説明

クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】不安定モードが発生している状態を、状況に応じて回避して騒音及び振動を抑制する。
【解決手段】 騒音検出手段441又は振動検出手段442は、クリーニングブレード41及びホルダー42の振動により生じた騒音を拾う。騒音検出部51、A/D変換部52及び演算部53は、それぞれ、電気信号変換、デジタル信号変換、FFTの各処理を行なう。騒音レベル判定部54は、FFT処理後の信号に基づいて、騒音レベルが所定の閾値を超えているか否かを判定し、超えている場合には、移動制御部55は、当該信号を入力すると、移動接触手段45が駆動されて、弾性体部材43が水平又は回転移動してホルダー42に接触する。弾性体部材43がホルダー42に接触すると、クリーニングブレード41とホルダー42で構成される振動系の減衰が大きく変化し、その騒音・振動が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関し、特に、ブレード部材と感光体との間で発生する騒音を低減させるクリーニング装置と、そのクリーニング装置を含むプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
騒音防止は吸音・遮音材による受動的な対策が中心である。画像形成装置においては、感光体内部に制振材を挿入することによって、減衰特性を高めることにより、感光体で増幅される振動を低減して、結果として発生する騒音を低減させる方法が多くとられている。また、クリーニングブレードの振動低減によって、騒音を低減させる方法も見られる。また近年ようやく、信号処理技術の進歩などの発展で能動的に騒音を低減させることが実現できるようになった。このようなアクティブノイズコントロールは、冷蔵庫や自動車などに応用されたものがあり、これらは騒音に対して、スピーカーなどを用い逆位相の音を出すことによって干渉させて音を打ち消すものである。
【0003】
特許文献1では、画像形成装置のクリーニング装置において、像担持体とクリーニングブレードのスティックスリップにより発生する振動の周波数とクリーニングブレードの共振周波数が一致または近傍に存在しないように、クリーニングブレードの共振周波数を設定して、共振による振動増幅を回避することで低騒音化を狙ったものである。
また、特許文献2では、画像形成装置のクリーニング装置において、像担持体とクリーニングブレードのスティックスリップにより発生する振動に対して、振動検出部で検知された振動に、逆位相の振動を与えることで、アクティブノイズコントロールのように振動をアクティブに制御して、ブレードの振動を低減させて生じる騒音を低減させるものである。
また、特許文献3では、クリーニングブレードの摩擦力検出手段を設けて、摩擦力の変動に対して、トナーのすり抜けによるクリーニング不良、像担持体とクリーニングブレード間で発生するブレード鳴きやビビリ、クリーニングブレードがめくれ上がるブレードめくれ、像担持体表面にトナー添加物や紙粉等が付着することによるフィルミングの発生などを低減するように摩擦力を制御するものである。
【0004】
しかし、画像形成装置の感光体ユニットなどでは、クリーニングブレードと感光体間の摩擦によりスティックスリップが生じ、スティックスリップによる振動が加振源となって感光体から高音の騒音を発生したり、振動がクリーニングブレードからユニット筐体に伝播して騒音を発生する問題がある。残留トナーを除去するために、クリーニング装置は必要不可欠であり、これらの騒音の低減が望まれる。
この騒音は、加振源がスティックスリップであるが、スティックスリップの振動モードは自励振動であり、発生する又はしないが非常に不安定であり、固有値解析における不安定モードである。この不安定モードは、クリーニングブレードと感光体間の接触すべり状態によって変化するものであるが、画像形成装置内の温度・湿度変化によるブレードの物性値変化、クリーニングブレードの経時劣化、感光体上のトナーの付着状態など様々な状態の組み合わせによって、不安定モードが発生したりしなかったりする。
したがって、まったく同じ構成であっても、ある日突然スティックスリップによる騒音・振動が発生したり、設置位置の環境によって、発生する又はしない等の現象が起きる。この原因となる不安定モードは、自励振動であるが振動系の減衰が大きい場合は直ぐに振動振幅が低減して、騒音を発生するに至らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不安定モードが発生している状態を状況に応じて回避するために、ブレードから発せられる騒音によって、このスティックスリップ現象を検知し、弾性体部材をブレードのホルダーに接触させて振動系の減衰を大きく変化させることで、騒音・振動を防止することができる。
【0006】
そこで、本発明では、上記の事情を鑑みてなされたものであり、その課題は、不安定モードが発生している状態を、状況に応じて回避して騒音及び振動を防止できるクリーニング装置を提供することにある。
また、本発明の課題は、上述のクリーニング装置と、感光体、現像装置等をカートリッジ構成としたプロセスカートリッジを提供することにある。
また、本発明の課題は、小型で、かつメンテナンス作業の容易な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のクリーニング装置は、像担持体と接触することによりクリーニングを行なうブレード部材と前記ブレード部材を保持するための保持部材とを備え、像担持体にブレード部材を当接して残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置において、前記ブレード部材又は保持部材の近傍に騒音を検知可能な騒音検出手段又は前記ブレード部材又は保持部材に接触させて振動を検知可能な振動検出手段と、弾性体部材を前記ブレード部材又は保持部材に移動して接触させる移動接触手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記騒音検出手段により検出された騒音又は振動検出手段により検出された振動のレベルが所定の閾値を超えた場合に、前記移動接触手段を動作させて、前記弾性体部材を移動して前記ブレード部材又は保持部材に接触させることを特徴とする。
また、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記移動接触手段は、前記弾性体部材を水平方向又は回転方向で、ブレード部材又は保持部材に移動して接触させることを特徴とする。
また、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記弾性体部材が、ブレード部材又は保持部材に、長手方向に均一に接触することを特徴とする。
また、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記弾性体部材が接触後、騒音レベルが設定した閾値を下回る場合、ブレード部材又は保持部材から離間させることを特徴とする。
また、本発明のクリーニング装置は、さらに、前記弾性体部材を前記ブレード部材又は前記保持部材に接触させている場合に、前記ブレード部材の前記像担持体に対する接触位置及び接触角度を一定の範囲に制御することを特徴とする。
【0008】
本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも、像担持体と、像担持体にブレード部材を当接して残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記クリーニング装置が、上記のいずれかに記載のクリーニング装置であることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体表面を帯電させる帯電装置と、前記像担持体表面を露光して潜像を形成する露光装置と、前記潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像装置と、前記可視像を記録媒体に転写する転写装置と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着装置とを少なくとも有する画像形成装置において、前記画像形成装置が、上述のいずれかに記載のクリーニング装置を有することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、複数の像担持体を有し、複数のトナーでカラー画像を形成することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、上述のプロセスカートリッジを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明のクリーニング装置では、ブレード部材、保持部材及び像担持体から成る振動系の減衰特性を大きくすることが可能となり、これによって発生している自励振動が低減し、騒音・振動の低減が可能となる。
また、本発明のプロセスカートリッジでは、交換時のメンテナンス性の向上性を有するカートリッジにおいて、騒音の低減が図れる。また、本発明の画像形成装置では、騒音が低減可能なクリーニング装置を持つ画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のクリーニング装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】ブレード部材からの鳴き騒音が発生している場合に計測した音圧レベルの例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態のクリーニング装置を採用して騒音・振動を制御した場合に計測した音圧レベルの具体例を示す図である。
【図4】本発明のクリーニング装置の他の実施形態の概略構成図である。
【図5】本発明のクリーニング装置における振動検出手段で検出した振動における周波数に対する振動レベルを示す図である。
【図6】本発明のクリーニング装置の他の実施形態の構成を示す概略図である。
【図7】本発明のクリーニング装置の他の実施形態の構成を示す概略図である。
【図8】本発明のクリーニング装置を含む画像形成装置の一実施形態の概略構成断面図である。
【図9】本発明の画像形成装置であって、複数の像担持体を備える画像形成装置の主要部を示す概略構成断面図である。
【図10】本発明の画像形成装置であって、本発明のクリーニング装置を備える感光体11周囲の概略構成断面図である。
【図11】本発明のクリーニング装置を含むプロセスカートリッジの一実施形態の概略構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0013】
図1は、本発明のクリーニング装置の一つの実施形態の構成を示す概略図である。
本願の記載に係る発明(以下、単に「本発明」と記載する)のクリーニング装置40は、基本的に、ブレード部材であるクリーニングブレード41、クリーニングブレード41を保持するための保持部材であるホルダー42の近傍に騒音検出手段441を設け、その騒音検出手段441により検出された騒音が所定レベルを超えた場合に、クリーニングブレード41又はホルダー42の近傍に設けた、弾性体部材43を備える移動接触手段45で弾性体部材43を移動させ、弾性体部材43をクリーニングブレード41又はホルダー42に接触させることにより、騒音・振動を抑えるというものである。
図1に示すように、このような構成のクリーニング装置40の場合、前述のように、クリーニングブレード41と感光体11との間でスティックスリップが発生することが知られている。スティックスリップにより、クリーニングブレード41や感光体11は加振され、音響放射することによって騒音が発生する。特に、感光体11が共振した際や、クリーニングブレード41が共振して感光体11への加振力が大きくなった場合は、騒音は大きくなる。スティックスリップの振動モードは自励振動であり、騒音が発生する又はしないが非常に不安定であり、固有値解析における不安定モードである。この不安定モードは、クリーニングブレード41と感光体11と間の接触すべり状態によって変化するものであるが、画像形成装置1内の温度・湿度変化によるクリーニングブレード41の物性値変化、クリーニングブレード41の経時劣化、感光体11上のトナーの付着状態など様々な状態の組み合わせによって、不安定モードが発生したりしなかったりする。したがって、まったく同じ構成であっても、ある日突然スティックスリップによる騒音・振動が発生したり、設置位置の環境によって、発生する又はしない等の現象が起きる。この原因となる不安定モードは、自励振動であるが振動系の減衰が大きい場合は、直ぐに振動振幅が低減して、騒音を発生するに至らない。
【0014】
したがって、本発明のクリーニング装置40は、像担持体である感光体11から残留トナーを除去するために感光体11に圧接されるクリーニングブレード41と、そのクリーニングブレード41を保持するホルダー42とを備える。さらに、騒音検出手段441と、騒音検出手段441に接続して騒音検出部51と、アナログ/デジタル(以下、A/D)変換部52と、演算部53と、騒音レベル判定部54と、この騒音レベル判定部17の判定に基づいて移動接触手段45を制御する移動制御部55とを備えている。また、弾性体部材43を移動させて、クレーニングブレード41等に接触させる移動接触手段45とを備えている。
また、騒音検出手段441としては、例えば、マイクロホンを用いることができる。移動接触手段45、移動制御部55等のいずれも、クリーニング装置40内に設けるか、または、画像形成装置1の本体に配置するものであっても良い。
ここで、騒音検出手段441は、クリーニングブレード41及びホルダー42の振動により生じた騒音を拾う。なお、騒音検出手段441は、クリーニングブレード41の近傍に設置することが好ましい。また、指向性の高いマイクロホンを使用した場合には、機器内の他の騒音による誤動作を防止できる。なお、音を拾う手段としては、マイクロホンに限られることはなく、各種の音検出手段が考えられる。
【0015】
騒音検出部51は、騒音検出手段441により検出された音圧レベルを電気信号に変換する。A/D変換部52は、アナログ信号たる当該電気信号をデジタル信号に変換する。演算部53は、そのデジタル信号に対して高速フーリエ変換(FFT)処理を施す。騒音レベル判定部54は、FFT処理後の信号に基づいて、上述のように騒音検出手段441を介して検出された騒音のレベルが所定の閾値(例えば、100dB)を超えているか否かを判定し、超えている場合には、その旨の信号を出力する。移動制御部55は、当該信号を入力すると、弾性体部材43を水平移動するための移動接触手段45を駆動する。移動接触手段45が駆動されると、弾性体部材43が水平移動してホルダー42に接触するようになる。弾性体部材43がホルダー42に接触すると、クリーニングブレード41とホルダー42で構成される振動系の減衰が大きく変化するので、その騒音・振動が抑制される。なお、この実施形態においては、弾性体部材43をホルダー42に接触させたが、クリーニングブレード41自体に接触させてもよい。
このように騒音・振動が低減されてくると、騒音検出手段441により拾われた騒音のレベルがある時点で上記所定の閾値を下回ることとなるので、そのような状態に進むと、騒音レベル判定部54からの信号出力は停止され、したがって移動制御部55は、弾性体部材43をホルダー42から離反させる。かかる動作により、不安定に発生する騒音に適応的に対応できるとともに、クリーニングブレード41を感光体11に対して適正位置に戻して適正なクリーニングを実現できる。
【0016】
図2は、ブレード部材からの鳴き騒音が発生している場合に計測した音圧レベルの具体例を示す図である。ここで、横軸は周波数(Hz)であり、縦軸は音圧レベル(dB)である。同図に示すように、かかる騒音が発生している状態では、約4000Hzを中心にして、音圧レベルの顕著なピークが表れている。
ここで、スティックスリップの振動モードは、自励振動であって発生の成否が非常に不安定であり、固有値解析におけるいわゆる不安定モードである。この不安定モードは、クリーニングブレード41と感光体11との間の接触すべり状態によって変化するものであるが、画像形成装置1内の温度・湿度変化によるクリーニングブレード41の物性値変化、クリーニングブレード41の経時劣化、感光体上のトナーの付着状態など様々な状態の組み合わせによって、不安定モードに移行したりしなかったりする。したがって、まったく同じ機械的構成であっても、ある日突然スティックスリップによる騒音・振動が発生したり、また、設置位置の環境によってその発生が左右される等の現象が起きる。この原因となる不安定モードは、前述のように自励振動であるが、振動系の減衰が大きい場合は即座に振動振幅が小さくなり、騒音の発生には至らない。
一方、クリーニング装置を含む画像形成装置に目を向けた場合、とりわけカラー画像形成装置は、複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。
【0017】
図3は、本発明の一実施形態のクリーニング装置を採用して騒音・振動を制御した場合に計測した音圧レベルの具体例を示す図である。
図3に示すように、上記構成及び機能を有するクリーニング装置を採用して騒音・振動を制御した場合に計測した音圧レベルの具体例を示す図である。同図を図2と比較すると、弾性体部材43が移動してホルダー42に接触することにより、音圧レベル120dBに達するピークは消滅し、従来発生していた大きな騒音は抑制されていることが分かる。
なお、弾性体部材43がクリーニングブレード41又はホルダー42に接触し、騒音・振動が抑制されている状態においては、クリーニングブレード41の感光体11に対する接触角度が、初期角度(ホームポジション)から外れることも考えられる。この場合、クリーニングブレード41によるトナーに対する本来のクリーニング特性が劣化する事態に陥るおそれもある。一方、騒音・振動が低減され、弾性体部材43が退くと、接触角度が初期角度に戻り、クリーニング特性も回復すると考えられる。しかしながら、少なくとも騒音抑制時のクリーニング特性が保証されない。
したがって、弾性体部材43がクリーニングブレード41又はホルダー42に接触し、騒音・振動が抑制されている状態においても、クリーニングブレード41の感光体11に対する接触位置及び接触角度を、初期位置及び初期角度に対して一定範囲にあるように制御を行なう。かかる構成によれば、本来のクリーニング特性を大きく損なうことなく、騒音も低減することが可能となる。つまり、弾性体部材を接触させて騒音を低減しつつ、クリーニングブレード41の位置及び角度を感光体11に対して最適化してクリーニング特性の劣化を防止することができる。
【0018】
図4は、本発明のクリーニング装置の他の実施形態の構成を示す概略図である。
本願の記載に係る発明(以下、単に「本発明」と記載する)のクリーニング装置40は、基本的に、ブレード部材であるクリーニングブレード41、クリーニングブレード41を保持するための保持部材であるホルダー42に接触させている振動検出手段442を設け、その振動検出手段442により検出された騒音が所定レベルを超えた場合に、クリーニングブレード41又はホルダー42の近傍に設けた、弾性体部材43を備える移動接触手段45で弾性体部材43を移動させ、弾性体部材43をクリーニングブレード41又はホルダー42に接触させることにより、騒音・振動を抑えるというものである。
図4に示すように、このような構成のクリーニング装置40の場合、前述のように、クリーニングブレード41と感光体11との間でスティックスリップが発生することが知られている。スティックスリップにより、クリーニングブレード41や感光体11は加振され、振動が発生する。特に、感光体11が共振した際や、クリーニングブレード41が共振して感光体11への加振力が大きくなった場合は、振動は大きくなる。上述したように、スティックスリップの振動モードは自励振動であり、発生する又はしないが非常に不安定であり、固有値解析における不安定モードである。この不安定モードは、クリーニングブレード41と感光体11と間の接触すべり状態によって変化するものであるが、画像形成装置1内の温度・湿度変化によるクリーニングブレード41の物性値変化、クリーニングブレード41の経時劣化、感光体11上のトナーの付着状態など様々な状態の組み合わせによって、不安定モードが発生したりしなかったりする。したがって、まったく同じ構成であっても、ある日突然スティックスリップによる騒音・振動が発生したり、設置位置の環境によって、発生する又はしない等の現象が起きる。この原因となる不安定モードは、自励振動であるが振動系の減衰が大きい場合は、直ぐに振動振幅が低減して、振動を発生するに至らない。
【0019】
したがって、本発明のクリーニング装置40は、像担持体である感光体11から残留トナーを除去するために感光体11に圧接されるクリーニングブレード41と、そのクリーニングブレード41を保持するホルダー42とを備える。さらに、振動検出手段442と、振動検出手段442に接続して振動検出部51と、アナログ/デジタル(以下、A/D)変換部52と、演算部53と、騒音レベル判定部54と、この騒音レベル判定部54の判定に基づいて移動接触手段45を制御する移動制御部55とを備えている。また、弾性体部材43を移動させて、クレーニングブレード41等に接触させる移動接触手段45とを備えている。
クリーニングブレード41又はクリーニングブレード41を保持するためのホルダー42に接触させて振動の状態を検知可能な振動検出手段442を設け、振動検出手段442から検出される振動レベルが設定した閾値を上回った場合に、クリーニングブレード41又はホルダー42の近傍に設けた弾性体部材43を保持する移動接触手段45が、弾性体部材43を移動させて、クリーニングブレード41又はホルダー42に接触させる。例として、振動検出手段442の振動センサーからの出力信号の閾値を4.0e−5とした場合に、弾性体部材43を保持する移動接触手段45が、弾性体部材43を移動させてクリーニングブレード41又はホルダー42に接触する構成となっており、同図では水平移動することで接触する構造を示したものである。また、振動の判定は振動センサーから得られる振動のアナログ時間信号をA/D変換し、演算部でFFT処理を行った後、この信号の振動レベルから閾値判定する。このように、弾性体部材43をクリーニングブレード41又はホルダー42に接触させて振動系の減衰を大きく変化させることで、騒音・振動の防止を狙ったものである。
【0020】
図5は、本発明のクリーニング装置における振動検出手段で検出した振動における周波数に対する振動レベルを示す図である。
図5では、本発明のクリーニング装置40における振動検出手段442で検出したクリーニング装置40のホルダー42で発生した振動(図5中の点線で示している。)と、移動接触手段45が、弾性体部材43を移動させてホルダー42に接触させたときに発生した振動(図5中の実線で示している。)とを示している。
図5からも分かるように、約720Hzで発生していた振動のピークが、弾性体部材43を接触させたことにより、発生していた大きな振動がなくなりピークは消滅している。
【0021】
図6は、本発明のクリーニング装置の他の実施形態の構成を示す概略図である。
図6に示したクリーニング装置40では、図1に示した実施形態と異なる点は、移動接触手段45が、弾性体部材43の回転機構を制御して弾性体部材43をホルダー42に接触させるという点であり、他の構成は同一である。したがって、騒音抑制という作用効果は図1の実施形態とまったく同様である。
図1及び6に示した各実施形態の構成は、単純な構成であり、実現が容易である。また、弾性体部材43及びこれを支持する部材からなる移動接触手段45は、水平移動又は回転によってクリーニングブレード41又はホルダー42に対して長手方向に均一に接触させることが容易な構成であり、長手方向における接触圧バランスが崩れることに起因するクリーニング不良も防ぐことが可能であり、かつ減衰特性の増大による騒音・振動の低減が可能となる。また、騒音を検知可能な騒音検出手段441の設置位置は、クリーニングブレード41又はホルダー42の近傍が好ましい。
なお、上述した各実施形態においては、各部51乃至54は処理順を示した機能構成とも認識でき、ハードウェアとしては一体のものであってもよい。また、これらは、クリーニング装置40の中に設けても良いし、画像形成装置1の中に設けるものであっても良い。
【0022】
図7は、本発明のクリーニング装置の他の実施形態の構成を示す概略図である。
図7に示したクリーニング装置40では、図4に示した実施形態と異なる点は、移動接触手段45が、弾性体部材43の回転機構を制御して弾性体部材43をホルダー42に接触させるという点であり、他の構成は同一である。したがって、振動抑制という作用効果は図4の実施形態とまったく同様である。
図4及び図7に示した各実施形態の構成は、単純な構成であり、実現が容易である。また、弾性部材及びこれを支持する部材からなる移動接触手段45は、水平又は回転によってクリーニングブレード41又はホルダー42に対して長手方向均一に接触させることが容易な構成であり、長手方向における接触圧バランスが崩れることに起因するクリーニング不良も防ぐことができる。また、クリーニングブレード41又はホルダー42の振動状態を検知する振動検出手段442の設置位置は、クリーニングブレード41又はホルダー42に接触させることが好ましい。
【0023】
また、移動接触手段45は、騒音検出手段441又は振動検出手段442の検出した騒音又は振動のレベル判定で、閾値を上回った場合に、感光体11に対して弾性体部材43をクリーニングブレード41又はホルダー42に接触させて騒音・振動を大きく減衰させて、変化させ騒音・振動を低減させた後、初期に設定された弾性体部材43をホームポジションに戻すことで、クリーニングブレード41の感光体11に当接する角度を設定状態の角度に戻すことができる。クリーニングブレード41によるトナーのクリーニングは、接触角度が変化するとで本来のクリーニング特性を発揮できない場合があり、騒音・振動が低減できてもクリーニングに不具合を生じる場合があるからである。クリーニングブレード41のホームポジションから一定の位置又は角度によって制御を行い、接触状態を管理することで、本来のクリーニング特性を発揮しつつ、騒音・振動も低減することが可能である。
【0024】
次に、上述のような各実施形態で説明したクリーニング装置を備えた画像形成装置1、プロセスカートリッジ10の実施形態について説明する。
図8は、本発明のクリーニング装置を含む画像形成装置の一実施形態の概略構成断面図である。図9は、本発明の画像形成装置であって、複数の像担持体を備える画像形成装置の主要部を示す概略構成断面図である。また、図10は、本発明の画像形成装置であって、本発明のクリーニング装置を備える感光体周囲の概略構成断面図である。
次に、上述のクリーニング装置40を備える画像形成装置1の実施形態について説明する。本発明の例として、図8、図9及び図10に基づいてフルカラー画像形成装置で説明する。
本発明に係る画像形成装置1は、上の方から、置かれた原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5と、原稿を読み取るスキャナ(読取装置)4、トナー画像を形成する画像形成部3、そして、その下に記録紙等の記録部材9を備え、供給する給紙部2が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部3が配置されている。画像形成部3では、その内部の略中央に、プロセスカートリッジとしての作像ユニット10をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つを水平な横方向に並列に並べたタンデム型に配列している。4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの上方には、帯電した各感光体11の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置12が備えられている。また、4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの下方には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトをローラ651、652に掛け回して支持し、回転駆動する中間転写ベルト61を備える転写装置60を配置している。
いずれの作像ユニット10でも同様の構成であるので、この図においては、色の区別に関係ない場合はY、C、M、Kの表示を省略する。各作像ユニット10Y、10C、10M、10Kは、感光体11Y、11C、11M、11Kを有し、各感光体11の周りには、感光体11表面に電荷を与える帯電装置20、感光体11表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置30、感光体11表面に、図示しない潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置、トナー像転写後の感光体11表面のクリーニングをするクリーニングブレードを備えるクリーニング装置40がそれぞれ配置されている。これで、一つの作像ユニット10を形成している。なお、ここでは、作像ユニット10は、感光体11と、帯電装置20、現像装置30、クリーニング装置40、潤滑剤塗布装置のいずれか一つ以上を一体的に支持されていて、画像形成装置1に着脱可能になっているプロセスカートリッジとして用いている。ただし、作像ユニット10の形態を成していれば良く、ここで例示した帯電装置等に限定するものではない。
【0025】
感光体11は、アモロファスシリコーン、セレン等の金属、または、有機感光体であり、ここでは、有機感光体で説明する。有機感光体11としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体11を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体11を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層9の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0026】
帯電装置20は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ21を備える。帯電ローラ21は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。このイオンを放電する帯電ローラ21は、材質としては弾性樹脂ローラを用いている。また、帯電ローラ21は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有することがある。
また、帯電ローラ21は、感光体11に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ21の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体11表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ21は、感光体に近接させずに、接触させても良い。ローラ形状であり、感光体11に近接している部分で、放電して、感光体11を帯電させることができる。また、近接させて非接触にすることで、帯電ローラ21の転写残トナーによる汚れの発生を抑えることができる。また、帯電ローラ21には、帯電ローラ21表面に接触してクリーニングする図示しない帯電クリーナローラが設けられている。
現像装置30は、感光体11と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像スリーブが配置されている。現像スリーブの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブへ汲み上げる機構を併せて有する攪拌・搬送スクリューが備えられている。現像スリーブによって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、規制部材によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブに担持される。現像スリーブは、感光体11との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体11に供給する。また、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジが、着脱可能に感光体11上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置30に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジを、特に大容量としておくことも可能である。
一方、クリーニング装置40は、前述のように、クリーニングブレード41及びそのクリーニングブレード41を保持するホルダー等で構成され、感光体11に対してそのクリーニングブレード41を圧接させることにより、感光体11から残留トナーを除去する。
クリーニング装置40によりクリーニングされて感光体11から取り除かれたトナーは、トナー搬送部材によって、廃棄トナーとして図示していない廃棄トナーボトルに蓄えられ、サービスマンなどにより回収されるか、あるいはリサイクルトナーとして現像装置30などに運ばれ現像に使用される。また、本発明のクリーニング装置40の特徴に関しては上述している。
【0027】
転写装置60は、トナー像が積層される中間転写ベルト61、感光体11上のトナー像を中間転写ベルト61に転写・積層させる一次転写ローラ62、積層されたトナー像を記録部材9に転写する二次転写ローラ63等を備えている。さらに、転写装置60は、二次転写ローラ63に対向する部分で、中間転写ベルト61の内側には、対向部材67を設けている。
中間転写ベルト61を挟んで、各感光体11と対向する位置には、感光体11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に一次転写する一次転写ローラ62がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ62は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、感光体11から中間転写ベルト61側に引き寄せ移行させることで、一次転写する。また、この一次転写ローラ62は電気抵抗の調整のために、カーボンブラック等の無機導電材、イオン導電材を含有させ、半導電性にすることが好ましい。一次転写ローラ62の抵抗値が異なっていても転写効率はほとんど変わらないが、画像面積比が異なると転写効率は大きく異なってくるため、安定して転写効率を維持できない。これは、転写ニップ部においてトナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう結果、画像面積比が小さい場合には転写電圧値が低くなって転写に必要な電界が十分得られなくなるためである。特に、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合には転写部に介在するトナーの抵抗値の影響が大きくなるため、一次転写ローラ62の抵抗値が低い場合ほど顕著になる。このように定電流制御を採用する場合には一次転写ローラ62として抵抗値の高いものを使用することが望まれるが、その抵抗値が5×10Ωを越えると電流のリークによってトナー像を乱すおそれが強まる。したがって、一次転写ローラの抵抗値は、1×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものを用いるのが好ましい。トナーが介在しない部分に電流が優先的に流れてしまう現象は、上述のトナー抵抗によるだけでなく、一次転写ローラ62の中心に設けられている芯金に印加される一次転写電圧と感光体11との電位差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きいために、より大きな電位差の方に転写電流が流れ易いことにもよる。これは、トナー像が感光体11の帯電極性と同じで、感光体11の像露光を受けて感光体電位が除電された個所にトナーが現像されることで感光体11上にトナー像を形成する画像形成装置1の場合に発生する。トナー像の形成されていない個所の感光体電位が高く、トナー像の形成された個所の感光体電位は低いが、転写電位は感光体電位とは逆極性なので、一次転写電圧と感光体電位との差が、トナーが現像されていない個所の方がトナーが現像された個所よりも大きくなる。この場合一次転写ローラ62の抵抗値は、望ましくは、5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内のものが好ましい。5×10Ω以上5×10Ω以下の範囲内では、一次転写ローラ62の低温環境での抵抗上昇があると、上記範囲に入ることが困難となり、二次転写は定電流制御していますので、斥力ローラ67に印加される電圧が上昇し、電流のリークが生じてしまう。そこで、本発明の画像形成層1のように、低温環境下に装置が置かれた場合に、全ての一次転写ローラ62を保温することにより、全ての一次転写ローラ62の抵抗上昇を低減することで、リークの発生を防止することができる。
【0028】
また、中間転写ベルト61に積層されたトナー像は、二次転写ローラ63で記録部材に二次転写される。二次転写ローラ63には、一次転写ローラ62と同様に、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加される。印加する電圧の極性としては、トナーの電荷の極性とは逆の極性で、中間転写ベルト61から、搬送されてきた記録部材側に引き寄せ移行させることで、二次転写する。
また、中間転写ベルト61には、二次転写後の中間転写ベルト61の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置64が設けられている。回転部材642が中間転写ベルト61と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。回転部材642を中間転写ベルト61に当接し、これによって、中間転写ベルト61上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材の添剤を中間転写ベルト61から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、図示しない容器に貯留する。
回転部材64としては、金属ローラ、ゴムローラ、ブラシローラ及びスポンジローラから選ばれるローラを用いることができる。また、トナーとしては、体積平均粒子径が8.0μm以下、好ましくは4.0μm〜8.0μmのトナー用いることができる。
【0029】
さらに、この画像形成装置1には、中間転写ベルト61に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置93が設けられている。潤滑剤塗布装置93は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤932と、固形潤滑剤932に接触して潤滑剤を削り取り、中間転写ベルト61に塗布するブラシローラ931とブラシローラ931で塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレード934を備える。固形潤滑剤932は、直方体状に形成されており、加圧バネ933によってブラシローラ931側に付勢されている。固形潤滑剤932はブラシローラ931によって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネ933で加圧されているために常時ブラシローラ931に当接している。ブラシローラ931は、回転しながら削り取った潤滑剤を中間転写ベルト61表面に塗布する。
なお、同様の機能を有する潤滑剤塗布装置93を感光体11に対して配設してもよい。
本実施形態においては、上記ブラシローラによる潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の中間転写ベルト61表面に潤滑剤均し手段としての不図示の潤滑剤塗布ブレードを当接させている。潤滑剤塗布ブレードは弾性体であるゴムから構成されているものであり、クリーニング手段としての機能も持たせ、中間転写ベルト61の移動方向に対してカウンタ方向に当接してある。上記固形潤滑剤としては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、ステアリン酸亜鉛の他にも、ステアリン酸、オレイン酸、パルチミン酸等の脂肪酸基を有する金属化合物なども使用できる。さらに、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどのワックス等も使用できる。
転写装置60の下方には、記録紙上のトナー像を記録紙に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、図示しないが、主に、内部にハロゲンヒータを有する定着ローラと、これに対向し、圧接して配置される加圧ローラとから構成されている。定着装置70は、フルカラーとモノクロ画像、あるいは片面か両面かにより定着条件を制御したり、用紙の種類に応じて最適な定着条件となるよう、不図示の制御手段により制御される。
【0030】
画像形成動作は、まず、負荷電極性の感光体11に対し、露光装置12のレーザビームにより各感光体11の表面に形成された色毎の静電潜像が形成される。次に、現像装置30で、感光体11の帯電極性と同極性(負極性)の所定の色のトナーで現像され、顕像となる反転現像が行なわれる。このときに、無端状の中間転写ベルト61が、複数のローラ651〜653により支持されて、感光体11Y、11C、11M、11Kの上部に設けられて、各感光体11Y、11C、11M、11Kの現像工程後の一部が接触するように張架、配置されて、走行している。また、中間転写ベルト61には、各感光体11Y、11C、11M、11Kに形成されたトナー画像を一次転写ローラ62Y、62C、62M、62Kで、中間転写ベルト61上に転写され、トナー画像が重ねられて、未定着の画像が形成される。中間転写ベルト61の外周部には、クリーニングバックアップローラ641に対向する位置にベルトクリーニング装置64が設けられている。このベルトクリーニング装置64は、中間転写ベルト61の表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。さらに、中間転写ベルト61の外周で、支持ローラ653の対向する位置には、二次転写ローラ63が設けてある。中間転写ベルト61と二次転写ローラ63の間に記録部材9を通過させながら、二次転写ローラ63にバイアスを印加することで中間転写ベルト61が担持するトナー画像が記録部材9に転写される。二次転写ローラ63に印加される転写電圧の極性は、トナーの極性と逆のプラス極性である。これらの中間転写ベルト61に関連する部材は、中間転写ベルト61とともに転写装置60として一体的に構成してあり、画像形成装置1に対し着脱が可能となっている。
画像形成装置1の下側には記録部材9を供給可能に収納した給紙カセット81を備える給紙装置80が配備されている。この給紙カセット81から、確実に記録部材9の一枚だけが搬送ローラ82によりレジストローラ84に送られる。さらに、二次転写ローラ63を通過した記録部材9は、搬送方向下流に備えられた定着装置70まで搬送される。定着後の記録部材9は、排紙ローラ85により、画像形成装置1の外に設けた排紙トレイに排紙、スタックさせる。図8において、66は搬送ベルト、83は搬送ローラである。
以上の構成によれば、騒音が低減可能なクリーニング装置40を備えた画像形成装置1を実現できる。
【0031】
図11は、本発明のクリーニング装置を含むプロセスカートリッジの一実施形態の概略構成断面図である。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する感光体11と、感光体11上に担持された静電潜像を、トナーを用いて現像し可視像を形成する現像装置30とを、少なくとも有してなり、さらに必要に応じて適宜選択した、帯電装置20、クリーニング装置40、除電手段などのその他の手段を有してなる。
プロセスカートリッジの例である同図に示したプロセスカートリッジ10は、感光体11と、帯電装置20と、現像装置30と、クリーニング装置40とを一体化したものである。かかるプロセスカートリッジ10は、複写機やプリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能である。着脱自在であるプロセスカートリッジ10内にクリーニング装置40を備えたことにより、騒音を低減できるとともに、他の装置との一体交換が容易となり、メンテナンス性の向上を図ることができる。
したがって、画像形成装置1全体としては、感光体11、帯電装置20、現像装置30、クリーニング装置40の構成要素をプロセスカ−トリッジ10として一体に結合して構成することによって、クリーニングに起因する騒音の低減が可能であるとともに、ユーザーによる交換も可能でメンテナンス性が高く小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 スキャナ部
5 原稿自動搬送装置(ADF)
9 記録部材
10 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
11 感光体
12 露光装置
13 除電装置
20 帯電装置
21 帯電ローラ
30 現像装置
40 クリーニング装置
41 クリーニングブレード
42 ホルダー
43 弾性体部材
441 騒音検出手段
442 振動検出手段
45 移動接触手段
51 騒音検出部
52 A/D変換部
53 演算部
54 騒音レベル判定部
55 移動制御部
60 転写装置
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラ
63 二次転写ローラ
64 ベルトクリーニング装置
641 クリーニングバックアップローラ
642 回転部材
65 支持ローラ
651 従動ローラ
652 駆動ローラ
653 支持ローラ
66 搬送ベルト
70 定着装置
80 給紙装置
81 給紙カセット
82 給紙ローラ
83 搬送ローラ
84 レジストローラ
85 排紙ローラ
93 潤滑剤塗布装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2005−215163号公報
【特許文献2】特開2005−338170号公報
【特許文献3】特開2005−202026号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニングを行なうブレード部材と
前記ブレード部材を保持するための保持部材とを備え、
像担持体に前記ブレード部材を当接して、前記像担持体上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置において、
前記クリーニング装置は、さらに、
前記ブレード部材又は保持部材の近傍に騒音を検知可能な騒音検出手段又は前記ブレード部材又は保持部材に接触させて振動を検知可能な振動検出手段と、
弾性体部材を前記ブレード部材又は保持部材に移動して接触させる移動接触手段とを備えている
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記クリーニング装置は、
前記騒音検出手段により検出された騒音又は振動検出手段により検出された振動のレベルが所定の閾値を超えた場合に、
前記移動接触手段を動作させて、前記弾性体部材を移動して前記ブレード部材又は保持部材に接触させる
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記移動接触手段は、前記弾性体部材を水平方向又は回転方向で、ブレード部材又は保持部材に移動して接触させる
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のクリーニング装置において、
前記弾性体部材が、ブレード部材又は保持部材に、長手方向に均一に接触する
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のクリーニング装置において、
前記弾性体部材が接触後、騒音又は振動のレベルが設定した閾値を下回る場合、ブレード部材又は保持部材から離間させる
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のクリーニング装置において、
前記弾性体部材を前記ブレード部材又は前記保持部材に接触させている場合に、前記ブレード部材の前記像担持体に対する接触位置及び接触角度を一定の範囲に制御する
ことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
少なくとも、像担持体と、像担持体にブレード部材を当接して残留するトナーをクリーニングするクリーニング装置とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記クリーニング装置が、請求項1ないし6のいずれかに記載のクリーニング装置である
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
像担持体と、
前記像担持体表面を帯電させる帯電装置と、
前記像担持体表面を露光して潜像を形成する露光装置と、
前記潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像装置と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着装置とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記画像形成装置が、請求項1ないし5のいずれかに記載のクリーニング装置を有する ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置が、複数の像担持体を有し、複数のトナーでカラー画像を形成する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置が、請求項7に記載のプロセスカートリッジを有する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−164575(P2011−164575A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226803(P2010−226803)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】