説明

キーパッド装置、これを備えるモバイル機器およびキーパッド制御方法

本発明は、OLEDまたはTOLED(透明なOLED)を適用して製品の構造をスリム化およびコンパクト化することが可能なキーパッド装置が開示される。本発明のキーパッド装置は、タッチパネルの下部にTOLEDパネルを備え、TOLEDパネルの下部にキーパッド情報がパターニングされてTOLEDパネルの発光したピクセルに対応するキーパッド情報を反射させて表示する反射シートを備える。タッチパネルおよびTOLEDパネルに制御部が電気的に接続される。制御部はタッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知してタッチポイントに対応するTOLEDパネルの該当ピクセルを発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーパッドに関し、より詳しくは、OLEDまたはTOLED(透明なOLED)を適用して製品の構造をスリム化およびコンパクト化することが可能なキーパッド装置、これを備えるモバイル機器およびキーパッド制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話などの移動通信端末機には、各種情報検索だけでなく、送受信或いは文字入力に必要なキーパッドが装着されている。
【0003】
従来のキーパッドは、回路パターンがプリントされたプリント基板(PCB)の上面にベースシートを接着し、ここにドームスイッチとバックライト用LEDランプを設置した後、これらの上面にさらにハングルの子・母音、英語のアルファベット、数字などがプリントされた上面シートを設置してなる構成である。
ところが、このような従来のキーパッドは、構造的な特性上、厚さを減らすことができないという問題点がある。言い換えれば、キーパッドを構成するPCBの場合、最小の厚さがなければ回路パターンを実現することができず、ドームスイッチも一定の高さを維持しなければ押圧後の復元が不可能であるうえ、LEDランプの厚さが加わってキーパッド全体の厚さは常に一定以上の厚さに維持できるしかないという問題点がある。
したがって、従来のキーパッド構造を携帯電話などの移動通信端末機に適用する場合、携帯電話移動通信端末機の全体厚さおよびサイズなどが大きくなるので、スリム化およびコンパクト化を図ることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、OLEDまたはTOLED(透明なOLED)を適用して製品の構造をスリム化およびコンパクト化することが可能なキーパッド装置を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記キーパッド装置を備えるモバイル機器を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、前記キーパッド装置の制御方法を提供することにある。
本発明の目的は上記で言及した目的に限定されず、言及していない別の目的は以降の記載から当業者に明らかに理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、タッチパネルと、前記タッチパネルの下部に位置するTOLEDパネルと、前記タッチパネルおよび前記TOLEDパネルに電気的に接続され、前記タッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知して前記タッチポイントに対応する前記TOLEDパネルの該当ピクセルを発光させる制御部と、前記TOLEDパネルの下部に位置し、キーパッド情報がパターニングされ、前記TOLEDパネルの発光したピクセルに対応する前記キーパッド情報を反射させて表示する反射シートとを含んでなる、キーパッド装置を提供する。
また、前記TOLEDパネルは、基板と、前記基板上に形成される第1電極と、前記第1電極上に形成される有機物層と、前記有機物層上に形成される第2電極と、前記有機物層と前記第2電極との間および前記第2電極の上部のうち少なくとも1つに形成され、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれら複合物のうちいずれか1つを含む透光層とを含んでもよい。
ここで、前記酸化物系はMoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeOおよびSrOのうちいずれか1つを含んでもよい。
また、前記窒化物系はSiNおよびAINのいずれか1つを含んでもよい。
また、前記塩類はCsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsFおよびZnSeのうちいずれか1つを含んでもよい。
また、前記透光層は0.1nm以上100nm未満の厚さを有することが好ましい。
また、前記有機物層は、前記第2電極からの電子注入を円滑にするために仕事関数の低い金属類およびこれらの複合物のうちいずれか1つをドープして形成した電子伝達層を含んでもよい。
ここで、前記仕事関数の低い金属類はCs、Li、Na、KおよびCaのうちいずれか1つを含んでもよい。
また、前記これらの複合物はLi−Al、LiF、CsFおよびCsCOのうちいずれか1つを含んでもよい。
また、本発明に係るTOLEDパネルは、波長(nm)に応じて70〜99%の透過率を示してもよい。
上記目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、制御部がタッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知する段階と、前記タッチパネルの電気信号が感知されると、前記タッチポイントに対応するTOLEDパネルの該当パネルに駆動電圧を印加して該当ピクセルを発光させる段階と、キーパッド情報がパターニングされた反射シートが前記TOLEDパネルの発光したピクセルに対応するキーパッド情報を反射させて表示する段階とを含んでなる、キーパッド制御方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明の他の実施例によれば、タッチパネルと、前記タッチパネルの下部に位置し、キーパッド情報がパターニングされ、発光したピクセルに対応する前記キーパッド情報を表示するOLEDパネルと、前記タッチパネルおよび前記OLEDパネルに電気的に接続され、前記タッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知して前記タッチポイントに対応する前記OLEDパネルの該当ピクセルを発光させる制御部とを含んでなる、キーパッド装置を提供する。ここで、前記OLEDパネルはTOLEDパネルを含んでもよい。
上記目的を達成するために、本発明の他の実施例によれば、制御部がタッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知する段階と、前記タッチパネルの電気信号が感知されると、前記タッチポイントに対応するOLEDパネルの該当ピクセルに駆動電圧を印加して該当ピクセルを発光させる段階と、キーパッド情報がパターニングされた前記OLEDパネルが、発光したピクセルに対応する前記キーパッド情報を表示する段階とを含んでなる、キーパッド制御方法を提供する。
上記目的を達成するための本発明の好適な実施例に係るモバイル機器、例えば携帯電話などの移動通信端末機、PMPなどは上述したキーパッド装置を備えてもよい。
その他の実施例の具体的な事項は詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0008】
上述した本発明によれば、OLEDまたはTOLED(透明なOLED)をキーパッドに適用することにより、携帯電話やPMPなどのモバイル機器製品の構造をスリム化およびコンパクト化することができる。
【0009】
また、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む透光層を有機物層と第2電極(カソード電極)との間および第2電極の上部のうち少なくとも1つに形成してTOLEDパネルを構成することにより、両面発光のTOLEDを実現すると同時に透過率を向上させることができる。
【0010】
また、透光層を酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む物質で構成することにより、第2電極の内部抵抗の増加を阻止することができて製品の電気的性能を向上させることができる。
本発明の効果は上記で言及した効果に限定されず、言及していない別の効果は請求の範囲の記載から当業者に明らかに理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係るキーパッド装置の要部を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るキーパッド装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係るキーパッド装置のタッチパッド未動作時の作動状態を説明するための例示図である。
【図4】本発明の一実施例に係るキーパッド装置のタッチパッド動作時の作動状態を説明するための例示図である。
【図5】本発明の一実施例に係るキーパッド装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施例に係るキーパッド装置の要部を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例に係るキーパッド装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施例に係るキーパッド装置のタッチパッド未動作時の作動状態を説明するための例示図である。
【図9】本発明の他の実施例に係るキーパッド装置のタッチパッド動作時の作動状態を説明するための例示図である。
【図10】本発明の他の実施例に係るキーパッド装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明に係るキーパッド装置のTOLEDパネルの構成を示す断面図である。
【図12】TOLEDパネルの透光層による透過率を示すグラフである。
【図13】TOLEDパネルの透光層による輝度を示すグラフである。
【図14】TOLEDパネルに酸化物系、塩類およびこれらの複合物でそれぞれ透光層を形成するときの透過率を示すグラフである。
【図15】本発明に係るキーパッド装置のTOLEDの製造方法を示す順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の利点、特徴およびこれらの達成方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると、さらに明らかになるであろう。ところが、本発明は、以下に開示する実施例に限定されず、互いに異なる様々な形態で実現できる。但し、本実施例は、本発明の開示を完全たるものにし且つ本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は請求の範囲の範疇によって定められる。明細書全体にわたって、同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例に係るキーパッド装置、これを備えるモバイル機器およびキーパッド制御方法を詳細に説明する。参考として、本発明を説明するにおいて、関連した公知の機能或いは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を無駄に乱すおそれがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
図1は本発明の一実施例に係るキーパッド装置の要部を示す分解斜視図、図2は本発明の一実施例に係るキーパッド装置の構成を示すブロック図である。
図1および図2に示すように、本発明の一実施例に係るキーパッド装置は、タッチパネル10、TOLEDパネル20、反射シート30および制御部40などを備える。
タッチパネル10は、ペンまたは手によって検光子が押圧され、その力で導電フィルムが押されてX−Y電極パターンと接触することにより、X−Y電極パターンの電圧差を検出する静電容量方式によってタッチポイントに対するシグナル電気信号を発生させる入力装置である。上述したタッチパネル10は、公知の技術であって理解できるので、詳細構成などは省略する。
タッチパネル10は、後述するTOLEDパネル20の駆動IC20aおよび制御部40と電気的に接続される。
タッチパネル10から発生する電気信号は、プログラムを行う制御部40を経て、前記タッチポイントに対応するTOLEDパネル20の該当ピクセルの電極を駆動する。
TOLED(Transparent Organic Light Emitting Diode)パネル20は、ITO透明陽電極上に正孔輸送層、発光層および電子輸送層をコートした後、透明陰電極を形成するためにMg:Ag(組成比5:95)を100Å以内に薄くコートした後、陰電極上に伝導度の補償、保護層の役割および透明度の維持のためのITO膜をコートして製造する透明なOLEDパネルである。上述したTOLEDパネル20は図11〜図15を参照して説明するときにさらに詳しく説明する。
TOLEDパネル20は、タッチパネル10の下部に位置し、タッチパネル10のタッチポイントに対応するピクセルが発光する。
TOLEDパネル20には、制御部40に連結される駆動IC20aが実装される。
反射シート30は、TOLEDパネル20の発光したピクセルに対応するキーパッドパターン30aの情報を反射させて表示するように、TOLEDパネル20の下部に位置する。例えば、携帯電話などの移動通信端末機の場合、キーパッド情報30aは、ハングルの子・母音、英語のアルファベット、数字、特殊文字などを含み、反射シート30にそれぞれの領域が区画されてパターニングできる。
制御部40は、タッチパネル10およびTOLEDパネル20に電気的に接続され、タッチパネル10のタッチポイントに対する電気信号を感知して前記タッチポイントに対応するTOLEDパネル20の該当ピクセルを発光させるようにTOLEDパネル20の駆動IC20aに電圧を印加する。
図面には示されていないが、本発明のモバイル機器は、キーパッド情報がパターニングされた薄い反射シート30の上部にTOLEDパネル20およびタッチパネル10を備えてTOLEDパネル20の発光したピクセルに対応するキーパッド情報を反射シート30が反射して表示する本発明の一実施例に係るキーパッド装置を備えることができる。したがって、TOLEDパネル20、およびキーパッド情報がパターニングされた反射シート30をキーパッドに適用することにより、携帯電話やPMPなどのモバイル機器製品の構造をスリム化およびコンパクト化することができる。
図3は本発明の一実施例に係るキーパッド装置のタッチパッド未動作時の作動状態を説明するための例示図、図4はキーパッド装置のタッチパッド動作時の作動状態を説明するための例示図、図5はキーパッド装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
キーパッド装置のタッチパネル10の未動作時、すなわち使用者がタッチパネル10をタッチしない場合には、タッチパネル10から電気信号が発生しないため、TOLEDパネル20の全体領域が発光しなくなって全体キーパッド情報が表示されない。或いは、図3に示すように、タッチパネル10から最小限の電気信号が発生してTOLEDパネル20の全体領域が弱く発光し、キーパッド情報がパターニングされた反射シート30によって全体キーパッド情報が反射されて弱く表示される。
図4および図5に示すように、使用者がタッチパネル10の所望のタッチポイントを押圧すると、タッチパネル10が動作してタッチポイントに関連する電気信号を発生させる。制御部40は、タッチパネル10のタッチポイントに対する電気信号の発生有無を感知する(S101)。より詳しくは、タッチパネル10はペンまたは手によって検光子が押圧され、その力で導電フィルムが押されてX−Y電極パターンと接触することにより、X−Y電極パターンの電圧差を検出する静電容量方式によってタッチポイントのシグナル電気信号を発生させる。こうして発生した電気信号はプログラムを行う制御部40で感知する。
次に、制御部40がタッチパネル10のタッチポイントに対する電気信号を感知すると、タッチポイントに対応するTOLEDパネル20の該当ピクセルに駆動電圧を印加して、タッチパネル10のタッチポイントに該当するTOLEDパネル20のピクセルのみを発光させる(S102)。
その後、キーパッド情報がパターニングされた反射シート30が、TOLEDパネル20の発光したピクセルに対応するキーパッド情報のみを反射させて明るく表示する(S103)。或いは、TOLEDパネル20の全体領域が弱く発光し、タッチされた該当ピクセル位置のみ明るく発光して、該当キーパッド情報のみを反射して明るく表示する。
図6は本発明の他の実施例に係るキーパッド装置の要部を示す分解斜視図、図7はキーパッド装置の構成を示すブロック図である。
図6および図7に示すように、本発明の他の実施例に係るキーパッド装置はタッチパネル10、OLED21および制御部40などを備える。
図6および図7において、反射シートを省略し、TOLEDパネルをOLEDパネルから構成する以外は、図1〜図5を参照して説明した本発明の一実施例と同様である。したがって、前記一実施例と同一の構成および作用についてはその詳細な説明を省略する。
OLED(Organic Light Emitting Diode)パネル21は、陰極と陽極から注入された電子と正孔(電子に対応する電荷を帯びた粒子)とが有機物内で結合して光を発生する自発光パネルであり、或いはその自発光現象を用いる有機発光ダイオードである。OLEDパネル21は、公知の技術であって理解できるので、その詳細構成などは省略する。
OLEDパネル21は、タッチパネル10のタッチポイントに対応するピクセルが発光し、発光したピクセルに対応するキーパッドパターン21aの情報を表示するようにタッチパネル10の下部に位置する。例えば、携帯電話などの移動通信端末機の場合、キーパッド情報は、ハングルの子・母音、英語のアルファベット、数字、特殊文字などを含み、OLEDパネル21にそれぞれの領域が区画されてパターニングできる。
OLEDパネル21には、後述の制御部40に連結される駆動IC20bが実装される。
制御部40は、タッチパネル10およびOLEDパネル21に電気的に接続され、タッチパネル10のタッチポイントに対する電気信号を感知して前記タッチポイントに対応するOLEDパネル21の該当ピクセルを発光させるようにOLEDパネル21の駆動IC20bに電圧を印加する。
図面には示されていないが、本発明のモバイル機器は、キーパッド情報がパターニングされたOLEDパネル21の上部にタッチパネル10を備え、OLEDパネル21の発光したピクセルに対応するキーパッド情報を表示する本発明の他の実施例に係るキーパッド装置を備えることができる。したがって、キーパッドがパターニングされたOLEDパネル21をキーパッドに適用することにより、携帯電話やPMPなどのモバイル機器製品の構造をスリム化およびコンパクト化することができる。
図8は本発明の他の実施例に係るキーパッド装置のタッチパッド未作動時の作動状態を説明するための例示図、図9はキーパッド装置のタッチパッド動作時の作動状態を説明するための例示図、図10はキーパッド装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
キーパッド装置のタッチパネル10の未動作時、すなわち使用者がタッチパネル10をタッチしない場合には、タッチパネル10から電気信号が発生しないため、OLEDパネル21の全体領域が発光しなくなって全体キーパッド情報が表示されない。或いは、図8に示すように、タッチパネル10から最小限の電気信号が発生してOLEDパネル21の全体領域が弱く発光し、OLEDパネル21にパターニングされた全体キーパッド情報が弱く表示される。
図9および図10に示すように、使用者がタッチパネル10の所望のタッチポイント位置を押圧すると、タッチパネル10が動作して、押圧されたタッチポイントに関連する電気信号を発生させる。制御部40は、タッチパネル10のタッチポイントに対する電気信号の発生有無を感知する(S201)。
次に、制御部40がタッチパネル10のタッチポイントに対する電気信号を感知すると、タッチポイントに対応するOLEDパネル21の該当ピクセルに駆動電圧を印加して、タッチパネル10のタッチポイントに該当するOLEDパネル21のピクセルのみを発光させる(S202)。
その後、キーパッド情報がパターニングされたOLEDパネル21が、発光したピクセルに対応するキーパッド情報のみを明るく表示する(S203)。或いは、OLEDパネル21の全体領域が弱く発光し、タッチされた該当ピクセル位置のみさらに明るく発光して、該当キーパッド情報のみを明るく表示する。
図11は本発明に係るキーパッド装置のTOLEDパネルの構成を示す断面図である。
図11に示すように、本発明に係るキーパッド装置のTOLEDパネル20は、基板100、第1電極110、第2電極120、有機物層130および透光層140などを含んでなってもよい。
基板100は、第1電極110、第2電極120、有機物層130および透光層140を支持する。基板100は、発光する光が透過し得るように透過性を有するガラス材質またはプラスチック材質のものを使用する。
第1電極120は、通常、下部電極とも呼び、基板100上に形成される。第1電極110は、陽極(+)としてのアノードであって、スパッタリング(sputtering)方式、イオンメッキ(ion plating)方式および電子銃(e−gun)などを用いた熱蒸着法によって基板100上に形成される。ここで、本発明の実施例に係る第1電極110は、透過性を有するリン錫酸化物(indium tin−oxide)電極を使用するが、透過性を有するリン亜鉛酸化物(indium zin−oxide)電極を使用することもできる。
第2電極120は、通常、第1電極110に対向する上部電極とも呼び、有機物130上に形成される。第2電極120は、陽極(+)たる第1電極110に相反した陰極(−)たるカソードである。第2電極120は、透過性を有する金属としての銀(Ag)、アルミニウム(Al)およびマグネシウム銀(Mg:Ag)合金の中から選ばれたいずれか1つで形成される。
有機物層130は、第1電極110と第2電極120との間に介在され、第1電極110と第2電極120間の通電によって発光する。有機物層130は、第1電極110と第2電極120間の通電によって発光するように、正孔注入層(hole injection layer:HIL)131、正孔伝達層(hole transporting layer:HTL)133、発光層(emissive layer:EML)135、電子伝達層(electron transporting layer:ETL)137および電子注入層(electron injection layer:EIL)139から構成される。
ここで、有機物層130は、スピンコーティング(spin coating)方式、熱蒸着(thermal evaporation)方式、スピンキャスティング(spin casting)方式、スパッタリング(sputtering)方式、電子ビーム蒸着(e−beam evaporation)方式およびCVD(chemical vapor deposition)方式などによって第1電極110と第2電極120との間に介在される。
正孔注入層131は、第1電極110からの正孔が注入される役割を果たし、正孔伝達層133は、正孔注入層131から注入された正孔が第2電極120の電子と出会うように正孔の移動路の役割を果たす。
電子注入層139は、第2電極120からの電子が注入される役割を果たし、電子伝達層137は、電子注入層139から注入された電子が、正孔伝達層133から移動する正孔と発光層135で出会うように、電子の移動路の役割を果たす。
電子伝達層137には、第2電極120からの電子注入を円滑にするために、仕事関数の低い金属類およびこれらの複合物のうちいずれか1つをドープして形成することができる。これは電子注入層139の有無を問わず全て適用可能である。
ここで、前記仕事関数の低い金属類はCs、Li、Na、K、Caなどを含むことができ、前記これらの複合物はLi−Al、LiF、CsF、CsCOなどを含むことができる。
一方、発光層135は、正孔伝達層133と電子伝達層137との間に介在され、正孔伝達層133からの正孔と電子伝達層137からの電子によって発光する。すなわち、発光層135はそれぞれ正孔伝達層133および電子伝達層137との界面で出会う正孔と電子によって発光するのである。
透光層140は、有機物層130と第2電極120との間および第2電極120の上部のうち少なくとも1つに形成できる。例えば、透光層140は第2電極120の上面および下面の両方ともに形成されてもよく、第2電極120の下面および上面のいずれか1つにのみ形成されてもよい。
以下、本実施例では、透光層140が第2電極120を挟んで上面および下面に形成される構成を例示したが、これに限定されず、第2電極120の下面および上面のいずれか1つにのみ形成される構成も同様に適用可能である。
透光層140は、有機物層130と第2電極120との間に形成される第1透光層141と、第2電極120の上部に形成される第2透光層142とを含むことができる。
好ましくは、第1透光層141は、有機物130の電子注入層139と第2電極120との間に形成されてもよく、電子注入層139自体に形成されてもよい。また、第2透光層142は第1透光層141に対向した第2電極120の上面に積層されてもよい。
ここで、透光層140は、第2電極120が透過性および高い透過率を同時に有することができるように機能する。そして、透光層140は、薄膜で形成されて第2電極120の面抵抗を減らすことにより、TOLEDパネル20の性能低下を阻止する。このような透光層140の特性については、後述の酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物を説明した後、図12〜図14を参照して詳細に説明する。
本発明の透光層140は、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含むことができる。
ここで、前記酸化物系はMoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、SrOなどを含むことができる。また、前記窒化物系はSiN、AINなどを含むことができる。また、前記塩類はCsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、ZnSeなどを含むことができる。
上述したように透光層140を構成する酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物を使用すると、図12〜図14に示すように、優れた透過率と輝度効果を示すので好ましいが、前述したような物質以外にも、第2電極120が透過性および高い透過率を同時に有することができるようにする物質はいずれも含まれる。
透光層140は、第1透光層141と第2透光層142が互いに同一の物質で構成されてもよく、互いに異なる物質で構成されてもよい。例えば、第1透光層141は酸化物系を含み、第2透光層142は窒化物系、塩類およびこれらの複合物を含んでもよい。或いは、第1透光層141は窒化物系を含み、第2透光層142は酸化物系、塩類およびこれらの複合物を含んでもよい。或いは、第1透光層141は塩類を含み、第2透光層142は酸化物系、窒化物系およびこれらの複合物を含んでもよい。
透光層140は0.1nm以上100nm未満の厚さを有することが好ましい。このような透光層140の厚さ数値の限定理由を例として説明すると、透光層140の厚さが0.1nm未満に小さくなる場合、透過率は増加するが、これに比例して抵抗も増加するので、TOLEDパネル20の性能が低下する。
これに対し、透光層140の厚さが100nm以上に大きくなる場合には、抵抗が減少して性能の低下は発生しないが、透光層140の厚さ増加に伴い透過率が減少する。本発明の実施例に係る透光層140は熱蒸着法によって形成されることが好ましい。
次に、図12〜図14に示すように、このような構成に対して本発明に係るTOLEDパネル20の特性を考察する。
図12は本発明のTOLEDパネル20に形成された透光層140の有無による透過率を示すグラフである。ここで、図12の「a」は透光層140がある本発明に係るTOLEDパネル20の線図であり、「b」は本発明とは異なり透光層140がないTOLEDパネル20の線図である。
本発明に係るTOLEDパネル20は波長(nm)に応じて70〜99%の透過率を示すことができる。例えば、図12に示すように、波長(nm)による透過率を考察すると、550nmで本発明に係るTOLEDパネル20の透過率は約80%を示し、透光層140がないTOLEDパネル20は約47%を示している。このような結果より、透光層140があるTOLEDパネル20の透過率は透光層140がないTOLEDパネル20に比べて1.7倍さらに高いことが分かる。
図13は透光層140の有無によるTOLEDパネル20の輝度を示すグラフである。図13に示した「c」は本発明に係るTOLEDパネル20の線図、「d」は透光層140がないTOLEDパネル20の線図である。
電圧(V)10Vによる輝度を考察すると、透光層140があるTOLEDパネル20は約25000を示し、透光層140がないTOLEDパネル20は約20000を示している。透光層140の有無によって輝度は1.25倍異なることが分かる。
次に、図14の「e」線図はMoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、SrOなどの酸化物系で形成された透光層140に対する透過率であり、「f」線図はCsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、ZnSeなどの塩類で形成された透光層140に対する透過率である。
図14に示すように、酸化物系から透光層140を形成する場合には約80%の透過率を有し、塩類から透光層140を形成する場合には約75%の透過率を有する。酸化物系を含む透光層140が塩類を含む透光層140に比べて5%程度高い透過率を有するが、その差が微々たるものなので、本発明の実施例のように酸化物系、塩類およびこれらの複合物を選択的に使用することが好ましい。
以下、このような本発明に係るTOLEDパネル20の製造方法を図15を参照して考察する。
まず、基板100上に陽極(+)としての第1電極110を形成する(S301)。
基板100上に第1電極110を形成した後、第1電極110上に有機物層130を形成する(S302)。ここで、第1電極110上の有機物層130は正孔注入層131、正孔伝達層133、発光層135、電子伝達層137および電子注入層139の順に形成する。
有機物層130上に第1透光層141を形成する(S303)。本発明の一実施例として、第1透光層141は酸化物系のMoO3、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeO、SrOなどを含むことができる。第1透光層141は抵抗および透過率を考慮して0.1nm以上100nm未満の厚さに形成する。
そして、第1透光層141上に第2電極120を形成する(S304)。第2電極120は陰極(−)であって、金属薄膜を使用する。第2電極120として使用される金属薄膜は銀(Ag)、アルミニウム(Al)およびマグネシウム銀(Mg:Ag)合金のうちいずれか1つで構成される。
第2電極120上に第2透光層142をさらに形成する(S305)。第2透光層142は「S303」段階のように酸化物系を含むことができる。ところが、第2電極120上に形成される第2透光層142は、SiN、AINなどの窒化物系、CsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsF、ZnSeなどの塩類、およびこれらの複合物を含むことができる。
よって、第2電極120を挟んで透光層140を形成して両面発光を実現し、透過率を向上させることができる。
また、透光層140を形成して第2電極120の厚さを調整することができ、これにより透過率および電気的性能を向上させることができる。
以上、添付図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想または必須的な特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解することができるであろう。したがって、上述した実施例は全ての面で例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと理解すべきである。本発明の範囲は前述した詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲によって定められ、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更または変形形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、TOLED(透明なOLED)を適用して製品の構造をスリム化およびコンパクト化することが可能なキーパッド構造を携帯電話などのモバイル機器に広く使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルの下部に位置するTOLEDパネルと、
前記タッチパネルおよび前記TOLEDパネルに電気的に接続され、前記タッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知して前記タッチポイントに対応する前記TOLEDパネルの該当ピクセルを発光させる制御部と、
前記TOLEDパネルの下部に位置し、キーパッド情報がパターニングされ、前記TOLEDパネルの発光したピクセルに対応する前記キーパッドを反射させて表示する反射シートとを含んでなることを特徴とする、キーパッド装置。
【請求項2】
前記TOLEDパネルは、
基板と、
前記基板上に形成される第1電極と、
前記第1電極上に形成される有機物層と、
前記有機物層上に形成される第2電極と、
前記有機物層と前記第2電極との間および前記第2電極の上部のうち少なくとも1つに形成され、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む透光層とを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載のキーパッド装置。
【請求項3】
前記酸化物系はMoO、ITO、IZO、IO、ZnO、TO、TiO、SiO、WO、Al、Cr、TeOおよびSrOのうちいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項2に記載のキーパッド装置。
【請求項4】
前記窒化物系はSiNおよびAINのいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項2に記載のキーパッド装置。
【請求項5】
前記塩類はCsCO、LiCO、KCO、NaCO、LiF、CsFおよびZnSeのうちいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項2に記載のキーパッド装置。
【請求項6】
前記透光層は0.1nm以上100nm未満の厚さを有することを特徴とする、請求項2に記載のキーパッド装置。
【請求項7】
前記有機物層は、前記第2電極からの電子注入を円滑にするために仕事関数の低い金属類およびこれらの複合物のうちいずれか1つをドープして形成した電子伝達層を含むことを特徴とする、請求項2に記載のキーパッド装置。
【請求項8】
前記仕事関数の低い金属類はCs、Li、Na、KおよびCaのいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載のキーパッド装置。
【請求項9】
前記これらの複合物はLi−Al、LiF、CsFおよびCsCOのうちいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載のキーパッド装置。
【請求項10】
前記TOLEDパネルは波長(nm)に応じて70〜99%の透過率を示すことを特徴とする、請求項2に記載のキーパッド装置。
【請求項11】
タッチパネルと、
前記タッチパネルの下部に位置し、キーパッド情報がパターニングされ、発光したピクセルに対応する前記キーパッド情報を表示するOLEDパネルと、
前記タッチパネルおよび前記OLEDパネルに電気的に接続され、前記タッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知して前記タッチポイントに対応する前記OLEDパネルの該当ピクセルを発光させる制御部とを含んでなることを特徴とする、キーパッド装置。
【請求項12】
前記OLEDパネルはTOLEDパネルを含むことを特徴とする、請求項11に記載のキーパッド装置。
【請求項13】
基板と、
前記基板上に形成される第1電極と、
前記第1電極上に形成される有機物層と、
前記有機物層上に形成される第2電極と、
前記有機物層と前記第2電極との間および前記第2電極の上部のうち少なくとも1つに形成され、酸化物系、窒化物系、塩類およびこれらの複合物のうちいずれか1つを含む透光層とを含んでなることを特徴とする、キーパッド装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1つのキーパッド装置を備えるモバイル機器。
【請求項15】
制御部がタッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知する段階と、
前記タッチパネルの電気信号が感知されると、前記タッチポイントに対応するTOLEDパネルの該当パネルに駆動電圧を印加して該当ピクセルを発光させる段階と、
キーパッド情報がパターニングされた反射シートが前記TOLEDパネルの発光したピクセルに対応するキーパッド情報を反射させて表示する段階とを含んでなることを特徴とする、キーパッド制御方法。
【請求項16】
制御部がタッチパネルのタッチポイントに対する電気信号を感知する段階と、
前記タッチパネルの電気信号が感知されると、前記タッチポイントに対応するOLEDパネルの該当ピクセルに駆動電圧を印加して該当ピクセルを発光させる段階と、
キーパッド情報がパターニングされた前記OLEDパネルが、発光したピクセルに対応する前記キーパッド情報を表示する段階とを含んでなることを特徴とする、キーパッド制御方法。
【請求項17】
前記OLEDパネルはTOLEDパネルを含むことを特徴とする、請求項16に記載のキーパッド制御方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−502387(P2012−502387A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526799(P2011−526799)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003821
【国際公開番号】WO2010/030074
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511062243)ネオビューコロン カンパニー,リミテッド (8)
【Fターム(参考)】