説明

キャップ付き容器用の殺菌装置

【課題】 容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも簡単に着脱可能に取り付けることのできる殺菌装置の提供。
【解決手段】 発光により紫外線を放射する紫外線放射部、前記紫外線放射部の発光制御を行う制御部、前記制御部に対して電力を供給する電池、少なくとも前記紫外線放射部を覆うためのカバー部材を取付基板に組み付けてユニット化して殺菌装置を構成するようにした。また、前記取付基板を介して前記ユニット化された本殺菌装置をキャップ又は容器口部のいずれかに取り付けできるようにした。これにより、本殺菌装置は簡易な構造であるにも関わらず、容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも簡単に着脱可能に取り付けることができるので汎用性が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付きの容器に保存されている液体や固形物に対し紫外線を照射することによってそれらの殺菌を行う殺菌装置に関する。特に、容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも殺菌装置を取り付け可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、例えばミネラルウォーターや清涼飲料水などの飲料がペットボトルに入れられて広く市販されている。また、個人がアルミボトル(水筒)やポリタンクなどに入れた飲料を飲むことも一般的に行われている。このようなペットボトルやアルミボトルあるいはポリタンクなどの飲料用容器にはその口部に螺着可能なキャップ(所謂スクリューキャップ)が設けられており、使用者はこのキャップを回転させて都度開け閉めすることによって、該容器内の飲料全部を一度に飲みきることなしに時間を置いて数回に分けて飲むことができる、言い換えれば容器内に飲料を一時的に保存することが可能となっている。
【0003】
ただし、使用者が直接口をつけて中の飲料を飲むことのできるペットボトルやアルミボトルなどの容器においては、使用者が口をつけてしまうと口から容器内へと雑菌が移ってしまい、この雑菌が時間の経過と共に容器内で増殖する恐れがあり衛生的によくない。特に夏場などの気温が高い時期においては、口から容器内へと移った雑菌が増殖を続けることが例えば環境衛生科学研究所等の公的又は私的な機関による実験によって確認されている。そのため、容器に保存された飲料のはやめの消費が促されている。一方、使用者が直接口をつけることのあまりないポリタンクのような容器の場合であっても、そもそも容器内に完全なる無菌状態で飲料を保存することは難しいために、ペットボトルやアルミボトルなどと同様に時間の経過と共に雑菌が増殖してしまう恐れがある。
【0004】
なお、上記した雑菌増殖の危険性は、人が口にする飲料を保存可能な飲料用容器だけに限らず、食品を保存可能な食品用容器においても同様である。また、人が口にする飲料や食品を保存するための容器に限られない。
【0005】
上述したように、容器に保存された飲料や食品には多くの雑菌が含まれている可能性があり、使用者はできれば容器内に混入した雑菌を殺菌できると安心である。しかし、一般的に使われているペットボトルやアルミボトルあるいはポリタンクなどの容器は、雑菌を殺菌するための機能を有していない。そこで、従来では容器に当初から付属されている既存のキャップ(又は蓋)に代えて容器口部に取り付ける(つまりはキャップそのものを交換する)ことによって容器内の雑菌を殺菌することのできる、紫外線を放射する紫外線ランプ(又は紫外線発光素子)を備えたキャップが提案されている。そうしたものの一例を挙げると、例えば特許文献1や特許文献2に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−196370号公報
【特許文献2】特開平8−117742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1や特許文献2に記載のキャップ(又は蓋)は、取り付け先の容器に付属している既存のキャップの口径と同じ大きさに形成された合成樹脂製のキャップ本体に、紫外線を放射するための殺菌機構(紫外線放射機構)を一体的に設けたものであり、該キャップ自体を付属されていた既存のキャップと交換して容器口部に螺着させることのできるようにしている。すなわち、従来のものは殺菌装置がキャップに一体化されて構成されてなる一体型である。
【0008】
ところで、上記した特許文献1や特許文献2に記載のキャップは、それぞれ汎用性に乏しいという問題があった。上述したように、従来のものは殺菌装置がキャップに一体化されて構成されてなり、既存のキャップに代えて使用することが前提となっている。そのため、従来のものは既存のキャップと同様の容器口部に螺着するための取り付けネジ部(螺旋状の雌ネジ又は雄ネジ)を有している。
【0009】
しかし、容器とキャップとの取り付け構造は容器種類等に応じて異なり得るものであるが故に、従来の殺菌装置一体型のキャップでは適用できる容器が限定される。例えば、特許文献1に記載のものは容器側のキャップ取り付け構造が容器口部内周に形成されたもの(例えば容器口部内周に雌ネジが形成されたアルミボトルなど)に利用できない一方で、特許文献2に記載のものは容器側のキャップ取り付け構造が容器口部外周に形成されたもの(例えば容器口部外周に雄ネジが形成されたペットボトルなど)に利用できない。すなわち、従来のものは容器側のキャップ取り付け構造が容器口部の内周に形成されているか容器口部の外周に形成されているかのどちらか一方の場合にしか適用することのできない(つまりは併用できない)点で、汎用性に乏しいと言える。
【0010】
また、従来においては構造が複雑であり、またキャップ本体から殺菌装置のみを取り外すことが困難であったことから、電池や紫外線ランプといった部品の交換や掃除などがし難いなどの問題もあった。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも簡単に着脱可能に取り付けることができて、当該容器に保存された液体や固形物に対し紫外線を照射して殺菌を行うことのできる汎用性の高い簡易な構造のキャップ付き容器用の殺菌装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係るキャップ付き容器用の殺菌装置は、容器口部に着脱可能なキャップ付きの容器に保存されている液体又は固形物に対し紫外線を放射することにより殺菌を行う殺菌装置であって、発光して紫外線を放射する紫外線放射部と、前記紫外線放射部の発光制御を行う制御部と、前記制御部に対して電力を供給する電池と、少なくとも前記紫外線放射部を覆うためのカバー部材であって、紫外線透過性の素材からなるものと、前記紫外線放射部と前記制御部と前記電池と前記カバー部材とが組み付けられることでこれらをユニット化すると共に、該ユニットをキャップ又は容器口部のいずれかに着脱可能に取り付けるための取付基板とを備える。
【0013】
本発明によれば、発光により紫外線を放射する紫外線放射部、前記紫外線放射部の発光制御を行う制御部、前記制御部に対して電力を供給する電池、少なくとも前記紫外線放射部を覆うためのカバー部材を取付基板に組み付けてユニット化して殺菌装置を構成するようにした。また、前記取付基板を介して前記ユニット化された本殺菌装置をキャップ又は容器口部のいずれかに取り付けできるようにした。これにより、本殺菌装置は簡易な構造であるにも関わらず、容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも簡単に着脱可能に取り付けることができるので汎用性が高い。また、簡易な構造であるが故に殺菌装置から電池や紫外線放射部を取り外すことが容易であり、それらの交換や掃除などが簡単である。
【0014】
本発明の請求項5に係る殺菌装置は、容器口部に着脱可能なキャップ付きの容器に保存された液体又は固形物に対し紫外線を放射して殺菌を行う殺菌装置であって、発光して紫外線を放射する紫外線放射部と、前記紫外線放射部の発光制御を行う制御部と、前記制御部に対して電力を供給する電池と、前記紫外線放射部と前記制御部と前記電池とが組み付けられることでこれらをユニット化する基板と、前記ユニット化された前記紫外線放射部と前記制御部と前記電池と前記基板の全てを水密に囲うカプセル形状のカバー部材であって、紫外線透過性の素材によって前記容器口部から当該容器内に投入可能な大きさに形成されてなるものとを備える。これによれば、当該殺菌装置をキャップ又は容器口部に取り付ける必要がないので、殺菌装置の取り付け可否が容器とキャップとの取り付け構造に左右されない。したがって、本殺菌装置は容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも利用できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、紫外線放射部、制御部、電池、カバー部材を取付基板に組み付けてユニット化することにより殺菌装置を構成したうえで、前記取付基板を
介して当該ユニット化された殺菌装置をキャップ又は容器口部のいずれかに取り付けることができるようにしたことから、簡易な構造であるにも関わらず、容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも簡単に着脱可能に取り付け可能な汎用性の高い殺菌装置を提供できる、という効果を奏する。
また、簡易な構造であるが故に殺菌装置から電池や紫外線放射部を取り外すことが容易にできるようになるので、使用者は電池や紫外線放射部の交換や掃除などを簡単に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る殺菌装置の一実施例を示す概念図である。
【図2】本発明に係る殺菌装置の別の実施例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る殺菌装置1の一実施例を示す概念図である。ただし、ここでは、容器口部B1の外周に雄ネジBaを形成する一方でキャップCの内周に雌ネジCaを形成した取り付け構造を有するキャップ付きの容器Bに対し、本発明に係る殺菌装置1を取り付ける場合の例について、キャップCの一部を切り欠いた切り欠け図を用いて示してある。すなわち、図1に示す実施形態では、ペットボトルやアルミボトルなどの容器Bに付随する例えば合成樹脂製(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)または金属製(例えばアルミ、ステンレス、チタン等)の既存のキャップC内に殺菌装置1が取り付けられた後に、該キャップCが容器Bの開口された口部B1に取り付けられることによって本殺菌装置1が容器B内に固定的に取り付けられる。
【0019】
図1に示すように、この殺菌装置1は、点灯(発光)することによって紫外線を放射する例えばLEDやOLEDs等の紫外線発光素子あるいは紫外線ランプなどの紫外線放射部2と、前記紫外線放射部2の点灯/消灯(発光)を制御する光源制御回路部3と、前記光源制御回路部3に電力を供給する例えばボタン型の電池4と、固定板兼仕切り板5(取付基板)と、カバーカプセル6(カバー部材)とから構成されてなり、これらの部材が一体的に組みつけられて1つの装置としてユニット化されている。
【0020】
固定板兼仕切り板5(取付基板)は、本殺菌装置1の取り付け先とする円筒状のキャップCの口径にあわせて直径がほぼ同じ大きさからなる円板状に形成されており、また固定板兼仕切り板5の外周周縁部には、容器Bの口部B1外周に設けられた雄ネジBAと同様の雄ネジ5aが設けられる。これにより、殺菌装置1は回転することに応じてキャップC内を図において上下方向に移動し得ることから、使用者は殺菌装置1を回転させることで当該キャップCの任意の位置に取り付けたり当該キャップCから取り外したりすることができる。すなわち、固定板兼仕切り板5(取付基板)はキャップCへの取り付け機能を有する。
【0021】
殺菌装置1がキャップC内に取り付けられると、固定板兼仕切り板5はキャップC内を分け隔ててキャップCの上部側に密閉された空間を生じる。また、殺菌装置1がキャップCと共に容器Bに取り付けられた場合には、この固定板兼仕切り板5が上記キャップC内に生じさせた上部空間に容器B本体内の液体を侵入させることのないように水密的に閉止する壁を形成する。
【0022】
こうした固定板兼仕切り板5には、キャップCごと殺菌装置1が容器Bに取り付けられた際に、容器Bに保存されている液体側(容器B本体側)に相対する面に少なくとも紫外線放射部2とカバーカプセル6とが取り付けられる一方で、反対側の面に少なくとも電池4がそれぞれ取り付けられる。なお、光源制御回路部3は固定板兼仕切り板5の上記どちらの面に取り付けられてもよいが、図1では容器B本体側に相対する面に取り付けられた例を示してある。このように光源制御回路部3が固定板兼仕切り板5の容器B本体側に相対する面に取り付けられている場合には、固定版兼仕切り版5の中央部に小さな孔を形成してなり、当該孔を介して互いに異なる面に取り付けられた光源制御回路部3と電池4とを接続して、当該電池4から光源制御回路部3に対して電力を供給することのできるようにする。
【0023】
光源制御回路部3はスイッチ(図示せず)を有してなり、紫外線放射部2は使用者による手動での前記スイッチのオン操作に従い点灯/消灯される。あるいは、図示を省略したが光源制御回路部3は容器Bの振動を検知するセンサ及び時間経過を計時するタイマーを有してなり、前記センサによって容器Bの振動を検知するたびに紫外線放射部2を点灯させて、前記タイマーによる所定の時間経過に従って前記点灯した紫外線放射部2を消灯させるようにしてもよい(つまりは一定時間だけ紫外線照射がされることになる)。さらには、タイマーによる時間制御に基づき所定時間間隔で自動的に紫外線放射部2の点灯/消灯を繰り返す(つまりは点滅)ようにしてもよい。このように、光源制御回路部3による紫外線放射部2の点灯/消灯(発光)制御は多種多様であってよい。
【0024】
この実施形態において、少なくとも紫外線放射部2は容器Bに保存されている液体の液面に向かって突出した形状に形成されてなる。カバーカプセル6は、紫外線を透過すると共に紫外線による劣化が比較的に小さい特性を有する素材、例えばPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))等のフッ素系樹脂を用いて、前記突出した形状の紫外線放射部2を少なくとも覆う例えばドーム状に形成されてなる。
【0025】
このカバーカプセル6は、紫外線放射部2の破損または紫外線放射部2が劣化した際に破片等を容器Bに保存されている液体に混入させないようにするためのものであり、また紫外線放射部2が容器Bに保存されている液体に晒されることがないよう前記液体から保護するためのものでもある。上述したように、固定板兼仕切り板5がキャップC内に生じさせた上部空間に容器Bに保存されている液体を侵入させることのないように水密的に閉止しているので電池4は前記液体に晒されることはないが、前記カバーカプセル6がないと紫外線放射部2は前記液体に晒されてしまうことになる。紫外線放射部2が前記液体に晒されると劣化が促進されて紫外線放射効率が悪くなることから、これを避けるために少なくとも紫外線放射部2をカバーカプセル6で覆うようにしている(図1の例では光源制御回路部3も含まれている)。
【0026】
本発明に係る殺菌装置1によれば、特に容器口部B1から容器底部までの長さが長い容器Bにおいて液体を効率的に殺菌することができるように構成することが従来に比べて比較的に容易である。すなわち、例えば上記した特許文献1に記載されたような従来の装置では紫外線ランプを容器Bに保存された液体に晒させないようにするために、キャップ本体によって紫外線ランプと液体とを分け隔てる構成となっている。しかし、こうした構成では、紫外線ランプを容器B内の奥深くに突出させようとしてもキャップ本体によって紫外線ランプの全長が規制されてしまうので、特にペットボトルやアルミボトルなどの小型容器においては紫外線ランプを容器内に突出させることが難しい。
【0027】
これに対して、本発明に係る殺菌装置1においては紫外線放射部2の全長が既存のキャップによって規制されないことから、紫外線放射部2を液中に入るようその全長を長くに形成することが容易である。あるいは、紫外線放射部2から放射される紫外線を、例えば液中に長く突き出した紫外線透過性プラスチック管あるいは紫外線透過性のファイバー等を用いて液中の広い範囲に照射するように構成することも容易である。
【0028】
また、この発明に係る殺菌装置1は、図示を省略したが容器口部B1の内周に雌ネジを形成する一方でキャップCの外周に雄ネジを形成した取り付け構造を有するキャップ付きの容器Bの場合にも、そのまま取り付けることが可能である。ただし、その場合には殺菌装置1をキャップC内に取り付けるのではなく容器口部B1内に取り付ける。これは、本殺菌装置1においては固定板兼仕切り板5の外周周縁部に雄ネジ5aが設けられていることによる。すなわち、容器とキャップとの取り付け構造が異なる場合であっても、一方の構造ではキャップCの内周に設けられる雌ネジ(図1参照)の形状と、他方の構造では容器口部内周に設けられる雌ネジの形状とがほぼ同じであることに着目し、本殺菌装置1ではキャップC又は容器口部のどちらにも取り付けできるように固定板兼仕切り板5を構成してある。
【0029】
なお、必ずしも固定板兼仕切り板5の外周周縁部にキャップC内周又は容器口部B1外周に設けられた雌ネジに対応する雄ネジ5aを設ける必要はない。ただし、その場合には容器とキャップとの取り付け構造の違いに関わらずに本殺菌装置1を適用可能とするために、少なくともキャップC内周又は容器口部B1内周と接する固定板兼仕切り板5の外周周縁部を柔軟性(伸縮性)ある樹脂等の素材により形成しておき、当該外周周縁部をキャップC又は容器口部B1の口径にあわせて変形させながら押し込んだり引っ張り出すようにして、当該殺菌装置1をキャップC又は容器口部B1に着脱可能に取り付けできるようにする。すなわち、この場合には、固定板兼仕切り板5の少なくとも一部を柔軟性ある素材により形成することで、固定板兼仕切り板5にキャップC又は容器口部B1への取り付け機能を持たせている。
【0030】
以上詳述したように、本発明に係る殺菌装置1によれば、紫外線放射部2、光源制御回路部3、電池4、カバーカプセル6を固定板兼仕切り板5に組み付けてこれらてユニット化することによって小型で軽量な殺菌装置1を構成できる。また、部材の組み付け先の固定板兼仕切り板5を介して本殺菌装置1をキャップC又は容器口部B1のいずれかに取り付けできるように、前記固定板兼仕切り板5の外周周縁部にキャップC内周又は容器口部B1外周に設けられた雌ネジに対応する雄ネジを形成する、あるいはキャップC内周又は容器口部B1内周と接する固定板兼仕切り板5の外周周縁部を柔軟性ある樹脂等の素材により形成するようにした。これにより、本殺菌装置1は簡易な構造であるにも関わらず、容器とキャップとの取り付け構造が異なるキャップ付き容器のいずれにも簡単に着脱可能に取り付けることができるので、汎用性が高い殺菌装置と言える。また、簡易な構造であるが故に殺菌装置1(より詳細には固定板兼仕切り板5)から電池4や紫外線放射部2を取り外すことが容易であるので、それらの交換や掃除などが簡単になる、という利点もある。
【0031】
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。上述した実施例では、殺菌装置1を既存のキャップ又は容器口部に取り付ける例を示したがこれに限らない。例えば、図2(A)に示すように、カバーカプセル6を液体Pが侵入しないように水密に且つ例えば球状のカプセル形状に形成し、該カバーカプセル6内に上記した紫外線放射部2、光源制御回路部3、電池4、固定板兼仕切り板5(基板)の全てをユニット化したものを組み込んで殺菌装置1を構成するようにしてよい。この場合、カバーカプセル6は少なくとも容器口部B1から当該容器B内に投入可能な大きさに形成されてなる。図2(B)に示すように、この殺菌装置1は容器B内に投入されることによって(通常、投入後に図示しないキャップが閉められる)、当該容器Bに保存されている液体Pの液面あるいは液中を自由に移動しながら紫外線を放射して液体全体にわたって殺菌を行うことができる。こうした図2に示す殺菌装置1の各構成要素は、カバーカプセル6を除いて図1に示した実施例とほぼ同じであることから、ここでの説明を省略する。なお、この場合には特に、容器Bの振動検知により紫外線放射部2の点灯を開始させると共に、タイマーによる時間経過に応じて所定時間だけ点灯させる(又は点滅させる)といった光源制御回路部3による制御が非常に有効である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・殺菌装置
2・・・紫外線放射部
3・・・光源制御回路部
4・・・電池
5・・・固定板兼仕切り板
6・・・カバーカプセル
B・・・容器
B1・・・容器口部
Ba(5a)・・・雄ネジ
C・・・キャップ
Ca・・・雌ネジ
P・・・液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に着脱可能なキャップ付きの容器に保存されている液体又は固形物に対し紫外線を放射することにより殺菌を行う殺菌装置であって、
発光して紫外線を放射する紫外線放射部と、
前記紫外線放射部の発光制御を行う制御部と、
前記制御部に対して電力を供給する電池と、
少なくとも前記紫外線放射部を覆うためのカバー部材であって、紫外線透過性の素材からなるものと、
前記紫外線放射部と前記制御部と前記電池と前記カバー部材とが組み付けられることでこれらをユニット化すると共に、該ユニットをキャップ又は容器口部のいずれかに着脱可能に取り付けるための取付基板と
を備えるキャップ付き容器用の殺菌装置。
【請求項2】
前記取付基板は、キャップ又は容器口部に設けられた雌ネジに対応した雄ネジが外周周縁部に形成されてなり、該雄ネジを前記キャップ又は前記容器口部に設けられた前記雌ネジに螺合することで前記キャップ又は前記容器口部のいずれかに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記取付基板は、キャップ又は容器口部のいずれかに取り付けられた際に、前記キャップ又は前記容器口部において少なくとも前記組み付けられた電池と該容器に保存されている液体又は固形物とを分け隔てる壁を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記制御部は、ユーザ操作に応じて又は当該容器の振動を検知することに応じて前記紫外線放射部の点灯開始制御を行うと共に、時間経過に応じた前記紫外線放射部の点滅制御あるいは点灯終了制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の殺菌装置。
【請求項5】
容器口部に着脱可能なキャップ付きの容器に保存された液体又は固形物に対し紫外線を放射して殺菌を行う殺菌装置であって、
発光して紫外線を放射する紫外線放射部と、
前記紫外線放射部の発光制御を行う制御部と、
前記制御部に対して電力を供給する電池と、
前記紫外線放射部と前記制御部と前記電池とが組み付けられることでこれらをユニット化する基板と、
前記ユニット化された前記紫外線放射部と前記制御部と前記電池と前記基板の全てを水密に囲うカプセル形状のカバー部材であって、紫外線透過性の素材によって前記容器口部から当該容器内に投入可能な大きさに形成されてなるものと
を備える殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−6608(P2013−6608A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139844(P2011−139844)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(391031155)株式会社日本フォトサイエンス (12)
【Fターム(参考)】