説明

クランプ機構

【課題】作業効率が向上し成型装置周辺に確保するスペースを小さくできるクランプ機構を提供すること。
【解決手段】クランプ機構2Aは、シャフト19とそのシャフト19に摺動自在に嵌挿されているスリーブ18aとの間に介在し、シャフト19とスリーブ18aを進退させるクランプ機構であって、支持板21、回転リンク22、揺動リンク23及び回転板24を備え、回転リンク22の基端部は支持坂21に回転可能に支持され、回転リンク22の端部は揺動リンク23の揺動端部と回転可能に連結されており、揺動リンク23の基端部は、回転板24の一端部と回転可能に連結されているとともにシャフト19の基端部と回転可能に連結され、回転板24の他端部が、連結部材41の先端部と回転可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、シャフトとスリーブを進退させるクランプ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水道等の水路を形成する管ブロックや、側溝を形成する側溝用ブロック等のコンクリート成型製品を成型する成型装置が知られている。
【0003】
このような成型装置には、特開2004−001568に示すように、中空部を形成するための中子のスペーサ部材を昇降させることができるようになっている成形装置や、特願2010−213576に示すように開口部を形成するための突起部を有する底板を昇降させることができる成型装置がある。
【0004】
上記成型装置は、中子のスペーサ部材及び突起部を有する底板の昇降を実現するために、シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、シャフトとスリーブを進退させるクランプ機構を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−001568
【特許文献2】特願2010−213576
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特開2004−001568や特願2010−213576のクランプ機構では、ハンドルを180度回転させる必要があるため、作業効率が悪くなるとともにハンドルが180度回転できるスペースを成型装置周辺に確保しなければならないという問題がある。
【0007】
上記点より本発明は、作業効率が向上し成型装置周辺に確保するスペースを小さくできるクランプ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため請求項1のクランプ機構は、シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、シャフトとスリーブを進退させるクランプ機構であって、支持板、回転リンク、揺動リンク及び回転板を備え、回転リンクの基端部は支持板に回転可能に支持され、回転リンクの端部は揺動リンクの揺動端部と回転可能に連結されており、揺動リンクの基端部は、回転板の一端部と回転可能に連結されているとともにシャフトの基端部と回転可能に連結され、回転板の他端部が、連結部材の先端部と回転可能に連結されている。
【0009】
請求項2のクランプ機構は、シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、シャフトとスリーブを進退させるクランプ機構であって、支持板、回転リンク、揺動リンク及び回転板を備え、回転リンクの基端部は支持板に回転可能に支持され、回転リンクの端部は揺動リンクの揺動端部と回転可能に連結されており、揺動リンクの基端部は、回転板の他端部と回転可能に連結されているとともに連結部材の先端部と回転可能に連結され、回転板の一端部が、シャフトの基端部と回転可能に連結されている。
【0010】
請求項3のクランプ機構は、シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、シャフトとスリーブを進退させるクランプ機構であって、支持板、回転リンク、揺動リンク及び回転板を備え、回転リンクの基端部は支持板に回転可能に支持され、回転リンクの端部は揺動リンクの揺動端部と回転可能に連結され、揺動リンクの基端部は、回転板の回転中心から離れた位置に回転可能に連結されており、回転板の一端部が、シャフトの基端部と回転可能に連結され、回転板の他端部が連結部材の先端部と回転可能に連結されている。
【0011】
請求項1乃至3のいずれかのクランプ機構によれば、上記構成となっていることにより、ハンドルの回転角度を180度より小さくすることができる。したがって、作業効率が向上し成型装置周辺に確保するスペースを小さくできる。さらに、ハンドルの回転角度が小さければ、作業中に回転したハンドルが作業者に衝突する可能性を減らすことができ、作業の安全性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンクリート成型製品の製造装置の側面図であって、一部を断面表示したものである。
【図2】コンクリート成型製品の製造装置の側面図であって、一部を断面表示したものである。
【図3】本発明の第一実施形態のクランプ機構の側面図であって、支持板の内側が見えるように一方の支持板を取り外した状態を示す。
【図4】図3に示すクランプ機構の一部の底面図である。
【図5】本発明の第二実施形態のクランプ機構の側面図であって、支持板の内側が見えるように一方の支持板を取り外した状態を示す。
【図6】本発明の第三実施形態のクランプ機構の側面図であって、支持板の内側が見えるように一方の支持板を取り外した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のクランプ機構が用いられるコンクリート成型装置の一例として、図1及び図2に示すような側溝を形成する側溝用ブロック等のコンクリート成型製品を成型する成型装置1がある。この成型装置1では、基台11とその基台11に設けられているコンクリート成形製品用の型枠とを備える。コンクリート成型製品用の型枠は、底板12と、周囲の枠板である一対の長手方向の側板(図1及び図2では省略)と、一対の前後端面の小口板13(図1及び図2では一方を省略)と、底板12及び周囲の枠板で形成する型枠空間内に配設される中子14とを有する。
【0014】
基台11には支柱15が立設固定されている。支柱15の上端に水平バー16が連設してあり、この水平バー16が中子14内に挿通された状態で係止される。中子14は支柱15を介して基台11に固定されている。
【0015】
底板12は、コンクリート成型製品100の開口部101を形成する突起部12aが上面に形成されており、底面から垂下板12bが延出している。垂下板12b,12bには後述するローラ17aが当接し、底板12を支承するようになっている。底板12は、垂直方向に昇降可能となっており、図1に示すように底板12の突起部12aが中子14と接触する位置まで上昇させたり、図2に示すように底板12の突起部12aがコンクリート成形製品100と干渉しない位置まで底板12を下降させたりすることができる。
【0016】
底板12の昇降は底板12の下方の基台11に設けられているリンク機構で行われる。このリンク機構は、底板12の垂下板12bを当接支承するローラ17aを有し、基台11に回動可能に軸支されているリンク板17を備える。
【0017】
リンク板17は、基台11に設けられている回動軸17bを中心に回動するようになっている。リンク板17の一端部にはローラ17aが取り付けられており、他端部は後述するスライダ部の一部であるスリーブ18a,18bと連結されている。
【0018】
リンク機構は、シャフト19と、このシャフト19にスリーブ18aが摺動自在に嵌挿されており、リンク板17と連結されている少なくとも1個のスライダ部と、シャフト19にスリーブ18bが固定されており、リンク板17と連結されている少なくとも1個のスライダ部と、スリーブ18a,18bとシャフト19との間に介在する進退機構として本発明のクランプ機構2Aとをさらに有する。
【0019】
以下、図3及び図4に示す本発明の第一実施形態のクランプ機構2Aについて説明する。図3の(a)、(b)は、後述する回転リンク22をハンドル25によって回転させる前の状態と後の状態をそれぞれ示す。
【0020】
クランプ機構2Aは、支持板21、回転リンク22、揺動リンク23及び回転板24を備える。
【0021】
図4に示すように、クランプ機構2Aは底面視で、一対の支持板21,21が所定間隔を置いて対向している。それらの支持板21,21の内側には一対の回転板24,24が所定間隔を置いて対向している。それらの回転板24,24の内側には一対の揺動リンク23,23が所定間隔を置いて対向している。それらの揺動リンク23,23の内側には、回転リンク22が配置されている。
【0022】
支持板21,21は、図3の側面視で略矩形の平板であり、前述の基台11に固定されている。支持板21には、回転リンク22を回転可能に支持するためのピン31が挿入される回転リンク用孔と、回転板24を回転可能に支持するためのピン34が挿入される回転板孔とが形成されている。
【0023】
回転リンク22は、側面視で略楕円状の平板であり、支持板21に回転可能に支持されている。回転リンク22の基部には、回転軸となるピン31が挿入される支持用孔が形成されている。回転リンク22は、回転リンク22の支持用孔と前述の支持板21の回転リンク用孔とを重合させた状態でピン31が挿入されることによって支持板21に回転可能に支持されている。ピン31には回転リンク33を回転させるためのハンドル25が取り付けられている。回転リンク22の端部には、回転軸となるピン32が挿入される揺動リンク用孔が形成されている。
【0024】
揺動リンク23は側面視で略凹状の平板である。揺動リンク23の揺動端部には、回転軸となるピン32が挿入される回転リンク用孔が形成されている。揺動リンク23は、回転リンク用孔と前述の回転リンク22の揺動リンク用孔とを重合させた状態でピン32が挿入されることによって回転リンク22と回転可能に連結されている。揺動リンク23の基端部には、回転軸となるピン33が挿入されるシャフト用孔が形成されている。
【0025】
回転板24は側面視で、略楕円状の平板であり、支持板21に回転可能に支持されている。回転板24は重心に支持用孔が形成されている。回転板24は、回転板24の支持用孔と前述の支持板21の回転板用孔とを重合させた状態でピン34が挿入されることによって支持板21に回転可能に支持されている。また、回転板24は、支持用孔と回転板24の一端部のとの間に、回転軸となるピン33が挿入される第一長孔が形成されており、支持用孔と回転板24の他端部のとの間に第二長孔が形成されている。
【0026】
シャフト19の基端部には軸受が設けられている。シャフト19は、この軸受の穴と揺動リンク23のシャフト用孔と回転板24の第一長孔とを重合させた状態でピン33が挿入されることによって、回転リンク22及び回転板24と回転可能に連結されている。
【0027】
スリーブ18aには、クランプ機構2Aに向って連結部材41が延設されている。この連結部材41の先端には、軸受が設けられている。連結部材41は、この軸受の穴と回転板24の第二長孔とを重合させた状態でピン35が挿入されることによって、回転板24と回転可能に連結されている。
【0028】
回転リンク22をハンドル25によって回転させると、揺動リンク23、回転板24、連結部材41が連動し、シャフト19及びスリーブ18bとスリーブ18aは相対横移動してリンク板17を回転させることができる。
【0029】
以下、図5に示す本発明の第二実施形態のクランプ機構2Bについて説明する。クランプ機構2Bは、前述のコンクリート成型製品を成型する成型装置1にスリーブ18a,18bとシャフト19との間に介在する進退機構として、第一実施形態のクランプ機構2Aの代わりに設けられる。図5の(a)、(b)は、後述する回転リンク22をハンドル25によって回転させる前の状態と後の状態をそれぞれ示す。
【0030】
第二実施形態のクランプ機構2Bは、支持板21、回転リンク22、揺動リンク23、回転板24及び連結部材41を備える。クランプ機構2Bは底面視で第一実施形態のクランプ機構2Aと同様の配置となっている。
【0031】
支持板21及び回転リンク22の説明については、第一実施形態のクランプ機構2Aと同一なので説明を省略する。
【0032】
揺動リンク23は側面視で略凹状の平板である。揺動リンク23の揺動端部には、回転軸となるピン32が挿入される回転リンク用孔が形成されている。揺動リンク23は、回転リンク用孔と前述の回転リンク22の揺動リンク用孔とを重合させた状態でピン32が挿入されることによって回転リンク22と回転可能に連結されている。揺動リンク23の基端部には、回転軸となるピン34が挿入される連結部材用孔が形成されている。
【0033】
回転板24は側面視で、略楕円状の平板であり、支持板21に回転可能に支持されている。回転板24は重心に支持用孔が形成されている。回転板24は、回転板24の支持用孔と前述の支持板21の回転板用孔とを重合させた状態でピン34が挿入されることによって支持板21に回転可能に支持されている。また、回転板24は、支持用孔と回転板24の一端部のとの間に、回転軸となるピン33が挿入される第一長孔が形成されており、支持用孔と回転板24の他端部のとの間に第二長孔が形成されている。
【0034】
シャフト19の基端部には軸受が設けられている。シャフト19は、この軸受の穴と回転板24の第一長孔とを重合させた状態でピン33が挿入されることによって、回転板24と回転可能に連結されている。
【0035】
スリーブ18aには、クランプ機構2Aに向って連結部材41が延設されている。この連結部材41の先端には、軸受が設けられている。連結部材41は、この軸受の穴と揺動リンク23の連結部材用孔と回転板24の第二長孔とを重合させた状態でピン35が挿入されることによって、回転板24と回転可能に連結されている。
【0036】
以下、図6に示す本発明の第三実施形態のクランプ機構2Cについて説明する。クランプ機構2Cは、前述のコンクリート成型製品を成型する成型装置1にスリーブ18a,18bとシャフト19との間に介在する進退機構として、第一実施形態のクランプ機構2Aの代わりに設けられる。図6の(a)、(b)は、後述する回転リンク22をハンドル25によって回転させる前の状態と後の状態をそれぞれ示す。
【0037】
第三実施形態のクランプ機構2Cは、支持板21、回転リンク22、揺動リンク23、回転板24及び連結部材41を備える。クランプ機構2Cは底面視で第一実施形態のクランプ機構2Aと同様の配置となっている。
【0038】
支持板21及び回転リンク22の説明については、第一実施形態のクランプ機構2Aと同一なので説明を省略する。
【0039】
揺動リンク23は側面視で略凹状の平板である。揺動リンク23の揺動端部には、回転軸となるピン32が挿入される回転リンク用孔が形成されている。揺動リンク23は、回転リンク用孔と前述の回転リンク22の揺動リンク用孔とを重合させた状態でピン32が挿入されることによって回転リンク22と回転可能に連結されている。揺動リンク23の基端部には、回転軸となるピン34が挿入される回転板用孔が形成されている。
【0040】
回転板24は側面視で、略楕円状の平板から延出片23aが延出している形状となっており、支持板21に回転可能に支持されている。回転板24は重心に支持用孔が形成されている。回転板24は、回転板24の支持用孔と前述の支持板21の回転板用孔とを重合させた状態でピン34が挿入されることによって支持板21に回転可能に支持されている。また、回転板24は、支持用孔と回転板24の一端部のとの間に、回転軸となるピン33が挿入される第一長孔が形成されており、支持用孔と回転板24の他端部のとの間に第二長孔が形成されている。さらに延出片23aには、回転軸となるピン36が挿入される揺動リンク用孔が形成されている。回転板24は、この揺動リンク用孔と回転板用孔とを重合させた状態でピン36が挿入されることによって、揺動リンク23と回転可能に連結されている。
【0041】
シャフト19の基端部には軸受が設けられている。シャフト19は、この軸受の穴と回転板24の第一長孔とを重合させた状態でピン33が挿入されることによって、回転板24と回転可能に連結されている。
【0042】
スリーブ18aには、クランプ機構2Aに向って連結部材41が延設されている。この連結部材41の先端には、軸受が設けられている。連結部材41は、この軸受の穴と回転板24の第二長孔とを重合させた状態でピン35が挿入されることによって、回転板24と回転可能に連結されている。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を図面に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の思想を逸脱することない範囲の他の実施の形態にも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 成型装置
2A,2B,2C クランプ機構
11 基台
12 底板
12a 突起部
12b 垂下板
13 小口板
14 中子
15 支柱
16 水平バー
17 リンク板
17a ローラ
17b 回動軸
18a,18b スリーブ
19 シャフト
21 支持板
22 回転リンク
22a 延出片
23 揺動リンク
24 回転板
25 ハンドル
31,32,33,34,35,36 ピン(回転軸)
41 連結部材
100 コンクリート成型製品
101 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、スリーブとシャフトを進退させるクランプ機構であって、
支持板、回転リンク、揺動リンク及び回転板を備え、
回転リンクの基端部は支持板に回転可能に支持され、回転リンクの端部は揺動リンクの揺動端部と回転可能に連結されており、
揺動リンクの基端部は、回転板の一端部と回転可能に連結されているとともにシャフトの基端部と回転可能に連結され、
回転板の他端部は、スリーブから延設されている連結部材の先端部と回転可能に連結されていることを特徴とするクランプ機構。
【請求項2】
シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、スリーブとシャフトを進退させるクランプ機構であって、
支持板、回転リンク、揺動リンク及び回転板を備え、
回転リンクの基端部は支持板に回転可能に支持され、回転リンクの端部は揺動リンクの揺動端部と回転可能に連結されており、
揺動リンクの基端部は、回転板の他端部と回転可能に連結されているとともにスリーブから延設されている連結部材の先端部と回転可能に連結され、
回転板の一端部が、シャフトの基端部と回転可能に連結されていることを特徴とするクランプ機構。
【請求項3】
シャフトとそのシャフトに摺動自在に嵌挿されているスリーブとの間に介在し、スリーブとシャフトを進退させるクランプ機構であって、
支持板、回転リンク、揺動リンク及び回転板を備え、
回転リンクの基端部は支持板に回転可能に支持され、回転リンクの端部は揺動リンクの揺動端部と回転可能に連結され、
揺動リンクの基端部は、回転板の回転中心から離れた位置に回転可能に連結されており、
回転板の一端部は、シャフトの基端部と回転可能に連結され、
回転板の他端部はスリーブから延設されている連結部材の先端部と回転可能に連結されていることを特徴とするクランプ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−67855(P2012−67855A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213750(P2010−213750)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(592011516)鶴田製作株式会社 (5)
【Fターム(参考)】