説明

キャスタ及び脚ベース

【課題】ロック状態で無理に移動操作を行ってしまうことを抑制することができる上に、操作部材の操作を円滑に行うことができるキャスタ及び脚ベースを提供する。
【解決手段】キャスタ本体62と、このキャスタ本体62に軸着された車輪63と、操作部材7を下位置に操作した場合に前記車輪63を前記キャスタ本体62に対してロックするとともに、前記操作部材7を上位置に操作した場合にそのロック状態を解除するように構成されたブレーキ機構64とを具備してなるキャスタ6であって、前記操作部材7が、上下方向に間隔をあけて配された上操作片73及び下操作片74を備えたものであり、前記車輪63がキャスタ本体62に対してロックされる下位置において前記下操作片74が床面に対して起立したような姿勢で近接するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動家具等に好適に使用されるキャスタ、及びこのキャスタを備えた脚ベースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャスタとして、取付軸に対して旋回動作可能なキャスタ本体と、このキャスタ本体に軸着された車輪と、アーム状をなす操作部材を所定のロック位置に操作した場合に前記車輪を前記キャスタ本体に対してロックするとともに、前記操作部材を所定のロック解除位置に操作した場合にそのロック状態を解除するように構成されたブレーキ機構とを具備してなるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところがこのような構成のものは、操作部材の位置が若干変化することによりロックまたはロック解除を行うようにしているため、一見しただけではそのキャスタがロック状態にあるのかロック解除状態にあるのかを判別することが難しい。そのため、キャスタがロック状態であるにもかかわらず無理に移動操作を行って、キャスタを傷めたり床面を傷つけたりするおそれがあった。
【0004】
このような不具合を解消するための一つの方策としては、例えば、キャスタのロック状態において操作部材が床面に近接するように設定しておき、その状態においてはキャスタを移動不能であるという事情を使用者に視覚的にも認識させることができるようにしておくことが考えられる。ところが、従来の操作部材は、前述したように一本のアーム状をなすものであるため、操作部材をロック位置で床面に近接するようにしておくと、その操作部材をロック解除位置に操作するのが難しくなるという不具合を招くこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−34334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ロック状態で無理に移動操作を行ってしまうことを抑制することができる上に、操作部材の操作を円滑に行うことができるキャスタ及び脚ベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係るキャスタは、取付軸に対して旋回動作可能なキャスタ本体と、このキャスタ本体に軸着された車輪と、操作部材を下位置に操作した場合に前記車輪を前記キャスタ本体に対してロックするとともに、前記操作部材を上位置に操作した場合にそのロック状態を解除するように構成されたブレーキ機構とを具備してなるものであって、前記操作部材が、上下方向に間隔をあけて配された上操作片及び下操作片を備えたものであり、前記車輪がキャスタ本体に対してロックされる下位置において前記下操作片が床面に対して起立したような姿勢で近接するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
ここで、車輪がキャスタ本体に対してロックされる「ロック状態」とは、車輪がキャスタ本体に対して全く動かない場合のみならず、車輪をキャスタ本体に対して無理に動かせば動くという制動をかけている場合も含まれる概念である。
【0009】
このようなものであれば、ロック状態である下位置において下操作片が床面に対して起立したような姿勢で近接しているので、視覚的にロック状態を認識することができ、ロック状態で無理に移動操作を行ってしまうことを抑制することができる。その上、下操作片の上方に設けられた上操作片を用いてロック状態を解除する操作を行うことができるため、操作部材の操作を円滑に行うことができる。
【0010】
上操作片は、前記車輪がキャスタ本体に対してロックされる下位置においてほぼ水平姿勢になるよう構成されているものが好ましい。
【0011】
上操作片が、前記下位置において上を向く面にロック状態である旨を示す表記が施されたものであれば、ロック状態において操作部材が前述した姿勢をとることと相俟って、より使用者にロック状態を認識させることができる。
【0012】
上述したキャスタを備えた脚ベースの好適な一態様としては、ベース本体と、このベース本体に装着された請求項1、2または3記載のキャスタとを備えたものであって、前記ベース本体が、キャスタ収容空間を形成すべく下縁が切り欠かれた形状をなすキャスタ取付部を備えたものであり、このキャスタ取付部に前記キャスタが旋回可能に取り付けられていることを特徴とするものが挙げられる。
【0013】
キャスタ収容空間は、操作部材に対する操作を常時可能にするだけの大きさを備えているものが好ましい。
【0014】
ベース本体が、板金素材を主体に構成されたものであり、少なくとも前記キャスタ取付部に、その素材端面を覆う樹脂製のカバーを備えているものが好適な一態様として挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のような構成であるから、ロック状態で無理に移動操作を行ってしまうことを抑制することができる上に、操作部材の操作を円滑に行うことができるキャスタ及び脚ベースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
【図2】同正面図。
【図3】同要部の外観図。
【図4】同右側面図。
【図5】同他の右側面図。
【図6】図2に係る要部のX−X線断面図。
【図7】図6に係る動作説明図。
【図8】同実施形態に係る要部の分解斜視図。
【図9】同実施形態に係る要部の右側面図。
【図10】図9に係る要部の作用説明図。
【図11】同実施形態に係る要部の構成説明図。
【図12】同実施形態に係る要部の構成説明図。
【図13】図9に係るY−Y線断面図。
【図14】同Z−Z線断面図。
【図15】同実施形態に係る要部の外観図。
【図16】図15に係る動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図16を参照して説明する。
【0018】
このテーブルTは、図1〜図5に示すように、天板2を使用位置(P)と起立した収納位置(Q)との間でフラップ動作させることができるとともに、少なくとも前記使用位置(P)において前記天板2をフラップ動作不能にロックすることができるようにしたものである。すなわち、このテーブルTは、左右対をなす移動可能な脚体1と、これら脚体1に開口部211を有する取付フレーム21を枢支させることにより使用位置(P)と起立した収納位置(Q)との間でフラップ動作可能な天板2と、前記天板2の前記取付フレーム21内に設けられこの天板2を少なくとも前記使用位置(P)にロックするためのロック機構22と、前記開口部211の一部を塞ぐようにして設けられたハンドル23とを主体に構成されたものである。
【0019】
各脚体1は、同図に示すように、脚ベース3と、この脚ベース3の中間位置に立設した支柱4と、この支柱4の上端部4aにビスを介して止着された支持部材9とを具備してなる。左右の脚体1は、前記支持部材9間に架設した横架材Sにより剛結されている。脚ベース3は、ベース本体5と、このベース本体5の使用端2a側に装着された第一のキャスタ6と、前記ベース本体5の反使用端2b側に装着された第二のキャスタ8とを備えたものである。
【0020】
ベース本体5は、図1、図2、図4、図5、図9及び図10に示すように、キャスタ収容空間55、56を形成すべく下縁が切り欠かれた形状をなす使用端側のキャスタ取付部51及び反使用端側のキャスタ取付部52を備えたものであり、前記使用端側のキャスタ取付部51に前記第一のキャスタ6が旋回可能に取り付けられているとともに、前記反使用端側のキャスタ取付部52に前記第二のキャスタ8が旋回可能に取り付けられている。詳述すれば、ベース本体5は、板金素材を主体に構成されたものであり、少なくとも前記キャスタ取付部51、52に、その素材端面を覆う樹脂製のカバー57、58を備えている。具体的には、ベース本体5は、板金素材を下方に開口するチャネル状に成形したもので、各キャスタ取付部51、52にはナット51b、52bを有したキャスタ取付座51a、52aが溶接等により固設されているとともに、中間部53には、前記支柱4を補強するための支柱補強板53aが取り付けられている。ベース本体5の天壁54は、上方に膨出するような湾曲形状をなしている。また、前記使用端側のキャスタ収容空間55は、操作部材7に対する操作を常時可能にするだけの大きさを備えている。反使用端側のキャスタ収容空間56は、第二のキャスタ8の旋回動作を許容するのに必要かつ十分な大きさに設定されている。使用端2a側のキャスタ収容空間55に面する第一のカバー57は、素材端面を含みベース本体5の使用端側のキャスタ取付部51の下面全域を覆うカバー本体57aと、このカバー本体57aに一体に設けられベース本体5の使用端2a側の端面を覆う先端キャップ57bとを備えている。反使用端2b側のキャスタ収容空間56に面する第二のカバー58は、素材端面を含みベース本体5の反使用端2b側のキャスタ取付部52の下面全域を覆うカバー本体58aと、このカバー本体58aに一体に設けられベース本体5の反使用端2b側の端面を覆う先端キャップ58bとを備えている。
【0021】
第一のキャスタ6は、図9〜図16に示すように、取付軸61に対して旋回動作可能なキャスタ本体62と、このキャスタ本体62に軸着された車輪63と、図9に実線で示すように、操作部材7を下位置(D)に操作した場合に前記車輪63を前記キャスタ本体62に対してロックするとともに、図9に二点鎖線で示すように、前記操作部材7を上位置(U)に操作した場合にそのロック状態を解除するように構成されたブレーキ機構64とを具備してなる。キャスタ本体62は、前記ベース本体5のキャスタ取付座51aに取り付けられた取付軸61に対して水平方向に旋回可能に構成されたもので、前記車輪63を支持するための支軸62aを備えており、その支軸62aの両端に対をなす車輪63をそれぞれ回転可能に設けている。ブレーキ機構64は、水平な軸75bを介してキャスタ本体62に上下方向に回動可能に支持された操作部材7と、この操作部材7の回動に伴って車輪63のリム63aの内周に対して接離するピン状の係止部材66と、この係止部材66と係合すべく前記リム63aの内周に設けられた内歯歯車65と、前記操作部材7を上位置(U)または下位置(D)に安定保持するための節度部材67とを具備してなる。操作部材7は、上下方向に間隔をあけて配された上操作片73及び下操作片74を備えたものであり、前記車輪63がキャスタ本体62に対してロックされる下位置(D)において前記下操作片74が床面に対して起立したような姿勢で近接するように構成されている。詳述すれば、操作部材7は、基端部75が軸75bを介して前記キャスタ本体62に支持されたアーム部71と、このアーム部71の回動端に設けられた板状をなす中間部72と、この中間部72の上側に設けられた上操作片73と、前記中間部72の下側に設けられた下操作片74とを具備してなるもので、合成樹脂により一体に形成されている。上操作片73は、下位置(D)において下を向く面を主操作面76として操作されるようになっており、下操作片74は、上位置(U)において上を向く面を主操作面78として操作されるようになっている。そして、下操作片74の主操作面78は、下位置(D)において床面に対してほぼ起立した姿勢をなすように設定されている。そして、この主操作面78には、操作を促すとともに、操作時の滑りを抑制するための凹凸78aが設けられている。一方、前記上操作片73は、前記車輪63がキャスタ本体62に対してロックされる下位置(D)においてほぼ水平姿勢になるよう構成されている。すなわち、上操作片73の主操作面76は、下位置(D)において下を向くように設定されている。そして、前記上操作片73の前記下位置(D)において上を向く面、すなわち、前記主操作面76に対する裏側の面77にロック状態である旨を示す表記77aが施されている。具体的には「LOCK」という文字が記載されている。なお、上操作片73、下操作片74及び中間部72の幅寸法は、当該第一のキャスタ6の全幅寸法に近い値に設定してある。係止部材66は、前記操作部材7の基端部75における前記軸から偏心した位置に貫設されたピン状のもので、その両端部を両車輪63のリム63aの内周に臨ませている。そして、操作部材7が下位置(D)に操作された場合に係止部材66が車輪63のリム63a方向に移動して内歯歯車65に係り合うようになっており、それによって、前記両車輪63がキャスタ本体62に対してロックされるようになっている。一方、操作部材7が上位置(U)に操作された場合には、係止部材66が車輪63のリム63aから離れる方向に移動しそのロック状態が解除されるようになっている。節度部材67は、キャスタ本体62に一体に形成された板バネ状のもので、操作部材7のアーム部71の基端部75外周に形成されたカム面75aに弾接して節度機能を発揮し得るようにしたものである。なお、図11及び図12は、一方の車輪63を外した状態を示している。
【0022】
第二のキャスタ8は、図1、図4、図5及び図9に示すように、取付軸81に対して旋回動作可能なキャスタ本体82と、このキャスタ本体82に軸着された車輪83とを備えたもので、前述したブレーキ機構を備えていないものである。
【0023】
支柱4は、図1〜図8に示すように、例えばパイプ状をなす金属製のもので、脚ベース3の天壁54及び支柱補強板53aに溶接等により取り付けられている。
【0024】
支持部材9は、図6、図7及び図8に示すように、例えば厚板板金製のもので、天板2を使用位置(P)にロックするための第一係止部91と、天板2を収納位置(Q)に保持するための第二係止部92とを備えている。
【0025】
天板2は、図1〜図8に示すように、例えば長方形状をなす天板本体20の左右の両端部下面にそれぞれ取付フレーム21を固着したものである。
【0026】
取付フレーム21は、図3〜図8に示すように、天板2の下面に図示しないビス等により止着されたベース壁212と、このベース壁212の左右両側縁からそれぞれ垂下させた内側壁213及び外側壁214とを備えたもので、前記内側壁213の下縁と外側壁214の下縁との間に下方に開放された開口部211が形成されている。取付フレーム21の外側壁214は、主軸215を介して前記脚体1の支持部材9に回動可能に軸着されている。
【0027】
ロック機構22は、図3〜図8に示すように、前記脚体1の支持部材9に設けられた第一係止部91及び第二係止部92のいずれかに選択的に係り合う係合子222と、この係合子222を支持部材9方向に付勢するバネ225と、このバネ225の付勢力に抗して前記係合子222を操作するためのレバー223と、このレバー223の動きを前記係合子222に伝達するための伝動機構224とを具備してなる。係合子222は、軸221を介して取付フレーム21の外側壁214に支持されたもので、先端部が前記支持部材9に対して接離するように回動する。本実施形態においては、右側の取付フレーム21内及び左側の取付フレーム21内にそれぞれロック機構22が設けられており、右の取付フレーム21内の係合子222と左の取付フレーム21内の係合子222とは、連動部材Rを介して連動し得るように結合されている。レバー223は、前記天板2の下面における使用端2aに近い位置に設けられるロック解除用のもので、前記天板2に接離する方向に回動するようになっている。詳述すれば、前記レバー223は、前記天板2の使用端2aと側縁2dとが交わるコーナー部2cの近傍に設けられており、前記取付フレーム21の内側壁213及び外側壁214に回転可能に支持された回転軸227に固着されている。レバー223は、例えば合成樹脂により成形されたもので、先端側が漸次天板2から離れる方向に湾曲した形状をなしており、指だけでなく手の甲により上方に押圧して回動操作できるようになっている。伝動機構224は、前記レバー223と一体に回転する前記回転軸227と、基端をその回転軸227に固着した回動アーム228と、この回動アーム228に一端を枢着するとともに他端を前記係合子222の中間部分に枢着したリンクメンバ229とを具備してなるもので、前記レバー223を天板2に接近する方向に回動操作して、前記回動アーム228を前記回転軸227とともに回転させて前記リンクメンバ229により前記係合子222を牽引することによって、前記係合子222が前記バネ225の付勢力に抗して前記支持部材9から離れる方向に回動するようになっている。伝動機構224は、前記係合子222と同様に左右の取付フレーム21内に配されており、これに対応して前記レバー223も、前記天板2の使用端2aと一方の側縁2dとが交わるコーナー部2cの近傍、及び前記天板2の使用端2aと他方の側縁2dとが交わるコーナー部2cの近傍にそれぞれ設けられている。以上のようにしてなる取付フレーム21の開口部211は、前記ハンドル23及びカバー24により塞がれている。
【0028】
ハンドル23は、図1〜図8に示すように、前記開口部211の一部、すなわち前半部分を塞ぐようにして設けられたループ状をなす合成樹脂製のものである。具体的には、ハンドル23は、ハンドル本体231と、このハンドル本体231に一体に設けられ前記開口部211を塞ぐ閉塞部232と、この閉塞部232の一側縁から内側壁213の外面に沿って天板2方向に伸びる延出部233と、この延出部233の先端縁に一体に設けられ天板2の下面に添接される取付部234とを備えたものであり、前記取付部234がビス等により天板2に止着されることにより天板2に固定されている。ハンドル本体231の反使用端2b側には、前記カバー24の使用端の浮き上がりを防止するためのカバー位置決め部235が設けられている。具体的には、カバー位置決め部235は、例えば多角形の開口形状をなした凹陥部からなる。ハンドル23は、前記レバー223に隣接させて天板2の使用端2aに近い位置に設けられたもので、具体的には、前記天板2の使用端2aと側縁2dとが交わるコーナー部2cの近傍に設けられている。すなわち、手を掛けることができるハンドル23は、近接するレバー223よりも左右方向中央寄りに配置されたものであり、そのレバー223の近接する位置に前記使用位置(P)においてこのレバー223よりも下方に突出する寸法を備えている。換言すれば、このハンドル23は、使用者の脚等によりレバー223が誤操作されるのを抑制するための保護突部としての役割をなしている。ハンドル23は、前記左右のレバー223に対応させてそれぞれその近傍に設けられており、具体的には、左右のハンドル23は、前記天板2の使用端2aと一方の側縁2dとが交わるコーナー部2cの近傍、及び前記天板2の使用端2aと他方の側縁2dとが交わるコーナー部2cの近傍にそれぞれ設けられている。
【0029】
カバー24は、図1〜図8に示すように、前記開口部211の一部、すなわち後半部分を塞ぐようにして設けられた合成樹脂製のものである。具体的には、カバー24は、取付フレーム21における下向きの開口部211を塞ぐ下閉塞部241と、この下閉塞部241の内側縁から天板2方向に延出する側方閉塞部242と、この側方閉塞部242の先端縁における反使用端2b側に一体に設けられ天板2の下面に添接される取付部243とを備えたものであり、前記取付部243がビス等により天板2に止着されることにより天板2に固定されている。下閉塞部241は、中空箱形のもので、その外面は前記ハンドル23の外面と連続するように成形されており、その使用端2a側の端面には、前記ハンドル23のカバー位置決め部235に係わり合う係合部244が設けられている。具体的には、この係合部244は、前記カバー位置決め部235に嵌合する多角柱状の突起である。下閉塞部241には、前記支持部材9との干渉を回避するためのスリット245が設けられている。また、側方閉塞部242には、前記横架材Sとの干渉を回避するための第一の切欠部246と、前記連動部材Rとの干渉を回避するための第二の切欠部247とが設けられている。
【0030】
なお、本実施形態においては、天板2の反使用端2bの近傍に幕板Mが設けられている。幕板Mは、平板状のもので、この上端縁M1を天板2に設けたブラケット26の先端に枢支させるとともに、下端縁M2をリンクメンバ41を介して支柱4に支持させている。この幕板Mの動きについては、通常のものと同様であるため、説明を省略する。また、天板2の下面側には、湾曲させたパイプを取り付けることにより、荷物受け25が設けられている。
【0031】
以上のようにしてなるテーブルTにおいては、前記第一のキャスタ6の操作部材7及びレバー223には、当該テーブルTに施されている色調とは異なった色調の色彩が施されている。具体的には、このテーブルTは、主にシルバー及びグレーを基調として色彩デザインが施されているが、前記操作部材7及びレバー223には、黄色の色彩が施されている。
【0032】
以上に述べたように、本実施形態にかかる第一のキャスタ6は、取付軸61に対して旋回動作可能なキャスタ本体62と、このキャスタ本体62に軸着された対をなす車輪63と、操作部材7を下位置(D)に操作した場合に前記車輪63を前記キャスタ本体62に対してロックするとともに、前記操作部材7を上位置(U)に操作した場合にそのロック状態を解除するように構成されたブレーキ機構64とを具備してなるものであって、前記操作部材7が、上下方向に間隔をあけて配された上操作片73及び下操作片74を備えたものであり、前記車輪63がキャスタ本体62に対してロックされる下位置(D)において前記下操作片74が床面に対して起立したような姿勢で近接するように構成されているので、ロック状態で無理に移動操作を行ってしまうことを抑制することができる上に、操作部材7の操作を円滑に行うことができる。
【0033】
詳述すれば、車輪63がキャスタ本体62に対してロックされる下位置(D)においては、操作部材7の下操作片74が床面に対して起立したような姿勢、換言すれば、略起立した姿勢で近接することになるので、第一のキャスタ6を床面に対して移動不能であることを使用者に視覚的に認識させることができる。そのため、ロック状態でテーブルTを無理に移動させようとして、第一のキャスタ6の車輪63やブレーキ機構64等に無理な力が作用したり、車輪63が床面を摺動して車輪63により床面を傷つけたりするような不具合の発生を抑制できる。しかも、下操作片74が床面に近接している下位置(D)から上位置(U)に操作部材7を操作する場合には、その下操作片74の上方に位置している上操作片73を用いてその操作部材7を上位置(U)、すなわちロックが解除される位置まで操作することができる。したがって、上操作片73及び下操作片74を適宜使用して第一のキャスタ6のロック及びロック解除を円滑に行うことが可能になる。そのため、ユニバーサルデザインとしての効用も高い。
【0034】
前記上操作片73が、前記車輪63がキャスタ本体62に対してロックされる下位置(D)においてほぼ水平姿勢になるよう構成されているので、使用者が下位置(D)にある上操作片73を上方に回動させる操作を行いやすい。
【0035】
また、この実施形態においては、前記上操作片73が、前記下位置(D)において上を向く面、すなわち裏側の面77にロック状態である旨を示す表記77aが施されたものであるため、第一のキャスタ6がロック状態であるにもかかわらず無理に移動操作を行って、第一のキャスタ6を傷めたり床面を傷つけたりする不具合を、より確実に解消することができる。すなわち、操作部材7を下位置(D)に操作して車輪63をロックした状態において、上操作片73がほぼ水平になるようにしてあり、その上操作片73の裏側の面77に「LOCK」という表示がされているので、操作部材7の前述した全体姿勢から与えられる視覚的認識に加えて、この表示から与えられる視覚的認識によって、使用者が誤ってロック状態でテーブルTを動かしてしまうことをより確実に防ぐことができる。特に、本実施形態においては、上操作片73における裏側の面77には、赤色の彩色が施されており、前述した文字のみならず色でも視覚的認識を促すようにしている。
【0036】
さらに、本実施形態のテーブルTは、ベース本体5と、このベース本体5に装着された第一及び第二のキャスタ6、8とを備えた脚ベース3を備えたものであり、前記ベース本体5が、使用端側及び反使用端側のキャスタ収容空間55、56を形成すべく下縁が切り欠かれた形状をなす使用端側及び反使用端側のキャスタ取付部51、52を備えたものであり、これら使用端側及び反使用端側のキャスタ取付部51、52に前記第一及び第二のキャスタ6、8が旋回可能に取り付けられている。すなわち、ベース本体5の下側の凹陥した部分に第一及び第二のキャスタ6、8を取り付けているので、ベース本体5の上面を構成する天壁54の床面からの高さ寸法を可及的に小さくすることができる。したがって、使用者が脚ベース3に脚をひっかけてしまうという不具合を抑制できる。特にこの実施形態では、ベース本体5の天壁54を上方に膨出するように湾曲させているので、そのひっかかりを少なくすることができる。
【0037】
また、使用端側のキャスタ収容空間55が、操作部材7に対する操作を常時可能にするだけの大きさを備えているので、第一のキャスタ6が使用端側のキャスタ収容空間55に完全に入る位置に旋回した場合でも、操作部材7の上操作片73または下操作片74に指を掛けて操作することができる。すなわち、本実施形態の脚ベース3は、ブレーキ機構64を備えた第一のキャスタ6を収容する使用端側のキャスタ収容空間55を、ブレーキ機構を備えない第二のキャスタ8を収容する反使用端側のキャスタ収容空間56よりも前後方向に大きく設定しており、第一のキャスタ6の操作部材7の操作が行いやすいように構成されている。
【0038】
前記ベース本体5が、板金素材を主体に構成されたものであり、使用端側及び反使用端側のキャスタ取付部51、52に、その素材端面を覆う樹脂製のカバー本体57a、58aをそれぞれ備えているので、ベース本体5の使用端側のキャスタ取付部51や反使用端側のキャスタ取付部52の下側に手や足を入れても安全性が確保される。そのため、使用端側のキャスタ取付部51については特に、使用者は安心して操作部材7を操作することができる。また、本実施形態では、開口部を覆うカバー本体57a、58aに一体に設けられた先端側キャップ57b、58bを備えているので、脚ベース3の前端や後端側の開口も塞ぐことができる。
【0039】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0040】
キャスタや脚ベースは、テーブルに用いられるものには限られず、種々の移動家具等に適用可能である。また、キャスタの車輪は上述したような双輪に限らず、種々の方式のキャスタに適用可能である。
【0041】
操作部材は、図示したような幅広のものに限らず種々変更可能であるが、実施形態で説明したような幅広なものであれば、指や手、足等どのような方法でも操作しやすい。
【0042】
キャスタ取付部は、本実施形態のように脚ベースを成形する際に切り欠かれた形状にするものや、脚ベースを成形した後に切り欠くようにするもの等が考えられる。
【0043】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0044】
3…脚ベース
5…ベース本体
51…キャスタ取付部
55…キャスタ収容空間
57…カバー(第一のカバー)
6…キャスタ(第一のキャスタ)
61…取付軸
62…キャスタ本体
63…車輪
64…ブレーキ機構
7…操作部材
(D)…下位置
(U)…上位置
73…上操作片
74…下操作片
77a…表記


【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付軸に対して旋回動作可能なキャスタ本体と、このキャスタ本体に軸着された車輪と、操作部材を下位置に操作した場合に前記車輪を前記キャスタ本体に対してロックするとともに、前記操作部材を上位置に操作した場合にそのロック状態を解除するように構成されたブレーキ機構とを具備してなるキャスタであって、
前記操作部材が、上下方向に間隔をあけて配された上操作片及び下操作片を備えたものであり、前記車輪がキャスタ本体に対してロックされる下位置において前記下操作片が床面に対して起立したような姿勢で近接するように構成されていることを特徴とするキャスタ。
【請求項2】
前記上操作片が、前記車輪がキャスタ本体に対してロックされる下位置においてほぼ水平姿勢になるよう構成されている請求項1記載のキャスタ。
【請求項3】
前記上操作片が、前記下位置において上を向く面にロック状態である旨を示す表記が施されたものである請求項2記載のキャスタ。
【請求項4】
ベース本体と、このベース本体に装着された請求項1、2または3記載のキャスタとを備えた脚ベースであって、
前記ベース本体が、キャスタ収容空間を形成すべく下縁が切り欠かれた形状をなすキャスタ取付部を備えたものであり、このキャスタ取付部に前記キャスタが旋回可能に取り付けられていることを特徴とする脚ベース。
【請求項5】
前記キャスタ収容空間が、操作部材に対する操作を常時可能にするだけの大きさを備えている請求項4記載の脚ベース。
【請求項6】
前記ベース本体が、板金素材を主体に構成されたものであり、少なくとも前記キャスタ取付部に、その素材端面を覆う樹脂製のカバーを備えている請求項4または5記載の脚ベース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−52164(P2013−52164A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193515(P2011−193515)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】