説明

クロスクリップおよびその締結方法

【課題】 ワイヤロープの交差部を固縛したときずれや滑りの生じない挟みつけが可能となり、ボルトによる固縛にあたりトルク管理を可及的に排除できるようにすること。
【解決手段】 各挟圧部材2,3の合わせ面に交差するワイヤロープ4,5の一方または他方を全没させて嵌着する一条のロープ溝9,10を形成し、この溝に突入する押圧突起11,12が合わせ面上のワイヤロープ交差位置13を除く部位に設けられる。ねじ締結力を上げていくことによりロープ溝9,10に突入する押圧突起11,12によってワイヤロープ4,5に曲がり部4a,5aを生じさせ、それを押圧突起11,12に対応する位置の空所14,15に収容する。ワイヤロープ4,5が交差部位で相互に強い力を及ぼしあうことなく、各ワイヤロープ4,5の引抜き耐力が向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクロスクリップおよびその締結方法に係り、詳しくは、山岳部等の傾斜地における土石の崩落を防止するため、縦横に張設されたワイヤロープの交差部を固縛し、その部分でのロープの緩みや滑りを可及的に抑止できるようにしたクロスクリップおよびその締結方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
山あいを縫って延びる道路などにおいては路側傾斜地からの落石で不通になったり、通行車両が剥落した石により被害を受けるおそれがある。そのため、傾斜地には、埋没する礫石や地肌に浮く岩石を押さえておくべく適宜な工法が適用される。土石が比較的小さい場合には、金網を法面に敷設し、その上から交差させたロープが形成する幾つもの格子で金網を押さえる工法が採用される。土石が比較的大きい場合や崩落のおそれある岩盤地帯では、ロープを交差させるように張設して法面を直接押さえ、特に大きい浮き石に対しては必要に応じて個別にロープ掛けして、その剥落を阻止する工法が採り入れられる。
【0003】
いずれにしても使用されるロープは、極めて大きい荷重に耐える必要から、撚りの与えられたワイヤロープすなわち引張強度の高いスチール製とされる。このワイヤロープの交差部位を固定するために、受け具と押さえ具の上下2枚からなる挟みつけ金具が使用される。その金具の対面側には交差するワイヤロープの一方または他方を半没させるロープ溝が形成され、ワイヤロープを金具間で交差するように溝に嵌め込み、受け具と押さえ具とを固縛するボルト等により両ワイヤロープを挟圧するようにして保持する。
【0004】
このような金具はワイヤロープの交差部を押さえて動かないようにしておくものであるからクロスクリップと称されるが、大きなクリッピングフォースを発揮させるのは実のところ容易でない。それはロープがスチールであり、ロープを押さえるクロスクリップも鋳鋼品等であって、ロープ溝に嵌め込むとはいえ後述するように線接触にとどまり、大きい摩擦力が発生しにくいこと、ワイヤロープは交差して相互に力を及ぼしあうが、硬度が同じゆえ相互に潰しあって共倒れ的に損傷することによる。
【0005】
浮き石等を押さえる落石防止施設においては上記したクロスクリップは不可欠なものであるが、ワイヤロープのずれ阻止力を高め、格子の変形を抑止して落石防止効果の向上が図られるべきことは言うまでもない。同質もしくはそれに近い金属の接触により生じる摩擦力の大きさには限界があるので、最近では、積極的に変形をロープに与えて滑りを阻止しようとする。その一つに、ワイヤロープが交差するところでは接触させるだけでなく、ロープ相互に作用する力を利用して、一方のロープで他方のロープを曲げ、その反作用として他方のロープで一方のロープも曲げるというクリップが提案されている。
【0006】
ワイヤロープの交差部で相互に変形を与えて摩擦力を大きくしようとすれば、受け具と押さえ具に形成しておくロープ溝を交差部位で部分的に深くしておけばよい。交差部位以外ではワイヤロープ同志の接触はあり得ないゆえ、同一深さの溝に真直状態で嵌まっているワイヤロープにいくら力を掛けても曲がりが与えられないのは当然であるから、それぞれのロープにおいて交差部位のみ溝を深くすれば、ワイヤロープはその凹みに馴染むように曲がらざるを得なくなるからである。
【0007】
すなわち、一方のロープは、それ自体が嵌まるロープ溝の交差部位の凹み面と他方のロープの交差接触部とに挟まれて拘束され、これと同様に、他方のロープは、それ自体が嵌まるロープ溝の交差部位の凹み面と一方のロープの交差接触部とに挟まれて拘束される。これによって、ワイヤロープには交差部位で相互に絡みつくような変形が生じることになるので、その部分でのずれは起こりにくくなり、従って、引抜き耐力は倍加すると期待される。
【0008】
このような構造のクリップを提案する最近の先行文献はなくもないが、ワイヤロープが交差部位で相互に強く押さえあう点で幾つかの問題を抱える。一つは、交差するワイヤロープに硬度の優劣がないから、クリップに大きな加圧力を作用させなければロープが変形しないということである。すなわち、一方で他方を圧しつけるのではなく、金具が両者を同時に押しつぶす挙動となる。
【0009】
後述するが、押さえ金具と受け金具とを固縛するのは例えば二本のボルトであり、このボルトの締付け力でワイヤロープの交差部位に曲がりを発生させようとすると、各ワイヤロープをそれぞれのロープ溝に全没させるわけにはいかない。そのため、ロープ溝がワイヤロープ径より浅くされることになる結果、最大締付け状態においても金具間には隙間が残るような締結形態が採られる。
【0010】
その隙間を残して所望する引抜き耐力を発生させるためには、実地テスト等で得たデータをもとにして予め定めておいた大きさのトルクを、各ボルトに作用させなければならない。これでは、山岳の険しい地形にあって足場が不安定で命綱に身を委ねる作業員に、自己の筋力で反力をとりながらのトルクレンチによるボルト締結操作に多大の負担を強いるだけでなく、その際のトルク管理にも正確さが課せられることになり、その労働の過酷さは想像を越えるに余りあるものとなる。
【0011】
次に問題となるのは、ワイヤロープに変形を与えるために同一硬度のロープが相討ち状態で傷をつけあうということである。ロープが切断することはないにしても、ロープの耐力を局部的に著しく低下させる。傷や亀裂が入れば、ロープに張力が作用し続けるかぎり傷口の拡大は避けられない。ワイヤロープの公称径が12ミリメートルであっても、クロスクリップで固縛された箇所の断面は最早公称相当品でなくなる。これでは、大きい径のワイヤロープをもってして交差部位で12ミリメートル径相当耐力を発生させなければならなくなり、交差部位以外では過大品質となる。ロープが太くなれば、クロスクリップの大型化も余儀なくされ、重量が嵩んで作業能率が低下する。
【0012】
さらに考慮に入れなければならないのは、ワイヤロープとして撚り線が使用されるということである。細いスチールワイヤが何本も撚られているからロープの表面には細い線が全面ですじ状に露出している。ワイヤロープは多数本のワイヤからなるとはいえ、ワイヤロープ相互に及ぼしあう力は表面に位置するほんの数本のスチールワイヤに集中する。
【0013】
ワイヤロープは断面が真円形ではなく、数本の細いスチールワイヤからなる撚り線を例えば3本集めてさらに大きい径となるように撚ったものであるから、ワイヤロープの断面形状は撚りの一ピッチの間で順次変化する。従って、他方のワイヤロープの表面の細いワイヤと一方のそれとが交差するように接触するから、ロープ相互に作用する剪断力は大きくなり、その瘠痩化は甚だしくなる。また、ロープ溝においては溝面に対して表面の細い線3〜4本が線接触するにとどまるから、発生する摩擦力は大きくならず、却って滑りやすい状態となる。
【0014】
ロープが痩せ細るということは、他のロープや凹み面との間に隙が生じ、その部分での係合状態が弱まり、曲げあったロープ相互の絡みつきも緩む。クロスクリップを固縛したボルトは緩み止めが施されるとしても、一旦固縛された後に再度締付けられることは原則的にないから、ワイヤロープ自体の瘠痩で固縛力は逓減する。これでは、ワイヤロープにずれが生じたり滑りが発生する余地が残され、クロスクリップとしての所期の目的は達成されなくなる。その結果、ワイヤロープの弱状化に気づかないままの落石防止施設を残置させることになったり、一施設で数百から数千個使用されるクリップの再締付け作業が強いられることになり、設備の信頼性低下を招くと共に保守作業における労力負担の著しい増大をきたすおそれがある。
【0015】
ちなみに、特開2003−278164には、交差するワイヤロープの両方を部分埋没させる平面視十字形のロープ溝が金具の対面側に形成され、交差部位で相互に及ぼしあった力で曲げられた部分のみを局部凹みに収容するようにしたクリップが開示されている。これは、ロープ溝を意図的に浅く形成し、前例と同様に、金具間に隙間が生じるようにしてワイヤロープの挟み込みを高めている。
【0016】
この例に到っては金具間にある部分のロープ全てがロープ溝内で押し潰されるようになるので、ワイヤロープ交差部位での相互の損耗が助長される。すなわち、交差部位で曲がりを与えるとき交差部位外のロープを若干なりとも引き寄せる挙動となるが、交差部での曲げを形成すべく上下の金具の溝が交差部位外も強い力で押さえるから、その挙動が抑止される。これでは、交差部位だけが伸びることを余儀なくされ、重なる部分でのロープの瘠痩化を早める。これを解決する最も簡単な手だてはクリップの大型化であるが、クリップの重量が増えること否めず、過酷な環境で重い金具を幾つも携えての締結操作は、施工能率を大きく落とす。金具間に隙間を残すようにしているから、先に述べた例と同様に、作業員の負担を大きくする正確なトルク管理作業は解消される余地がない。
【特許文献1】特開2003−278164
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、ワイヤロープの交差部を固縛するにあたり、ワイヤロープにずれや滑りの生じない挟みつけが可能となること、金具をボルトで固縛してワイヤロープに曲げを与えるに必要な締結トルクを可及的に少なくできること、所望する引抜き耐力を発揮させるにおいて正確さを要求されるボルトの締付けトルクの管理を実質的に排除し、固縛操作する作業員の労力負担の軽減が図られること、ワイヤロープが相互に傷つけあうことなく瘠痩化を回避できること、ワイヤロープが細い撚り線から形成されていても、その切断や圧潰などに基因するワイヤロープの経時的な係合状態の低下をきたさず、施工後の再締付け操作も不要とし、クリップとしての安定性や信頼性を高く維持できること、交差部位での事後的な耐力低下を見込んでの過大径ロープの採用は必要でなく、クリップの大型化も回避されることを実現しようとするクロスクリップおよびその締結方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、対面する挟圧部材間にワイヤロープの交差部を位置させ、その交差位置を避けた部位で挟圧部材をねじ締結し、ワイヤロープを固縛するようにしたクロスクリップに適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、各挟圧部材2,3の合わせ面には、交差するワイヤロープ4,5の一方または他方を全没させて嵌着する一条のロープ溝9,10が形成される。挟圧部材2,3に形成されたロープ溝9,10に突入する押圧突起11,12が、他の挟圧部材の合わせ面上のワイヤロープ交差位置13を除く部位に設けられる。ねじ締結力を上げることによりロープ溝9,10に突入する押圧突起11,12によってワイヤロープ4,5に生じさせた曲がり部4a,5aを収容する空所14,15が、その押圧突起11,12に対応する位置に形成される。これによって、交差するワイヤロープ4,5を挟圧部材2,3で固縛しても、ワイヤロープが交差部位で相互に強い力を及ぼしあうことなく、各ワイヤロープの引抜き耐力を向上させることができるようにしたことである。
【0019】
挟圧部材2,3をねじ締結するねじ体6,7は二つ設けられ、押圧突起11,12をその二つのねじ体6,7を結ぶ線16の上に配置しておく。また、図8に示すように、二つのねじ体6,8Aを結ぶ線16を底辺とする二等辺三角形の頂点に押圧突起11,12を配置するようにしてもよい。
【0020】
二つのねじ体6,7の一方をアンカーボルト8としてもよいし、図1のように、ねじ体6,7を結ぶ線16を底辺とする二等辺三角形の頂点に、アンカーボルト8を配置することもできる。
【0021】
空所14,15の形成により不連続となったロープ溝9,10の空所との境界縁には、押圧突起11,12と協働してワイヤロープ4,5を曲げる押さえ部19が形成される(図4の(a)も参照)。
【0022】
挟圧部材2,3の合わせ面上に押圧突起11,12を形成させることに代えて、図9に示すように、ロープ溝9,10に突入する押圧突起11A,12Aが表裏でワイヤロープ交差位置を除く部位に形成された中間部材20を、挟圧部材2B,3B間に介在させることもできる。
【0023】
クロスクリップの締結方法の発明においては、クロスクリップを用いて交差するワイヤロープ4,5を固縛するとき、図6の(c)のように、合わせ面2a,3aが密着した時点で挟圧部材2,3のねじ締結を停止させるようにする。なお、図4の(d)に示すように、押圧突起11Bの高さの異なる挟圧部材2Cを使用して、ワイヤロープの引抜き耐力を変更するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各挟圧部材の合わせ面に一条のロープ溝が形成され、対面する挟圧部材の合わせ面上には押圧突起が設けられ、その押圧突起はワイヤロープ交差位置を除く部位にあるので、ワイヤロープを部分的に曲げてロープ溝内の空所に納めることができ、ワイヤロープ相互が交差部位において大きい剪断力を及ぼしあうことなく、クリップから抜けたりずれるのを阻止しておくことができる。
【0025】
合わせ面に形成されるロープ溝はワイヤロープを全没して嵌着する深さとなっているから、ワイヤロープは交差部位以外では他の合わせ面から強い力を受けることがなく、従って、ワイヤロープが押圧突起によって曲げられることになっても、その前後の部分における追従変位が固縛操作中許容され、緊張が曲がり部のみに集中したり、ワイヤロープのクリップ内緊張が増大することもない。曲がり部の瘠痩化は可及的に少なく、ワイヤロープの持つ本来の機械的性質が保持される。
【0026】
交差部位すなわちクリップにおけるワイヤロープの機械的性質の低減を見込んでの過剰品質ロープの採用は必要でなくなり、クリップ自体も大型化することがない。ワイヤロープを固縛する際に交差部位を曲げるにあたり、ワイヤロープの交差部位を押し潰すような力の掛け方をするのでないから、押し潰し式の場合に要求される場合よりもボルトに掛けるトルクが小さく抑えられる。金具の対面部を密着させた時点でボルトの締結操作を止めればよいから、足場の悪い施工現場での正確を期すことの要求されるトルク管理は排除される。ロープの瘠痩化がなくなってワイヤロープの経時的な固縛力低下が避けられ、施工後の再締付けも不要となる。クリップによる固縛の安定性が向上し、落石防止施設の信頼性は飛躍的に高まる。
【0027】
挟圧部材をねじ締結するねじ体の二つを結ぶ線上に押圧突起を配置すれば、ねじ締結によって発生した挟圧力を最も効果的に押圧突起の加圧力に転換させることができる。交差するワイヤロープのそれぞれは、他のワイヤロープの影響を受けることなく、押圧突起による確実な固縛がなされる。
【0028】
二つのねじ体を結ぶ線を底辺とする二等辺三角形の頂点に押圧突起を配置しても、各押圧突起には同等の加圧力を発生させることができる。この場合、一方の押圧突起は他方の押圧突起に対して底辺を挟んで対称の位置とすることになるから、各ワイヤロープに対して平等の曲げを与えることができる。
【0029】
挟圧部材を固縛する二つのねじ体は固縛専用のボルト等としておいてもよいが、そのようなクリップをクロスアンカークリップとして使用する場合には、アンカーボルトの固定孔が別途必要となる。しかし、二つのねじ体の一方をアンカーボルトとしておけば、固定孔は必要でなくなり、クロスアンカークリップのシンプル化を促すことができる。
【0030】
二つのねじ体を結ぶ線を底辺とする二等辺三角形の頂点にアンカーボルトの取付孔を設けるようにしておけば、アンカーボルトをワイヤロープの交差部に対して可及的に近い位置に配することができる。ワイヤロープから挟圧部材に力が及んでも、その直近位置で地盤に伝達でき、ワイヤロープの地山固定が最も確実になされる。
【0031】
ロープ溝に空所との境界縁で押さえ部が確保されていれば、押圧突起と協働してワイヤロープを部分的に曲げやすくする。押さえ部があれば押圧突起を高くしてもロープを曲げることに支障はなく、大きな曲がりが与えられることによって引抜き耐力の大幅な増強が図られる。
【0032】
ロープ溝に突入する押圧突起がワイヤロープ交差位置を除く部位で表裏に形成された中間部材を挟圧部材間に介在させるようにすれば、挟圧部材の合わせ面上に押圧突起を形成する必要がなくなり、挟圧部材の形状を単純にしておくことができる。ロープに曲がりを与える押圧突起に大きさや高さの違ったものを与えることが容易となり、中間部材を交換するだけで異なる引抜き耐力を持ったクリップを提供することができる。先行技術で開示したクリップでは、いずれも原理上ワイヤロープの曲がりがロープの断面半径分までとせざるを得ないが、本発明では押圧突起の高さをそれ以上とすることに特に障害はなく、従ってワイヤロープの曲がりを深くして引抜き耐力の格段の増強が可能となる。
【0033】
クロスクリップの締結方法における発明にあっては、クロスクリップを用いて交差するワイヤロープを固縛するとき、合わせ面が密着した時点で挟圧部材のねじ締結を停止するようにしたので、挟圧部材をねじ締結するねじ体にそれ以上のトルクを掛けることが阻止できる。従って、押圧突起のサイズとワイヤロープの径や材質が決まれば、合わせ面を密着させるに必要なトルクも定まることになり、その時点での対応する引抜き耐力が自ずと与えられることになる。逆に言えば、合わせ面を密着させるという操作でもって、身体の安定をとりづらい山中で締結する作業員は、ボルトに所定トルクを掛けるべくトルク管理の正確を期す微妙な操作から解放される。
【0034】
押圧突起の高さの異なる挟圧部材を使用すればねじ締結に要するトルクを変更することができ、これによってワイヤロープの引抜き耐力を適宜違ったものにすることができる。押圧突起のヘッド交換等によって突起自体の高さを変え、これにより高さの異なる挟圧部材を供給することも可能となり、異なる径のワイヤロープにも適用して汎用性のあるクリップとすることができるようにもなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に、本発明に係るクロスクリップおよびその締結方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1の(a)はクロスクリップ1の平面図、(b)はその正面図であり、対面する挟圧部材2,3間にワイヤロープ4,5の交差部を位置させ、その交差位置を避けた部位で挟圧部材2,3をねじ体6,7によりねじ締結し、ワイヤロープ4,5を固縛している様子が表されている。このクリップはクロスアンカークリップとして使用できるようにしているので、これを地山に固定するため、上端にねじ部8aが刻設されているアンカーボルト8が取りつけられるようになっている。
【0036】
このクロスアンカークリップ1においても、図2の(a)に示すように挟圧部材2,3の合わせ面2a,3aにはロープ溝9,10が形成されるが、それは交差するワイヤロープの一方または他方を埋没して嵌着させる一条で与えられる。すなわち、各ロープ溝は、ワイヤロープを全没させるかそれに極めて近い状態となる深さに形成される。これによって、一方の挟圧部材のロープ溝内に位置するワイヤロープは、他方の挟圧部材の合わせ面に接触することがないか、接触するにしても合わせ面から大きな力が及ばないように収容される。
【0037】
このようなロープ溝9,10に対して、対面する挟圧部材の合わせ面には、それ自体の全部をロープ溝に突入させる押圧突起11,12が、ワイヤロープ交差位置13(図1の(a)を参照)を除く部位に設けられる。そして、ロープ溝9,10には図1の(b)に表したワイヤロープの曲がり部4a,5aを収容する空所14,15が押圧突起に対応する位置に形成される。すなわち、空所14,15はロープ溝9,10のワイヤロープ交差部位を除く位置に確保されることになる(図1の(a)を参照)。これは、挟圧部材を重ね合わせた状態の平面図である図2の(b)に明瞭に表されている。
【0038】
押圧突起11,12は形状を単純にしておくため平面視を矩形に、正面視を釣鐘状(図1の(b)を参照)としているが、角のない長い台形であってもよいし、断続的に並ぶ二つまたは三つの小山群からなる突起であってもよい。いずれにしても、ねじ体6,7のねじ締結力を上げていくことによりロープ溝9,10に突入してワイヤロープに曲がり部4a,5aを生じさせ、それを空所14,15に収容させるように機能する押圧突起となっていればよい。
【0039】
挟圧部材2,3をねじ締結するねじ体6,7の2つが設けられるが、押圧突起11,12を二つのねじ体を結ぶ線16(図1の(a)を参照)の上に配置しておくことが好ましい(各押圧突起の中心を示す点11o,12oが線16上に位置している)。このようにしておけば、押圧突起11、12には最も効果的に加圧力を作用させることができ、交差するワイヤロープ4,5のそれぞれには、他のワイヤロープの影響を受けることなく、確実に曲がり部が形成される。押圧突起はそれぞれの挟圧部材の合わせ面に形成されるものであるから、図1の(a)のように、二つのねじ体を結ぶ線の中点2mを境に各押圧突起を対称的に配置することができ、その場合には、ワイヤロープを曲げるための加圧力を略同等の大きさに発生させ、交差するワイヤロープが同一の挟圧力を受けて固縛される。
【0040】
図1の(a)にさらに着目して、ねじ体6,7を結ぶ線を底辺とする二等辺三角形の頂点の位置に、アンカーボルト8が配置される。そのための取付孔17が、図2の(a)に示すように設けられる。アンカーボルトはその脚部の大部分が地中に打ち込まれ、クロスクリップを介してワイヤロープの交差部を地山に密着させるためのものであるので、大きな力に耐えるべく先に述べたねじ体6,7よりは太い径の棒鋼が採用される(図1の(b)を参照)。
【0041】
上記のように二等辺三角形をかたち作らせれば、アンカーボルト8の位置を両ワイヤロープから同一距離に保って、その交差部位に可及的に近づけることができる。縦ロープであるワイヤロープ4に掛かる大きな張力が作用しても、挟圧部材2,3を介して交差部位に最も近い位置で地盤に伝え、アンカーボルトに作用するモーメントを可及的に小さく抑えて地山固定が効率よくなされる。ちなみに、ねじ体6,7としてはボルトが使用され、下側の挟圧部材の下面にナットを配してそれに螺合させるようにしてもよいが、本例においてはねじ孔18が刻設され、それに螺着させるようにしている。
【0042】
図3は押さえ金具としての挟圧部材2であり、中央の上面図の周りに表された左右の側面図、上下の平面図および底面図から分かるように、上面はロープ溝を形成するための膨らみのほかに、ねじ体の取付座6a,7aがせり上がったように形成されてやや複雑なかたちであるが、合わせ面2aはロープ溝10と押圧突起11を除いて平坦な面となっている。
【0043】
ところで、空所14,15はロープ溝9,10を貫くものであっても、後述する図4の(c)に表した空所15Aのように有底であってもよい。いずれにしても、空所の形成により不連続となったロープ溝における空所との境界縁には、押圧突起11,12と協働してワイヤロープを曲げる押さえ部19,19が、図4の(a)に示すように形成される。ちなみに、挟圧部材に少々の凹凸が存するが、回り込み部分はないから、鋳造もしくは鍛造するにしても、成形が複雑化して手間の要するほどのものとはならない。
【0044】
先行技術で開示したクリップでは、いずれもワイヤロープの曲がりがロープ相互の干渉により与えるなだらかな曲がりであり、所詮はロープの絡みあいも浅く、曲がりによる引抜き耐力の増大には限界がある。曲がりのない場合に比べればロープの引抜き耐力が増えるにしても、落石防止設備などにおいて大きな耐力が要求された場合には常に適合できるかは定かでなくなる。しかし、本例においては、ロープ溝に空所との境界縁で押さえ部が確保されるので、押圧突起と協働してワイヤロープを部分的に曲げやすくする。押さえ部があれば押圧突起を高くしてもロープの曲げが可能となるから、ある程度の大きな曲がりを与えれば引抜き耐力の増強は十分に見込まれる。元来真直なワイヤロープは曲げを受けると撥ね戻そうとする力を発生させるので、ねじ体の緩み止め効果も付随的に誘起されて都合がよい。
【0045】
以上述べた構成のクロスクリップによれば、次のようにして挟圧部材をねじ締結し、交差するワイヤロープを固縛することができる。そして、ワイヤロープが交差部位で相互に強い力を及ぼしあうことなく、各ワイヤロープの引抜き耐力の向上が図られる。まず、傾斜地に縦ロープと横ロープが這わせられ、幾つもの格子が形成するよう原則的にはそれぞれが例えば2メートル間隔とされる。その一つの交差部が、図5の(a)に表される。この図では、縦ロープ4が横ロープ5の下に存在するので、挟圧部材3が縦ロープ4に、挟圧部材2が横ロープ5に対面されている。
【0046】
ワイヤロープ4を地肌から少し浮かせてその下に図示のごとく挟圧部材3を入れ、各ワイヤロープを指で支えるなどして、図5の(b)のようにそれぞれをロープ溝9,10に嵌着させる。予め挟圧部材2に取りつけておくなどしたボルト6,7をねじ孔18に臨ませ、手で回して少しかみ合わせる。次に、レンチを用いてボルト6,7を螺進させると、図6の(a)のように、各押圧突起11,12はその頭部でワイヤロープ4,5を変形させ始める。さらにボルトを締めれば、(b)のようにロープを空所に押し込みながら曲がりを大きくする。
【0047】
図6の(c)のように合わせ面2a,3aが密着した時点で、ボルト6,7のねじ込みを停止する。これ以上ボルトを操作しても螺進しないことは当然であり、ワイヤロープの曲げ動作もこの時点で終わる。この挟圧部材のねじ締結を停止したとき、この例ではワイヤロープの曲がり部4a,5aの頂部が空所14,15から覗き出る。これは押圧突起の高さに基因するものであるから、その高さの選定によっては曲がり部を空所内にとどめておくことができる。いずれにしても、ある程度大きく曲げられたワイヤロープは、クリップから抜け出たりずれたりすることはなくなる。この曲がり量とボルト6,7に及ぼすトルクとの間にはやや幅があるにしても相関関係があるから、押圧突起の高さによって挟圧部材に掛けられるねじ締結力も自ずと定まったものとなっている。
【0048】
もちろん、押さえ部19の位置やそれに与えられた形の大きさにも関連するが、工事前に相互の関連についてデータを得て、その工事で要求される耐力に見合ったクリップを使用すれば、ねじ締結時のトルク管理の負担は大いに軽減される。挟圧部材の密着の有無を観察するだけで、所定の引抜き耐力を持ったものとなっているかどうかも判定することができる。これから分かるように、ねじ体には過剰なトルクを掛けることもなければ微妙なトルク操作も排除され、締結作業後に所定トルクを与えているかどうかの確認も極めて容易となり、作業員にとっては大きな負担軽減となる。
【0049】
以上の説明から分かるように、ワイヤロープは相互に押しつけあうことがないし、交差部位以外はロープ溝にあっても挟圧状態にないから、交差部位での痩せ細りや曲がり部での緊張の集中は回避される。交差部におけるワイヤロープの機械的性質の低減を見込んでのロープ選定は必要でなくなり、クリップ自体の大型化も免れる。接触摩擦による引抜き耐力とは異なって、曲げ変形による引抜き耐力の生成は、ワイヤロープを固縛するためボルトに掛ける操作力も小さくする。ワイヤロープの経時的な固縛力低下を回復する再締付け操作は不要であり、クリップによる固縛の安定性が常時高く発揮され、飛躍的に信頼性を高めた落石防止施設となる。
【0050】
ちなみに、図示しないが、二つの押圧突起を二つのねじ体を結ぶ線の中点を境に非対称配置するなら、各ワイヤロープに不平等な挟圧力を与えることができる。落石防止施設における横ロープは縦ロープの敷設秩序を保持するためのものであるが、縦ロープは地山を押さえるために大きく寄与する。従って、挟圧力に強弱のあるクリップを使用すれば、大きい張力が掛かる縦ロープの固縛に挟圧力に勝る側の押圧突起をあてがうことにより、ねじ締結操作に無理無駄を排除した効率よい固縛が達成される。
【0051】
図7の(a)はアンカーボルトが使用されない箇所でワイヤロープの交差部を保持するクロスクリップを示し、図2の(a)における取付孔17が無いものである。アンカーボルトを取りつける必要がないから、(b)のように該当箇所を切除した形の挟圧部材2Aとすることもできる。なお、図7の(b)ではボルト7に代えてアンカーボルト8Aが使用され、ねじ体が二つでもクロスアンカークリップとして使用できるようにしたクロスクリップの例となっている。この場合、アンカーボルトの固定孔が別途必要ということはなくなり、クロスアンカークリップを単純な形で与えることができる。
【0052】
図8は、押圧突起11,12がねじ体6とアンカーボルト8Aを結ぶ線を底辺とする二等辺三角形の頂点に配置されている例である。なお、アンカーボルトに代えてボルト7としてもよいことは言うまでもない。このように、二つのねじ体を結ぶ線16を底辺とする二等辺三角形の頂点に挟圧部材を配置し、そして一方の押圧突起を他方の押圧突起に対して底辺16を挟んで対称の位置とするなら、各ワイヤロープ4,5に対して平等の曲げが与えやすくなる。
【0053】
図9は、挟圧部材の合わせ面上に押圧突起を形成させることに代えて、ロープ溝9,10に突入する押圧突起11A,12Aを表裏のワイヤロープ交差位置を除く部位に形成した中間部材20を、挟圧部材2B,3Bの間に介在させるようにした例である。このようにしておけば、挟圧部材の合わせ面上に押圧突起を形成させる必要がなくなり、挟圧部材の形状を単純にしておくことができる。大きさや高さの違った押圧突起を中間部材に与えることができ、ロープに異なった大きさや形の曲がりを形成させることができるようになる。
【0054】
このように、中間部材を交換するだけで、異なる引抜き耐力を持ったクリップを準備することが可能となる。先行技術で開示したクリップでは、いずれも原理上ワイヤロープの曲がりがロープの断面半径分までとならざるを得ないが、本発明では押圧突起の高さをそれ以上とすることに特に障害はなく、従ってワイヤロープの曲がりを適度に深くすれば、引抜き耐力の増強が図られる。
【0055】
ところで、図4の(d)は押圧突起の高さの異なる挟圧部材2Cを使用して、ねじ締結に要するトルクを変更できるようにした例である。これは挟圧部材の一部を交換するだけで、曲がり部の形を変更して引抜き耐力を変えることができる。押圧突起11Bの構成は基部11bとヘッド11hとからなり、嵌め爪21を介して一体化する。従って、ヘッドの大きさの異なるものを使用すれば引抜き耐力を違ったものにすることができ、ねじ締結に要するトルクも変えることができる。なお、ヘッドに低いものを使用するときには、図4の(c)のように空所15Aを袋空間にしておくこともできる。いずれにしても、異なる径のワイヤロープにも適用可能となり、汎用性の高いクリップとなる。
【0056】
以上詳細に説明したことから分かるように、各挟圧部材の合わせ面には一条のロープ溝が、対面する挟圧部材の合わせ面上には押圧突起が形成され、その押圧突起がワイヤロープ交差位置を除く部位に設けられているので、ワイヤロープを部分的に曲げてロープ溝内の空所に納め、ワイヤロープ相互が交差部位において強い剪断力を及ぼしあうことなく、クリップからの抜けやずれが阻止される。
【0057】
合わせ面に形成されるロープ溝はワイヤロープを全没するように嵌める深さとなっているから、ワイヤロープは交差部位では他方のワイヤロープから、それ以外の部分でも他の合わせ面から強い力を受けることがなく、従って、ワイヤロープが押圧突起で曲げられることになっても、その前後の部分におけるワイヤロープの固縛操作中の変位が許容され、曲がり部に過度な緊張をきたすことが避けられる。曲がり部の瘠痩化は可及的に少なくなり、ワイヤロープが保有する本来の機械的強度等の性質が損なわれることはなくなる。なお、落石防止施設で導入されるクロスクリップを例にして述べたが、本発明はそれに限らず、対面する金具間にワイヤロープの交差部を位置させて固縛するような場合に有用なクリップとなる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るクロスクリップであり、(a)は交差するワイヤロープを固縛した状態の平面図、(b)は正面図。
【図2】(a)は上側挟圧部材の上面と下側挟圧部材の合わせ面を表した平面図、(b)は挟圧部材を単に上下に重ねたときの平面図。
【図3】上側挟圧部材の上面図およびその周囲各面図。
【図4】(a)および(b)は図3中のA−A線矢視およびB−B線矢視断面図、(c)および(d)は異なる例の断面図。
【図5】交差したワイヤロープを固縛する手順の説明図。
【図6】図5に続く説明図。
【図7】異なる構成の挟圧部材によりワイヤロープを固縛した状態の上面図。
【図8】押圧突起の位置を違えた挟圧部材によりワイヤロープを固縛した状態の上面図。
【図9】中間部材を導入したクロスクリップであり、(a)は分解図、(b)はワイヤロープ固縛状態断面図。
【符号の説明】
【0059】
1…クロスクリップ(クロスアンカークリップ)、2,2A,2B,2C,3,3B…挟圧部材、2a,3a…合わせ面、4,5…ワイヤロープ(縦ロープ、横ロープ)、4a,5a…曲がり部、6,7…ねじ体(ボルト)、8…アンカーボルト、8A…ねじ体(アンカーボルト)、9,10…ロープ溝、11,11A,11B,12,12A…押圧突起、11b…基部、11h…ヘッド、13…ワイヤロープ交差位置、14,15,15A…空所、16…二つのねじ体を結ぶ線、19…押さえ部、20…中間部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面する挟圧部材間にワイヤロープの交差部を位置させ、その交差位置を避けた部位で挟圧部材をねじ締結し、ワイヤロープを固縛するようにしたクロスクリップにおいて、
各挟圧部材の合わせ面には、交差するワイヤロープの一方または他方を全没させて嵌着する一条のロープ溝が形成され、
一方および他方の挟圧部材に形成されたロープ溝に突入する押圧突起が、他方および一方の挟圧部材の合わせ面上のワイヤロープ交差位置を除く部位に設けられ、
ねじ締結力を上げていくことにより前記ロープ溝に突入する押圧突起によってワイヤロープに生じさせた曲がり部を収容する空所が、該押圧突起に対応する位置に形成され、
交差するワイヤロープを挟圧部材で固縛しても、ワイヤロープが交差部位で相互に強い力を及ぼしあうことなく、各ワイヤロープの引抜き耐力が向上するようにしたことを特徴とするクロスクリップ。
【請求項2】
挟圧部材をねじ締結するねじ体は二つ設けられ、前記押圧突起が該二つのねじ体を結ぶ線上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載されたクロスクリップ。
【請求項3】
挟圧部材をねじ締結するねじ体は二つ設けられ、前記押圧突起が該二つのねじ体を結ぶ線を底辺とする二等辺三角形の頂点に配置されていることを特徴とする請求項1に記載されたクロスクリップ。
【請求項4】
前記二つのねじ体の一方はアンカーボルトであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載されたクロスクリップ。
【請求項5】
前記ねじ体を結ぶ線を底辺とする二等辺三角形の頂点に、アンカーボルトの取付孔が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載されたクロスクリップ。
【請求項6】
前記空所の形成により不連続となったロープ溝の空所との境界縁には、前記押圧突起と協働してワイヤロープを曲げる押さえ部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項5に記載されたクロスクリップ。
【請求項7】
挟圧部材の合わせ面上に押圧突起を形成させることに代えて、前記ロープ溝に突入する押圧突起を表裏のワイヤロープ交差位置を除く部位に形成した中間部材が、挟圧部材間に介在されていることを特徴とする請求項1に記載されたクロスクリップ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載されたクロスクリップを用いて交差するワイヤロープを固縛するとき、合わせ面が密着した時点で挟圧部材のねじ締結を停止することを特徴とするクロスクリップの締結方法。
【請求項9】
前記押圧突起の高さの異なる挟圧部材を使用して、ワイヤロープの引抜き耐力を変更するようにしたことを特徴とする請求項8に記載されたクロスクリップの締結方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−57783(P2006−57783A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242197(P2004−242197)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【Fターム(参考)】