説明

クリーンドラフトと処理用容器と処理装置

【課題】 簡易な構成で、室内に設置され科学機材を用いることをできるクリーンドラフトを提供しようとする。
【解決手段】
従来の室内に設置され科学機材を用いるためのクリーンドラフトにかわって、科学機材を収納可能な作業空間の下側を覆う作業面を形成する下部構造を有する架台と、前記作業空間の側部と上部とを覆い横側に前記作業空間と室内とを連通可能な開口部を設けられたフードと、前記開口部を各々に閉止しまたは開放することをでき間に隙間空間を挟んだ二重扉と、室内の雰囲気を前記作業空間の中に案内する吸気配管系と、前記作業空間の中の気体を排気する第一排気配管系と、前記隙間空間の中の気体を排気する第二排気配管系と、を備えるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内に設置され科学機材を用いるためのクリーンドラフトと内部で試料を科学処理させるための処理用容器とそれらを組み合わせた処理装置とに係る。特に、内部に流れる気体の流路の構成に特徴のあるクリーンドラフトと処理用容器と処理装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
科学機材を用いるのに室内に設置されたクリーンドラフトを用いる。
例えば、半導体の製造設備や検査設備において、クリーンルーム内に設置されるクリーンドラフトが用いられる。
半導体用の基板を化学処理させるために、処理容器をクリーンドラフト内に設置して、処理容器により基板を化学処理する。
化学処理する際に、処理容器からかならずしも人体に無害でないガス等がもれることがある。
一般的に、クリーンドラフトの内部の気圧を室内の気圧よりも低くして、さらに、気体の流れをクリーンドラフトの内部につくる。そのため、室内の雰囲気が、クリーンドラフトの内部に流れ込む。
化学処理等を、高度なクリン度を保った雰囲気中で行いたい場合がある。
その様な場合、クリーンベンチとしての機能をもったクリーンドラフトをクリーンルーム内に設置して用いる。
【0003】
クリーンルーム内の雰囲気は、クリーンドラフトの天井に設けられたフィルタを通過して、クリーンドラフトの内部に流れる。
しかし、クリーンルーム内の雰囲気が、クリーンドラフトに存在する隙間からもクリーンドラフト内へ進入する。特に、クリーンドラフトに室内の雰囲気に連通する扉のついた開口部が設けられている場合、扉をあけると、室内の雰囲気がクリーンドラフト内へ侵入する。
化学処理に要求されるクリーン度がクリーンルーム内のクリーン度よりも高い場合には、この様なクリーンドラフトでは要求させるクリーン度を維持できなかった。
仮に、クリーンドラフトの内部の圧力を室内の圧力よりも高くすると、クリーンドラフト内のクリーン度を高く維持することが容易になるが、クリーンドラフト内の雰囲気が室内に漏れてしまうという不具合が想定される。
【0004】
例えば、半導体や液晶の製造設備や検査設備において、基板処理装置が使用される。
基板処理装置は、基板を検査するために前処理をする装置である。例えば、基板は、半導体ウエハー、液晶基板等の基板である。半導体ウエハーは、シリコン、ガリウム、炭化ケイ素等のウエハーである。
基板処理査装置は、基板のコンタミネーションを防止するために、簡易で確実な機構が要求される。
また、一部の基板処理装置が、半導体ウエハーの表面に形成された酸化膜や窒化膜等の薄膜の中の、超微量金属元素(例えば、ナトリウム、カリウム、鉄等)の不純物の量を正確に測定する前処理に用いられる。この基板処理装置では、基板を正確に位置決めすることが、不純物の量を正確に測定するために重要である。
【0005】
半導体ウエハーの表面の不純物を正確に測定する目的とその方法を簡単に説明する。
半導体ウエハーの表面に形成された酸化膜や窒化膜等の薄膜中に、不純物が含まれていいると、その不純物の量が微量であっても、半導体素子の電気的特性に大きな影響を与える。
従って、半導体素子の製造設備において、ウエハー表面から不純物の混入をできる限り抑制することが要請されている。
そのために、半導体ウエハーの表面に存在する不純物の量を正確に測定することが行われている。
最近、ウエハー表面に存在する不純物の量を測定するのに用いられていた二次イオン質量分析法やオージェ分光分析法や中性子放射化分析法に代わって、ふっ化物溶液を持ちいて、不純物の量を測定する。例えば、ふっ化物溶液はHF(ふっ化水素)水溶液である。
シリコンウエハーの表面の酸化膜をHF(ふっ化水素)水溶液で溶解する処理をおこなった後で、そのHF(ふっ化水素)水溶液を捕集して、HF(ふっ化水素)水溶液中の不純物を分析することが行われる。捕集したHF(ふっ化水素)水溶液の量が少なくすると、不純物の濃度が高くなり、測定精度が向上するという特徴を有する。
【0006】
基板の酸化膜をHF(ふっ化水素)水溶液で溶解する薄膜溶解法は、種々提唱されており、その代表的なものとして、気相分解法(VPD)と液滴分解法(DADD)がある。
気相分解法(VPD)では、HF(ふっ化水素)水溶液の蒸気に基板を曝し、基板の酸化層を溶解する。
液滴分解法(DADD)では、基板の表面にHF(ふっ化水素)水溶液を滴下し、液滴により基板の酸化膜を溶解する。
その後で、基板の表面にHF(ふっ化水素)水溶液またはHF・HО混合水の液滴を滴下し、その液滴を基板の表面に付着したまま移動する。液滴に酸化膜の中の不純物が捕集される。その液滴中の不純物の量を計測することにより、基板表面の不純物の量を検査する。
【0007】
クリーンルームに据え付けられたクリーンドラフトの内部で、上記の気相分解法(VPD)や液滴分解法(DADD)を用いて、基板を処理する際には、クリーンドラフトの内部の気体をクリーンルームへ洩らさず、クリーンルーム内のクリーン度の低い雰囲気を直接にクリーンドラフトへ入れないようにすることを要請される。
【0008】
【特許文献1】特開平02−272359号
【特許文献2】特開平02−028533号
【特許文献3】特開平08−233709号
【特許文献4】特開平02−229428号
【特許文献5】特開2001−205110号
【特許文献6】特開2005−038950号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構成で、室内に設置され科学機材を用いることをできるクリーンドラフトと内部で試料を化学処理させることをできる処理用容器と室内に設置され試料を化学処理させることをできる処理装置とを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る室内に設置され科学機材を用いるためのクリーンドラフトを、科学機材を収納可能な作業空間の下側を覆う作業面を形成する下部構造を有する架台と、前記作業空間の側部と上部とを覆い横側に前記作業空間と室内とを連通可能な開口部を設けられたフードと、前記開口部を各々に閉止しまたは開放することをでき間に隙間空間を挟んだ二重扉と、室内の雰囲気を前記作業空間の中に案内する吸気配管系と、前記作業空間の中の気体を排気する第一排気配管系と、前記隙間空間の中の気体を排気する第二排気配管系と、を備えるものとした。
【0011】
上記本発明の構成により、架台の下部構造が、科学機材を収納可能な作業空間の下側を覆う作業面を形成する。フードが、前記作業空間の側部と上部とを覆い、横側に前記作業空間と室内とを連通可能な開口部を設けられる。間に隙間空間を挟んだ二重扉が、前記開口部を各々に閉止しまたは開放することをでき。吸気配管系が、室内の雰囲気を前記作業空間の中に案内する。第一排気配管系が、前記作業空間の中の気体を排気する。第二排気配管系が、前記隙間空間の中の気体を排気する。
その結果、二重扉が前記開口部を閉止しているときには、室内の雰囲気が吸気配管系を経由して作業空間へ入り、作業空間の気体が第一排気配管系を経由して排気される。また、室内から隙間空間に漏れた雰囲気は、第二排気配管を経由して排気される。また、作業空間から隙間空間へ漏れた気体は、第二排気配管を経由して排気される。
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係るいくつかのクリーンドラフトを説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0013】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記第一排気配管系が前記作業空間の中の気体を下方へ排気し、前記第二排気配管系が前記隙間空間の中の気体を下方へ排気する。
上記実施形態の構成により、作業空間の中の気体が下方へ排気されれ、前記隙間空間の中の気体が下方へ排気される。その結果、二重扉が前記開口部を開放すると、作業空間の気体が作業面へ下がって排気され、また作業空間の気体が隙間空間を経由して排気され、室内の雰囲気が隙間空間を経由して排気されるので、作業空間の気体が室内に流れるのを抑制する。
【0014】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記下部構造が前記作業面に連なり下方に凹んだ第一窪みを形成し、前記第一排気配管系が前記第一窪みの中の気体を排気する。
上記実施形態の構成により、作業空間の下側が作業面と前記作業面に連なり下方に凹んだ第一窪みで形作られ、前記第一窪みの中の気体を排気する。その結果、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって第一窪みに入り、第一排気配管系を経由して排気される。
【0015】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記下部構造が前記隙間空間に連通し前記開口部の最も低いの箇所よりも下方に凹んだ第二窪みを形成し、前記第二排気配管系が前記第二窪みの中の気体を排気する。
上記実施形態の構成により、隙間空間の下部に繋がる空間が前記開口部の最も低いの箇所よりも下方に凹んだ第二窪みで形成され、前記第二窪みの中の気体を排気する、その結果、前記隙間空間の中の気体が、開口部の最も低い箇所へ下がって第二窪みに入り、第二排気配管系を経由して排気される。
【0016】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記吸気配管系が室内の雰囲気と前記作業空間とを連通する吸気配管と前記吸気配管の途中に設けられ前記作業空間の側へ送気する送風機とを有する。
上記実施形態の構成により、送風機が途中に設けられた吸気配管が室内の雰囲気と前記作業空間とを連通する。その結果、室内の雰囲気を加圧して作業空間へ送気することをできる。
【0017】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記送風機の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整可能である。
上記実施形態の構成により、前記送風機の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整される。その結果、送風機の圧力又は風量を調整して、室内の雰囲気と作業空間との差圧を調整できる。
【0018】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記送風機の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力と室内の圧力の差圧を所定の指令値にする様に制御される。
上記実施形態の構成により、前記送風機の送気する圧力又は風量が制御され、前記作業空間の圧力と室内の圧力の差圧を所定の指令値にする。その結果、室内の雰囲気と作業空間との差圧を所定の値に維持できる。
【0019】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記架台が前記作業面に流れる液体を排出する排液配管と前記第一窪みへ液体が流れないための仕切り板とを有する。
上記実施形態の構成により、排水配管が前記作業面に流れる液体を排水しても、仕切り板により前記第一窪みへ液体が流れない。その結果、作業空間を簡易に洗浄できる。
【0020】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記作業面が前記開口部の最も低い箇所より低い位置に形成され、前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記開口部の最も低い箇所の高さより下方から排気する。
上記実施形態の構成により、前記開口部の最も低い箇所より低い位置に科学機材を搭載可能な作業面が形成される。前記作業空間の内部の気体が前記開口部の最も低い箇所の高さより下方から排気される。その結果、作業面に搭載された科学機材の付近の気体が、開口部へ流れるのを抑制できる。
【0021】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記架台が前記作業面の上方に設けられ多くの貫通穴をあけられ科学機材を搭載可能な床板材を有し、前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記床板材より下方から排気する。
上記実施形態の構成により、前記上板構造の上方に設けられた多くの貫通穴をあけられた床板材が科学機材を搭載可能である。前記作業空間の内部の気体が前記床板材より下方から排気される。その結果、作業空間の気体が、床板材の貫通穴を通過して排気される。
【0022】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記架台が前記作業面の上方に設けられ多くの貫通穴をあけられ科学機材を搭載可能な床板材と前記床板材の高さを調整する調整部材とを有し、前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記床板材より下方から排気する。
上記実施形態の構成により、前記作業面の上方に設けられた多くの貫通穴をあけられた床板材が科学機材を搭載可能である。床板材の高さを調整可能である。前記作業空間の内部の気体が前記床板材より下方から排気される。その結果、作業空間の気体が床板材の貫通穴を通過して排気され、床板材の高さを調整すると、床板材の付近の気体が前記開口部へ流れるのを抑制できる。
【0023】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記架台が前記作業面の上方に設けられ多くの貫通穴をあけられ科学機材を搭載可能な床板材を有し、前記床板材の上面の高さが前記開口部の最も低い箇所の高さより低く、前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記床板材より下方から排気する。
上記実施形態の構成により、前記上板構造の上方に設けられた多くの貫通穴をあけられた床板材が科学機材を搭載可能である。床板材の上面の高さが前記開口部の最も低い箇所の高さより低い。前記作業空間の内部の気体が前記床板材より下方から排気される。その結果、作業空間の気体が床板材の貫通穴を通過して排気され、床板材の付近の気体が前記開口部へ流れるのを抑制できる。
【0024】
さらに、本発明の実施形態に係るクリーンドラフトは、前記架台が前記科学機材を上方から被い前記作業空間を上下に分かれて互いに連通する上部作業空間と下部作業空間とに区画する分離板を有し、第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記下部作業空間から排気する。
上記実施形態の構成により、前記作業空間が分離板により前記科学機材を収納する下部作業空間とその上に位置する上部作業空間に区画される。前記作業空間の内部の気体が前記下部作業空間から排気される。その結果、科学機材の付近の気体が上部作業空間に流れるのを抑制できる。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明に係る内部で試料を化学処理させるための処理用容器を、化学処理をさせる反応空間を覆い前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部を設けられ前記出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を形成する容器ケーシングと、所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を有し垂直方向に昇降自在に案内される扉と、を備え、前記扉を上昇させると、前記接合面と前記被接合面とが気密に接合する、ものとした。
【0026】
上記本発明の構成により、化学処理をさせる反応空間を覆い前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部を設けられた容器ケーシングが前記出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を形成する。所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を有する扉が垂直方向に昇降自在に案内される。前記扉を上昇させると、前記接合面と前記被接合面が気密に接合する。その結果、前記扉を上昇させると出入口部が閉じ、前記扉を下降させると、出入口部の前面が開放され、試料の出し入れを容易にできる。
【0027】
以下に、本発明の実施形態に係るいくつかの処理用容器を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0028】
さらに、本発明の実施形態に係る処理用容器は、前記容器ケーシングが前記出入口部の上方に設けられた前記扉の上部がくい込むことをできる被くい込み部を有し、前記扉を上昇させると、前記扉の上部が前記被くい込み部にくい込んで、前記接合面と前記被接合面が気密に接合する。
上記実施形態の構成により、前記扉の上部が前記容器ケーシングの前記出入口部の上方に設けられた被くい込み部にくい込むことをできる。前記扉を上昇させると、前記扉の上部が前記くい込み部にくい込んで、前記接合面と前記被接合面が気密に接合する。その結果、前記扉が容器ケーシングに確実に位置決めされ、前記接合面と前記被接合面との気密が確実になる。
【0029】
さらに、本発明の実施形態に係る処理用容器は、前記扉を垂直に昇降させるアクチエータと前記アクチエータの全周を囲って設けられ液体を貯留した貯留槽と前記アクチエータを上方から覆うアクチエータ覆いとを有する扉昇降機器を備え、前記アクチエータ覆いの下方の縁が前記貯留槽に貯留された液体に漬る。
上記実施形態の構成により、アクチエータが前記扉を垂直に昇降させる。前記アクチエータの全周を囲って設けられる貯留槽が液体を貯留する。アクチエータ覆いが前記アクチエータを上方から覆う。前記アクチエータ覆いの下方の縁が前記貯留槽に貯留された液体に漬っている。その結果、扉昇降機器が扉を昇降させる間、作業空間の気体が直動アクチエータに接触するのを防止できる。
【0030】
上記目的を達成するため、本発明に係る室内に設置され試料を化学処理させるための処理装置を、化学処理をさせる反応空間を覆い前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部を設けられ前記出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を形成する容器ケーシングと、所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を有し垂直方向に昇降自在に案内された扉と、を有し、前記扉を上昇させると、前記接合面と前記被接合面が気密に接合する処理用容器と、前記処理用容器を収納可能な作業空間の下側を覆う作業面を形成する下部構造を持つ架台と、前記作業空間の側部と上部とを覆い横側に前記作業空間と室内とを連通可能な開口部を設けられたフードと、前記開口部を各々に閉止しまたは開放することをでき間に隙間空間を挟んだ二重扉と、室内の雰囲気を前記作業空間の中に案内する吸気配管系と、前記作業空間の中の気体を排気する第一排気配管系と、前記隙間空間の中の気体を排気する第二排気配管系と、を有するクリーンドラフトと、を備えるものとした。
【0031】
上記本発明の構成により、処理用容器が容器ケーシングと扉とを有する。化学処理をさせる反応空間を覆い前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部を設けられた容器ケーシングが、前記出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を有する。垂直方向に昇降自在に案内される扉が、所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を有する。前記扉を上昇させると前記接合面と前記被接合面が気密に接合する。クリーンドラフトが作業台とフードと二重扉と吸気配管系と第一排気配管系と第二排気配管系とを有する。架台の下部構造が処理用容器を収納可能な作業空間の下側を覆う作業面を形成する。横側に前記作業空間と室内とを連通可能な開口部を設けられたフードが、前記作業空間の側部と上部とを覆う。間に隙間空間を挟んだ二重扉が、前記開口部を各々に閉止しまたは開放することをできる。吸気配管系が、室内の雰囲気を前記作業空間の中に案内する。第一排気配管系が、前記作業空間の中の気体を排気する。第二排気配管系が、前記隙間空間の中の気体を排気する。
その結果、前記扉を上昇させると出入口部が閉じ、前記扉を下降させると出入口部の前面が開放され、試料の出し入れが容易にできる。前記扉昇降機器が前記扉を下降させると出入口部が開き、内部に気体が作業空間に漏れるが、二重扉が前記開口部を閉止しているときには、室内の雰囲気が吸気配管系を経由して作業空間へ入り、作業空間の気体が第一排気配管系を経由して排気される。また、室内から隙間空間に漏れた雰囲気は、第二排気配管を経由して排気される。また、作業空間から隙間空間へ漏れた気体は、第二排気配管を経由して排気される。
【0032】
以下に、本発明の実施形態に係るいくつかの処理装置を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0033】
さらに、本発明の実施形態に係る処理装置は、前記架台が前記処理用容器を上方から被い前記作業空間を上下に分かれて互いに連通する上部作業空間と下部作業空間とに区画する分離板を持ち、第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記下部作業空間から排気する。
上記実施形態の構成により、前記処理用容器を上方から被う分離板が、前記作業空間を上部作業空間と下部作業空間とに区画する。前記作業空間の内部の気体が前記下部作業空間から排気される。その結果、容器ケーシングの出入口部からもれた気体が、下部作業空間から上部作業空間へ流れるのを抑制できる。
【0034】
さらに、本発明の実施形態に係る検査装置は、前記分離板が略矩形の前記開口部の下辺の位置から前記作業空間の中を水平に延びている。
上記実施形態の構成により、容器ケーシングの出入口部からもれた気体が、下部作業空間から上部作業空間に流れにくく、開口部を経由して室内に流れるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように本発明に係るクリーンドラフトは、その構成により、以下の効果を有する。
架台の下部構造の上方の作業空間をフードで覆い、間に隙間空間を挟んだ二重扉でフードの側面に設けられた開口部を開閉し、室内の雰囲気を作業空間に案内し、前記作業空間の中の気体を外部に排気し、前記隙間空間の中の気体を外部に排気する様にしたので、二重扉が前記開口部を閉止しているときには、室内の雰囲気が吸気配管系を経由して作業空間へ入り、作業空間の気体が第一排気配管系を経由して排気される。また、室内から隙間空間に漏れた雰囲気は、第二排気配管を経由して排気される。また、作業空間から隙間空間へ漏れた気体は、第二排気配管を経由して排気される。
また、作業空間の中の気体を下方に排気し、前記隙間空間の中の気体を下方に排気する様にしたので、二重扉が前記開口部を開放すると、作業空間の気体が上板構造へ下がって排気され、また作業空間の気体が隙間空間を経由して排気され、室内の雰囲気が隙間空間を経由して排気されるので、室内の雰囲気が作業空間のへ流れるのを抑制し、作業空間の気体が室内に流れるのを抑制する。
また、作業空間の下部が前記作業面と下方に凹んだ第一窪みとで覆われ、前記第一窪みの中の気体を排気する様にしたので、作業空間の中の気体が、作業面へ下がって第一窪みに入り、第一排気配管系を経由して排気される。
また、隙間空間の下方に前記開口部よりも下方に凹んだ第二窪みが形成され、前記第二窪みの中の気体を排気する様にしたので、前記隙間空間の中の気体が、第二窪みに入り、第二排気配管系を経由して排気される。
また、送風機を途中に設けられた吸気配管が室内の雰囲気と前記作業空間とを連通する様にしたので、室内の雰囲気を加圧して作業空間へ送気することをできる。
また、前記送風機の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整される様にしたので、送風機の圧力又は風量を調整して、室内の雰囲気と作業空間との差圧を調整できる。
また、前記送風機の送気する圧力又は風量が指定値に基づいて制御される様にしたので、室内の雰囲気と作業空間との差圧を所定の値に維持できる。
また、作業台の仕切り板により作業面に流す液体が前記第一窪みへ液体が流れない様にしたので、作業空間を簡易に洗浄できる。
また、前記開口部より低い位置に科学機材を搭載可能な作業面を形成し、前記作業空間の内部の気体を前記開口部より下方から排気する様にしたので、搭載された科学機材の付近の気体が、開口部へ流れるのを抑制できる。
また、科学機材を搭載可能な前記床板材が前記作業面の上方に設けられ、前記作業空間の内部の気体が前記床板材より下方から排気される様にしたので、作業空間の気体が、床板材の貫通穴を通過して排気される。
また、科学機材を搭載可能な前記床板材が前記作業面の上方に設けられ、前記作業空間の内部の気体が前記床板材より下方から排気される様にしたので、作業空間の気体が、床板材の貫通穴を通過して排気され、床板材の高さを調整すると、床板材の付近の気体が前記開口部へ流れるのを抑制できる。
また、科学機材を搭載可能な前記床板材が前記作業面の上方に設けられ、床板材の上面の高さを前記開口部より低くし前記作業空間の内部の気体が前記床板材より下方から排気される様にしたので、作業空間の気体が床板材の貫通穴を通過して排気され、床板材の付近の気体が前記開口部へ流れるのを抑制できる。
また、前記作業空間を分離板により前記科学機材を収納する下部作業空間と上部作業空間とに区画し、前記作業空間の内部の気体が前記下部作業空間から排気される様にしたので、科学機材の付近の気体が上部作業空間に流れるのを抑制できる。
【0036】
以上説明したように本発明に係る処理用容器は、その構成により、以下の効果を有する。
容器ケーシングの前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を設け、扉に所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を設け、前記扉を上昇させると、前記接合面と前記被接合面が気密に接合する様にしたので、前記扉を上昇させると出入口部が閉じ、前記扉昇降機器が前記扉を下降させると、出入口部の前面が開放され、試料の出し入れを容易にできる。
また、被くい込み部を容器ケーシンの出入口部の上方に設け、前記扉昇降機器が前記扉を上昇させると、前記扉の上部が前記被くい込み部にくい込んで、前記接合面と前記被接合面が気密に接合する様にしたので、前記扉が容器ケーシングに確実に位置決めされ、前記接合面と前記被接合面との気密が確実になる。
また、垂直に昇降させるアクチエータの周囲に水封機構を設けたので、扉昇降機器が扉を昇降させる間、作業空間の気体が直動アクチエータに接触するのを防止できる。
【0037】
以上説明したように本発明に係る処理装置は、その構成により、以下の効果を有する。
容器のケーシングの前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を設け、扉に所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を設け、前記扉を上昇させると、前記接合面と前記被接合面とが気密に接合する様にして、架台に搭載した処理用容器を収納する作業空間をフードで覆い、フードの側面に設けられた開口部を間に隙間空間を挟んだ二重扉で開閉し、室内の雰囲気を作業空間に案内し、前記作業空間の中の気体を排気し、前記隙間空間の中の気体を排気する様にしたので、前記扉を上昇させると出入口部が閉じ、前記扉を下降させると、出入口部の前面が開放され、試料の出し入れが容易にできる。容器ケーシングの内部の気体が作業空間に漏れる場合に、二重扉が前記開口部を閉止していれば、室内の雰囲気が吸気配管系を経由して作業空間へ入り、作業空間の気体が第一排気配管系を経由して排気される。また、室内から隙間空間に漏れた雰囲気は、第二排気配管を経由して排気される。また、作業空間から隙間空間へ漏れた気体は、第二排気配管を経由して排気される。
また、前記処理用容器を上方から被う分離板が、前記作業空間を上部作業空間と下部作業空間とに区画し、前記作業空間の内部の気体が前記下部作業空間から排気される様にしたので、容器ケーシングの出入口部からもれた気体が、下部作業空間から上部作業空間へ流れるのを抑制できる。
また、分離板を略矩形の前記開口部の下辺の位置から前記作業空間の中を水平に延ばしたので、容器ケーシングの出入口部からもれた気体が、下部作業空間から上部作業空間に流れにくく、開口部を経由して室内に流れるのを抑制できる。
従って、簡易な構造と方法とで測定精度をより向上させることのできるクリーンドラフトと処理用容器と処理装置とを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0039】
図1は、本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトの正面図である。図2は、本本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのA−A断面図である。図3は、本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのB−B断面図である。図4は、本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのC−C断面図である。図5は、本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのD−D断面図である。図6は、本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのE−E断面図である。
クリーンドラフト100は、室内に設置され科学機材5を用いるためのものであって、架台10とフード20と二重扉30と吸気配管系40と第一排気配管系50と第二排気配管系60とで構成される。
【0040】
架台10は、下部構造10aと上部構造10bと仕切り板14と排液配管15とで構成される。
下部構造10aは、科学機材5を収納可能な作業空間Hの下側を覆う作業面11を形成する。
上部構造10bは、後述するフード20や二重扉30や吸気配管系40を支持する構造体である。
作業面11が、後述する開口部Wの最も低い箇所より低い位置に形成されてもよい。
例えば、開口部Wが略矩形である場合に、作業面11が、開口部Wの下辺より低い位置に形成される。
例えば、開口部Wが上下を下桟23と上桟24とで挟まれた略矩形の形状である場合に、作業面11が下桟23よりも低い位置に設けられる。
架台10が、作業面11に連なり下方に凹んだ第一窪み12を形成してもよい。
例えば、第一窪み12は、作業面11の奥側に設けられ、左右方向に長く深い溝形の窪みである。
架台10が、後述する隙間空間Sに連通し開口部Wの最も低いの箇所よりも下方に凹んだ第二窪み13を形成してもよい。
例えば、開口部Wが略矩形である場合、第二窪み13は、開口の下辺の二重扉に挟まれた位置に設けられ、左右方向に長くて深い溝形の窪みである。
例えば、開口部Wが上下を下桟23と上桟24とで挟まれた略矩形の形状である場合に、第二窪み13は、第一扉31の下桟と第二扉32の下桟とに挟まれた位置に設けられ、左右方向に長くて深い溝形の窪みである。
排液配管15は、作業面に流れる液体を排出する配管である。
仕切り板14は、第一窪み12へ液体が流れないための板である。たとえば、仕切り板14は、第一窪みを囲んで作業面11に設けられた堰用の板または盛り上がり部である。
【0041】
フード20は、作業空間Hの側部と上部とを覆い、横側に作業空間Hと室内とを連通可能な開口部Wを設けられたものである。
例えば、フード20は、側板21と天井板22と構成される。
側板21は、作業空間Hの側部を覆う。
天井板22は、作業空間Hの上部を覆う。
側板21と天井板22とは、上部構造10bに支持される。
二重扉30は、開口部Wを各々に閉止しまたは開放することをでき、間に隙間空間Sを挟んだ扉であり、第一扉31と第二扉32とで構成される。
例えば、開口部Wが略矩形の形状を有し、第一扉31と第二扉32とは複数に分割された引き戸形式の扉である。第一扉31と第二扉32とは、下桟23と上桟24のガイド溝にはまって横方向にスライドできる。
隙間空間Sは、第一扉31と第二扉32とで挟まれた空間である。
【0042】
吸気配管系40は、室内の雰囲気を作業空間の中に案内する配管計である。
吸気配管系40は、室内の雰囲気を作業空間の中に上方から案内する配管系であってもよい。
例えば、吸気配管系40は、吸気配管41と送風機42とフィルタ43とで構成され、作業空間Hに上側に設けられる。
吸気配管41は、室内の雰囲気と作業空間Hとを連通する配管である。
例えば、吸気配管41は、一方を室内に開放し他方をブロアの吸い込み口に連通した第一吸気配管とブロアの吐出口に連通し吐出口を天井板22に開放した略6面体の箱形状の第二吸気配管とで構成される。
送風機42は、吸気配管の途中に設けられ作業空間Hの側へ送気する装置である。
例えば、送風機42は、ブロアである。
フィルタ43は、吸気配管41により作業空間Hへ案内される気体を濾す装置である。
例えば、フィルタ43は、吸気配管41の吐出口に設けられたヘパフィルタである。
ブロアが作動すると、室内の雰囲気が第一吸気配管に案内されて、ブロアで加圧されて、第二吸気配管41の内部に入る。第二吸気配管41に入った雰囲気は、ヘパフィルタ43を通過して、クリーン度の向上した気体となり、作業空間Hに上方から吹き込まれる。気体は、作業空間Hをダウンフローとなって、流れる。
【0043】
送風機42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力に応じて調整可能であってもよい。
例えば、ブロアの回転数を設定できる回転制御装置と、作業空間の圧力を確認できる圧力計が設けられる。
圧力計は、作業空間の圧力と室内の雰囲気を圧力の差圧を測定し表示する計器であってもよい。
捜査員が、圧力計の表示を見て、回転制御装置によりブロアの回転数を設定する。
この様にすると、捜査員は、作業空間Hの圧力を所望の値に設定できる。
例えば、捜査員は作業空間の圧力を設定し、作業空間Hと室内の雰囲気の差圧をゼロにできる。
例えば、捜査員は作業空間の圧力を設定し、作業空間Hの圧力が室内の圧力に比べで微小な負圧になる様にすることをできる。
【0044】
送風機42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力と室内の圧力の差圧を所定の指令値にする様に制御されてもよい。
例えば、ブロアの回転数を設定できる回転制御装置と、作業空間の圧力を確認できる圧力計が設けられる。
例えば、回転制御装置は、圧力計の測定した圧力値を基に、作業空間Hの圧力を所定の指令値にする様に、ブロアの回転数をフィードバック制御する。
例えば、作業空間Hと室内の雰囲気の差圧がゼロにする。
例えば、作業空間Hの圧力が室内の圧力に比べで微小な負圧になる様にする。
また、二重扉が開口部を開放したことを検知して送風機42の送気する圧力又は風量を一定値に固定し、二重扉が開口部を閉止したことを検知して送風機42の送気する圧力又は風量を作業空間Hの圧力と室内の圧力の差圧を所定の指令値にする様に制御してもよい。
二重扉の位置を検知することにより、二重扉が開口部を開放または閉止することを検知してもよい。
【0045】
第一排気配管系50は、作業空間Hの中の気体を排気する配管系である。
第一排気配管系50は、作業空間Hの中の気体を下方へ排気してもよい。
第一排気配管系50は、第一窪み12の中の気体を排気してもよい。
例えば、第一排気配管系50は、第一配管51と第一ダンパ52とで構成される。
第一配管51は、室内に設けられた負圧ラインと連通可能な外部フランジ53と第一窪み12とを連通する配管である。
第一ダンパ52は、第一配管51の途中に設けられたダンパである。第一ダンパ52は、手動により、その開度を調整可能である。
【0046】
第二排気配管系60は、隙間空間Sの中の気体を排気する配管系である。
第二排気配管系60は、隙間空間Sの中の気体を下方へ排気してもよい。
第二排気配管系60は、第二窪み13の中の気体を排気してもよい。
例えば、第二排気配管系60は、第二配管61と第二ダンパ62とで構成される。
第二配管61は、室内に設けられた負圧ラインと連通可能な外部フランジ53と第二窪み13とを連通する配管である。
第二ダンパ62は、第二配管61の途中に設けられたダンパである。第二ダンパ62は、手動により、その開度を調整可能である。
クリーンドラフトを使用する場所での排気装置の吸引圧力や諷量が一定でないので、設置した際に、第一ダンパ52の開度と第二ダンパ62との開度とを調整することにより、第一排気配管系50と第二排気配管系60の各々の吸引力や吸引する風量を調整する。
例えば、二重扉30が開口部Wを開放した状態において、第一排気配管系50の吸引圧力が、第二排気配管系60の吸引圧力よりも高くなる様に、設定する。
例えば、二重扉30が開口部Wを開放した状態において、作業空間Hの気体を排気する吸引圧力が、隙間空間の気体を排気する吸引圧力よりも高くなる様に、設定する。
例えば、二重扉30が開口部Wを開放した状態において、第一窪み12の上部での圧力が第二窪み13の上部での圧力よりも高くなるように、設定する。
この様にすれば、二重扉30が開口部Wを開放した状態において、作業空間の気体の一部が隙間空間Sの下部に流れ込み、室内の雰囲気が作業空間Hへ流れるのを抑制できる。
第一ダンパ52の開度と第二ダンパ62との開度を調整するには、手動でおこなう場合と自動で行う場合とがある。
第一扉31と第二扉32の両方が、開口部Wを閉じると、僅かの量の雰囲気が、室内から第一扉31と開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Sに流れ込む。さらに、僅かの量の気体が、作業空間Hから第二扉32と開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Sに流れ込む。
【0047】
以下に、本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトの作用を説明する。
室内がクリンルームであり、送風機42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力を室内の圧力との差圧をゼロとする様に制御されている場合を例に、説明する。
吸気配管系が、クリンルームの気体を作業空間Hに上方から流し、第一排気配管系50が第一窪み12から気体を排気し、第二排気配管系60が第二窪み13から気体を排気しする場合を、説明する。
【0048】
クリーンドラフト100をクリンルームに納める。
科学機材5が、作業面11に搭載される。
第一扉31と第二扉32との両方が、開口部Wを閉じる。
クリンルームの雰囲気が、吸気配管系により、作業空間Hに上方から流れ込む。
作業空間Hの気体が、第一排気配管系50により、第一窪み12から吸い出される。
クリーン度の高い気体が、作業空間Hを上から下へ流れ、第一窪み12へ流れ込む。
僅かの量の雰囲気が、室内から第一扉31と開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Sに流れ込む。さらに、僅かの量の気体が、作業空間Hから第二扉32と開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Sに流れ込む。
その様にするので、クリンルームの雰囲気が直接に作業空間Hへ進入することを抑制できる。また、作業空間Hの気体がクリンルームの雰囲気へ混じるのを抑制できる。
【0049】
第一扉31と第二扉32との両方が、開口部Wを開放する。
吸気配管系が、ブロアの回転数を制御して、作業空間Hの圧力をクリンルームの圧力に比べ等しいか僅かに負圧にする様に制御する。
ブロアの能力が小さい場合には、吸気配管系が、ブロアの回転数を制御して、作業空間Hの圧力をクリンルームの圧力に比べてて負圧にする様に制御する。
クリーンルームの雰囲気が、開口部Wから隙間空間Sへ侵入し、第二窪み13へ吸い込まれる。
作業空間Hの気体の一部が、開口部Wから隙間空間Sへ侵入し、第二窪み13へ吸い込まれる。
その様にするので、クリンルームの雰囲気が直接に作業空間Hへ進入することを抑制できる。また、作業空間Hの気体がクリンルームの雰囲気へ混じるのを抑制できる。
第一ダンパ52と第二ダンパ62を最適に調整することで、クリンルームの雰囲気が作業空間Hに直接に侵入する量を最小にでき、作業空間Hの気体が直接にクリンルームへ漏れる量を最小にすることをできる。
【0050】
洗浄液で作業空間Hを洗浄すると、洗浄液は作業面11に落ちて、排液配管15により外部へ排出される。
【0051】
次に、本発明の第二の実施形態に係るクリーンドラフを、図を基に、説明する。
図7は、本発明の第二の実施形態に係るクリーンドラフトのA−A断面図である。図8は、本発明の第二の実施形態に係るクリーンドラフトのD−D断面図である。
【0052】
クリーンドラフト100は、室内に設置され科学機材5を用いるためのものであって、
架台10とフード20と二重扉30と吸気配管系40と第二排気配管系60とで構成される。
フード20と二重扉30と吸気配管系40と第一排気配管系50と第二排気配管系60との構成は、第一の実施形態に係るドラフトチャンバのものと同じなので、説明を省略する。
【0053】
架台10は、下部構造10aと上部構造10bと仕切り板14と排液配管15と床板材16と調整部材17と分離板18とで構成される。
下部構造10aは、科学機材5を収納可能な作業空間Hの下側を覆う作業面11を形成する。
上部構造10bは、後述するフード20と吸気配管系、その他を支持する構造である。
作業面11が、後述する開口部Wの最も低い箇所より低い位置に形成されてもよい。
例えば、開口部Wが略矩形である場合に、作業面11が、開口部Wの下辺より低い位置に形成される。
例えば、開口部Wが上下を下桟23と上桟24とで挟まれた略矩形の形状である場合に、作業面11が下桟23より低い位置に形成される。
架台10が、作業面11に連なり下方に凹んだ第一窪み12を形成してもよい。
例えば、第一窪み12は、作業面11の奥側に設けられ、左右方向に長く深い溝形の窪みである。
架台10が、後述する隙間空間Sに連通し開口部Wの最も低いの箇所よりも下方に凹んだ第二窪み13を形成してもよい。
例えば、開口部Wが略矩形である場合、第二窪み13は、開口部の下辺で二重扉に挟まれた位置に設けられ、左右方向に長くて深い溝形の窪みである。
例えば、開口部Wが上下を下桟23と上桟24とで挟まれた略矩形の形状である場合に、第二窪み13は、第一扉31の下桟と第二扉32の下桟とに挟まれた位置に設けられ、左右方向に長くて深い溝形の窪みである。
さらに、架台10が、排水配管15と仕切り板14とを備えていてもよい。排液配管15は、作業面に流れる液体を排出する配管である。仕切り板14は、第一窪み12へ液体が流れないための板である。
【0054】
床板材16は、作業面11の上方に設けられ多くの貫通穴をあけられた科学機材5を搭載可能な板材である。
例えば、床板材16は、作業面11の上方に設けられた貫通穴が等間隔で設けられた板材である。貫通孔は、矩形、円形、多角形等の形状を有する。
床板材16の上面の高さが、開口部の最も低い箇所の高さより低くてもよい。
例えば、開口部Wが略矩形である場合に、床板材16の上面が、開口部Wの下辺より低い位置に設けられる。
例えば、開口部Wが上下を下桟23と上桟24とで挟まれた略矩形の形状である場合に、床板材16の上面の高さは、下桟23の高さよりも低い。
【0055】
調整部材17は、床板材16の高さを調整する部材である。
例えば、科学機材5を床板材16の上面に据え付けたときに、科学機材5の上部が開口部の最も低い箇所の高さより低くなるように、調整部材17が床板材16の高さを調整することをできる。
この様にすると、科学機材5から発生した気体等が、開口部Wから室内に直接に洩れるのを抑制できる。
【0056】
分離板18は、科学機材5を上方から被い、作業空間Hを上下に分かれて互いに連通する上部作業空間H1と下部作業空間H2とに区画する板である。
例えば、開口部Wが略矩形の形状である場合、分離板18が開口部Wの下辺から水平に延びて作業空間Hの一部を分離する板材である。
【0057】
第一排気配管系50は、作業空間Hの中の気体を排気する配管系である。
第一排気配管系50は、作業空間Hの中の気体を下方に排気してもよい。
第一排気配管系50は、第一窪み12の中の気体を排気してもよい。
例えば、第一排気配管系50は、第一配管51と第一ダンパ52とで構成される。
第一配管51は、室内に設けられた負圧ラインと連通可能な外部フランジ53と第一窪み12とを連通する配管である。
第一ダンパ52は、第一配管51の途中に設けられたダンパである。第一ダンパ52は、手動により、その開度を調整可能である。
第一排気配管系50が、作業空間Hの内部の気体を床板材16より下方から排気してもよい。
その様にすると、気体は、作業空間Hの内部を上から下へ流れ、床板材16の貫通孔を通過して、床板材16の下側から外部へ排気される。
また、第一排気配管系50が、作業空間Hの内部の気体を下部作業空間H2から排気してもよい。
その様にすると、気体は、上部作業空間H1の内部を上から下へ流れ、下部作業空間H2へ入り、外部へ排気される。
【0058】
以下に、本発明の第二の実施形態に係るクリーンドラフトの作用を説明する。
室内がクリンルームの内部であり、送風機42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力を室内の圧力に等しくする様に制御されている場合を例に、説明する。
吸気配管系が、クリンルームの気体を作業空間Hに上方から流し、第一排気配管系50が第一窪み12から気体を排気し、第二排気配管系60が第二窪み13から気体を排気しする場合を、説明する。
【0059】
クリーンドラフト100をクリンルームに納める。
科学機材5が、作業面11に搭載される。
第一扉31と第二扉32との両方が、開口部Wを閉じる。
クリンルームの雰囲気が、吸気配管系により、作業空間Hに上方から流れ込む。
作業空間Hの気体が、第一排気配管系50により、第一窪み12から吸い出される。
クリーン度の高い気体が、作業空間Hを上部作業空間H1から下部作業空間H2へ流れ、床板材16の貫通穴を通過して、第一窪み12へ流れ込む。
僅かの量の雰囲気が、室内から第一扉31と開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Sに流れ込む。さらに、僅かの量の気体が、作業空間Hから第二扉32と開口部Wとの隙間を通過して隙間空間Sに流れ込む。
その様にするので、クリンルームの雰囲気が直接に作業空間Hへ進入することを抑制できる。また、作業空間Hの気体がクリンルームの雰囲気へ混じるのを抑制できる。
【0060】
第一扉31と第二扉32との両方が、開口部Wを開放する。
吸気配管系が、ブロアの回転数を制御して、作業空間Hの圧力をクリンルームの圧力に比べ等しいか僅かに負圧にする様に制御する。
又は、ブロアの能力が小さい場合には、吸気配管系が、ブロアの回転数を制御して、作業空間Hの圧力をクリンルームの圧力に比べ負圧にする様に制御する。
クリーンルームの雰囲気が、開口部Wから隙間空間Sへ侵入し、第二窪み13へ吸い込まれる。
作業空間Hの気体の一部が、開口部Wから隙間空間Sへ侵入し、第二窪み13へ吸い込まれる。
その様にするので、クリンルームの雰囲気が直接に作業空間Hへ進入することを抑制できる。また、作業空間Hの気体がクリンルームの雰囲気へ混じるのを抑制できる。
第一ダンパ52と第二ダンパ62を最適に調整することで、クリンルームの雰囲気が作業空間Hに直接に侵入する量を最小にでき、作業空間Hの気体が直接にクリンルームへ漏れる量を最小にすることをできる。
【0061】
洗浄液で作業空間Hを洗浄すると、洗浄液は作業面11に落ちて、排液配管15により外部へ排出される。
【0062】
次に、本発明の実施形態に係る処理装置を、図を基に、説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る処理装置の正面図である。図10は、本発明の実施形態に係る処理装置のF−F断面図である。図11は、本発明の実施形態に係る処理装置のG−G断面図である。図12は、本発明の実施形態に係る処理装置のH−H断面図である。図13は、本発明の実施形態に係る処理装置のI−I断面図である。図14は、本発明の実施形態に係る処理装置のJ−J断面図である。図15は、本発明の実施形態に係る処理装置のK−K断面図である。
処理装置は、室内に設置され試料を化学処理させるための装置であり、クリーンドラフト100と処理用容器110と基板搬送装置120とキャリアケース130と基板処理装置140と基板心出し装置150と液体回収装置160とで構成される。
説明の便宜上、シリコン基板の表面の処理する場合を例に説明する。
【0063】
クリーンドラフト100は、室内に設置され科学機材5を用いるためのものであって、架台10とフード20と二重扉30と吸気配管系40と第一排気配管系50と第二排気配管系60とで構成される。
フード20と二重扉30と吸気配管系40と第二排気配管系60の構成は、第一の実施形態に係るクリーンドラフトのものと同じなので、説明を省略する。
【0064】
架台10は、下部構造10aと上部構造10bと仕切り板14と排液配管15と分離板18とで構成される。
架台は、床板材16を欠いている点と作業面11の形状と第一窪み12の設置位置が異なる点と分離板18の形状とを除くと、第二の実施形態に係るクリーンドラフト100のものとおなじなので、異なる点のみを説明する。
【0065】
架台10の下部構造11aは、作業面11と第一窪み12とを形成する。
作業面11は、開口部Wに近い箇所が一段高い上段面と開口部Wから遠い箇所が一段低いい下段面とで構成される階段状の形状をしている。
後述する処理用容器110が上段面に搭載される。
後述する基板搬送装置120が下段面に搭載される。
第一窪み12が、下段面の後述する基板搬送装置120と基板処理装置140との間に形成される。
【0066】
分離板18は、後述する処理用容器110を上方から被い、作業空間Hを上下に分かれて互いに連通する上部作業空間H1と下部作業空間H2とに区画する板である。
分離板18は、後述する基板搬送装置120の上方に略矩形の切り欠き部を持つ。
上部作業空間H1と下部作業空間H2とは、その切り欠き部で連通する。
また、基板搬送装置120は、その切り欠き部を通過して基板を上部作業空間H1と下部作業空間H2のと間で搬送する。
キャリアケース台19が、分離板の上面に設けられる。キャリアケース台19は、後述するキャリアケース130を位置決めすることをできる部材である。
【0067】
処理用容器110は、内部で試料を化学処理させるための容器であって、容器ケーシング111と扉112と扉昇降機器とで構成される。
容器ケーシング111は、化学処理をさせる反応空間を覆い反応空間に試料を出入りさせる出入口部Pを設けられ出入口部Pの周囲に所定の傾斜角度θで斜め下方に向いた被接合面R1を有するケーシングである。
扉112は、所定の傾斜角度θで斜め上方に向いた接合面R2を有し垂直方向に昇降自在に案内される。
扉112を上昇させると、接合面R2と被接合面R1が気密に接合する。
容器ケーシング111が、出入口部Pの上方に設けられた扉112の上部Q2がくい込むことをできる被くい込み部Q1を有していれてよい。
扉112を上昇させると、扉の上部Q2が被くい込み部Q1にくい込んで、接合面R2と被接合面R1が気密に接合する。
シール部材が、扉112の接合面R2に設けられる。接合面R2と被接合面R1が接合すると、シール部材が気密にする。例えば、シール部材は、接合面に設けられた溝に設置されたOリングである。
【0068】
扉昇降機器は、扉112を垂直方向に昇降させる機器であって、アクチエータ覆い113と貯留槽114とアクチエータ115とで構成される。
アクチエータ覆い113は、アクチエータを上方から覆う部材である。
貯留槽114は、アクチエータの全周を囲って設けられ液体を貯留した部材である。
アクチエータ115は、扉を垂直に昇降させる機械要素である。
例えば、アクチエータ115は、上下方向に案内され圧力気体により上下に移動する直動エアーシリンダである。直動エアーシリンダが上下動する際に、アクチエータ覆い113の下方の縁が貯留槽114に貯留された液体に漬る。
【0069】
基板搬送装置120は、基板を水平に保持して、基板搬送装置120の軸心を中心に回転し、半径方向に前後移動させ、軸心に沿って上下移動させることをできる機械装置である。
【0070】
キャリアケース130は、複数の基板を収納できるケースである。
【0071】
基板処理装置140と基板を保持して、基板の表面に液滴を付けて、液滴を基板の表面で走査できる装置である。
基板の表面に付着した液体を液滴に捕捉することができる。
【0072】
基板心出し装置150は、基板処理装置140に載せた基板のセンター位置を測定する装置である。
【0073】
液体回収装置160は、基板処理装置140が基板の表面で保持した液滴を回収する装置である。
【0074】
以下に、本発明の実施形態に係る処理装置の作用を説明する。
操作員が、二重扉30を開いて開口部Wを開放する。
操作員が、処理前の基板を納められたキャリアケース130を作業空間Hに入れて、キャリアケース台19の上に置く。
操作員が、二重扉30を閉じて開口部Wを閉止する。
【0075】
処理用容器110の扉112を下降させて、出入口部Pを開放する。
基板搬送装置120が、キャリアケース130に納められた複数の基板のうちの一つの基板を保持し、出入口部Pから容器ケーシング111の反応空間へ入れる。
基板搬送装置120が、基板把持部を容器ケーシング111から出すと、扉昇降機器が扉112を昇降させる。
接合面R2と被接合面R1が気密に接合する。
反応空間に反応ガスを導入し、基板を化学処理する。
所定の時間を経過すると、反応ガスを吸引し、窒素ガスを反応容器に導入する。
【0076】
処理用容器110の扉112を下降させて、出入口部Pを開放する。
基板搬送装置120が、基板を出入口部Pを通過して容器ケーシング111の反応空間から出す。
基板搬送装置120が、基板を搬送し、基板処理装置140に載せる。
基板心出し装置150が、基板処理装置140に保持された基板のセンター位置を計測する。
基板処理装置140が、センター位置のデータを基にして、液滴を基板の表面に乗せて、液滴を基板の表面で走査する。
液滴が所定の領域を走査すると、基板処理装置が液滴を液体回収装置へ移す。
【0077】
液体回収装置160は、回収された液滴の重量を測定する。
基板搬送装置120が、処理の終わった基板を基板処理装置140から取り上げ、キャリアケース130へ移す。
基板搬送装置120は、キャリアケース130に収納された複数の基板のなかから処理前の基板を取り出す。
以降、キャリアケース130に収納された複数の基板の全てを処理する。
【0078】
操作員が、二重扉30を開いて開口部Wを開放する。
操作員が、処理前の基板は納められたキャリアケース130を作業空間Hから出す。
操作員が、液体を回収する。
操作員が、二重扉30を閉じて開口部Wを閉止する。
【0079】
上述の実施形態に係るドラフトチャンバと処理用容器と処理装置とを用いれば、以下の効果を発揮する。
架台の下部構造11aの上方の作業空間Hをフード20で覆い、間に隙間空間Sを挟んだ二重扉でフード20の側面に設けられた開口部Wを開閉し、室内の雰囲気を作業空間Hに案内し、作業空間Hの中の気体を排気し、隙間空間Sの中の気体を排気する様にしたので、二重扉30が開口部Wを閉止しているときには、室内の雰囲気が吸気配管系40を経由して作業空間へ入り、作業空間Hの気体が第一排気配管系50を経由して排気される。また、室内から隙間空間Sに漏れた雰囲気は、第二排気配管60を経由して排気される。また、作業空間Hから隙間空間Sへ漏れた気体は、第二排気配管60を経由して排気される。
また、室内の雰囲気を作業空間Hの上方から入れ、作業空間Hの中の気体を下方に排気し、隙間空間Sの中の気体を下方に排気する様にしたので、二重扉30が開口部Wを開放すると、作業空間Hの気体が作業面11へ下がって排気され、また作業空間Hの気体が隙間空間Sを経由して排気され、室内の雰囲気が隙間空間Sを経由して排気されるので、室内の雰囲気が作業空間Hへ流れるのを抑制し、作業空間Hの気体が室内に流れるのを抑制する。
また、作業空間Hの下部が作業面11に連なり下方に凹んだ第一窪み12を形成し、第一窪み12の中の気体を排気する様にしたので、作業空間の中の気体が、作業面11へ下がって第一窪み12に入り、第一排気配管系50を経由して排気される。
また、隙間空間Sの下方に下方に凹んだ第二窪み13が形成され、第二窪み13の中の気体を排気する様にしたので、隙間空間Sの中の気体が、開口部Wの最も低い箇所へ下がって第二窪み13に入り、第二排気配管系60を経由して排気される。
また、送風機42を途中に設けられた吸気配管41が室内の雰囲気を加圧して作業空間へ案内する様にしたので、作業空間Hへの圧力を調整できる。
また、送風機42の送気する圧力又は風量が作業空間Hの圧力に応じて調整される様にしたので、送風機の圧力又は風量を調整して、室内の雰囲気と作業空間との差圧を調整できる。
また、送風機42の送気する圧力又は風量が指定値に基づいて制御される様にしたので、室内の雰囲気と作業空間との差圧を所定の値に維持できる。
また、開口部Wを開放したときに送風機42の送気する圧力又は風量を一定にするようにしたので、気体が作業空間Hの中を安定して流れる。
また、仕切り板14により作業面11に流す液体が第一窪みへ液体が流れない様にしたので、作業面11の洗浄を容易にできる。
また、開口部Wより低い位置に科学機材を搭載可能な作業面11を形成し、作業空間Hの内部の気体を開口部Wより下方から排気する様にしたので、搭載された科学機材の付近の気体が、開口部Wへ流れるのを抑制できる。
また、科学機材を搭載可能な床板材16が作業面11の上方に設けられ、作業空間の内部の気体が床板材16より下方から排気される様にしたので、作業空間の気体が、床板材16の貫通穴を通過して排気される。
また、科学機材を搭載可能な床板材16が作業面11の上方に設けられ、作業空間Hの内部の気体が床板材16より下方から排気される様にしたので、作業空間Hの気体が、床板材16の貫通穴を通過して排気され、床板材16の高さを調整すると、床板材の付近の気体が開口部Wへ流れるのを抑制できる。
また、科学機材を搭載可能な床板材16が作業面11の上方に設けられ、床板材16の上面の高さを開口部Wより低くし作業空間Hの内部の気体が床板材16より下方から排気される様にしたので、作業空間Hの気体が床板材16の貫通穴を通過して排気され、床板材16の付近の気体が開口部Wへ流れるのを抑制できる。
また、作業空間Hを分離板により科学機材を収納する下部作業空間H1と上部作業空間H2に区画し、作業空間の内部の気体が下部作業空間H2から排気される様にしたので、科学機材の付近の気体が上部作業空間H1に流れるのを抑制できる。
【0080】
以上説明したように本発明に係る処理用容器は、その構成により、以下の効果を有する。
容器ケーシング111の反応空間に試料を出入りさせる出入口部の周囲に所定の傾斜角度θで斜め下方に向いた被接合面R1を設け、扉に所定の傾斜角度で斜め上方に向いた接合面R2を設け、扉昇降機器が扉112を上昇させると、接合面R2と被接合面R1が気密に接合する様にしたので、扉昇降機器が扉112を上昇させると出入口部Pが閉じ、扉昇降機器が扉112を下降させると、出入口部Pの前面が開放され、試料の出し入れを容易にできる。
また、被くい込み部Q1を容器ケーシング111の出入口部Pの上方に設け、扉昇降機器が扉を上昇させると、扉の上部Q2が被くい込み部Q1にくい込んで、接合面R2と被接合面R1が気密に接合する様にしたので、扉が容器ケーシングに確実に位置決めされ、接合面R1と被接合面R2との気密が確実になる。
また、垂直に昇降させるアクチエータの周囲に水封機構を設けたので、扉昇降機器が扉を昇降させる間、作業空間の気体が直動アクチエータに接触するのを防止できる。
【0081】
以上説明したように本発明に係る処理装置は、その構成により、以下の効果を有する。
容器ケーシング111の出入口部Pの周囲に所定の傾斜角度θで斜め下方に向いた被接合面R1を設け、扉112に所定の傾斜角度θで斜め上方に向いた接合面R2を設け、扉昇降機器が扉112を上昇させると、接合面R2と被接合面R1が気密に接合する様にして、架台に搭載した処理用容器を収納する作業空間Hをフード20で覆い、隙間空間を挟んだ二重扉でフード20の側面に設けられた開口部Wを開閉し、室内の雰囲気を作業空間に上方から案内し、作業空間Hの中の気体を下方へ排気し、隙間空間Sの中の気体を下方へ排気する様にしたので、扉昇降機器が扉112を上昇させると出入口部Pが閉じ、扉昇降機器が扉112を下降させると、出入口部Pの前面が開放され、試料の出し入れができる。扉昇降機器が扉112を下降させると出入口部Pが開き、内部のガスが作業空間Hに漏れるが、二重扉30が開口部Wを閉止しているときには、室内の雰囲気が吸気配管系を経由して上方から作業空間Hへ入り、作業空間Hの気体が第一排気配管系50を経由して下方へ排気される。また、室内から隙間空間Hに侵入した雰囲気は、第二排気配管60を経由して排気される。また、作業空間Hから隙間空間Sへ漏れた気体は、第二排気配管60を経由して排気される。
また、処理用容器を上方から被う分離板18が、作業空間Hを上部作業空間H1と下部作業空間H2とに区画し、作業空間Hの内部の気体が下部作業空間H2から排気される様にしたので、出入口部Pからもれた気体が、下部作業空間H2から上部作業空間H1へ流れるのを抑制できる。
また、分離板19を略矩形の開口部の下桟の位置から作業空間Hの中へ水平に延ばしたので、出入口部Pからもれた気体が、下部作業空間H2から上部作業空間H1に流れにくく、開口部Wを経由して室内に流れるのを抑制できる。
【0082】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトの正面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのA−A断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのB−B断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのC−C断面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのD−D断面図である。
【図6】本発明の第一の実施形態に係るクリーンドラフトのE−E断面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係るクリーンドラフトのA−A断面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係るクリーンドラフトのD−D断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る処理装置の正面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る処理装置のF−F断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る処理装置のG−G断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る処理装置のH−H断面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る処理装置のI−I断面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る処理装置のJ−J断面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る処理装置のK−K断面図である。
【符号の説明】
【0084】
W 開口部
H 作業空間
H1 上部作業空間
H2 下部作業空間
S 隙間空間
P 出入口部
R1 被接合面
R2 接合面
Q1 被くい込み部
Q2 扉の上部
θ 傾斜角度
5 科学機材
10 架台
10a 下部構造
10b 上部構造
11 作業面
12 第一窪み
13 第二窪み
14 仕切り板
15 排液配管
16 床板材
17 調整部材
18 分離板
19 キャリアケース台
20 フード
21 側板
22 天井板
23 下桟
24 上桟
30 二重扉
31 第一扉
32 第二扉
40 吸気配管系
41 吸気配管
42 送風機
43 フィルタ
50 第一排気配管系
51 第一配管
52 第一ダンパ
53 外部フランジ
60 第二排気配管系
61 第二配管
62 第二ダンパ
100 クリーンドラフト
110 処理用容器
111 容器ケーシング
112 扉
113 アクチエータ覆い
114 貯留槽
115 アクチエータ
120 基板搬送装置
130 キャリアケース
140 基板処理装置
150 基板心出し装置
160 液体回収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置され科学機材を用いるためのクリーンドラフトであって、
科学機材を収納可能な作業空間の下側を覆う作業面を形成する下部構造を有する架台と、
前記作業空間の側部と上部とを覆い横側に前記作業空間と室内とを連通可能な開口部を設けられたフードと、
前記開口部を各々に閉止しまたは開放することをでき間に隙間空間を挟んだ二重扉と、
室内の雰囲気を前記作業空間の中に案内する吸気配管系と、
前記作業空間の中の気体を排気する第一排気配管系と、
前記隙間空間の中の気体を排気する第二排気配管系と、
を備えることを特徴とするクリーンドラフト。
【請求項2】
前記第一排気配管系が前記作業空間の中の気体を下方へ排気し、
前記第二排気配管系が前記隙間空間の中の気体を下方へ排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項3】
前記下部構造が前記作業面に連なり下方に凹んだ第一窪みを形成し、
前記第一排気配管系が前記第一窪みの中の気体を排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項4】
前記下部構造が前記隙間空間に連通し前記開口部の最も低いの箇所よりも下方に凹んだ第二窪みを形成し、
前記第二排気配管系が前記第二窪みの中の気体を排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項5】
前記吸気配管系が室内の雰囲気と前記作業空間とを連通する吸気配管と前記吸気配管の途中に設けられ前記作業空間の側へ送気する送風機とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項6】
前記送風機の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力に応じて調整可能である、
ことを特徴とする請求項5に記載のクリーンドラフト。
【請求項7】
前記送風機の送気する圧力又は風量が前記作業空間の圧力と室内の圧力との差圧を所定の指令値にする様に制御される、
ことを特徴とする請求項5に記載のクリーンドラフト。
【請求項8】
前記架台が前記作業面に流れる液体を排出する排液配管と前記第一窪みへ液体が流れないための仕切り板とを有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のクリーンドラフト。
【請求項9】
前記作業面が前記開口部の最も低い箇所より低い位置に形成され、
前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記開口部の最も低い箇所の高さより下方から排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項10】
前記架台が前記作業面の上方に設けられ多くの貫通穴をあけられ科学機材を搭載可能な床板材を有し、
前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記床板材より下方から排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項11】
前記架台が前記作業面の上方に設けられ多くの貫通穴をあけられ科学機材を搭載可能な床板材と前記床板材の高さを調整する調整部材とを有し、
を備え、
前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記床板材より下方から排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項12】
前記架台が前記作業面の上方に設けられ多くの貫通穴をあけられ科学機材を搭載可能な床板材を有し、
前記床板材の上面の高さが前記開口部の最も低い箇所の高さより低く、
前記第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記床板材より下方から排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項13】
前記架台が前記科学機材を上方から被い前記作業空間を上下に分かれて互いに連通する上部作業空間と下部作業空間とに区画する分離板を有し、
第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記下部作業空間から排気する、
ことを特徴とする請求項1に記載のクリーンドラフト。
【請求項14】
内部で試料を化学処理させるための処理用容器であって、
化学処理をさせる反応空間を覆い前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部を設けられ前記出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を形成する容器ケーシングと、
所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を有し垂直方向に昇降自在に案内される扉と、
を備え、
前記扉を上昇させると、前記接合面と前記被接合面とが気密に接合する、
ことを特徴とする反応用容器。
【請求項15】
前記容器ケーシングが前記出入口部の上方に設けられた前記扉の上部がくい込むことをできる被くい込み部を有し、
前記扉を上昇させると、前記扉の上部が前記被くい込み部にくい込んで、前記接合面と前記被接合面が気密に接合する、
ことを特徴とする請求項14に記載の反応用容器。
【請求項16】
前記扉を垂直に昇降させるアクチエータと前記アクチエータの全周を囲って設けられ液体を貯留した貯留槽と前記アクチエータを上方から覆うアクチエータ覆いとを有する扉昇降機器を備え、
前記アクチエータ覆いの下方の縁が前記貯留槽に貯留された液体に漬る、
ことを特徴とする請求項14に記載の反応用容器。
【請求項17】
室内に設置され試料を化学処理させるための処理装置であって、
化学処理をさせる反応空間を覆い前記反応空間に試料を出入りさせる出入口部を設けられ前記出入口部の周囲に所定の傾斜角度で斜め下方に向いた被接合面を形成する容器ケーシングと、
所定の前記傾斜角度で斜め上方に向いた接合面を有し垂直方向に昇降自在に案内された扉と、
を有し、
前記扉を上昇させると、前記接合面と前記被接合面とが気密に接合する処理用容器と、
前記処理用容器を収納可能な作業空間の下側を覆う作業面を形成する下部構造を持つ架台と、
前記作業空間の側部と上部とを覆い横側に前記作業空間と室内とを連通可能な開口部を設けられたフードと、
前記開口部を各々に閉止しまたは開放することをでき間に隙間空間を挟んだ二重扉と、
室内の雰囲気を前記作業空間の中に案内する吸気配管系と、
前記作業空間の中の気体を排気する第一排気配管系と、
前記隙間空間の中の気体を排気する第二排気配管系と、を有するクリーンドラフトと、
を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項18】
前記架台が前記反応用容器を上方から被い前記作業空間を上下に分かれて互いに連通する上部作業空間と下部作業空間とに区画する分離板を持ち、
第一排気配管系が前記作業空間の内部の気体を前記下部作業空間から排気する、
ことを特徴とする請求項17に記載の処理装置。
【請求項19】
前記分離板が略矩形の前記開口部の下辺の位置から前記作業空間の中を水平に延びている、
ことを特徴とする請求項18に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−38050(P2007−38050A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222264(P2005−222264)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(304000412)有限会社NAS技研 (10)
【Fターム(参考)】