャフトを製作する必要があり、コスト面で大きな負担となっていた。また、品種切り替え時にはローラの交換を伴うためジョブチェンジに長時間かかるという欠点があった。これは稼働時間を低下させ、生産性低下の原因になっていた。
【0009】一方、任意の曲率に設定できるローラアッセンブリも提案されている。このローラアッセンブリは、ガイドシャフトがコイルばね状に構成され、このコイルばねにに複数のリングローラが取り付けられ、ガイドシャフトを任意の曲率に変形させるようになっている。
【0010】しかしながら、このローラアッセンブリを、例えば自動車用窓ガラスなどで要求される半径1000mmといった小さい曲率半径Rの曲げ成形に対応させようとすると、太いコイルばねは、その曲率半径が小さいが故に用いることができず、細いコイルばねを使用せざるを得ない。これにより、コイルばねの剛性が不足するので、外力の影響を受け易くなり、曲げ成形されたガラス板の形状精度が悪化するという問題点があった。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、任意の曲率に湾曲させることが可能で、且つ剛性を有するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びこれを使用したガラス板の曲げ成形装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、任意の曲率に曲げられたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に取り付けられた複数のリングローラとを有し、これらのリングローラの回転によってガラス板を所定方向へ搬送しながらガラス板を曲げ成形するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、前記ガイドシャフトは、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成され、該ガイドシャフトに軸受を介して前記リングローラが回転自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】請求項1に記載の発明によれば、ローラアッセンブリのガイドシャフトを、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成したので、ガイドシャフトをコイルばね状に構成した従来のローラアッセンブリと比較して、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。特に湾曲方向と直交する方向に対して、高い剛性を得ることができる。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた隣接するリングローラ同士を互いに連結するとともに、モータからの動力を伝達させてガイドシャフトを中心に回転させた。これにより、ガラス板を搬送するための駆動力を有するローラアッセンブリを提供できる。
【0015】請求項3に記載の発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた各リングローラ同士を、弾性筒状部材を介して連結した。弾性筒状部材は筒状であり捩じり力に対する変形がし難いので、モータからの動力を隣接するリングローラに確実に伝達できる。
【0016】請求項4に記載のガラス板の曲げ成形装置によれば、請求項1、2又は3のうちいずれか1項に記載のローラアッセンブリを適用したので、生産品種の切り替え時に必要であったローラ交換作業が不要になる。よって、ジョブチェンジ作業を実質的に無くすことができる。
【0017】請求項5に記載のガラス板の曲げ成形装置によれば、ローラアッセンブリの両端部を支持部によって支持するとともに、これらの支持部間の間隔を拡縮機構によって任意に拡縮し、ローラアッセンブリの曲率を任意に設定したので、簡単な機構でローラアッセンブリの曲率を設定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明に係るガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ及びガラス板の曲げ成形装置の好ましい実施の形態を詳説する。
【0019】図1に示すガラス板の曲げ成形装置10は、複数本のローラアッセンブリ12、12…を備え、これらのローラアッセンブリ12、12…は互いに平行に配置されて搬送路14を形成している。ローラアッセンブリ12、12…で形成された搬送路14は、加熱炉16の下流側端部に形成されている。
【0020】ローラアッセンブリ12は、搬送路14の上流側で直線状に形成され、搬送路14の下流側で所定の曲率に曲げ形成されている。また、ローラアッセンブリ12の曲率は、搬送路14の上流側から下流側に向かって徐々に大きくなり、搬送路14の下流側で所望の曲率になるように設定されている。これにより、加熱炉16内で軟化点近傍の温度に加熱されたガラス板18が、搬送路14に沿って搬送されながら搬送路14の曲率に沿って自重で曲げ形成される。
【0021】ローラアッセンブリ12は図2の断面図に示すように、ガイドシャフト20に複数のリングローラ22、22…を回転自在に取り付けて構成されている。
【0022】ガイドシャフト20は図2、図3に示すように7枚のフラットバーなどの帯状部材24、24…を重ね合わせて構成される。帯状部材24の枚数は7枚に限定されるものではないが、後述する理由により奇数枚に設定するのが好ましい。また、帯状部材24は、所定の剛性を有し且つ容易に湾曲するような金属製のものが好ましく、具体的には、ばね鋼やステンレスなどで作られている。
【0023】重ね合わされて構成されたガイドシャフト20は、保持部材26、26…に嵌合されてばらけるのが防止されている。保持部材26は、その中央部にガイドシャフト20が嵌合する矩形状開口部27が形成され、その外周部は円弧状に形成されている。また、保持部材26、26…は、ガイドシャフト20の長手方向に所定の間隔で配置され、これらの保持部材26の外周部に、自己潤滑性のある黄銅製の滑り軸受28を介してリングローラ22が回転自在に取り付けられている。更に、リングローラ22の外周部には、アルミニウムや耐熱樹脂製のスリーブ30が嵌合されている。なお、スリーブ30の外表面に、ガラス板18を傷つけないための繊維状またはフェルト状の耐熱部材を取り付けてもよい。
【0024】保持部材26はガイドシャフト20に対して、図3に示すスプリングピン32又は図6に示すねじ34、34によって固定される。ガイドシャフト20を湾曲させると、重ね合わせた帯状部材24、24…の上下面で滑りが生じ位置がずれる。このため、図3、図4の如く、スプリングピン32で固定する場合には、図5(A)に示すように、中央部の帯状部材(7枚の場合には上から4枚目の帯状部材)24についてのみ、スプリングピン32が嵌合する丸孔24Aが形成されている。それ以外の帯状部材24については、図5(B)に示すように、スプリングピン32に対して帯状部材24が逃げるための長孔24Bが帯状部材24の長手方向に形成されている。同様の理由により図6のねじ34で固定する場合も、図7(A)の如く中央部の帯状部材24に対してのみ保持部材26に固定できるように、ねじ34と嵌合する切欠き24Cが側面に形成されている。帯状部材24の枚数が奇数が望ましいとしたのも、この理由からである。すなわち、帯状部材24の枚数が偶数の場合には、ガイドシャフト20の芯となる中央部の帯状部材24が存在しないからである。
【0025】図2の如く、隣接するリングローラ22、22…は、それらの環状のリブ23、23に装着されたゴム製の弾性筒状部材36を介して連結されている。リブ23と弾性筒状部材36とは、不図示のねじによって連結されている。なお、弾性筒状部材36に代えて、図8R>8に示す金属ベローズ38やゴムベローズを用いてリングローラ22、22同士を連結してもよい。また、図9R>9、図10に示すように、リングローラ22の一方側に形成された凸部22Aを、リングローラ22の他方側に形成された凹部22Bに嵌合させることによって、リングローラ22、22同士を連結してもよい。
【0026】図2に示すように、ガイドシャフト20の両端には、エンドスリーブ40、42が嵌合されている。また、このエンドスリーブ40、42に、中央部の帯状部材24がスプリングピン44、44によって固定されている。また、エンドスリーブ40、42の側面に形成されたねじ孔45には、固定用ボルト46が螺合されている。ローラアッセンブリ12を任意の曲率に変形させた後、このボルト46を締め込んでガイドシャフト20をエンドスリーブ40、42に押し付けて固定することにより、ガイドシャフト20の曲率がその曲率に保持されるとともに、ガイドシャフト20の剛性が確保される。ガイドシャフト20の押し付け力は、ボルトで締め込む以外に、油圧や空気圧のシリンダ等による押し付け力でも実現できる。
【0027】更に、エンドスリーブ40には、ベアリング48を介してスリーブ50が取り付けられるとともに、エンドスリーブ42には、ベアリング52を介してギア54が取り付けられている。スリーブ50及びギア54も同様に、隣接するリングローラ22と弾性筒状部材36、36を介して連結されている。
【0028】ギア54には、不図示の駆動ギアが噛合され、駆動ギアからの回転駆動力がギア54に伝達されると、その駆動力が弾性筒状部材36を介してリングローラ22に伝達される。これにより、全てのリングローラ22、22…が一体的に回転される。なお、ギア54に代えて、チェーンスプロケットやベルトプーリ、摩擦車などの動力伝達手段により回転力をリングローラ22に伝えてもよい。
【0029】このように構成された実施の形態のローラアッセンブリ12を用いることによって、以下の利点が得られる。
【0030】すなわち、ローラアッセンブリ12を任意の曲率に変形させる場合には、帯状部材24、24…の厚さ方向の剛性のみが問題になるので、小さな力によってローラアッセンブリ12を変形させることができる。このため、半径1000mmといった小さい曲率半径Rの曲げ成形でも十分に対応できる。なお、帯状部材24として、厚さ2mmのステンレス板を適用することにより、上記曲率の曲げ成形が可能になった。
【0031】その一方で、曲げ変形後に固定用ボルト46、46によってガイドシャフト20をエンドスリーブ40、42に固定することで、十分な剛性が得られる。もともと帯状部材24の幅方向の剛性は強いので、外力に強く影響を受け難いローラアッセンブリ12を提供できる。
【0032】公知のローラアッセンブリでは、ガイドシャフトの湾曲形状は固定だったため、一度作ったローラアッセンブリの湾曲形状は変更できなかったが、実施の形態のローラアッセンブリ12では、運転状況に応じてローラアッセンブリ12の湾曲形状を大幅に変更したり微調整したりすることができる。
【0033】以上の利点から、生産において治工具コストの低減、品種切り替えによるジョブチェンジ時間短縮による生産性の向上、ローラアッセンブリ形状微調整可能による作業性向上を図ることができる。
【0034】ローラアッセンブリ12をガラス板の曲げ成形装置10に設置する場合の設置構造を図11の模式図、及び図12の詳細図に示す。ローラアッセンブリ12を任意の曲率に変形させるためには、ローラアッセンブリ12の両端の支持位置(支持幅)及び取り付け角度を任意に設定できる構造が必要であり、設定後はその姿勢で固定できる構成が必要である。
【0035】図11、図12に示す設置構造は、ローラアッセンブリ12の両端部のエンドスリーブ40、42が傾動柱(支持部)56、56に支持され、これらの傾動柱56、56が支柱58、58に角度設定機構60、60を介して、互いに対面した状態を保持しつつ傾動可能に支持されている。また、支柱58、58は、基台62に取り付けられた送りねじ(拡縮機構)64にスライダ66を介して螺合されるとともに、不図示の直動ガイド部材によって互いに対面する方向に進退移動自在に設置されている。送りねじ64に連結された手動操作用ハンドル68を回動させて支柱58、58を送り移動させることにより、支柱58、58の間隔を調整できる。その間隔が狭くなる方向に支柱58、58を移動させることにより、ローラアッセンブリ12が下方に撓み、その曲率が大きくなる(曲率半径が小さくなる)。なお、送りねじ64をモータによって駆動してもよい。
【0036】角度設定機構60は、ローラアッセンブリ12の端部の水平線に対する傾斜角度θを設定する機構である。図11、図12に示す角度設定機構60は、傾動柱56をヒンジ70を介して支柱58に傾動自在に支持するとともに、傾動柱56にヒンジ70を介して取り付けられた揺動アーム57と支柱58とを送りねじ72を介して連結することにより構成されている。したがって、送りねじ72を締め込んでいくと、傾動柱56の傾動角が大きくなるので、ローラアッセンブリ12の端部の傾斜角度θが大きくなり、これに対して、送りねじ72を緩めていくと、傾動柱56の傾動角が小さくなるので、ローラアッセンブリ12の端部の傾斜角度θが小さくなる。そして、送りねじ72に設けられた一対のナット73、73を締め込むことにより、送りねじ72がその位置で固定されるので、設定した傾斜角度θに固定される。この傾斜角度θは、支柱58、58の間隔に対応して設定される。すなわち、間隔が狭くなるに従って傾斜角度θが大きくなるに設定され、間隔が広くなるに従って傾斜角度θが小さくなるに設定される。これにより、ローラアッセンブリ12に無理な力を加えることなく、ローラアッセンブリ12を湾曲させることができる。
【0037】このような構造にてローラアッセンブリ12の両端部の支持位置(支持幅)及び取り付け角度を固定することにより、固定用ボルト46(図2参照)によってガイドシャフト20をエンドスリーブ40、42に押し付けて固定しなくても、実用に耐える剛性を確保できる。また、固定用ボルト46によるガイドシャフト20の押し付け固定と併用してもよい。なお、図11のローラアッセンブリ12は、図11上で左側の傾動柱56にモータ74が固定され、このモータ74の駆動ギア76が図13に示すローラアッセンブリ12側のギア54に噛合されている。また、図13の符号31は、スリーブ30の外表面に取り付けられた繊維状またはフェルト状の耐熱部材である。
【0038】角度設定機構は、図12に示したものに限定されるものではなく、例えば14、図15に示した角度設定機構80でも適用できる。この角度設定機構80は、モータ74に取り付けられたブラケット82に揺動軸84を固定し、この揺動軸84を、基台86に設置された軸受88、88に回動自在に支持するとともに、軸受88に貫通配置された揺動軸84の端部85を、ウォームギアを用いたギアボックス90を介してモータ92の出力軸に連結している。したがって、モータ92を回転駆動させることにより、その動力がギアボックス90により減速されて揺動軸84に伝達するので、モータ74が揺動軸84を中心に揺動する。これにより、モータ74の駆動ギア76に噛合されている図11のローラアッセンブリ12がモータ74の揺動に連動して揺動し、傾斜角度θが設定される。
【0039】以上のように構成されたローラアッセンブリ12によれば、ローラアッセンブリ12のガイドシャフト30を、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材24、24…を重ねて構成したので、ガイドシャフトをコイルばね状に構成した従来のローラアッセンブリと比較して、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。
【0040】また、ローラアッセンブリ12によれば、ガイドシャフト20に取り付けられた隣接するリングローラ22、22同士を互いに連結するとともに、モータ74からの動力を伝達させてガイドシャフト20を中心に回転させた。これにより、ガラス板18を搬送するための駆動力を有するローラアッセンブリ12を提供できる。
【0041】更に、ローラアッセンブリ12によれば、ガイドシャフト20に取り付けられた各リングローラ22、22同士を、弾性筒状部材36を介して連結したので、その弾性筒状部材36の曲げ方向弾性変形によって形成される各リングローラ22、22…を結んだ曲線の曲率を、任意の曲率に容易に設定できる。また、弾性筒状部材36は筒状であり捩じり力に対する変形がし難いので、モータ74からの動力を隣接するリングローラに確実に伝達できる。
【0042】一方、図1に示したガラス板の曲げ成形装置10に、このような効果を有するローラアッセンブリ12を適用したので、生産品種の切り替え時に必要であったローラ交換作業が不要になる。よって、ジョブチェンジ作業を実質的に無くすことができる。
【0043】また、ガラス板の曲げ成形装置10によれば、図11の如くローラアッセンブリ12の両端部を揺動柱56、56によって支持するとともに、これらの揺動柱56、56の間隔を送りねじ64によって任意に拡縮し、ローラアッセンブリ12の曲率Rを任意に設定したので、簡単な機構でローラアッセンブリ12の曲率を設定することができる。
【0044】なお、図1の実施の形態では、ガラス板18を自重によって曲げ成形する曲げ成形装置10にローラアッセンブリ12を適用した例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図16に示すように、ガラス板18をローラアッセンブリ12、12…で搬送しながらモールド98で押してガラス板18を強制的に曲げ成形する成形装置100にも適用することができる。このモールド98は、ガラス板18の搬送速度に同期して同方向に移動されつつ、下降されてガラス板18を湾曲形成されたローラアッセンブリ12、12…に押圧する。そして、モールド98はガラス板18を押圧した状態でガラス板18と同方向に同速度で移動された後、上昇移動されて逆方向に移動され、元の押圧開始位置に戻される。すなわち、モールド98は図16上矢印で示した方向にタクト移動され、連続的に搬送されてくるガラス板18を曲げ成形する。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ローラアッセンブリのガイドシャフトを、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成したので、十分な剛性を確保しつつ、任意の曲率に湾曲させることができる。
【0046】また、本発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた隣接するリングローラ同士を互いに連結するとともに、モータからの動力を伝達させてガイドシャフトを中心に回転させたので、ガラス板を搬送するための駆動力を有するローラアッセンブリを提供できる。
【0047】更に、本発明によれば、ガイドシャフトに取り付けられた各リングローラ同士を、弾性筒状部材を介して連結したので、その弾性筒状部材の曲げ方向弾性変形によって形成される各リングローラを結んだ曲線の曲率を、任意の曲率に容易に設定でき、また、弾性筒状部材は筒状であり捩じり力に対する変形がし難いので、モータからの動力を隣接するリングローラに確実に伝達できる。
【0048】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置によれば、本発明のローラアッセンブリを適用したので、生産品種の切り替え時に必要であったローラ交換作業が不要になり、よって、ジョブチェンジ時間を実質的に無くすことができる。
【0049】また、本発明に係るガラス板の曲げ成形装置によれば、ローラアッセンブリの両端部を支持部によって支持するとともに、これらの支持部間の間隔を拡縮機構によって任意に拡縮し、ローラアッセンブリの曲率を任意に設定したので、簡単な機構でローラアッセンブリの曲率を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置の一実施形態を示した斜視図
【図2】本発明に係るガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリの一実施形態を示す横断面図
【図3】ローラアッセンブリを構成するガイドシャフトと保持部材の組立図
【図4】ローラアッセンブリの縦断面図
【図5】ガイドシャフトを構成する帯状部材の要部平面図
【図6】ガイドシャフトと保持部材とをねじで固定する例を示した組立図
【図7】図6に示したガイドシャフトを構成する帯状部材の要部平面図
【図8】リングローラ同士をゴムベローズを介して連結した例を示す断面図
【図9】リングローラ同士を凸部と凹部との嵌合により連結した例を示す断面図
【図10】図9に示したリングローラの斜視図
【図11】ローラアッセンブリを曲げ成形装置に取り付ける場合の取付構造図
【図12】ローラアッセンブリの角度設定機構の詳細図
【図13】ローラアッセンブリを一部破断して示したローラアッセンブリの組立図
【図14】角度設定機構の別実施例を示す平面図
【図15】図14に示した角度設定機構の側面図
【図16】ローラアッセンブリをモールド成形装置に適用した例を示す説明図
【符号の説明】
10、100…ガラス板の曲げ成形装置、12…ローラアッセンブリ、14…搬送路、16…加熱炉、18…ガラス板、20…ガイドシャフト、22…リングローラ、24…帯状部材、26…保持部材、28…滑り軸受、30…スリーブ、32…スプリングピン、36…弾性筒状部材、40、42…エンドスリーブ、60…角度設定機構、64…送りねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 任意の曲率に曲げられたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に取り付けられた複数のリングローラとを有し、これらのリングローラの回転によってガラス板を所定方向へ搬送しながらガラス板を曲げ成形するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、前記ガイドシャフトは、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成され、該ガイドシャフトに軸受を介して前記リングローラが回転自在に取り付けられていることを特徴とするガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項2】 前記ガイドシャフトに取り付けられた前記複数のリングローラは、隣接するリングローラ同士が互いに連結されるとともにモータからの動力が伝達されて回転されることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項3】 前記ガイドシャフトに取り付けられた前記複数のリングローラは、隣接するリングローラ同士が弾性筒状部材を介して連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項4】 請求項1、2又は3のうちいずれか1項に記載のローラアッセンブリを複数配列することにより形成された搬送面に沿って、曲げ成形温度まで加熱されたガラス板を通過させることにより、該ガラス板を任意の曲率に曲げる成形することを特徴とするガラス板の曲げ成形装置。
【請求項5】 前記ローラアッセンブリは、その両端部が支持部によって支持されるとともに、該支持部間の間隔を任意に拡縮する拡縮機構によって、その曲率が任意に設定されることを特徴とする請求項4に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【請求項1】 任意の曲率に曲げられたガイドシャフトと、該ガイドシャフトに回転自在に取り付けられた複数のリングローラとを有し、これらのリングローラの回転によってガラス板を所定方向へ搬送しながらガラス板を曲げ成形するガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリにおいて、前記ガイドシャフトは、任意の曲率に湾曲可能な複数の帯状部材を重ねて構成され、該ガイドシャフトに軸受を介して前記リングローラが回転自在に取り付けられていることを特徴とするガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項2】 前記ガイドシャフトに取り付けられた前記複数のリングローラは、隣接するリングローラ同士が互いに連結されるとともにモータからの動力が伝達されて回転されることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項3】 前記ガイドシャフトに取り付けられた前記複数のリングローラは、隣接するリングローラ同士が弾性筒状部材を介して連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の曲げ成形装置用ローラアッセンブリ。
【請求項4】 請求項1、2又は3のうちいずれか1項に記載のローラアッセンブリを複数配列することにより形成された搬送面に沿って、曲げ成形温度まで加熱されたガラス板を通過させることにより、該ガラス板を任意の曲率に曲げる成形することを特徴とするガラス板の曲げ成形装置。
【請求項5】 前記ローラアッセンブリは、その両端部が支持部によって支持されるとともに、該支持部間の間隔を任意に拡縮する拡縮機構によって、その曲率が任意に設定されることを特徴とする請求項4に記載のガラス板の曲げ成形装置。
【図4】
【図5】
【図7】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図14】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図16】
【図5】
【図7】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図8】
【図14】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図16】
【公開番号】特開2003−321231(P2003−321231A)
【公開日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−125716(P2002−125716)
【出願日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年11月11日(2003.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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