説明

キャブタイヤコード

【課題】 難燃性、機械特性、柔軟性、加熱変形特性、耐外傷性に優れ、かつ、廃棄時に重金属化合物や腐食性ガスなどの発生ないキャブタイヤコードを提供する。
【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体20〜80質量%、ポリプロピレン系樹脂5〜40質量%、スチレン系エラストマー5〜30質量%、非芳香族系ゴム用軟化剤0〜20質量%、および不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン0〜30質量%からなる樹脂100質量部に対し、平均粒径が3〜9μmの赤リン1.5〜8質量部、およびビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤により処理なされている金属水和物30〜120質量部、および脂肪酸アミド0.3〜3.0質量部、および/またはシリコーン化合物0〜6.0質量部以下を含有する樹脂組成物で最外層が被覆されたキャブタイヤコード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブタイヤコードに関し、詳しくは、埋立、焼却などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐食性ガスの発生がない絶縁樹脂組成物を用いた、電気・電子機器の内部および外部配線に使用されるキャブタイヤコードに関する。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器の内外部配線に使用される絶縁電線の被覆材料には、難燃性、引張特性、耐熱性など種々の特性が要求される。このため、これら絶縁電線の被覆材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウンドやエチレン系共重合体を主成分とするベース樹脂に分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合した、樹脂組成物を使用することがよく知られている。
【0003】
近年、このような被覆材料を用いた絶縁電線を適切な処理をせずに廃棄した場合の種々の問題が提起されている。例えば、埋立により廃棄した場合には、被覆材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤の溶出、また焼却した場合には、多量の腐食性ガスの発生、ダイオキシンの発生などという問題が起こる。
【0004】
このため、有害な重金属やハロゲン系ガスなどの発生がないノンハロゲン難燃材料で電線を被覆する技術の検討が盛んに行われている。
従来のノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難燃剤を樹脂に配合することで難燃性を発現させたものであり、このような被覆材料の難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水和物が、また、樹脂としては、ポリエチレン、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体などが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−82172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで電子機器に使用される電源コード、ケーブルに対しては、安全性の面から高い難燃性が要求されており、非常に厳しい難燃性規格 UL1581(Reference Standard for Electrical Wires,Cables, and Flexible Cords)などに規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test)のVW−1規格の難燃特性をクリアするものでなければならない。さらに、難燃性以外の特性についても、ULや電気用品取締規格などで、破断伸び100%以上、破断抗張力10MPa以上という高い機械特性が要求されている。
【0006】
さらに電源コードやケーブルには柔軟性、加熱変形特性および耐外傷性が求められている。加熱変形特性は例えば75℃で加重を加えた際に変形しない特性が求められている。柔軟性および耐外傷性は電源コードやキャブタイヤケーブルとして非常に重要な特性であり、引き回しや梱包の際に求められる。
【0007】
しかしながらUL規格や電気用品取締規格を適合させるために難燃剤を多量に添加すると、この柔軟性および加熱変形性を犠牲にせざるを得なかった。また、通常の赤リンを難燃剤として使用した場合、難燃効果が高いために使用割合は金属水和物と比較して減らすことができるものの、他の難燃剤と比較して粒径が大きいため、電線被覆の表面に凹凸が発生し、外観が悪くなると共に、電線同士のこすり合わせ等によって被覆が傷ついたり、白化するなど耐外傷性に問題が生じていた。
【0008】
本発明は、これらの問題を解決し、キャブタイヤコード・ケーブルに要求される高度の難燃性と優れた機械特性を有し、柔軟性や加熱変形特性ならびに耐外傷性を備え、かつ、廃棄時の埋立による重金属化合物の溶出や、焼却による多量の煙、腐食性ガスの発生などの問題のないキャブタイヤコードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、最外層を形成する被覆材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系エラストマー、必要に応じて非芳香族系ゴム軟化剤、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンを用いたベース樹脂に対し、平均粒径3〜9μmの赤リンおよびシランカップリング剤で処理された金属水和物、脂肪酸アミド以下および/またはシリコーン化合物を適切な量含有する樹脂組成物を使用することにより、キャブタイヤコードがVW−1規格に適合する優れた難燃特性を有し、しかも機械特性に優れ、かつ柔軟性、加熱変形性、耐外傷性の保持が可能となることを見出した。本発明はこの知見に基づき、完成されるに至ったものである。
すなわち本発明は、
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体(a)20〜80質量%、ポリプロピレン系樹脂(b)20〜80質量%、スチレン系エラストマー(c)5〜30質量%、非芳香族系ゴム用軟化剤(d)0〜25質量%、および不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン(e)0〜20質量%からなる樹脂(A)100質量部に対し、平均粒径が3〜9μmの赤リン(B)1.5〜8質量部、およびシランカップリング剤により処理されている金属水和物(C)30〜120質量部、および脂肪酸アミド(D)0.3〜3.0質量部、および/またはシリコーン化合物(E)0〜6.0質量部を含有する樹脂組成物で最外層が被覆されていることを特徴とするキャブタイヤコード、および、
(2)前記脂肪酸アミド(D)がオレイン酸アミドであることを特徴とする(1)項記載のキャブタイヤコード
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のキャブタイヤコードは最外層が埋立、焼却などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐食性ガスの発生がないノンハロゲン難燃材料からなる樹脂組成物にて構成され、キャブタイヤコードに要求される高度の難燃性と優れた機械特性を有し、良好な柔軟性や加熱変形特性を備え、耐外傷性も高い。したがって本発明のキャブタイヤコードは、電気・電子機器に配線されるキャブタイヤコードとして好適に用いることができ、廃棄による重金属化合物の溶出や、焼却による多量の煙、腐食性ガスの発生などの問題がないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、キャブタイヤコードとは、例えば、電源コード・ケーブルなどに使用されるキャブタイヤコードであり、キャブタイヤケーブルを包含するものである。
本発明においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン系樹脂、スチレン系エラストマー、並びに必要に応じて非芳香族系ゴム軟化剤、および不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンを用いたベース樹脂に対し、平均粒径3〜9μmの赤リン、シランカップリング剤で処理された金属水和物、脂肪酸アミド、および/またはシリコーン化合物を適切な量含有した樹脂組成物にて最外層を被覆したキャブタイヤコードを使用することにより、VW−1に適合する難燃性のみならず、機械特性、柔軟性、加熱変形性、耐外傷性を維持することが可能となる。
【0012】
本発明では、キャブタイヤコードが柔軟性、難燃性、加熱変形性を満足するためには最外層の樹脂(A)の成分として、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリプロピレン系樹脂を使用することは必要不可欠である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は難燃性においても赤リン、金属水和物との間で高い相乗効果を示すため、赤リンや金属水和物の使用量を最小限にすることができ、柔軟性の維持の面で大きな役割を果たすが、前述の難燃性が発現するためには酢酸ビニル含有率が10質量%以上必要である。しかしながら酢酸ビニル含有率が10%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体は熱溶融が70℃近辺から始まるため、キャブタイヤーコードの75℃加熱変形特性の要求を満足することはできない。一方ポリプロピレン系樹脂の熱融解は170℃近辺のため加熱変形特性は充分満足できるものの、柔軟性に欠ける。本発明はこれら2つの樹脂をブレンドすることにより、柔軟性と耐加熱変形特性の両立を可能としたものである。
【0013】
しかし、前述のエチレン−酢酸ビニルとポリプロピレン系樹脂は、相溶性が低く、2つの樹脂のみでベース樹脂を構成した場合には伸び、耐外傷性などの機械的強度が著しく低下する。そこで、この2つの樹脂の相溶化剤として、スチレン系エラストマーを用いると機械的強度の低下を防止するのみならず、柔軟性、加熱変形性を維持する働きがある。さらに柔軟性を付与したい場合には、加熱変形特性が低下しない範囲で非芳香族系ゴム用軟化剤を添加してもよい。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンを添加することにより、より耐外傷性を向上させることが可能である。
また、平均粒径3〜9μmの赤リンを使用することにより、コードの表面を平滑に保つことができ、耐外傷性を向上させることができる。また、樹脂への分散性も向上するため、機械特性を維持することができる。
またさらに、シランカップリング剤で処理した金属水和物を使用することにより、各ポリマーと金属水和物間でネットワークを構築することから、機械的強度、耐外傷性の向上することを見いだした。
そしてさらに、これらの難燃組成物に対し、脂肪酸アミドを添加することにより、表面滑性を付与し耐外傷性を著しく向上させることに成功した。
【0014】
以下に、本発明に用いられる樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
(a)エチレン−酢酸ビニル共重合体
本発明のキャブタイヤコードの最外層に使用される樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含有するものである。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、優れた柔軟性、難燃性を有しており、これらの特性によって、ベース樹脂(A)の成分とすることによりキャブタイヤコードに要求される柔軟性、難燃性を満足させることができる。またこのようなエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することにより、発煙量を抑えることができる。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有率は、10〜40質量%が好ましく、17〜33質量%であると更に好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニル含有量が少なすぎると、コード自体が非常に硬くなり、柔軟性が低下してしまう。また、酢酸ビニル含有量が多すぎると強度や加熱変形特性において問題が生ずる場合がある。
【0015】
さらに、難燃性において、エチレン−酢酸ビニル共重合体と赤リン、金属水和物との間には相乗効果がある。そのため、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いることにより、高い難燃性を確保しつつ、赤リン、金属水和物の使用量を抑え、高い柔軟性を維持することが可能となる。
また、柔軟性、難燃性を害しない範囲でその他のエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体やエチレン−αオレフィンなどを加えてもよい。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体(a)の配合量は、成分(A)100質量部中に、20〜80質量%、好ましくは50〜70質量%である。
【0016】
(b)ポリプロピレン系樹脂
ポリプロピレン系樹脂は、融点が170℃近辺であることから耐熱性、特に耐加熱変形特性に優れた樹脂である。ポリプロピレン樹脂としては、ホモタイプのポリプロピレン、もしくはプロピレンと他の少量のα−オレフィン例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体、またはホモタイプのポリプロピレンにエチレンプロピレンゴムを少量添加したブロックタイプを用いることができる。
このポリプロピレン樹脂(b)の配合量は、成分(A)100質量部中に、5〜40質量%、好ましくは10〜20質量%である。このポリプロピレンの配合量が5質量%より少なくなると耐加熱変形特性が低下する。一方、配合量が40質量%を越えると、柔軟性が著しく低下する。
【0017】
(c)スチレン系エラストマー
本発明におけるスチレン系エラストマーとしては、スチレンの重合体ブロックSと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体又はランダム共重合体さらにはこれらを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、S−B−S、B−S−B−S、S−B−S−B−S、Sm1−Bn1−Sm2−Bn2・・などの構造を有するビニル芳香族化合物‐共役ジエン化合物の共重合体あるいは、これらの水素添加されたもの等を挙げることができる。
【0018】
これらの共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
上記スチレン系エラストマーの具体例としては、HSBR(水素化スチレンブタジエンエラストマー)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SEPS(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックコポリマー)等を挙げることができる。
【0019】
本発明においてスチレン系エラストマーの含有量は、樹脂(A)中、5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%である。スチレン系エラストマーの量が多すぎると被覆材の押し出し加工性が著しく低下するだけではなく、伸び特性や強度が著しく低下する。
またこれらのスチレン系エラストマーと共に後述の非芳香族系ゴム用軟化剤(d)を加えることができる。この非芳香族系ゴム用軟化剤の量は強度や難燃性を害しない範囲でスチレン系エラストマーと同量以下で配合できる。
スチレン系エラストマーを使用することにより、コードにさらなる柔軟性をもたせることが可能であり、また、加熱変形性を維持することができる。
【0020】
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤
本発明においては、柔軟性を付与する目的で非芳香族系ゴム用軟化剤を必要に応じて添加しても良い。成分(d)としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系と呼び、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
本発明の成分(d)として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により成分(c)が可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。成分(d)としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に好ましい。
【0021】
これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が20〜500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃を示すものが好ましい。
(d)成分の配合量は、(A)成分100質量部中に、0〜20質量%、好ましくは0〜5質量%である。20質量%を越える配合は、軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を与えるおそれがあり、機械的性質も低下させる。成分(d)は、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
【0022】
(e)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン
本発明においては、必要に応じて不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンを使用することができる。
【0023】
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンとは、例えば直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンやエチレン−酢酸ビニル(VA)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート(EA)共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体等のエチレン系共重合体などのポリオレフィンを、不飽和カルボン酸やその誘導体で変性した樹脂のことであり、変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などがある。ポリオレフィンの変性は、例えば、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸等を有機パーオキサイドの存在下に溶融、混練することにより行うことができる。マレイン酸の変性量は通常0.5〜7質量%程度である。
【0024】
不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンは樹脂とフィラーの接着、エチレン系共重合体とスチレン系エラストマー、スチレン系樹脂を側鎖に有するポリオレフィン、エチレンプロピレンゴムの相溶化剤としての効果があり、電気特性の向上や浸水させたときの絶縁抵抗の低下を抑える効果や樹脂組成物の強度を高める効果がある。
本発明において不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンを加える場合、その含有量は樹脂(A)100質量部中、0〜30質量%、好ましくは3〜15質量%である。この不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィンが多すぎるとキャブタイヤコードが非常に硬くなるだけでなく、伸び特性が著しく低下する。
【0025】
(B)赤リン
本発明に使用される赤リンとしては平均粒径が3〜9μmの赤リンがあげられる。赤リンの平均粒径は3〜8μmが好ましい。
赤リンが大きすぎると外観及び力学的強度が著しく低下し、また小さすぎると混練り工程が著しく困難となる。
この赤リンの必要量は樹脂(A)100質量部に対して、1.5〜8質量部、好ましくは2〜5質量部である。この量が少なすぎると垂直難燃性に適合しなくなり、また多すぎると力学的特性に問題が生じる。
電源コードに求められる特性として、耐外傷性がある。コード同士もしくはコードが床などの接触面とこすり合わされるときに、最外層に傷が生じたり、白化がみられることがある。キャブタイヤコードでは使用中に引き回すことが多いことなどから、使用時に傷や白化が生じないよう耐外傷性のある最外層が必要である。
本発明で用いる赤リンは、平均粒径が微細なものである。そのためコードの最外被覆層に使用しても、被覆表面が滑らかで凹凸のない、耐外傷性の高いコードを得ることが可能である。さらに粒径が微細なことにより、樹脂への分散性・相溶性が向上し、機械的強度を維持することができる。
【0026】
(C)金属水和物
本発明において用いることのできる金属水和物の種類は特に制限はないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、オルト珪酸アルミニウム、ハイドロタルサイドなどの水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物があげられ、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの金属水和物のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
好ましくはこれらの金属水和物は耐外傷性の点でシランカップリング剤で表面処理されていなければならない。さらにシランカップリング剤で表面処理された金属水和物は水酸化マグネシウムであることが特に好ましい。
【0027】
上記金属水和物の表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、例えば、末端にアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基を有するものが挙げられる。なかでも、ビニル基、エポキシ基を末端に有するものが好ましい。これらのシランカップリング剤は単独でも2種以上併用してもよい。シランカップリング剤としては例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
これらのシランカップリング剤は1種単独でも、2種以上併用して使用してもよい。
【0028】
本発明で用いることができるシランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウムとしては、表面無処理のもの(市販品としては、キスマ5(商品名、協和化学社製)など)、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの(キスマ5A(商品名、協和化学社製)など)、リン酸エステル処理されたものなどをシランカップリング剤により表面処理したもの、シランカップリング剤によりすでに表面処理された水酸化マグネシウムの市販品(キスマ5L、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学社製)、ファインマグMO−E(商品名:TMG製)など)がある。
また、本発明で用いることができるシランカップリング剤表面処理水酸化アルミニウムとしては、表面未処理の水酸化アルミニウム(ハイジライトH42M(商品名、昭和電工社製)など)を上記のシランカップリング剤により表面処理したものなどがあげられる。
【0029】
また、上記以外にも、予め脂肪酸やリン酸エステルなどで部分的に表面処理した水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムに追加的にシランカップリング剤を用い表面処理を行った金属水和物なども用いることができる。
金属水和物の表面処理を行う場合は、未処理又は部分表面処理金属水和物に予め又は混練りの際シランカップリング剤をブレンドして行うことができる。このときのシランカップリング剤は、表面処理するに十分な量が適宜加えられるが、具体的には金属水和物に対し0.1〜3.0質量%、好ましくは0.15〜2.0質量%、さらに好ましくは0.2〜1.0質量%である。
この金属水和物の使用量は樹脂(A)100質量部に対して、30〜120質量部、好ましくは50〜100質量部である。この量が少なすぎると垂直難燃性に適合しなくなり、また多すぎると力学的特性に問題が生じる。
【0030】
(D)脂肪酸アミド
本発明においては、脂肪酸アミドを使用するものである。
脂肪酸アミドとしては、特には限定されるものではないが、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。なかでも、オレイン酸アミドは適度な滑性効果が得られ、製品外観も優れるため特に好ましい。
脂肪酸アミドは最外被覆層に加えることによりコード同士をこすり合わせる際に、コードの白化を抑える働きがある。また、絶縁電線との密着性を制御することが可能となる。
この脂肪酸アミドの量は樹脂(A)100質量部に対し、0.3〜3.0質量部、好ましくは0.5〜2.5質量部、さらに好ましくは0.5〜2.0質量部である。脂肪酸アミドをあまり多く加えると、コードが滑りすぎたり、ブリードを生じることがある。
【0031】
(E)シリコーン化合物
本発明においては、必要に応じシリコーン化合物を使用することができる。
シリコーン化合物としては、例えば、通常の直鎖のシロキサン構造を有しているシリコーンオイル、ポリジオルガノシロキサンを主原料としたシリコーンゴム、シリコーンゴムの主原料であるシリコーンガム、パウダー状のシリコーンレジン等が挙げられる。
この中でもシリコーンゴムの主原料であるシリコーンガムが好ましい。シリコーンガムの中では側鎖にビニル基等の架橋基を有しているシリコーンガムが好ましい。シリコーンガムの基本的な分子構造はシロキサンの側鎖にメチル基、ビニル基、フェニル基を有しているものが挙げられるが、その他のアルキル基、アルケニル基等、芳香族基の選択も可能である。側鎖にビニル基等の架橋基を有しているシリコーンガムを適切な量使用することにより、コンパウンド時に行われる際の緩やかな架橋反応において、シリコーンガムと他のポリマーやシラン処理なされた金属水和物と結合し、ブリードがなく、しかも表面平滑性に優れ、さらにコード同士のこすれや耐外傷性を大幅に向上させる働きがある。
【0032】
このシリコーンガムにその他配合剤として、補強充填剤、可塑剤、増量充填剤、添加剤、架橋剤等を添加しても良い。シリコーンガムとしては重合度5000〜10000程度のものが好ましいが、重合度がこれより低いものも使用しても良い。
このシリコーン化合物の含有量は樹脂(A)100質量部に対して0〜6.0質量部、好ましくは0.5〜4.0質量部である。シリコーン化合物の量が多すぎると、ブリード
が生じたり、耐外傷性が劣ることがある。
【0033】
本発明のキャブタイヤコードの最外層には、必要に応じスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を配合することができ、さらに難燃性を向上することができる。これらの化合物を用いることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成がより強固になる。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B ・3.5HO)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。またスズ酸亜鉛(ZnSnO )、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH) )として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。
【0034】
本発明のキャブタイヤコードの最外層には、電線・ケ−ブルにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
酸化防止剤(老化防止剤)としては、4, 4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N, N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2, 2, 4−トリメチル−1, 2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1, 3, 5−トリメチル−2, 4, 6−トリス(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。
【0035】
金属不活性剤としては、N, N’−ビス(3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1, 2, 4−トリアゾール、2, 2’ −オキサミドビス−(エチル3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがあげられる。
難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
【0036】
本発明のキャブタイヤコードまたはケーブル内部の絶縁電線に使用される絶縁体の材料としては特には限定しないが、ポリエチレン系、エチレン系共重合体系、エラストマー系を主体とした材料が使用され、非架橋でも架橋されていても良い。また金属水和物等で難燃化されていても良い。特には限定しないが、内部絶縁体に使用される材料は硬度で92A以下の材料が好ましい。
【0037】
本発明に用いられる絶縁樹脂組成物は、上記の各成分を、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど、通常用いられる混練装置で溶融混練して得ることができる。
【0038】
次に本発明のキャブタイヤコードについて説明する。
本発明のキャブタイヤコードは、導体の周りに例えばポリエチレン系、エチレン系共重合体系、エラストマー系絶縁樹脂組成物又はその架橋体により被覆された絶縁電線を1本使うか、又は、多数本以上並べたり又は撚り合わせた外側に、本発明に用いられる樹脂組成物を通常の電線製造用押出成形機を用いて押出被覆して最外層を形成することにより得ることができる。
【0039】
本発明に使用する絶縁電線の導体径や導体の材質などは特に制限はなく、用途に応じて適宜定められる。導体の周りに形成される絶縁樹脂組成物の絶縁層の肉厚も特に制限はないが、0.15〜3mmが好ましい。また、絶縁層或いは被覆層は多層構造であってもい。
また、キャブタイヤコード最外層の肉厚は0.2〜3mmが好ましい。また、本発明に用いられる樹脂組成物で形成した最外層のほかに中間層などを有するものでもよい。
【実施例】
【0040】
次に本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径0.18mmφの軟銅撚線 構成:30本/0. 18mmφ)上に、酢酸含有量が28質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を押し出し法により被覆して、各々絶縁電線を製造した。外径は2.74mm(被覆層の肉厚0.8mm)とし、被覆後、10Mradで電子線照射して架橋を行った。
この電線を2本並べて、その外側に、表1〜7に示す各成分を室温にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して製造した各樹脂組成物にて平型被覆を行い最外層を形成し、JIS C 3306に規定されるビニルキャブタイヤ長円形コード 2芯 公称断面積0.75mm、外径1.1mmの構造でキャブタイヤコード(実施例1〜9及び11〜12、並びに、比較例1〜13)を製造した。
また一部の材料に関しては、この電線を2本撚りあわせて、その外側に各樹脂組成物にて丸形被覆を行い最外層を形成し、JIS C 3306に規定されるビニルキャブタイヤ丸形コード 2芯 公称断面積0.75mm、外径1.1mmの構造でキャブタイヤコード(実施例10)を製造した。
【0041】
表1〜7に示す各成分は以下のものを用いた。なお、表1〜7における各成分の数値の単位は質量部である。
(01)EV−360
エチレン−酢酸ビニル共重合体
EV−360(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)
VA含有量 25質量%
(02)V−527−4
エチレン−酢酸ビニル共重合体
V−527−4(商品名、三井デュポンポリケミカル社製)
VA含有量 17質量%
【0042】
(03)F274NP
(商品名、出光石油化学社製)
ポリプロピレン樹脂
(04)ダイナロン1320P
(商品名、クラレ社製)
スチレン系エラストマー
HSBR(水素化スチレンブタジエンエラストマー)
【0043】
(05)セプトン2007
(商品名、クラレ社製)
スチレン系エラストマー
SEPS(スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックコポリマー)
(06)L6100M
(商品名、JPE社製)
マレイン酸変性LLDPE(綿状低密度ポリエチレン)
【0044】
(07)ノーバエクセルF5
(商品名、燐化学工業製)
赤リン 平均粒径5μm
(08)ノーバエクセル120UF
(商品名、燐化学工業製)
赤リン 平均粒径10μm
【0045】
(09)キスマ5L
(商品名、協和化学社製)
末端にビニル基を有するシランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウム
【0046】
(10)アマイドO
(商品名、花王製)
オレイン酸アミド
(11)CF−9150
(商品名、東レダウコーニング製)
シリコーンガム
【0047】
(12)イルガノックス1010
(商品名、チバガイギー社製)
ヒンダートフェノール系老化防止剤
(13)旭カーボン#70
(商品名、旭総業社製)
カーボン
(14)非芳香族系ゴム用軟化剤
パラフィンオイル
商品名:ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産社製)
得られた実施例及び比較例のキャブタイヤコードについて、以下の試験を行った。結果を表1〜7に示した。
【0048】
1)抗張力、伸び
各コードの最外層の抗張力(MPa)と伸び(%)を、JIS3号ダンベルで打ち抜き、研磨した後に、引張速度200mm/分の条件で測定した。抗張力および伸びの要求特性はそれぞれ、各々10MPa以上、350%以上である。
2)加熱変形
加熱変形はJIS C 3306に基づき、試験を行い変形量(%)を測定した。試験温度は75℃、荷重は10Nで行った。要求特性は変形量で10%以下である。
【0049】
3)難燃性
各コードについて、UL1581の Vertical Flame Test をおこない、合格数(合格数/N数)を示した。
4)柔軟性(硬さ)
最外層の柔軟性の指標としてJIS K 7215の測定方法に基づきプラスチックデュロメータ硬さの測定を行った。最外層の材料で1mm厚のシートを作成し、測定を行った。
5)耐外傷性
0.4φのエッジに5Nの力を加え、3回エッジを往復させた後の傷を確認した。なお、表1〜7中の記号は、それぞれ次の意味を有する。
◎:ほとんど外傷がない
○:表面にうっすらと傷が生じる
×:傷、白化が生じる
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
エチレン−酢酸ビニル共重合体が80質量部を超える材料を使用したキャブタイヤコードは、加熱変形性、耐外傷性が劣る(比較例1)。また、ポリプロピレン樹脂が40質量部を超えると伸び、難燃性、耐外傷性、柔軟性が劣り(比較例2)、5質量部を下回ると抗張力、加熱変形性が劣る(比較例3)。スチレン系エラストマーが5質量部より少ないとエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリプロピレン樹脂との相溶性が低下するために、抗張力、伸び、耐外傷性などの機械的強度が著しく低下し(比較例4)、一方30質量部を超えると柔軟性は増加するが抗張力、加熱変形性、難燃性が低下する(比較例5)。非芳香族系ゴム用軟化剤は柔軟性を付与する目的で添加しても良いが、20質量部を超えると抗張力、加熱変形、難燃性が低下し、比較例6においては非芳香族系ゴム用軟化剤のブリードも認められた。不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィンは、難燃剤である金属水和物との親和性に優れ、特に抗張力の向上に効果があるが30質量部を超えると、伸び、難燃性、柔軟性が低下する(比較例7)。
【0058】
難燃剤である赤リンの平均粒径が本発明に規定する範囲を外れる場合には、耐外傷性が低下する結果となる(比較例8)。
脂肪酸アミドおよび/またはシリコーン化合物は耐外傷性を著しく向上させるが、添加量が本発明に規定する範囲を超えた比較例12、13においてはブリードが発生したりや抗張力、伸びが低下する。
【0059】
これに対し、実施例1〜12のキャブタイヤコードは、UL等で要求されている伸び(350%以上)、抗張力(10MPa以上)、難燃性(VW−1 5/5)の条件をすべて満足しつつ、加熱変形特性、硬さ、耐外傷性も良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(a)20〜80質量%、ポリプロピレン系樹脂(b)5〜40質量%、スチレン系エラストマー(c)5〜30質量%、非芳香族系ゴム用軟化剤(d)0〜20質量%、および不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン(e)0〜30質量%からなる樹脂(A)100質量部に対し、平均粒径が3〜9μmの赤リン(B)1.5〜8質量部、およびシランカップリング剤により処理されている金属水和物(C)30〜120質量部、および脂肪酸アミド(D)0.3〜3.0質量部、および/またはシリコーン化合物(E)0〜6.0質量部を含有する樹脂組成物で最外層が被覆されていることを特徴とするキャブタイヤコード。
【請求項2】
前記脂肪酸アミドがオレイン酸アミドであることを特徴とする請求項1記載のキャブタイヤコード。

【公開番号】特開2006−12607(P2006−12607A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188164(P2004−188164)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】