説明

キノリン化合物を含有する新規な組成物

実質的に、式(II)で表される塩の有効量および好ましくはpH8を超えて保持するアルカリ性反応成分または2価金属カチオンの塩、および少なくとも1つの医薬賦形剤からなり、前記式(II)の塩は、少なくとも3年、室温貯蔵の間、実質的に安定であることを特徴とする安定な固体医薬組成物。式(II)の塩を安定化させるプロセス、式(II)の結晶塩および結晶塩を製造するプロセス。
【化10】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−キノリンカルボキサミド塩を含有する安定な組成物、その塩の製造方法および長期の室温貯蔵の間、高い安定性を有する固体医薬製剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3−キノリンカルボキサミド誘導体は米国特許第4,547,511、6,077,851、6,133,285および6,121,287号に記載されている。本明細書で用いる用語「3−キノリンカルボキサミド誘導体」とは、式(I)の化合物の非解離の酸形、以下、中性形と呼ぶが、即ち、式(I)で示されるものである。
【0003】
【化7】

【0004】
上記の米国特許で開示された中性形の3−キノリンカルボキサミド誘導体のいくつかは、特に医薬製剤中、固体状態で化学分解を受けやすいという予期しないことが見出された。式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体の塩のいくつかは上記の米国特許で公知である。しかしながら、上述した特許の明細書のいずれにも、化学分解を受けやすい式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体を十分安定な医薬形を可能とし得る方法を開示していないし、医薬製剤中で3−キノリンカルボキサミド誘導体の塩形を用いるいかなる特別な利点も提案していない。

発明の概要
本発明を踏まえて、1価または多価カチオンを有する式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体の塩として含有する安定な個体医薬製剤およびその製剤を製造するプロセスを提供する。そのプロセスは3−キノリンカルボキサミド誘導体の塩を含有するカプセルまたは錠剤を形成および医薬賦形剤から解離するいかなるプロトンを中和できる均一に分布したアルカリ性反応成分を含み、それにより、3−キノリンカルボキサミドを式(II)の塩形に保持することを含む。
【0005】
別の方法として、水に溶けにくい3−キノリンカルボキサミドおよび式(II)の塩のイオンへの解離を低下させることのできる2価の金属カチオンを有する塩を含有するカプセルまたは錠剤を形成する方法を含む。
【0006】
本発明のアルカリ性反応成分は典型的には炭酸ナトリウムであり、2価金属カチオンの塩は典型的には酢酸カルシウムである。本発明の固体製剤は、固体粉末状担体、結合剤、崩壊剤および滑剤等の医薬賦形剤を含む。
【0007】
また、本発明において、多価金属カチオンである対イオンを有する式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体の結晶塩の製造プロセスを提供する。
【0008】
本発明によって、固体医薬製剤中で化学分解を受けやすいこれらの3−キノリンカルボキサミド誘導体により引き起こされる問題が解決される。

発明の説明
上記米国特許で開示された中性形の3−キノリンカルボキサミド誘導体のいくつかは、固体で、特に医薬製剤中で化学分解を受けやすい。本発明の主目的はこの安定性の問題を克服することにある。前記安定性問題に対する本発明の解決法は式(I)の化合物の塩形は上記化合物の中性形と比較して高い化学安定性を有するという驚くべき予期せぬ発見に基づいている。
【0009】
【化8】

【0010】
図式1 ケテンの形成

式(I)の化合物の分解が注意深く調査された。本発明者は式(I)の化合物のアニリン部分が予期せず除去され高度に反応性のケテンが形成されることを示した。このケテンは速やかに、例えばROH化合物と反応する。
【0011】
何の特別な注意を払わずに貯蔵すると、式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体のいくつかは許容できない速度で分解する。加速された条件、即ち40℃、相対湿度75%で貯蔵すると、ある種の3−キノリンカルボキサミド誘導体の分解は6ヶ月で2%を超える(表1)。通常の貯蔵条件で、式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体の分解速度はそれより低いが、それにもかかわらず、改良された安定性を示す3−キノリンカルボキサミド誘導体の物理的形を得ることが望まれる。
【0012】
驚き、予期せず今回見出されたことだが、式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体は、構造式(II)の1価または多価金属カチオンを有する塩形に変換される場合、
【0013】
【化9】

【0014】
(式中、nは1、2または3の整数、An+はLi+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Al3+およびFe3+から選択される1価または多価金属カチオン、Rは直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、R5は直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルキルチオ、環状C3−C4のアルキルチオ、直鎖状もしくは分岐状のC1―C4のアルキルスルフィニル、環状C3−C4のアルキルスルフィニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ、およびR6は水素または、R5およびR6が結合してメチレンジオキシ、R´は水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルコキシ、環状C3−C4のアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはトリフルオロメチル、およびR´´は水素、フルオロまたはクロロ、但し、R´がフルオロまたはクロロのときだけはR´´はフルオロまたはクロロ)、
対応する式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体の中性形に比較して高い安定性を有する。
【0015】
式(II)の3−キノリンカルボキサミド誘導体塩の好ましい群としては、An+がLi+、Na+、およびCa2+である。
【0016】
式(II)の3−キノリンカルボキサミド誘導体塩の他の好ましい群としては、An+がCa2+、Zn2+およびFe3+を含む水に溶けにくい塩である。
【0017】
3−キノリンカルボキサミドの式(II)の塩は式(I)の3−キノリンカルボキサミドを1価または多価金属塩と反応させて製造される。そのような塩および反応条件は以下で示される。一般的に、式(II)の塩の水溶解性は、例えばナトリウムまたはカリウム塩等の1価のカチオンのほうが、例えばカルシウム、亜鉛、銅(II)または鉄(III)塩等の多価の塩よりも高い。例として、ナトリウム塩は水に容易に溶けるが、例えばクロロホルムのような低極性溶媒にはある程度までしか溶けない。反対に、鉄(III)塩は水にほとんど溶けないが、クロロホルムによく溶け、メタノールには僅かに溶ける。式(II)の多価の塩、例えば、カルシウム塩の沈殿用に単一水溶性溶媒を使用する場合、水に非常に低い溶解性のため非晶性の沈殿が形成されるであろう。しかしながら、温度を上昇させたり、水と混合可能な溶媒、例えば、エタノールを添加することにより、塩は幾分高いがやはり低い溶解性ではあり、結晶性化合物を沈殿させることができる。水とエタノールの混合物は、10−95%エタノールが確実に結晶性化合物を得るために好ましく用いられる。そのような混合物の場合、沈殿物の粒径は温度に依存し、温度が高くなるほど大きな結晶となる。反応温度は0℃から還流温度まで変えることができる。別の方法として、結晶塩は非晶質塩に、実施例4および7で示すように結晶性化合物が限られた溶解性を有する溶媒を混合して得ることができる。
【0018】
式(II)の化合物の貯蔵安定性が大きく改良される。N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミド(以下、化合物Aと称す)を、N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのナトリウム塩(以下、化合物Aナトリウムと称す)との比較から明らかである。40℃および相対湿度75%で、固体状態で化合物Aナトリウムの0.01%未満が、24ヶ月後に分解物に変換されるが、化合物Aの0.31%が6ヶ月で分解される。分解を受けやすい3−キノリンカルボキサミド誘導体の他の例として、N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミド(以下、化合物Bと称す)、表1参照。
【0019】
(表1) 3−キノリンカルボキサミド誘導体の安定性
貯蔵条件:+40℃/75%RH

【0020】
1 貯蔵6ヶ月後に関連する物質の増加パーセンテージとして定量化した分解
2 「貯蔵期間」は、化合物が分解0.5%を超えず所定の条件で貯蔵できる期間を示す。
3 同一結果が貯蔵24ヶ月後で得られる。
【0021】
一般的に、不安定性は式(II)の化合物が各種の賦形剤で調合されるとき、悪化される傾向にある。このことは表2に示される化合物Aと化合物Aナトリウムを比較する両立性試験結果から証明される。塩形が前記化合物のどの二元混合物中でも医薬物質として好ましい。
【0022】
(表2) 化合物Aと化合物Aナトリウムを比較する両立性試験
サンプルは賦形剤と試験物質との二元混合物(1:1)
貯蔵条件:+40℃/75%RH

【0023】
1 貯蔵6ヶ月後に関連する物質の増加パーセンテージとして定量化した分解

しかしながら、上記ナトリウム塩が従来の固体医薬製剤に調合された場合、+40℃および相対湿度75%で貯蔵したとき、5%を超える分解物質のレベルで許容できない速度でやはり分解される(表3)。このようなレベルは問題ありと考えられる。このような条件下、分解の許容限度は6ヶ月貯蔵後で0.5%分解を超えないと判断される。この限度は室温での3年の貯蔵期間を示すものと考えられる。一方、アルカリ性反応成分を有する従来の固体医薬製剤も許容できない分解速度を示す。重要な工程は、式(II)の塩、アルカリ性反応成分および全医薬賦形剤の分子レベルでの均一な分布を得ることである。
【0024】
(表3) 化合物Aナトリウムの種々の配合の安定性データ

【0025】
1 貯蔵6ヶ月後に関連する物質の増加パーセンテージとして定量化した分解
貯蔵期間」は、化合物が分解0.5%を超えず所定の条件で貯蔵できる期間を示す。
組成:化合物Aナトリウム 1mg、水酸化ナトリウム 0.112mg、注射用添加1ml、7.5にpHを調整
組成:化合物Aナトリウム 0.3mg(0.19%)、微結晶セルロース 49.8%、乳糖1水和物 48.5%、クロスカルメロースナトリウム 0.5%、ステアリルフマル酸ナトリウム 1%
組成:化合物Aナトリウム 0.3mg(0.19%)、前ゲラチン化スターチ 66%、マンニトール 29.8%、炭酸ナトリウム 3.0%、ステアリルフマル酸ナトリウム 1.0%
組成:実施例10による。
貯蔵2ヶ月後の関連物質の配合
本発明により、3−キノリンカルボキサミド誘導体の塩形の組成物を提供し、その組成物は、長期間、即ち、少なくとも3年、室温貯蔵で高い安定性を有する3−キノリンカルボキサミドの新規な医薬製剤の開発を可能とする改良された貯蔵安定性を示す。
【0026】
ここで、「分解を受けやすい3−キノリンカルボキサミド誘導体」の表現は、反応指数>1.0を有する物質を意味する(実施例、以下の分解速度の調査を参照)。ケテンの分解の機構的な研究から、分解がキノリン環4の位置のエノールプロトンが3−カルボキサミド部分の窒素原子に分子内転移を伴うことを示した(図式1)。式(I)の化合物の安定な投与形は、もし上記化合物が式(II)の塩形に転換されるならば得られるであろうことが予見される。しかしながら、固体状態で上記の塩の高められた化学安定性にもかかわらず、式(II)の塩の従来の固体投与形で許容できない程度の不安定性が依然として残る。従来の固体供与形における式(II)の塩の不安定性の原因は、対イオンの、固体状態の塩の構造に結合したプロトンとの交換に結びついていると今や信じられる。
【0027】
化合物AのX線研究から、固体塩の構造は環外のカルボニル基が4位置のエノラート酸素原子から外に湾曲していることを示した。このことによって、3−カルボキサミドの窒素原子と4位置のエノラートナトリウム原子との間に開けた道を導く。いかなる作用理論に結びつく願望なしに、式(II)の塩の構造的性質は、ひとたび塩の対イオンが賦形剤から得られるプロトンと交換されるなら、従来の固体供与形における許容できない分解速度となると思われる。
【0028】
3−キノリンカルボキサミド誘導体の安定性の性質について上に述べたことから、式(I)の化合物の安定した供与形は、上記化合物が式(II)の塩形で存在し留まれば得られることは明らかである。臨床用に、本発明の式(II)の塩、即ち、活性ある成分が経口モード投与のために医薬固体製剤に適切に調合される。上記の塩が中性形に変換されるのを厳格に防止すれば、医薬製剤の製造および貯蔵の間に上記の塩の高い安定性に導くであろう。そのような製剤の例は錠剤およびカプセルである。通常、活性成分の量は錠剤の約0.01〜10重量%、好ましくは錠剤の約0.1〜2%である。
【0029】
本発明の医薬組成物は、少なくとも活性成分の分解を防止する成分と医薬賦形剤の組合せにおいて式(II)の塩を含有する。これらの組成物は本発明の目的である。
【0030】
本発明の1つの実施態様において、組成物はアルカリ性反応成分を含みプロトンを中和する。アルカリ性反応成分の量は上記アルカリ性反応成分の性質に依存するが、製剤の約0.1〜99重量%、好ましくは約1〜20%である。特定の組成物のpHは、組成物2gを脱イオン水4gに加えて、得られたスラリーのpHを測定することにより決定される。そのpHは好ましくは約8を超えるべきである。適当なアルカリ性反応成分は酢酸、炭酸、クエン酸、リン酸、硫酸または他の適当な弱い無機または有機の酸のナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウム塩から選択される。
【0031】
他の実施態様において、組成物は2価金属カチオン、好ましくは酢酸カルシウムおよび式(II)のカルシウム塩を含む。組成物の意図する用途に鑑み適する他の2価金属カチオン、例えば、亜鉛およびマグネシウム塩を使用してよい。上記の塩の量は選択される塩に依存するが錠剤の約1〜99重量%である。2価金属カチオンを含有する塩を医薬製剤に添加することは式(II)の塩がイオンに解離するのを低下させると思われる。2価の金属対イオンを含有する式(II)の塩は限られた溶解性を有する。それ故、式(II)の塩のアニオンのプロトン化は抑制され、安定性の増加となる。
【0032】
上述した式(II)の化合物を含有する組成物および医薬製剤は本明細書で下記に説明するように製造される。
【0033】
経口投与の投与量単位の形における医薬製剤の製造において、化合物(II)は、2価金属カチオンの塩またはアルカリ性反応成分および従来の医薬賦形剤と混合される。適当な医薬賦形剤は、限定されないが、固体粉末状担体が例えば、マンニトール、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウムおよびスターチ;結合剤が例えば、ポリビニルピロリドン、スターチおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;崩壊剤が例えば、クロスカルメロースナトリウム、スターチ・グリコール酸ナトリウム塩およびポリビニルピロリドン、さらに;滑剤が例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルクおよびステロテックスNFのような水素化植物油から選択される。これらの混合物がそれから錠剤またはカプセル用顆粒に加工される。
【0034】
ひとつの局面に基づいて、本発明は活性な成分として改良された化学安定性の3−キノリンカルボキサミド誘導体を含む錠剤の製造方法であって、式(II)の塩およびアルカリ性反応成分または2価金属カチオンの塩さらに適当な医薬賦形剤を含有する錠剤コアが製造される。重要な工程は、医薬賦形剤から拡散するすべてのプロトンを中和するためにアルカリ性反応成分または式(II)の塩のイオンへの解離を抑制するために2価金属カチオンの塩の分子レベルでの均一な分布を有する錠剤コアを達成することである。
【0035】
本発明の錠剤を製造する方法は下記のとおりである。
a) 式(II)のカルシウム塩を含有する錠剤コアは、式(II)のカルシウム塩と医薬賦形剤との混合物に酢酸カルシウム溶液を噴霧し、その混合物を適当な濃度に顆粒化し、乾燥それから顆粒を圧縮することにより製造される、または
b) 水に溶けにくい式(II)の塩を含有する錠剤コアは、医薬賦形剤の混合物にアルカリ性反応成分の溶液を噴霧し、その混合物を適当な濃度に顆粒化し、乾燥し、水に溶けにくい式(II)の結晶塩を混合しそれから顆粒を圧縮することにより製造される、または
c) 式(II)のリチウム、ナトリウムまたはカリウム塩含有する錠剤コアは、医薬賦形剤の混合物に、式(II)の塩とアルカリ性反応成分の溶液を噴霧し、その混合物を適当な濃度に顆粒化し、乾燥それから顆粒を圧縮することにより製造され、および
d) 滑剤は任意選択的に圧縮前顆粒に添加してもよい、および
e) コーティング層は任意選択的に前記コアに従来のコーティング医薬賦形剤を用いて付加してもよい。
【0036】
好ましい錠剤を製造する方法は下記のとおりである。
f) 式(II)のカルシウム塩を含有する錠剤コアは、医薬賦形剤の混合物に、式(II)のナトリウム塩とアルカリ性反応成分の溶液を噴霧し、その混合物を適当な濃度に顆粒化し、乾燥それから顆粒を圧縮することにより製造される。滑剤は任意選択的に顆粒に圧縮前、添加してもよく、コーティング層は任意選択的に前記コアに従来のコーティング医薬賦形剤を用いて付加してもよい。
【0037】
他の局面に基づいて、本発明は活性な成分として改良された化学安定性の3−キノリンカルボキサミド誘導体を含むカプセルの製造方法を提供する。
【0038】
本発明のカプセルを製造する方法は下記のとおりである。
g) 式(II)のカルシウム塩を含有する混合物は、式(II)のカルシウム塩と医薬賦形剤との混合物に酢酸カルシウム溶液を噴霧し、その混合物を適当な濃度に顆粒化し、引き続き顆粒を乾燥することにより製造される、または
h) 水に溶けにくい式(II)の塩を含有する混合物は、医薬賦形剤の混合物にアルカリ性反応成分の溶液を噴霧し、その混合物を適当な濃度に顆粒化し、顆粒を乾燥し、水に溶けにくい式(II)の結晶塩を混合することにより製造される、または
i) 式(II)のリチウム、ナトリウムまたはカリウム塩含有する混合物、より好ましくは、ナトリウム塩は、医薬賦形剤の混合物に、式(II)の塩とアルカリ性反応成分の溶液を噴霧し、その混合物を適当な濃度に顆粒化し、引き続き顆粒を乾燥することにより製造される、
j) 滑剤は任意選択的に混合物に添加してもよい、および
k) 最終混合物は硬質ゼラチンカプセルに充填される。
【0039】
式(II)の塩を製造する他の方法においては、塩が容易に水に溶解しなければならないし、中性形で式(I)の相当する化合物を炭酸ナトリウムのようなアルカリ性反応成分の溶液に溶解することであり、このように式(II)の塩をそのまま製造し、引き続き上述した方法に従う。
【0040】
以下実施例が本発明の範囲を制限することなく本発明を例証する意図で与えられる。
【実施例1】
【0041】
分解速度の調査
分解速度は、以下、反応性指標と称するが、式(I)の化合物が溶液で決定される。Roquinimex (メルクインデックス、第12版、No. 8418 LinomideRLS2616、N−メチル−N−フェニル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミド)が、反応性指標1.0の参照化合物として選択された。n−プロパノール中1%、0.01M塩酸を媒体に選択した。反応温度は45〜60℃の範囲であった。式(I)の3−キノリンカルボキサミド誘導体をn−プロパノール溶液に添加した。その反応によって化合物がn−プロピルエステルに変換される。反応を0.2時間および4時間後で停止し、UV検出のHPLCを用いて分析した。3−キノリンカルボキサミド誘導体の消失を反応性指標の評価に用いたが、代替として、n−プロピルエステルの形成も用いられる。反応性指標1.0は60℃で時間当たり13%の分解速度に相当し、反応性指標2.0は時間当たり26%の分解速度に相当する。式(I)の化合物中いくつかの反応性指標を表1に示す。
【0042】
(表4) 式(I)の化合物の反応性指標

【0043】
化合物Aは、N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドである。
化合物Bは、N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドである。
化合物Cは、N−メチル−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドである。
化合物Dは、N−メチル−N−(4−トリフルオロフェニル)−1,2−ジヒドロ−1,5−ジメチルー4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドである。
化合物Eは、N−エチル−N−フェニル−5,6−メチレンジオキシ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドである。
化合物Fは、N−エチル−N−フェニル−5−メチルチオ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドである。
【0044】
以下の実施例2〜7は、式(II)の化合物の製造プロセスを例示するものであり、本発明の医薬製剤に用いられる。
【実施例2】
【0045】
N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのナトリウム塩
N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミド(28mmol、10.0g)を99.5%のエタノール(150ml)に分散させて、5M塩酸水溶液(28.4mmol、5.68ml)を添加した。反応混合物を室温で30分攪拌した。得られた結晶沈殿物をろ過して分離し、速やかに冷エタノールで2回洗浄し(2×150ml)、P2O5上で真空下乾燥し、標題化合物(9.5g、収率90%)を得た。分析:C19H16ClN2O3Naの計算値:C,60.2: H,4.26; N,7.40 測定値:C,60.4; H,4.20; N,7.32。水に対する室温での溶解性は138mg/ml。
【実施例3】
【0046】
N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのカルシウム塩
N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのナトリウム塩(2.63mmol、1.0g)をエタノール(10.5ml)と水(5.3ml)の混合物に溶解させた。その溶液を70℃に加熱し、酢酸カルシウム水和物水溶液(1M溶液、1.05当量、1.38mmol、1.38ml)を添加した。得られた懸濁液を30分攪拌し、それから冷却し、そして結晶をろ過分離し、水で洗浄し真空下乾燥した(966mg、収率98%)。分析:C38H32Cl2N4O6Caの計算値: C,60.7; H,4.29; N,7.45. 測定値:C,60.5; H,4.34: N,7.41。水に対する室温での溶解性は約1.0mg/ml。塩は水にわずかにしか溶解しないと考えられる。
【実施例4】
【0047】
N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドの鉄(III)
N−エチル−N−フェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのナトリウム塩(5.0g、13.2mmol)を水(80ml)に40℃で溶解し、クロロホルム(100ml)を添加した。硫酸鉄(III)ペンタ水和物(0.95当量、2.09mmol、1.023g)を水(30ml)に溶解した溶液を添加した。2層系を激しく攪拌し、水層を1MのNaOHでpHを8に調整した。濃赤橙色の層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去して標題化合物を赤色の非晶質ガラス状物(4.22g、収率85%)として得た。MS-ESI: m/z 1122 [MH]+。ガラス状物をメタノールに溶解し、標題化合物の赤色結晶を形成した。その結晶をろ別し、メタノールで洗浄し、真空下乾燥して標題化合物(3.96g、収率80%)を得た。分析:C57H48N6O9Cl3Feの計算値;C,61.0; H,4.31,; N,7.48。測定値:C,62.7; H,4.37, N,7.27。EDTA滴定法により鉄(III)の含有量は4.90%(理論値は4.97%)であった。
【実施例5】
【0048】
N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのリチウム塩
N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミド(4.39mmol、1.539g)をエタノール(7.5ml)に分散し、水酸化リチウム水和物(1.05当量、4.61mmol、195mg)を水(1.5ml)に溶解した溶液を添加した。その混合物を4時間攪拌し、酢酸エチル(30ml)を添加した。1時間攪拌後に、結晶をろ別し、酢酸エチルで洗浄し、真空下乾燥し標題化合物(1.31g、収率84%)を得た。分析:C21H21N2O3Liの計算値: C,70.8; H,5.94: N7.86。測定値:C,70.5; H,5.22; N,8.01。水に対する室温での溶解性は約18mg/ml。
【実施例6】
【0049】
N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのカルシウム塩
N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミド(5.0g、14.2mmol)を1MのNaOH(14.26mmol、14.26ml)とエタノール(30ml)の混合物に溶解した。7.5にpHを調整した。その溶液を70℃に加熱し、水(7ml)中の酢酸カルシウム水和物(1.05当量、7.5mmol、1.335g)を5分間で滴下して加えた。加熱を止め、混合物を室温で1時間攪拌し、結晶をろ別し、エタノール/水(I/1)で洗浄し、真空下乾燥し標題化合物(5.16g、収率98%)を得た。分析:C42H42N4O6Caの計算値:C,68.3; H,5.73; N,7.58。測定値:C,68.4; H,5.72; N,7.63。EDTA滴定法によりカルシウムの含有量は5.42%(理論含有量は5.42%である)であった。水に対する室温での溶解性は0.3mg/ml。
【実施例7】
【0050】
N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドの亜鉛塩
N−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミド(1.0g、2.85mmol)を1MのNaOH(2.95mmol、2.95ml)とエタノール(6.0ml)の混合物に溶解した。クロロホルム(20ml)および水(40ml)を添加し、次いで酢酸亜鉛2水和物(3.0mmol、660mg)を添加した。2層混合物を10分間激しく攪拌し、橙色層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した。残渣をメタノールで再結晶して標題化合物(823mg、収率76%)を得た。分析:C42H42N4O6Znの計算値:C,66.01; H,5.54; N,7.33。測定値:C,65.4; H,5.68; N,7.29。EDTA滴定法により亜鉛の含量は8.45%(理論含有量は8.56%である)。水に対する室温での溶解性は0.3mg/ml。
【実施例8】
【0051】
製法の説明
本発明による医薬製剤は、カプセルの形で以下の組成を有して製造された。
【0052】
(表5)

【0053】
上記の化合物は本発明の他の化合物に置き換えられる。
水は乾燥の間に除去される。
【0054】
化合物Aナトリウムは炭酸ナトリウム水溶液に溶解され、マンニトールおよび追加の炭酸ナトリウムと一緒に湿潤顆粒化された。滑剤以外はカプセル充填に必要なすべての賦形剤は顆粒化工程で存在していた。得られた顆粒は通常の方法で乾燥されて適当な寸法のスクリーンを通過させた。乾燥顆粒はステアリルフマル酸ナトリウムとよく混合され、得られた混合物がカプセルに充填された。カプセルは活性成分を適切な量含有していた。
【実施例9】
【0055】
製法の説明
本発明による医薬製剤は、カプセルの形で以下の組成を有して製造された。
【0056】
(表6)

【0057】
上記の化合物は本発明の他の化合物に置き換えられる。
水は乾燥の間に除去される。
【0058】
化合物Bカルシウム、マンニトールおよび微結晶セルロースの前混合物が準備された。前混合物を酢酸カルシウム水溶液で湿潤顆粒とした。カプセル充填に必要なすべての賦形剤は顆粒化工程で存在していた。得られた顆粒は通常の方法で乾燥されて適当な寸法のスクリーンを通過させた。その混合物がカプセルに充填された。カプセルは活性成分を適切な量含有していた。
【実施例10】
【0059】
製法の説明
本発明による医薬製剤は、錠剤の形で以下の組成を有して製造された。
【0060】
(表7)

【0061】
上記の化合物は本発明の他の化合物に置き換えられる。
水は乾燥の間に除去される。
【0062】
化合物Aナトリウムは炭酸ナトリウム水溶液に溶解され、マンニトール、前ゼラチン化スターチおよび追加の炭酸ナトリウムと一緒に湿潤顆粒化された。滑剤以外は錠剤化に必要なすべての賦形剤は顆粒化工程で存在していた。得られた顆粒は通常の方法で乾燥されて適当な寸法のスクリーンを通過させた。乾燥顆粒はステアリルフマル酸ナトリウムとよく混合され、得られた混合物が錠剤に圧縮された。錠剤はOpadry 03B28796 Whiteの膜でコートされた。錠剤は活性成分を適切な量含有していた。
【実施例11】
【0063】
製法の説明
本発明による医薬製剤は、錠剤の形で以下の組成を有して製造された。
【0064】
(表8)

【0065】
上記の化合物は本発明の他の化合物に置き換えられる。
水は乾燥の間に除去される。
【0066】
化合物Aナトリウムは炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム水溶液に溶解され、マンニトールおよび微結晶セルロースと一緒に湿潤顆粒化された。滑剤以外は錠剤化に必要なすべての賦形剤は顆粒化工程で存在していた。得られた顆粒は通常の方法で乾燥されて適当な寸法のスクリーンを通過させた。乾燥顆粒はステアリルフマル酸ナトリウムとよく混合され、得られた混合物が錠剤に圧縮された。錠剤は活性成分を適切な量含有していた。
【実施例12】
【0067】
製法の説明
本発明による医薬製剤は、錠剤の形で以下の組成を有して製造された。
【0068】
(表9)

【0069】
1 上記の化合物は本発明の他の化合物に置き換えられる。
2 水は乾燥の間に除去される。
【0070】
化合物Aナトリウムは炭酸ナトリウム水溶液に溶解され、マンニトール、硫酸カルシウム2水和物および追加の炭酸ナトリウムと一緒に湿潤顆粒化された。滑剤以外は錠剤化に必要なすべての賦形剤は顆粒化工程で存在していた。得られた顆粒は通常の方法で乾燥された。乾燥顆粒はステアリルフマル酸ナトリウムとよく混合され、得られた混合物が錠剤に圧縮された。錠剤は活性成分を適切な量含有していた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定した固体医薬組成物であって、実質的に、式(II)で表される塩の有効量
【化1】

(式中、nは1、2または3の整数、An+はLi+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Al3+およびFe3+から選択される1価または多価金属カチオン、Rは直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、R5は直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルキルチオ、環状C3−C4のアルキルチオ、直鎖状もしくは分岐状C1―C4のアルキルスルフィニル、環状C3−C4のアルキルスルフィニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ、およびR6は水素または、R5およびR6は結合してメチレンジオキシ、R´は水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルコキシ、環状C3−C4のアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはトリフルオロメチル、およびR´´は水素、フルオロまたはクロロ、但し、R´がフルオロまたはクロロのときだけはR´´はフルオロまたはクロロ)、および
好ましくはpH8を超えて保持するアルカリ性反応成分または2価金属カチオンの塩、および少なくとも1つの医薬賦形剤からなり、前記式(II)の塩は、少なくとも3年、室温貯蔵の間、実質的に安定であることを特徴とする固体医薬組成物。
【請求項2】
式(II)の塩が、N−エチル−Nフェニル−5−クロロ−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのリチウム塩またはカルシウム塩、またはN−エチル−N−フェニル−5−エチル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−1−メチル−2−オキソ−3−キノリンカルボキサミドのリチウム塩、カルシウム塩または亜鉛塩である請求項1に記載の固体医薬組成物。
【請求項3】
式(II)の塩が、組成物の0.01〜10重量%、好ましくは、組成物の0.1〜2重量%の量で存在する請求項1または2に記載の固体医薬組成物。
【請求項4】
アルカリ性反応成分が、酢酸、炭酸、クエン酸およびリン酸のナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウム塩から選択される、請求項1乃至3に記載の固体医薬組成物。
【請求項5】
アルカリ性反応成分が、組成物の0.1〜99重量%、好ましくは1〜20重量%の量で存在する、請求項1乃至4に記載の固体医薬組成物。
【請求項6】
2価金属カチオンの塩が酢酸カルシウムである、請求項1乃至3に記載の固体医薬組成物。
【請求項7】
酢酸カルシウムが組成物の1〜10重量%の量で存在する請求項6に記載の固体医薬組成物。
【請求項8】
医薬賦形剤が、固体粉末担体、結合剤、崩壊剤および滑剤から選択される、請求項1乃至7に記載の固体医薬組成物。
【請求項9】
固体粉末担体がマンニトール、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウムおよびスターチから選択される、請求項8に記載の固体医薬組成物。
【請求項10】
結合剤が、ポリビニルピロリドン、スターチおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、請求項8乃至9に記載の固体医薬組成物。
【請求項11】
崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、スターチ・グリコール酸ナトリウム塩およびポリビニルピロリドンから選択される、請求項8乃至10に記載の固体医薬組成物。
【請求項12】
滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルクおよび水素化植物油から選択される、請求項8乃至11に記載の固体医薬組成物。
【請求項13】
式(II)の塩を安定化させるプロセスであって、
【化2】

(式中、nは2、An+はCa2+、Rは直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、R5は直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルキルチオ、環状C3−C4のアルキルチオ、直鎖状もしくは分岐状C1―C4のアルキルスルフィニル、環状C3−C4のアルキルスルフィニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ、およびR6は水素または、R5およびR6は結合してメチレンジオキシ、R´は水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルコキシ、環状C3−C4のアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはトリフルオロメチル、およびR´´は水素、フルオロまたはクロロ、但し、R´がフルオロまたはクロロのときだけはR´´はフルオロまたはクロロ)、
式(II)のカルシウム塩と少なくとも1つの医薬賦形剤との混合物に酢酸カルシウム溶液を噴霧することにより、少なくとも3年、室温貯蔵の間、固体医薬組成物で実質的に安定である式(II)の塩を与える前記プロセス。
【請求項14】
式(II)の塩を安定化させるプロセスであって、
【化3】

(式中、nは2または3の整数、An+はCa2+、Zn2+およびFe3+から選択される多価金属カチオン、Rは直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、R5は直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルキルチオ、環状C3−C4のアルキルチオ、直鎖状もしくは分岐状C1―C4のアルキルスルフィニル、環状C3−C4のアルキルスルフィニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ、およびR6は水素または、R5およびR6は結合してメチレンジオキシ、R´は水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルコキシ、環状C3−C4のアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはトリフルオロメチル、およびR´´は水素、フルオロまたはクロロ、但し、R´がフルオロまたはクロロのときだけはR´´はフルオロまたはクロロ)、
医薬賦形剤または医薬賦形剤の混合物にアルカリ性反応成分を噴霧し、適当な濃度に顆粒し、得られた顆粒を乾燥し、乾燥した顆粒を式(II)の塩と混合して、少なくとも3年、室温貯蔵の間、固体医薬組成物で実質的に安定である式(II)の塩を与える前記プロセス。
【請求項15】
式(II)の塩を安定化させるプロセスであって、
【化4】

(式中、nは1、An+はLi+、Na+、K+、Rは直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、R5は直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルキルチオ、環状C3−C4のアルキルチオ、直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルスルフィニル、環状C3−C4のアルキルスルフィニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ、およびR6は水素または、R5およびR6は結合してメチレンジオキシ、R´は水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルコキシ、環状C3−C4のアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはトリフルオロメチル、およびR´´は水素、フルオロまたはクロロ、但し、R´がフルオロまたはクロロのときだけはR´´はフルオロまたはクロロ)、
医薬賦形剤または医薬賦形剤の混合物に、式(II)の塩およびアルカリ性反応成分の溶液を噴霧することにより、少なくとも3年、室温貯蔵の間、固体医薬組成物で実質的に安定である式(II)の塩を与える前記プロセス。
【請求項16】
式(II)の結晶塩を製造するプロセスであって、
【化5】

(式中、nは2または3の整数、An+はMg2+、Ca2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Al3+およびFe3+から選択される多価金属カチオン、Rは直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、R5は直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルキルチオ、環状C3−C4のアルキルチオ、直鎖状もしくは分岐状C1―C4のアルキルスルフィニル、環状C3−C4のアルキルスルフィニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ、およびR6は水素または、R5およびR6は結合してメチレンジオキシ、R´は水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルコキシ、環状C3−C4のアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはトリフルオロメチル、およびR´´は水素、フルオロまたはクロロ、但し、R´がフルオロまたはクロロのときだけはR´´はフルオロまたはクロロ)、
3−キノリンカルボキサミド誘導体の中性形またはナトリウム塩を水および少なくとも1種の水混合性有機溶媒からなる液相中で(液相中で式(II)の塩はやや溶けにくいが)多価金属カチオンを含有する塩と反応させることを特徴とする前記プロセス。
【請求項17】
液相が10〜95%エタノールを含有する水とエタノールの混合物である請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
式(II)の結晶塩
【化6】

(式中、nは2または3の整数、An+はMg2+、Ca2+、Mn2+、Cu2+、Zn2+、Al3+およびFe3+から選択される多価金属カチオン、Rは直鎖状もしくは分岐状C1−C4のアルキルまたはアルケニルまたは環状C3−C4のアルキル、R5は直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルキルチオ、環状C3−C4のアルキルチオ、直鎖状もしくは分岐状C1―C4のアルキルスルフィニル、環状C3−C4のアルキルスルフィニル、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ、およびR6は水素または、R5およびR6は結合してメチレンジオキシ、R´は水素、直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和C1−C4のアルキルまたはアルケニル、環状C3−C4のアルキル、直鎖状もしくは分岐状C−C4のアルコキシ、環状C3−C4のアルコキシ、フルオロ、クロロ、ブロモまたはトリフルオロメチル、およびR´´は水素、フルオロまたはクロロ、但し、R´がフルオロまたはクロロのときだけはR´´はフルオロまたはクロロ)。

【公表番号】特表2007−520529(P2007−520529A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551857(P2006−551857)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050485
【国際公開番号】WO2005/074899
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(500493702)
【Fターム(参考)】