クランプ装置
【課題】コンパクトで高い性能を有し、優れた使用性や耐久性を備えたクランプ装置を提供する。
【解決手段】カム軸13を介して装置本体11に回転可能に支持されたカム12と、連結アーム15を介してカム12と連結するスライドバー14とを有する。カム12の回転によりスライドバー14が、ワークWに対して進退するようにストローク動作する.ストローク端付近でカム12がスライドバー14に圧接する。カム12はカム軸13を介して偏心支持され、カム軸13の偏心量に応じてカム12のスライドバー14に対する圧接力を調整可能とする。
【解決手段】カム軸13を介して装置本体11に回転可能に支持されたカム12と、連結アーム15を介してカム12と連結するスライドバー14とを有する。カム12の回転によりスライドバー14が、ワークWに対して進退するようにストローク動作する.ストローク端付近でカム12がスライドバー14に圧接する。カム12はカム軸13を介して偏心支持され、カム軸13の偏心量に応じてカム12のスライドバー14に対する圧接力を調整可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工工程等においてワークを固定(クランプ)し、あるいは各種の生産工程等において対象物を固定する場合等、ワークあるいは固定するためのクランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のクランプ装置は種々開発されており、用途等に応じて様々な仕様のものが用いられている。一般に操作用のハンドルとリンクやカムを介してハンドル操作で作動するクランプ板とを備え、クランプ板によってワークを固定するようになっている。その場合、ワークに対するクランプ板の作用の仕方に応じて横押し型、下方圧型あるいは引張り型等に分類されることがある。
【0003】
例えば従来技術の一例として特許文献1に開示されるトグルクランプでは、ハンドルレバーに窓孔を明け、基台ブラケットに一体に形成されたロックレバーホルダーに枢支した爪付きロックレバーをロック用ばねにより一方へ付勢し、クランプ時に爪付きロックレバーの爪が窓孔の端縁に弾性的に噛み合うようにしている。この例を始めとして極めて多様なクランプ装置が知られ、それぞれの特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−108593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術あるいは製品において、種々の問題等を有していた。即ち、使用回数を重ねると、装置構成部材を相互に結合するリベットの加締め部分が緩み、その結果有効に締付け力が効かなくなる場合がある。製品として均一な性能を確保するのが困難になり、品質不良等の原因になる。また、締付け力もしくは圧力を大きくしようとすると、ハンドル部の長さが長くなり、そのままでは製品が大型化せざるを得ない。
【0006】
更に、大型化するとその分だけより大きな作動スペースが必要になり、クランプ装置自体ばかりでなく、周辺装置等との配置関係で制約を受ける等の問題がある。また、クランプ装置として精度が要求される場合、そのために別の保持部品等が必要になり、装置の複雑化を招来する等の問題がある。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑み、コンパクトで高い性能を有し、優れた使用性や耐久性を備えたクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるクランプ装置は、カム軸を介して装置本体に回転可能に支持されたカムと、連結アームを介して前記カムと連結するスライドバーとを有し、前記カムの回転により前記スライドバーが、ワークに対して進退するようにストローク動作すると共に、そのストローク端付近で前記カムが前記スライドバーに圧接するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるクランプ装置において、前記カムはそのカム軸を介して偏心支持され、該カム軸の偏心量に応じて前記カムの前記スライドバーに対する圧接力を調整可能としたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明によるクランプ装置において、前記スライドバーのストローク端付近で前記連結アームに当接するストッパを有し、該ストッパの当接により前記連結アームを介して前記スライドバーを略圧接方向に付勢するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明によるクランプ装置において、前記スライドバーが直線的に動作するようにスライドガイドするガイド手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるクランプ装置において、前記スライドバーの後退側ストローク端付近で該スライドバーの前端部が浮上するように付勢する弾機手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スライドバーによりワークを的確にクランプし、そのクランプ状態に安定保持することができる。その場合、カム軸の偏心量の大小を適宜設定することで、カムのスライドバーに対する圧接力を調整することができ、即ちカム作用の効きの強弱を調整することができる。装置全体として極めてコンパクトに構成され、使用性に優れていると共に、高い耐久性を有している。
【0014】
更に、カム軸及び連結ピンのそれぞれ軸心の配列状態を好適に設定することで、スライドバーを所謂二重ロック状態にすることができる。これにより、装置に対して外力等が作用した場合でもワークをより安定且つ確実にクランプ固定することができる。従って、装置の高い信頼性を保証することができる等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の斜視図である。
【図3】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の側面図である。
【図4】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の平面図である。
【図5】本発明によるクランプ装置の要部構成を示す斜視図である。
【図6】本発明によるクランプ装置における作用を示す側面図である。
【図7】本発明によるクランプ装置における二重ロック作用を示す側面図である。
【図8】本発明によるクランプ装置におけるその他の作用等を示す側面図である。
【図9】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態の斜視図である。
【図10】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態の側面図である。
【図11】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態における作用を示すそれぞれ側面図である。
【図12】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態の変形例における構成例及び作用を示すそれぞれ側面図である。
【図13】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態の斜視図である。
【図14】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態の側面図である。
【図15】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態の背面図である。
【図16】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態における作用を示すそれぞれ側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明によるクランプ装置の好適な実施の形態を説明する。
図1及び図2は、この実施形態に係るクランプ装置10の例を示している。本実施形態において、例えば各種の機械加工工程等においてワークWをクランプして固定する際に使用するものとする。また、この例ではクランプ装置10は特に横押し型とし、ワークWを側方から押圧してクランプするものとする。なお、これは本発明装置の一例を示すものであり、後述するようにその他の変形例も可能である。
【0017】
ワークWは加工装置(図示せず)の所定位置にセットされ、その加工中、クランプ装置10によって堅固且つ安定保持される。その際、クランプ装置10はワークWの比較的至近位置に配置され、加工装置のフレーム適所等に固定される。クランプ装置10の基本構成において、装置本体11にカム軸13を介して回転可能に支持されたカム12と、連結アーム15を介してカム12と連結するスライドバー14とを有している。そして、カム12の回転(図1及び図2、矢印A)によりスライドバー14が、ワークWに対して進退(図1及び図2、矢印B)するようにストローク動作すると共に、そのストローク端付近でカム12がスライドバー14に圧接するようになっている。
【0018】
クランプ装置10の更に具体的構成において、装置本体11のベース16上において、互いに対向する一対のサイドガイド17が立設し、サイドガイド17相互間にはカム12等を収容する比較的小幅の収容スペースが形成される(図4をも参照)。この収容スペースの底面は図3に示されるように、スライドバー14がストローク動作する際に摺接するスライドガイド面18として形成されている。なお、ベース16には複数のボルト穴16a(長穴であってよい)が穿設され、これらのボルト穴16aに挿通させたボルト(図示せず)により加工装置のフレーム等に締着固定される。
【0019】
カム12は円筒状外周面を有し、この外周面の一部にてスライドバー14に圧接する。カム12はカム軸13のまわりに回転可能に支持されるが、カム軸13はカム12の円筒円周に対して偏心している。このようにカム軸13が偏心していることで、カム12の回転に伴い所定の回転位置でスライドバー14と圧接し、またカム軸13の偏心量等に応じてカム12のスライドバー14に対する圧接力を調整可能である。
【0020】
この実施形態におけるクランプ装置10は前述したように、ワークWを側方から押圧する横押し型であり、図1等に示すようにカム12の回転により装置本体11から伸長したスライドバー14がワークWに押圧する。なお、スライドバー14の先端にはパッド19を付設し、このパッド19が直接ワークWに当接するようにするとよい。また、カム12には適度な長さのハンドル20が取り付けられており、ハンドル20の操作によりカム12を回転することができる。図1等にはクランプ時の状態が示されているが、アンクランプ時にはハンドル20は図1の状態とは反対側へ回り込んでいる。
【0021】
ここで、クランプ装置10の要部構成を示す図5をも参照する。この実施形態ではスライドバー14は矩形断面を有し、また、カム12が圧接係合可能な平坦な係合面14aを有する。この係合面14aは、一段低く(薄く)形成された段部に設けられる。カム12とスライドバー14を連結する連結アーム15は、それぞれに形成された溝部21,22内に収容される。連結アーム15はその両端にて、連結ピン23,24を介してカム12及びスライドバー14にそれぞれピン結合する。
【0022】
スライドバー14は上述のように段状(この例では2段)に形成されるが、上段部及び下段部に摺接してそれらの部位をガイドするガイドピン25,26が設けられる。なお、上述した係合面14aは、下段部側に形成される。これらのガイドピン25,26により、スライドバー14がストローク動作する際にガタつかないように(特に上下方向)スライドバー14の動作をガイド規制する。また、スライドバー14がストローク動作する際、そのストローク前端付近で連結アーム15に当接するストッパ27が設けられている。
【0023】
上記構成において、ワークWをクランプする際クランプ装置10は先ず、アンクランプ状態にしておき、このときハンドル20は図6に示すように本実施形態ではクランプ装置10の左側に配置されているワークW側へ回り込んでいる(位置(ア))。また、このときスライドバー14は装置本体11内へ収縮し、即ちワークWからは後退している。このアンクランプ状態からハンドル20を図6において(ア)〜(ウ)のように時計方向に回動させることで、スライドバー14は連結アーム15を介して、最終的にワークW側へ伸長する。
【0024】
この間の動作を更に具体的に説明すると、ハンドル20の回動によるカム12の回転に伴い、連結ピン23は位置(ア)〜(ウ)のように略円弧運動する。この連結ピン23の動作に伴い、連結アーム15は連結ピン23により付勢され、連結アーム15が更にスライドバー14を付勢する。この場合、スライドバー14はガイドピン25,26により、ストローク動作方向にガイド規制されており、スライドバー14自体はワークWに対して前進しながら装置本体11から伸長するように直線運動する。カム12は前述ようにカム軸13を介して偏心支持されおり、所定角度回転するとカム12がスライドバー14の係合面14aに圧接し始め、即ち両者の係合によりカム作用が効き始める。
【0025】
この場合、カム12とカム軸13との偏心量の大小等との関係にもよるが、スライドバー14の前進ストローク端付近でカム12とスライドバー14とが圧接係合し、これにより両者相互間をロック状態にすることができる。これにより、前進したスライドバー14によるワークWに対するクランプ固定を安定保持することができる。また、カム軸13の偏心量の大小を適宜設定することで、カム12のスライドバー14の係合面14aに対する圧接力を調整することができ、即ちカム作用の効きの強弱を調整することができる。
【0026】
ワークWをクランプした際にはスライドバー14は略前進ストローク端付近(図6の位置(ウ))に位置しており、上述のようにカム12がスライドバー14に圧接係合することで、図7に示したようにスライドバー14に対して下方への押圧力F1が働く。このとき図7に示されるように連結アーム15はストッパ27に近接し、又は略当接状態となっている。カム12を更に矢印C方向に回転させることで、カム軸13及び連結ピン23,24のそれぞれ軸心O1,O2,O3の配列状態を角度180°を乗り越して、図示のように180°以上の角度の配列状態にすることができる。
【0027】
上記のようにカム軸13及び連結ピン23,24を180°以上の配列状態にすることで、スライドバー14に対して図7において外力F2が作用した場合、スライドバー14を略圧接方向に更に付勢することが可能である。ワークWをクランプしているスライドバー14に対して、例えばワークW側からスライドバー14を後退方向に押し返す外力F2(反力)が作用したとする。このとき、上述のようにカム軸13及び連結ピン23,24の配列状態が180°以上に設定されていると共に、連結アーム15はストッパ27によって位置規制されている。そして、スライドバー14は連結アーム15を上方へ付勢すると同時に、連結アーム15からその反力を受け、その結果、スライドバー14に対して下方への押圧力F3が働く。この押圧力F3は、上述の押圧力F1と相俟ってカム12及びスライドバー14間のロック状態を強化するように働き、このような外力F2が作用した場合でもワークWをより安定且つ確実にクランプ固定することができる。
【0028】
ここで、カム12、スライドバー14及び連結アーム15の相互関係について更に説明する。図8において、カム12の直径D、軸心Oとし、カム軸13の軸心O1は軸心Oに対して寸法E(以下、単に「E」とのみ記す)及びFだけ偏心している。このように寸法設定したカム機構において、カム効き代αは、α=G−Hで与えられる。この場合、E及びFの比率を変えることで、カム効き代αを増減調整することができる。
【0029】
また、直径D、連結ピン23の位置を規定するI及びJの比率を変えることで、スライドバー14のストロークStを自由に変更設定することができる。なお、このストロークStは、St≒2(I−E)で与えられる。
更に、直径D自体を変えることで、それに伴い上記各寸法パラメータを変化させ、クランプ装置10の大小サイズを変更することができる。
【0030】
また、カム12を回転させるとスライドバー14がカム12によって下方に押圧され、スライドバー14は装置本体11のスライドガイド面18と接する。これにより常にカム12を効かせる状態にすることができ、クランプ装置10を適正且つ高精度に安定動作させることができる。なお、カム12及びスライドバー14相互間等のように互いに摺接し合う部材同士の磨耗を最小限に抑えるために、それらの部材に熱処理等を施し、あるいは硬度を有する材料を使用するとよい。
【0031】
次に、本発明のクランプ装置の第2の実施形態を説明する。なお、上述の実施形態の場合と実質的に同一又は対応する部材には同一符号を用いる。図9〜図12は、第2の実施形態によるクランプ装置10を示している。この例は所謂、下方圧型であり、ワークWを上方から下方へ押圧してクランプするものとする。
ここで一般に、この下方圧型タイプの場合ワーククランプ時ワークから上方への反力が作用し、クランプバーやハンドル等を結合しているリベットに反力による負荷荷重が掛かる。そして、使用頻度が増すに従い、リベット部に緩みが発生し、ガタつき等が生じた場合そのままでは適正にクランプするのが困難になってしまう。
【0032】
第2の実施形態のクランプ装置10においてその基本構成は、上述した実施形態と同様である。なお、この例ではベース16の一部を下方へ延出させ、この延出部16cに設けたボルト穴16aにボルトを挿通させることで、クランプ装置10を加工装置側に締着固定することができる。特に第2の実施形態において、スライドバー14はワークWに対して進退するストローク動作、即ち平行移動だけでなく上下運動を加えてスライド可能としている。具体的には図9及び図10において、一方のガイドピン25の位置を適度に上方にずらし、これによりスライドバー14が後退した際(アンクランプ時)特に上下方向の自由度を拡大することができる。
【0033】
この例では更に、ガイドピン25の下方であって、スライドバー14の下側に圧縮コイルスプリング28でなる弾機手段を装着し、スライドバー14を上方へ付勢するようにしている。また、装置本体11のスライドガイド面18において、スライドバー14の後退ストローク側の端部に切欠き29を設け、これによりスライドバー14の先端側が上方へ傾斜するのを許容することができるようになっている。
【0034】
第2の実施形態に係るクランプ装置10において、ワークWをクランプする際先ず、アンクランプ状態でハンドル20を回動することで、図10(a)のようにスラドバー14はワークWに対して前進する。このときスライドバー14はその下側から圧縮コイルスプリング28によって上方へ付勢され、先端側が一旦矢印のように持ち上がる。この場合、上述のようにスライドガイド面18に切欠き29を設けているので、スライドバー14の先端側を無理なく上方へ移動させることができる。スライドバー14はその後更に前進しつつ、カム12によって下方に押圧され、最終的には図10(b)のようにワークWを下方へ押圧してクランプすることができる。
【0035】
第2の実施形態のクランプ装置10によれば、スライドバー14は単にワークW側へ前進するばかりでなく、クランプする際前進しながら下方へ押圧する作用を有している。この場合、上述のように前方へ押しながら一旦先端側が上方へ移動し、その後下方へと移動するためワークWとの間でこじれやひっかかり等を発生することなく、即ち円滑にクランプ機能を発揮させることが可能になる。
【0036】
ここで、第2の実施形態のクランプ装置10において、スライドバー14を上方へ付勢する弾機手段として、図12に示すように板バネ30をスライドバー14の下側に装着する構成でもよい。板バネ30は圧縮コイルスプリング28の場合と実質的に同様に作用する。例えばクランプ状態からアンクランプ状態に移行する際、図12(a)〜(c)に示されるようにスライドバー14がワークWから後退する際、スライドバー14の先端側が板バネ30によって一旦上方へ押し上げられる。
【0037】
更に、本発明のクランプ装置の第3の実施形態を説明する。なお、上述の実施形態の場合と実質的に同一又は対応する部材には同一符号を用いる。図13〜図15は、第3の実施形態によるクランプ装置10を示している。この例は所謂、引張り型であり、ワークWを手前側へ引っ張ってクランプするものとする。第3の実施形態は、前述した第1の実施形態の場合のカム12を反転して使用することで、引張り型に転換したものである。
【0038】
クランプ装置10の基本構成は実質的に第1の実施形態のものと同様であり、装置本体11にカム軸13を介して回転可能に支持されたカム12と、連結アーム15を介してカム12と連結するスライドバー14とを有している。ベース16上に対向して立設された一対のサイドガイド17を有し、スライドバー14はスライドガイド面18上をストローク動作する。スライドバー14の先端にはフック19′を付設し、このフック19′がワークWに引っ掛かるようにする。その他の構成についても第1の実施形態のものと同様である。
【0039】
第3の実施形態のクランプ装置10において、ワークWをクランプする際クランプ装置10は先ず、アンクランプ状態にしておき、このときハンドル20は図16(a)に示すようにワークWとは反対側へ回り込んでいる。また、このときスライドバー14は装置本体11から伸長し、即ちワークW側へ接近している。このアンクランプ状態からハンドル20を図16(a)の矢印のように反時計方向に回動させることで、スライドバー14は連結アーム15を介して、ワークWから後退する。図14にも示すように最終的に所定ストロークSt移動することで、ワークWを所定荷重で引張り固定することができる。
【0040】
なお、第3の実施形態の場合においてもワークWのクランプ時、連結アーム15をストッパ27に対して更に上方へ付勢することで二重ロック状態とし、これによりワークWをより安定且つ確実にクランプ固定することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 クランプ装置、12 カム、13 カム軸、14 スライドバー、15 連結アーム、16 ベース、17 サイドガイド、18 スライドガイド面、20 ハンドル、21,22 溝部、23,24 連結ピン、25,26 ガイドピン、W ワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工工程等においてワークを固定(クランプ)し、あるいは各種の生産工程等において対象物を固定する場合等、ワークあるいは固定するためのクランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のクランプ装置は種々開発されており、用途等に応じて様々な仕様のものが用いられている。一般に操作用のハンドルとリンクやカムを介してハンドル操作で作動するクランプ板とを備え、クランプ板によってワークを固定するようになっている。その場合、ワークに対するクランプ板の作用の仕方に応じて横押し型、下方圧型あるいは引張り型等に分類されることがある。
【0003】
例えば従来技術の一例として特許文献1に開示されるトグルクランプでは、ハンドルレバーに窓孔を明け、基台ブラケットに一体に形成されたロックレバーホルダーに枢支した爪付きロックレバーをロック用ばねにより一方へ付勢し、クランプ時に爪付きロックレバーの爪が窓孔の端縁に弾性的に噛み合うようにしている。この例を始めとして極めて多様なクランプ装置が知られ、それぞれの特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−108593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術あるいは製品において、種々の問題等を有していた。即ち、使用回数を重ねると、装置構成部材を相互に結合するリベットの加締め部分が緩み、その結果有効に締付け力が効かなくなる場合がある。製品として均一な性能を確保するのが困難になり、品質不良等の原因になる。また、締付け力もしくは圧力を大きくしようとすると、ハンドル部の長さが長くなり、そのままでは製品が大型化せざるを得ない。
【0006】
更に、大型化するとその分だけより大きな作動スペースが必要になり、クランプ装置自体ばかりでなく、周辺装置等との配置関係で制約を受ける等の問題がある。また、クランプ装置として精度が要求される場合、そのために別の保持部品等が必要になり、装置の複雑化を招来する等の問題がある。
【0007】
本発明はかかる実情に鑑み、コンパクトで高い性能を有し、優れた使用性や耐久性を備えたクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるクランプ装置は、カム軸を介して装置本体に回転可能に支持されたカムと、連結アームを介して前記カムと連結するスライドバーとを有し、前記カムの回転により前記スライドバーが、ワークに対して進退するようにストローク動作すると共に、そのストローク端付近で前記カムが前記スライドバーに圧接するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるクランプ装置において、前記カムはそのカム軸を介して偏心支持され、該カム軸の偏心量に応じて前記カムの前記スライドバーに対する圧接力を調整可能としたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明によるクランプ装置において、前記スライドバーのストローク端付近で前記連結アームに当接するストッパを有し、該ストッパの当接により前記連結アームを介して前記スライドバーを略圧接方向に付勢するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明によるクランプ装置において、前記スライドバーが直線的に動作するようにスライドガイドするガイド手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明によるクランプ装置において、前記スライドバーの後退側ストローク端付近で該スライドバーの前端部が浮上するように付勢する弾機手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スライドバーによりワークを的確にクランプし、そのクランプ状態に安定保持することができる。その場合、カム軸の偏心量の大小を適宜設定することで、カムのスライドバーに対する圧接力を調整することができ、即ちカム作用の効きの強弱を調整することができる。装置全体として極めてコンパクトに構成され、使用性に優れていると共に、高い耐久性を有している。
【0014】
更に、カム軸及び連結ピンのそれぞれ軸心の配列状態を好適に設定することで、スライドバーを所謂二重ロック状態にすることができる。これにより、装置に対して外力等が作用した場合でもワークをより安定且つ確実にクランプ固定することができる。従って、装置の高い信頼性を保証することができる等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の斜視図である。
【図3】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の側面図である。
【図4】本発明によるクランプ装置の第1の実施形態の平面図である。
【図5】本発明によるクランプ装置の要部構成を示す斜視図である。
【図6】本発明によるクランプ装置における作用を示す側面図である。
【図7】本発明によるクランプ装置における二重ロック作用を示す側面図である。
【図8】本発明によるクランプ装置におけるその他の作用等を示す側面図である。
【図9】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態の斜視図である。
【図10】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態の側面図である。
【図11】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態における作用を示すそれぞれ側面図である。
【図12】本発明によるクランプ装置の第2の実施形態の変形例における構成例及び作用を示すそれぞれ側面図である。
【図13】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態の斜視図である。
【図14】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態の側面図である。
【図15】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態の背面図である。
【図16】本発明によるクランプ装置の第3の実施形態における作用を示すそれぞれ側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明によるクランプ装置の好適な実施の形態を説明する。
図1及び図2は、この実施形態に係るクランプ装置10の例を示している。本実施形態において、例えば各種の機械加工工程等においてワークWをクランプして固定する際に使用するものとする。また、この例ではクランプ装置10は特に横押し型とし、ワークWを側方から押圧してクランプするものとする。なお、これは本発明装置の一例を示すものであり、後述するようにその他の変形例も可能である。
【0017】
ワークWは加工装置(図示せず)の所定位置にセットされ、その加工中、クランプ装置10によって堅固且つ安定保持される。その際、クランプ装置10はワークWの比較的至近位置に配置され、加工装置のフレーム適所等に固定される。クランプ装置10の基本構成において、装置本体11にカム軸13を介して回転可能に支持されたカム12と、連結アーム15を介してカム12と連結するスライドバー14とを有している。そして、カム12の回転(図1及び図2、矢印A)によりスライドバー14が、ワークWに対して進退(図1及び図2、矢印B)するようにストローク動作すると共に、そのストローク端付近でカム12がスライドバー14に圧接するようになっている。
【0018】
クランプ装置10の更に具体的構成において、装置本体11のベース16上において、互いに対向する一対のサイドガイド17が立設し、サイドガイド17相互間にはカム12等を収容する比較的小幅の収容スペースが形成される(図4をも参照)。この収容スペースの底面は図3に示されるように、スライドバー14がストローク動作する際に摺接するスライドガイド面18として形成されている。なお、ベース16には複数のボルト穴16a(長穴であってよい)が穿設され、これらのボルト穴16aに挿通させたボルト(図示せず)により加工装置のフレーム等に締着固定される。
【0019】
カム12は円筒状外周面を有し、この外周面の一部にてスライドバー14に圧接する。カム12はカム軸13のまわりに回転可能に支持されるが、カム軸13はカム12の円筒円周に対して偏心している。このようにカム軸13が偏心していることで、カム12の回転に伴い所定の回転位置でスライドバー14と圧接し、またカム軸13の偏心量等に応じてカム12のスライドバー14に対する圧接力を調整可能である。
【0020】
この実施形態におけるクランプ装置10は前述したように、ワークWを側方から押圧する横押し型であり、図1等に示すようにカム12の回転により装置本体11から伸長したスライドバー14がワークWに押圧する。なお、スライドバー14の先端にはパッド19を付設し、このパッド19が直接ワークWに当接するようにするとよい。また、カム12には適度な長さのハンドル20が取り付けられており、ハンドル20の操作によりカム12を回転することができる。図1等にはクランプ時の状態が示されているが、アンクランプ時にはハンドル20は図1の状態とは反対側へ回り込んでいる。
【0021】
ここで、クランプ装置10の要部構成を示す図5をも参照する。この実施形態ではスライドバー14は矩形断面を有し、また、カム12が圧接係合可能な平坦な係合面14aを有する。この係合面14aは、一段低く(薄く)形成された段部に設けられる。カム12とスライドバー14を連結する連結アーム15は、それぞれに形成された溝部21,22内に収容される。連結アーム15はその両端にて、連結ピン23,24を介してカム12及びスライドバー14にそれぞれピン結合する。
【0022】
スライドバー14は上述のように段状(この例では2段)に形成されるが、上段部及び下段部に摺接してそれらの部位をガイドするガイドピン25,26が設けられる。なお、上述した係合面14aは、下段部側に形成される。これらのガイドピン25,26により、スライドバー14がストローク動作する際にガタつかないように(特に上下方向)スライドバー14の動作をガイド規制する。また、スライドバー14がストローク動作する際、そのストローク前端付近で連結アーム15に当接するストッパ27が設けられている。
【0023】
上記構成において、ワークWをクランプする際クランプ装置10は先ず、アンクランプ状態にしておき、このときハンドル20は図6に示すように本実施形態ではクランプ装置10の左側に配置されているワークW側へ回り込んでいる(位置(ア))。また、このときスライドバー14は装置本体11内へ収縮し、即ちワークWからは後退している。このアンクランプ状態からハンドル20を図6において(ア)〜(ウ)のように時計方向に回動させることで、スライドバー14は連結アーム15を介して、最終的にワークW側へ伸長する。
【0024】
この間の動作を更に具体的に説明すると、ハンドル20の回動によるカム12の回転に伴い、連結ピン23は位置(ア)〜(ウ)のように略円弧運動する。この連結ピン23の動作に伴い、連結アーム15は連結ピン23により付勢され、連結アーム15が更にスライドバー14を付勢する。この場合、スライドバー14はガイドピン25,26により、ストローク動作方向にガイド規制されており、スライドバー14自体はワークWに対して前進しながら装置本体11から伸長するように直線運動する。カム12は前述ようにカム軸13を介して偏心支持されおり、所定角度回転するとカム12がスライドバー14の係合面14aに圧接し始め、即ち両者の係合によりカム作用が効き始める。
【0025】
この場合、カム12とカム軸13との偏心量の大小等との関係にもよるが、スライドバー14の前進ストローク端付近でカム12とスライドバー14とが圧接係合し、これにより両者相互間をロック状態にすることができる。これにより、前進したスライドバー14によるワークWに対するクランプ固定を安定保持することができる。また、カム軸13の偏心量の大小を適宜設定することで、カム12のスライドバー14の係合面14aに対する圧接力を調整することができ、即ちカム作用の効きの強弱を調整することができる。
【0026】
ワークWをクランプした際にはスライドバー14は略前進ストローク端付近(図6の位置(ウ))に位置しており、上述のようにカム12がスライドバー14に圧接係合することで、図7に示したようにスライドバー14に対して下方への押圧力F1が働く。このとき図7に示されるように連結アーム15はストッパ27に近接し、又は略当接状態となっている。カム12を更に矢印C方向に回転させることで、カム軸13及び連結ピン23,24のそれぞれ軸心O1,O2,O3の配列状態を角度180°を乗り越して、図示のように180°以上の角度の配列状態にすることができる。
【0027】
上記のようにカム軸13及び連結ピン23,24を180°以上の配列状態にすることで、スライドバー14に対して図7において外力F2が作用した場合、スライドバー14を略圧接方向に更に付勢することが可能である。ワークWをクランプしているスライドバー14に対して、例えばワークW側からスライドバー14を後退方向に押し返す外力F2(反力)が作用したとする。このとき、上述のようにカム軸13及び連結ピン23,24の配列状態が180°以上に設定されていると共に、連結アーム15はストッパ27によって位置規制されている。そして、スライドバー14は連結アーム15を上方へ付勢すると同時に、連結アーム15からその反力を受け、その結果、スライドバー14に対して下方への押圧力F3が働く。この押圧力F3は、上述の押圧力F1と相俟ってカム12及びスライドバー14間のロック状態を強化するように働き、このような外力F2が作用した場合でもワークWをより安定且つ確実にクランプ固定することができる。
【0028】
ここで、カム12、スライドバー14及び連結アーム15の相互関係について更に説明する。図8において、カム12の直径D、軸心Oとし、カム軸13の軸心O1は軸心Oに対して寸法E(以下、単に「E」とのみ記す)及びFだけ偏心している。このように寸法設定したカム機構において、カム効き代αは、α=G−Hで与えられる。この場合、E及びFの比率を変えることで、カム効き代αを増減調整することができる。
【0029】
また、直径D、連結ピン23の位置を規定するI及びJの比率を変えることで、スライドバー14のストロークStを自由に変更設定することができる。なお、このストロークStは、St≒2(I−E)で与えられる。
更に、直径D自体を変えることで、それに伴い上記各寸法パラメータを変化させ、クランプ装置10の大小サイズを変更することができる。
【0030】
また、カム12を回転させるとスライドバー14がカム12によって下方に押圧され、スライドバー14は装置本体11のスライドガイド面18と接する。これにより常にカム12を効かせる状態にすることができ、クランプ装置10を適正且つ高精度に安定動作させることができる。なお、カム12及びスライドバー14相互間等のように互いに摺接し合う部材同士の磨耗を最小限に抑えるために、それらの部材に熱処理等を施し、あるいは硬度を有する材料を使用するとよい。
【0031】
次に、本発明のクランプ装置の第2の実施形態を説明する。なお、上述の実施形態の場合と実質的に同一又は対応する部材には同一符号を用いる。図9〜図12は、第2の実施形態によるクランプ装置10を示している。この例は所謂、下方圧型であり、ワークWを上方から下方へ押圧してクランプするものとする。
ここで一般に、この下方圧型タイプの場合ワーククランプ時ワークから上方への反力が作用し、クランプバーやハンドル等を結合しているリベットに反力による負荷荷重が掛かる。そして、使用頻度が増すに従い、リベット部に緩みが発生し、ガタつき等が生じた場合そのままでは適正にクランプするのが困難になってしまう。
【0032】
第2の実施形態のクランプ装置10においてその基本構成は、上述した実施形態と同様である。なお、この例ではベース16の一部を下方へ延出させ、この延出部16cに設けたボルト穴16aにボルトを挿通させることで、クランプ装置10を加工装置側に締着固定することができる。特に第2の実施形態において、スライドバー14はワークWに対して進退するストローク動作、即ち平行移動だけでなく上下運動を加えてスライド可能としている。具体的には図9及び図10において、一方のガイドピン25の位置を適度に上方にずらし、これによりスライドバー14が後退した際(アンクランプ時)特に上下方向の自由度を拡大することができる。
【0033】
この例では更に、ガイドピン25の下方であって、スライドバー14の下側に圧縮コイルスプリング28でなる弾機手段を装着し、スライドバー14を上方へ付勢するようにしている。また、装置本体11のスライドガイド面18において、スライドバー14の後退ストローク側の端部に切欠き29を設け、これによりスライドバー14の先端側が上方へ傾斜するのを許容することができるようになっている。
【0034】
第2の実施形態に係るクランプ装置10において、ワークWをクランプする際先ず、アンクランプ状態でハンドル20を回動することで、図10(a)のようにスラドバー14はワークWに対して前進する。このときスライドバー14はその下側から圧縮コイルスプリング28によって上方へ付勢され、先端側が一旦矢印のように持ち上がる。この場合、上述のようにスライドガイド面18に切欠き29を設けているので、スライドバー14の先端側を無理なく上方へ移動させることができる。スライドバー14はその後更に前進しつつ、カム12によって下方に押圧され、最終的には図10(b)のようにワークWを下方へ押圧してクランプすることができる。
【0035】
第2の実施形態のクランプ装置10によれば、スライドバー14は単にワークW側へ前進するばかりでなく、クランプする際前進しながら下方へ押圧する作用を有している。この場合、上述のように前方へ押しながら一旦先端側が上方へ移動し、その後下方へと移動するためワークWとの間でこじれやひっかかり等を発生することなく、即ち円滑にクランプ機能を発揮させることが可能になる。
【0036】
ここで、第2の実施形態のクランプ装置10において、スライドバー14を上方へ付勢する弾機手段として、図12に示すように板バネ30をスライドバー14の下側に装着する構成でもよい。板バネ30は圧縮コイルスプリング28の場合と実質的に同様に作用する。例えばクランプ状態からアンクランプ状態に移行する際、図12(a)〜(c)に示されるようにスライドバー14がワークWから後退する際、スライドバー14の先端側が板バネ30によって一旦上方へ押し上げられる。
【0037】
更に、本発明のクランプ装置の第3の実施形態を説明する。なお、上述の実施形態の場合と実質的に同一又は対応する部材には同一符号を用いる。図13〜図15は、第3の実施形態によるクランプ装置10を示している。この例は所謂、引張り型であり、ワークWを手前側へ引っ張ってクランプするものとする。第3の実施形態は、前述した第1の実施形態の場合のカム12を反転して使用することで、引張り型に転換したものである。
【0038】
クランプ装置10の基本構成は実質的に第1の実施形態のものと同様であり、装置本体11にカム軸13を介して回転可能に支持されたカム12と、連結アーム15を介してカム12と連結するスライドバー14とを有している。ベース16上に対向して立設された一対のサイドガイド17を有し、スライドバー14はスライドガイド面18上をストローク動作する。スライドバー14の先端にはフック19′を付設し、このフック19′がワークWに引っ掛かるようにする。その他の構成についても第1の実施形態のものと同様である。
【0039】
第3の実施形態のクランプ装置10において、ワークWをクランプする際クランプ装置10は先ず、アンクランプ状態にしておき、このときハンドル20は図16(a)に示すようにワークWとは反対側へ回り込んでいる。また、このときスライドバー14は装置本体11から伸長し、即ちワークW側へ接近している。このアンクランプ状態からハンドル20を図16(a)の矢印のように反時計方向に回動させることで、スライドバー14は連結アーム15を介して、ワークWから後退する。図14にも示すように最終的に所定ストロークSt移動することで、ワークWを所定荷重で引張り固定することができる。
【0040】
なお、第3の実施形態の場合においてもワークWのクランプ時、連結アーム15をストッパ27に対して更に上方へ付勢することで二重ロック状態とし、これによりワークWをより安定且つ確実にクランプ固定することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 クランプ装置、12 カム、13 カム軸、14 スライドバー、15 連結アーム、16 ベース、17 サイドガイド、18 スライドガイド面、20 ハンドル、21,22 溝部、23,24 連結ピン、25,26 ガイドピン、W ワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム軸を介して装置本体に回転可能に支持されたカムと、連結アームを介して前記カムと連結するスライドバーとを有し、
前記カムの回転により前記スライドバーが、ワークに対して進退するようにストローク動作すると共に、そのストローク端付近で前記カムが前記スライドバーに圧接するようにしたことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記カムはそのカム軸を介して偏心支持され、該カム軸の偏心量に応じて前記カムの前記スライドバーに対する圧接力を調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記スライドバーのストローク端付近で前記連結アームに当接するストッパを有し、該ストッパの当接により前記連結アームを介して前記スライドバーを略圧接方向に付勢するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記スライドバーが直線的に動作するようにスライドガイドするガイド手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記スライドバーの後退側ストローク端付近で該スライドバーの前端部が浮上するように付勢する弾機手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【請求項1】
カム軸を介して装置本体に回転可能に支持されたカムと、連結アームを介して前記カムと連結するスライドバーとを有し、
前記カムの回転により前記スライドバーが、ワークに対して進退するようにストローク動作すると共に、そのストローク端付近で前記カムが前記スライドバーに圧接するようにしたことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記カムはそのカム軸を介して偏心支持され、該カム軸の偏心量に応じて前記カムの前記スライドバーに対する圧接力を調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記スライドバーのストローク端付近で前記連結アームに当接するストッパを有し、該ストッパの当接により前記連結アームを介して前記スライドバーを略圧接方向に付勢するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記スライドバーが直線的に動作するようにスライドガイドするガイド手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記スライドバーの後退側ストローク端付近で該スライドバーの前端部が浮上するように付勢する弾機手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−30307(P2012−30307A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170698(P2010−170698)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(510207494)関羽工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(510207494)関羽工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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