説明

キナーゼ阻害剤としてのチエノピリドン誘導体

p38MAPキナーゼの阻害剤である、カルボニル−若しくはスルホニル結合ピロリジン−1−イル、ピロリジン−3−イルアミノ又は関連成分により2位で置換されている一連のチエノ[2,3−b]ピリジン−6(7H)−オン誘導体は、医学で、例えば、免疫又は炎症障害の治療及び/又は予防で使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連のチエノピリドン誘導体、これらを含有する組成物、これらを調製する方法、及び医学におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫及び炎症応答には、様々な細胞型が、細胞間接触(例えば、その受容体とのインテグリン相互作用)と細胞間シグナル伝達分子との両方を介して生じる様々な相互作用を制御及び協調させるものとして関与している。数多くの様々なシグナル伝達分子が必要であり、サイトカイン、リンパ球、ケモカイン及び成長因子が含まれる。
【0003】
タンパク質キナーゼ、ホスファターゼ及びホスホリパーゼを含む細胞間シグナル伝達メカニズムにより、細胞は、このような細胞間シグナル伝達分子に応答する。5つの群のプロテインキナーゼが存在し、そのうちの主なものは、チロシンキナーゼ及びセリン/トレオニンキナーゼである[Hunter,T.,「酵素学における方法(タンパク質キナーゼの分類)」(Methods in Enzymology(Protein Kinase Classification))],p.3,Hunter,T.and Sefton,B.M.eds.,vol.200,Academic Press,San Diego,1991]。
【0004】
セリン/トレオニンキナーゼの1サブクラスは、マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼであり、これには、活性化ループの配列及びサイズにおいて異なる少なくとも3種のファミリーが存在する[Adams,J.L.et al.,Progress in Medicinal Chemistry,pp.1−60,King,F.D.and Oxford,A.W.eds.,vol.38,Elsevier Science,2001]:(i)細胞外調節キナーゼ(ERK);(ii)c−Jun NH末端キナーゼ又はストレス活性化キナーゼ(JNK又はSAPキナーゼ);及び(iii)トレオニン−グリシン−チロシン(TGY)活性化モチーフを有するp38キナーゼ。JNKとp38MAPキナーゼ(p38 MAPK)は両方とも、これらに限られないが、前炎症サイトカイン、例えば、腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−1(IL−1)、紫外線、内毒素並びに化学的又は浸透圧衝撃を含むストレス刺激により主に活性化される。
【0005】
p38 MAPKの4種のアイソホームが記載されている(p38α/β/γ/δ)。ヒトp38α酵素は初め、サイトカイン抑制抗炎症薬(CSAID)のターゲットとして同定され、発見された2種のアイソザイムは当初、CSAID結合タンパク質−1(CSBP−1)及びCSBP−2と称された[Lee,J.C.et al.,Nature(London),1994,372,739−46]。CSBP−2は現在では広く、p38αと称されており、マウスとヒトとの両方で保存されている2個のエキソンの異なるスプライシングの結果として、25個のアミノ酸の内部配列において、CSBP−1とは異なる[McDonnell,P.C.et al.,Genomics,1995,29,301−2]。CSBP−1及びp38αは広汎に発現され、組織分布、活性プロファイル、基質優先性又はCSAID結合に関して、2種のアイソホーム間で違いはない。第2のアイソホームは、p38βであり、これは、p38αと70%の同一性を有する。p38β2と称されるp38βの第2の形態も知られており、この2種のうち、こちらが、主な形態であると考えられる。p38α及びp38β2は、多くの様々な組織で発現される。しかしながら、単球及びマクロファージでは、p38αが優勢なキナーゼ活性である[Lee,J.C.,ibid;Jing,Y.et al.,J.Biol.Chem.,1996,271,10531−34;Hale,K.K.et al.,J.Immun.,1999,162,4246−52]。p38γ及びp38δ(それぞれSAPキナーゼ−3及びSAPキナーゼ−4とも称される)はそれぞれ、p38αに対して〜63%及び〜61%の相同性を有する。p38γは、骨格筋で主に発現される一方で、p38δは、睾丸、膵臓、前立腺、小腸及び一定の内分泌組織で見いだされる。
【0006】
p38の相同体及びスプライス変異体はすべて、Thr−Gly−Tyr(TGY)モチーフを含む12個のアミノ酸活性ループを含有する。p38を活性化するためには、二重特異性アップストリームキナーゼにより、TGYモチーフ中のThr−180及びTyr−182の両方が二重リン酸化されることが必要であり、それにより、これらの酵素の特異的活性の>1000倍の上昇が生じる[Doza,Y.N.et al.,FEBS Lett.,1995,364,7095−8012]。MKK6により、及び一定の条件下では関連酵素MKK3により、この二重リン酸化は行われる[Enslen,H.et al.,J.Biol.Chem.,1998,273,1741−48]。MKK3及びMKK6は、MAPKK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ)と称される酵素のファミリーに属し、これらは、MAP3Kとしても知られているMAPKKK(マイトジェン活性化キナーゼキナーゼキナーゼ)により活性化される。
【0007】
数種のMAP3Kが同定されており、これらは、環境ストレス、炎症サイトカイン及び他の因子を含む幅広い様々な刺激により活性化される。MAPKKのアップストリームアクチベーターとして同定される酵素のうちの数種は、MEKK4/MTK1(MAP又はERKキナーゼキナーゼ/MAP3キナーゼ−1)、ASK1(アポトーシス刺激キナーゼ)及びTAK1(TGF−β−活性化キナーゼ)である。MEKK4/MTK1は、環境刺激に応答して誘発され、場合によって、p38 MAPK活性化をもたらす数種のGADD−45−様遺伝子により活性されると考えられている[Takekawa,M.and Saito,H.,Cell,1998,95,521−30]。TAK1は、形質転換成長因子−β(TGF−β)に応答してMKK6を活性化することが判明している。p38 MAPKのTNF刺激活性化は、TRAF2[TNF受容体関連因子]及びFasアダプタータンパク質、Daxxの導入により仲介されると考えられ、これにより、ASK1、続いてp38 MAPKの活性化が生じる。
【0008】
p38 MAPKのいくつかの基質が同定されており、他のキナーゼ[例えば、MAPK活性化プロテインキナーゼ2/3/5(MAPKAP2/3/5)、p38 MAPK調節/活性化プロテインキナーゼ(PRAK)、MAPキナーゼ相互作用キナーゼ1/2(MNK1/2)、マイトジェン−及びストレス活性化プロテインキナーゼ1(MSK1/RLPK)及びリボソームS6キナーゼB(RSK−B)];転写因子[例えば、活性化転写因子2/6(ATF2/6)、単球エンハンサー因子−2A/C(MEF2A/C)、C/EBP相同タンパク質(CHOP)、Elk1及びSap−1a1];及び他の基質[例えば、cPLA2、p47Phox]が含まれる。
【0009】
環境ストレスに応じて、p38 MAPKにより、MAPKAP K2は活性化される。MAPKAP K2を欠失しているように操作されたマウスは、リポ多糖類(LPS)に応答してTNFを産生することはない。IL−1、IL−6、IFN−g及びIL−10などの数種の他のサイトカインの産生も部分的に阻害される[Kotlyarov,A.et al.,Nature Cell Biol.,1999,1,94−7]。更に、p38αゼロマウスからの胚幹細胞からのMAPKAP K2は、ストレスに応答して活性化されず、これらの細胞は、IL−1に応答してIL−6を産生しなかった[Allen,M.et al.,J.Exp.Med.、2000,191,859−69]。これらの結果は、MAPKAP K2は、TNF及びIL−1産生に必須なだけでなく、サイトカインにより誘発されるシグナル伝達にも必須であることを示している。加えて、MAPKAP K2/3は、細胞骨格再編成に関与する熱ショックタンパク質HSP25及びHSP27をリン酸化して、調節する。
【0010】
低いμM範囲の濃度で、ヒト単球内でIL−1及びTNF合成を阻害し[Lee,J.C.et al.,Int.J.Immunopharm.,1988,10,835]、シクロオキシゲナーゼ阻害剤に治療抵抗性を示す動物モデルで活性を示す[Lee,J.C.et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.,1993,696,149]p38 MAPKのいくつかの小分子阻害剤が報告されている。加えて、これらの小分子阻害剤は、IL−6、IL−8、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を含む幅広い前炎症タンパク質の合成を低下させることが知られている。サイトソルPLA2のTNF−誘発リン酸化及び活性化、内皮細胞でのVCAM−1のTNF誘発発現並びにコラゲナーゼ及びストロメライシンのIL−1刺激合成も、p38 MAPKの小分子阻害剤により阻害される[Cohen,P.,Trends Cell Biol.,1997,7,353−61]。
【0011】
単球及びマクロファージを含む様々な細胞が、TNF及びIL−1を産生する。過剰か、無秩序なTNF産生は、クローン病、潰瘍性大腸炎、運動麻痺(pyresis)、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎及び他の関節炎状態、毒素ショック症候群、内毒素ショック、敗血症、敗血症性ショック、グラム陰性セプシス、骨吸収疾患、再灌流障害、移植片対宿主疾患、同種移植拒絶、成人型呼吸窮迫症候群、慢性肺炎症疾患、珪肺、肺サルコイドーシス、大脳マラリア、瘢痕組織形成、ケロイド形成、インフルエンザなどの感染による熱及び筋肉痛、後天性免疫不全症候群(AIDS)の後の悪液質、感染又は悪性疾患による悪液質、AIDS又はAIDS関連症候群を含む多くの疾患状態に関与している。
【0012】
過剰か、無秩序なIL−1産生は、慢性関節リウマチ、変形性関節症、外傷性関節炎、風疹性関節症、急性滑膜炎、乾癬性関節炎、悪液質、ライター症候群、内毒素血症、毒素ショック症候群、結核、アテローム硬化症、筋肉変性並びに内毒素又は炎症性腸疾患により誘発される炎症反応などの他の急性又は炎症性疾患に関与している。加えて、IL−1は、糖尿病及び膵臓B細胞破壊にリンクしている[Dinarello,C.A.,J.Clinical Immunology,1985,5,287−97;Mandrup−Poulsen,T.,Diabetes,2001,50,558−563]。
【0013】
IL−8は、内皮細胞、単核細胞、線維芽細胞及びケラチノサイトを含む様々な細胞型により産生される白血球遊走因子である。IL−1、TNF及びLPSはすべて、内皮細胞によるIL−8の産生を誘発する。in vitroでIL−8は、好中球、Tリンパ球及び好塩基球のための化学誘因物質であることを含む、多くの機能を有することが判明している。IL−8は、好中球でのMac−1(CD11b/CD18)の表面発現を増大させ、その際、好中球と血管内皮細胞との接着の増大に寄与しうる新規タンパク質合成を伴わないことも判明している。多くの疾患は、大量の好中球浸潤により特徴づけられる。好中球からのリソソーム酵素放出及びレスピラトリーバーストと同様に、好塩基球からのヒスタミン放出(アトピー性及び正常な個人の両方で)は、IL−8により誘発される。
【0014】
他の白血球由来サイトカインと共に、重要かつ決定的な炎症性メディエーターとしてのIL−1及びTNFの重要な役割は、よく記録されている。これらのサイトカインの阻害は、これらの疾患状態の多くを制御、緩和又は低減する際に有用であると判明しているか、そのように期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
シグナル伝達分子が仲介する細胞外から細胞内へのシグナル伝達のカスケード及びIL−1、TNF及びIL−8産生だけでなく、他の前炎症タンパク質(例えば、IL−6、GM−CSF、COX−2、コラゲナーゼ及びストロメライシン)の合成及び/又は作用へのその影響においてp38 MAPKが占める中心的な位置により、これは、小分子阻害剤により阻害するための魅力的なターゲットであり、このような阻害は、免疫系の過剰及び破壊的活性を調節するためのかなり有効なメカニズムであろうことが期待される。このような期待は、p38 MAPK阻害剤に関して記載された強力かつ多様な抗炎症活性に裏付けられている[Adams,ibid;Badger et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1996,279,1453−61;Griswold et al.,Pharmacol.Comm.,1996,7,323−29]。
【課題を解決するための手段】
【0016】
こうして、我々は、p38 MAPK(p38α、β、δ及びγ)並びにそのアイソホーム及びスプライス変異体、特に、p38α、p38β及びp38β2の強力かつ選択的阻害剤である化合物群を発見した。従って、この化合物は、医学、例えば、前記のような免疫又は炎症障害を予防及び治療する際に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一態様では、我々は、式(1)の化合物並びにその塩、溶媒和物、水和物及びN−酸化物を提供する。
【化1】


[式中、
Xは、共有結合又は基−N(R)−であり;
Yは、結合基−C(O)−又は−S(O)−であり;
nは、0又は整数1であり;
mは、整数1、2又は3であり;
pは、0又は整数1、2、3若しくは4であり;
qは、0又は整数1若しくは2であり;
Rは、水素原子又は直鎖若しくは分枝鎖C〜Cアルキル基であり;
は、−OH、−(Alk)OH(式中、Alkは、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキレン鎖である)、−OR(式中、Rは、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル基である)、−(Alk)OR、−NR(式中、R及びRは、同じでも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖若しくは分枝鎖C〜Cアルキル基である)、−(Alk)NR又は直鎖若しくは分枝鎖C〜Cアルキル基であり;
Lは、結合原子又は基−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−CH−、−CH(R)−、−C(R−又は−NR−(式中、Rは水素原子又はC〜Cアルキル基である)であり;
Alkは、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキレン鎖であり;
Cyは、置換されていてもよい脂環式、多脂環式、複素脂環式、複素多脂環式、芳香族又は複素芳香族基であり;
Arは、置換されていてもよい芳香族又は複素芳香族基である]。
【0018】
更に本発明は、式中のXが基−N(R)−であり、pが整数1、2、3又は4であり、残りの変数が前記と同様に定義される化合物を提供する。
【0019】
式(1)の化合物は、1個又は複数のキラル中心を有し、鏡像異性体又はジアステレオ異性体として存在しうると理解されたい。本発明は、このような鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び、ラセミ体を含むあらゆる割合でのこれらの混合物のすべてに及ぶことを理解されたい。式(1)及び後記の式は、他に記載又は図示されていない限り、個々の異性体及びこれらの混合物のすべてを示しているものとする。加えて、式(1)の化合物は、互変異性体、例えば、ケト(CHC=O)−エノール(CH=CHOH)互変異性体として存在しうる。式(1)及び後記の式は、他に記載のない限り、個々の互変異性体及びこれらの混合物のすべてを示しているものとする。
【0020】
本発明の化合物及びその中間体に関して本発明で使用される次の一般用語は、他に特に定義されていない限り、下記に述べる意味を有する。
【0021】
本願明細書で使用される場合、「アルキル」という用語には、基として又は基の一部として存在する場合にも、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル又はtert−ブチル基などのC〜Cアルキル基が含まれる。同様に、「アルケニル」又は「アルキニル」という用語は、C〜Cアルケニル又はC〜Cアルキニル基などの直鎖又は分枝鎖C〜Cアルケニル基又はC〜Cアルキニル基を意味することとする。これらの基に存在してもよい付加的な置換基は、1、2、3個又はそれ以上の置換基を含み、この際、各置換基は、同じでも異なってもよく、ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子若しくは−OH、−COH、−CO[式中、Rは、置換されていてもよい直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル基であり、特に、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル基である]、例えば、−COCH又は−COC(CH、−CONHR、例えば、−CONHCH、−CON(R、例えば、−CON(CH、−COR、例えば、−COCH、C〜Cアルコキシ、例えば、メトキシ又はエトキシ、ハロC〜Cアルコキシ、例えば、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシ、チオール(−SH)、−S(O)R、例えば、−S(O)CH、−S(O)、例えば、−S(O)CH、C〜Cアルキルチオ、例えば、メチルチオ又はエチルチオ、アミノ、−NHR、例えば、−NHCH又は−N(R、例えば、−N(CH基から選択される。前記の置換基のいずれかに2個のR基が存在する場合には、これらは、同じでも異なってもよい。
【0022】
加えて、前記の付加的な置換基のいずれかに2個のRアルキル基が存在する場合、これらの基は、それらが結合しているN原子と共に一緒になって、複素環を形成してもよい。このような複素環は、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−又は−C(S)−基から選択される他のヘテロ原子又はヘテロ原子含有基により中断されていてもよい。このような複素環の具体的な例には、ピペリジニル、ピラゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル及びピペラジニル環が含まれる。
【0023】
ハロゲンという用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を含むものとする。
【0024】
「ハロアルキル」という用語は、前記の1、2又は3個の前記のハロゲン原子により置換されている前記のアルキル基を含むものとする。このような基の具体的な例には、−CF、−CCl、−CHF、−CHCl、−CHF及び−CHCl基が含まれる。
【0025】
本発明で使用する場合、「アルコキシ」という用語には、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ及びtert−ブトキシなどのC〜Cアルコキシが含まれるものとする。本発明で使用する場合、「ハロアルコキシ」には、前記の1、2又は3個のハロゲン原子により置換されているアルコキシ基が含まれる。具体的な例には、−OCF、−OCCl、−OCHF、−OCHCl、−OCHF及び−OCHCl基が含まれる。
【0026】
本発明で使用する場合、「アルキルチオ」という用語には、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキルチオ、例えば、メチルチオ又はエチルチオなどのC〜Cアルキルチオが含まれるものとする。
【0027】
本発明で使用する場合、「アルキルアミノ」又は「ジアルキルアミノ」という用語には、基−NHR1a及び−N(R1a)(R1b)が含まれるものとし、ここで、R1a及びR1bはそれぞれ独立に、置換されていてもよい直鎖又は分枝鎖アルキル基であるか、一緒になって、それらが結合しているN原子と共に、更に−O−又は−S−原子若しくは−N(R1a)基などのヘテロ原子又はヘテロ原子含有基を含んでもよい場合によって置換されているヘテロシクロアルキル基を形成する。このような置換されていてもよいヘテロシクロアルキル基の具体的な例には、置換されていてもよいピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びN’−C〜Cアルキルピペラジニル基が含まれる。このようなヘテロシクロアルキル基に存在しうる付加的な置換基には、用語「アルキル」に関して前記された付加的な置換基が含まれる。
【0028】
Alk及び/又はAlkにより表されるアルキレン鎖の具体的な例には、それぞれ本発明の化合物中に存在する場合、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)CH−、−(CHCH−、−C(CH−、−(CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−C(CHCH−又は−CH(CH)CHCH−鎖が含まれる。
【0029】
本発明の化合物中の基Cyにより表される置換されていてもよい脂環式基には、置換されていてもよいC〜C10脂環式基が含まれる。具体的な例には、置換されていてもよいC〜C10シクロアルキル、例えば、C〜Cシクロアルキル又はC〜C10シクロアルケニル、例えば、C〜Cシクロアルケニル基が含まれる。
【0030】
基Cyにより表される脂環式基の具体的な例には、置換されていてもよいシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2−シクロブテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル及び3−シクロペンテン−1−イル基が含まれる。
【0031】
基Cyにより表される脂環式基に存在してもよい付加的な置換基には、ハロゲン原子若しくはC〜Cアルキル、例えば、メチル又はエチル、ハロC〜Cアルキル、例えば、ヒドロキシルにより置換されていてもよいジフルオロメチル又はトリフルオロメチル、例えば−C(OH)(CFなどのハロメチル又はハロエチル、C〜Cアルコキシ、例えば、メトキシ又はエトキシ、ハロC〜Cアルコキシ、例えば、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシなどのハロメトキシ又はハロエトキシ、チオール、C〜Cアルキルチオール、例えば、メチルチオール又はエチルチオール、カルボニル(=O)、チオカルボニル(=S)、イミノ(=NR4a)(式中、R4aは、−OH基又はC〜Cアルキル基である)若しくは−(Alk基(式中、Alkは直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキレン鎖であり、vは0又は整数1であり、RはC〜Cシクロアルキル、−OH、−SH、−N(R)(R)(式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は置換されていてもよいアルキル又はC〜Cシクロアルキル基である)、


(式中、RはRに関しての定義と同様である)、−N(R)C(S)N(R)(R)、−N(R)SON(R)(R)又は置換されていてもよい芳香族又は複素芳香族基から選択される1、2、3個又はそれ以上の置換基が含まれる。
【0032】
Alk鎖の具体例には、−CH−、−CHCH、−CHCHCH−及び−CH(CH)CH−鎖が含まれる。
【0033】
、R、R及び/又はRがC〜Cシクロアルキル基として存在する場合、これは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基であってよい。このような基に存在してもよい付加的な置換基には例えば、ハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子若しくはヒドロキシ又はC〜Cアルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシ基から選択される同じか異なってよい1,2又は3個の置換基が含まれる。
【0034】
基R及びR若しくはR及びRが両方ともアルキル基である場合、これらの基は、それらが結合しているN原子と共に一緒になって、複素環を形成してもよい。このような複素環は、−O−、−S−、−N(R)−、−C(O)−又は−C(S)−基から選択されるさらなるヘテロ原子又はヘテロ原子含有基により中断されていてもよい。このような複素環の具体的な例には、ピペリジニル、ピラゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル及びピペラジニル環が含まれる。
【0035】
が置換されていてもよい芳香族又は複素芳香族基である場合、これは、Cyに関して後記で記載するような基であってよい。
【0036】
通常、基Cyで表される置換されていてもよい芳香族基には例えば、フェニル、1−又は2−ナフチルル、1−又は2−テトラヒドロナフチル、インダニル又はインデニル基などの単環式又は二環式縮合環C〜C12芳香族基、特に、フェニルが含まれる。
【0037】
基Cyで表される複素芳香族基には例えば、酸素、硫黄又は窒素原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有するC〜Cヘテロ芳香族基が含まれる。通常、ヘテロ芳香族基は例えば、単環式又は二環式縮合環ヘテロ芳香族基であってよい。単環式ヘテロ芳香族基には例えば、酸素、硫黄又は窒素原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5又は6員のヘテロ芳香族基が含まれる。二環式ヘテロ芳香族基には例えば、酸素、硫黄又は窒素原子から選択される1、2個又はそれ以上のヘテロ原子を含有する8から13員の縮合環ヘテロ芳香族基が含まれる。
【0038】
これらのタイプのヘテロ芳香族基の具体的な例には、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、N−C〜Cアルキルイミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾフリル、ベンゾチエニル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インドリニル、インダゾリニル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、[3,4−ジヒドロ]ベンゾピラニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、イミダゾ[1,5−a]ピリジニル、イミダゾ[1,5−a]ピラジニル、イミダゾ[1,5−c]ピリミジニル、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、ナフタラジニル、テトラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニル、イミジル、例えば、スクシンイミジル、フタルイミジル又は1,8−ナフタルイミジルなどのナフタルイミジル、ピラゾロ[4,3−d]ピリミジニル、フロ[3,2−d]ピリミジニル、チエノ[3,2−d]ピリミジニル、ピロロ[3,2−d]ピリミジニル、ピラゾロ[3,2−b]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル、チエノ[3,2−b]ピリジニル、ピロロ[3,2−b]ピリジニル、チアゾロ[3,2−a]ピリジニル、ピリド[1,2−a]ピリミジニル、テトラヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリミジニル及びジヒドロイミダゾ[1,2−a]ピリミジニル基が含まれる。
【0039】
基Cyにより表される芳香族又は複素芳香族基に存在してもよい付加的な置換基には、原子又は基R10からそれぞれ選択される1、2、3個又はそれ以上の置換基が含まれ、この際、R10は、R10a又は−LAlk(R10aであり、ここで、R10aは、ハロゲン原子若しくはアミノ(−NH)、置換アミノ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル(−OH)、置換ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル(−COH)、エステル化カルボキシル、チオール(−SH)、置換チオール、−COR11(式中、R11は−LAlk(R10a、アリール又はヘテロアリール基である)、−CSR11、−SOH、−SOR11、−SO11、−SO11、−SONH、−SONHR11、−SON(R11、−CONH、−CSNH、−CONHR11、−CSNHR11、−CON(R11、−CSN(R11、−N(R12)SO11(式中、R12は、水素原子又は直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、


(式中、−NHetは、1個又は複数の他の−O−又は−S−原子若しくは−N(R12)−、−C(O)−又は−C(S)−基を含有してもよく置換されていてもよいC〜C環状アミノ(cyclicamino)基である)、−CONHet、−CSNHet、−N(R12)SONHet、−N(R12)CONHet、−N(R12)CSNHet、−SON(R12)Het(式中、−Hetは、1個又は複数の他の−O−又は−S−原子若しくは−N(R12)−、−C(O)−、−S(O)−又は−S(O)−基を含有してもよく置換されていてもよい単環式C〜C炭素環基である)、−Het、−CON(R12)Het、−CSN(R12)Het、−N(R12)CON(R12)Het、−N(R12)CSN(R12)Het、−N(R12)SON(R12)Het、アリール又はヘテロアリール基であり;Lは、共有結合又は結合原子又は基であり;Alkは、1、2又は3個の−O−又は−S−原子又は−S(O)(式中、kは、整数1又は2である)又は−N(R12)−、例えば、−N(CH)−基により中断されていてもよく、置換されていてもよい直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキレン、C〜Cアルケニレン又はC〜Cアルキニレン鎖であり;rは、0又は整数1、2又は3である。前記の置換基のいずれかに、2個のR11又はR12基が存在する場合には、R11及びR12基は、同じでも異なってもよい。
【0040】
基−LAlk(R10a中のLがリンカー原子又は基である場合、これは例えば、二価結合原子又は基であってよい。具体的な例には、−O−又は−S−原子若しくは−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(S)−、−S(O)−、−S(O)−、−N(R)−(式中、Rは水素原子又は直鎖又は分枝鎖アルキル基である)、−N(R)O−、−N(R)N−、−CON(R)−、−OC(O)N(R)−、−CSN(R)−、−N(R)CO−、−N(R)C(O)O−、−N(R)CS−、−S(O)N(R)、−N(R)S(O)−、−N(R)CON(R)−、−N(R)CSN(R)−又は−N(R)SON(R)−基が含まれる。Lが2個のR基を含む場合には、これらは、同じでも異なってもよい。
【0041】
基−LAlk(R10a中、rが整数1、2又は3である場合、1個又は複数の置換基R10aは、−Alk中の適切な炭素原子に存在してよいことを理解されたい。1個を上回るR10a置換基が存在する場合には、これらは同じでも異なってもよく、−Alk中の同じか異なる原子に存在してよい。明確には、rが0であり、置換基R10aが存在しない場合、Alkにより表されるアルキレン、アルケニレン又はアルキニレン鎖は、アルキル、アルケニル又はアルキニル基になる。
【0042】
10aが置換アミノ基である場合、これは例えば、基−NHR11(式中、R11は前記と同様に定義される)又は基−N(R11(式中、R11基はそれぞれ、同じか異なる)であってよい。
【0043】
10aがハロゲン原子である場合、これは例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子であってよい。
【0044】
10aが置換ヒドロキシル又は置換チオール基である場合、これは例えばそれぞれ、基−OR11又は−SR12である。
【0045】
基R10aにより表されるエステル化カルボキシル基には、式−COAlkの基が含まれ、ここで、Alkは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル又はtert−ブチル基などの直鎖又は分枝鎖の置換されていてもよいC〜Cアルキル基;置換されていてもよいベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、1−ナフチルメチル又は2−ナフチルメチル基などのC〜C12アリールC〜Cアルキル基;置換されていてもよいフェニル、1−ナフチル又は2−ナフチル基などのC〜C12アリール基;置換されていてもよいフェニルオキシメチル、フェニルオキシエチル、1−ナフチルオキシメチル又は2−ナフチルオキシメチル基などのC〜C12アリールオキシC〜Cアルキル基;ピバロイルオキシメチル、プロピオニルオキシエチル又はプロピオニルオキシプロピル基などの置換されていてもよいC〜CアルカノイルオキシC〜Cアルキル基;又は置換されていてもよいベンゾイルオキシエチル又はベンゾイルオキシプロピル基などのC〜C12アロイルオキシC〜Cアルキル基である。Alk基に存在する付加的な置換基には、前記のR10a原子及び基が含まれる。
【0046】
Alkが置換基中に、又は置換基として存在する場合、これは例えば、1、2又は3個の−O−又は−S−原子若しくは−S(O)−、−S(O)−又は−N(R12)−、例えば、−N(CH)基により中断されていてもよい


鎖である。Alkにより表される脂肪族鎖は、存在してもよいR10aに加えて、1、2又は3個のハロゲン原子により置換されていてもよい。
【0047】
基R10a又はR11により表されるアリール又はヘテロアリール基には、基Cyに関して前記したような単環式又は二環式の置換されていてもよいC〜C12芳香族又はC〜C複素芳香族基が含まれる。芳香族及び複素芳香族基は、炭素原子又はヘテロ原子、例えば、窒素原子により適切に、式(1)の化合物中の基Cyに結合していてもよい。
【0048】
−NHet又は−Hetが置換基R10の一部を形成している場合、環−NHet又は−Het内に存在してもよいヘテロ原子又はヘテロ原子含有基は、親炭素環内の炭素原子の代わりであることは、理解されるであろう。
【0049】
例えば、−NHet又は−Hetが置換基R10の一部を形成している場合、R10はそれぞれ例えば、置換されていてもよいピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル又はチアゾリジニル基であってよい。加えて、Hetは、例えば、置換されていてもよいシクロペンチル又はシクロヘキシル基を表すこともできる。Cyが複素環脂肪族基である場合、−NHetに存在してもよい付加的な置換基には、前記の置換基が含まれる。
【0050】
10により表される特に使用可能な原子又は基には、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子、若しくはC〜Cアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はtert−ブチル、置換されていてもよいフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、フリル、チアゾリル又はチエニル、C〜Cヒドロキシアルキル、例えば、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル、カルボキシC〜Cアルキル、例えば、カルボキシエチル、C〜Cアルキルチオ、例えば、メチルチオ又はエチルチオ、カルボキシC〜Cアルキルチオ、例えば、カルボキシメチルチオ、2−カルボキシエチルチオ又は3−カルボキシプロピルチオ、C〜Cアルコキシ、例えば、メトキシ又はエトキシ、ヒドロキシC〜Cアルコキシ、例えば、2−ヒドロキシエトキシ、置換されていてもよいフェノキシ、ピリジルオキシ、チアゾリルオキシ、フェニルチオ又はピリジルチオ、C〜Cシクロアルキル、例えば、シクロブチル又はシクロペンチル、C〜Cシクロアルコキシ、例えば、シクロペンチルオキシ、ハロC〜Cアルキル、例えば、トリフルオロメチル、ハロC〜Cアルコキシ、例えば、トリフルオロメトキシ、C〜Cアルキルアミノ、例えば、メチルアミノ又はエチルアミノ、−CH(CH)NH又は−C(CHNH、ハロC〜Cアルキルアミノ、例えば、フルオロC〜Cアルキルアミノ、−CH(CF)NH、又は−C(CFNH、アミノ(−NH)、アミノC〜Cアルキル、例えば、アミノメチル又はアミノエチル、C〜Cジアルキル、例えば、ジメチルアミノ又はジエチルアミノ、C〜CアルキルアミノC〜Cアルキル、例えば、エチルアミノエチル、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルキル、例えば、ジエチルアミノエチル、アミノC〜Cアルコキシ、例えば、アミノエトキシ、C〜CアルキルアミノC〜Cアルコキシ、例えば、メチルアミノエトキシ、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルコキシ、例えば、ジメチルアミノエトキシ、ジエチルアミノエトキシ、ジイソプロピルアミノエトキシ又はジメチルアミノプロポキシ、フタルイミド又はナフタルイミドなどのイミド、例えば、1,8−ナフタルイミド、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル(−OH)、ホルミル[HC(O)−]、カルボキシル(−COH)、−COAlk(式中、Alkは、前記と同様に定義される)、C〜Cアルカノイル、例えば、アセチル、置換されていてもよいベンゾイル、チオール(−SH)、チオC〜Cアルキル、例えば、チオメチル又はチオエチル、スルホニル(−SOH)、C〜Cアルキルスルホニル、例えば、メチルスルホニル、アミノスルホニル(−SONH)、C〜Cアルキルアミノスルホニル、例えば、メチルアミノスルホニル又はエチルアミノスルホニル、C〜Cジアルキルアミノスルホニル、例えば、ジメチルアミノスルホニル又はジエチルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、カルボキサミド(−CONH)、C〜Cアルキルアミノカルボニル、例えば、メチルアミノカルボニル又はエチルアミノカルボニル、C〜Cジアルキルアミノカルボニル、例えば、ジメチルアミノカルボニル又はジエチルアミノカルボニル、アミノC〜Cアルキルアミノカルボニル、例えば、アミノエチルアミノカルボニル、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルキルアミノカルボニル、例えば、ジエチルアミノエチルアミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、C〜Cアルキルアミノカルボニルアミノ、例えば、メチルアミノカルボニルアミノ又はエチルアミノカルボニルアミノ、C〜Cジアルキルアミノカルボニルアミノ、例えば、ジメチルアミノカルボニルアミノ又はジエチルアミノカルボニルアミノ、C〜CアルキルアミノカルボニルC〜Cアルキルアミノ、例えば、メチルアミノカルボニルメチルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、C〜Cアルキルアミノチオカルボニルアミノ、例えば、メチルアミノチオカルボニルアミノ又はエチルアミノチオカルボニルアミノ、C〜Cジアルキルアミノチオカルボニルアミノ、例えば、ジメチルアミノチオカルボニルアミノ又はジエチルアミノチオカルボニルアミノ、C〜CアルキルアミノチオカルボニルC〜Cアルキルアミノ、例えば、エチルアミノチオカルボニルメチルアミノ、−CONHC(=NH)NH、C〜Cアルキルスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ又はエチルスルホニルアミノ、C〜Cジアルキルスルホニルアミノ、例えば、ジメチルスルホニルアミノ又はジエチルスルホニルアミノ、置換されていてもよいフェニルスルホニルアミノ、アミノスルホニルアミノ(−NHSONH)、C〜Cアルキルアミノスルホニルアミノ、例えば、メチルアミノスルホニルアミノ又はエチルアミノスルホニルアミノ、C〜Cジアルキルアミノスルホニルアミノ、例えば、ジメチルアミノスルホニルアミノ又はジエチルアミノスルホニルアミノ、置換されていてもよいモルホリンスルホニルアミノ又はモルホリンスルホニルC〜Cアルキルアミノ、置換されていてもよいフェニルアミノスルホニルアミノ、C〜Cアルカノイルアミノ、例えば、アセチルアミノ、アミノC〜Cアルカノイルアミノ、例えば、アミノアセチルアミノ、C〜CジアルキルアミノC〜Cアルカノイルアミノ、例えば、ジメチルアミノアセチルアミノ、C〜CアルカノイルアミノC〜Cアルキル、例えば、アセチルアミノメチル、C〜CアルカノイルアミノC〜Cアルキルアミノ、例えば、アセトアミドエチルアミノ、C〜Cアルコキシカルボニルアミノ、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ又はtert−ブトキシカルボニルアミノ又は置換されていてもよいベンジルオキシ、ピリジルメトキシ、チアゾリルメトキシ、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ベンジルオキシカルボニルアミノC〜Cアルキル、例えば、ベンジルオキシカルボニルアミノエチル、ベンゾチオ、ピリジルメチルチオ又はチアゾリルメチルチオ基が含まれる。
【0051】
10により表される置換基の更に特に有用な基には、芳香族又は複素芳香族基に存在する場合、式−LAlk10aの置換基が含まれ、ここで、Lは好ましくは、共有結合又は−O−又は−S−原子若しくは−N(R)−、−C(O)−、−C(O)O−、−O−C(O)−、−N(R)CO−、−CON(R)−又は−N(R)S(O)−基であり、Alkは、1又は2個の−O−又は−S−原子若しくは−N(R12)−、−C(O)−、−C(S)−、−CON(R12)−又は−N(R12)CO−基により中断されていてもよく置換されていてもよいC〜Cアルキルであり、R10aは、本発明で定義された置換されていてもよいHet基若しくはCyに関して前記した置換されていてもよい複素芳香族基である。
【0052】
望ましい場合には、2個のR10置換基は共に結合して、環式エーテルなどの環式基、例えば、メチレンジオキシ又はエチレンジオキシなどのC〜Cアルキレンジオキシ基を形成してもよい。
【0053】
2個又はそれ以上のR10置換基が存在する場合、これらは、必ずしも同じ原子及び/又は基である必要はないことは認められるであろう。通常、置換基は、基Cyにより表される芳香族又は複素芳香族基上の利用可能な環位に存在してよい。
【0054】
本発明の化合物中でArにより表される置換芳香族又は複素芳香族基は、Cyに関して前記した芳香族又は複素芳香族基であってよい。存在してもよい付加的な置換基には、Cy芳香族及び複素芳香族基に関して一般的又は具体的に記載されたR10原子及び基が含まれる。
【0055】
式(1)の化合物中の一定の置換基の存在により、化合物の塩を生じさせることができる。適切な塩には、医薬的に許容できる塩、例えば、無機又は有機酸に由来する酸付加塩並びに無機及び有機塩基に由来する塩が含まれる。
【0056】
酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩又はイソチオン酸塩、アリールスルホン酸塩、例えば、p−トルエンスルホン酸塩、ベシル酸塩又はナプシル酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硫化水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩及び安息香酸塩が含まれる。
【0057】
無機又は有機塩基に由来する塩には、ナトリウム又はカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム又はカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン又はジエチルアミン塩などの有機アミン塩が含まれる。
【0058】
本発明による化合物の特に有用な塩には、医薬的に許容できる塩、特に、医薬的に許容できる酸付加塩が含まれる。
【0059】
一実施形態では、Xは、基−N(R)−である。別の実施形態では、Xは、共有結合である。
【0060】
好ましい実施形態では、Yは、−C(O)−基である。代替実施形態では、Yは、−S(O)−基である。
【0061】
式(1)の化合物の1群では、nは、整数1である。式(1)の化合物において、nが整数1である場合、Alkは好ましくは、−CHCH−鎖であり、特には、−CH−である。
【0062】
式(1)の化合物の1群では、nは、0である。
【0063】
特に好ましい置換されていてもよい脂環式基Cyには、置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル基、特に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基が含まれる。Cyは特には、シクロプロピル基である。
【0064】
これらの好ましいCyシクロアルキル基はそれぞれ、非置換であってもよい。置換基が存在する場合には、これらには特に、ハロゲン原子、特に、フッ素、塩素又は臭素原子若しくはC〜Cアルキル、特に、C〜Cアルキル、殊にはメチル基若しくはハロC〜Cアルキル基、特にフルオロC〜Cアルキル基、殊に−CF基若しくはC〜Cアルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシ基若しくはハロC〜Cアルコキシ基、特に、フルオロC〜Cアルコキシ基、殊に、−OCF基若しくはシアノ(−CN)、エステル化カルボキシル、特に、−COCH又は−COC(CH、ニトロ(−NO)、アミノ(−NH)、置換アミノ、特に−NHCH又は−N(CH、−C(O)R、特に−C(O)CH又は−N(R)C(O)R、特に、−NHCOCH基が含まれる。
【0065】
特に好ましいCy芳香族基には、置換されていてもよいフェニル基が含まれる。特に好ましい複素芳香族基には、置換されていてもよい単環式複素芳香族基、特に、酸素、硫黄又は窒素原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5又は6員の複素芳香族基が含まれる。特に好ましい置換されていてもよい単環式複素芳香族基には、置換されていてもよいフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル及びトリアジニル基が含まれる。更に好ましくは、複素芳香族基は、1又は2個の酸素、硫黄又は窒素原子を含有する8から13員の二環式縮合環であってもよい。このタイプの特に有用な基には、置換されていてもよいインドリル基が含まれる。
【0066】
Cy芳香族又は複素芳香族基に存在してもよい特に好ましい付加的な置換基には、前記のような1、2又は3個の原子又は基−R10a又は−LAlk(R10aが含まれる。特に有用な付加的な置換基には、ハロゲン原子、特に、フッ素、塩素又は臭素原子若しくはC〜Cアルキル、特に、C〜Cアルキル、殊にはメチル基若しくはハロC〜Cアルキル基、特にフルオロC〜Cアルキル基、殊に−CF基若しくはC〜Cアルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシ基若しくはハロC〜Cアルコキシ基、特に、フルオロC〜Cアルコキシ基、殊に、−OCF基若しくはシアノ(−CN)、カルボキシル(−COH)、エステル化カルボキシル(−COAlk)、特に、−COCH、−COCHCH又は−COC(CH、ニトロ(−NO)、アミノ(−NH)、置換アミノ、特に−NHCH又は−N(CH、−COR11、特に−COCH又は−N(R12)C(O)R11、特に、−NHCOCH基が含まれる。
【0067】
Cy芳香族又は複素芳香族基に存在してもよい更に好ましい付加的な置換基には、式−LAlk(R10aの基が含まれ、ここで、rは、整数1又は2であり、Lは、共有結合又は−O−又は−S−原子若しくは−N(R)−、特に、−NH−又は−N(CH)−、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−N(R)CO−、特に、−NHCO−又は−CON(R)−、特に−CONH−基であり、Alkは、C〜Cアルキレン鎖、特に、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−又は−CHCHCHCH−鎖であり、R10aは、ヒドロキシル又は置換ヒドロキシル基、特に、−OCH、−OCHCH又は−OCH(CH基若しくは−NH又は置換アミノ基、特に−N(CH又は−N(CHCH基若しくは−Het基、特に、1、2又は3個の−O−、−S−、−N(R12)−、特に、−NH−又は−N(CH)又は−C(O)−基を環構造内に含有する置換されていてもよい単環式C〜C炭素環基、殊には、置換されていてもよいピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、例えば、N−メチルピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル又はピペラジニル基であるか、又はR10aは、置換されていてもよい複素芳香族、特に、酸素、硫黄又は窒素原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する5又は6員の単環式複素芳香族基、例えば、置換されていてもよいピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、ピリダジニル又はピラジニル基である。前記の−Het基に存在する特に好ましい付加的な置換基には、ヒドロキシル(−OH)及びカルボキシル(−COH)基又は、特にCyがシクロアルキル基である場合には、基Cyに関して記載された好ましい付加的な置換基が含まれる。
【0068】
式(1)の化合物の特に好ましい1群では、Cyは、置換されていてもよいフェニル基、特に、1、2又は3個の置換基により置換されていてもよいフェニル基であり、ここで、少なくとも1個、好ましくは2個の置換基は、Cyを式(1)の化合物の残りの部分につなぐ結合に対してオルトで位置している。特に好ましいオルト置換基には、ハロゲン原子、特に、フッ素又は塩素原子、若しくはC〜Cアルキル基、特にメチル、C〜Cアルコキシ基、特にメトキシ、ハロC〜Cアルキル基、特に−CF、ハロC〜Cアルコキシ基、特に−OCF若しくはシアノ(−CN)基が含まれる。この群の化合物では、第2又は第3の付加的な置換基は、環Cyのオルト位以外の位置に存在する場合には、好ましくは、一般的に本発明に記載されているか、具体的に記載されている原子又は基−R10a又は−LAlk(R10aであってよい。若しくは好ましくは、Cyフェニル基は、Cyを式(1)の化合物の残りの部分につなぐ結合に対してパラの置換基を有することもできる。具体的なパラ置換基には、前記の特に好ましいオルト置換基が含まれる。所望の場合には、パラ置換基は、前記の他のオルト又はメタ置換基と共に存在してもよい。
【0069】
特別なCy基はフェニルである。
【0070】
式(1)の化合物中の特に好ましいAr芳香族基には、置換されていてもよいフェニル基が含まれる。特に好ましい複素芳香族基には、置換されていてもよい単環式複素芳香族基、特に、酸素、硫黄又は窒素原子から選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有する置換されていてもよい5又は6員の複素芳香族基が含まれる。特に好ましい置換されていてもよい単環式複素芳香族基には、置換されていてもよいフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル及びトリアジニル基が含まれる。
【0071】
Ar芳香族又は複素芳香族基に存在してもよい特に好ましい付加的な置換基には、前記の原子又は基−R10a又は−LAlk(R10aが含まれる。特に有用な付加的な置換基には、ハロゲン原子、特に、フッ素、塩素又は臭素原子若しくはC〜Cアルキル、特に、C〜Cアルキル、殊にはメチル基若しくはハロC〜Cアルキル基、特にフルオロC〜Cアルキル基、殊に−CF基若しくはC〜Cアルコキシ基、特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はイソプロポキシ基若しくはハロC〜Cアルコキシ基、特に、フルオロC〜Cアルコキシ基、殊に、−OCF基若しくはシアノ(−CN)、エステル化カルボキシル、特に、−COCH又は−COC(CH、ニトロ(−NO)、アミノ(−NH)、置換アミノ、特に−NHCH又は−N(CH、−COR11、特に−COCH又は−N(R12)C(O)R11、特に、−NHCOCH基が含まれる。
【0072】
式(1)の化合物中の特に有用なAr基には、フェニル及びモノ置換又はジ置換フェニル基が含まれ、ここで、各置換基は特に、前記の−R10a又は−LAlk(R10a原子又は基であり、特に、ハロゲン原子又はC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ又は−CN基である。
【0073】
Arに存在する具体的な置換基の例には、ハロゲン及びC〜Cアルキル、特に、フルオロ又はメチルが含まれる。
【0074】
Arに位置する具体的な置換基の例には、ハロゲン、特にフルオロが含まれる。
【0075】
特別なAr基には、フェニル、ジフルオロフェニル(特に2,4−ジフルオロフェニル)、(フルオロ)(メチル)フェニル(特に4−フルオロ−3−メチルフェニル)及びメチルピリジニル(特に6−メチルピリジン−2−イル)が含まれる。
【0076】
具体的なAr基には、フェニル及びジフルオロフェニル(特に2,4−ジフルオロフェニル)が含まれる。
【0077】
本発明の化合物中に存在する場合、Alkの具体的な例には、−CH−、−CHCH−、−C(CH−及び−CH(CH)CH−が含まれる。
【0078】
適切には、Rは、水素又はメチルを表す。一実施形態では、Rは、水素である。別の実施形態では、Rは、メチルである。
【0079】
適切には、Rは、水素又はメチルを表す。一実施形態では、Rは、水素である。別の実施形態では、Rは、メチルである。
【0080】
適切には、Rは、水素又はメチルを表す。一実施形態では、Rは、水素である。別の実施形態では、Rは、メチルである。
【0081】
式(1)の化合物中の基Rは好ましくは、水素原子である。
【0082】
適切には、Rは、水素又はメチルを表す。一実施形態では、Rは、水素である。別の実施形態では、Rは、メチルである。
【0083】
本発明の化合物中のLは具体的には、−CH−、−CH(R)−、−NH−又は−N(CH)−基である。一実施形態では、Lは、−CH−である。別の実施形態では、Lは、−NH−である。その他の実施形態では、Lは、−N(CH)−である。
【0084】
本発明の化合物では、m及びqを選択して、4個の全環員数を有する環から8個の全環員数を有する環まで、環サイズを変動させることができる。特に有利な環は、全部で4、5又は6員を有する環が得られるようにm及びqが選択されている環である。
【0085】
一実施形態では、mは、整数1である。他の実施形態では、mは、整数2である。
【0086】
一実施形態では、qは0である。他の実施形態では、qは、整数1である。
【0087】
一実施形態では、pは0である。他の実施形態では、pは、整数1である。
【0088】
置換基Rはそれぞれ、環炭素原子のどこに存在してもよい。本発明の化合物の具体的な1群では、1又は2個のR置換基が存在する。
【0089】
具体的なR置換基には、−OH、−CHOH、−C(CHOH及び−C(CHOH基が含まれる。
【0090】
具体的な実施形態では、Rは−OHである。
【0091】
本発明の特に有用な化合物には、後記の実施例に記載されている各化合物並びにその塩、溶媒和物、水和物及びN−酸化物が含まれる。
【0092】
本発明による化合物は、そのすべてのアイソホーム及びスプライス変異体を含むp38 MAPKの強力かつ選択的阻害剤である。より具体的には、本発明の化合物は、p38α、p38β及びp38β2の阻害剤である。後記の実施例に記載されている試験などの試験を使用することにより、このように作用する化合物の能力を簡単に決定することができる。
【0093】
式(1)の化合物は、p38 MAPKの活性を変調させる際に使用することができ、特に、ヒト又は他の哺乳動物におけるp38 MAPK仲介疾患又は障害を予防及び治療する際に使用することができる。本発明は、このような使用に、更に、このような疾患又は障害を治療するための薬剤を製造するための化合物の使用に及ぶ。更に本発明は、このような疾患又は障害を治療するために、有効量のp38 MAPK阻害剤をヒトに投与することに及ぶ。
【0094】
更に本発明は、ヒト又は他の哺乳動物における例えば過剰又は無調節TNF、IL−1、IL−6及びIL−8産生を含む過剰又は無調節前炎症サイトカイン産生により誘発される状態を含む、p38 MAPKが役割を有する疾患又は障害を予防又は治療することに及ぶ。本発明は、このような使用に、更に、このようなサイトカイン仲介疾患又は障害を治療するための薬剤を製造するための化合物の使用に及ぶ。更に、本発明は、このような疾患又は障害を治療するために、有効量のp38 MAPK阻害剤をヒトに投与することに及ぶ。
【0095】
直接に、又はサイトカインTNF、IL−1、IL−6及びIL−8を含む前炎症性サイトカインを介して、p38 MAPKが役割を果たす疾患又は障害には、これらに限らないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、神経変性障害、ウイルス性疾患、アレルギー、感染性疾患、心臓発作、血管由来障害、発作における再灌流/虚血、血管過形成、臓器低酸素状態、心臓肥大、トロンビン誘発血小板凝集及びプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンテターゼ−2に随伴する状態(COX−2)が含まれる。
【0096】
予防又は治療することができる自己免疫疾患には、これらに限られないが、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、多発性硬化症、糖尿病、糸球体腎炎、全身エリテマトーデス、強皮症、橋本病、グレーブ(Grave)病、溶血性貧血、自己免疫性胃炎、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、アトピー性皮膚炎、移植片対宿主疾患及び乾癬が含まれる。
【0097】
更に本発明は、特定の自己免疫疾患、慢性関節リウマチに及ぶ。
【0098】
予防又は治療することができる炎症性疾患には、これらに限られないが、喘息、アレルギー、呼吸窮迫症候群及び急性及び慢性膵炎が含まれる。
【0099】
予防又は治療することができる破壊性骨障害には、これらに限られないが、骨粗鬆症、変形性関節症及び多発性骨髄腫関連骨疾患が含まれる。
【0100】
予防又は治療することができる増殖性疾患には、これらに限られないが、急性又は慢性骨髄性白血病、カポジ肉腫、転移性黒色腫及び多発性骨髄腫が含まれる。
【0101】
予防又は治療することができる神経変性疾患には、これらに限られないが、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳虚血及び外傷性障害により誘発される神経変性疾患が含まれる。
【0102】
予防又は治療することができるウイルス性疾患には、これらに限られないが、急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎及びC型肝炎を含む)、HIV感染及びCMV網膜炎が含まれる。
【0103】
予防又は治療することができる感染疾患には、これらに限られないが、敗血症性ショック及び敗血症及び細菌性赤痢が含まれる。
【0104】
加えて、本発明のp38 MAPK阻害剤は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)としても知られているプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンテターゼ−2などの誘導前炎症性タンパク質の発現の阻害も示し、従って、治療で使用することができる。アラキドン酸に由来するシクロオキシゲナーゼ経路の前炎症性メディエーターは、誘導COX−2酵素により産生される。COX−2を調節することにより、プロスタグランジンなどのこれら前炎症性性メディエーターが調節されるはずであり、これらは、幅広い細胞に影響を及ぼし、幅広い疾患状態の重要かつ決定的な炎症性メディエーターである。特に、これらの炎症性メディエーターは、疼痛受容体の感作においてなど、疼痛又は水腫に関与している。従って、予防又は治療することができる付加的なp38 MAPK仲介状態には、水腫、痛覚脱失、熱並びに神経筋疼痛、頭痛、歯痛、関節炎疼痛及びがんにより誘発される疼痛などの疼痛が含まれる。
【0105】
p38 MAPK阻害活性の結果、本発明の化合物は、これらに限られないが、TNF、IL−1、IL−6及びIL−8産生に随伴する疾患を含むサイトカイン産生を随伴する疾患を予防又は治療する際に効用を有する。
【0106】
従って、TNF仲介疾患又は状態には例えば、慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、通風性関節炎及び他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック症候群、成人型呼吸窮迫症候群、大脳マラリア、慢性肺炎症疾患、珪肺症、肺サイルコイドーシス、骨吸収疾患、再灌流障害、移植片対宿主反応、同種移植拒絶、感染による熱及び筋肉痛、感染後の悪液質、AIDS、ARC又は悪性腫瘍、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎、運動麻痺(pyresis)、HIV、CMV、インフルエンザ及びヘルペスなどのウイルス感染;並びに、これらに限られないが、ウマ伝染性貧血ウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナウイルス又はマエディウイルスを含むレンチウイルス感染などの動物ウイルス感染;若しくはネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス及びイヌ免疫不全ウイルスを含むレトロウイルス感染が含まれる。
【0107】
更に本発明の化合物、ウイルス感染を治療する際に使用することもでき、この際、このようなウイルスは、TNF産生をin vivoで誘発し、TNFによるアップレギュレーションに過敏である。このようなウイルスには、感染の結果としてTNFを産生するもの及び本発明のTNF阻害化合物により直接又は間接に、例えば複製の低減の結果として、阻害に反応するものが含まれる。このようなウイルスには、これらに限られないが、HIV−1、HIV−2及びHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザ、アデノウイルス及び帯状ヘルペス及び単純ヘルペスなどのウイルスのヘルペス群が含まれる。
【0108】
IL−1仲介疾患又は錠剤には、例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、感染性関節炎、外傷性関節炎、風疹性関節炎、炎症性腸疾患、発作、内毒素血症及び/又は毒素ショック症候群、内毒素により誘発される炎症反応、糖尿病、膵臓β細胞疾患、アルツハイマー病、結核症、アテローム硬化症、筋肉変性及び悪液質が含まれる。
【0109】
IL−8仲介疾患及び状態には例えば、乾癬、炎症性腸疾患、喘息、心臓、脳及び腎臓再灌流障害、成人型呼吸窮迫症候群、血栓症及び糸球体腎炎などの大規模な好中球浸潤を特徴とするものが含まれる。これらの疾患がそれぞれ伴う高いIL−8産生が、炎症部位への好中球の走化性の原因である。これは、好中球走化性及び活性を促進するIL−8に独特な特性(TNF、IL−1及びIL−6に対して)による。従って、IL−8産生の阻害は、好中球浸潤の直接的な低減をもたらすであろう。
【0110】
IL−6及びIL−8は両方とも、ライノウイルス(HRV)感染の間に産生され、HRV感染に随伴する感冒の発病及び喘息の悪化に寄与することも、知られている[Turner et al.,Clin.Infec.Dis.,1997,26,840;Grunberg et al.,Am.J.Crit.Care Med.,1997,155,1362;Zhu et al.,J.Clin.Invest.,1996,97,421]。肺上皮細胞(HRVによる感染の初期部位である)がHRVに感染すると、IL−6及びIL−8が産生されることも、in vitroで証明されている[Sabauste et al.,J.Clin.Invest.,1995,96,549]。従って、本発明のp38 MAPK阻害剤を、感冒若しくはヒトライノウイルス(HRV)、他のエンテロウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス又はアデノウイルス感染により誘発される呼吸器ウイルス感染を治療又は予防するために使用することができる。
【0111】
p38 MAPK又は前炎症サイトカイン仲介疾患を予防又は治療するために、本発明による化合物を、医薬組成物としてヒト又は哺乳動物に投与することができ、本発明の別の態様では、我々は、式(1)の化合物を1種又は複数の医薬的に許容できる担体、付形剤又は希釈剤と共に含有する医薬組成物を提供する。
【0112】
本発明による医薬組成物は、経口、頬、非経口、鼻、局所、眼又は直腸投与に適した形態若しくは吸入又は通気による投与に適した形態を取ることができる。
【0113】
経口投与では、医薬組成物は、結合剤(例えば、α化コーンスターチ、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース又はリン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はグリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬的に許容できる付形剤を用いて慣用の手段により調製された、例えば、錠剤、ロゼンジ又はカプセルの形態を取ることができる。錠剤を、当技術分野でよく知られている方法によりコーティングすることもできる。経口投与のための液体製剤は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液の形態を取ってもよいし、使用する前に水又は他の適切なビヒクルで構成するための無水製品として提供することもできる。懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル及び防腐剤などの医薬的に許容できる添加剤を用いる慣用の手段により、このような液体製剤を調製することができる。この製剤は、適切な緩衝塩、香料、着色剤、甘味剤を含有することもできる。
【0114】
経口投与のための製剤を適切に処方して、活性化合物の制御放出を得ることもできる。
【0115】
頬投与では、組成物は、慣用の方法で処方された錠剤又はロゼンジの形態を取ることもできる。
【0116】
注射、例えば、ボーラス注射又は注入による非経口投与のために、式(1)の化合物を処方することができる。注射のための処方物を、単位剤形、例えば、ガラスアンプル又は多人数用容器、例えば、ガラスバイアル中で提供することもできる。注射のための組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションなどの形態を取ることができ、懸濁剤、安定剤、防腐剤及び/又は分散剤などの処方剤を含有することもできる。若しくは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば、無菌発熱物質不含水で構成するための粉末形態であってもよい。
【0117】
前記の処方物に加えて、式(1)の化合物は、デポー製剤として処方することもできる。このような長期作用性処方物は、移植又は筋肉内注射により投与することができる。
【0118】
鼻投与又は吸入による投与では、本発明により使用するための化合物を簡便には、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガス又はガスの混合物を使用する加圧パック又はネブライザーのためのエアロゾルスプレーの形態で輸送する。
【0119】
望ましい場合には、活性成分を含有する1個又は複数の単位剤形を含有してもよいパック又はディスペンサー装置中に、組成物を提供することができる。パック又は分取装置に、投与説明書を添付することもできる。
【0120】
局所投与では、本発明により使用するための化合物を、1種又は複数の医薬的に許容できる担体に懸濁又は溶解している活性成分を含有する適切な軟膏に処方することができる。具体的な担体には、例えば、鉱油、液化石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、乳化ろう及び水が含まれる。若しくは、本発明により使用するための化合物を、1種又は複数の医薬的に許容できる担体に懸濁又は溶解している活性成分を含有する適切なローションに処方することができる。具体的な担体には、例えば、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルろう、ケテアリールアルコール、ベンジルアルコール、2−オクチルドデカノール及び水が含まれる。
【0121】
眼投与では、本発明により使用するための化合物を簡便には、殺菌又は殺真菌剤、例えば、硝酸フェニル水銀、塩化ベンジルアルコニウム又は酢酸クロルヘキシジンなどの防腐剤を用いるか、用いずに、pH調製されている等張性無菌生理食塩水中のマイクロイオン化懸濁液として処方することができる。若しくは、眼投与では、化合物を、ワセリンなどの軟膏中に処方することもできる。
【0122】
直腸投与では、本発明により使用するための化合物を簡便には、座薬として処方することができる。活性成分と、室温では固体だが、直腸温度では液体であるので、直腸で溶けて、活性成分を放出する適切な非刺激性付形剤とを混合することにより、これらを調製することができる。このような物質には例えば、カカオバター、蜜ろう及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0123】
特定の状態を予防又は治療するために必要な本発明の化合物の量は、選択された化合物及び治療される患者の状態に応じて変動する。しかしながら通常、一日用量は、経口又は頬投与では約100ng/体重kgから100mg/体重kg、例えば、約0.01mg/体重kgから40mg/体重kg、非経口投与では、約10ng/kgから50mg/体重kg、鼻投与又は吸入又は通気による投与では、約0.05mgから約1000mg、例えば、約0.5mgから約1000mgの範囲であってよい。
【0124】
下記で一般的に、更に後記の実施例でより明確に記載されるいくつかの方法により、本発明の化合物を調製することができる。次のプロセスの記載では、記号Ar、Cy、Alk、n、R、R、p、m、q、Y及びLは、示されている式中で使用される場合、他に記載のない限り、式(1)に関して前記したこれらの基を表すと理解されたい。下記の反応では、最終生成物中に存在することが望ましい反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、チオ又はカルボキシ基を保護して、それらが望ましくなく、反応に関与することを回避する必要が有ることがある。標準的な実施に従い、慣用の保護基を使用することができる[例えば、Greene,T.W.、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons,1999参照]。場合によっては、脱保護が、式(1)の化合物を合成する際の最終ステップであってよく、後記の本発明による方法は、このような保護基の脱離に及ぶことを理解されたい。
【0125】
例えば、本発明の他の態様では、式中のXが−N(R)−であり、Yが−C(O)−基である式(1)の化合物を、当技術分野の専門家によく知られているアミド結合形成反応により、式(2)のカルボン酸又は式(5)のエステルから調製することができる。このような反応は、「March 応用有機化学(March’s Advanced Organic Chemistry)」(John Wiley and Sons 1992)、「Larock 総合有機変換(Larock’s Comprehensive Organic Transformations)」(VCH Publishers Inc.,1992)及び「総合有機官能基変換(Comprehensive Organic Functional Group Transformations)」(ed.Katritzky et al.,volumes 1−8,1984及びvolumes 1−11,1994(Pergamon))などの参照文献に記載されている。式(1a)の化合物を得るために使用することができるこのような方法の例を、これらの反応に限られないが、下記のスキーム1及び2に記載する。
【0126】
【化2】


カルボジイミド、例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)又はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング試薬の存在下に、場合によって、アミン、例えば、トリエチルアミン又はN−メチルモルホリンなどの塩基の存在下に、式(2)のカルボン酸塩[式中、Mは、ナトリウム又はリチウムイオンなどの金属対イオンであるか、若しくは、アンモニウム又はトリアルキルアンモニウム対イオンである]と、式(3)のアミンとを反応させることにより、式(1a)のアミドを生じさせることができる。アミド溶剤、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はエーテル、例えば、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどの環式エーテル若しくはジクロロメタンなどのハロゲン化溶剤などの溶剤中、60℃までの周囲温度で、これらの反応を行うことができる。他の手順では、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドなどのカップリング試薬の存在下に、アミド溶剤、例えば、DMFなどの溶剤中、周囲温度で、式(2)のカルボン酸とペンタフルオロフェノールとを反応させることにより、式(4)のペンタフルオロフェニルエステルを調製することができる。次いで、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの有機溶剤中、周囲温度で、場合によって、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの3級アミンの存在下に、ペンタフルオロフェニルエステルと式(3)のアミンとを反応させることにより、式(1a)のアミドを調製することができる。水及びテトラヒドロフランなどの溶剤又はエタノールなどのアルコール中、周囲温度から還流までの温度で、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムなどの塩基を使用して、式(5)のエステルを加水分解することにより、式(2)の中間体の酸を調製することができる。
【0127】
場合によって2−エトキシエタノールなどの溶剤の存在下に、大気圧で、又は密封管中での圧力下に、アミンの還流温度まで、式(3)のアミンと共に加熱することにより、式(5)のエステルから直接、式(1a)のアミドを調製することもできる(スキーム2)。
【化3】

【0128】
下記のスキーム3に記載の方法により、式(5)の中間体エステルを調製することができる。このスキームでは、エチルエステルの調製を特に示しているが、エステル出発物質及び適切な場合には反応条件を単に変更することにより、他のエステルを得ることもできることは認められるであろう。
【化4】

【0129】
スキーム3では、パラジウム触媒の存在下に、式(6)又は(7)の化合物とアミンArNHとを反応させることにより、式(5a)又は(5b)の化合物を調製することができる。トルエンなどの溶剤中、高温で、例えば、還流温度で、トリス(ジベンジリデンアセトン)−二パラジウム(0)などの触媒、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルなどのホスフィンリガンド及び炭酸セシウムなどの塩基を使用して、この反応を慣用的に実施することができる。望ましい場合には、別の反応条件、例えば、文献[Luker et al.,Tetrahedron Lett.,2001,41,7731;Buchwald,S.L.,J.Org.Chem.,2000,65,1144;Hartwig,J.F.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1998,37,2046]に記載されているような条件を使用することもできる。
【0130】
式(8)の化合物と、式Cy(AlkZ[式中、Zはハロゲン原子、例えば、塩素、臭素又はヨウ素原子、若しくはアルキルスルホニルオキシ、例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシなどのスルホニルオキシ基、若しくはアリールスルホニルオキシ、例えばフェニルスルホニルオキシ基などの脱離基である]のアルキル化剤とを反応させることにより、式(7)の中間体を調製することができる。
【0131】
溶剤、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどの置換アミドの存在下に、場合によって、塩基、例えば、水素化ナトリウムなどの無機塩基、若しくは有機アミン、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンなどの環式アミンなどの有機塩基、若しくは樹脂結合2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザ−ホスホリン(PS−BEMP)などの樹脂結合有機アミンの存在下に、高温、例えば、80から100℃で、この反応を行うことができる。
【0132】
式(8)の化合物と、式CyB(OH)のボロン酸[式中、Cyはアリール又はヘテロアリール基である]とを反応させることにより、式(6)の中間体を調製することができる。有機溶剤、例えば、ジクロロメタン又はジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素中、銅試薬、例えば、CuIなどの銅(I)塩、若しくは例えば、酢酸銅(II)などの銅(II)試薬の存在下に、場合によって、酸化剤、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシド又はピリジン−N−オキシドの存在下に、場合によって、塩基、例えば、アルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、若しくは芳香族アミン、例えば、ピリジンなどの有機アミンの存在下に、周囲温度から還流温度までの温度で、この反応を行うことができる[例えば、Chan,D.T.et al.,Tetrahedron Letters,1998,2933;Lam,P.Y.S.et al.,Tetrahedron Letters,2001,3415参照]。
【0133】
適切に活性化されているアリール又はヘテロアリールハロゲン化物を、式(8)の化合物で求核性芳香族置換することにより、式中のCyがアリール又はヘテロアリール基である式(6)の中間体を調製することもできる。DMFなどのジアルキルアミド溶剤中、金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下に、周囲温度から100℃の温度で、この反応を行うことができる。適切に活性化されているアリール又はヘテロアリールハロゲン化物は、ニトロ、シアノ又はエステル基、例えば、クロロ−又はフルオロ−ニトロベンゼン又は2−クロロ−5−ニトロピリジンなどの電子吸引置換基を伴うものである。若しくは、窒素含有ヘテロアリールハロゲン化物を、N−酸化により求核性置換まで、例えば、2−クロロピリジンN−酸化物に活性化することができる。
【0134】
望ましい場合には、逆の順序で前記の反応を実施して、ArNHを使用するアミノ化を初めに式(8)の中間体で行い、続いて、アルキル化/アリール化して、式(5)の化合物を得るようにすることができることは、認められるであろう。これらの反応経過の間、式(8)の化合物の窒素官能基を保護することが必要であることもある。スキーム4に示されているように、アルキルハロゲン化物、例えば、臭化シクロプロピルメチル、若しくはアリールアルキル臭化物、例えば、臭化ベンジルでのO−アルキル化により、このような保護を達成することができる。
【化5】

【0135】
DMFなどの有機溶剤中、塩基、例えば、CsCOなどの無機塩基若しくはアミン、例えば1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンなどの環式アミンなどの有機塩基の存在下に、高温、例えば、80から100℃で、O−アルキル化反応を行い、式(13)の化合物を得ることができる。次いで、パラジウム触媒下で、保護されている化合物(13)とArNHとを、前記のように反応させると、式(14)の化合物を得ることができる。次いで、高温、例えば、還流温度で、この化合物のアルコール、例えば、MeOH溶液を、濃HClなどの鉱酸で処理することにより、脱保護を達成すると、式(15)の化合物を得ることができる。若しくは、ベンジル保護を使用する場合には、次いで、水素の高圧下に、周囲温度から60℃の温度で、パラジウム又は白金触媒、例えば、炭素に担持されているパラジウム又はPtOを使用して、化合物(14)のEtOHなどの有機溶剤溶液を処理することにより、この基を還元的に脱離させることができる。次いで、式(15)の化合物を、前記のようにアルキル化/アリール化反応に掛けると、式(5)の化合物が得られる。
【0136】
高温、例えば、還流温度で、無水物、例えば、無水酢酸との連続的な反応により、続いて、エーテル、例えば、環式エーテル、例えば、テトラヒドロフランなどの溶剤中、周囲温度で、無機塩基、例えば、炭酸カルシウム水溶液などの炭酸塩との反応により、式(9)のピリジンN−酸化物から、式(8)の中間体ピリジノンを調製することができる。若しくは、N,N−ジメチルホルムアミド中、0℃から周囲温度条件で、無水トリフルオロ酢酸を使用して、反応を行うことができる[例えば、Konno et al.,Heterocycles,1986,24,2169参照]。
【0137】
酢酸などの酸の存在下に、高温で、例えば、約70℃から80℃で、過酸化水素などの酸化剤を使用して、式(10)のピリジンを酸化させることにより、若しくは、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、若しくはアルコール、例えば、tert−ブタノールなどの溶剤中、周囲温度から還流温度までの温度で、過酢酸又はm−クロロペルオキシ安息香酸などの過酸と反応させることにより、式(9)のピリジンN−酸化物を生じさせることができる。
【0138】
例えば、ザントマイヤー反応などの標準的な方法により、スキーム3中の式(10)の中間体ピリジンを得ることができる。例えば、溶剤、例えば、アセトニトリルなどのニトリルの存在下に、約0℃から約65℃の温度で、式(11)のアリールアミンを、アルキル亜硝酸エステル、例えば、亜硝酸tert−ブチル及び銅塩、例えば、臭化銅(II)で処理することにより、式(10)の臭化物を調製することができる。
【0139】
2−メルカプト酢酸エチルなどの試薬と反応させることにより、式(12)の2−ハロピリジン−3−カルボニトリルから、式(11)のアミンを生じさせることができる。置換アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、又はエーテル、例えば、テトラヒドロフランなどの環式エーテル、又はエタノールなどのアルコールなどの溶剤の存在下に、塩基、例えば、炭酸ナトリウム又は水素化物、例えば、水素化ナトリウムなどの無機塩基、若しくは1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン又はトリエチルアミンなどのトリアルキルアミンなどの有機塩基の存在下に、約0℃から100℃の温度で、この反応を行うことができる。カルボニトリル出発物質は容易に入手することもできるし、標準的な手順を使用して、既知の化合物から得ることもできる。
【0140】
他のプロセスでは、スキーム5に記載の反応により、式(5a)の中間体エステルを調製することもできる。下記のスキームでは、R20は、エステル又はニトリルを表し、LGは、ハロゲン原子、例えば、塩素又は臭素若しくはアルキルスルホニルオキシ基、例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基などのスルホニルオキシ基若しくはアリールスルホニルオキシ基、例えば、p−トルエンスルホニルオキシなどの脱離基を表す。
【化6】

【0141】
例えば、反応スキームのステップ(A)で、式中のRxが置換されていてもよいアルキル基、例えば、メチルであり、Wが水素原子、金属イオン又はアミン塩である式(17)又は(18)の化合物を、式(19)のチオアミドと反応させることができる。塩基の存在下に、この反応を行うことができる。適切な塩基には、これらに限られないが、n−ブチル−又はtert−ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミド(LDA)などのリチウム塩基、シラザン、例えば、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)又はナトリウムヘキサメチルジシラザン(NaHMDS)、炭酸塩、例えば、炭酸カリウム、アルコキシド、例えば、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド又はカリウムtert−ブトキシド、水酸化物、例えば、NaOH、水素化物、例えば、水素化ナトリウム及び有機アミン、例えば、トリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミン若しくはN−メチルモルホリン又はピリジンなどの環式アミンが含まれる。アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどの置換アミド、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどの環式エーテル、アルコール、例えば、メタノール、エタノール又はプロパノール若しくはアセトニトリルなどの有機溶剤中、周囲温度から還流温度までの温度で、この反応を行うことができる。方法の具体的な一態様では、アルコール溶剤、特にエタノール中、還流温度で、アルコキシド塩基、特に、ナトリウムエトキシド又はナトリウムメトキシドを使用して、反応を達成する。
【0142】
標準的な方法論を使用して、市販されていない式(17)の中間体を調製することができる(例えば、Mir Hedayatullah,J.Heterocyclic Chem.,1981,18,339参照)。同様に、標準的な方法論を使用して、市販されていない式(18)の中間体を調製することができる。例えば、酢酸エステル、例えば、酢酸エチルと、ナトリウムメトキシドなどの塩基とを反応させ、続いて、ギ酸エステル、例えば、ギ酸メチルを加えることによりその場で、これらを調製することができる。
【0143】
同様に、当技術分野の専門家に知られている方法を使用して、市販されていない式(19)の中間体を調製することができる(例えば、Adhikari et al.,Aust.J.Chem.,1999,52,63−67参照)。例えば、塩基、例えば、NaHMDSの存在下に、適切な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン中、場合によって低温、例えば、約−78℃で、式CyNCSのイソチオシアン酸エステルをアセトニトリルと反応させることができる。基Cyの性質に応じて、例えば、本発明に記載の方法を使用し、続いて、式(17)又は(18)の化合物を後で加えることにより、式(19)の中間体をその場で調製することができる。
【0144】
この方法経過の間に、式(20)の中間体が生じうる。望ましい場合には、中間体を、ステップ(A)の最後に単離して、続いて、中間体(21)と反応させると、所望のアミン(22)を得ることができる。しかしながら場合によっては、式(20)の中間体を単離しないことが有利であり、反応(B)を、ステップ(A)の反応混合物で直接実施することができる。
【0145】
方法の第2ステージの間に、別の溶剤を使用する場合には、第2ステージで処理する前に、プロセスの第1ステージから、溶剤を真空蒸発させることが必要なことがある。蒸発させたら、ステップ(A)からの粗製固体を、次のステージで使用することもできるし、これらを、例えば、結晶化により精製して、式(20)の化合物などの単離された中間体を得ることもできる。
【0146】
方法のステップ(B)の間、式(21)の中間体を、適切な溶剤中のステップ(A)からの反応混合物に、又は粗製固体又は精製生成物に加えることができる。適切な溶剤には、これらに限られないが、アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどの置換アミド、アルコール、例えば、エタノール、メタノール又はイソプロピルアルコール、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどの環式エーテル或いはアセトニトリルが含まれる。周囲温度から還流温度の温度で、反応を行うことができる。
【0147】
ステップ(B)の経過の間に、式(24)の中間体:
【化7】


を、基R20の性質に応じて、観察するか、単離することができる。前記の方法を使用して、式(24)の中間体を式(22)の化合物に変えることができる。この場合、反応を完了まで進めるために、塩基を加えることが必要であることがある。適切な塩基には、炭酸塩、例えば、炭酸セシウム又はカリウム、アルコキシド、例えば、カリウムtert−ブトキシド、水素化物、例えば、水素化ナトリウム若しくは有機アミン、例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン若しくはN−メチルモルホリン又はピリジンなどの環式アミンが含まれる。
【0148】
例えば、式(11)の化合物に関して前記したザントマイヤー反応などによる標準的な方法により、式(22)のアミンを式(23)の臭化物に変えることができる。次いで、すでに記載したパラジウム触媒によるアミノ化反応により、これらの臭化物から、式(5a)の化合物を調製することができる。
【0149】
当技術分野の専門家に知られている標準的な方法を使用して、市販されていない式(21)の中間体を調製することができることは認められるであろう。例えば、熟練した技術者に知られている条件を使用して、アルコール基を、ハロゲン原子又はスルホニルオキシ基などの脱離基に変えることができる。例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン中でアルコールを塩化チオニルと反応させると、対応する塩化物を得ることができる。塩基、例えば、トリエチルアミンをこの反応で使用することもできる。
【0150】
スキーム5に示されている反応スキームから調製することができる式(23a)のニトリルは、R20が−CNである場合、式(25a)の中間体カルボン酸を合成する際の有用な中間体である。メタノール又はエタノールなどのアルコール溶剤中、還流で、アルカリ金属水酸化物、例えば、2Mの水酸化ナトリウム水溶液などの塩基で、ニトリル(23a)を加水分解することにより、この反応を行うことができる。
【化8】

【0151】
「Rodd 炭素化合物の化学(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」(volumes 1−15及び別冊、Elsevier Science Publishers,1989)、「有機合成のためのFieser及びFieser試薬(Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis)」(volumes 1−19,John Wiley and Sons,1999)、「総合複素環式化学(Comprehensive Heterocyclic Chemistry)」(ed.Katritzky et al.,volumes 1−8,1984及びvolumes 1−11,1994,Pergamon)、「総合有機官能基変換(Comprehensive Organic Functional Group Transformations)」(ed.Katritzky et al.,volumes 1−7,1995,Pergamon)、「総合有機合成(Comprehensive Organic Synthesis)」(Trost and Fleming,volumes 1−9,Pergamon,1991)「有機合成のための試薬百科事典(Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis)」(ed.Paquette,volumes 1−8,John Wiley and Sons,1995)、「Larock総合有機変換(Larock’s Comprehensive Organic Transformations)」(VCH Publishers Inc.,1989)及び「March応用有機化学(March’s Advanced Organic Chemistry)」(John Wiley and Sons,1992)などの参照文献に記載されている手順に従い、当技術分野の専門家に知られている方法により、市販されていない中間体(17)、(18)、(19)又は(21)などの中間体を調製することもできることは理解されるであろう。
【0152】
他のプロセスでは、下記のスキーム6に記載されている反応により、式(1a)のアミドを調製することができる。
【化9】

【0153】
例えば、化合物(2)を式(1a)のアミドに変えるために前記された方法と同様の方法で、カップリング試薬の存在下に、式(3)のアミンと反応させることにより、式(25)又は(25a)の酸を、式(27)のアミドに変えることができる。或いは、場合によって触媒量のDMFの存在下に、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、若しくはエーテル、例えば、テトラヒドロフランなどの環式エーテルなどの溶剤中、周囲温度で、オキサリル塩化物などの塩素化剤と反応させることにより、カルボン酸を式(26)の酸塩化物に変えることもできる。次いで、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの溶剤中、トリエチルアミンなどのアミンの存在下に、周囲温度で、生じた酸塩化物を式(3)のアミンと反応させることにより、式(27)のアミドを得ることができる。次いで、スキーム1で前記したパラジウム触媒によるアリール化手順を使用して、式(27)のアミドから、式(1a)のアミドを調製することができる。前記の反応経過の間に、存在しうるR置換基を保護することが有利であるか、必要であることがある。標準的な実施に従い、慣用の保護基を使用することができる[例えば、Greene,T.W.、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons,1999参照]。場合によっては、脱保護が、式(1a)の化合物を合成する際の最終ステップであってよく、後記の本発明による方法は、このような保護基の脱離に及ぶことを理解されたい。
【0154】
本発明の他の態様では、スキーム7に記載の経路により、式中のXが−N(R)−、Yが−S(O)−基である式(1)の化合物を調製することができる。
【化10】

【0155】
エーテル、例えば、テトラヒドロフランなどの環式エーテルなどの溶剤中、約0℃の温度で、式(28)の化合物とナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの金属アミド塩基とを反応させ、次いで、テトラヒドロフランなどの溶剤中の二炭酸ジ−tert−ブチルを加え、周囲温度で攪拌することにより、式(29)の化合物を得ることができる。次いで、次の反応シークエンスにより、式(1)の化合物を調製することができる。エーテル、例えば、テトラヒドロフランなどの環式エーテルなどの溶剤中、約−78℃の温度で、式(29)の化合物をアルキルリチウム、例えば、n−ブチルリチウムなどの塩基で処理する。二酸化硫黄ガスを反応混合物に気泡導入し、その後、反応を放置して室温まで加温する。溶剤を真空除去し、組成物質を、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの溶剤に溶かし、この混合物をほぼ周囲温度で、N−クロロスクシンイミドなどの塩素化試薬で処理する。次いで、式(3)のアミンを反応混合物に加えると、式中R=tert−ブトキシカルボニルである式(30)の化合物が生じる。次いで、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの溶剤中で、式(30)の化合物を、酸、例えば、HClなどの無機酸又はトリフルオロ酢酸などの有機酸で処理することにより、式(1)のスルホンアミドを調製することができる。エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどの環式エーテルなどの溶剤中、50℃から還流温度までの温度で、式(2)の化合物を鉱酸、例えば、HClなどの酸で脱カルボキシル化することにより、式(28)の中間体を得ることができる。
【0156】
パラジウム触媒の存在下に;化合物(27)を化合物(1a)に変えるために前記した条件と同様の条件下に;式Ar−NHの化合物と式(27a)の化合物とを反応させることにより、式中のXが共有結合であり、Yが−C(O)−基である式(1)の化合物を調製することができる。
【化11】


[式中、n、m、p、q、R、L、Alk、Cy及びArは、前記と同様に定義される]。
【0157】
化合物(11)を化合物(10)に変えるために前記したザントマイヤー反応などの標準的な方法により、対応する化合物(31)から、式(27a)の中間体を調製することができる。
【化12】


[式中、n、m、p、q、R、L、Alk及びCyは、前記と同様に定義される]。
【0158】
化合物(20)及び(21)との反応に関して前記された条件と同様の条件下に、前記の式(20)の化合物と、式(32)の化合物とを反応させることにより、式(31)の中間体を調製することができる。
【化13】


[式中、m、p、q、R、L及びLGは、前記と同様に定義される]。
【0159】
これらが、市販されていない場合には、添付の実施例に記載の方法と同様の方法により、又は当技術分野で知られている標準的な方法により、式(32)の中間体を調製することができる。
【0160】
前記の一般的な方法で、式Cy(AlkZのアルキル化試薬などの中間体、式HSCHCOEtの試薬及び本発明の化合物を合成する際に必要な他の中間体が、市販されていないか、文献中で知られていない場合、これらは、置換、酸化、還元又は分解反応を使用する1つ又は複数の標準的な合成方法により、より単純な既知の化合物から容易に得ることができる。具体的な置換手法には、慣用のアルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、チオアシル化、ハロゲン化、スルホニル化、ニトロ化、ホルミル化及びカップリング手順が含まれる。これらの方法を使用して、他の中間体、特にその化合物中に適切な官能基が存在する式(1)の化合物を得るか、変えることができることは、認められるであろう。このような方法の具体的な例を、下記の実施例に示す。
【0161】
例えば、場合によって低温、例えば、約−78℃で、テトラヒドロフランなどの溶剤中、塩基、例えば、n−ブチル−又はtert−ブチルリチウムなどのリチウム塩基を用いて、化合物中の芳香族ハロゲン置換基をハロゲン−金属交換に掛け、次いで、求電子試薬を用いてクエンチすると、所望の置換基を導入することができる。例えば、求電子試薬としてN,N−ジメチルホルムアミドを使用することにより、ホルミル基を導入することができ、求電子試薬として二硫化ジメチルを使用することにより、チオメチル基を導入することができ、求電子試薬としてアルデヒドを使用することにより、アルコール基を導入することができ、求電子試薬として二酸化炭素を使用することにより、酸を導入することができる。二酸化炭素で式ArMgHalのグリニャール試薬をクエンチすることにより、式ArCOHの芳香族酸を生じさせることもできる。
【0162】
場合によって、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、若しくは塩素化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶剤中、約0℃から還流温度までの温度で、ハロゲン化チオニル、例えば、塩化チオニル、三塩化リンなどの三ハロゲン化リン又は五塩化リンなどの五ハロゲン化リンなどのハロゲン化試薬と反応させることにより、この方法により生じた式ArCOHの芳香族酸及び酸含有化合物を通常、活性化誘導体、例えば、酸ハロゲン化物に変えることができるか、又は、前記の酸ハロゲン化物に変え、続いて、場合によって有機アミン、例えば、トリエチルアミンなどの塩基の存在下に、芳香族炭化水素、例えば、トルエン若しくは塩素化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶剤中、約0℃から周囲温度までの温度で、式HN(OMe)Meのアミン又はその塩と反応させることにより、式ArC(O)N(OMe)MeのWeinrebアミドに変えることができる。
【0163】
基Alk又はRの性質に応じて、酸−又は塩基触媒による加水分解により、式(1)の化合物及びそのための中間体中の−COAlk及び−COなどのエステル基を、対応する酸[−COH]に変えることができる。例えば、有機溶剤、例えば、ジクロロメタン中の有機又は無機酸、例えば、トリフルオロ酢酸で、又は1,4−ジオキサンなどの溶剤中の塩酸などの鉱酸で、又は水性アルコール、例えば水性メタノール中のアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウムで処理することにより、酸−又は塩基触媒による加水分解を達成することができる。
【0164】
他の例では、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの溶剤中、低温、例えば、約−78℃で、三臭化ホウ素と反応させることにより、式(1)の化合物又はそのための中間体中の−OR[式中、Rはメチルなどのアルキルを表す]を分解して、対応するアルコール−OHにすることができる。
【0165】
エタノールなどの溶剤中、ギ酸アンモニウム、シクロヘキサジエン又は水素の存在下に、ほぼ周囲温度から還流温度で、炭素などの支持体に担持されている金属触媒、例えば、パラジウムを使用して、対応する−OCH31基(式中、R31はアリール基である)を水素化することにより、アルコール[−OH]基を得ることもできる。他の実施例では、例えば、メタノールなどの溶剤中で水素化アルミニウムリチウム又はホウ水素化ナトリウムなどの錯体の金属水素化物を使用する還元により、対応するエステル[例えば、−COAlk]又はアルデヒド[−CHO]から、−OH基を生じさせることもできる。
【0166】
他の例では、テトラヒドロフランなどの溶剤中、ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン並びにアゾジカルボン酸ジエチル、ジイソプロピル又はジメチルなどの活性化剤の存在下に、試薬ROHとカップリングさせることにより、化合物中のアルコール[−OH]基を対応する−OR基に変えることができる。
【0167】
他の例では、ピリジンなどの有機塩基の存在下に、高温、例えば、還流温度で、対応するアミン[−NH]とスルファミドとを反応させることにより、化合物中のアミノスルホニルアミノ[−NHSONH]基を得ることができる。
【0168】
他の例では、無水溶剤、例えば、テトラヒドロフランなどの環式エーテル中、還流温度などの高温で、−NHCOR又は−CONHR基を含有する対応する化合物を、Lawesson試薬又はPなどのチア化試薬で処理することにより、−NHCSR又は−CSNHR基を含有する化合物を調製することができる。
【0169】
他の例では、アルデヒド及び還元剤を使用する還元アルキル化法を使用して、アミン[−NH]基をアルキル化することができる。適切な還元剤には、ホウ水素化物、例えば、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム又はシアノホウ水素化ナトリウムが含まれる。必要な場合には、酢酸などの酸の存在下に、周囲温度で、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、アセトンなどのケトン、若しくはアルコール、例えばメタノール又はエタノールなどの溶剤中で、この還元を実施することができる。若しくは、アミン及びアルデヒドを初めに、芳香族炭化水素、例えばトルエンなどの溶剤中で反応させ、次いで、アルコール、例えばメタノールなどの溶剤中で、炭素などの支持体に担持されている金属触媒、例えば、パラジウムの存在下に、水素化に掛けることもできる。
【0170】
他の実施例では、アルコール、例えば、エタノールなどの溶剤中、周囲温度で、ヒドラジンと反応させることにより、対応するイミドから加水分解により、式(1)の化合物及びそのための中間体中のアミン[−NH]基を得ることができる。
【0171】
他の実施例では、例えば、炭素などの支持体に担持されている金属触媒、例えばパラジウムの存在下に、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又はアルコール、例えば、メタノールなどの溶剤中で、水素を使用する接触水素化により、又は、塩酸などの酸の存在下に、金属、例えば、スズ又は鉄を使用して、化学的に還元することにより、ニトロ[−NO]基を還元して、アミン[−NH]にすることができる。
【0172】
他の実施例では、ニトリル[−CN]を還元することにより、例えば、炭素などの支持体に担持されている金属触媒、例えば、パラジウム又はラネー(登録商標)ニッケルの存在下に、エーテル、例えば、テトラヒドロフランなどの環式エーテル、又はアルコール、例えば、メタノール又はエタノールなどの溶剤中で、場合によって、アンモニア溶液の存在下に、周囲温度から還流温度までの温度で、水素を使用して、接触水素化することにより、又はエーテル、例えばテトラヒドロフランなどの環式エーテルなどの溶剤中、0℃から還流温度までの温度で、例えば、金属水素化物、例えば、水素化アルミニウムリチウムを使用して、化学的に還元することにより、式(1)の化合物及びそのための中間体中のアミン[−CHNH]基を得ることができる。
【0173】
他の例では、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶剤中、ほぼ周囲温度で、ペルオキシ酸、例えば、3−クロロペルオキシ安息香酸などの酸化剤を使用して、化合物中の硫黄原子を、例えば、これらが基L又はL中に存在する場合には、対応するスルホキシド又はスルホンに酸化することができる。
【0174】
他の例では、例えば、式(5)の中間体の調製に関して前記した対応する窒素塩基を酸化することにより、式(1)の化合物のN−酸化物を通常は、調製することができる。
【0175】
適切な溶剤又は溶剤混合物、例えば、エーテル、例えばジエチルエーテル、又はアルコール、例えばエタノールなどの有機溶剤中で、慣用の手順を使用して、式(1)の化合物と適切な塩基とを反応させることにより、式(1)の化合物の塩を調製することができる。
【0176】
式(1)の化合物の特定の鏡像異性体を得ることが望ましい場合には、鏡像異性体を分離するために適した慣用の手順を使用して、対応する鏡像異性体混合物から、これを製造することができる。
【0177】
式(1)の鏡像異性体の混合物、例えば、ラセミ化合物と適切なキラル化合物、例えばキラル塩基とを反応させることにより、例えば、ジアステレオ誘導体、例えば塩を製造することができる。次いで、慣用の手段、例えば、結晶化により、ジアステレオ異性体を分離し、例えば、ジアステレオ異性体が塩である場合には、酸で処理することにより、所望の鏡像異性体を回収する。
【0178】
他の分離方法では、キラル高速液体クロマトグラフィーを使用して、式(1)のラセミ化合物を分離することができる。若しくは、望ましい場合には、前記のプロセス方法のいずれかで、適切なキラル中間体を使用することにより、特定の鏡像異性体を得ることができる。若しくは、鏡像異性体特異的酵素生体内変化、例えば、エステラーゼを使用するエステル加水分解を行い、次いで、鏡像異性的に純粋な加水分解された酸を未反応のエステル鏡像異性体から精製することにより、特定の鏡像異性体を得ることもできる。
【0179】
本発明の特定の幾何異性体を得ることが望ましい場合には、中間体又は最終生成物で、クロマトグラフィー、再結晶及び他の慣用の分離手順を使用することもできる。
【0180】
次の実施例により、本発明を詳述する。温度はすべて、℃である。次の略語を使用する:
NMM −N−メチルモルホリン;
EtOAc 酢酸エチル;
MeOH メタノール;
BOC tert−ブトキシカルボニル;
DCM ジクロロメタン;
AcOH 酢酸;
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン;
EtOH エタノール;
Pyr ピリジン;
Ar アリール;
DMSO ジメチルスルホキシド;
iPr イソプロピル;
EtO ジエチルエーテル;
Me メチル;
THF テトラヒドロフラン;
h 時間;
MCPBA 3−クロロペルオキシ安息香酸;
NBS N−ブロモスクシンイミド;
FMOC 9−フルオレニルメトキシカルボニル;
r.t. 室温;
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エン;
EDC 1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物:
BINAP 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
DME エチレングリコールジメチルエーテル;
p.s.i. ポンド/平方インチ;
MTBE メチルtert−ブチルエーテル。
【0181】
NMRはすべて、300MHz又は400MHzで得た。
【0182】
MDL Information Systems GmbH(Theodor−Heuss−Allee 108,D−60486 ドイツ フランクフルト在)により提供されているBeilstein Autonom又はAdvanced Chemical Development(カナダ トロント在)により供給されているACD Labs Name(v.6.0)を用いて、化合物を名付けた。
【0183】
次の方法を使用して、Hewlett Packard 1100 LC/MSで、記載のLCMS保持時間(RT)を生じさせた:Phenomenex Luna(登録商標)3μC18(2)50×4.6mmカラム;移動相A=水中0.1%のギ酸;移動相B=MeCN中0.1%のギ酸;流速0.9mL分−1、カラム温度40℃。
【表1】

【0184】
規定の別のLCMS条件(条件B)を使用する場合:
エレクトロスプレーイオン化及び次のLC法を使用して、Hewlett Packard 1100/ThermoFinnigan LCQ Duo LC/MS系で、記載のLCMS保持時間(RT)を生じさせた:Phenomenex Luna(登録商標)C18(2)5μ×100mm×4.6mmカラム;移動相A=水中0.08%のギ酸;移動相B=MeCN中0.08%のギ酸;流速3.0mL分−1、カラム温度35℃。
【表2】

【0185】
中間体1
エチル3−アミノチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
2−クロロ−3−シアノピリジン(330g、2.3mol)、2−メルカプト酢酸エチル(361.2g、3.0mol)、炭酸ナトリウム(265g、2.5mol)及びEtOH(1.2L)の混合物を4.5時間、加熱還流した。反応混合物を周囲温度に冷却し、水(15L)に加えた。得られた析出物を30分間撹拌し、次いで濾過した。濾過ケーキを水で2回洗浄し(2×2.5L)、45℃で一定の重量まで減圧乾燥して、標記化合物を褐色固体(493.1g、93.2%)として得た。

【0186】
中間体2
エチル3−ブロモチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
臭化銅(II)(403.3g)、亜硝酸tert−ブチル(220.6g)及びアセトニトリル(3.6L)の混合物に中間体1(363.6g)を2時間かけて数回に分けて加え、20〜25℃で撹拌した。20℃で2時間撹拌した混合物に2MのHCl(水溶液)(4.2L)をゆっくりと加えた。反応混合物であるスラリーを濾過し、固体を水(500mL)で洗浄した。混合濾液を酢酸エチル(8L)で抽出し、この酢酸エチル溶液を2MのHCl(水溶液)(2.2L)で洗浄した。また、この固体を酢酸エチル(6L)に溶解して、溶液を2MのHCl(水溶液)(4.4L及び2.2L)で2回洗浄した。次にこれら2種の酢酸エチル溶液を合わせて、2MのHCl(水溶液)(2.2L)で1回、水(2×2L)で2回洗浄した。酢酸エチル溶液を乾燥(MgSO)、濾過してから、40mbar、60℃で減圧濃縮して固体残渣を得た。これを粉砕して45℃で一定の重量まで減圧乾燥して、標記化合物を褐色固体(458.5g、97.9%)として得た。

【0187】
中間体3
エチル3−ブロモチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレートN−オキシド
中間体2(214g、0.747mol)のDCM(2140mL)スラリーに、窒素下で70%mCPBA(240g、0.97mol)を0.5時間かけて数回に分けて加えた。反応液を室温で18時間撹拌した。反応混合物を水(800mL)でクエンチし、10%w/vの炭酸ナトリウム溶液(1250mL)でpHを8.5に調製した。塩基性水層を除去し、pHが7になるまで有機層を水で洗浄した。有機層を減圧濃縮して、未精製の標記化合物を黄褐色固体として得た。粗生成物をMTBE(600mL)でスラリー化し、0〜5℃で1時間精製して標記化合物(174g、77%)を得た。

【0188】
中間体4
エチル3−ブロモ−6−オキソ−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
中間体3(95g、0.32mol)のDMF(950mL)懸濁液を室温で撹拌しながら、無水トリフルオロ酢酸(198g、131mL、0.94mol)を30分かけて滴下した(わずかな放熱が観察された)。全量を添加後、反応液を更に45分間室温で撹拌した。過剰量の無水トリフルオロ酢酸を減圧除去し、反応混合物を元の体積の約半分まで濃縮した。得られた暗褐色溶液を、水(1L)とトルエン(400mL)の混合物に注いだ。混合物を約10分間静置し、析出物を濾取した。析出物をトルエン(3×50mL)で洗浄してから50〜60℃の真空オーブンで乾燥して標記化合物を淡褐色固体(68.5g、72.1%)として得た。

【0189】
中間体5
エチル3−ブロモ−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
方法A
3Lのジャケット付き容器を中間体4(100g、0.332mol)、Cul(15.8g、0.083mol)、フェニルボロン酸(80g、0.664mol)、ピリジン(104g、1.32mol)及びアセトニトリル(2.0L)で満たし、混合物を40℃で撹拌した。反応混合物に圧縮空気を激しく吹き込んだ。6時間後に圧縮空気を停止し、反応混合物を40℃で一晩撹拌した。翌日に前記の工程を繰り返した。約36時間後に、97%を上回る出発原料が生成物に変換されたことがHPLCによって示された。得られた暗褐色反応混合物を、水(1.2L)と濃塩酸(300mL)の混合物に注いだ。混合物をジクロロメタン(2×1.5L)で抽出し、混合有機物を2MのHCl(水溶液)(2×1.5L)で洗浄した。有機層を分離し、MgSOのパッドを通してから減圧濃縮した。粗残渣をトルエン(600mL)で再結晶して標記化合物を淡褐色固体(93.85g、75.0%)として得た。

【0190】
方法B(代替法)
2頸丸底フラスコに中間体4(302mg、1.00mmol)、酢酸銅(II)(278mg、1.50mmol)、フェニルボロン酸(488mg、4.00mmol)、DCM(5mL)及びピリジン(158mg、2.00mmol)を順番に加えた。これを除湿しながら室温で18時間撹拌した。反応液をDCM(50mL)で希釈し、2MのHCl(水溶液)(50mL)で洗浄し、水層をDCM(50mL)で再抽出した。次いで混合有機物を水(50mL)で洗浄してから乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。粗生成物をメタノール(12mL)でスラリー化して精製して標記化合物を淡褐色固体(270mg、72%)として得た。

【0191】
中間体6
エチル3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
中間体5(10g、26.4mmol)、炭酸セシウム(12.05g、37.0mmol)、2,4−ジフルオロアニリン(4.1g、3.23mL、31.7mmol)及びBINAP(1.65g、2.64mmol)の混合物に無水トルエン(80mL)中でトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.21g、1.32mmol)を加え、窒素下で4日間加熱還流した。反応液を冷却し、DCM及び水に分配してから、有機相を乾燥し(MgSO)、減圧留去した。粗残渣をメタノールで粉砕して標記化合物を白色固体(9.87g)として得た。

【0192】
中間体7
リチウム3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
水酸化リチウム一水和物(686mg、16.4mmol)の水(125mL)溶液を中間体6(6.34g、14.9mmol)のエタノール(250mL)及びTHF(125mL)懸濁液に加えた。反応液を85℃で4時間撹拌後、室温に放冷した。溶媒を減圧除去し、残渣をトルエン(3×50mL)と共に蒸発させて、標記化合物を褐色固体(6.02g)として得た。

【0193】
中間体8
ペンタフルオロフェニル3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(3.42g、17.8mmol)を、中間体7(6.02g、14.9mmol)のDMF(300mL)溶液に加えた。反応液を室温で30分間撹拌後、ペンタフルオロフェノール(4.10g、22.3mmol)を加え、次いで室温で更に16時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をDCM(150mL)に溶解し、水(2×100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc20〜40%のイソヘキサン溶液)で精製して、標記化合物を白色固体(1.71g)として得た。

【0194】
中間体9
ベンジル3−[({3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボキシレート
中間体8(300mg、0.53mmol)及びベンジル3−アミノピロリジン−1−カルボキシレート(350mg、1.6mmol)のDCM(5mL)溶液を室温で18時間撹拌した。更なる1当量のベンジル3−アミノピロリジン−1−カルボキシレート(0.53mmol)を加え、反応液を更に18時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc60%のイソヘキサン溶液)で精製して、標記化合物を黄色油状物(141mg)として得た。LCMS(ES)室温3.63分、601(M+H)
【0195】
中間体10
tert−ブチル(3R)−3−[({3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボキシレート
中間体8(0.75g、1.30mmol)、tert−ブチル(3R)−3−アミノピロリジン−1−カルボキシレート(272mg、1.45mmol)及びトリエチルアミン(1mL、7.14mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、室温で18時間撹拌した。反応混合物を水洗し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、カラムクロマトグラフィー(シリカ、メタノール5%のジクロロメタン溶液)で精製して、標記化合物を無色油状物(547mg)として得た。LCMS(ES)室温3.742分、566(M)
【0196】
中間体11
ナトリウム3−シアノ−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−2−チオレート
ナトリウムメトキシドのMeOH溶液(30重量%、202.2g、1.12mol)を無水エタノール(360mL)に加えた後、1,3−ジメチルウラシル(75g,0.535mol)及び2−シアノ−N−フェニルチオアセトアミド(Adhikariら,Australian J.Chem.,1999,52,63−67)(90g、0.511mol)を加えた。得られた混合物を8時間加熱還流した後、周囲温度に一晩放冷した。生成物を濾取し、濾過ケークを冷エタノール(450mL)で洗浄した後、45℃で減圧乾燥して一定重量にし、標記化合物を薄桃色固体(130.0g)として得た。こうして得られた生成物は、1H NMRにより12.2重量%と推定される残留EtOH及びMeOHを含んでおり、従って修正後収量は114.1gであった。

【0197】
中間体12
9H−フルオレン−9−イルメチル4−(ブロモアセチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
FMOC−イソニペコチン酸(2.0g,5.7mmol)を、予め洗浄した水素化ナトリウム(251mg、6.3mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に加えた。室温で5分間、次いで60℃で30分間撹拌後、塩化チオニル(750mg、6.3mmol)を加え、析出したナトリウム塩を溶解した。60℃で30分間撹拌後、反応液を減圧濃縮し、次いでヘプタンと共沸させて残留した塩化チオニルを除去し、酸塩化物である9H−フルオレン−9−イルメチル4−(クロロカルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。1−メチル−3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(2.94g、20mmol)を数回に分けて水酸化カリウム40%水溶液(30mL)及びジエチルエーテル(20mL)に加えた。エーテル層をデカントし、硫酸ナトリウムで乾燥し、上記酸塩化物のジエチルエーテル(20mL)溶液に加えた。反応液を0℃で2時間撹拌後、臭化水素48%の酢酸(5mL)溶液で処理した。室温で一晩撹拌後、反応混合物をメタノールで希釈し、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM40%のイソヘキサン溶液)で精製して標記化合物(1.24g)を得た。LCMS(ES)室温4.20分、450(M+Na)
【0198】
中間体13
9H−フルオレン−9−イルメチル4−[(3−アミノ−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)カルボニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
中間体12(467mg、1.04mmol)、中間体11(200mg、0.8mmol)及び炭酸カリウム(221mg、1.6mmol)をアセトニトリル(5mL)中、50℃で4時間撹拌した。反応混合物を冷却し、ジクロロメタンと水に分配し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc0〜100%のDCM溶液)で精製して標記化合物(212mg)を得た。

【0199】
中間体14
9H−フルオレン−9−イルメチル4−[(3−ブロモ−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)カルボニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
中間体13(193mg、0.34mmol)、亜硝酸tert−ブチル(48.5mg、56mL、0.47mmol)及び臭化銅(II)(82.5mg、0.37mmol)をアセトニトリル(5mL)中で混合し、0℃で4時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をジクロロメタンと水に分配し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc0〜100%のDCM溶液)で精製して標記化合物(166mg)を得た。

【0200】
中間体15
エチル3−[(4−フルオロ−3−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
中間体5(1.00g、2.64mmol)、Pd(dba)(0.121g,0.132mmol)及びrac−BINAP(0.164g,0.264mmol)をトルエン(12mL)中で5分間撹拌した。4−フルオロ−3−メチルアニリン(0.397g、3.172mmol)及び炭酸セシウム(1.205g、3.701mmol)を加え、混合物をN下で24時間加熱還流した。混合物をTHF(100mL)に溶解し、水洗した。混合有機物を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣をMeOHで粉砕して標記化合物を白色固体(0.754g)として得た。

【0201】
中間体16
リチウム3−[(4−フルオロ−3−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
中間体15(0.494g、1.170mmol)をEtOH/THF/HO(2:1:1)(20mL)に溶解し、80℃に加熱し、LiOH.HO(0.054g,1.287mmol)で処理した。出発物質がなくなる(TLCで判定)まで反応を続けた。溶媒を減圧除去し、残渣をトルエンと共沸させて、標記化合物をベージュ色固体(0.284g)として得た。

【0202】
中間体17
ペンタフルオロフェニル3−[(4−フルオロ−3−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート
EDC(0.163g、0.852mmol)を中間体16(0.284g、0.710mmol)のDMF(10mL)溶液に加えて、混合物を室温で30分間撹拌した。ペンタフルオロフェノール(0.196g、1.065mmol)を加えて、混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をDCMに溶解して、水で洗浄してから乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、50%ヘキサン/EtOAc)で精製して標記化合物を白色固体(0.226g)として得た。

【0203】
中間体18
tert−ブチル(3S)−3−[({3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]ピロリジン−1−カルボキシレート
中間体8(1g、1.77mmol)及びtert−ブチル(3S)−3−アミノピロリジン−1−カルボキシレート(363mg、1.95mmol)から、中間体10の方法により標記化合物(780mg、78%)を得た。LCMS(ES)室温3.766分、567(M+H)
【0204】
中間体19
tert−ブチル4−[({3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)アミノ]ピペリジン−1−カルボキシレート
中間体8(515mg、0.91mmol)、EtN(0.5mL)及びtert−ブチル4−アミノピペリジン−1−カルボキシレート(209mg、1.0mmol)のDCM(15mL)溶液を室温で7日間撹拌した。反応液をDCM/HOに分配した。有機層をNaHCO水溶液で洗浄し、乾燥した(NaSO)。クロマトグラフィー(シリカ、AcOEt2%のDCM溶液)で精製して標記化合物を白色固体(337mg、64%)として得た。

【0205】
中間体20
ベンジル4−{[メトキシ(メチル)アミノ]カルボニル}ピペリジン−1−カルボキシレート
1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−4−ピペリジンカルボン酸(1.03g、3.91mmol)、EDC(0.9g、4.69mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.12g、0.98mmol)及び塩酸N,O−ジメチルヒドロキシルアミン(0.382g、3.91mmol)をDCM(50mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.2mL、15.7mmol)で処理した。反応液を室温で2.5時間撹拌後、DCMで希釈し、2M HCl水溶液、次いでNaHCO水溶液で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮して標記化合物(1g)を得た。

【0206】
中間体21
ベンジル4−アセチルピペリジン−1−カルボキシレート
中間体20(1.0g、3.27mmol)をTHF(20mL)に溶解し、0℃に冷却した。反応液を3M臭化メチルマグネシウム(1.2mL、3.59mmol)で処理し、室温で1時間にわたり加熱した。反応液を水でクエンチし、DCMに抽出し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、0〜100%DCM−EtOAc勾配)で精製して標記化合物(0.68g)を得た。

【0207】
中間体22
ベンジル4−(ブロモアセチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
中間体21(3.65g、14.0mmol)をMeOH(100mL)に溶解し、臭素(0.72mL、14.0mmol)を用いて0℃で処理した。室温で2時間にわたって加熱後、溶媒を減圧除去し、残渣をDCMに再び溶解し、NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、50%DCM:EtOAc)により標記化合物(4.15g)を得た。

【0208】
中間体23
ベンジル4−[(3−アミノ−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)カルボニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
中間体22(4.15g、12.2mmol)、中間体11(3.05g、12.2mmol)及び炭酸カリウム(3.37g、24.4mmol)をアセトニトリル(100mL)中で一緒に50℃で8時間加熱した。溶媒を減圧除去し、残渣をDCMと水に分配し、有機層を分離し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、0〜100%DCM−EtOAc勾配)で精製して標記化合物(3.55g)を得た。

【0209】
中間体24
ベンジル4−[(3−ブロモ−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル)カルボニル]ピペリジン−1−カルボキシレート
亜硝酸tert−ブチル(1.71mL、14.4mmol)をアセトニトリル(50mL)に溶解し、臭化第二銅(2.5g、11.3mmol)で処理した。中間体23(2.5g、11.3mmol)を加え、反応液を0.5時間撹拌した。反応液を2M HClでクエンチし、DCMに抽出し、水洗し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物(3.02g)を得た。

【0210】
中間体25
ベンジル4−({3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート
BINAP(112mg、0.18mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(82.4mg、0.09mmol)をトルエン(20mL)に溶解し、5分間脱気した。炭酸セシウム(828mg、2.54mmol)及び中間体24(1g,1.81mmol)を加え、反応液を再度脱気した。最後に2,4−ジフルオロアニリン(285mg、2.2mmol)を加え、更に5分間脱気した。窒素下100℃で18時間撹拌後、反応液を冷却し、DCMで希釈し、水洗し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、EtO−DCM、10:1)で精製して標記化合物(620mg)を得た。

【0211】
中間体26
ベンジル4−({3−[(6−メチルピリジン−2−イル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−イル}カルボニル)ピペリジン−1−カルボキシレート
中間体24(900mg、1.63mmol)及び2−アミノ−6−メチルピリジン(212mg、1.96mmol)から、中間体25の方法により標記化合物(1g)を得た。

【実施例1】
【0212】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−N−[(1R,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
中間体8(200mg、0.354mmol)のDCM(4mL)溶液に塩酸cis−2−アミノシクロペンタノール(97mg、0.709mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.78mmol)を加え、反応液を室温で18時間撹拌した。更なる1当量のアミノシクロペンタノール(48.5mg、0.354mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.07mL、0.39mmol)を加え、反応液を更に7時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc20〜60%のイソヘキサン溶液)で精製して、標記化合物をオフホワイト固体(115mg)として得た。

【実施例2】
【0213】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−N−[(1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
中間体8(200mg、0.354mmol)のDCM(4mL)溶液にtrans−2−アミノシクロペンタノール(72mg、0.709mmol)を加え、反応液を室温で18時間撹拌した。更なる3当量のアミノシクロペンタノール(108mg)を加え、反応液を更に24時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc50〜100%のイソヘキサン溶液)で精製して、標記化合物を黄色固体(145mg、85%)として得た。

【実施例3】
【0214】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−N−[(1S,2S)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
中間体8(200mg、0.35mmol)のDCM(5mL)溶液に(1S,2S)−2−アミノシクロペンタノール(110mg、1.10mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(198μL、1.13mmol)を加え、反応液をマイクロ波中で60分間(50℃、100ワット)加熱した。反応混合物を水洗し、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc65%のイソヘキサン溶液;次いでシリカ、THF5%のDCM溶液)で精製して、標記化合物を白色固体(57mg)として得た。

【実施例4】
【0215】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−N−[(1R,2R)−2−ヒドロキシシクロペンチル]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
中間体8(200mg、0.35mmol)のDCM(5mL)溶液に(1R,2R)−2−アミノシクロペンタノール(110mg、1.10mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(198μL、1.13mmol)を加え、反応液をマイクロ波中で90分間(50℃、100ワット)加熱した。反応混合物を水洗し、有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOAc60%のイソヘキサン溶液)で精製して、標記化合物を白色固体(89mg)として得た。

【実施例5】
【0216】
rac−3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−N−(ピロリジニル−3−イル)−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]−2−カルボキサミド
中間体9(141mg、0.24mmol)をMeOH(20mL)に溶解し、水酸化パラジウム(炭素比20重量%、約10mg)を加えた。反応混合物を窒素で脱気した後、窒素雰囲気(バルーン)に付した。反応液を室温で4時間撹拌後、セライト(登録商標)のパッドで濾過した。濾過パッドをMeOHで洗浄し、混合メタノール濾液を減圧濃縮した。粗生成物を分取HPLCで精製して標記化合物をオフホワイト固体(12mg)として得た。

【実施例6】
【0217】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−N−[(3R)−ピロリジニル−3−イル]−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]−2−カルボキサミド
中間体10(540mg、0.95mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)で処理した。室温で30分間撹拌後、反応混合物を濃縮し、ヘプタンと共沸させて残留トリフルオロ酢酸を除去した。粗残渣をジクロロメタンに溶解し、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、有機層を分離し、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(逆相シリカ、エタノール60%:水40%)で精製して、標記化合物を白色固体(390mg)として得た。

【実施例7】
【0218】
3−アニリノ−7−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルカルボニル)チエノ[2,3−b]ピリジン−6(7H)−オン
2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(15.6mg、0.025mmol)及びトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(11.5mg、0.0125mmol)をトルエン(5mL)中で混合し、脱気し、窒素下で10分間撹拌した。中間体14(160mg、0.25mmol)及び炭酸セシウム(114mg、0.35mmol)を加え、反応液を再度脱気した。アニリン(28mg、0.30mmol)を加え、脱気後、反応液を100℃で18時間加熱した。反応混合物を冷却し、ジクロロメタンで希釈し、水洗した。有機相を分離し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、EtOH0〜100%のDCM溶液)で精製して標記化合物を固体(20mg)として得た。

【実施例8】
【0219】
3−[(4−フルオロ−3−メチルフェニル)アミノ]−7−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルカルボニル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−6(7H)−オン
中間体14(3.0g,4.7mmol)及び4−フルオロ−3−メチルアニリン(705mg、5.63mmol)から、実施例7の方法により標記化合物(512mg、24%)を得た。

【実施例9】
【0220】
N−(アゼチジン−3−イル)−3−[(4−フルオロ−3−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
中間体17(1g、1.8mmol)と3−アミノアゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(338mg、1.98mmol)の混合物のDCM(10mL)溶液を室温で5日間撹拌した。反応混合物をトリフルオロ酢酸(2mL)で処理し、室温で更に24時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をDCMに再び溶解し、NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。シリカクロマトグラフィー(DCM−EtOH)により標記化合物(220mg、27%)を得た。

【実施例10】
【0221】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−N−[(3S)−ピロリジニル−3−イル]−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
中間体18(560mg、1.00mmol)のDCM(10mL)溶液をトリフルオロ酢酸(2mL)で処理し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィー(逆相シリカ;60:40 エタノール:水)にかけて標記化合物(342mg、73%)を得た。

【実施例11】
【0222】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−N−[(3S)−1−メチルピロリジン−3−イル]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
実施例10(200mg、0.43mmol)及びパラホルムアルデヒド(343mg、11.4mmol)のMeOH(3mL)溶液を4M HClの1,4−ジオキサン(2滴)溶液、次いで水素化シアノホウ素ナトリウム(33mg、0.53mmol)で処理した。反応液を室温で2時間撹拌した。反応液を2M HClでクエンチした後、反応液をNaOHで塩基性にし、DCMに抽出し、水洗し、次いで乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ;EtOAc−MeOH)で精製して標記化合物(135mg、65%)を得た。

【実施例12】
【0223】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−N−[(3R)−1−メチルピロリジン−3−イル]−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
実施例6(250mg、0.354mmol)から実施例11の方法により標記化合物をオフホワイト固体(142mg、55%)として得た。

【実施例13】
【0224】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−7−フェニル−N−(ピペリジン−4−イル)−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
中間体19(337mg、0.58mmol)をHClの1,4−ジオキサン(4N)溶液に溶解し、室温で18時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、EtOで粉砕した。クロマトグラフィー(シリカ、MeOH10%〜25%のDCM溶液)で精製して標記化合物をオフホワイト固体(235mg、81%)として得た。

【実施例14】
【0225】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−6−オキソ−7−フェニル−6,7−ジヒドロチエノ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキサミド
実施例13(197mg、0.38mmol)から実施例11の方法により標記化合物をオフホワイト固体(160mg、85%)として得た。

【実施例15】
【0226】
3−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルカルボニル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−6(7H)−オン
中間体25(600mg、1.00mmol)を臭化水素酸48%の酢酸(10mL)溶液で処理し、室温で30分間撹拌した。反応液を水で希釈し、ヘキサンで洗浄し、水相をDCMで希釈し、有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濃縮した。残渣をDCMに再び溶解し、2M NaOHで洗浄した後、乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(逆相シリカ、40〜60%エタノール−水勾配)で精製して標記化合物(420mg)を得た。

【実施例16】
【0227】
3−[(6−メチルピリジン−2−イル)アミノ]−7−フェニル−2−(ピペリジン−4−イルカルボニル)−チエノ[2,3−b]ピリジン−6(7H)−オン
中間体26(1g、1.81mmol)から実施例15の方法により標記化合物(480mg)を得た。

【実施例17】
【0228】
3−[(4−フルオロ−3−メチルフェニル)アミノ]−2−[(1−メチルピペリジン−4−イル)カルボニル]−7−フェニルチエノ[2,3−b]ピリジン−6(7H)−オン
実施例8(275mg、0.51mmol)及びパラホルムアルデヒド(400mg,2.4mmol)をMeOH(5mL)中に懸濁し、水素化シアノホウ素ナトリウム(38.3 mg、0.61mmol)で処理した。室温で24時間撹拌後、反応液を2M HClでクエンチし、NaOH水溶液で塩基性にし、DCMに抽出した。有機相を乾燥し(NaSO)、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(逆相シリカ、40〜60%エタノール−水勾配)により標記化合物(175mg)を得た。

【0229】
阻害剤アッセイ用活性型ヒトp38α MAPKの調製
ヒトp38α MAPKの精製
N末端に(His)6タグが組み込まれたヒトp38α MAPKを、製造者の使用説明書に従ってバキュロウイルスを感染させたHigh−Five(商標)細胞(Invitrogen)に発現させた。細胞を感染72時間後に採取して、1%(w/v)β−オクチルグルコシド及びコンプリート、EDTA−フリー(商標)プロテアーゼインヒビター(Roche Molecular Biochemicals)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で溶解した。溶解産物を35000×g、4℃で30分間遠心して、上清をNiNTA(商標)カラム(Qiagen)に充填した。結合した蛋白質を(15mMのPBS中イミダゾールで洗浄後に)150mMのPBS中イミダゾールで溶出して、HiTrap Q(商標)カラム(AP Biotech)に直接充填した。0から1Mまで濃度勾配をつけたNaClを20カラム容積使用して、結合した蛋白質を溶出した。(His)6−p38 MAPKを含む分画を等分して、活性化まで−70℃で保存した。
【0230】
GST−MKK6EEを含む溶解産物の調製
N末端にグルタチオン−S−トランスフェラーゼタグを融合させた活性型ヒトMKK6を構成性に発現する大腸菌(BL21 pLysS)(GST−MKK6EE)を遠心によって採取して、−70℃で凍結した。コンプリート、EDTA−フリー(商標)プロテアーゼ阻害剤を含むPBSを培養細胞の10分の1量用いて、そこに細胞を再懸濁して溶解し、次いで細胞を氷上で4×15秒間超音波破砕した。35,000×gで遠心して壊死細胞片を除去し、得られた上清を等分して−70℃で保存した。
【0231】
(His)6−p38 MAPKの活性化
0.45mLの精製(His)6−p38 MAPKをGST−MKK6EEを含む溶解産物50μLに加えて、1mMのβ−グリセロリン酸、10mMのMgCl及び9mMのATPの存在下、23℃で30分間反応させた。活性化の程度は、質量分析で二重リン酸化型の(His)6−p38 MAPKを検出することによって監視した。二重リン酸化型(His)6−p38 MAPKは常に、最終調製した(His)6−p38 MAPKの90%を上回っていた。次に活性(His)6−p38 MAPKをPBSで10倍に希釈し、前記の方法で再精製した。精製された活性(His)6−p38 MAPKの濃度をA280、0.1%=1.2を用いて280nmのUV吸収によって測定し、調製液は等分して阻害剤アッセイに使用するまで−70℃で保存した。
【0232】
p38 MAPK阻害アッセイ
ビオチン化ミエリン塩基性蛋白質(MBP)のリン酸化の阻害
p38が触媒するビオチン化MBPのリン酸化の阻害は、DELFIA法を用いて測定した。20mMのHEPES(pH7.4)、5mMのMgCl及び3mMのDTTから成る緩衝液の中でアッセイを行った。一般的なIC50の測定には、ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロタイタープレートにビオチン化MBP(2.5μM)を活性gst−p38 MAPK(10nM)及びATP(1μM)と共に入れて、様々な阻害剤濃度の下(DMSOの最終濃度は2パーセント)、室温インキュベートした。15分後にEDTA(75mM)を加えて反応を停止させた。次いでマイクロタイタープレートをトリス緩衝生理食塩水(TBS)で洗浄してから、抗リン酸MBP抗体(マウス)100μlをユーロピウム標識抗マウスIgG抗体と共に加えた。室温で1時間おいてからプレートをTBSで再度洗浄し、続いて増感溶液(PerkinElmer Wallac)を加えた。室温で更に15分おいてから蛍光測定を実施した。
【0233】
阻害剤濃度のlog10値(x軸)に対する阻害剤不在下で対照試料により生成された蛍光の阻害率(y軸)をプロットしてIC50値を測定した。
【0234】
ヒト末梢血単核細胞の精製
末梢血単核細胞(PBMC)を健常ボランティアから分離した。ヘパリン化バキュテナー(Becton Dickinson)を用いて静脈穿刺により全血を採取し、それをRPMI 1640(Gibco、英国)で4倍に希釈し、フィコールパック勾配(Amersham−Pharmacia Biotech、英国)に重層して400gで35分間遠心した。界面の細胞を除去して1度洗浄してから、低速回転(250g)で血小板を除去した。次に、10%のFCS、100単位・ml−1のペニシリン、50μg・ml−1のストレプトマイシン及び2mMのグルタミンを含むDMEM(Gibco、英国)に細胞を再懸濁した。
【0235】
阻害剤の希釈
阻害剤の原液(20mM)をDMSOに溶解して凍結溶液(−20℃)として保存した。阻害剤をDMSOで連続的に希釈して、250倍濃縮溶液を作成した。阻害剤を組織培養媒体で250倍に希釈し、予め37℃に加温してからPBMCを入れたプレートに移した。PBMCと阻害剤を合わせて30分間インキュベートしてからLPSを加えた。全血アッセイで使用された阻害剤は異なる方法で調製した。同じ原液を使用して、阻害剤をDMSOで連続的に希釈した。次に阻害剤1μLを全血で直接500倍に希釈した。阻害剤を全血と30分間反応させてからLPSを加えた。
【0236】
PBMCのLPS刺激
PBMCを2×10細胞/穴の密度で96穴の組織培養用平底プレートに再懸濁した。阻害剤添加後に適量のLPSで細胞を刺激し(B5:055系大腸菌、シグマ、最終濃度1μg・ml−1)、5%CO/95%大気下37℃で18時間インキュベートした。サンドイッチELISA法(BioSource CHC1751)で細胞を含まない上清のTNF−α濃度を測定した。
【0237】
全血のLPS刺激
ヘパリン化バキュティナー(vacutainers)(Becton Dickinson)を用いて静脈穿刺により全血を採取し、それを500μLずつ等分して24穴組織培養用プレートの各穴に入れた。阻害剤添加後に至適用量のLPSで細胞を刺激し(B5:055大腸菌、シグマ、最終濃度1μg・ml−1)、CO不在下37℃で18時間インキュベートした。サンドイッチELISA法(BioSource #CHC1751)で細胞を含まない上清のTNF−α濃度を測定した。
【0238】
ラットのLPS誘発性TNF放出
オスのルイスラット(180〜200g)をIsofluorで麻酔し、0.5mLの無菌生理食塩水に溶かしたLPSを静脈注射する。90分後、EDTA管に血液を採取して、血漿試料を調製した。市販のELISAキットによるTNF−αアッセイを行うまで、血漿は−70℃で保存する。
【0239】
ラットCIA
メスのルイスラット(180〜200g)をIsofluorで麻酔し、0.01Mの酢酸中に4mg/mlで溶かしたウシコラーゲンII及びフロイント不完全アジュバントを1:1の比率で含む乳濁液2×100μlを尾の基部に皮内注射して免疫する。感作から約13日後に多発関節炎が生じる。関節炎は主に足関節に限局し、関節炎の定量化は体積変動測定法で行う。結果は足の体積の経時的変化で表す。
【0240】
前記のp38 MAPKアッセイでは、本発明化合物のIC50値は約1μM又はそれ未満であった。本発明化合物がp38 MAPキナーゼ、特にp38α MAPキナーゼの阻害効果を有することは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物並びにその塩、溶媒和物、水和物及びN−酸化物:
【化1】


[式中、
Xは、共有結合又は基−N(R)−であり;
Yは、結合基−C(O)−又は−S(O)−であり;
nは、0又は整数1であり;
mは、整数1、2又は3であり;
pは、0又は整数1、2、3若しくは4であり;
qは、0又は整数1若しくは2であり;
Rは、水素原子又は直鎖若しくは分枝鎖C〜Cアルキル基であり;
は、−OH、−(Alk)OH(式中、Alkは、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキレン鎖である)、−OR(式中、Rは、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキル基である)、−(Alk)OR、−NR(式中、R及びRは、同じでも異なってもよく、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖若しくは分枝鎖C〜Cアルキル基である)、−(Alk)NR又は直鎖若しくは分枝鎖C〜Cアルキル基であり;
Lは、結合原子又は基−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−CH−、−CH(R)−、−C(R−又は−NR−(式中、Rは水素原子又はC〜Cアルキル基である)であり;
Alkは、直鎖又は分枝鎖C〜Cアルキレン鎖であり;
Cyは、置換されていてもよい脂環式、多脂環式、複素脂環式、複素多脂環式、芳香族又は複素芳香族基であり;及び
Arは、置換されていてもよい芳香族又は複素芳香族基である]。
【請求項2】
Yは−C(O)−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
mは、1又は2である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
qは、0又は1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Lは、−CH−、−CH(R)−、−NH−又は−N(CH)−であり、式中、Rは、請求項1と同様に定義される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Cyは、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、メチルフェニル又はシクロプロピルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Arは、フェニル、ジフルオロフェニル、(クロロ)(フルオロ)フェニル、(フルオロ)(メチル)フェニル、クロロフェニル、シアノフェニル、メチルフェニル又はメチルピリジニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
実施例のいずれか1つに具体的に開示されている、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
請求項1で定義された式(1)の化合物又はその医薬的に許容できる塩、溶媒和物、水和物若しくはN−オキシドを医薬的に許容できる担体と共に含有する医薬組成物。
【請求項10】
p38MAPキナーゼの阻害剤が必要とされる障害を治療及び/又は予防するための薬剤を製造するための、請求項1で定義された式(1)の化合物又はその医薬的に許容できる塩、溶媒和物、水和物若しくはN−オキシドの使用。
【請求項11】
p38MAPキナーゼの阻害剤が必要とされる障害を治療及び/又は予防する方法において、そのような治療を必要とする患者に、請求項1で定義された式(1)の化合物又はその医薬的に許容できる塩、溶媒和物、水和物若しくはN−オキシドを投与することを含む方法。

【公表番号】特表2007−516162(P2007−516162A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516453(P2006−516453)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002644
【国際公開番号】WO2004/113348
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501460693)セルテック アール アンド ディ リミテッド (29)
【Fターム(参考)】