説明

クリーム状洗顔料

【課題】本発明は、起泡性に優れ、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感が少なく、さらに経時安定性に優れたクリーム状洗顔料を提供する。
【解決手段】(A)カルボベタイン型両性界面活性剤、(B)高級脂肪酸塩、(C)アシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤及び(D)平均分子量が1000〜4000のポリエチレングリコールを含有し、その含有量が(A)0.5〜10重量%、(B)10〜50重量%、(C)0.5〜5重量%及び(D)1〜5重量%含有することによって、起泡性に優れ、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感が少なく、さらに経時安定性に優れたクリーム状洗顔料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用感と経時安定性に優れたクリーム状洗顔料に関するものであり、より詳細には、下記の(A)、(B)及び(C)を含有したクリーム状洗顔料に関するものであり、さらに経時安定性を向上させるために、(D)平均分子量が1000〜4000のポリエチレングリコールを含有したクリーム状洗顔料に関するものである。
(A)化学式(1)で示されるカルボベタイン型両性界面活性剤。
(B)高級脂肪酸塩。
(C)化学式(2)で示されるアシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤。
【0002】
【化1】

(式中Rは炭素数8〜20のアルキル基を示す。)
【0003】
【化2】

(式中RCOは炭素数8〜20のアシル基を示し、Mはアルカリ金属原子又は1/2アルカリ土類金属原子を示す。)
【背景技術】
【0004】
従来、クリーム状洗顔料の主成分には高級脂肪酸塩が多く使用されてきた。高級脂肪酸塩は洗浄後に独特のさっぱり感を有するだけでなく生分解性が良好であり、環境に対して優しい洗浄基剤であることから現在でも広く使われている。しかし、合成界面活性剤に比べ起泡性及び洗浄力に劣り、洗浄後にはつっぱり感が残り、またその水溶液がアルカリ性を示すことから皮膚に対する刺激性を有することが指摘されている。さらには長期保存すると硬度が高くなり、色焼けを起こしやすいなど経時安定性にも問題があった。
【0005】
そのため、高級脂肪酸塩と組み合わせて、合成界面活性剤であるアシルアミノ酸塩、アシルメチルタウリン塩、アミドエーテル硫酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤が使用されている。これらの陰イオン性界面活性剤は高級脂肪酸塩と組み合わせて使用することで、起泡力及び洗浄力が向上する。しかし、アシルアミノ酸塩型の陰イオン性界面活性剤を用いると洗顔料が軟らかくなるためクリーム状にならない場合や、経時的に軟らかくなる等、経時安定性に問題があった。また、洗浄後のつっぱり感を軽減する効果は小さかった。
【0006】
さらに近年では、クリーム状洗顔料の多様化が進み、より優れた使用感を有するクリーム状洗顔料に対するニーズが高まってきている。そのため、高級脂肪酸塩と陰イオン性界面活性剤とともに、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルイミノジカルボン酸塩等の両性界面活性剤が使用されることが多くなっている。これらの両性界面活性剤は、高級脂肪酸塩、陰イオン性界面活性剤とともに使用することで、さらに起泡力を高め、洗浄後のつっぱり感を軽減し、より優れた使用感を有することが可能になる。しかし、これらの両性界面活性剤を使用すると、すすぎ時に不快な“ぬめり”が生じて、さっぱり感が損なわれる等の問題があった。
【0007】
上記のような問題を解決するため、近年では様々な合成界面活性剤を組み合せた皮膚洗浄剤が種々提案されている。例えば、アシルアミノ酸塩、アシルメチルタウリン塩及び多価アルコールを組み合せた皮膚洗浄剤(特許文献1)、アシルラクチレートとアシルメチルタウリン塩、アルキルエーテル硫酸塩等を組み合せたクレンジング組成物(特許文献2)、アシルアミノ酸塩とエーテルカルボン酸塩を組み合せた洗浄剤組成物(特許文献3)、特定のアルキル鎖を有するアミドプロピルベタインとエーテルカルボン酸塩を組み合せた低刺激性洗浄剤組成物(特許文献4)等が開示されている。しかしこれらの組成物はまだ起泡性が十分でなく、すすぎ時にぬめり感を感じることや洗浄後につっぱり感を感じること、あるいは経時的に軟らかくなること等、様々な問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−226921号
【特許文献2】特開平6−40850号
【特許文献3】特開平6−25695号
【特許文献4】特開平8−183993号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決し、起泡性に優れ、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感が少なく、さらに経時安定性に優れたクリーム状洗顔料を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記事項に鑑みて鋭意検討した結果、クリーム状洗顔料中に下記の(A)、(B)及び(C)を必須成分として含有し、(A)を0.5〜10重量%、(B)を10〜50重量%、(C)を0.5〜5重量%配合することで、起泡性に優れ、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感が少ないクリーム状洗顔料を提供できることを発見した。また、このクリーム状洗顔料中に、(D)平均分子量が1000〜4000のポリエチレングリコールを1〜5重量%配合することで、さらに経時安定性を向上できることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は下記の(A)、(B)及び(C)を含有し、(A)が0.5〜10重量%、(B)が10〜50重量%、(C)が0.5〜5重量%であることを特徴とするクリーム状洗顔料を提供する発明である。
(A)化学式(1)で示されるカルボベタイン型両性界面活性剤。
(B)高級脂肪酸塩。
(C)化学式(2)で示されるアシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤。
【0012】
【化1】

(式中Rは炭素数8〜20のアルキル基を示す。)
【0013】
【化2】

(式中RCOは炭素数8〜20のアシル基を示し、Mはアルカリ金属原子又は1/2アルカリ土類金属原子を示す。)
【0014】
本発明は上記クリーム状洗顔料の経時安定性をさらに向上させるために、(D)平均分子量が1000〜4000のポリエチレングリコールを1〜5重量%配合することを特徴とするクリーム状洗顔料を提供する発明である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、起泡性に優れ、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感が少なく、さらに経時安定性に優れたクリーム状洗顔料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
【0017】
本発明に用いられる(A)成分は化学式(1)で示されるカルボベタイン型両性界面活性剤であり、洗浄後のつっぱり感の軽減及び経時安定性の向上の目的で配合される。式中のRは炭素数8〜20のアルキル基である。炭素数が8未満では洗浄後の感触が悪くなる場合があり、炭素数が20を超えると経時安定性が悪くなる場合がある。本発明において(A)成分の配合量は0.5〜10重量%が好ましい。0.5重量%未満では、つっぱり感を感じる場合があり、10重量%を超えるとぬめり感を感じる場合がある。また、(A)成分は水溶液としても本発明中に問題なく配合することができる。
【0018】
(A)成分の市販品としては、ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシン水溶液(川研ファインケミカル(株)製「ソフタゾリンLMEB」)等が挙げられる。
【0019】
本発明に用いられる(B)成分は高級脂肪酸塩である。高級脂肪酸塩としては、特に限定されないが、あらかじめ中和された高級脂肪酸塩を配合しても、また高級脂肪酸と塩基を中和することにより高級脂肪酸塩を形成させて配合しても良い。また、脂肪酸としては、飽和、不飽和もしくは直鎖、分岐のいずれの脂肪酸でも用いることができる。例えば炭素数12のラウリン酸から炭素数22のベヘニン酸等の単一の脂肪酸や、ヤシ油脂肪酸等の混合脂肪酸が挙げられる。また、脂肪酸塩を生成するための塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール等のアルカノールアミン等が挙げられる。特に起泡性の観点から、水酸化カリウムが好ましい。これらの高級脂肪酸塩、高級脂肪酸、塩基のうちそれぞれ1種又は2種以上を本発明のクリーム状洗顔料に配合できる。本発明において(B)成分の配合量は10〜50重量%が良い。10重量%未満では、軟らかくなるためクリーム状にならない場合があり、起泡性が悪くなる場合がある。また、50重量%を超えると硬くなりすぎ、つっぱり感が強くなる場合がある。
【0020】
本発明に用いられる(C)成分は、化学式(2)で示されるアシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤であり、起泡性向上の目的で配合される。式中のRCOはアシル基であり、炭素数8〜20の直鎖あるいは分岐の脂肪酸残基である。脂肪酸としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物であるヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸が挙げられる。これらのうち好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸であり、さらに好ましくはラウリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸が挙げられる。炭素数が8未満では泡質が悪くなる場合があり、炭素数が20を超えると経時安定性及び起泡性が悪くなる場合がある。本発明において(C)成分の配合量は0.5〜5重量%が好ましい。0.5重量%未満では、起泡性が悪くなる場合があり、5重量%を超えると硬度が低くなる場合がある。また、(C)成分は水溶液としても本発明中に問題なく配合することができる。
【0021】
本発明の(C)成分において、化学式(2)中のMはアルカリ金属原子又は1/2アルカリ土類金属原子を示し、例えば、カリウム、ナトリウム、1/2マグネシウム、1/2カルシウム、アンモニウム、トリエタノールアンモニウム、リジンの陽イオン性残基、アルギニンの陽イオン性残基等が挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、1/2マグネシウムである。
【0022】
(C)成分の市販品としては、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム水溶液(日本油脂(株)製「ダイヤポンK−SF」、クラリアントジャパン(株)製「ホスタポンLTペーストJ」)、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンマグネシウム水溶液(日本油脂(株)製「ダイヤポンK−MG」)等が挙げられる。
【0023】
本発明に用いられる(D)成分は、平均分子量が1000〜4000のポリエチレングリコールであり、経時安定性の向上の目的で配合される。平均分子量が1000未満や4000を超えると経時安定性向上の効果が低い場合がある。また平均分子量が4000を超えるとポリエチレングリコールの融点が高くなるため配合し難くなる場合がある。(D)成分として具体的には、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール1500、ポリエチレングリコール4000などが挙げられる。本発明において(D)成分の配合量は1〜5重量%が好ましい。1重量%未満及び5重量%を超えると経時安定性向上の効果が低くなる場合がある。
【0024】
本発明のクリーム状洗顔料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて前記必須成分以外の各種成分、例えば油脂、ロウ類、炭化水素、脂肪酸、有機酸、アルコール、エーテル、エステル油、シリコーン油、フッ素油、多価アルコール、糖類、高分子、界面活性剤、粉体、色材、植物・海藻エキス、アミノ酸、ジベプチド、たんぱく質、ビタミン、紫外線吸収剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、水などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0025】
以下に実施例を挙げてさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、各実施例、比較例の処方量は重量%である。また、表中( )内の数値は界面活性剤としての含有量を表す。
表1〜6に示すクリーム状洗顔料を調製し、下記の方法により評価を行った。結果を表1〜6に示す。
【実施例】
【0026】
(クリーム状洗顔料の評価)
本発明のクリーム状洗顔料を以下の(1)〜(4)の項目にて評価した。
(1)起泡性の評価
25mL共栓試験管に各試料が5重量%となるように希釈した水溶液2gを入れて15秒間振とうし、振とう停止から1分後に泡の高さを測定し、起泡性として次のように評価した。
○:泡の高さ6cm以上
△:泡の高さ4cm以上6cm未満
×:泡の高さ4cm未満
【0027】
(2)ぬめり感の評価
専門のパネラー5名により、官能試験によって評価した。各試料1gを泡立て、顔面を洗浄し、水で洗い流した後のぬめり感を以下の基準で評価し、その平均値を評価値とした。
5点:ぬめり感無し
3点:ぬめり感やや有り
1点:ぬめり感有り
(表記方法)
評価値を以下の表記方法で表1〜6に示した。
○:3.5点以上
△:2.0点以上3.5点未満
×:2.0点未満
【0028】
(3)つっぱり感の評価
(2)の評価に続いて、つっぱり感について評価した。
5点:つっぱり感無し
3点:つっぱり感やや有り
1点:つっぱり感有り
(表記方法)
評価値を(2)と同様の表記方法で表1〜6に示した。
【0029】
(4)経時安定性の評価
各試料を透明ガラス容器に密封して、常温、40℃、−4℃で1ヶ月保存し、その外観を常温保存品と比較観察して、次のように評価した。
◎:常温保存品と比較して、外観の変化なし 非常に良い
○:常温保存品と比較して、外観がやや変化する 良い
△:常温保存品と比較して、外観が変化する やや悪い
×:常温保存品と比較して、外観の変化が著しい 悪い
【0030】
【表1】

※1:川研ファインケミカル(株)製「ソフタゾリンLMEB」
※2:日本油脂(株)製「ダイヤポンK−SF」
【0031】
上記表1に記載の(B)成分、トリポリりん酸ナトリウム、ステアリン酸グリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール及び精製水を混合、加熱し、80℃で均一になるまで撹拌し、その後(A)及び(C)成分を添加し、均一になるまで撹拌した後冷却して、クリーム状洗顔料を調製した。
【0032】
表1に示す結果のように、カルボベタイン型両性界面活性剤であるヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンを0.5〜10重量%の範囲で配合したクリーム状洗顔料は起泡性に優れ、洗浄後のぬめり感、つっぱり感が少なく、経時安定性が良好であった。これに対して、ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンを0.27重量%配合したクリーム状洗顔料は、洗浄後のつっぱり感が強く、経時安定性がやや悪かった。また、ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンを12.15重量%配合したクリーム状洗顔料は、洗浄後のぬめり感が強かった。
【0033】
【表2】

【0034】
上記表2に記載の(B)成分、トリポリりん酸ナトリウム、ステアリン酸グリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール及び精製水を混合、加熱し、80℃で均一になるまで撹拌し、その後(A)及び(C)成分を添加し、均一になるまで撹拌した後冷却して、クリーム状洗顔料を調製した。
【0035】
表2に示す結果のように、高級脂肪酸塩であるミリスチン酸カリウムを10〜50重量%の範囲で配合したクリーム状洗顔料は起泡性に優れ、洗浄後のぬめり感、つっぱり感が少なく、経時安定性が良好であった。これに対して、ミリスチン酸カリウムを5重量%配合したクリーム状洗顔料は、起泡性が悪く、経時安定性が悪かった。また、ミリスチン酸カリウムを60重量%配合したクリーム状洗顔料は、つっぱり感が強く、経時安定性が悪かった。
【0036】
【表3】

【0037】
上記表3に記載の(B)成分、トリポリりん酸ナトリウム、ステアリン酸グリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール及び精製水を混合、加熱し、80℃で均一になるまで撹拌し、その後(A)及び(C)成分を添加し、均一になるまで撹拌した後冷却して、クリーム状洗顔料を調製した。
【0038】
表3に示す結果のように、アシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤であるヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムを0.5〜5重量%の範囲で配合したクリーム状洗顔料は起泡性に優れ、洗浄後のぬめり感、つっぱり感が少なく、経時安定性が良好であった。これに対して、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムを0.15重量%配合したクリーム状洗顔料は、起泡性が悪かった。また、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウムを6重量%配合したクリーム状洗顔料は、洗浄後につっぱり感をやや感じ、経時安定性がやや悪かった。
【0039】
【表4】

※3:日本油脂(株)製「PEG#1500」
【0040】
上記表4に記載の(B)成分、(D)成分、トリポリりん酸ナトリウム、ステアリン酸グリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール及び精製水を混合、加熱し、80℃で均一になるまで撹拌し、その後(A)及び(C)成分を添加し、均一になるまで撹拌した後冷却して、クリーム状洗顔料を調製した。
【0041】
表4に示す結果のように、平均分子量が1000〜4000の範囲内のポリエチレングリコールであるポリエチレングリコール1500を1〜5重量%の範囲で配合した実施例12〜14のクリーム状洗顔料は実施例9と比較して、起泡性、洗浄後のぬめり感、つっぱり感及び経時安定性の各項目は同様に良好であった。特に経時安定性は実施例9と比較して明らかに向上した。これに対して、ポリエチレングリコール1500を0.1重量%配合した場合や10重量%配合した場合は経時安定性が改善されなかった。この結果より、平均分子量が1000〜4000の範囲内のポリエチレングリコールを1〜5重量%配合すると、クリーム状洗顔料の経時安定性がさらに向上することが明らかとなった。
【0042】
【表5】

※4:日本油脂(株)製「PEG#1000」
※5:日本油脂(株)製「PEG#4000」
※6:日本油脂(株)製「PEG#600」
※7:日本油脂(株)製「PEG#6000」
【0043】
上記表5に記載の(B)成分、(D)成分(又はポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール6000)、トリポリりん酸ナトリウム、ステアリン酸グリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール及び精製水を混合、加熱し、80℃で均一になるまで撹拌し、その後(A)及び(C)成分を添加し、均一になるまで撹拌した後冷却して、クリーム状洗顔料を調製した。
【0044】
表5に示す結果のように、ポリエチレングリコールを配合していない実施例17と比較してポリエチレングリコールの平均分子量が1000〜4000の範囲外であるポリエチレングリコール600やポリエチレングリコール6000を配合した実施例20及び21のクリーム状洗顔料は、経時安定性の改善は見られなかった。それに対し、実施例17にポリエチレングリコール1000又は4000を5重量%配合した実施例18及び19は経時安定性の向上が見られた。この結果より、平均分子量が1000〜4000の範囲内のポリエチレングリコールを配合することによって経時安定性がさらに向上することが明らかとなった。
【0045】
【表6】

※8:川研ファインケミカル(株)製「ソフタゾリンLHL」
※9:松本油脂製薬(株)製「ビスターLAP」
※10:川研ファインケミカル(株)製「ソフタゾリンLSB」
【0046】
上記表6に記載の(B)成分、(D)成分、トリポリりん酸ナトリウム、ステアリン酸グリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール及び精製水を混合、加熱し、80℃で均一になるまで撹拌し、その後(A)成分(又はラウロアンホ酢酸ナトリウム水溶液、ラウラミドプロピルベタイン水溶液、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン水溶液)及び(C)成分を添加し、均一になるまで撹拌した後冷却して、クリーム状洗顔料を調製した。
【0047】
表6に示す結果のように、ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシンを1.35重量%配合したクリーム状洗顔料は起泡性に優れ、洗浄後のぬめり感、つっぱり感は少なく、経時安定性も良好であった。これに対して他の両性界面活性剤を配合したクリーム状洗顔料は、それぞれに問題があった。ラウロアンホ酢酸ナトリウムを1.35重量%配合した場合は、起泡性が悪く、ぬめり感がやや強かった。ラウラミドプロピルベタインを1.35重量%配合した場合は、ぬめり感が強く、経時安定性が悪かった。ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインを1.35重量%配合した場合は、起泡性がやや悪く、ぬめり感が強く、経時安定性が悪かった。
【0048】
以上に示す結果から明らかなように、起泡性に優れ、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感が少なく、さらに経時安定性に優れたクリーム状洗顔料を提供するためには、カルボベタイン型両性界面活性剤が0.5〜10重量%、高級脂肪酸塩が10〜50重量%、アシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤が0.5〜5重量%配合することが不可欠であり、平均分子量が1000〜4000のポリエチレングリコールを1〜5重量%配合することによりさらに経時安定性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明により、起泡性に優れ、すすぎ時のぬめり感や洗浄後のつっぱり感が少なく、さらに経時安定性に優れたクリーム状洗顔料を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)、(B)及び(C)を含有し、(A)が0.5〜10重量%、(B)が10〜50重量%、(C)が0.5〜5重量%であることを特徴とするクリーム状洗顔料。
(A)化学式(1)で示されるカルボベタイン型両性界面活性剤。
(B)高級脂肪酸塩。
(C)化学式(2)で示されるアシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤。
【化1】

(式中Rは炭素数8〜20のアルキル基を示す。)
【化2】

(式中RCOは炭素数8〜20のアシル基を示し、Mはアルカリ金属原子又は1/2アルカリ土類金属原子を示す。)
【請求項2】
平均分子量が1000〜4000のポリエチレングリコールを1〜5重量%含有することを特徴とする請求項1記載のクリーム状洗顔料。


【公開番号】特開2011−213693(P2011−213693A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85943(P2010−85943)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】