説明

キーシートモジュール

【課題】 キー全体を照明すると共に簡便で明確な操作が可能なキーシートモジュールを提供することにある。
【解決手段】 キーシートモジュール2は、導光板4とその下に配置されるタッチセンサ部6とその下に配置されるキーシート部8とを備えている。タッチセンサ部6は、静電容量センサ用のパターンが形成されたFPC10Aからなる。キーシート部8は、スイッチパターンが形成されたFPC10Bと、ドームバネ26を備えたシートスイッチ28とからなる。このキーシートモジュール2においては、導光板4からの光がタッチセンサ部6に遮られることがない。また、キーシート部8を設けているため、押圧操作による確実なクリック操作感を生じさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の携帯電子機器に使用するキーシートモジュールに関するものであり、特に、タッチ操作機能及び照光機能を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電子機器は、多様な機能を備えており、入力操作も複雑になりつつある。このため、入力操作を明確で簡便にすることでより使い易くすることが求められていた。そこで、タッチパッドを用いてタッチ操作可能とすると共に、タッチパッドの下に導光板を設け且つタッチパッドを貫通する光ガイド部を設けて、上部にあるタッチキーを照明するように構成したものが提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−68173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術においては、透光性のないタッチパッドに貫通孔を設けることで導光板の光を透過し、その上方にあるタッチキーを照明していた。このため、タッチキーの一部分を照明することしかできず、また、照明する位置を変えるには貫通孔の位置を変えることが必要であった。
【0004】
また、上記タッチキーの場合、操作が簡単である反面、入力を決定するときの操作感に欠けるため、キーを2回タップする等の特殊な操作を必要とすることがあり、操作しにくく、ダイレクト感も欠けるという問題があった。
【0005】
また、タッチ操作を感知するセンサとしての静電容量センサは、光を透過せず、また基板の上下面にパターンを形成したものが多く、コストが高いという問題もあった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、キー全体を照明すると共に簡便で明確な操作が可能なキーシートモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキーシートモジュールは、可撓性を有する導光板と、該導光板の下に配置されるタッチセンサ部と、該タッチセンサ部の下に配置されるキーシート部と、を備えている。このキーシートモジュールにおける前記タッチセンサ部は、静電容量センサ用パターンが形成されたフレキシブル回路基板からなる。また、前記キーシート部は、スイッチパターンが形成されたフレキシブル回路基板と、前記スイッチパターンに対面するドームバネを備えたシートスイッチと、を備えている。
【0008】
また、前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板と前記キーシート部のフレキシブル回路基板は、1枚のフレキシブル回路基板からなり、折曲した状態で用いられる。
【0009】
また、前記タッチセンサ部は、前記導光板の下面上に導体部材で形成される静電容量センサからなる。また、この前記タッチセンサ部は、前記導光板の下面上に取り付けられる導体を用いた基板材で形成される静電容量センサからなるものでもある。
【0010】
また、前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板は、前記ドームバネに対向する部分に孔を有し、該孔を通して前記導光板とドームバネとが対向するものとなっている。また、前記導光板は、前記ドームバネに対向する凸部を有している。
【0011】
また、前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板は、前記ドームバネに対向する凸部を有している。
【0012】
また、前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板は、ジャンパ印刷を用いることで片面のみにタッチセンサパターンが形成されたものとなっている。
【0013】
また、本発明のキーシートモジュールは、前記タッチセンサ部を使用して平面位置を決めた後、ドームバネを押し込む事で決定操作を行うように設定されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のキーシートモジュールは、導光板の下にタッチセンサ部を設け、更にその下にキーシート部を設けているので、タッチセンサ部が導光板からの光を遮ることがなく、また、キーシート部により明確な操作感を得ることができる。
【0015】
また、タッチセンサ部が導光板の下に位置しているので、光を透過しない静電容量センサが形成されたフレキシブル回路基板(以下「FPC」と略称する)でタッチセンサ部を構成することができる。
【0016】
更に、キーシート部を、スイッチパターンが形成されたFPCとドームバネを備えたシートスイッチで構成する場合に、タッチセンサ部のFPCとキーシート部のFPCを1枚のFPCで構成し、それを折曲して二つ折りにして上下に配置することで、タッチセンサ部とキーシート部でFPCを兼用することができる。これにより、部品点数を削減することができると共に、FPC上に形成するタッチセンサ部とキーシート部のパターンを同時に形成することができる。
【0017】
また、導光板の下面に導体部材を塗布したり、導体からなる基板材を取り付けることで静電容量センサを設けることにより、薄型化することができると共に、タッチセンサ部をより上方に位置付けて感度を向上させることができる。
【0018】
また、タッチセンサ部のFPCに孔を設けて導光板とドームバネが孔を通して対向するように構成しているので、押圧操作によるスイッチの操作感を向上させることができる。更に、導光板に凸部を設けることで、より操作感を向上させることができる。また、タッチセンサ部のFPCに凸部を設けて、この凸部がドームバネに当接するように構成して、スイッチ操作感を向上させることもできる。
【0019】
また、ジャンパ印刷を用いることで、タッチセンサ部のFPCに形成するタッチセンサパターンをFPCの片面のみに形成することができ、パターン形成工程を簡素化することができる。
【0020】
また、タッチセンサ部とキーシート部とを有するため、それらの操作を組み合わせて、タッチセンサ部でカーソルを移動させる等の平面位置を決定し、それに続いてキーシート部のドームバネを押し込むことで決定操作を行うことができる。このような一連の操作により、簡単で確実な操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のキーシートモジュールは、可撓性を有する導光板と、その下に配置されるタッチセンサ部と、その下に配置されるキーシート部と、を備えている。そのタッチセンサ部は、静電容量センサ用のパターンが形成されたFPCからなり、キーシート部は、スイッチパターンが形成されたFPCと、ドームバネを備えたシートスイッチとからなる。このキーシートモジュールにおいては、導光板からの光がタッチセンサ部に遮られることがないため、上部に設けられるキートップを広く明るく照光することができる。また、キーシート部を設けているため、押圧操作による確実なクリック操作感を生じさせることができる。
【実施例】
【0022】
図1は本発明の一実施例に係るキーシートモジュールの構造を示す断面部分図である。2はキーシートモジュールであり、導光板4と、その下に配置されたタッチセンサ部6と、その下に配置されたキーシート部8とを備えている。
【0023】
導光板4は、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の導光性に優れた材料からなり、キーシート部8の押圧操作が可能な可撓性を有している。この導光板4の端部又は端部付近には、光源からの光を内部に取り込むレンズ状の入光部4aが設けられている。
【0024】
タッチセンサ部6は、静電容量センサ用のパターンが形成されたFPC10Aからなる。このFPC10Aには、その上面又は下面に、図2(a)及び(b)に示すようなタッチセンサパターン12,14等を導電材で形成することにより静電容量センサが形成されている。本実施例におけるタッチセンサパターン12,14は、ジャンパ印刷を用いて、交差するパターンを短絡することなく形成し、FPCの片面のみにパターンを形成したものとなっている。
【0025】
図3は図2(a),(b)に示すジャンパ部12a,14aの断面拡大図である。16はFPC10Aのベースであり、絶縁性を有するポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の可撓性フィルムからなる。このベース16の上面には、銅箔等の導電材からなるパターン18a,18b,18cが縦横等にそれぞれ独立して形成されている。このパターン18a,18b,18cの上には絶縁性を有するカバーレイ20が設けられている。このカバーレイ20には、接続が必要な位置に開口部20a,20bが設けられている。22はジャンパであり、カバーレイ20の開口部20a,20b内に導電性ペーストを充填すると共にその間のカバーレイ20上をつなぐように印刷によって形成されている。このジャンパ22を形成することにより、ジャンパ22を介してパターン18a,18bがパターン18cを飛び越して接続される。また、ジャンパ22の上には絶縁性を有するオーバーコート24が設けられている。上記構成からなるジャンパ22を使用すると、図2(a),(b)に示すようなタッチセンサパターン12,14をFPC10Aの片面のみに形成することが可能となる。
【0026】
一方、図1に示すキーシート部8は、上面にスイッチパターンが形成されたFPC10Bと、このFPC10B上に固着され、スイッチパターンに対面するドームバネ26を備えたシートスイッチ28とからなる。尚、スイッチパターンは、ドームバネ26の外周に接触するパターンと、押されて反転したドームバネ26の中央に接触するパターン等からなる公知のパターンを用いている。
【0027】
本実施例におけるFPC10A、10Bは、一枚のFPC10を折曲させることでタッチセンサ部6とキーシート部8とで兼用するものとなっている。また、FPC10B上には導光板4の入光部4aに対面する位置に光源としてのLED30が搭載されている。
【0028】
上記構成からなる導光板4、タッチセンサ部6及びキーシート部8は、両面テープ32,34,36,38により接着されて一体化されている。また、必要に応じて、FPC10Bの下面にセパレータ40を両面テープ42で接着したり、導電板4の上面に遮光板44を取り付けている。
【0029】
上記構成からなるキーシートモジュール2において、導光板4の上方に設けられたキートップ46上を指でなぞるようにタッチ操作すると、タッチセンサ部6がそれを感知し、FPC10が接続された回路部(図示せず)によって、例えば画面上のカーソル等を指でなぞった方向に移動させる。また、キートップ46を押圧操作すると、可撓性を有する導光板4及びFPC10Aを介してシートスイッチ28のドームバネ26が押圧されて反転し、このときにクリック感が生じると共にFPC10B上のスイッチパターンを接続させてスイッチ信号を出力する。このスイッチ信号により、例えば、タッチ操作で移動したカーソルが指す表示を決定する。
【0030】
また、LED30が発する光は、入光部4aから導光板4内に取り込まれ、導光板4全域に広がると共にキートップ46を下方から照光する。このときに導光板4からの光は、タッチセンサ部6によって遮られることはなく、キートップ46の直下からキートップ46を明るく照光することになる。
【0031】
図4は図1に示すキーシートモジュール2の一部変更例を示す断面部分図である。このキーシートモジュール2においては、図1に示すFPC10Aでタッチセンサ部6を形成せずに、導光板4の下面上にタッチセンサ部6を形成している。即ち、この変更例では、導光板4の下面上に導体部材を塗布する導電処理によりタッチセンサパターンを設けることで形成されるか又は、タッチセンサパターンを形成する導体からなる基板材を取り付けることで形成される静電容量センサ50によってタッチセンサ部6を形成している。
【0032】
このように、導光板4の下面上に静電容量センサ50を設けることにより、キーシートモジュール2はより薄くなる。また、タッチセンサ部6が上部に近付くので、感度も向上することになる。
【0033】
このように、導光板4の下面に設けた静電容量センサ50は、FPC10Bの端部に設けられた折曲部10Cに接続されて、回路部等に接続される。また、本実施例においては、導光板4の特性に影響を与えないため、静電容量センサ50を形成する導体部材や基板材に透明なものを用いている。尚、図1に示すFPC10Aを削減したことで、このキーシートモジュール2では両面テープ32,36を設ける必要がない。
【0034】
図5は図1に示すキーシートモジュール2の他の一部変更例を示す断面部分図である。このキーシートモジュール2におけるFPC10Aは、シートスイッチ28のドームバネ26に対向する部分に孔10aを有している。このFPC10Aは両面テープ36によりシートスイッチ28上に接着されており、孔10a内にシートスイッチ28のドームバネ26により盛り上がった部分が収納される。これにより、FPC10Aの孔10aを介してドームバネ26と導光板4が対向することになり、ドームバネ26を押圧する操作感覚が向上することになる。
【0035】
また、導光板4は、ドームバネ26に対向する部分に、略半球状に突出する凸部4bを有しており、この凸部4bがシートスイッチ28のドームバネ26を押圧するものとなっている。このように構成すると、小さいストロークでクリック感のあるスイッチ操作感を得ることが可能となり、キートップ46に代えてシート状のシートキートップ48を導光板4の上に設けても充分な操作感が得られる。
【0036】
図6は図1に示すキーシートモジュール2の他の一部変更例を示す断面部分図である。このキーシートモジュール2におけるFPC10Aは、シートスイッチ28のドームバネ26に対向する部分に略半球状に突出する凸部10bを有している。このように構成すると、前述した図5に示すものと同様に、小さいストロークでドームバネ26を押圧することができ、確実な操作感を得ることができる。
【0037】
尚、図1、図5及び図6に示すキーシートモジュール2において、FPC10A、10Bは1枚のFPC10で形成されているが、これをそれぞれ別個のFPCで形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例に係るキーシートモジュールの構造を示す断面部分図である。
【図2】図1に示すFPCに形成されるタッチセンサパターンの例を示す平面図である。
【図3】図2(a),(b)に示すジャンパ部の断面拡大図である。
【図4】図1に示すキーシートモジュールの一部変更例を示す断面部分図である。
【図5】図1に示すキーシートモジュールの他の一部変更例を示す断面部分図である。
【図6】図1に示すキーシートモジュールの他の一部変更例を示す断面部分図である。
【符号の説明】
【0039】
2 キーシートモジュール
4 導光板
4a 入光部
4b 凸部
6 タッチセンサ部
8 キーシート部
10、10A,10B FPC
10a 孔
10b 凸部
10C 折曲部
12,14 タッチセンサパターン
12a,14a ジャンパ部
16 ベース
18a,18b,18c パターン
20 カバーレイ
20a,20b 開口部
22 ジャンパ
24 オーバーコート
26 ドームバネ
28 シートスイッチ
30 LED
32,34,36,38,42 両面テープ
40 セパレータ
44 遮光板
46 キートップ
48 シートキートップ
50 静電容量センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する導光板と、
該導光板の下に配置されるタッチセンサ部と、
該タッチセンサ部の下に配置されるキーシート部と、
を備えることを特徴とするキーシートモジュール。
【請求項2】
前記タッチセンサ部は、静電容量センサ用パターンが形成されたフレキシブル回路基板からなることを特徴とする請求項1記載のキーシートモジュール。
【請求項3】
前記キーシート部は、スイッチパターンが形成されたフレキシブル回路基板と、
前記スイッチパターンに対面するドームバネを備えたシートスイッチと、
を備えることを特徴とする請求項1記載のキーシートモジュール。
【請求項4】
前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板と前記キーシート部のフレキシブル回路基板は、1枚のフレキシブル回路基板からなり、折曲した状態で用いられることを特徴とする請求項3記載のキーシートモジュール。
【請求項5】
前記タッチセンサ部は、前記導光板の下面上に導体部材で形成される静電容量センサからなることを特徴とする請求項1記載のキーシートモジュール。
【請求項6】
前記タッチセンサ部は、前記導光板の下面上に取り付けられる導体を用いた基板材で形成される静電容量センサからなることを特徴とする請求項1記載のキーシートモジュール。
【請求項7】
前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板は、前記ドームバネに対向する部分に孔を有し、該孔を通して前記導光板とドームバネとが対向することを特徴とする請求項3記載のキーシートモジュール。
【請求項8】
前記導光板は、前記ドームバネに対向する凸部を有することを特徴とする請求項7記載のキーシートモジュール。
【請求項9】
前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板は、前記ドームバネに対向する凸部を有することを特徴とする請求項3記載のキーシートモジュール。
【請求項10】
前記タッチセンサ部のフレキシブル回路基板は、ジャンパ印刷を用いることで片面のみにタッチセンサパターンが形成されていることを特徴とする請求項2記載のキーシートモジュール。
【請求項11】
前記タッチセンサ部を使用して平面位置を決めた後、ドームバネを押し込む事で決定操作を行うことを特徴とする請求項1記載のキーシートモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−259692(P2009−259692A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109109(P2008−109109)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】