説明

ガラス等の合わせ面のシーリング方法。

【課題】 環境問題になっている鉛を含んだハンダ及びフィラの使用が困難になってきているがガラス等の接着に無鉛金属を使用する有効な接着方法が開発されていない。
【解決手段】ガラスのシーリング部に下地処理として蒸着鍍金により金、銀、ニッケルのいずれかを鍍金するか又はスクリーン印刷により銀ペイストを塗布、加熱処理する。下地処理した二枚のガラスを重ね合わせ、銀、錫ハンダの溶解点である280〜300℃に加熱し、下地処理した表面を棒状の銀錫ハンダを用いシーリングしたガラス。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスのシーリング部に蒸着鍍金又はスクリーン印刷により前処理を行い、ガラスに鉛を含まない金属を使用して接着あるいわガラスの周囲をシーリングしてテレビのブラウン管や真空容器又はガス封印容器を製作する技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、300℃付近での接着及びシーリングは、鉛を使用したハンダ又は鉛・ガラスフリットが主流であったが環境問題により鉛の使用ができなくなってきている。
【0003】
最近では金属材料として金属シール材にインジウムが使用されるようになった。しかし資源が乏しく高価なために使用が限られている。
【0004】
金属材料に変わるものとして樹脂を使用して接着やシールをする方法が開発されつつあるが、シールに用いると過熱によりガスが発生し、高真空度を要求される結合にはシール効果がなく,信頼性の高い金属によるシールに代わるには至っていない。
【0005】
鍍金でシールを行う方法もあるが、鍍金する製品を鍍金液に浸すため製品に水分及び鍍金液の影響がでるため採用されていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
a.環境問題になっている鉛を含んだハンダ及びフィラの使用が困難になってきているがガラス等の接着に無鉛金属を使用する有効な接着方法が開発されていない。
b.有機系接着剤を用いた接着では水分などの発生により電子部品に不具合が発生する。
c.シリコン系を用いた接着では、シール面に気泡が生じやすく高度な接着技術が要求され一般化していない。
d.鍍金による接着及びシールは、ニッケル等の材質を選択すると鍍金厚みによりガラスが破損し枠等に採用できない。
e.鍍金によるシールを行う場合、電解槽を使用した電気鍍金を行うため容器内部に水が混入し容器内部に部品を組み込んだ状態でシールできない。
無電解鍍金は、加熱冷却すると材料の熱膨張係数の違いから冷却時ガラスが破損する。
f.ガラス及び金属の接合を鉛以外の物で行うと材料の熱膨張係数の違いから冷却時ガラスが破損する。
以上のような欠点を解決するために本発明をした。
【問題を解決するための手段】
【0007】
ガラスのシーリング部に下地処理として蒸着鍍金により金、銀、ニッケルのいずれかを鍍金するか又はスクリーン印刷により銀ペイストを塗布、加熱処理する。蒸着鍍金及びスクリーン印刷に於いては鍍金厚が数ミクロン以下なので、ガラスに悪い影響を与えない、又電気鍍金に必要な電流を流すのに充分な厚さでもある。下地処理した二枚のガラスを重ね合わせ、銀、錫ハンダの溶解点である280〜300℃に加熱し、下地処理した表面を棒状の銀、錫ハンダを用いシーリングしたガラス。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施例1
図1は実施例1を示す断面図である。
二枚のガラス(1,2)のシーリング部に下地処理として蒸着鍍金により銀鍍金(3,4)する。下地処理した皮膜厚については特に限定はないが厚さが均一であり1アンペアの電流が流れれば充分である。鍍金の種類については、金、銀、ニッケルが下地処理として使用できることを確認している。なおスクリーン印刷は銀を確認の対象とした。下地処理した二枚の板ガラス(1,2)を重ね合わせ、銀錫ハンダの溶解点である280〜300℃に加熱する、この温度範囲以外でもよいが温度が低すぎるとハンダが溶けにくく、逆に高すぎると材料が酸化や気泡の発生原因となる、下地処理した表面を棒状の銀、錫ハンダを用いハンダ(5)付けする。使用したハンダは錫96.5%、銀3.5%から成る組成のものを用いた。配合割合を変えても接着は可能であり銀、錫を主成分とするものなら使用できる。
シーリングの方法として銀ロウ付けも行ったがガラスが破損した。
【0009】
実施例2
図2は実施例2を示す断面図である。
容器(7)のシールに散気官を使用せず容器に3mm以下の穴を開けシーリング部に下地処理として蒸着鍍金により銀鍍金(3)する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。3mm以下の穴を塞ぐ事ができる大きさの円盤状ガラス又は金属(8)に下地処理として蒸着鍍金により銀鍍金(4)する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。円盤状ガラスまたは金属(8)に下地処理した表面を銀、錫ハンダで予めハンダ(6)付けする。容器(7)にオーバーコートした円盤(8)を重ね280〜300℃で加熱、接着する。使用したハンダは錫96.5%、銀3.5%から成る組成のものを用いた。配合割合を変えても接着は可能であり銀、錫を主成分とするものなら使用できる。
【0010】
実施例3
図3は実施例3を示す断面図である。製品の使用温度が300℃以上の熱に曝される場合は、ガラス(1,2)のシーリング部両面に下地処理として蒸着鍍金により銀鍍金(3,4)する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。下地処理したガラス(1,2)を重ね下地処理皮膜に電解槽を使用せずに電気鍍金(9)を行う。鍍金する金属は、電極に脱脂綿等の吸水性の布を巻き、布に高濃度の電解液を含ませ、電極から布を通して電導性の下地表面に電流を流し、下地表面に金属を析出させる。使用する電流は直流、電圧は7〜16ボルト、電流は0.5〜2.5アンペアである。この鍍金方法を採用することにより容器内部に鍍金液を入れることなく鍍金(9)できる。熱膨張の影響及び下地処理に影響を与えない材質として銀、ニッケル−コバルトを確認した。
【0011】
実施例4
図4は実施例4を示す断面図である。ガラス(1)の枠作成部分に下地処理として蒸着鍍金により金、銀、ニッケル又はその合金のいずれかを銀鍍金(3)する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。下地処理した皮膜に電気鍍金(10)を行う。鍍金の材質は、銀を用い厚さ0.02〜2mmの範囲で形成させた金属枠付きガラス。
【発明の効果】
【0012】
ハンダ付け又は電気鍍金の前処理として、蒸着鍍金により金、銀、ニッケル、又はその合金のいずれかを鍍金するか、又は、スクリーン印刷により銀を塗布することで、
a.ハンダによる無鉛金属で、ガラスの接着が出来るようになったので環境問題が解決した。
b.有機系接着剤やシリコン系接着剤を使用する必要が無くなったので水分や気泡による不具合が解決した。
c.電解槽を使用しない電気鍍金が行えるため、容器内部に部品を組み込んだ状態で鍍金シール出来るようになった。又、鍍金の材料として銀、ニッケルーコバルトを使用することで熱膨張係数の違いによるガラスの破損を防止することが出来る。
d.厚さ2mm以上の銀鍍金が可能になり構造部材の一部として使えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1を示す断面図である。
【図2】 実施例2を示す断面図である。
【図3】 実施例3を示す断面図である。
【図4】 実施例4を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 板ガラス
3,4 銀鍍金
5,6 ハンダ
7 容器
8 ガラス叉は金属
9 鍍金
10 電気鍍金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス等の両シーリング部に下地処理として蒸着鍍金により金、銀、ニッケル又はその合金のいずれかを鍍金する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。下地処理した面を重ね合わせ280〜300℃に加熱、銀、錫合金を用いたハンダによるシーリング。
【請求項2】
ガラス等の両シーリング部に下地処理として蒸着鍍金により金、銀、ニッケル又はその合金のいずれかを鍍金する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。下地処理したガラスの片側又は両側を280〜300℃に加熱、銀、錫合金を使用してオーバーコートし、ガラスを重ね銀、錫ハンダの溶融点である280〜300℃まで加熱、シーリングした請求項1に関わるガラス。
【請求項3】
真空密閉又はガス封入が要求されるガラス容器等の穴周囲のシーリング部に下地処理として蒸着鍍金により銀の皮膜を形成させる。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。開口部を塞ぐ事ができる別のガラスまたは金属に下地処理として蒸着鍍金により銀の皮膜を形成させる。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。下地処理したガラス又は金属に銀、錫ハンダで下地処理表面を予めオーバーコートする。オーバーコートしたガラスの開口部と別のガラスまたは金属を重ね280〜300℃で加熱、シーリングする。
【請求項4】
ガラス等のシーリング部に下地処理として蒸着鍍金により金、銀、ニッケル又はその合金のいずれかを鍍金する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。下地処理した皮膜に電解槽を使用せずに電気鍍金を行う。鍍金する金属は銀、ニッケル又はその合金で、電極に脱脂綿等の吸水性の布に含まれた高濃度の電解液から電導性の下地表面に析出させ金属皮膜でシーリングしたガラス。
【請求項5】
ガラス等の枠作成部分に下地処理として蒸着鍍金により金、銀、ニッケル又はその合金のいずれかを鍍金する。又は、スクリーン印刷により銀を塗布する。下地処理した皮膜に電気鍍金を行う。鍍金の材質は、銀又はニッケルーコバルトを用い厚さ0.02〜2mmの範囲で形成させた金属枠付きガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−16289(P2006−16289A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222623(P2004−222623)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(502383281)有限会社ソフィアプロダクト (10)
【Fターム(参考)】