説明

キマーゼ阻害剤として有用なアザキナゾリンジオン

キマーゼが関与する様々な疾患及び病状を処置するのに有用な、式(I)で示される低分子阻害剤を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願データ
本願は、2009年1月30日に出願された米国仮特許出願第61/148,693号に対する利益を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、キマーゼが関与する様々な疾患及び病状を処置するのに有用な低分子阻害剤に関する。
【0003】
発明の背景
心筋症患者の心臓組織では、動物モデルにおける心臓線維症を刺激することが証明されているトランスフォーミング成長因子β(TGF−β)(Kuwahara, et al. Circulation, 2002, 106, 130)が増加する(Li et al., Circulation, 1997, 96, 874)。心筋の線維症領域において、マスト細胞(肥満細胞)は、数が増え、心筋症の患者の心臓組織における線維芽細胞増殖の発生に寄与する場合もあることが知られている(Patella et al., Circulation, 1998, 97, 971)。キマーゼは、マスト細胞の分泌顆粒中に含有されているキモトリプシン様セリンプロテアーゼである。キマーゼの正確な生理的役割は完全には明らかになっていないが、キマーゼは、アンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変換することが知られており、TGF−β、マトリクスプロテアーゼ及びサイトカインの活性化に寄与することもできる(Taipale et al., J. Biol. Chem., 1995, 270, 4689; Takai et al., Life Sci., 1996, 58, 591; Takai et al., Circulation, 1999, 100, 654)。
【0004】
強力で選択的なキマーゼ阻害剤は、心臓でのアンギオテンシンIIの局所産生及びTGF−βの放出、すなわち心臓リモデリングの独立した2つのメディエーターを阻害することによって、慢性心不全、アテローム性動脈硬化、再狭窄、及び心筋梗塞の処置としての潜在的使用の可能性を有する。キマーゼは、微小血管漏出、好中球蓄積、粘液分泌の刺激、及びサイトカインの調節に関与しているので、阻害剤はまた、皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び肺炎症などのマスト細胞介在性疾患の処置のための潜在的使用の可能性も有する(He et al., Eur. J. Pharmacol., 1998, 352, 91)。
【0005】
幾つかの低分子キマーゼ阻害剤は、心不全の心筋症ハムスターモデル(Takai et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 2003, 305, 17)、イヌにおけるバルーンカテーテルによる頸動脈損傷(Takai et al. J. Pharmacol.Exp. Ther, 2003, 304, 841)、及び心不全のハムスター冠動脈左前下行枝結紮モデル(国際公開公報第03/018061号)において効果的であることが報告されている。加えて、キマーゼ阻害剤は、ヒツジ喘息モデルにおいて効果的であることが証明されている(国際公開公報第2005/073214号)。国際出願PCT/US2008/072849号及び本願は共に、本願の譲受人によって共同所有されており、キマーゼ阻害剤として有用なキナゾリンジオンを開示している。
【0006】
発明の概要
したがって本発明の目的は、本明細書で定義されるような低分子キマーゼ阻害剤、及びその医薬組成物を提供することである。
【0007】
本発明の目的はまた、様々な疾患及びそれに関連する病状を処置するために前記キマーゼ阻害剤を使用する方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、前記キマーゼ阻害剤を調製するプロセスを提供することである。
【0009】
発明の詳細な説明
第1の一般的実施態様において、式(I):
【0010】
【化1】


[式中、
、X、X及びXは各々独立して、それらのうちの少なくとも1つが窒素であるという条件で、−CH−又は窒素であり;
Eは、−COOH又は−COORであり、ここでRはC−Cアルキルであり;
Gは、C−Cアルキルであり;
Jは、ハロゲン、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているヘテロアリール基であり;
Mは、C−Cアルキル及びC−C炭素環から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである]で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0011】
別の実施態様において、本明細書で先に記載したような化合物であって、
Eは、−COOH又は−COORであり、ここでRはC−Cアルキルであり;
Gは、−CH−であり;
Jは、1〜3個のC−Cアルキル基で各々場合により置換されているインドリル、ベンゾチアゾリル、及びベンゾイソチアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり;
Mは、C−Cアルキル、フェニル、及びシクロプロピルから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである、化合物が提供される。
【0012】
別の実施態様において、本明細書で先に記載したような化合物であって、
Eは、−COOHであり;
Jは、1〜3個のメチル基で各々場合により置換されているインドリル及びベンゾイソチアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり;
Mは、C−Cアルキル、フェニル及びシクロプロピルから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである、化合物が提供される。
【0013】
別の実施態様において、本明細書で先に記載したような化合物であって、
【0014】
【化2】


であり、
Jは、2〜3個のメチル基で各々場合により置換されているインドリル又はベンゾイソチアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり;
Mは、C−Cアルキル、フェニル及びシクロプロピルから選択される1個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである、化合物が提供される。
【0015】
別の実施態様において、本明細書で先に記載したような化合物であって、
【0016】
【化3】


である、化合物が提供される。
【0017】
別の実施態様において、本明細書で先に記載したような化合物であって、
【0018】
【化4】


である、化合物が提供される。
【0019】
別の実施態様において、本明細書の以下のスキーム及び例において記載されるように、また当業者に明らかな方法によって、作製されることができる表Iに記載されるような式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0020】
【表1】















【0021】
以下は、本発明の好ましい式(I)化合物のキマーゼIC50(nM)データである。
【0022】
【表2】







【0023】
本願の本明細書で先に開示した全ての化合物において、名称が構造と矛盾する場合、化合物は構造によって定義されるということが理解されるであろう。
【0024】
本発明は、ラセミ体及びラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物、ならびに個々のジアステレオマーとして生じ得る、1個以上の不斉炭素原子を含有する先に記載した任意の化合物の使用を含む。これら化合物のすべてのそのような異性形態は、本発明に明確に含まれる。各々の不斉炭素(stereogenic carbon)は、R又はS立体配置、あるいは立体配置の組み合わせにあってもよい。
【0025】
式(I)で示される化合物の幾つかは、2つ以上の互変異性形態で存在することができる。本発明は、全てのそのような互変異性体を使用する方法を含む。
【0026】
本明細書において使用される全ての用語は、特に指定のない限り、当技術分野で知られているようなそれらの通常の意味で理解されるであろう。例えば、Cアルコキシは、末端酸素を有する有機基Cアルキル、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどを含む。
【0027】
全ての有機基:アルキル、アルケニル及びアルキニル基、又は、そのような基がアシル及びアルコキシなど他の基に組み込まれているものは、構造的に可能な場合で特に断りない限り、分岐又は非分岐であるとして理解されるであろうし、部分的又は完全にハロゲン化されることもできる。
【0028】
有機基又は有機化合物と関連して上記及び下記で言及される用語「低級」はそれぞれ、7を含む7個まで、好ましくは4を含む4個まで、有利に1又は2個の炭素原子を有する分岐又は非分岐などと定義する。
【0029】
環状基は、炭素環、ヘテロ環又はヘテロアリールを意味することが理解されるであろうし、各々は部分的又は完全にハロゲン化されることもできる。
【0030】
炭素環は、3〜14個までの炭素原子を含有する炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香族環系、又は非芳香族環系のいずれかであってよい。非芳香族環系は、モノ又はポリ不飽和の、単環式、二環式もしくは三環式であってよく、架橋されていてもよい。好ましい炭素環は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、ベンジル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル(benzocyclobutanyl)、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル、アダマンチル、ノルボルニル、フルオレン、及びベンゾシクロヘプテニルを非限定的に含む。シクロブタニル及びシクロブチルなどのシクロアルキルのための幾つかの用語は交換可能に使用されるであろう。炭素環は、場合により部分的又は完全にハロゲン化されることが構造的に可能であるということが理解されるであろう。
【0031】
用語「ヘテロ環」は、安定した非芳香族4〜8員(しかし好ましくは5又は6員)単環式、又は非芳香族8〜11員二環式ヘテロ環基を指し、これらは飽和又は不飽和のいずれでもよい。各ヘテロ環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1つ以上、好ましくは1〜4個のヘテロ原子とからなる。ヘテロ環は、結果として安定構造を作り出すことになる、環の任意原子によって結合することができる。特に指定のない限り、ヘテロ環は、例えばピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、ジオキサラニル(dioxalanyl)、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラノン(1,3-dioxanone)、1,3−ジオキサノン(1,3-dioxanone)、1,4−ジオキサニル、ピペリジノニル(piperidinonyl)、テトラヒドロピリミドニル(tetrahydropyrimidonyl)、ペンタメチレンスルフィド、ペンタメチレンスルホキシド、ペンタメチレンスルホン、テトラメチレンスルフィド、テトラメチレンスルホキシド、及びテトラメチレンスルホンを非限定的に含む。
【0032】
用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSなどの1〜4個のヘテロ原子を含有する、芳香族5〜6員単環式、又は7〜10員二環式環を意味すると理解されるであろう。特に指定のない限り、そのようなヘテロアリールは、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、インドリル、アザインドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、インダゾリル、又はトリアゾリルを含む。
【0033】
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、酸素、窒素、硫黄、及び燐などの炭素以外の原子を意味すると理解されるであろう。
【0034】
本明細書で使用されるように、「窒素」及び「硫黄」は、窒素及び硫黄の任意の酸化型、ならびに任意の塩基性窒素の四級化形態を含む。開鎖又は環式基内の全てのヘテロ原子は、全ての酸化型を含む。
【0035】
全てのアルキル基又は炭素鎖において、1個以上の炭素原子が、ヘテロ原子;O、S、又はNによって場合により置き換えられていることができ、Nが置換されない場合、それはNHであることが理解されるであろうし、ヘテロ原子は、末端炭素原子、又は分岐もしくは非分岐炭素鎖内の内部炭素原子のいずれかを置き換えることができるということもまた理解されるであろう。そのような基は、本明細書の先で記載したようにオキソなどの基によって置換されることができ、結果として、限定するものではないが、アルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソなどを定義することになる。
【0036】
本明細書において使用される用語「アリール」は、本明細書で定義されるような芳香族炭素環又はヘテロアリールを意味すると理解されるであろう。各アリール又はヘテロアリールは、特に断りない限り、その部分的もしくは完全に水素化された誘導体を含み、及び/又は部分的もしくは完全にハロゲン化されている。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニル及びテトラヒドロキノリニルを含むことができ、ナフチルは、テトラヒドロナフチル(tetrahydranaphthyl)などのその水素化された誘導体を含むことができる。本明細書に記載したアリール及びヘテロアリール化合物の他の部分的又は完全に水素化された誘導体は、当業者には明らかであろう。
【0037】
本明細書において使用される用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、フッ素又はヨウ素を意味し、好ましくはフッ素を意味すると理解されるであろう。定義「部分的又は完全にハロゲン化された」;部分的又は完全にフッ素化された;「1個以上のハロゲン原子によって置換されている」は、例えば、1個以上の炭素原子上のモノ、ジ、又はトリハロ誘導体を含む。アルキルについて、非限定例は−CHCHF、−CFなどであろう。
【0038】
本発明の化合物は、当業者によって認識されるように「化学的に安定している」と企図されるものだけである。例えば、「ダングリング原子価(dangling valency)又は「カルボアニオン」を有するであろう化合物は、本明細書で開示した発明の方法によって企図される化合物ではない。
【0039】
本発明は、式(I)で示される化合物の薬学的に許容しうる誘導体を含む。「薬学的に許容しうる誘導体」は、患者に投与すると、本発明に有用な化合物、あるいはその薬理活性代謝物又は薬理活性残留物を(直接又は間接的に)提供することができる、任意の薬学的に許容しうる塩もしくはエステル、又は任意の他の化合物を指す。薬理活性代謝物は、酵素的又は化学的に代謝されることができる、本発明の任意の化合物を意味すると理解されるであろう。これは、例えば式(I)で示された化合物のヒドロキシル化又は酸化された誘導体を含む。
【0040】
薬学的に許容しうる塩は、薬学的に許容しうる無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものを含む。適切な酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸、及び、ベンゼンスルホン酸を含む。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は薬学的に許容しえないが、本化合物及びそれらの薬学的に許容しうる酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に利用されることもできる。適当な塩基から誘導される塩は、アルカリ金属(例えばナトリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)、アンモニウム及びN−(C−Cアルキル)塩を含む。
【0041】
加えて、式(I)で示される化合物のプロドラッグの使用は、本発明の範囲内である。プロドラッグは、単純な化学変換をすると、本発明の化合物を生成するように変更される化合物を含む。単純な化学変換は、加水分解、酸化及び還元を含む。具体的には、プロドラッグが患者に投与されると、プロドラッグは、本明細書の先で開示した化合物に変換され、それによって所望の薬理効果を与えることができる。
【0042】
本明細書に記載した化合物は、市販であるか、又は、当技術分野で周知の方法及び任意の必要な中間体によって作製されることができるかのいずれかである。
【0043】
本発明がより完全に理解されるように、以下の例が示される。これらの例は、本発明の好ましい実施態様を例示するためのものであって、いかようにも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0044】
以下の例は例示であり、当業者によって認識されるように、特定の試薬又は条件は、過度に実験することなく、個々の化合物の必要に応じて変更されることができる。下記のスキームにおいて使用される出発材料は、市販であるか、又は当業者によって市販材料から容易に調製されるかのいずれかである。
【0045】
一般的合成方法
本発明はまた、式(I)で示される化合物を作製するプロセスを提供する。スキームにおいて、特に断りない限り、下記の式のX、X、X、X、E、G、J及びMは、本明細書の先で記載した本発明の式(I)のX、X、X、X、E、G、J及びMの意味を有するであろう。
【0046】
最適反応条件及び反応時間は、使用される特定の反応物に応じて変化することもできる。特に断りない限り、溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件は、当業者によって容易に選択されることができる。具体的な手順は、合成例セクションに提供される。典型的には、反応進行は、必要ならば、薄層クロマトグラフィー(TLC)により監視することもでき、中間体及び生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって及び/又は再結晶によって精製することもできる。
【0047】
本発明の化合物の調製において使用される、適当に置換されている出発材料及び中間体は、市販であるか、又は当業者にとって文献で公知の方法によって容易に調製されるかのいずれかであり、下記の合成例において例示される。
【0048】
式(I)で示される化合物は、スキーム1で例示された方法によって合成されることができる。
【0049】
【化5】

【0050】
スキーム1に図示されているように、適切な溶媒中、標準カップリング条件下で、式(II)で示される酸を、式(III)で示されるアミンと反応させることによって、式(IV)で示されるアミド(式中、R=C−Cアルキルである)を提供する。適切な溶媒中、式(IV)で示される中間体をカルボニルジイミダゾール及びDBUなどの試薬を用いて環化することによって、式(V)で示されるキナゾリンジオンを提供する。適切な溶媒及び塩基中、式(V)で示される中間体をアルキル化剤L−G−J(VI)(式中、L=ハロゲン、アンモニウム塩などのような脱離基である)を用いてアルキル化することによって、式(I)で示されるアルキル化化合物(ここでE=−COORである)を提供する。エステルの加水分解により、式(I)で示される別の化合物(ここでE=−COOHである)を提供する。
【0051】
当業者にとって公知であり、また下記の例において例示される方法によって、式(I)で示される初期生成物をさらに変形することによって、本発明の追加的化合物を提供する。
【0052】
実施例
実施例1:[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸の合成
【0053】
【化6】

【0054】
ピリジン(2.5mL)中、3−アミノ−イソニコチン酸 100mgの溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール 117mgを加え、混合物を55℃で20分間撹拌した。次に混合物を室温に冷まし、グリシンメチルエステル塩酸塩 91mgを加え、結果として得られた混合物を55℃で30分間、そして室温で1時間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、[(3−アミノ−ピリジン−4−カルボニル)−アミノ]−酢酸メチルエステル 100mg(66%)を提供した。
【0055】
テトラヒドロフラン(4.5mL)中、[(3−アミノ−ピリジン−4−カルボニル)−アミノ]−酢酸メチルエステル 100mgの溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール 194mg、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン 0.18mLを室温で加え、混合物を同じ温度で2時間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル)−酢酸メチルエステル 100mg(89%)を提供した。
【0056】
N,N−ジメチルホルムアミド(2.5mL)中、(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル)−酢酸メチルエステル 62mgの溶液に、ヨウ化(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−トリメチルアンモニウム 109mg、及び炭酸カリウム 44mgを室温で加えた。溶液を60℃に2.5時間加熱した。次に反応を室温に冷まし、さらに16時間撹拌した。次に水 50mLを加えて、淡黄色の固体を形成した。固体を回収し、水でゆすいだ。この固体をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製することによって、[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸メチルエステル 98mg(95%)を提供した。
【0057】
1,4−ジオキサン(2.0mL)中、[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸メチルエステル 70mgの溶液に、水酸化リチウム溶液(水 0.5mL中、水酸化リチウム一水和物 11mg)を室温で加えた。溶液を同じ温度で5時間撹拌した。次に1.0M 塩酸 1.0mLを水 50mLと共に加えた。混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせて、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮し、粗生成物を提供した。粗生成物をメタノール(3.0mL)及びジクロロメタン(5.0mL)でゆすぎ、残留した明黄色の固体を乾燥させて、[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸 45mg(67%);LCMS(ESMS):m/z 379.16(M+H)を提供した。
【0058】
以下の化合物を同様の手順を使用して合成した。
[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸;LCMS (ESMS):m/z 379(M+H
[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸;LCMS(ESMS):m/z 379(M+H
[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸;LCMS(ESMS):m/z 379(M+H
[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−プテリジン−3−イル]−酢酸;LCMS(ESMS):m/z 380(M+H
[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリミド[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−酢酸;LCMS(ESMS):m/z 380(M+H
(S)−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−フェニル−酢酸;LCMS(ESMS):m/z 455(M+H
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル;LCMS(ESMS):m/z 497(M+H)(ステップ1〜3)
2−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イルメチル]−ヘキサン酸;LCMS(ESMS):m/z 449(M+H
(S)−2−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 421(M+H
(R)−2−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ヘキサン酸;LCMS(ESMS):m/z 435(M+H
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 421(M+H
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 421(M+H
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 421(M+H
(R)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 421(M+H
(S)−3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 421(M+H
3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ヘプタン酸;LCMS(ESMS):m/z 449(M+H
3−[1−(1,4−ジメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ヘキサン酸;LCMS(ESMS):m/z 435(M+H
【0059】
実施例2:(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸の合成
【0060】
【化7】

【0061】
メタノール 10mL中、塩化アセチル0.6mLの溶液に、(S)−3−アミノペンタン酸 500mgを室温で加えた。結果として得られた混合物を60℃で18時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、減圧下で濃縮した。結果として得られた明黄褐色の油状物((S)−3−アミノペンタン酸メチルエステル塩酸塩)をさらに精製しないで次の反応に使用した(714mg、99%)。
【0062】
ピリジン(5.0mL)中、3−アミノピリジン−2−カルボン酸 321mgの溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール 377mgを加え、混合物を室温で2時間撹拌した。結果として得られた混合物を(S)−3−アミノペンタン酸メチルエステル塩酸塩 300mgで処理し、混合物を室温で16時間撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(S)−3−[(3−アミノ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ペンタン酸メチルエステル 250mg(56%)を提供した。
【0063】
テトラヒドロフラン(10mL)中、(S)−3−[(3−アミノ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ペンタン酸メチルエステル 250mgの溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール 403mg、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン 0.04mLを室温で加え、混合物を室温で60時間撹拌した。反応混合物を水 50mLで希釈し、生成物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(S)−3−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル)−ペンタン酸メチルエステル 250mg(91%)を提供した。
【0064】
N,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)中、(S)−3−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル)−ペンタン酸メチルエステル 60mgの溶液に、3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾール 66mg、及び炭酸カリウム 36mgを室温で加えた。混合物を60℃に2.5時間加熱した。次に水 50mLを加え、生成物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸メチルエステル 80mg(82%)を提供した。
【0065】
1,4−ジオキサン(2.5mL)中、(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸メチルエステル 80mgの溶液に、水酸化リチウム溶液(水 0.5mL中、水酸化リチウム一水和物 11mg)を室温で加えた。溶液を同じ温度で3.5時間撹拌した。次に酢酸 0.5mLを、水 25mLと共に加えた。混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸 26mg(34%);LCMS(ESMS):m/z 439.12(M+H)を提供した。
【0066】
以下の化合物を同様の手順を使用して合成した。
(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 439(M+H
(S)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−酪酸;LCMS(ESMS):m/z 425(M+H
(R)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ヘキサン酸;LCMS(ESMS):m/z 453(M+H
(S)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ヘキサン酸;LCMS(ESMS):m/z 453(M+H
(R)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 439(M+H
(S)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 439(M+H
(R)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸エチルエステル;LCMS(ESMS):m/z 467(M+H)(ステップ1〜4)
(R)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 439(M+H
(R)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 439(M+H
(R)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 439(M+H
(S)−3−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,4−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS): m/z 439(M+H
(R)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−酪酸;LCMS(ESMS):m/z 425(M+H
【0067】
実施例3:(R)−3−[2,4−ジオキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸の合成
【0068】
【化8】

【0069】
メタノール 25mL中、塩化アセチル 1.45mLの溶液に、(R)−3−アミノペンタン酸 2.0gを室温で加えた。結果として得られた混合物を60℃で18時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、減圧下で濃縮した。結果として得られた明黄褐色の油状物((R)−3−アミノペンタン酸メチルエステル塩酸塩)をさらに精製しないで次の反応に使用した(2.8g、99%)。
【0070】
N,N−ジメチルホルムアミド 30mL中、3−アミノピリジン−2−カルボン酸 1g、(R)−3−アミノペンタン酸メチルエステル塩酸塩 950mg、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド 1.8g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物 1.27g、及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン 2.3mLの混合物を室温で16時間撹拌した。結果として得られた混合物を水に注いて、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。橙色の残留油状物((R)−3−[(3−アミノ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ペンタン酸メチルエステル)をさらに精製しないで次の反応に使用した(1.6g、88%)。
【0071】
テトラヒドロフラン 25mL中、(R)−3−[(3−アミノ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−ペンタン酸メチルエステル 1.6g、及びクロロギ酸トリクロロメチル 0.86mLの溶液を、90℃で3時間撹拌した。結果として得られた混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(R)−3−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル)−ペンタン酸メチルエステル 1.75g(99%)を提供した。
【0072】
N,N−ジメチルホルムアミド 50mL中、(R)−3−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル)−ペンタン酸メチルエステル 1.75g、ヨウ化トリメチル−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−アンモニウム 2.5g、及び炭酸カリウム 1.7gの混合物を、65℃で3時間加熱した。結果として得られた混合物を水で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(R)−3−[2,4−ジオキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸メチルエステル 1.0g(35%)を提供した。
【0073】
水 20mL及び1,4−ジオキサン 20mL中、(R)−3−[2,4−ジオキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸メチルエステル 1.0g、及び水酸化リチウム一水和物 187mgの溶液を、室温で3時間撹拌した。結果として得られた混合物を酢酸 0.26mLで中和し、結果として得られた混合物を水で希釈した。生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。合わせた画分を濃縮し、残留物をエーテルでトリチュレートし、(R)−3−[2,4−ジオキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸 410mg(42%);LCMS(ESMS):m/z 435(M+H)を提供した。
【0074】
以下の化合物を同様の手順を使用して合成した。
3−シクロプロピル−3−[2,4−ジオキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−プロピオン酸;LCMS(ESMS):m/z 447(M+H
(R)−3−[2,4−ジオキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[4,3−d]ピリミジン−3−イル]−ペンタン酸;LCMS(ESMS):m/z 435(M+H
3−[2,4−ジオキソ−1−(1,4,6−トリメチル−1H−インドール−3−イルメチル)−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−ヘプタン酸;LCMS(ESMS):m/z 463(M+H
【0075】
実施例4:(S)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−酪酸の合成
【0076】
【化9】

【0077】
ピリジン(3.0mL)中、3−アミノピリジン−2−カルボン酸 276mgの溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール 324mgを加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。次に(S)−2−アミノ−酪酸tert−ブチルエステル塩酸塩 391mgを加え、混合物を室温で16時間撹拌した。次に反応混合物を水(1mL)で希釈し濃縮した。残留物を追加の水 5mLで希釈し、生成物を酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濃縮した。残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(S)−2−[(3−アミノ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−酪酸tert−ブチルエステル 218mg(39%)を提供した。
【0078】
テトラヒドロフラン(10mL)中、(S)−2−[(3−アミノ−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−酪酸tert−ブチルエステル 217mgの溶液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール 259mg、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン 0.018mLで処理した。混合物を室温で16時間撹拌した。次に反応混合物に水(1mL)を加え、結果として得られた混合物を濃縮し、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(S)−2−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル)−酪酸tert−ブチルエステル 130mg(55%)を提供した。
【0079】
(S)−2−(2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル)−酪酸tert−ブチルエステル 46mg、3−ブロモメチル−4,6−ジメチル−1,2−ベンゾイソチアゾール 41mg、及び炭酸カリウム 111mgの混合物を、室温で4時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、生成物を濾過し、水で洗浄した。単離した固体をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、(S)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−酪酸tert−ブチルエステル 72mg(99%)を提供した。
【0080】
ジクロロメタン(1mL)中の20%トリフルオロ酢酸中、(S)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−酪酸tert−ブチルエステル 32mgの溶液を、室温で45分間撹拌した。結果として得られた混合物を濃縮して、(S)−2−[1−(4,6−ジメチル−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−d]ピリミジン−3−イル]−酪酸 25mg(89%);LCMS(ESMS):m/z 426(M+H)を提供した。
【0081】
使用方法
本発明に従って、本明細書に記載されたとおりの化合物、及びそれらの薬学的に許容しうる誘導体を使用する方法を提供する。本発明において使用される化合物は、キマーゼを阻害する。キマーゼは、アンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変換することが知られており、TGF−β、マトリクスプロテアーゼ及びサイトカインの活性化に寄与することができるので、キマーゼの阻害は、様々な疾患又は病状を予防及び治療するための魅力的な手段である。例として、慢性心不全(非虚血性)、心筋梗塞後心不全(虚血性)、急性心筋梗塞、再灌流傷害、左室機能不全、心臓線維症、拡張期心不全及び肥大性心筋症を含む心不全、肺高血圧症、収縮期高血圧症及び抵抗性高血圧症を含む高血圧症を含み、冠動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、動脈瘤、安定/不安定狭心症、再狭窄、糖尿病性腎症、心房細動/心室性不整脈、弁膜性心疾患、心膜疾患、腎不全(慢性腎臓病、末期腎疾患)、脳卒中も含む。本発明の化合物はまた、以下の手順:冠動脈バイパス移植、経皮的冠動脈形成術及びステント術に、有用でありうる。
【0082】
本発明の範囲内の他の疾患には、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び、肺炎症、喘息、骨関節炎、骨吸収疾患、多発性硬化症、ギラン−バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、移植片対宿主病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、毒素性ショック症候群、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、炎症の症状のみならず急性及び慢性疼痛、熱傷、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、外傷に続発する多臓器損傷、急性糸球体腎炎、急性炎症性要素による皮膚病、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系障害、血液透析、白血球除去輸血(leukopherisis)、顆粒球輸血関連症候群及び壊死性腸炎(necrotizing entrerocolitis)に関連する症候群、外傷性関節炎、ならびに敗血症を含む。これに関連して、米国特許第5,948,785号;米国特許第6,271,238号;米国特許第5,691,335号;米国特許第5,814,631号;米国特許第6,300,337号;欧州特許第1,099,690号;米国特許第6,323,219号;米国特許出願第2005−0245536 A1号;Fukami, et al., Current Pharmaceutical Design 1998, vol. 4, pp. 439-453を参照することができる。
【0083】
発明の背景で開示したように、本発明の化合物は、サイトカインの活性化に寄与することができ、したがって、本発明の化合物は、腫瘍性疾患を処置するために有用であるだろう。これに関連して、米国特許出願第2005−0245536 A1号を参照することができる。これらの疾患は、乳房、気道、脳、生殖器、消化管、尿路、目、肝臓、皮膚、頭頸部、甲状腺、副甲状腺のガン、及びそれらの遠隔転移などの固形腫瘍を非限定的に含む。これらの障害はまた、リンパ腫、肉腫、及び白血病も含む。
【0084】
乳ガンの例は、浸潤性乳管ガン、浸潤性小葉ガン、非浸潤性乳管ガン、及び非浸潤性小葉ガンを非限定的に含む。
【0085】
気道のガンの例は、小細胞及び非小細胞肺ガン、ならびに気管支腺腫、及び胸膜肺の芽腫及び中皮腫を非限定的に含む。
【0086】
脳ガンの例は、脳幹神経、視神経及び視床下部(hypophtalmic)の膠腫、小脳及び大脳の星細胞腫、髄芽細胞腫、脳室上衣細胞腫、ならびに下垂体、神経外胚葉性及び松果体の腫瘍を非限定的に含む。
【0087】
末梢神経系腫瘍の例は、神経芽細胞腫、神経節芽細胞腫、及び末梢神経鞘腫瘍を非限定的に含む。
【0088】
内分泌及び外分泌系の腫瘍の例は、甲状腺ガン、副腎皮質ガン、褐色細胞腫、及びカルチノイド腫瘍を非限定的に含む。
【0089】
男性生殖器の腫瘍は、前立腺ガン及び精巣ガンを非限定的に含む。
【0090】
女性生殖器の腫瘍は、子宮内膜、子宮頸部、卵巣、膣の腫瘍を非限定的に含む。
【0091】
これらの障害は、人においてよく特徴づけられているが、他の哺乳動物においても類似病因によって存在し、本発明の医薬組成物によって処置されることができる。
【0092】
治療的使用のために、本化合物は、任意の従来剤形で、任意の従来方法で投与されることができる。投与の経路は、静脈内、筋肉内、皮下、髄膜内(intrasynovially)、注入による、舌下、経皮的、経口的、局所的、又は吸入によるものを非限定的に含む。好適な投与様式は、経口及び静脈内である。
【0093】
本明細書に記載した化合物は、単独か、あるいは、阻害剤の安定性を高め、特定の実施態様においてそれらを含有する医薬組成物の投与を容易にし、溶解又は分散の増加を提供し、阻害活性を増加させ、補助治療を提供する等の佐剤であって、他の有効成分を含む佐剤と組み合わせて、投与されることができる。有利に、このような併用療法は、より低い投薬量の従来治療を利用し、したがって、これらの剤が単独療法として使用されるときに生じる、可能性のある毒性及び有害な副作用を回避する。本発明の化合物は、従来の治療用物質又は他の佐剤と物理的に合わせて単一の医薬組成物にすることができる。他の治療用物質との組み合せは、アンギオテンシンII受容体遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、CETP阻害剤/apoA1模倣剤、アデノシン二リン酸(P2Y12)阻害剤、直接トロンビン阻害剤、アルドステロン拮抗剤、Xa因子阻害剤、ナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)、レニン阻害剤、抗不整脈薬、キマーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン)、Rhoキナーゼ阻害剤、β遮断薬、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2阻害剤、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、利尿剤、フィブラート、エンドセリン受容体拮抗薬、GPIIb/IIIa阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ヘパリン、ニコチン酸誘導体、バソペプチダーゼ阻害剤、亜硝酸塩及び硝酸塩、脂肪酸酸化阻害剤、経口抗凝固剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、血栓溶解剤、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤、チアゾリジンジオン、アデノシン受容体モジュレーター、コレステロール吸収阻害剤、終末糖化産物/受容体(AGE/RAGE)相互作用モジュレーター/遮断薬、アセチルサリチル酸、ジピリダモール、遺伝子治療、及び細胞療法を非限定的に含む。
【0094】
有利に、このような併用療法は、より低い投薬量の従来治療を利用し、したがって、これらの剤が単独療法として使用されるときに生じる、可能性のある毒性及び有害な副作用を回避する。本発明の化合物は、従来の治療用物質又は他の佐剤と物理的に合わせて単一の医薬組成物にすることができる。そして有利に、化合物は単一剤形で一緒に投与されることができる。いくつかの実施態様では、化合物のこのような組み合せを含む医薬組成物は、少なくとも約5%、しかしより好ましくは少なくとも約20%の化合物(w/w)又はその組み合せを含有する。本発明の化合物の最適パーセンテージ(w/w)は、変化することもでき、当業者の認識範囲内にある。代替的に、化合物は、別個に投与されることもできる(連続的に又は並行して)。別個の投薬は、投与計画においてより大きな柔軟性を可能にする。
【0095】
先に述べたように、前述の化合物の剤形は、当業者にとって公知の薬学的に許容しうる担体及び佐剤を含む。これらの担体及び佐剤は、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、緩衝物質、水、塩又は電解質、及びセルロースを主成分とする物質を含む。好ましい剤形は、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、液体剤、液剤、懸濁剤、エマルション、トローチ剤、シロップ剤、再構成可能粉末剤(reconstitutable powder)、顆粒剤、坐剤、及び経皮パッチを含む。そのような剤形を調製するための方法は公知である(例えばH.C. Ansel及びN.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger (1990)を参照のこと)。投薬量レベル及び必要条件は、当技術分野においてよく認識されており、特定の患者に適する利用可能な方法及び技術から当業者によって選択されることができる。いくつかの実施態様では、投薬量レベルは、70kgの患者に対して約1〜1000mg/用量の範囲に及ぶ。1日当たり1用量が充分でありうるが、1日当たり最大で5用量までが与えられることができる。経口用量としては、最大2000mg/日までが必要とされうる。当業者は認識するであろうが、より低い又はより高い用量が、特定要因に応じて必要とされることもある。例えば、特定の投薬量及び治療計画は、患者の全体的な健康プロフィール、患者の障害又はそれに対する傾向の重篤度及び経過、ならびに処置する医師の判断などの要因に依存するであろう。
【0096】
用語「患者」は、ヒト及びヒト以外の哺乳動物の両方を含む。
【0097】
用語「有効量」は、本発明の化合物が投与されるか又は使用される状況において、所望の効果又は結果を達成するのに充分な該化合物の量を意味する。状況に応じて、有効量という用語は、薬学的有効量又は診断的有効量を含むか、あるいはそれと同義であることができる。
【0098】
用語「薬学的有効量」又は「治療有効量」は、投与を必要としている患者に本発明の化合物が投与されるとき、該化合物が有用性を示す病態、病状、又は障害のための処置を果たすのに充分な該化合物の量を意味する。このような量は、研究者又は臨床家が求める、組織、系、又は患者の生物学的又は医学的応答を誘発するのに充分であろう。治療有効量を構成する本発明の化合物の量は、化合物及びその生物活性、投与に使用される組成物、投与時間、投与経路、化合物の排泄速度、処置期間、処置される病態又は障害のタイプ及びその重篤度、本発明の化合物と組み合わせて、又は同時に使用される薬剤、ならびに患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び食生活などの要因に応じて変化するであろう。このような治療有効量は、当業者であれば、彼ら自身の知識、先行技術、及び本開示を考慮してごく普通に決定することができる。
【0099】
用語「診断的有効量」は、本発明の化合物が診断法、装置又はアッセイで使用されるとき、その診断法、装置又はアッセイに必要な所望の診断的効果又は所望の生物活性を達成するのに充分な、本発明の化合物の量を意味する。このような量は、研究者又は臨床家が求める、患者、又は、インビトロもしくはインビボ組織もしくは系における生物学的又は医学的応答を含むことができる、診断法、装置、又はアッセイにおける生物学的又は医学的応答を誘発するのに充分であろう。診断的有効量を構成する本発明の化合物の量は、化合物及びその生物活性、使用される診断法、装置、又はアッセイ、投与に使用される組成物、投与時間、投与経路、化合物の排泄速度、投与期間、本発明の化合物と組み合わせて、又は同時に使用される薬剤及び他の化合物、そして患者が診断的投与の対象である場合、その患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、及び食生活などの要因に応じて変化するであろう。このような診断的有効量は、当業者であれば、彼ら自身の知識、先行技術、及び本開示を考慮してごく普通に決定することができる。
【0100】
用語「処置すること」又は「処置」は、患者の病態の処置を意味し、そして以下を包む:
(i)特に、患者が遺伝的又は他の理由でその病態に対する素因があるが、未だその病態を有すると診断されていない場合、その病態がそのような患者に起こるのを防ぐこと;
(ii)患者の病態を阻害するか又は改善すること、すなわち、その発生を抑えるか、又は遅らせること;
(iii)患者の病態を緩和すること、すなわち、病態の後退又は治癒を引き起こすこと。
【0101】
キマーゼの阻害のためのインビトロアッセイ
キマーゼアッセイは、非結合表層を有するCorningの黒色の不透明な384ウェル・マイクロタイタープレート(Corning、NY)内において総容量 15μLで実施した。アッセイ緩衝液を、20mM トリスHCl pH8.0、50mM NaCl、0.01%CHAPSから構成した。試験化合物を、10mM DMSOストックから、96ウェルポリプロピレンプレート内で、無希釈DMSOで順次3倍に希釈して10点用量反応曲線を提供した。結果として得られたDMSO溶液 3μLを、384ウェルポリプロピレンプレートに移しそれを複製し、アッセイ緩衝液 37μLを加えた。PlateMate Plus(Matrix Technologies Corp., Hudson, NH)を使用して、アッセイ緩衝液 3μL中のキマーゼをアッセイプレートに加え、続いて適当な化合物希釈剤 2μLを加えた。Multidrop(Thermo Electron Corp., Waltham, MA)を使用して、150μM トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP, Pierce Chemical, Rockford, IL)を含有するアッセイ緩衝液中のローダミン110、ビス(スクシノイル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−フェニルアラニルアミド)(bis-(succinoyl-L-alanyl-L-alanyl-L-prolyl-L-phenylalanylamide))(American Peptides, Sunnyvale, CA) 10μLの添加によって、反応を開始した。最終アッセイ濃度は、500pM キマーゼ、100nM 基質、100μM TCEP、及び1% DMSOであった。プレートを28℃及び80%湿度で1時間インキュベートし、その時点で、485nm励起、530nm発光、及びフルオレセイン・ダイクロイックミラーによってViewlux 1430 Microplate Imager(Perkin Elmer Life Sciences, Boston, MA)上で蛍光を読み取った。対照値のパーセンテージは、完全反応からキマーゼを引いたもの、及び、化合物の代わりに1%DMSOを含むアッセイ緩衝液を含有する100%対照を含む、アッセイブランクに対して計算した。IC50値を、XLFit4(IDBS Software)を使用してデータを当てはめることによって得た。
【0102】
本発明の好ましい化合物は、50ナノモル(nM)以下のIC50活性を有する。
【0103】
本出願で引用された全ての特許及び文献参照は、それら全体を参照により本明細書に取り組む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化10】


[式中、
、X、X及びXは各々独立して、それらのうちの少なくとも1つが窒素であるという条件で、−CH−又は窒素であり;
Eは、−COOH又は−COORであり、ここでRはC−Cアルキルであり;
Gは、C−Cアルキルであり;
Jは、ハロゲン、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているヘテロアリール基であり;
Mは、C−Cアルキル及びC−C炭素環から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである]で示された化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
Eが、−COOH又は−COORであり、ここでRはC−Cアルキルであり;
Gが、−CH−であり;
Jが、1〜3個のC−Cアルキル基で各々場合により置換されているインドリル、ベンゾチアゾリル、及びベンゾイソチアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり;
Mが、C−Cアルキル、フェニル、及びシクロプロピルから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Eが、−COOHであり;
Jが、1〜3個のメチル基で各々場合により置換されているインドリル及びベンゾイソチアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり;
Mが、C−Cアルキル、フェニル及びシクロプロピルから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
【化11】


であり、
Jが、2〜3個のメチル基で各々場合により置換されているインドリル又はベンゾイソチアゾリルから選択されるヘテロアリール基であり;
Mが、C−Cアルキル、フェニル及びシクロプロピルから選択される1個の置換基で場合により置換されているC−Cアルキルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
【化12】


である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
【化13】


である、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
【表3】








から選択される化合物、又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項8】
治療有効量の請求項1記載の化合物と、1種以上の薬学的に許容しうる担体及び/又は佐剤とを含む、医薬組成物。
【請求項9】
慢性心不全(非虚血性)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧症、肺炎症、心筋梗塞後心不全(虚血性)、急性心筋梗塞、再灌流傷害、左室機能不全、心臓線維症、拡張期心不全、肥大性心筋症、収縮期高血圧症、抵抗性高血圧症、冠動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、動脈瘤、安定/不安定狭心症、再狭窄、糖尿病性腎症、心房細動/心室性不整脈、弁膜性心疾患、心膜疾患、慢性腎臓病、末期腎疾患及び脳卒中から選択される疾患又は病状を処置する方法であって、
薬学的有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項10】
冠動脈バイパス移植、経皮的冠動脈形成術及びステント術から選択される医療手技を必要とする疾患又は病状を処置する方法であって、
薬学的有効量の請求項1記載の化合物を投与することをさらに含む、方法。

【公表番号】特表2012−516335(P2012−516335A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548206(P2011−548206)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/022052
【国際公開番号】WO2010/088195
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】