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クロストリジウム毒素NETB
説明

クロストリジウム毒素NETB

本発明は、Clostridium perfringens由来の、ポリペプチドに基づく毒素に関する。本発明は更に、該毒素を含む免疫原性組成物、およびクロストリジウム疾患に罹りにくくするよう、動物、例えばニワトリにワクチン接種するための方法に関する。動物が該毒素にさらされたかどうかを判定するための方法、該毒素をコードするポリヌクレオチド、および活性が減少したまたは低い形態の該毒素を発現する弱毒化細菌も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規毒素に関する。本発明は更に、該毒素を含む免疫原性組成物、およびクロストリジウム疾患に罹りにくくするように動物、例えばニワトリにワクチン接種する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Clostridium(クロストリジウム)属はグラム陽性嫌気性芽胞形成細菌よりなる。これらの生物の天然の生息場所は自然環境ならびにヒトおよび他の動物の腸管である。約100種のClostridiumが同定されているにもかかわらず、医学的および獣医学的に重要な病原体として認識されているものはほんの少数である。それでも、これらの種は、ボツリヌス中毒、破傷風、嫌気性蜂巣炎、ガス壊疽、菌血症、偽膜性大腸炎およびクロストリジウム胃腸炎を含む重篤な疾患に関連している。
【0003】
Clostridium perfringens(クロストリジウム・パーフリンジェンス)は、経済的に重要な家畜において見出される多数のクロストリジウム疾患の病原因子である。壊死性腸炎(NE)は、C. perfringens(クロストリジウム・パーフリンジェンス)により引き起こされるクロストリジウム腸疾患の一例である。壊死性腸炎は腸壁に壊死性病変を発生させて家禽の罹患および死亡を招く。それはまた、複雑で部分的に未知の疫学および発病機序を有する多因子性疾患である(Kaldhusdal, 1999)。細菌C. perfringensは家禽の胃腸管においてごく普通に見出されるが(Tschirdewahnら, 1991)、壊死性腸炎の発生は散発的である(Cowenら, 1987)。それでも、C. perfringensに汚染された食料はニワトリにおける壊死性腸炎の突発的発生に関連づけられている(Kaldhusdal, 1999)。健常ニワトリは比較的少数のC. perfringensをそれらの胃腸管内に有するが、壊死性腸炎状態では該細菌の濃度の増加が生じうることを、研究は示している(Cravenら, 1999)。
【0004】
C. perfringensが小腸内で多数にまで増殖し、腸を損傷する細胞外毒素を産生した場合に、臨床的壊死性腸炎が生じると考えられている。関わっていると考えられる主要毒素はアルファ-毒素であるが、疾患過程におけるその厳密な役割は完全には理解されていない。アルファ-毒素は分泌性亜鉛-金属酵素であり、これはホスホリパーゼCおよびスフィンゴミエリナーゼ活性の両方を有し、ヒトのガス壊疽の発病に関与する主要毒素である(Awadら, 1995; Songer, 1997)。C. perfringensの5つ全ての毒素型(A〜E)がアルファ-毒素構造遺伝子plcを含有し、それを発現する。
【0005】
現在のところ、壊死性腸炎における必須病原性因子として、他の毒素は同定されていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは新規クロストリジウム毒素を同定した。本発明者らはこのポリペプチドをNetBと命名した。
【0007】
したがって、本発明は、以下:
i)配列番号2もしくは配列番号3に示されるアミノ酸配列、
ii)配列番号2および/もしくは配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列、または
iii)i)もしくはii)の生物学的に活性なおよび/もしくは抗原性の断片
を含む、実質的に精製されたまたは組換えポリペプチドを提供する。
【0008】
1つの実施形態においては、該ポリペプチドは毒素活性を有する。
【0009】
もう1つの実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号2および/または配列番号3によりコードされるポリペプチドと比較して低減した毒素活性を有する。
【0010】
好ましい実施形態においては、該ポリペプチドは、配列番号2または配列番号3と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0011】
1つの実施形態においては、該ポリペプチドはClostridium属の細菌から精製されうる。好ましくは、該ポリペプチドはClostridium perfringensから精製されうる。
【0012】
本発明のもう1つの実施形態においては、該ポリペプチドはトキソイドである。
【0013】
さらにもう1つの実施形態においては、該ポリペプチドは、少なくとも1つの他のポリペプチド配列を含む融合タンパク質である。
【0014】
そのような少なくとも1つの他のポリペプチドは、例えば、本発明のポリペプチドの安定性を増強するポリペプチド、または該融合タンパク質の精製を補助するポリペプチド、または本発明のポリペプチドの免疫学的特性を増強するポリペプチドでありうる。
【0015】
さらにもう1つの実施形態においては、本発明のポリペプチドは合成ポリペプチドである。
【0016】
本発明は更に、
i)配列番号1に示されるヌクレオチドの配列、
ii)請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列、
iii)配列番号1と少なくとも40%同一であるヌクレオチドの配列、および/または
iv)ストリンジェントな条件下、i)〜iii)のいずれかもしくはその逆相補体にハイブリダイズする配列
を含む、単離されたおよび/または組換えポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
1つの実施形態においては、該単離または組換えポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド226-1194と少なくとも40%同一であるヌクレオチドの配列を含む。
【0018】
本発明は更に、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0019】
好ましくは、該ベクター内のポリヌクレオチドはプロモーターに機能的に(operably)連結されている。
【0020】
1つの実施形態においては、該ベクターはウイルスベクターまたはプラスミドベクターである。
【0021】
本発明は更に、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチドおよび/または本発明のベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0022】
本発明の宿主細胞は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを産生しうる任意の細胞であることが可能であり、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞(酵母を含む)、寄生虫細胞および節足動物細胞を含む。
【0023】
好ましくは、該宿主細胞は細菌である。
【0024】
1つの実施形態においては、該細菌は大腸菌(E. coli)である。より好ましい実施形態においては、該細菌は、CCEC22、CCEC31およびCCEC59から選ばれる大腸菌(E. coli)である。
【0025】
本発明は更に、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を可能にする条件下、本発明の宿主細胞または該ポリペプチドをコードする本発明のベクターを培養することを含む、本発明のポリペプチドの製造方法を提供する。
【0026】
好ましくは、該方法は更に、該ポリペプチドを単離することを含む。
【0027】
本発明は更に、本発明のポリペプチドに特異的に結合する実質的に精製された抗体またはそのフラグメントを提供する。
【0028】
本発明は更に、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、本発明の宿主細胞および/または本発明の抗体を含む組成物を提供する。
【0029】
1つの実施形態においては、該組成物は免疫原性組成物である。
【0030】
1つの実施形態においては、該免疫原性組成物は更に、アジュバントおよび/または製薬上許容される担体を含む。
【0031】
本発明は更に、本発明のポリペプチドを含む抗原を含むワクチンを提供する。
【0032】
1つの実施形態においては、該ワクチンはアジュバントおよび/または製薬上許容される担体を含む。
【0033】
1つの実施形態においては、該ワクチンは更に、1以上の追加的抗原を含む。
【0034】
本発明は更に、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むDNAワクチンを提供し、ここで、被験体に投与されると、該ポリペプチドが発現され、該ポリペプチドに対する免疫応答が生じる。
【0035】
本発明は更に、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを産生する弱毒化細菌を提供し、ここで、該細菌は、野生型細菌と比較して減少した量の該ポリペプチドを産生し、および/または野生型細菌における該ポリペプチドと比較して低減した毒素活性を有する。
【0036】
1つの実施形態においては、該弱毒化細菌は該ポリペプチドを発現しない。
【0037】
もう1つの実施形態においては、該弱毒化細菌は更に、異種ポリペプチドを発現するよう改変されている。該異種ポリペプチドは、例えば、生物学的に活性なポリペプチドまたは抗原でありうる。生物学的に活性なポリペプチドの具体例には、サイトカイン、増殖因子および酵素が含まれる。該抗原は、例えば細菌、真菌、寄生虫またはウイルス性疾患因子に由来するものでありうる。
【0038】
好ましくは、該弱毒化細菌はClostridium属に属する。最も好ましい実施形態においては、該細菌はClostridium perfringensである。
【0039】
本発明は更に、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細菌の病原性を弱毒化する方法を提供し、該方法は、弱毒化された細菌が非弱毒化細菌と比べて低減した毒素活性を有するようにするために、ポリヌクレオチド配列を突然変異させて該ポリペプチドの発現および/または毒素活性を低減させることを含む。
【0040】
本発明は更に、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、本発明の組成物、本発明のワクチン、本発明の宿主細胞および/または本発明の細菌を被験体に投与することを含む、被験体において免疫応答を惹起させる方法を提供する。
【0041】
1つの実施形態においては、該宿主細胞または細菌は生きている。
【0042】
もう1つの実施形態においては、該ポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物、ベクター、宿主細胞または細菌はin ovo(卵内)送達される。
【0043】
本発明は更に、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する病原体に被験体がさらされたかどうかを決定する方法を提供し、ここで、該方法は、該被験体から得られたサンプル中の該ポリペプチドの存在または非存在を決定することを含み、該ポリペプチドの存在は、該病原体にさらされたことを示す。
【0044】
本発明は更に、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する病原体に被験体がさらされたかどうかを決定する方法を提供し、ここで、該方法は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体の、サンプル中の存在または非存在を決定することを含み、該抗体の存在は、該病原体にさらされたことを示す。
【0045】
本発明は更に、配列番号1と少なくとも40%同一であるヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチドを発現する病原体に被験体がさらされたかどうかを決定する方法を提供し、ここで、該方法は、該被験体から得られたサンプル中の該ポリヌクレオチドの存在または非存在を決定することを含み、該ポリヌクレオチドの存在は、該病原体にさらされたことを示す。
【0046】
該ポリヌクレオチドの存在または非存在を決定するための任意の適当な技術が用いられうる。例えば、該ポリヌクレオチドの存在または非存在は、例えば、ハイブリダイゼーションにより、またはサザンブロットにより、または例えばPCRによる該ポリヌクレオチドの増幅により検出されうる。
【0047】
1つの実施形態においては、該病原体はClostridium属に由来する。好ましい実施形態においては、該病原体はClostridium perfringensである。
【0048】
本発明の方法の1つの実施形態においては、該被験体は鳥類である。
【0049】
好ましくは、該被験体は家禽である。例えば、該被験体はニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル(カモ)、ダチョウ、または商業的量で一般に繁殖飼育される他の家禽でありうる。
【0050】
最も好ましい実施形態においては、該被験体はニワトリである。
【0051】
本発明は更に、本発明のポリペプチドの活性をモジュレーションするアゴニストまたはアンタゴニストに関してスクリーニングする方法を提供し、ここで、該方法は、本発明のポリペプチドを候補化合物と接触させ、本発明のポリペプチドの毒素活性を該化合物が増強または低減するかどうかを決定することを含む。1つの実施形態においては、該化合物はアンタゴニストである。好ましくは、該化合物は抗体である。
【0052】
本発明は更に、毒素活性に関してサンプルを試験する方法を提供し、ここで、該方法は、
(a)請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドを含有する疑いのあるサンプルを少なくとも第1および第2サブサンプルに分割し、
(b)第1サブサンプルを請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドのアンタゴニストと接触させ、
(c)第1および第2サブサンプルが毒素活性を有するかどうかを決定する
ことを含み、
第1サブサンプルにおける毒素活性の非存在および第2サンプルにおける毒素活性の存在は、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるポリペプチドの存在を示す。
【0053】
1つの実施形態においては、工程(c)は、独立して、該ポリペプチドが細胞変性効果を引き起こすのに十分な条件下および期間にわたり第1および第2サブサンプルを動物細胞と共にインキュベートし、該細胞に対する細胞変性効果の存在または非存在を決定することを含む。
【0054】
好ましい実施形態においては、該アンタゴニストは抗体である。
【0055】
本発明は更に、本発明のポリペプチドのアンタゴニストを含む食料および/または飲料を提供する。
【0056】
好ましくは、該アンタゴニストは本発明の抗体である。
【0057】
本発明は更に、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細菌による動物への感染および/または定着(コロニー形成)を低減するための、本発明の食料および/または飲料の使用を提供する。
【0058】
本発明は更に、本発明のポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む非ヒトトランスジェニック生物を提供する。好ましくは、該非ヒトトランスジェニック生物は植物である。
【0059】
本発明は更に、本発明のポリペプチドを含む食料および/または飲料を提供する。
【0060】
好ましくは、該ポリペプチドは、該非ヒトトランスジェニック生物および/または該食料および/または飲料が被験体に投与されると細菌病原体に対する免疫応答を惹起する。該細菌病原体はClostridium属のもの、例えばClostridium perfringensでありうる。好ましくは、該被験体は鳥類、例えばニワトリ、シチメンチョウまたはアヒル(カモ)である。
【0061】
当業者により理解されるとおり、本発明の非ヒトトランスジェニック生物および/または食料および/または飲料は、本発明のポリペプチドを被験体に投与して該被験体において該ポリペプチドに対する免疫応答を惹起させるため使用されうるであろう。
【0062】
したがって、1つの実施形態においては、本発明は、本発明のポリペプチドに対する免疫応答を惹起させる方法を提供し、ここで、該方法は、本発明の非ヒトトランスジェニック生物および/または本発明の食料および/または飲料を被験体に経口投与することを含む。
【0063】
本発明は更に、雌鳥の後代に受動免疫を付与する方法を提供し、ここで、該方法は、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、本発明の宿主細胞、本発明の組成物、本発明のワクチン、本発明の弱毒化細菌、本発明の非ヒトトランスジェニック生物および/または本発明の食料および/または飲料を、該後代を含む卵を該雌鳥が産む前に該雌鳥に投与して、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細菌に対する受動免疫を該後代に付与することを含む。
【0064】
本発明は更に、被験体において免疫応答を惹起させるための医薬の製造における、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、本発明の組成物、本発明のワクチン、本発明の宿主細胞、本発明の細菌、本発明の非ヒトトランスジェニック生物および/または本発明の食料および/または飲料の使用を提供する。
【0065】
本発明は更に、被験体において免疫応答を惹起させるための医薬としての、本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、本発明の組成物、本発明のワクチン、本発明の宿主細胞、本発明の細菌、本発明の非ヒトトランスジェニック生物および/または本発明の食料および/または飲料の使用を提供する。
【0066】
明らかなとおり、本発明の1つの態様の好ましい特性および特徴は本発明の多数の他の態様に適用可能である。
【0067】
本明細書の全体において、「含む」なる語または「含み」もしくは「含んでなる」のような派生語は、示されている要素、整数もしくは工程または要素、整数もしくは工程の群の包含を意味し、いずれの他の要素、整数もしくは工程または要素、整数もしくは工程の群の除外をも意味するものではないと理解される。
【0068】
以下において、本発明は、後述の非限定的な実施例(具体例)により、および添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】C. perfringens由来のNetBおよびベータ毒素のClustalWアライメント。「*」は、その列内の残基またはヌクレオチドが該アライメントにおける全ての配列において同一であることを意味する。「:」は、保存的置換が認められたことを意味する。「,」は、半保存的置換が認められることを意味する。
【図2】NE18-ΔnetB染色体領域の概要図。挿入不活性化netB遺伝子を該遺伝子の両側の約2kbの相同DNAと共に含有する自殺プラスミドを使用する対立遺伝子交換によりnetB突然変異体を構築し、EHE-NE18内に導入した。
【図3】LMH細胞上のC. perfringens EHE-NE18培養上清の細胞毒性アッセイ。a.TPG培地(原液);b.C. perfringens EHE-NE18培養上清(1:16希釈);c.C. perfringens JIR325(株13 - 非壊死性腸炎株)培養上清(1:2希釈);C. perfringens NE18-M1(plc突然変異体)培養上清(1:16希釈)。
【図4】LMH細胞上のEHE-NE18培養上清のnetB陰性誘導体の細胞毒性アッセイ。EHE-NE18培養上清(1:16希釈);b.NE18欠失netB1培養上清(1:2希釈);c.NE18欠失netB1 + pJIR1457(シャトルプラスミド)培養上清(1:2希釈);d.NE18欠失netB1 + pALK20(netB相補プラスミド)培養上清(1:16希釈);e.TPG培地(原液);f.カラム精製組換えNetB(1:8希釈)。
【図5】NetBで処理されたLMH細胞の乳酸デヒドロゲナーゼ細胞毒性アッセイ。上清中に放出されたLDHをCyto-Tox(Promega)キットでの細胞溶解の指標として測定し、細胞毒性率(%)として表した。各希釈は三重に行い、各希釈に関してSEMを計算した。
【図6】netBの存在に関するNEおよび非NE C. perfringens株のPCRスクリーニング。a.NE株;b.非NE株。
【図7】種々のC. perfringens株(NEおよび非NE)におけるタンパク質の存在に関するウエスタンブロット研究。NetB発現に関するNE株および非NE株のC. perfringensスクリーニングのウエスタンブロット分析。C. perfringens株を、それが0.6のOD600nmに達するまで、TPG培地内で増殖させ、培養上清をSDS-PAGEにより分離した。分離されたタンパク質をPDVF膜に転写し、ウサギからのrNetB抗血清でプローブした。括弧はNEおよび非NE C. perfringens株を示す。
【図8】NetBでワクチン接種されたニワトリからの血清のウエスタンブロット分析。レーン1:分子量マーカー(Invitrogen SeeBlue(登録商標)Plus2前染色標準);レーン2〜14:ワクチン接種された鳥#1〜#13からの血清
【発明を実施するための形態】
【0070】
配列表の要点
配列番号1 - Clostridium perfringens NetB毒素をコードするヌクレオチド配列。
【0071】
配列番号2 - Clostridium perfringens NetB毒素の成熟アミノ酸配列。
【0072】
配列番号3 - シグナルペプチド配列を含むClostridium perfringens NetB毒素のアミノ酸配列。
【0073】
配列番号4 - Clostridium perfringensベータ毒素のアミノ酸配列。
【0074】
配列番号5〜10 - オリゴヌクレオチドプライマー。
【0075】
発明の詳細な説明
一般的技術および定義
特に示さない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、当業者(例えば、微生物、細胞培養、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学および生化学における当業者)により一般に理解されているのと同じ意味を有するものと解釈されることとする。
【0076】
特に示さない限り、本発明において用いられる組換えタンパク質、細胞培養、微生物学的および免疫学的技術は、当業者によく知られている標準的な手段である。そのような技術は例えば以下のような出典における文献の全体にわたって記載され説明されている:J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984), J. Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989), T.A. Brown (編), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991), D.M. GloverおよびB.D. Hames (編), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1-4, IRL Press (1995および1996)ならびにF.M. Ausubelら, (編), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988, 現在までの全ての改訂を含む), Ed HarlowおよびDavid Lane (編) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988)ならびにJ.E. Coliganら, (編) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons (現在までの全ての改訂を含む)(それらを参照により本明細書に組み入れることとする)。
【0077】
本明細書中で用いる「被験体」なる語は、動物、例えば鳥または哺乳動物を意味する。好ましい実施形態においては、該被験体は鳥、例えばニワトリである。もう1つの実施形態においては、該被験体はヒトである。他の好ましい実施形態は、愛玩動物、例えばネコおよびイヌ、ならびに家畜、例えばウマ、ウシ、ヒツジおよびヤギを含む。
【0078】
本明細書中で用いる「鳥(鳥類)」なる語は、分類群鳥綱(Aves)の生物の任意の種、亜種または品種を意味し、例えば、以下に限定するものではないが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル(カモ)、ガチョウ、キジ、ウズラ、オウム、フィンチ、タカ、カラスおよび走鳥類、例えばダチョウ、エミューおよびヒクイドリのような生物である。該用語は、Gallus gallus、すなわちニワトリの種々の公知系統(例えば、白色レグホン(White Leghorn)、褐色レグホン(Brown Leghorn)、バレッドロック(Barred-Rock)、サセックス(Sussex)、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ロードアイランド(Rhode Island)、オーストラロープ(Australorp)、コーニッシュ(Cornish)、ミノルカ(Minorca)、アムロックス(Amrox)、カリフォルニアグレイ(California Gray)、イタリアンパートリッジ(Italian Partidge)(有色))、ならびにシチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル(カモ)、ダチョウおよび商業的量で一般に繁殖飼育されている他の家禽を含む。
【0079】
本明細書中で用いる「毒素活性」は、動物細胞を殺すまたは動物細胞において細胞変性効果を引き起こす、ポリペプチドまたはペプチド(例えば、NetB毒素)の能力を意味する。いくつかの場合には、ポリペプチドはNetB毒素と比べて低減した毒素活性を有することが望ましいかもしれない。毒素活性の低減は、好ましくは、少なくとも50、60、70、80、90、95または99%である。毒素活性の低減は、例えば、細胞変性効果の減少として測定されうる。
【0080】
本明細書中で用いる「細胞変性効果」または「CPE」なる語は、細胞毒素の活性の結果としての細胞構造における変化(すなわち、病的効果)を意味する。一般的な細胞変性効果には、細胞破壊、細胞円形化、シンシチウム(すなわち、融合巨細胞)形成、空胞形成および封入体形成が含まれる。CPEは、生存維持のために必要な機能を果たす該細胞の能力に負の影響を及ぼす、細胞に対する毒素の作用により生じる。in vitro細胞培養系においては、コンフルエントな単層の一部としての細胞が、毒素を含有するサンプルとの接触後、非コンフルエントな領域を示す場合、CPEは明白である。細胞変性効果は当業者により容易に認識可能であり、識別可能である。
【0081】
本明細書中で用いる「トキソイド」なる語は、いずれかの少なくとも部分的に不活性化(不活化)された毒素を意味するが、トキソイドを得るために毒素を不活性化する個々の手段を何ら限定するものではない。そのような不活性化技術には以下のものが含まれる:(i)無傷毒素を修飾する化学的方法、例えばホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒド処理、(ii)物理的方法、例えば加熱、(iii)毒素を改変する酵素的方法、例えば、毒素を断片へと切断するプロテアーゼ;(iv)組換え方法、例えば、1以上の抗原エピトープを保有させながら毒素の酵素領域を除去または改変するための、毒素遺伝子の遺伝的操作。
【0082】
細菌に関して本明細書中で用いる「野生型」なる語は、毒素活性を有する配列番号2または配列番号3と少なくとも40%、より好ましくは少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを産生する、天然に存在する細菌を意味する。
【0083】
本明細書中で用いる「治療」、「治療する」または「治療し」なる語は、毒素活性を有するポリペプチドを発現する細菌による感染により引き起こされる疾患の少なくとも1つの症状を軽減または排除するのに十分な本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、組成物、ワクチンおよび/または弱毒化細菌の治療的有効量を投与することを含む。
【0084】
「予防」なる語は、細菌にさらされうる被験体を、該細菌による感染および/または定着により生じる少なくとも1つの症状の発生から防御すること、あるいは該細菌にさらされた被験体における感染および/または定着の症状の重症度を低減することを意味する。
【0085】
ポリペプチド/ペプチド
「ポリペプチド」および「タンパク質」なる語は一般には互換的に用いられ、非アミノ酸基の付加により修飾されていても修飾されていなくてもよい単一ポリペプチド鎖を意味する。そのようなポリペプチド鎖は他のポリペプチドまたはタンパク質または他の分子、例えば補因子と会合しうると理解されるであろう。本明細書中で用いる「タンパク質」および「ポリペプチド」なる語は、本明細書に記載されているポリペプチドの変異体、突然変異体、生物学的に活性な断片、修飾体、類似体および/または誘導体をも含む。
【0086】
「実質的に精製されたポリペプチド」または「単離されたポリペプチド」は、その天然状態でそれに付随している脂質、核酸、他のペプチドおよび他の混入分子からほぼ分離されているポリペプチドを意味する。好ましくは、実質的に精製されたポリペプチドは、それに天然で付随している他の成分から少なくとも60%遊離している、より好ましくは少なくとも75%遊離している、より好ましくは少なくとも90%遊離している。
【0087】
ポリペプチドの文脈における「組換え(体)」なる語は、その天然状態と比べて改変された量または改変された速度で、細胞によりまたは無細胞発現系において産生された該ポリペプチドを意味する。1つの実施形態においては、該細胞は、該ポリペプチドを天然では産生しない細胞である。しかし、該細胞は、改変された(好ましくは増加した)量の該ポリペプチドを産生させる非内因性遺伝子を含む細胞でありうる。本発明の組換えポリペプチドは、それが産生されたトランスジェニック(組換え)細胞または無細胞発現系の他の成分から分離されていないポリペプチド、および後に少なくとも幾つかの他の成分から精製されるそのような細胞または無細胞系において産生されたポリペプチドを含む。
【0088】
ポリペプチドの同一性(%)はギャップ生成ペナルティ = 5およびギャップ伸長ペナルティ = 0.3でGAP(NeedlemanおよびWunsch, 1970)分析(GCGプログラム)により決定される。問合せ配列は少なくとも15アミノ酸長であり、GAP分析は少なくとも15アミノ酸の領域にわたって2つの配列を整列(アラインメント)させる。より好ましくは、問合せ配列は少なくとも50アミノ酸長であり、GAP分析は少なくとも50アミノ酸の領域にわたって2つの配列を整列させる。より好ましくは、問合せ配列は少なくとも100アミノ酸長であり、GAP分析は少なくとも100アミノ酸の領域にわたって2つの配列を整列させる。より一層好ましくは、問合せ配列は少なくとも250アミノ酸長であり、GAP分析は少なくとも250アミノ酸の領域にわたって2つの配列を整列させる。より好ましくは、それらの2つの配列はそれらの全長にわたって整列される。
【0089】
一定のポリペプチドに関しては、前記で示されたものより高い同一性%値は、好ましい実施形態を包含すると理解されるであろう。したがって、適用可能な場合には、最低限の同一性%値を踏まえて、該ポリペプチドは、示されている該当配列番号と少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも76%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは少なくとも99.1%、より好ましくは少なくとも99.2%、より好ましくは少なくとも99.3%、より好ましくは少なくとも99.4%、より好ましくは少なくとも99.5%、より好ましくは少なくとも99.6%、より好ましくは少なくとも99.7%、より好ましくは少なくとも99.8%、より一層好ましくは少なくとも99.9%同一であるアミノ酸配列を含むことが好ましい。
【0090】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列突然変異体は、本発明の核酸内に適当なヌクレオチド変化を導入することにより、あるいは所望のポリペプチドのin vitro合成により製造されうる。そのような突然変異体は、例えば、アミノ酸配列内の残基の欠失、挿入または置換を含む。最終ペプチド産物が所望の特性を有する限り、最終構築物に到達するために、欠失、挿入および置換の組合せが用いられうる。
【0091】
突然変異体(改変された)ポリペプチドは、当技術分野で公知の任意の適当な技術を用いて製造されうる。例えば、本発明のポリヌクレオチドはin vitro突然変異誘発に付されうる。そのようなin vitro突然変異誘発技術は、適当なベクター内にポリヌクレオチドをサブクローニングし、該ベクターを「ミューテーター」株、例えば大腸菌(E. coli)XL-1レッド(Stratagene)内に形質転換し、該形質転換細菌を適当な世代数にわたって増殖させることを含む。もう1つの例においては、本発明のポリヌクレオチドを、Harayama (1998)により大まかに記載されているDNAシャッフリング技術に付す。これらのDNAシャッフリング技術は、本発明のものに関連した毒素コード遺伝子(例えば、Closrtidium perfringens以外の細菌に由来するもの)を含みうる。突然変異/改変DNAから誘導された産物は、それらが毒素活性を有するかどうかを決定するために本明細書に記載の技術を用いて容易にスクリーニングされうる。
【0092】
アミノ酸配列突然変異体の設計においては、突然変異部位の位置および突然変異の性質は、修飾すべき特性に左右されるであろう。突然変異のための部位は、例えば、(1)まず、保存的アミノ酸選択物で置換し、ついで、達成された結果に応じて、より徹底的(radical)な選択物で置換し、(2)標的残基を欠失させ、あるいは(3)特定された部位に隣接して他の残基を挿入することにより、個々にまたは連続的に修飾されうる。
【0093】
アミノ酸配列の欠失は、一般には約1〜15残基、より好ましくは約1〜10残基、典型的には約1〜5個の連続残基の範囲に及ぶ。
【0094】
置換突然変異体においては、該ポリペプチド分子内の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その位置に、異なる残基が挿入されている。置換突然変異誘発のための最も関心のある部位には、活性部位として特定された部位が含まれる。関心のある他の部位は、種々の株または種から得られた特定の残基が同一である部位である。これらの位置は生物活性に重要でありうる。これらの部位(特に、少なくとも3つの他の同一に保存されている部位の配列内に含まれるもの)は、好ましくは、比較的保存的に置換されうる。そのような保存的置換を、「典型的置換」の見出しを有する表1に示す。
【表1】

【0095】
また、本発明のポリペプチドの生物学的に活性な断片も本発明の範囲内に含まれる。本明細書中で用いる「生物学的に活性な断片」は、完全長ポリペプチドの所定の活性を維持している、本発明のポリペプチドの一部分である。生物学的に活性な断片は、それらが所定の活性を維持する限り任意のサイズでありうる。好ましくは、生物学的に活性な断片は完全長タンパク質の活性の少なくとも10%を維持している。当業者に公知のとおり、ポリペプチドの生物学的に活性な断片を特定するための技術は当技術分野で公知である。例えば、本発明のポリペプチドの断片を、該断片が毒素活性を有するかどうかを決定するために、例えば、該断片が細胞において細胞変性効果を誘導しうるかどうかを決定することにより、適当なアッセイにおいて試験することが可能である。1つの実施形態においては、生物学的に活性な断片は少なくとも100アミノ酸長、より好ましくは少なくとも110アミノ酸長、より好ましくは少なくとも120アミノ酸長、より好ましくは少なくとも130アミノ酸長、より好ましくは少なくとも140アミノ酸長、より好ましくは少なくとも150アミノ酸長、より好ましくは少なくとも175アミノ酸長、またはより好ましくは少なくとも200アミノ酸長またはそれ以上のアミノ酸長である。
【0096】
「抗原」および「抗原性」なる語は当技術分野において十分に理解されており、免疫系の成分(例えば、抗体またはT細胞抗原受容体)により特異的に認識される、巨大分子の部分を意味する。「抗原」なる語は、宿主において免疫応答が誘導されうるペプチド、ポリペプチドまたは他の巨大分子を意味する。したがって、本発明は本発明のポリペプチドの抗原性断片を含む。好ましくは、該抗原性断片は、細菌病原体、例えば、Clostridium perfringens(これに限定されるものではない)を含むClostridium属の細菌に対する免疫応答を惹起しうる。1つの実施形態においては、該抗原は本発明のポリペプチドのエピトープである。1つの実施形態においては、該抗原性断片は6アミノ酸長、より好ましくは7アミノ酸長、より好ましくは8アミノ酸長、より好ましくは9アミノ酸長、より好ましくは10アミノ酸長である。あるいは、抗原性断片は少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上のアミノ酸長である。1つの実施形態においては、被験体に投与された抗原は、配列番号2および/または配列番号3において示されているアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する免疫応答を惹起しうる。
【0097】
さらに、所望により、本発明のポリペプチド内への置換または付加として、非天然アミノ酸または化学的アミノ酸類似体が導入されうる。そのようなアミノ酸には、一般のアミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸、6-アミノヘキサン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、修飾(designer)アミノ酸、例えばβ-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミン酸、およびアミノ酸類似体全般が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
また、例えばビオチン化、ベンジル化、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知保護/遮蔽基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子または他の細胞リガンドへの連結などにより、合成の途中または後に差示的に修飾された本発明のポリペプチドも、本発明の範囲内に含まれる。これらの修飾は、本発明のポリペプチドの安定性および/または生物活性を増強するのに役立ちうる。
【0099】
本発明のポリペプチドは、天然ポリペプチドの製造および回収、組換えポリペプチドの製造および回収、ならびに該ポリペプチドの化学合成を含む種々の方法で製造されうる。1つの実施形態においては、該ポリペプチドを産生するのに有効な条件下、該ポリペプチドを発現しうる細胞を培養し、該ポリペプチドを回収することにより、本発明の単離されたポリペプチドが製造される。培養するための好ましい細胞は本発明の宿主細胞である。有効な培養条件には、ポリペプチドの産生を可能にする有効な培地、バイオリアクター、温度、pHおよび酸素条件が含まれるが、これらに限定されるものではない。有効な培地は、本発明のポリペプチドを産生させるために細胞が培養される任意の培地を意味する。そのような培地は、典型的には、同化可能な炭素、窒素およびリン酸源ならびに適当な塩、ミネラル、金属および他の栄養素、例えばビタミンを含有する水性培地を含む。本発明の細胞は通常の発酵バイオリアクター、振とうフラスコ、試験管、マイクロタイター皿およびペトリプレート内で培養されうる。培養は、組換え細胞に適した温度、pHおよび酸素含量にて行われうる。そのような培養条件は当業者の専門知識・技術の範囲内である。
【0100】
抗体
本発明で用いる「抗体」なる語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、異種コンジュゲート抗体、キメラ抗体、例えば無傷分子、およびエピトープ決定基に結合しうるそのフラグメント、例えばFab、F(ab')2およびFv、ならびに他の抗体様分子を含む。
【0101】
抗体フラグメントは、その抗原または受容体に選択的に結合する或る程度の活性を保有し、以下のとおりに定義される。
【0102】
(1)Fab:抗体分子の1価抗原結合フラグメントを含有する該フラグメントは、酵素パパインで全抗体を消化して無傷軽鎖および1本の重鎖の一部を得ることにより製造されうる。
【0103】
(2)Fab':抗体分子の該フラグメントは、全抗体をペプシンで処理し次いで還元して無傷軽鎖および重鎖の一部を得ることにより得られうる。抗体分子1個当たり2個のFab'フラグメントが得られる。
【0104】
(3)(Fab')2:後の還元を伴うことなく全抗体を酵素ペプシンで処理することにより得られうる、抗体のフラグメント;F(ab)2は、2つのジスルフィド結合により互いに連結された2つのFab'フラグメントの二量体である。
【0105】
(4)Fv:2本の鎖として発現される、軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含有する遺伝的に操作されたフラグメントと定義される。
【0106】
(5)一本鎖抗体(「SCA」):遺伝的に融合された一本鎖分子として適当なポリペプチドリンカーにより連結された軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含有する遺伝的に操作された分子と定義される。
【0107】
これらのフラグメントの製造方法は当技術分野で公知である(例えば、HarlowおよびLane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1988)(これを参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい)。
【0108】
(6)単一ドメイン抗体:典型的には、軽鎖を欠く可変重鎖ドメイン。
【0109】
ポリクローナル抗体
本発明の抗体はポリクローナル抗体でありうる。ポリクローナル抗体の製造方法は当業者に公知である。ポリクローナル抗体は、例えば、該ポリペプチドを発現する細胞および場合によってはアジュバントの1回以上の注射により、哺乳類または鳥類において産生されうる。典型的には、該細胞および/またはアジュバントは、複数回の皮下または腹腔内注射により、哺乳類または鳥類において注射される。使用されうるアジュバントの具体例には、フロイント完全アジュバントおよびMPL-TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。該免疫化プロトコールは、過度な実験を伴うことなく当業者により選択されうる。
【0110】
モノクローナル抗体
あるいは、本発明の方法により製造される抗体はモノクローナル抗体でありうる。モノクローナル抗体は、例えばKohlerおよびMilstein, (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を用いて製造されうる。ハイブリドーマ法においては、マウス、ハムスターまたは他の適当な宿主動物を、典型的には、トランスジェニック哺乳動物に由来する第1種のポリペプチドを発現する細胞で免疫化して、第1種のポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生するまたは抗体を産生しうるリンパ球を惹起させる。
【0111】
一般には、ヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)を使用し、あるいは非ヒト哺乳動物由来のものが望まれる場合には脾細胞またはリンパ節細胞を使用する。ついで適当な融合剤、例えばポリエチレングリコールを使用して、該リンパ球を不死化細胞系と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103)。不死化細胞系は、通常、形質転換哺乳類細胞、特に、げっ歯類、ウシおよびヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウス骨髄腫細胞系が使用される。該ハイブリドーマ細胞は、未融合の不死化細胞の成長または生存を抑制する1以上の物質を好ましくは含有する適当な培地内で培養されうる。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合には、該ハイブリドーマのための培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含み(「HAT培地」)、これらの物質はHGPRT欠損細胞の成長を妨げる。
【0112】
好ましい不死化細胞系としては、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの発現を支持し、HAT培地のような培地に感受性であるものが挙げられる。より好ましい不死化細胞系は、例えばSalk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Calif.およびAmerican Type Culture Collection, Manassas, Va.から入手可能なマウス骨髄腫系である。ヒト骨髄腫およびマウス-ヒト異種骨髄腫細胞系も、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記載されている(Kozbor, 1985; Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, 1987 pp. 51-63)。
【0113】
ハイブリドーマ細胞が培養された培地は次いで、第1種のポリペプチドに対するモノクローナル抗体の存在に関してアッセイされうる。好ましくは、該ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降により、あるいはin vitro結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)により決定される。そのような技術およびアッセイは当技術分野で公知である。モノクローナル抗体の結合アフィニティは、例えば、MunsonおよびPollard, (1980)のスキャッチャード分析により決定されうる。
【0114】
所望のハイブリドーマ細胞を同定した後、該クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることが可能である。この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)およびRPMI-1640培地が含まれる。あるいは、該ハイブリドーマ細胞を哺乳動物における腹水としてin vivoで増殖させることが可能である。
【0115】
該サブクローンから分泌されたモノクローナル抗体は、通常の免疫グロブリン精製法、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィーにより、培地または腹水から単離または精製されうる。
【0116】
該モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号に記載されている方法によっても製造されうる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、通常の方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合しうるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、容易に単離され配列決定されうる。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい起源として役立つ。該DNAを、単離したら、発現ベクター内に配置することが可能であり、ついで、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を達成するために、それを宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞(該DNAがトランスフェクトされなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないもの)内にトランスフェクトする。また、該DNAは、例えば、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列で相同マウス配列を置換することにより、あるいは非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合させることにより修飾されうる。そのような非免疫グロブリンポリペプチドを本発明の抗体の定常ドメインで置換することが可能であり、あるいは本発明の抗体の1つの抗原結合(antigen-combining)部位の可変ドメインで置換してキメラ二価抗体を作製することが可能である。
【0117】
該抗体は1価抗体でありうる。1価抗体の製造方法は当技術分野でよく知られている。例えば、1つの方法は免疫グロブリン軽鎖および修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖の架橋を防ぐために、重鎖を一般にはFc領域内の任意の点においてトランケート化する。あるいは、架橋を防ぐために、関連システイン残基を別のアミノ酸残基で置換し、あるいは欠失させる。
【0118】
1価抗体を製造するためには、in vitro方法も適している。抗体のフラグメント、特にFabフラグメントを得るための、抗体の消化は、当業者に公知の通常の技術を用いて達成されうる。
【0119】
該抗体は、当技術分野で公知のとおり、公知の選択および/または突然変異誘発方法を用いてアフィニティ成熟されうる。好ましいアフィニティ成熟抗体は、該成熟抗体の製造における出発抗体より5倍、より好ましくは10倍、より一層好ましくは20倍または30倍大きいアフィニティを有する。
【0120】
二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。例えば、該結合特異性のうちの一方は本発明のポリペプチドに対するものであり、他方は、いずれかの他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質または受容体または受容体サブユニットに対するものでありうる。
【0121】
二重特異性抗体の製造方法は当技術分野で公知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え製造は2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖ペアの共発現に基づくものであり、ここで、それらの2つの重鎖は、異なる特異性を有する(MilsteinおよびCuello, 1983)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな組合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ(quadroma))は10個の異なる抗体分子(それらのうちの1個のみが正しい二重特異性構造を有する)の潜在的混合物を産生する。正しい分子の精製は、通常、アフィニティクロマトグラフィー工程により達成される。類似方法がWO 93/08829およびTraunecker (1991)に開示されている。
【0122】
二重特異性抗体は完全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab')2二重特異性抗体)として製造されうる。抗体フラグメントから二重特異性抗体を製造するための技術が文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学的連結を用いて製造されうる。二重特異性抗体フラグメントを組換え細胞培養から直接的に製造し単離するための種々の技術も記載されている。
【0123】
Hollingerら (1993)は、二重特異性フラグメントを製造するためのもう1つの手段を提供している。該フラグメントは、軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含み、同じ鎖上のそれらの2つのドメイン間のペア形成が可能となるには短すぎるリンカーにより、それらは連結されている。したがって、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは別のフラグメントの相補的なVLおよびVHドメインとペア形成するよう強いられ、それにより2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用により二重特異性抗体フラグメントを製造するためのもう1つの方法もGruberら (1994)により報告されている。
【0124】
2価より大きな価数を有する抗体も想定される。例えば、三重特異性抗体が製造可能である(Tuttら (1991))。
【0125】
異種コンジュゲート抗体
異種コンジュゲート(heteroconjugate)抗体も本発明の範囲内である。異種コンジュゲート抗体は、2つの共有結合した抗体から構成される。そのような抗体は、例えば、望ましくない細胞へ免疫系細胞を標的化するよう(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の治療のために(WO 91/00360; WO 92/200373; EP 03089)提示されている。該抗体は、合成タンパク質化学における公知方法(架橋剤を使用する方法を含む)を用いてin vitroで製造されうると想定される。例えば、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合の形成により、免疫毒素が構築されうる。この目的のための適当な試薬の具体例には、イミノチオラートおよびメチル-4-メルカプトブチルイミダート、ならびに例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものが含まれる。
【0126】
ポリヌクレオチド
「単離されたポリヌクレオチド」は、その天然状態でそれに付随または結合しているポリヌクレオチド配列からほぼ分離されているポリヌクレオチドを意味する。好ましくは、単離されたポリヌクレオチドは、それに天然で付随している他の成分から少なくとも60%遊離している、より好ましくは少なくとも75%遊離している、より好ましくは少なくとも90%遊離している。さらに、「ポリヌクレオチド」なる語は、本明細書においては、「核酸分子」、「遺伝子」および「mRNA」なる語と互換的に用いられる。
【0127】
ポリヌクレオチドの文脈における「組換え(体)」なる語は、細胞内または無細胞発現系内に存在する場合には、その天然状態と比べて改変された量で存在する該ポリヌクレオチドを意味する。1つの実施形態においては、該細胞は、該ポリヌクレオチドを天然では含まない細胞である。しかし、該細胞は、改変された(好ましくは増加した)量のコード化ポリペプチドの産生をもたらす非内因性ポリヌクレオチドを含む細胞でありうる。本発明の組換えポリヌクレオチドは、それが存在するトランスジェニック(組換え)細胞または無細胞発現系の他の成分から分離されていないポリヌクレオチド、および後に少なくとも幾つかの他の成分から精製されるそのような細胞または無細胞系において産生されたポリヌクレオチドを含む。
【0128】
「ポリヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたはそれらの任意の断片を意味する。それはゲノムまたは合成由来の二本鎖または一本鎖のDNAまたはRNAであることが可能であり、本明細書中で定義されている個々の活性を発現するために炭水化物、脂質、タンパク質または他の物質と組合されうる。
【0129】
ポリヌクレオチドの同一性(%)はギャップ生成ペナルティ = 5およびギャップ伸長ペナルティ = 0.3でGAP(NeedlemanおよびWunsch, 1970)分析(GCGプログラム)により決定される。問合せ配列は少なくとも45ヌクレオチド長であり、GAP分析は少なくとも45ヌクレオチドの領域にわたって2つの配列を整列させる。より好ましくは、問合せ配列は少なくとも150ヌクレオチド長であり、GAP分析は少なくとも150ヌクレオチドの領域にわたって2つの配列を整列させる。より一層好ましくは、問合せ配列は少なくとも300ヌクレオチド長であり、GAP分析は少なくとも300ヌクレオチドの領域にわたって2つの配列を整列させる。より好ましくは、それらの2つの配列はそれらの全長にわたって整列される。
【0130】
一定のポリヌクレオチドに関しては、前記で示されたものより高い同一性%値は、好ましい実施形態を包含すると理解されるであろう。したがって、適用可能な場合には、最低限の同一性%値を踏まえて、該ポリヌクレオチドは、示されている該当配列番号と少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも76%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、より好ましくは少なくとも99.1%、より好ましくは少なくとも99.2%、より好ましくは少なくとも99.3%、より好ましくは少なくとも99.4%、より好ましくは少なくとも99.5%、より好ましくは少なくとも99.6%、より好ましくは少なくとも99.7%、より好ましくは少なくとも99.8%、より一層好ましくは少なくとも99.9%同一であるヌクレオチド配列を含むことが好ましい。
【0131】
本発明のポリヌクレオチドは、天然に存在する分子と比較して、ヌクレオチド残基の欠失、挿入または置換である1以上の突然変異を有しうる。突然変異体は、天然に存在する(すなわち、天然源から単離される)、あるいは合成法(例えば、前記のとおりに核酸上で部位特異的突然変異誘発またはDNAシャッフリングを行うこと)により得られうる。したがって、本発明のポリヌクレオチドは天然に存在するかまたは組換え体でありうることが明らかである。
【0132】
本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1と少なくとも40%、より好ましくは少なくとも90%同一であるヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするものを含む。本明細書中で用いる「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」などの語は、オリゴヌクレオチドの長さに応じたハイブリダイゼーション温度の変動を含む、当技術分野においてよく知られているパラメーターを意味する。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、そのような方法をまとめている参考文献Sambrookら, (前掲) およびAusubelら, (前掲)において見出されうる。例えば、本明細書中で用いるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションバッファー(3.5×SSC、0.02% Ficoll、0.02% ポリビニルピロリドン、0.02% ウシ血清アルブミン、2.5mM NaH2PO4 (pH7)、0.5% SDS、2mM EDTA)中、65℃でのハイブリダイゼーションを意味しうる。
【0133】
ベクターおよび宿主細胞
本発明の1つの実施形態は、本発明の少なくとも1つの単離されたポリヌクレオチド分子を宿主細胞内へ送達しうる任意のベクター内に挿入された該ポリヌクレオチド分子を含む組換えベクターを含む。そのようなベクターは異種ポリヌクレオチド配列(すなわち、本発明のポリヌクレオチド分子に隣接した状態では天然で見出されず、好ましくは、該ポリヌクレオチド分子が由来する種以外の種に由来するポリヌクレオチド配列)を含有する。該ベクターは原核性または真核性のいずれかのRNAまたはDNAであることが可能であり、典型的には、トランスポゾン(例えば、US 5,792,294に記載されているもの)、ウイルスまたはプラスミドである。
【0134】
本明細書中で用いる「機能的に連結(された)」は2以上の核酸(例えば、DNA)セグメント間の機能的関係を意味する。典型的には、それは、転写される配列に対する転写調節エレメントの機能的関係を意味する。例えば、プロモーターがコード配列(例えば、本明細書中で定義されているポリヌクレオチド)に機能的に連結されていると言えるのは、それが、適当な細胞において該コード配列の転写を刺激またはモジュレーションする場合である。一般に、転写配列に機能的に連結されたプロモーター転写調節エレメントは該転写配列に対して物理的に連続的である。すなわち、それらはシス作用性である。しかし、いくつかの転写調節エレメント、例えばエンハンサーは、それが転写を増強するコード配列に対して物理的に連続的であったりまたは接近して位置している必要はない。
【0135】
本明細書中で用いる発現ベクターは、宿主細胞を形質転換し特定のポリヌクレオチド分子の発現を引き起こしうるDNAまたはRNAベクターである。好ましくは、該発現ベクターはまた、宿主細胞内で複製可能である。発現ベクターは原核性または真核性であることが可能であり、典型的にはウイルスまたはプラスミドである。本発明の発現ベクターには、細菌細胞、真菌細胞、内部寄生虫細胞、節足動物細胞、動物細胞および植物細胞を含む本発明の組換え細胞において機能する(すなわち、遺伝子発現を導く)任意のベクターが含まれる。
【0136】
特に、本発明の発現ベクターは、調節配列、例えば転写制御配列、翻訳制御配列、複製起点および他の調節配列(該組換え細胞に和合性(compatible)であり本発明のポリヌクレオチド分子の発現を制御するもの)を含有する。特に、本発明の組換え分子は転写制御配列を含む。転写制御配列は、転写の開始、伸長および終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、転写開始を制御するもの、例えばプロモーター、エンハンサー、オペレーターおよびリプレッサー配列である。適当な転写制御配列には、本発明の組換え細胞の少なくとも1つにおいて機能しうる任意の転写制御配列が含まれる。種々のそのような転写制御配列が当業者に公知である。
【0137】
また、本発明の組換え分子は、(a)発現された本発明のポリペプチドが、該ポリペプチドを産生する細胞から分泌されるのを可能にする分泌シグナル(すなわち、シグナルセグメント核酸配列)を含有すること、および/または(b)融合タンパク質としての、本発明の核酸分子の発現を招く融合配列を含有することも可能である。適当なシグナルセグメントの具体例には、本発明のポリペプチドの分泌を導く任意のシグナルセグメントが含まれる。組換え分子は、本発明の核酸分子の核酸配列の周囲および/または内部の介在および/または非翻訳配列をも含みうる。
【0138】
本発明のもう1つの実施形態は、本発明の1以上の組換え分子を含む宿主細胞を含む。細胞内へのポリヌクレオチド分子の形質転換は、該細胞内に該ポリヌクレオチド分子を挿入しうる任意の方法により達成されうる。形質転換技術には、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、吸着およびプロトプラスト融合が含まれるが、これらに限定されるものではない。組換え細胞は単細胞のままであるか、あるいは組織、器官または多細胞生物へと成長することもありうる。本発明の形質転換ポリヌクレオチド分子は染色体外に尚も存在することが可能であり、あるいは発現されるその能力を保有したまま形質転換(すなわち、組換え)細胞の染色体内の1以上の部位に組込まれることが可能である。
【0139】
形質転換するための適当な宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチドで形質転換されうる任意の細胞が含まれる。本発明の宿主細胞は本発明のポリペプチドを内因的に(すなわち、天然で)産生しうることが可能であり、あるいは本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチド分子で形質転換された後でそのようなポリペプチドを産生しうることが可能である。本発明の宿主細胞は、本発明の少なくとも1つのタンパク質を産生しうる任意の細胞であることが可能であり、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞(酵母を含む)、寄生虫細胞および節足動物細胞を包含しうる。好ましくは、該宿主細胞は細菌細胞である。1つの好ましい実施形態においては、該宿主細胞は、血清型H抗原H10を有する大腸菌(E. coli)株である。適当な大腸菌(E. coli)株の具体例には、WO 2007/025333に記載されているCCEC22、CCEC31およびCCEC59が含まれる。
【0140】
形質転換ポリヌクレオチド分子の発現を改善するために、組換えDNA技術が利用可能であり、これは、例えば、宿主細胞内の該ポリヌクレオチド分子のコピー数、それらのポリヌクレオチド分子が転写される効率、生じた転写産物が翻訳される効率および翻訳後修飾の効率を操作することにより行われうる。本発明のポリヌクレオチド分子の発現を増強するのに有用な組換え技術には、例えば、高コピー数プラスミドへのポリヌクレオチド分子の機能的連結、1以上の宿主細胞染色体内への該ポリヌクレオチド分子の組込み、プラスミドへのベクター安定性配列の付加、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換または修飾、翻訳制御シグナル(例えば、リボソーム結合部位、シャイン-ダルガルノ配列)の置換または修飾、宿主細胞のコード使用頻度に対応させるための本発明のポリヌクレオチド分子の修飾、および転写産物を不安定化する配列の欠失が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
ポリヌクレオチドの検出
本発明のポリヌクレオチドの検出を可能にする任意の適当な技術(組織および/または細胞における該ポリヌクレオチドの発現レベルの定量的評価を可能にする技術を含む)が用いられうる。例えば、転写された遺伝子の存在またはレベルはノーザンブロット法および/または該ポリヌクレオチドの増幅、例えばPCRにより決定されうる。標準対照を参照することにより比較が行われうる。例えば、転写遺伝子のレベルはノーザンブロット法および/またはRT-PCRにより決定されうる。定量的(リアルタイム)PCRの出現により、関心のある遺伝子に対する適当なプライマーを使用することにより遺伝子発現の定量的分析が達成されうる。該核酸を標識し、遺伝子アレイ上にハイブリダイズさせることが可能であり、この場合、遺伝子濃度は、該アレイにおいて生じた放射能または蛍光シグナルの強度に正比例するであろう。
【0142】
「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」は、「上流」および「下流」プライマーよりなる「プライマーのペア」または「プライマーのセット」および重合の触媒、例えばDNAポリメラーゼおよび典型的には熱安定ポリメラーゼ酵素を使用して標的ポリヌクレオチドの複製コピーを生成させる反応である。PCRのための方法は当技術分野で公知であり、例えば“PCR”(M.J. McPhersonおよびS.G Moller編 (2000) BIOS Scientific Publishers Ltd, Oxford)に教示されている。PCRは、生物学的サンプルから単離された逆転写mRNAから得られたcDNA上で行われうる。しかし、一般には、ゲノムDNA上でPCRを行うのがより容易であろう。
【0143】
プライマーは、標的配列に配列特異的にハイブリダイズしPCR中に伸長しうる、通常は約20ヌクレオチド長(少なくとも約15ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドである。アンプリコン、すなわちPCR産物またはPCR断片または増幅産物は、プライマーと、標的配列の新たに合成されたコピーとを含む伸長産物である。多重(マルチプレックス)PCR系は、2以上のアンプリコンの同時産生をもたらす複数のセットのプライマーを含有する。プライマーは標的配列と完全に一致(マッチ)することが可能であり、あるいはそれは、特異的標的配列における制限酵素または触媒性核酸認識/切断部位の誘導をもたらしうる内部ミスマッチ塩基を含有することが可能である。プライマーは、アンプリコンの捕捉または検出を促進するための追加的配列および/または修飾もしくは標識ヌクレオチドをも含有しうる。DNAの熱変性、その相補的配列へのプライマーのアニーリングおよびポリメラーゼでのアニール化プライマーの伸長の反復サイクルは標的配列の指数関数的増幅をもたらす。標的または標的配列または鋳型なる語は、増幅される核酸配列を意味する。
【0144】
本発明のポリヌクレオチドを増幅するための多数の代替技術が存在する、と当業者は理解するであろう。他の増幅技術の具体例には、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、リガーゼ連鎖反応(「LCR」)が含まれ、また、等温増幅技術、例えば鎖置換増幅(strand displacement amplification)(SDA)、DNAのループ媒介等温増幅(loop-mediated isothermal amplification)(LAMP)も含まれる。
【0145】
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、適当なハイブリダイゼーション技術、例えばサザンブロットハイブリダイゼーションを適当な標識プローブと共に用いて、サンプルにおいて検出されうる。「プローブ」は、相補的配列(標的)を含有する第2のDNAまたはRNA分子と塩基対形成しうる所定配列の一本鎖DNAまたはRNA分子である。生じるハイブリッド分子の安定性は、生じる塩基対形成の度合に左右され、例えばプローブと標的分子との間の相補性の度合およびハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーの度合のようなパラメーターにより影響される。本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはその一部分に特異的なプローブは、プローブが使用される目的および条件に応じて、中間の任意の値を含む少なくとも8ヌクレオチドから500ヌクレオチド超までの任意の整数値の様々な長さを有しうる。例えば、プローブは少なくとも8、10、15、20または25ヌクレオチド長であることが可能であり、あるいは少なくとも30、40、50または60ヌクレオチド長であることが可能であり、あるいは100、200、500または1000ヌクレオチド長を超えることが可能である。本明細書に記載のポリヌクレオチドに特異的なプローブは一般に、例えばAlign(アライン)プログラム(MyersおよびMiller, 1989)を用いた場合に、本明細書に記載の核酸配列と少なくとも40%、50%、55%または60%同一であり、あるいは少なくとも65%、75%、80%、85%、90%または95%同一であり、あるいは96%、97%、98%または99%も同一である。
【0146】
本明細書中で用いる「ハイブリダイゼーション」なる語は、水素結合による2つの核酸分子の互いの会合を意味する。この結合に影響を及ぼす要因には以下のものが含まれる:溶媒のタイプおよび体積;反応温度;ハイブリダイゼーションの時間;攪拌;固体支持体への液相分子の非特異的結合を遮断する物質(デンハルト試薬またはBLOTTO);分子の濃度;分子の会合速度を増加させるための化合物(デキストラン硫酸またはポリエチレングリコール)の使用;ハイブリダイゼーション後の洗浄条件のストリンジェンシー(Sambrookら, Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition (1989)を参照されたい)。これらの原理に従い、ハイブリダイゼーションアッセイを用いて標的分子への相補的分子のハイブリダイゼーションの抑制を調べることが可能であり、この場合、より大きな度合の相同性を有する実質的に相同な分子は、Wahlら, (1987)に教示されているとおり、種々のストリンジェンシー条件下の標的分子への完全に相同な分子の結合に関して競合し、該結合を抑制するであろう。
【0147】
ハイブリダイゼーションに関して本明細書中で用いる「ストリンジェントな条件」は、(1)洗浄のために、低いイオン強度および高い温度、例えば、0.015M NaCl/0.015M クエン酸ナトリウム/0.1% NaDod NaDodSO4を50℃で用いる条件;(2)ハイブリダイゼーション中に、変性剤、例えばホルムアミド、例えば、0.1% ウシ血清アルブミン、0.1% Ficoll、0.1% ポリビニルピロリドン、50mM リン酸ナトリウムバッファー(pH 6.5)を750mM NaCl、75mM クエン酸ナトリウムと共に含有する50%(容量/容量) ホルムアミドを42℃で使用する条件;または(3)0.2×SSCおよび0.1% SDS中の50% ホルムアミド、5×SSC (0.75 M NaCl, 0.075 M クエン酸ナトリウム)、50mM リン酸ナトリウム (pH 6.8)、0.1% ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト液、超音波処理されたサケ精子DNA (50 g/ml)、0.1% SDSおよび10% デキストラン硫酸を42℃で使用する条件である。
【0148】
弱毒化細菌
細菌病原体の病原性を弱毒化する方法は当技術分野で公知である。典型的には、毒素または他の病原性遺伝子の発現を妨げまたは低減して該遺伝子を欠失させまたは不活性化するために、細菌ゲノム内に突然変異を導入する。いくつかの場合には、それらは該遺伝子の機能を完全にノックアウトする。これは、該遺伝子からのいずれかのポリペプチドの合成を完全に阻止することにより、あるいは非機能性ポリペプチドの合成をもたらす突然変異を引き起こすことにより達成されうる。ポリペプチドの合成を阻止するためには、遺伝子全体またはその5'末端を欠失させることが可能である。非機能性ポリペプチド(例えば、野生型タンパク質のN末端配列のみを含有するポリペプチド)のみを合成する遺伝子を生成させるために、遺伝子のコード配列内に欠失または挿入が施されうる。毒素遺伝子の場合、該突然変異は遺伝子産物を無毒性にしうる。
【0149】
「突然変異」は、親株と比較した場合の、生物のDNA配列(すなわち、ゲノム)における任意の改変を含む。該改変は、突然変異誘発性刺激、例えば突然変異誘発性化学物質、エネルギー、放射線、組換え技術、交配、またはDNAを改変するために用いられる任意の他の技術に該生物をさらすことより生じうる。突然変異は本明細書に記載のヌクレオチド配列のいずれかにおける改変を含むことが可能であり、あるいは本明細書に記載のポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列における改変を含むことが可能である。
【0150】
突然変異の結果として、親株と比べて該突然変異細胞の病原性(virulence)のレベルが少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%減少する場合、該突然変異は「病原性を弱毒化」しうる。病原性の減少は、親株と比較した場合の、突然変異株におけるポリペプチド(例えば、配列番号2もしくは配列番号3の配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片もしくは変異体)の発現および/または毒素活性における少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の減少によっても測定されうる。
【0151】
本発明の弱毒化細菌病原体は被験体への1以上の生物学的に活性なポリペプチドの送達に適合しうる、と当業者は理解するであろう。本発明の弱毒化細菌による送達に適した生物学的に活性なポリペプチドには、局所または全身で機能しうるもの、例えば、局所または全身代謝に影響を及ぼす内分泌活性を発現するポリペプチドが含まれる。
【0152】
1つの実施形態においては、そのような生物学的に活性なポリペプチドは異種ポリペプチドでありうる。「異種ポリペプチド」なる語は当技術分野でよく理解されており、細胞にとって内因性ではないポリペプチドを意味する。関心のあるポリペプチドをコードする核酸分子は、関心のあるポリペプチドを産生しうる任意の生物に由来することが可能であり、あるいは完全に合成的な遺伝子でありうる。該ポリペプチドをコードする核酸分子は、例えば感染、トランスフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、マイクロプロジェクションなどにより該細胞に加えられうる。
【0153】
例えば、そのような生物学的に活性なポリペプチドは、免疫造血系を調節しうるものでありうる。あるいは、そのような生物学的に活性なポリペプチドは、体内の種々の正常または腫瘍細胞の生存度、成長および分化に影響を及ぼしうるものでありうる。あるいは、そのような生物学的に活性なポリペプチドは、損傷および感染に対する急性期炎症応答の免疫調節または誘導に影響を及ぼしうるものでありうる。あるいは、そのような生物学的に活性なポリペプチドは、対応する標的細胞受容体に作用するケモカインにより媒介される細胞または組織の感染に対する抵抗性、あるいは上皮細胞の増殖、あるいは創傷治癒の促進を増強または誘導しうるものでありうる。
【0154】
そのようなポリペプチドの具体例には以下のものが含まれる:インスリン、成長ホルモン、プロラクチン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、副甲状腺ホルモン、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン、血管作動性腸管ポリペプチド、構造群1サイトカイン、例えばIL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-32、cMGF、LT、GM-CSF、M-CSF、SCF、IFN-γ、IFN-λ、EPO、G-CSF、LIF、OSM、CNTF、GH、PRLまたはIFNα/β、構造群2サイトカイン、例えばTNFファミリーのサイトカイン、例えばTNFα、TNFβ、CD40、CD27またはFASリガンド、IL-1ファミリーのサイトカイン、繊維芽細胞増殖因子ファミリー、血小板由来増殖因子、トランスフォーミング増殖因子βおよび神経成長因子、構造群3サイトカイン、例えば上皮増殖因子ファミリーのサイトカイン、ケモカイン、インスリン関連サイトカイン、構造群4サイトカイン、例えばヘレグリン(heregulin)またはニューレグリン(neuregulin)、例えばEGF。
【0155】
あるいは、そのような生物学的に活性なポリペプチドは、前記の生物学的に活性なポリペプチドに対する受容体またはアンタゴニストでありうる。
【0156】
本発明のもう1つの実施形態においては、そのような生物学的に活性なポリペプチドは抗体、好ましくは組換え抗体である。
【0157】
あるいは、そのような生物学的に活性なポリペプチドは抗微生物ペプチドまたはその合成変異体でありうる。抗微生物ペプチドには、セクロピン、マガイニンおよびデフェンシンが含まれる。セクロピンは、構造的に関連する抗微生物ペプチドの、最初の十分に特徴づけられたファミリーであり、広範な昆虫において見出される(Boman, 2003)。脊椎動物においては、マガイニンファミリーの抗微生物ペプチドがアフリカツメガエル(Xenopus laevis)の皮膚および胃腸管の腺から単離されており、感染に対する両生類粘膜表面の防御系の基礎を形成すると考えられている(Soraviaら, 1988)。
【0158】
デフェンシンは、ヒトを含む幾つかの哺乳類種から単離された食細胞において見出される抗微生物ペプチドであり、該配列内の8個の非変異残基により特徴づけられる(Gabayら, 1989)。デフェンシンのようなペプチドの抗微生物活性のメカニズムは、特徴的な広域スペクトルの抗生物質活性を招く選択的膜破壊によるものである(Boman, 1995)。デフェンシンの抗微生物スペクトルはグラム陽性およびグラム陰性細菌、放線菌、多数の真菌ならびに幾つかのエンベロープウイルスを含む。
【0159】
細菌由来の抗微生物ペプチドはミクロシン、コリシンおよびバクテリオシンとして公知である(Jackら, 1995; Inghamら, 2003)。バクテリオシンの配列、構造および活性メカニズムは多様であることが公知である。最も豊富な、かつ十分に研究されているバクテオリシンには、クラスI(ランチビオティクス(lantibiotics))およびクラスII(小熱安定性非ランチオニン含有ペプチド(small heat-stable non-lanthionine-containing peptide))バクテリオシンが含まれる(Ennaharら, 2000)。クラスIIバクテリオシンは、それらの活性および潜在的用途ゆえに、重要な亜群を構成する。クラスIIaバクテリオシンには、とりわけ、ピスシコリン(Piscicolin)126、リューコシン(leucocin)Aおよびエンテロシン(enterocin)Pが含まれる。クラスIIaバクテリオシンは、共通のN末端モチーフ:YGNGVXaaCXaa(K/N)XaaXaaCXaaV(N/D)(W/K/R)Xaa(G/A/S)(A/N)(ここで、より高い可変性を有する残基はXaaで表されている)を有する(Bhugaloo-Vialら, 1996)。バクテリオシンの抗微生物特性を示す例においては、ピスシコリン126は、マウスに注射されたところ、in vivo抗微生物活性を示すことが示され、肝臓および脾臓におけるリステリア負荷を有意に減少させた(Inghamら, 2003)。
【0160】
あるいは、そのような生物学的に活性なポリペプチドは酵素でありうる。該酵素は、所望の活性を有する任意の酵素でありうる。例えば、食物の消化能の改善または抗栄養化合物の除去において何らかの役割を果たす酵素を送達することが望ましいかもしれない。例えば、多糖分解および繊維溶解酵素、例えばキシラナーゼ(Liuら, 2005)、グルカナーゼ(Choら, 2000)、セルラーゼ(Liuら, 2005)、アミラーゼ、レバンスクラーゼおよびイヌロスクラーゼが、食物の消化能を増強するために送達されうる。プロテイナーゼ、ペプチダーゼおよびリパーゼも、摂取された食物の栄養価を増加させるために送達されうる。フィターゼ(VohraおよびSatyanarayana, 2003; Nahashonら, 1994)および酸ホスファターゼ(Palaciosら, 2005)は、植物種子において見出されるフィタートの抗栄養効果を低減するために送達されうる。
【0161】
もう1つの実施形態においては、本発明の弱毒化細菌病原体は抗原を発現しうる。該抗原が例えば細菌、真菌、寄生虫またはウイルス性疾患因子に由来する場合、該弱毒化細菌株は、そのような因子により引き起こされる疾患に対して被験体をワクチン接種するために使用されうる。例えば、鳥類病原性微生物由来の抗原を送達するために、該弱毒化細菌株が使用されうるであろう。そのような微生物には、Corynebacteria、Mycoplasma、Listeria、Borrelia、Chlamydia、Clostridia、Coxiella、Eysipelothrix、Flavobacteria、Staphylococcus、Escherichia、Salmonella、CampylobacterおよびStreptococcusの種が含まれるが、これらに限定されるものではない。家禽に感染することが公知の真菌性および寄生虫性の鳥類病原体の具体例としては、Amoebotaenia、Aproctella、Ascaridia、Aspergillus、Candida、Capillaria、Cryptosporidium、Cyathostroma、Dispharynx、Eimeria、Fimbriaria、Gongylonemia、Heterakis、Histomonas、Oxyspirura、Plasmodium、Raillietina、Strongyloides、Subulura、Syngamus、TetrameresおよびTrichostrongylusの種が挙げられる。家禽に感染することが公知のウイルスには、アデノウイルス(例えば、出血性腸炎ウイルス)、アストロウイルス、コロナウイルス(例えば、感染性気管支炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、ニューカッスル病ウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ニワトリ脳脊髄炎ウイルス)、ポックスウイルス、レトロウイルス(例えば、ニワトリ白血病/肉腫ウイルス)、レオウイルスおよびロタウイルスが含まれる。具体例には、トリインフルエンザ、マレック病ウイルスおよびニワトリ貧血ウイルスが含まれる。抗原として使用するための好ましい遺伝子産物は、糖タンパク質およびリポタンパク質を含む、ポリペプチドおよびペプチドである。これらの原核生物および真核生物からの抗原コード遺伝子は、標準的な技術を用いて弱毒化細菌においてクローニングされ発現されうる。
【0162】
組成物および投与
「免疫原性組成物」は、所望の免疫応答を惹起する物質を含む組成物を意味し、「ワクチン」を含む。「ワクチン」なる語は、標的化病原体に対する少なくとも部分的に防御性の免疫応答を誘導するまたは該病原体に対して有効に防御する任意の組成物、例えば、動物(例えば鳥類、例えばニワトリ、またはブタ、例えば子ブタ)への投与または注射の後、標的化病原体に対する少なくとも部分的に防御性の免疫応答を惹起するまたは該病原体(例えば、C. perfringens)に対する有効な防御をもたらす組成物を包含する。病原体のサブユニット(例えば、該病原体から単離された抗原または免疫原またはエピトープ)およびサブユニット組成物は、該病原体から単離された1以上の抗原、免疫原またはエピトープを含むか、または本質的にそれらからなる。「少なくとも部分的に防御性の」免疫応答を誘導することにより、ワクチンが、本発明のポリペプチドを発現する細菌による感染および/または定着(コロニー形成)を低減し、あるいは本発明のポリペプチドを発現する細菌による感染により引き起こされる少なくとも1つの症状を軽減することが意味される。
【0163】
免疫原性組成物は、記憶BおよびT細胞を含む免疫系の細胞を選択し、活性化し、または増殖させて、例えば、配列番号2および/もしくは配列番号3のアミノ酸配列またはそれらの抗原性断片を含むポリペプチドを発現する細菌病原体のような感染因子の排除を可能にしうる。
【0164】
いくつかの実施形態においては、免疫原性組成物は、適当な担体、例えばアジュバント(これは、特異的抗原または一群の抗原に対する免疫応答を増強するよう非特異的に作用して、いずれかの投与用量中の抗原の量の減少または所望の免疫応答の惹起に必要な投与頻度の低減を可能にする物質である)を含む。所望の免疫応答は、例えば、細菌病原体の排出(感染動物、例えば哺乳動物または鳥類の糞便中に存在)または定着(感染動物、例えば哺乳動物または鳥類の腸内に存在)に対する完全なまたは部分的な防御を含みうる。例えば、所望の免疫応答は、非ワクチン接種動物と比較した場合のワクチン接種動物における細菌病原体の排出または定着に対する10%〜100%の任意の値の防御、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の防御を含みうる。
【0165】
アジュバントは、免疫応答を改善しおよび/またはワクチン製剤の安定性を増強するために有用である。アジュバントは、典型的には、免疫系の非特異的刺激物質として記載されているが、免疫系の特異的アームを標的化するのにも有用でありうる。この活性を有する1以上の化合物が該ワクチンに加えられうる。したがって、本発明の個々のワクチンは更に、アジュバントを含む。アジュバントとして使用されうる化合物の具体例には、アルミニウム化合物(例えば、水酸化アルミニウム)、代謝性油(metabolizable oil)および非代謝性油、鉱油、例えば鉱油溶液中のマンニッドオレアート誘導体(例えば、Seppic SA, FranceのMONTANIDE ISA 70)、および軽鉱油、例えばDRAKEOL 6VR、ブロック重合体、ISCOM(免疫刺激性複合体)、ビタミンおよびミネラル(限定的なものではないがビタミンE、ビタミンA、セレンおよびビタミンB12を含む)およびCARBOPOL(登録商標)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0166】
免疫刺激物質と称されることもある他の適当なアジュバントには、サイトカイン、増殖因子、ケモカイン、リンパ器官からの細胞、単球、リンパ球の細胞培養からの上清、植物、細菌または寄生虫からの細胞調製物および/または抽出物(Staphylococcus aureusまたはリポ多糖調製物)、あるいはマイトジェンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0167】
一般に、アジュバントは本発明の抗原と同時に投与される。しかし、それに加えてまたはその代わりに、アジュバントは、ワクチン接種前の2週間以内に、および/またはワクチン接種後の期間にわたって、すなわち、該抗原(例えば、配列番号2または配列番号3に示されるアミノ酸配列またはそれらの抗原性断片を含むポリペプチド)が組織内に維持される限り、投与可能である。
【0168】
本発明の免疫原性組成物は本明細書に記載のポリペプチドおよび核酸分子またはそれらの免疫原性断片を含んでよく、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載の投与の任意の形態を用いて投与されうる。本発明の幾つかの実施形態においては、該免疫原性組成物またはワクチンは、生細菌病原体、死細菌病原体またはそれらの成分を含みうる。生細菌病原体は、経口ワクチンの形態で投与されることが可能であり、免疫応答のその誘導を低減することなく病原性を低減するために弱毒化されうる。生ワクチンは接種動物(例えば、鳥)の腸に定着可能でありうる。
【0169】
いくつかの実施形態においては、本明細書に記載のポリペプチドおよび核酸分子もしくはそれらの抗原性断片、または本明細書に記載の突然変異細菌(例えば、弱毒化細菌)は、家禽において免疫応答を惹起する(例えば、抗体を産生させる)ために家禽、例えばニワトリ、アヒル(カモ)、シチメンチョウなどに投与されうる。本明細書に記載のポリペプチドおよび核酸分子またはそれらの免疫原性断片に対する免疫応答を示すそのような家禽から得られた卵またはその産物を、動物、例えばヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジなどに投与して、本明細書に記載のポリペプチドおよび核酸分子またはそれらの免疫原性断片に対する免疫応答を該動物において惹起することが可能である。家禽において抗体を産生させ、そのような抗体を投与する方法は、例えば米国特許第5,750,113号および米国特許第6,730,822号に記載されている。
【0170】
本発明の免疫原性組成物およびワクチンは更に、動物被験体に投与された場合に種々の特異性の抗体の産生をもたらしうる他の組換えまたは精製抗原の添加により補足されうる。これらの抗体の全てが疾患に対して防御性であることが必要とされるわけではない。このタイプの特定の実施形態においては、そのような抗原はC. perfringensにも由来する。したがって、本発明のワクチンは、本発明のポリペプチドと共に種々の他の活性または不活性化病原因子を含有しうる。したがって、本発明においては、本発明のポリペプチドは他のクロストリジウムおよび非クロストリジウム細胞、トキソイドおよび抽出物と組み合わされうる。
【0171】
該追加的抗原はウイルス抗原および/または細菌抗原および/または寄生生物(寄生虫)抗原を含みうる。例えば、該抗原は、Corynebacteria、Mycoplasma、Listeria、Borrelia、Chlamydia、Clostridia、Coxiella、Eysipelothrix、Flavobacteria、Staphylococcus、Escherichia、Salmonella、CampylobacterおよびStreptococcusの種(これらに限定されるものではない)を含む微生物に由来しうる。家禽に感染することが公知の真菌性および寄生虫性の鳥類病原体の具体例としては、Amoebotaenia、Aproctella、Ascaridia、Aspergillus、Candida、Capillaria、Cryptosporidium、Cyathostroma、Dispharynx、Eimeria、Fimbriaria、Gongylonemia、Heterakis、Histomonas、Oxyspirura、Plasmodium、Raillietina、Strongyloides、Subulura、Syngamus、TetrameresおよびTrichostrongylusの種が挙げられる。家禽に感染することが公知のウイルスには、アデノウイルス(例えば、出血性腸炎ウイルス)、アストロウイルス、コロナウイルス(例えば、感染性気管支炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、ニューカッスル病ウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ニワトリ脳脊髄炎ウイルス)、ポックスウイルス、レトロウイルス(例えば、ニワトリ白血病/肉腫ウイルス)、レオウイルスおよびロタウイルスが含まれる。
【0172】
本発明の多価ワクチンは以下の抗原の1以上をも含みうる:C. perfringensベータ毒素、C. perfringensベータ2毒素、C. perfringens腸管毒素、C. perfringensイプシロン毒素、C. perfringensイオタ毒素、C. perfringensカッパ毒素、C. perfringensラムダ毒素、C. perfringensシータ毒素、C. sordellii出血性毒素、C. sordellii致死性毒素、C. difficile A毒素、C. difficile B毒素、C. septicumアルファ毒素、C. novyiアルファ毒素およびC. novyiベータ毒素。
【0173】
本発明の免疫原性組成物およびワクチンは、液体、エマルション、乾燥粉末として、および/または噴霧剤(ミスト)で、任意の非経口経路、静脈内経路、腹腔内経路、皮内経路、乱刺術、皮下経路、筋肉内経路により投与されることが可能であり、あるいは粘膜経路、例えば経口経路または鼻腔内経路により、エーロゾルとして、点眼により、in ovo(卵内)投与によりに接種されることが可能であり、あるいは凍結乾燥粉末として移植されることが可能である。
【0174】
本明細書に記載のポリペプチドおよび核酸分子またはそれらの免疫原性断片、本明細書に記載の突然変異細菌(例えば、弱毒化細菌)および/または免疫原性組成物の投与は、鳥類(例えば、家禽)の卵内への注射、一般には気嚢内への注射により簡便に達成されうる。気嚢がin ovo投与の好ましい経路であるが、例えば卵黄嚢または漿尿液のような他の領域も注射により接種可能である。必ずしも商業的に許容されないレベルではないが、投与のための標的部位が気嚢以外である場合には孵化率が若干減少しうるであろう。卵または発生中の胚の組織および器官または胚周囲の胚体外膜への過度の損傷を針が引き起こさないことが好ましいが、注射の手段は本発明の実施に決定的に重要なものではない。
【0175】
一般に、約22ゲージ針が取り付けられた皮下シリンジが適している。本発明の方法は、例えばUS 4,903,635、US 5,056,464、US 5,136,979およびUS 20060075973に記載されているような自動注射系に特によく適合する。
【0176】
本発明は、雌動物(例えば、妊娠した雌)の後代(progeny)に受動免疫を付与する方法をも提供し、該方法は、該雌動物(例えば、母親)にその後代の出生前に本発明のワクチンを投与することを含む。「受動免疫」は母親から後代への免疫の移行を意味し、とりわけ、哺乳動物において見られるような初乳の摂取、また家禽において見られるような卵黄からの血流中への抗体の吸収により達成されうる。
【0177】
1つの実施形態においては、該雌は鳥であり、該ワクチンは、後代を含む卵を産む前に雌鳥に投与される。このようにして、その後代に受動免疫が付与される。1つのそのような実施形態においては、該鳥は家禽である。好ましくは、該家禽はニワトリ、シチメンチョウまたはアヒル(カモ)である。
【0178】
本発明の免疫原性組成物およびワクチンは、製薬上許容される担体を含みうる。製薬上許容される担体には、獣医学上許容される担体が含まれる。特定の実施形態においては、「製薬上許容される担体」は、動物、より詳しくはヒトにおける使用に関して、連邦政府または州政府の規制機関により承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に掲載されていることを意味する。「担体」なる語は、治療用物質と共に投与される希釈剤、賦形剤またはビヒクルを意味する。そのような医薬担体は無菌液体、例えば水および油、例えば石油、動物、植物または合成由来のもの、例えばラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などでありうる。
【0179】
一般に、本発明の製剤の成分は、別々に、または単位投与剤形中に一緒に混合して、例えば活性物質の量を表示しているアンプルまたは薬袋(sachet)のような密封容器内の凍結乾燥粉末または水不含濃縮物として、供給される。
【0180】
本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクターおよび/または本発明の宿主細胞を含む組成物も提供される。当業者により理解されるとおり、該組成物は適当な担体または賦形剤を含みうる。
【0181】
DNAワクチン
DNAワクチン接種は、抗原をコードするDNAを被験体の細胞および/または組織内に直接的にin vitro導入して、該被験体の組織の細胞により該抗原を発現させることを含む。そのようなワクチンは本明細書においては「DNAワクチン」または「核酸に基づくワクチン」と称される。DNAワクチンの具体例はUS 5,939,400、US 6,110,898、WO 95/20660およびWO 93/19183に記載されている。抗原をコードする直接的に注入されたDNAが防御性免疫応答を惹起しうることは多数の実験系において示されている(例えば、Conryら, 1994; Cardosoら, 1996; Montgomeryら, 1993; Yangら, 1997を参照されたい)。
【0182】
DNA免疫化により惹起される免疫応答に影響を及ぼすことが知られている要因としては、DNA送達の方法が挙げられ、例えば、非経口経路は低い遺伝子導入率を示し、遺伝子発現における相当な変動性を示しうる(Montgomeryら, 1993)。遺伝子銃を使用するプラスミドの高速接種はマウスにおける免疫応答を増強したが(Fynanら, 1993)、これは恐らく、DNAトランスフェクションの、より高い効率、および樹状細胞による、より有効な抗原提示によるものであろう。本発明の、核酸に基づくワクチンを含有するベクターは、当技術分野で公知の他の方法、例えばトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)またはDNAベクター輸送体によっても、所望の宿主内に導入されうる。
【0183】
トランスジェニック植物に由来するワクチン
「植物」なる語は、全植物、植物器官(例えば、葉、茎、根など)、種子、植物細胞などを意味する。本発明の実施における使用に想定される植物には、単子葉植物および双子葉植物が含まれる。典型的な双子葉植物には、トウモロコシ、トマト、ジャガイモ、マメ、ダイズなどが含まれる。典型的には、該トランスジェニック植物は、家畜、特にニワトリへの食料源として通常に使用される。
【0184】
本発明において定義されるトランスジェニック植物には、所望の植物または植物器官における本発明の少なくとも1つのポリペプチドの産生を引き起こさせるまたは増強するために組換えDNA技術を用いて遺伝的に修飾された植物(ならびに該植物の一部分および細胞)およびそれらの後代が含まれる。
【0185】
外来遺伝物質を植物内に導入し、該導入遺伝子を安定に維持し発現する植物を得るための幾つかの技術が存在する。そのような技術には、微粒子上に被覆された遺伝物質を細胞内に直接的に加速させることが含まれる(例えば、US 4,945,050およびUS 5,141,131を参照されたい)。植物は、アグロバクテリウム技術を用いて形質転換されうる(例えば、US 5,177,010、US 5,104,310、US 5,004,863、US 5,159,135を参照されたい)。植物を形質転換するために、エレクトロポレーション技術も用いられうる(例えば、WO 87/06614、US 5,472,869、5,384,253、WO 92/09696およびWO 93/21335を参照されたい)。植物を形質転換するための多数の技術に加えて、外来遺伝子と接触させる組織のタイプも様々となりうる。そのような組織には、限定的なものではないが胚形成組織、カルス組織I型およびII型、胚軸、分裂組織などが含まれうるであろう。ほとんど全ての植物組織が、本明細書に記載の適当な技術を用いて、発生および/または分化中に形質転換されうる。
【0186】
植物細胞の安定なトランスフェクションに適した、またはトランスジェニック植物の確立に適した多数のベクターが、例えばPouwelsら, Cloning Vectors: A Laboratory Manual, 1985, supp. 1987; WeissbachおよびWeissbach, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, 1989; ならびにGelvinら, Plant Molecular Biology Manual, Kluwer Academic Publishers, 1990に記載されている。典型的には、植物発現ベクターは、例えば、優性(dominant)選択マーカーならびに5'および3'調節配列の転写制御下に1以上のクローン化植物遺伝子を含む。そのような植物発現ベクターは、プロモーター調節領域(例えば、誘導性または構成的な、環境的または発生的に調節される、あるいは細胞または組織特異的な発現を制御する調節領域)、転写開始部位、リボソーム結合部位、RNAプロセシングシグナル、転写終結部位および/またはポリアデニル化シグナルをも含有しうる。
【0187】
植物プロモーターの具体例には、リブロース-1,6-ビスリン酸カルボキシラーゼ小サブユニット、ベータ-コングリシニン(conglycinin)プロモーター、ファセオリン(phaseolin)プロモーター、ADHプロモーター、熱ショックプロモーターおよび組織特異的プロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。プロモーターは、転写効率を改善しうる或る配列エレメントをも含有しうる。典型的なエンハンサーには、Adh-イントロン1およびAdh-イントロン6が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0188】
構成的プロモーターは全ての細胞型において全ての時点で連続的な遺伝子発現を導く(例えば、アクチン、ユビキチン、CaMV 35S)。組織特異的プロモーターは、特定の細胞または組織型、例えば葉または種子(例えば、ゼイン、オレオシン、ナピン、ACP、グロブリンなど)において遺伝子発現をもたらし、これらのプロモーターも使用されうる。また、プロモーターは植物の発生の特定段階において活性であることが可能であり、植物組織および器官において活性でありうる。そのようなプロモーターの具体例には、花粉特異的、胚特異的、トウモロコシ穂毛特異的、綿繊維特異的、根特異的、種子胚乳特異的などのものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0189】
ある条件下では、誘導性プロモーター使用することが望ましいかもしれない。誘導性プロモーターは、特異的シグナル、例えば物理的刺激(熱ショック遺伝子)、光(RUBPカルボキシラーゼ)、ホルモン(Em)、代謝産物およびストレスに応答して遺伝子の発現をもたらす。植物において機能する他の所望の転写および翻訳エレメントも使用可能である。
【0190】
植物プロモーターに加えて、種々の起源に由来するプロモーターが、外来遺伝子を発現させるために、植物において効率的に使用されうる。例えば、細菌由来のプロモーター、例えばオクトピンシンターゼプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、マンノピンシンターゼプロモーター;ウイルス由来のプロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルス(35Sおよび19S)などが使用されうる。
【0191】
動物病原体およびヒト病原体の両方に対する多数の植物由来の食用ワクチンが現在開発中である(HoodおよびJilka, 1999)。また、ウイルス様粒子(VLP)またはキメラ植物ウイルス(抗原性エピトープを提示するもの)を産生するトランスジェニック植物での経口免疫化から免疫応答が得られている(Modelskaら, 1998; Kapustraら, 1999)。これらのVLPまたはキメラウイルスの粒子形態は、胃内で、該抗原の、より高い安定性をもたらして、腸内での取り込みに利用可能な抗原の量を有効に増加させうることが示唆されている(Modelskaら, 1998)。
【0192】
食料
1つの実施形態においては、本発明の組成物は食料(feed)または飼料(feedstuff)である。本発明の目的においては、「食料」または「飼料」は、体内に摂取されると、(a)組織に栄養を与えもしくは組織を作り上げまたはエネルギーを供給するよう働き、および/または(b)適度な栄養状態もしくは代謝機能を維持し、回復させもしくは支持する、ヒトまたは動物(例えば、ウシ、ウマ、ヤギおよびヒツジ)により消費(経口的および/または非経口的消費を含む)される任意の食物(food)または調製物を含む。
【0193】
該食料は、栄養物質、例えば食用主要栄養素、ビタミンおよび/またはミネラルを、個々の使用に望まれる量で含む。これらの成分の量は、該組成物が正常個体に使用されることが意図されるのか、あるいは特別な必要性を有する個体、例えば代謝障害などに罹患した個体に使用されることが意図されるのかに応じて様々となろう。
【0194】
栄養的価値を有する物質の具体例には、主要栄養素、例えば食用脂肪、炭水化物およびタンパク質が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような食用脂肪の具体例には、ヤシ油、ルリチシャ油、真菌油、クロフサスグリ油、ダイズ油ならびにモノ-およびジグリセリドが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような炭水化物の具体例には、グルコース、食用ラクトースおよび加水分解デンプン(これらに限定されるものではない)が含まれる。また、本発明の栄養組成物において使用されうるタンパク質の具体例には、ダイズタンパク質、電気透析乳漿、電気透析脱脂乳、乳漿またはこれらのタンパク質の加水分解物(これらに限定されるものではない)が含まれる。
【0195】
ビタミンおよびミネラルに関しては、以下のものが本発明の食料組成物に加えられうる:カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩化物(クロリド)、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素ならびにビタミンA、E、D、CおよびB複合体。他のそのようなビタミンおよびミネラルも使用されうる。
【0196】
本発明の食料組成物において使用される成分は、半精製物または精製物に由来しうる。半精製物または精製物は、天然物質の精製によりまたは新たな合成により調製された物質を意味する。
【0197】
1つの実施形態においては、本発明のポリペプチドは該食料の製造において使用される。例えば、毒素活性を有するポリペプチドを発現する細菌病原体による感染および/または定着からの少なくとも部分的な防御を付与するために動物にワクチン接種するために、本発明のポリペプチドを含む食料が使用されうる。好ましくは、該細菌病原体は、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する。1つの実施形態においては、該細菌病原体はClostridium属であり、例えば、該細菌病原体はClostridium perfringensである。
【0198】
もう1つの実施形態においては、該食料は本発明のトランスジェニック植物および/または該植物の一部分および/または該植物の抽出物を含む。
【0199】
アゴニストおよびアンタゴニスト - アッセイおよび分子
本発明のポリペプチドは、該ポリペプチドの毒素活性を活性化する化合物(アゴニスト)または該毒素活性を抑制する化合物(アンタゴニスト)に関するスクリーニング法において使用されうる。
【0200】
潜在的アンタゴニストの具体例には、抗体、オリゴ糖およびそれらの誘導体が含まれる。潜在的アンタゴニストには、本発明のポリペプチドに結合して該ポリペプチドの基質にそれが接近できなくする小分子が含まれる。小分子の具体例には、小ペプチドまたはペプチド様分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。該小分子は、本発明のポリペプチドの基質の構造を模倣したものでありうる。
【0201】
本発明は、毒素活性を有するポリペプチドと相互作用するまたは該ポリペプチドの生物活性を抑制する(すなわち、該ポリペプチドの酵素活性に影響を及ぼす)化合物を特定するためのハイスループット(HTS)アッセイをも含む。HTSアッセイは多数の化合物の効率的なスクリーニングを可能にする。HTSアッセイは、所望の特性を改善するようにそれに対する修飾を設計しうる所望の特性を有する「ヒット(hit)」または「リード化合物」を同定するように、設計される。「ヒット」または「リード化合物」の化学修飾は、しばしば、「ヒット」と該毒素ポリペプチドとの間の特定可能な構造/活性関係に基づく。
【0202】
本発明のポリペプチドのアンタゴニストは、それを動物の食料または飲料に添加することにより、疾患から動物を防御(保護)するために使用されうる。そのような治療は、該動物がさらされる能動的な環境由来生物の負荷を軽減しうる。したがって、本発明は、本発明のポリペプチドのアンタゴニストを含む食料および/または飲料を提供する。該アンタゴニストは、例えば、本発明のポリペプチドに結合する抗体でありうる。本発明は、本発明のポリペプチドを発現する細菌による動物の感染および/または定着を低減するための、そのようなアンタゴニストを含む食料および/または飲料の使用をも提供する。
【0203】
実施例
【実施例1】
【0204】
Clostridium perfringens NetB毒素
NetBをコードする遺伝子の配列決定
Clostridium perfringens EHE-NE18株から単離した10μgのゲノムDNAを使用して、配列読み出し、コンティグおよび配列品質スコアを得た。該ヌクレオチド配列からアミノ酸配列を推定した。SignalP v 3.0プログラム(Bendtsenら, 2004)を使用して、シグナルペプチドの予想を行った。ギャップ化BLASTプログラム(Altschulら, 1997)を使用して、該推定アミノ酸配列と相同な配列を検索した。
【0205】
NetBをコードする遺伝子のヌクレオチド配列を配列番号1に示し、シグナル配列を含むNetBのアミノ酸配列を配列番号3に示す。該シグナルペプチド配列を成熟分泌タンパク質(配列番号2)から切断する。BLAST検索は、C. perfringensベータ毒素を、NetBに対して39%未満の同一性を有するものとして同定した(図1)。
【0206】
組換えNetBの精製およびウサギ抗rNetB抗血清の生成
netB遺伝子をPCR増幅し、pENTR/SD/D-TOPO内にクローニングし、発現ベクターpDest41BA内にインフレームでサブクローニングした。ニッケルアフィニティカラム、ついでゲル濾過(S200)により、タンパク質を精製した。ピーク画分をプールし、TEVで切断し、ニッケルカラム上に再ローディングして未切断タンパク質および該TEVを除去した。抗体の製造のために、組換えタンパク質(約1.3mg)をChemicon(Chemicon-Millipore, CA, USA)に送付した。C. perfringens株のウエスタンブロット分析において、および中和試験のために、抗rNetB抗血清を使用した。
【0207】
天然NetBの精製
C. perfringens EHE-NE18を、0.6のOD600nmまで、TPGブロス内で増殖させた。18000g、4℃で15分間の遠心分離により、培養上清(3L)を得た。該上清を、10kDa膜(DIAFLO(登録商標) YM10-76 mm, Amicon)に通す限外濾過(Amicon 8400)およびそれに続く4℃で一晩の40% (w/v) (NH4)2SO4沈殿により濃縮(5×)し、18 000g、4℃で2時間の遠心分離により分離した。該毒素を含有する沈殿物を20倍濃縮し(通算で100倍)、10mM Tris-HCl(pH 7.2)に対して4℃で48時間にわたって透析した。タンパク質をTrisバッファー(pH 8.5)でSepharose Q FF (GE)アニオン交換樹脂においてクロマトグラフィーに付し、流出液(フロースルー)を集めた。
【実施例2】
【0208】
毒素を欠いたC. perfringens突然変異株の作製
標準的な技術に従いDNA操作を行った。自殺プラスミドの構築において使用したオリゴヌクレオチドはAKP60(配列番号7)、AKP61(配列番号8)、AKP58(配列番号9)およびAKP59(配列番号10)であった。全ての増幅産物をクローニングベクターpGEM(登録商標)-T Easyベクター系(Promega)内にクローニングし、ついで、必要に応じてサブクローニングした。pALK1内のcatPカセットの両側にnetB遺伝子領域の断片をクローニングすることにより、標識(marked)部分欠失自殺プラスミドpALK16を構築し、netB遺伝子の541bpの欠失を得た。まず、AKP60およびAKP61を使用して増幅された1490bpのMfeI-SpeI断片を、pALK1のEcoRI-SpeI部位内に一方向でクローニングし、ついで、得られたプラスミドのBamHI-NheI部位内に、AKP58およびAKP59を使用して増幅された1937bpのBamHI-NheI断片をクローニングした。最後に、pJIR1457から増幅されたermBおよびoriTをSmaI部位内に平滑末端クローニングした。最終的な自殺プラスミドpALK16を、既に記載されているとおりに(ScottおよびRood, (1989))、C. perfringens株EHE-NE18内に導入した。チアンフェニコールを添加したTSC上で37℃で増殖させた後、エリスロマイシンを添加したTSC上に該コロニーを交差パッチ(cross-patch)して、二重乗換え(double crossover)事象が生じたことを確認した。適切な抗生物質上で増殖したコロニーを更なる分析のために選択した。染色体DNAを調製し、PCRおよびサザンブロット分析を用いて、該突然変異体がnetB遺伝子領域内の二重乗換え事象に由来することを確認した。相補プラスミドpALK20を、完全長netB遺伝子をC. perfringensシャトルベクターpJIR1457内にクローニングすることにより構築し、両方の突然変異体内に導入した。エリスロマイシン選択を用い、細胞毒性アッセイにおいて試験して、相補を確認した。NE18-ΔnetB染色体領域の概要図を図2に示す。
【実施例3】
【0209】
NetB活性のアッセイ
C. perfringens EHE-NE18培養上清について細胞毒性アッセイを行った。LMH細胞を、0.2% ゼラチンでコーティングされた24ウェルプレート内で、70%コンフルエントになるまで培養し、EMEM培地内で37℃で増殖させた。培養上清を培地に加えて、2倍希釈しながら該プレートを横断して1:32まで希釈し、37℃で16時間までインキュベートした。原液のTPG培地(図3a)、C. perfringens EHE-NE18培養上清(1:16希釈)(図3b)、C. perfringens JIR325非壊死性腸炎株13培養上清(1:2希釈)(図3c)またはC. perfringens NE18-M1(アルファ毒素を発現しないplc突然変異体)培養上清(1:16希釈)(図3d)のいずれかの存在下、該LMH細胞をインキュベートした。倍率100倍の光学顕微鏡下で細胞変性効果(CPE)が観察された。
【0210】
正常細胞(図3a)は健常に見えるが、NetBを産生する株からの培養上清の添加は該細胞を円形化し死亡させる(図3b)。NetBを発現しない株からの上清は該細胞に影響を及ぼさなかった(図3c)。アルファ毒素遺伝子の欠失は、細胞を殺す該培養上清の能力に影響を及ぼさない(図3d)。
【実施例4】
【0211】
C. perfringens netB毒素突然変異体の相補
NE18欠失netB1株(netB陰性株)をpALK20 netB相補プラスミドで相補した。ついでC. perfringensの相補された株を毒素活性に関して試験した。該細胞毒性アッセイのために、LMH細胞を、0.2% ゼラチンでコーティングされた24ウェルプレート内で、70% コンフルエントになるまで培養し、EMEM培地内で37℃で増殖させた。培養上清を培地に加えて、2倍希釈しながら該プレートを横断して1:32まで希釈し、37℃で16時間までインキュベートした。EHE-NE18培養上清(1:16希釈)(図4a)、NE18欠失netB1培養上清(1:2希釈)(図4b)、NE18欠失netB1 + pJIR1457(シャトルプラスミド)培養上清(1:2希釈)(図4c)、NE18欠失netB1 + pALK20(netB相補プラスミド)培養上清(1:16希釈)(図4d)、原液のTPG培地(図Ee)またはカラム精製組換えNetB(1:8希釈)(図4d)のいずれかと共に、該LMH細胞をインキュベートした。
【0212】
netB遺伝子の欠失は該細胞培養アッセイにおいて殺傷活性を阻止した。プラスミド上にクローニングされた遺伝子による突然変異体の相補は殺傷活性を回復させた。組換えNetBタンパク質は該培養細胞を殺す。
【実施例5】
【0213】
毒素タンパク質による細胞殺傷の定量アッセイ
細胞を殺すNetBの能力を測定するために、NetBで処理されたLMH細胞に対して乳酸デヒドロゲナーゼ細胞毒性アッセイを行った。該LMH細胞を、0.2% ゼラチンでコーティングされた96ウェルプレート内で、70% コンフルエントになるまで培養し、EMEM培地内で37℃で増殖させた。NE18-M1からの半精製NetBを、該プレートを横断して1:128まで2倍希釈しながら該培地に加え、37℃で4時間インキュベートした。上清中に遊離したLDHを、Cyto-Tox(Promega)キットを使用して、細胞溶解の指標として測定し、細胞毒性(%)として表した。各希釈は三重に行い、各希釈についてSEMを計算した(図5)。
【実施例6】
【0214】
ニワトリ疾患モデルにおけるnetB突然変異株
11羽のトリの群を20日齢および21日齢の時点でC. perfringensの野生型株(NE18)または該株のnet8欠失突然変異体(NE18-NetB-M1およびNE18-NetB-M2)でチャレンジした。24日齢の時点で、該鳥を剖検して、腸内の壊死病変をスコア評価した。約2〜4cmの回腸または空腸のセグメントを10% 中性リン酸ナトリウム緩衝ホルマリン中に集めた。該小腸サンプルを4mm間隔で横断面で切断し、セグメントを通常の組織学的検査のためのパラフィン包埋塊に加工し、4〜5μmに切断し、ヘマトキシリンおよびエオシン(HE)で染色した。組織学スライドを光学顕微鏡により検査した。該腸を以下のとおりに壊死病変数によりスコア評価した:0 - 病変無し、1 - 薄い壁形成(walled)した脆い腸、2 - 局所的壊死または潰瘍化(1〜5個の病巣)、3 - 局所的壊死または潰瘍化(6〜15個の病巣)、4 - 局所的壊死または潰瘍化(16個以上の病巣)、5 - 長さ2〜3cmの壊死の斑、6 - 野外症例に典型的なびまん性壊死。該野生型株は有意なレベルの疾患を示したが、独立して単離された突然変異体はいずれも、疾患の徴候を全く示さなかった。本発明者らは、NetBが疾患発病機序の主要病原性因子であると結論づけた。
【表2】

【実施例7】
【0215】
C. perfringens株における毒素に関する調査
C. perfringens株における毒素に関するPCR調査
C. perfringensのNEおよび非NE株におけるnetB遺伝子の存在をPCRにより調べた。試験したC. perfringens株のそれぞれに関して、単コロニーを0.1mlの蒸留水に懸濁させ、10分間煮沸し、ついで10000gで10分間遠心分離した。上清を集め、PCRにおける鋳型DNAとして使用した。1×PCRバッファー(Mg2+ 不含)、2.5 mM MgCl2、0.2 mM dNTP混合物、2.5単位のGo Taq DNAポリメラーゼ(Promega)、50 pM プライマーAKP78およびAKP79ならびに5μlの鋳型溶液を含有する合計25μlの反応混合物中でPCRを行った。該PCRにおいては以下の条件を用いた:94℃で2分間の変性;94℃で30秒間の変性、55℃で30秒間のアニーリングおよび72℃で1分間の伸長を35サイクル;ならびに72℃で12分間の最終的伸長。図6(a.NE株;b.非NE株)に示されているとおり、1.5% アガロースゲル上の電気泳動によりPCR産物を分析した。壊死性腸炎罹患ニワトリから単離されたほとんどのC. perfringens株において、384bpのnetB断片が認められる。該netB特異的PCR断片は他のいずれの株においても認められない。これは、該netB遺伝子の存在がニワトリにおけるC. perfringens病原性の良好な指標であり、潜在的に病原性の株を検出するためにそのようなアッセイが用いられうることを示していた。
【0216】
C. perfringens株における毒素の存在に関するウエスタンブロット調査
C. perfringens株を、予め煮沸したTPGブロス中で、約0.6のOD600nmになるまで増殖させた。18000gで10分間の遠心分離により培養上清を得た。MES SDSランニングバッファー(NuPAGE(登録商標) MES SDS Running Buffer, Invitrogen)中でのSDS-PAGE(NuPAGE(登録商標) Novex 4-12% Bis-Trisゲル, Invitrogen)により上清を分離した。タンパク質をPDVF(Millipore)膜上に転写し、ウサギポリクローナル抗rNetB抗体(Chemicon, USA)でプローブした。ブロットをECLウエスタンブロッティングキット(Amersham Biosciences, NJ, USA)で現像し、図7に示すとおり、結果をオートラジオグラフィーフィルム上に記録した。括弧はNEおよび非NE C. perfringens株を示す。該ウエスタンブロットの結果は該PCR調査の結果(すなわち、該遺伝子およびタンパク質はほとんどのNE由来株には存在するが、非NE株には存在しない)を裏づけた。抗体に基づくこの検出方法は、潜在的に病原性の株を検出するためのもう1つの方法である。
【実施例8】
【0217】
組換えNetBサブユニットワクチンの防御効力
サブユニットワクチンとして送達された場合の組換えNetBタンパク質(配列番号2)の効力をワクチン接種治験において試験した。
【0218】
ワクチン接種治験1193-4
Ross 308ブロイラーニワトリ(Aviagen)を0.5mlの水酸化アルミニウムアジュバント中の1用量当たり50μgの抗原としての組換えNetBでワクチン接種した。該鳥を第7日および第14日にワクチン接種し、第20日および第21日にClostridium perfringens株EHE-NE18の1.5mlの経口用量でチャレンジした。壊死性腸炎に対する鳥の感受性を増加させるために、該チャレンジ期間中、魚肉を含有する高タンパク質食をそれらに給餌した。第25日に鳥を安楽死させ剖検して、壊死性腸炎腸病変をスコア評価した。
【0219】
病変は、以下のスキームに従ってスコア評価された:
0 病変無し、
1 薄い壁形成(walled)した脆い腸、
2 局所的壊死または潰瘍化(1〜5個の病巣)、
3 局所的壊死または潰瘍化(6〜15個の病巣)、
4 局所的壊死または潰瘍化(16個以上の病巣)、
5 長さ2〜3cmの壊死の斑、
6 野外症例に典型的なびまん性壊死。
【0220】
結果
NetB組換え抗原でワクチン接種されたニワトリおよびアジュバント対照ニワトリの平均病変スコアを表3に示す。
【表3】

【0221】
Mann-Whitney検定を用いる病変スコアの統計解析は、95%を超える信頼度でNetBワクチン接種群とアジュバント対照群との間の差が統計的に有意であることを示している。
【実施例9】
【0222】
ワクチン接種された鳥からの血清のウエスタンブロット分析
ワクチン接種されたニワトリからの血清を、該ニワトリがNetBタンパク質に対する血清抗体を産生したかどうかを判定するために、ウエスタンブロットにより分析した。4μgの組換えNetB抗原をポリアクリルアミドゲル内のウェルごとにローディングし、SDS-PAGEに付した。タンパク質をウエスタンブロットによりPVDF膜に転写した。ワクチン接種された鳥からの血清をTBS/0.5% Tween 20中の5%脱脂乳中で1:1000希釈し、該膜と共に室温で1時間インキュベートした。該膜をTBS/0.5% Tween 20で3回洗浄し、ついで、TBS/0.5% Tween 20中の5%脱脂乳中で1:10,000希釈されたヤギ抗ニワトリHRP抗体(KPL; Cat# 14-24-06; Lot# 050860)と共に室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、該膜をTBS/0.5% Tween 20で3回洗浄した。GE Healthcare ECLウエスタンブロット試薬(Cat# RPN2106)を製造業者の説明に従い使用して、HRP標識二次抗体を検出した。組換えNetBでワクチン接種されたトリの大多数はNetBタンパク質に対する血清抗体を産生し(図8)、このことは、使用したワクチンがNetB抗原に対する有意な免疫応答を誘導することが可能であったことを示している。
【実施例10】
【0223】
ワクチン接種およびチャレンジ手順の反復
ワクチン接種治験1219-1
別個に製造されたバッチの組換えNetBタンパク質を使用して、該ワクチン接種およびチャレンジ手順を反復することにより、治験1193-4で得られた結果を再現性に関して試験した。該反復治験の結果を表4に示す。
【表4】

【0224】
Mann-Whitney検定を用いる病変スコアの統計解析は、95%を超える信頼度でNetBワクチン接種群とアジュバント対照群との間の差が統計的に有意であることを示した。
【0225】
ワクチン接種治験1250-1
先の治験と同じワクチン接種およびチャレンジプロトコールを用いて、鳥の生体重を剖検時に測定した。陰性対照、陽性対照およびNetBワクチン接種鳥のそれぞれの平均体重を表5に示す。
【表5】

【0226】
該鳥体重の対応の無いt検定を用いる統計解析は、99%を超える信頼度でNetBワクチン接種群と陽性対照群との間の体重差が統計的に有意であること(P = 0.0004685)を示している。該ワクチン接種鳥は、非防御の陽性対照でチャレンジされた鳥に影響を及ぼす体重増加における制限から保護された。
【実施例11】
【0227】
NetBに基づく代替的ワクチンの防御効力
ワクチン接種治験1250-1においては、多数の代替的ワクチンを試験した。該代替的ワクチンは以下のものであった:バクテリン + NetB;NetBを発現する大腸菌(E. coli)生ベクター;および生C. perfringens(netB欠失体)。該代替ワクチンを以下に説明し、陽性対照群と比較したワクチン接種鳥の生体重を表6に示す。
【0228】
バクテリン + NetB
C. perfringens株EHE-NE18(400 ml TPG)の一晩培養物を調製した。該培養物を遠心分離し、該細胞ペレットおよび上清画分を保持した。該細胞ペレットを20mlのリン酸緩衝食塩水に再懸濁させ、音波処理に付して細胞を破裂させ、ついで0.3% ホルムアルデヒドで処理した。該上清を限外濾過により20mlの容量にまで濃縮し、ついで0.3% ホルムアルデヒドで処理した。等体積の該処理後細胞ペレット、上清およびアジュバント溶液を一緒にし、組換えNetBタンパク質を100μg/mlの最終濃度になるまで加えた。この製剤化ワクチン0.5mlをトリ1羽毎にワクチン接種毎に皮下に使用した。
【0229】
NetBを発現する大腸菌(E. coli)生ベクター
大腸菌(E. coli)株CCEC31rn(WO 2007/025333に記載)を、netBをその天然プロモーターから発現するプラスミドで形質転換した。NetBは該プラスミドから構成的に発現される。各鳥に0.5mlの一晩培養物(Luriaブロス)を第2日に経口投与した。
【0230】
生C. perfringens(netB欠失体)
C. perfringens EHE-NE18のnetB欠失突然変異誘導体を流体チオグリコラートブロス中で増殖させ、0.5mlを2日齢の鳥に経口接種した。
【表6】

【0231】
該鳥体重の対応の無いt検定を用いる統計解析は、99%を超える信頼度でバクテリン + NetBワクチン接種群と陽性対照群との間の体重差が統計的に有意であり(P = 0.003879)、95%を超える信頼度でNetB発現大腸菌(E. coli)生ベクター接種群と陽性対照群との間の体重差が統計的に有意であり(P = 0.0217605)、99%を超える信頼度でnetB遺伝子欠失C. perfringensワクチン接種群と陽性対照群との間の体重差が統計的に有意である(P = 0.0003855)ことを示している。これらの結果は、それらの異なるワクチン全てが、ワクチン接種されていないチャレンジされた鳥において見られる体重増加における制限から鳥を保護できたことを示している。
【0232】
広く記載されている本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されている本発明に対して多数の変更および/または修飾が施されうる、と当業者により理解される。したがって、本実施形態はあらゆる点において例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0233】
本明細書に記載および/または参照されている全ての刊行物の全体を本明細書に組み入れることとする。
【0234】
本出願はUS 60/942,858(その全内容を参照により本明細書に組み入れることとする)からの優先権を主張するものである。
【0235】
本明細書に含まれている文書、法令、物質、装置、物品などのいずれの考察も、専ら本発明の背景を説明することを目的としたものである。これらの事物の全ては先行技術の基礎の部分を構成すると自認するものと解釈されるべきではなく、また、これらの事物の全ては、それが本出願の各請求項の優先日前に存在したかのように、本発明の関連分野における通常の一般知識であったと自認するものと解釈されるべきではない。
【0236】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)配列番号2もしくは配列番号3に示されるアミノ酸配列、
ii)配列番号2および/もしくは配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列、ならびに/または
iii)i)もしくはii)の生物学的に活性なおよび/または抗原性の断片
を含んでなる、実質的に精製されたおよび/または組換えポリペプチド。
【請求項2】
該ポリペプチドが毒素活性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
該ポリペプチドが、配列番号2および/または配列番号3によりコードされるポリペプチドと比較して低減した毒素活性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
該ポリペプチドが、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項5】
該ポリペプチドがClostridium属の細菌から精製されうる、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項6】
該ポリペプチドがClostridium perfringensから精製されうる、請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
該ポリペプチドがトキソイドである、請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項8】
少なくとも1つの他のポリペプチド配列を含む融合タンパク質である、請求項1〜7のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項9】
i)配列番号1に示されるヌクレオチドの配列、
ii)請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列、
iii)配列番号1と少なくとも40%同一であるヌクレオチドの配列、および/または
iv)ストリンジェントな条件下でi)〜iii)のいずれかもしくはその逆相補体にハイブリダイズする配列
を含んでなる、単離されたおよび/または組換えポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項9記載のポリヌクレオチドを含んでなるベクター。
【請求項11】
該ポリヌクレオチドがプロモーターに機能的に連結されている、請求項10記載のベクター。
【請求項12】
該ベクターがウイルスベクターまたはプラスミドベクターである、請求項10または請求項11記載のベクター。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9記載のポリヌクレオチドおよび/または請求項10〜12のいずれか1項記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項14】
細菌である、請求項13記載の宿主細胞。
【請求項15】
該細菌が大腸菌(E. coli)である、請求項14記載の宿主細胞。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドを製造する方法であって、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を可能にする条件下、請求項13〜15のいずれか1項記載の宿主細胞または該ポリペプチドをコードする請求項10〜12のいずれか1項記載のベクターを培養することを含んでなる方法。
【請求項17】
該ポリペプチドを単離することを更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドに特異的に結合する実質的に精製された抗体。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9記載のポリヌクレオチド、請求項10〜12のいずれか1項記載のベクター、請求項13〜15のいずれか1項記載の宿主細胞および/または請求項18記載の抗体を含んでなる組成物。
【請求項20】
免疫原性組成物である、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
アジュバントおよび/または製薬上許容される担体を更に含む、請求項20記載の免疫原性組成物。
【請求項22】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドを含む抗原を含んでなるワクチン。
【請求項23】
アジュバントおよび/または製薬上許容される担体を更に含む、請求項22記載のワクチン。
【請求項24】
1以上の追加的抗原を更に含む、請求項23または請求項24記載のワクチン。
【請求項25】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなるDNAワクチンであって、被験体に投与されると、該ポリペプチドが発現され、該ポリペプチドに対する免疫応答が生じる、DNAワクチン。
【請求項26】
配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを産生する弱毒化細菌であって、該細菌が、野生型細菌と比較して減少した量の該ポリペプチドを産生し、および/または野生型細菌における該ポリペプチドと比較して低減した毒素活性を有する、弱毒化細菌。
【請求項27】
該ポリペプチドを発現しない、請求項26記載の弱毒化細菌。
【請求項28】
異種ポリペプチドを発現するよう更に改変されている、請求項26または請求項27のいずれか1項記載の弱毒化細菌。
【請求項29】
該異種タンパク質が生物学的に活性なポリペプチドまたは抗原である、請求項28記載の細菌。
【請求項30】
配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細菌の病原性を弱毒化する方法であって、弱毒化された細菌が非弱毒化細菌と比べて低減した毒素活性を有するようにするために、該ポリヌクレオチド配列を突然変異させて該ポリペプチドの発現および/または毒素活性を低減させることを含んでなる方法。
【請求項31】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9記載のポリヌクレオチド、請求項10〜12のいずれか1項記載のベクター、請求項13〜15のいずれか1項記載の宿主細胞、請求項19〜21のいずれか1項記載の組成物、請求項22〜25のいずれか1項記載のワクチンおよび/または請求項26〜29のいずれか1項記載の細菌を被験体に投与することを含んでなる、被験体において免疫応答を惹起する方法。
【請求項32】
該宿主細胞または細菌が生きている、請求項31記載の方法。
【請求項33】
該ポリペプチド、ポリヌクレオチド、組成物、ベクター、宿主細胞または細菌がin ovo送達される、請求項31または請求項32記載の方法。
【請求項34】
配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する病原体に被験体がさらされたかどうかを決定する方法であって、該方法が、該被験体から得られたサンプル中の該ポリペプチドの存在または非存在を決定することを含んでなり、該ポリペプチドの存在が、該病原体にさらされたことを示す、方法。
【請求項35】
配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する病原体に被験体がさらされたかどうかを決定する方法であって、該方法が、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体の、サンプル中の存在または非存在を決定することを含んでなり、該抗体の存在が、該病原体にさらされたことを示す、方法。
【請求項36】
配列番号1と少なくとも40%同一であるヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチドを発現する病原体に被験体がさらされたかどうかを判定する方法であって、該方法が、該被験体から得られたサンプル中の該ポリヌクレオチドの存在または非存在を決定することを含んでなり、該ポリヌクレオチドの存在が、該病原体にさらされたことを示す、方法。
【請求項37】
該被験体が鳥類である、請求項31〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
該被験体が家禽である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
該被験体がニワトリである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
請求項2記載のポリペプチドの活性をモジュレーションするアゴニストまたはアンタゴニストに関してスクリーニングする方法であって、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドを候補化合物と接触させ、請求項2記載のポリペプチドの毒素活性を該化合物が増強するかまたは低減するかを決定することを含んでなる方法。
【請求項41】
毒素活性に関してサンプルを試験する方法であって、該方法が、
(a)請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドを含有する疑いのあるサンプルを少なくとも第1および第2サブサンプルに分割し、
(b)第1サブサンプルを請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドのアンタゴニストと接触させ、
(c)第1および第2サブサンプルが毒素活性を有するかどうかを決定する
ことを含んでなり、
第1サブサンプルにおける毒素活性の非存在および第2サンプルにおける毒素活性の存在が、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるポリペプチドの存在を示す、方法。
【請求項42】
工程(c)が、独立して、該ポリペプチドが細胞変性効果を引き起こすのに十分な条件下および期間にわたり第1および第2サブサンプルを動物細胞と共にインキュベートし、該細胞に対する細胞変性効果の存在または非存在を決定することを含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
該アンタゴニストが抗体である、請求項41または請求項42記載の方法。
【請求項44】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドのアンタゴニストを含んでなる食料および/または飲料。
【請求項45】
該アンタゴニストが請求項18記載の抗体である、請求項44記載の食料および/または飲料。
【請求項46】
配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細菌による動物への感染および/または定着を低減するための、請求項44または請求項45記載の食料および/または飲料の使用。
【請求項47】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドを含む非ヒトトランスジェニック生物。
【請求項48】
植物である、請求項47記載の非ヒトトランスジェニック生物。
【請求項49】
請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドを含んでなる食料および/または飲料。
【請求項50】
請求項47もしくは請求項48記載の非ヒトトランスジェニック生物および/または請求項49記載の食料もしくは飲料を被験体に経口投与することを含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチドに対する免疫応答を惹起する方法。
【請求項51】
雌鳥の後代に受動免疫を付与する方法であって、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9記載のポリヌクレオチド、請求項10〜12のいずれか1項記載のベクター、請求項13〜15のいずれか1項記載の宿主細胞、請求項19〜21のいずれか1項記載の組成物、請求項22〜25のいずれか1項記載のワクチン、請求項26〜30のいずれか1項記載の弱毒化細菌、請求項47または請求項48記載の非ヒトトランスジェニック生物ならびに/または請求項49記載の食料および/もしくは飲料を、該後代を含む卵を該雌鳥が産む前に該雌鳥に投与して、配列番号2および/または配列番号3と少なくとも40%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する細菌に対する受動免疫を該後代に付与することを含んでなる方法。
【請求項52】
被験体において免疫応答を惹起するための医薬の製造における、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9記載のポリヌクレオチド、請求項10〜12のいずれか1項記載のベクター、請求項13〜15のいずれか1項記載の宿主細胞、請求項19〜21のいずれか1項記載の組成物、請求項22〜25のいずれか1項記載のワクチン、請求項26〜30のいずれか1項記載の細菌、請求項47または請求項48記載の非ヒトトランスジェニック動物ならびに/または請求項49記載の食料および/もしくは飲料の使用。
【請求項53】
被験体において免疫応答を惹起するための医薬としての、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリペプチド、請求項9記載のポリヌクレオチド、請求項10〜12のいずれか1項記載のベクター、請求項13〜15のいずれか1項記載の宿主細胞、請求項19〜21のいずれか1項記載の組成物、請求項22〜25のいずれか1項記載のワクチン、請求項26〜30のいずれか1項記載の細菌、請求項47または請求項48記載の非ヒトトランスジェニック動物ならびに/または請求項49記載の食料もしくは飲料の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−529838(P2010−529838A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510616(P2010−510616)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000813
【国際公開番号】WO2008/148166
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509336266)オーストラリアン ポールトリー シーアールシー ピーティーワイ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】