説明

クロスヘッド軸受装置

【課題】軸受裏金上にホワイトメタル、アルミニウム合金等からなる軸受合金を積層して形成され、軸荷重を受圧するクロスヘッド軸受の油溝を、軸受の揺動方向に浅溝を形成させることで、軸受面の流体力学的な油膜形成能力を損なうことなく軸受面に広くオイルを行き渡らせることができ、且つ製造コストも増加しないクロスヘッド式ディーゼルエンジンのクロスヘッド軸受装置を提供する。
【解決手段】ピストンの往復動力を受圧するクロスヘッドピンと、軸受裏金上に軸受合金を積層して形成されクロスヘッドピンを通しての軸荷重を受圧するクロスヘッド軸受を備えたクロスヘッド軸受装置において、前記クロスヘッド軸受は、エンジンの軸方向に刻設され給油孔が開設された周方向溝と、該周方向溝に連通し該周方向溝と直角方向に複数刻設された軸方向溝と、該軸方向溝の間の前記軸受合金上に前記周方向溝と平行に一定間隔で列設され前記周方向溝及び軸方向溝よりも十分に浅い筋状の多数の浅溝を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロスヘッド式大型ディーゼルエンジンに適用され、ピストンの往復動力を受圧するクロスヘッドピンと、軸受裏金上にホワイトメタル、アルミニウム合金等からなる軸受合金を積層して形成され前記クロスヘッドピンを通しての軸荷重を受圧するクロスヘッド軸受を備えたクロスヘッド軸受装置の、クロスヘッド軸受の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)クロスヘッド式大型ディーゼルエンジンの一例を示すシリンダ中心の断面図、(B)は(A)のZ部拡大斜視図である。
かかるディーゼルエンジンにおいて、105はシリンダカバー、106はピストン、101はピストン棒101で、ピストン106に作用する爆発力は、ピストン棒101とこれに結合されたクロスヘッドピン102に、シリンダの軸方向に向けて伝達される。
このクロスヘッドピン102には、ホワイトメタルやアルミ合金などをライニングした半円筒のクロスヘッド軸受1がクロスヘッドピン102に対して揺動可能に取付られており、さらにこのクロスヘッド軸受1にはコネクチングロッド103が取り付けられて、クランク軸104に駆動力を伝達している。
【0003】
前記クロスヘッドピン102には、ガイドシュー102aがガイドレール108上を摺動可能に取り付けられていることから、シリンダライナ105の軸方向と直角方向の反作用成分をこのガイドシュー102aが受け持つため、クロスヘッド軸受1には、常時コネクチングロッド103軸方向の力の成分、つまりクロスヘッド軸受1には真下向きの荷重が掛かることとなる。このように、前記クロスヘッド軸受1には、常時荷重が作用して揺動することとなる。
図7はクロスヘッド軸受1部分の斜視図である。
図7に示すように、前記クロスヘッド軸受1は、半円状に形成され前記コネクチングロッド103の上端支持部106に固定されている。103aはキャップ、103bはキャップ103aの締付ボルトである。
前記クロスヘッド軸受1の一例を示す図7において、4は周方向溝で、エンジンの軸方向中央部に周方向に刻設され給油孔5が複数(この例では5個)開設されている。6は軸方向溝で、前記周方向溝4に連通するとともに、該周方向溝4と直角方向に複数(この例では4個)刻設されている。
【0004】
かかるクロスヘッド軸受1には、従来主々の油溝が提供されているが、この油溝を密に張り巡らすと油量は増すが、流体力学的効果による油膜圧力の発生が寸断され、軸受の負荷能力は低下する。
一方で、油溝の数を減らすと、油が軸受面に十分行き渡れば負荷能力は増大するものの、揺動角が小さいことから、油の行き渡りが不十分なため局部的に接触したり、高い油膜圧力が生ずる。
【0005】
かかる軸受の一例として、特許文献1(特開2003−269454号公報)がある。
この発明においては、軸受の軸受裏金の上部にホワイトメタル等の軸受メタルと前記軸受メタル上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイを施し、さらにオーバーレイの表面に凹凸の処理を、そのピッチ、深さ、形状を使用場所に応じて変えるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−269454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
挙げられた特許文献1の手段も、油膜を効率的にしゅう動面に導入する有効な手段である。
しかし、特許文献1の手段は、オーバーレイの表面に、ピッチ、深さ、形状を使用場所に応じて変える複雑な形状の溝を形成するので、加工が複雑になり、製造コストも高くなり易い。また、クロスヘッド軸受は揺動のため油膜厚さが薄く、オーバーレイ内部の溝ではごく運転初期に効果が喪失する懸念がある。
【0008】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、軸受裏金上にホワイトメタル、アルミニウム合金等からなる軸受合金を積層して形成され、軸荷重を受圧するクロスヘッド軸受の油溝を、軸受の揺動方向に浅溝を形成させることで、軸受面の流体力学的な油膜形成能力を損なうことなく軸受面に広くオイルを行き渡らせることができ、且つ製造コストも増加しないクロスヘッド式ディーゼルエンジンのクロスヘッド軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる目的を達成するもので、ピストンの往復動力をクロスヘッド軸受装置を介して回転力に変換し、クランク軸に伝達するクロスヘッド式ディーゼルエンジンであって、前記クロスヘッド軸受装置は、ピストンの往復動力を受圧するクロスヘッドピンと、軸受裏金上にホワイトメタル、アルミニウム合金等からなる軸受合金を積層して形成され前記クロスヘッドピンを通しての軸荷重を受圧するクロスヘッド軸受を備えたクロスヘッド式ディーゼルエンジンのクロスヘッド軸受装置において、前記クロスヘッド軸受は、クロスヘッドピンの軸直角方向に刻設され給油孔が開設された周方向溝と、該周方向溝に連通し該周方向溝と直角方向に複数刻設された軸方向溝と、該軸方向溝の間の前記軸受合金上に前記周方向溝と平行に一定間隔で列設され前記周方向溝及び軸方向溝よりも十分に浅い筋状の多数の浅溝を備えたことを特徴とする(請求項1)。
特に、前記多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイの表面に前記軸方向溝の間の全面に亘って形成する(請求項2)。
【0010】
また、かかる発明において、具体的には次のように構成することもできる。
(1)前記多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイの表面に形成するとともに、前記軸方向溝の間のうち軸方向溝側に寄った部分の長さの一定長さに形成して該浅溝の間には溝を形成しない平坦部を有する(請求項3)。
(2)前記多数の浅溝は、軸方向溝側に寄った部分の長さの一定長さに形成し、該軸方向溝側に寄った部分を厚くして徐々に薄くして行き前記平坦部に到達するように形成する(請求項4)。
(3)前記多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイをエッチングや機械加工等の方法で形成する際に、該オーバーレイを凹凸面状に形成する(請求項5)。
(4)前記多数の浅溝は、前記周方向溝に近接する側の溝のピッチが周方向溝から遠ざかる部位の溝に比べて密になっている(請求項6)。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるクロスヘッド軸受は、クロスヘッドピンの軸直角方向に刻設され給油孔が開設された周方向溝と、該周方向溝に連通し該周方向溝と直角方向に複数刻設された軸方向溝と、該軸方向溝の間の前記軸受合金上に前記周方向溝と平行に一定間隔で列設され前記周方向溝及び軸方向溝よりも十分に浅い筋状の多数の浅溝を備え(請求項1)、また前記多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイの表面に前記軸方向溝の間の全面に亘って形成したので(請求項2)、
周方向溝と平行に、軸受合金上好ましくはオーバーレイの表面上に浅い筋状の多数の浅溝を形成することにより、軸受の揺動方向(周方向)に浅溝を形成させることで、揺動によるオイルの浅溝からの軸受面への導入を促進でき、つまり軸受面の流体力学的な油膜形成能力を損なうことなく軸受面に広くオイルを行き渡らせることができる。
【0012】
また、浅い筋状の多数の浅溝を形成することにより、軸荷重を受けた際の急激な油膜圧力の変化に対しては、十分なオイルの保持力を有するので、負荷能力を確保できる。これにより、真下の荷重方向の軸受面を大きく取ることができる。
また、浅い筋状の多数の浅溝を加工するのみであるので、加工コストも従来のものよりも低廉である。
【0013】
前記多数の浅溝は、軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイの表面に形成するとともに、前記軸方向溝の間のうち軸方向溝側に寄った部分の長さの一定長さに形成して該浅溝の間には溝を形成しない平坦部を有するので(請求項3)、
多数の浅溝が、間に平坦部を有して連通しないことにより、軸荷重が作用した際のオイルが平坦部で止まりその流出量が抑制され、オイルの行き渡り不足が無い場合は、負荷能力が増大する。
また、負荷の大きい真下の軸受面以外の軸受面の浅溝を、より上方だけに形成することで、揺動中の軸受面については、平坦部からのオイルの流出量が抑制されるので、オイルの行き渡り不足が無い場合は、負荷の分担能力が増大する。
【0014】
また、多数の浅溝は、軸方向溝側に寄った部分の長さの一定長さに形成し、該軸方向溝側に寄った部分を厚くして徐々に薄くして行き前記平坦部に到達するように形成すれば(請求項4)、浅溝に保有すべきオイルの量は、油溝近傍ほど多いので、前記平坦部に向かって浅溝を浅く形成してもオイル不足には成りにくい上、溝が浅いことにより、荷重作用時のオイルの軸受面からの流出が抑制され、負荷能力が向上する。
【0015】
また、多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイをエッチングや機械加工等の方法で形成する際に、該オーバーレイを凹凸面状に形成すれば(請求項5)、オーバーレイに凹凸面状に形成することにより、軸受合金が露出することがなく、オイル中の細かな異物の埋没性に優れる。
【0016】
また、前記多数の浅溝は、前記周方向溝に近接する側の溝のピッチが周方向溝から遠ざかる部位の溝に比べて密になっているように構成すれば(請求項6)、浅溝は、軸方向端部つまり周方向溝に近接する側の溝の間隔が、周方向溝から遠ざかる部位の溝に比べて密になっているので、荷重作用時の軸受隙間内のオイルの軸方向の流れに対する抵抗を増して、オイルの保持力を高めることで、負荷能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図6(A)は本発明が適用されるクロスヘッド式大型ディーゼルエンジンの一例を示すシリンダ中心の断面図である。
図6(A)において、クロスヘッドピン102にはガイドシュー102aが取り付けられているため、シリンダライナ105の軸方向と直角方向の反作用成分をこのガイドシュー102aが受け持つため、本発明にかかるクロスヘッド軸受1には、常時コネクチングロッド103軸方向の力の成分、つまりクロスヘッド軸受1には真下向きの荷重が掛かることとなる。つまり、かかるクロスヘッド軸受1には、常時荷重が作用して揺動することとなる。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の第1実施例を示し、(A)はクロスヘッド軸受の上面展開図、(B)は上面斜視図、(C)は(A)のA−A断面図である。
図1において、1はクロスヘッド軸受で、図1(B)にように半円状に形成され、図7(A)のように、前記半円状の外周がコネクチングロッド103に組み付けられている。
そして、コネクチングロッド103への軸方向の力の成分、つまりクロスヘッド軸受1には真下向きの荷重が掛かることとなる。
【0019】
前記クロスヘッド軸受1は、鋼からなる軸受裏金2の上に、ホワイトメタル、アルミニウム合金等からなる軸受合金2aを積層して形成され、前記軸受合金2a上には、鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイ3が形成されている。
4は周方向溝で、エンジンの軸方向中央部に、軸直角方向に刻設され、給油孔5が複数(この例では5個)開設されている。6は軸方向溝で、前記周方向溝4に連通するとともに、該周方向溝4と直角方向に複数(この例では4個)刻設されている。
【0020】
7は浅溝で、前記軸方向溝4の間の前記軸受裏金2a上のオーバーレイ3の部分に、前記周方向溝4と平行に一定間隔で列設されている。該浅溝7は前記オーバーレイ3の表面に前記軸方向溝6の間の全面に亘って、該軸方向溝6の間を連通するように形成され、前記周方向溝4及び軸方向溝6よりも十分に浅い筋状の多数の溝で、前記オーバーレイ3の厚さ程度の厚さである。
【0021】
かかる第1実施例によれば、周方向溝4と平行に浅い筋状の多数の浅溝7を形成することにより、クロスヘッド軸受1の揺動方向(周方向)に浅溝7を多数形成させることで、揺動によるオイルの浅溝7からの軸受面への導入を促進でき、つまり軸受面の流体力学的な油膜形成能力を損なうことなく軸受面に広くオイルを行き渡らせることができる。
また、浅い筋状の多数の浅溝7を形成することにより、真下向きの軸荷重を受けた際の急激な油膜圧力の変化に対しては、十分なオイルの保持力を有するので、負荷能力を確保できる。これにより、真下の荷重方向の軸受面を実質的に大きく取ることができる。
また、浅い筋状の多数の浅溝7を加工するのみであるので、加工コストも従来のものよりも低廉である。
【実施例2】
【0022】
図2は本発明の第2実施例を示し、(A)はクロスヘッド軸受の上面展開図、(B)は(A)のB−B断面図である。尚、上面斜視図は図1(B)と同様で図示と省略する。
図2においては、前記多数の浅溝7は、軸受合金2a上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイ3の表面に形成する。
それとともに、前記軸方向溝6の間のうち軸方向溝6側に寄った部分を一定長さBに形成して、該一定長さBに前記浅溝7を形成し、該浅溝7の間には溝を形成しない平坦部8(幅寸法A)をそれぞれに有する。
前記構成以外は前記第1実施例と同様で、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0023】
かかる第2実施例によれば、多数の浅溝7が、間に平坦部8を有して連通しないことにより、該平坦部8により軸荷重が作用した際のオイルが平坦部8で止まり、その流出量が抑制され、オイルの行き渡り不足が無い場合は、前記第1実施例よりも負荷能力が増大する。
また、負荷の大きい真下の軸受面以外の軸受面の浅溝7を、より上方だけに形成することで、揺動中の軸受面では、平坦部8からのオイルの流出量が抑制されるので、オイルの行き渡り不足が無い場合は、負荷の分担能力が増大する。
【実施例3】
【0024】
図3は本発明の第3実施例を示し、(A)はクロスヘッド軸受の上面展開図、(B)は(A)のC矢視図である。尚、上面斜視図は図1(B)と同様で図示と省略する。
この実施例においては、前記第2実施例と同様な溝の形態に加えて、次のように構成する。
即ち、多数の浅溝7は、軸方向溝6側に寄った部分の長さを一定長さに形成し、該軸方向溝6側に寄った部分(S部分)を厚くして徐々に薄くして行き、前記平坦部8に到達するように形成する。1sは軸受中心である。
前記構成以外は前記第1実施例と同様で、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0025】
かかる第3実施例によれば、浅溝7に保有すべきオイルの量は、軸方向溝6の近傍ほど多いので、前記平坦部8に向かって浅溝7を浅く形成しても、オイル不足には成りにくい上、浅溝7が浅いことにより荷重作用時のオイルの軸受面からの流出が抑制され、負荷能力が向上する。
【実施例4】
【0026】
図4は本発明の第4実施例を示す部分断面図である。図4は関係部分のみ示し、図4以外は図1と同様である。
この第4実施例においては、多数の浅溝7は、前記軸受合金2a上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイ3をエッチングや機械加工等の方法で形成する際に、該オーバーレイ3を凹凸面状に形成する。
従ってオーバーレイ3を凹凸面状に形成することにより、軸受合金2が露出することがなく、オイル中の細かな異物の埋没性に優れた構成となる。
【実施例5】
【0027】
図5は本発明の第5実施例を示すクロスヘッド軸受の上面展開図である。
この第5実施例においては、前記多数の浅溝7は、前記周方向溝4に近接する側の溝の間隔p1が周方向溝4から遠ざかる部位の溝の間隔p2に比べて密になっているように構成する。前記と反対側の浅溝7も同様である。
前記構成以外は前記第1実施例と同様で、これと同一の部材は同一の符号で示す。
【0028】
かかる第5実施例によれば、浅溝7は、軸方向端部つまり周方向溝4に近接する側の溝の間隔(p)が、周方向溝4から遠ざかる部位の溝の間隔(p)に比べて密になっているので、荷重作用時の軸受隙間内のオイルの軸方向の流れに対する抵抗を増して、オイルの保持力を高めることで、負荷能力を向上させることができる
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、軸受裏金上にホワイトメタル、アルミニウム合金等からなる軸受合金を積層して形成され、軸荷重を受圧するクロスヘッド軸受の油溝を、軸受の揺動方向に浅溝を形成させることで、軸受面の流体力学的な油膜形成能力を損なうことなく軸受面に広くオイルを行き渡らせることができ、且つ製造コストも増加しないクロスヘッド式ディーゼルエンジンのクロスヘッド軸受装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施例を示し、(A)はクロスヘッド軸受の上面展開図、(B)は上面斜視図、(C)は(A)のA−A断面図である。
【図2】本発明の第2実施例を示し、(A)はクロスヘッド軸受の上面展開図、(B)は(A)のB−B断面図である。
【図3】本発明の第3実施例を示し、(A)はクロスヘッド軸受の上面展開図、(B)は(A)のC矢視図である。
【図4】本発明の第4実施例を示す部分断面図である。
【図5】第5実施例を示すクロスヘッド軸受の上面展開図である。
【図6】(A)は本発明が適用されるクロスヘッド式大型ディーゼルエンジンの一例を示すシリンダ中心の断面図、(B)は(A)のZ部拡大斜視図である。
【図7】は従来のクロスヘッド軸受の外観図である。
【符号の説明】
【0031】
1 クロスヘッド軸受
2 軸受裏金
2a 軸受合金
3 オーバーレイ
4 周方向溝
5 給油孔
6 軸方向溝
7 浅溝
8 平坦部
102 クロスヘッドピン
102a ガイドシュー
103 コネクチングロッド
105 シリンダライナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンの往復動力をクロスヘッド軸受装置を介して回転力に変換し、クランク軸に伝達するクロスヘッド式ディーゼルエンジンであって、前記クロスヘッド軸受装置は、ピストンの往復動力を受圧するクロスヘッドピンと、軸受裏金上にホワイトメタル、アルミニウム合金等からなる軸受合金を積層して形成され前記クロスヘッドピンを通しての軸荷重を受圧するクロスヘッド軸受を備えたクロスヘッド式ディーゼルエンジンのクロスヘッド軸受装置において、
前記クロスヘッド軸受は、クロスヘッドピンの軸直角方向に刻設され給油孔が開設された周方向溝と、該周方向溝に連通し該周方向溝と直角方向に複数刻設された軸方向溝と、該軸方向溝の間の前記軸受合金上に前記周方向溝と平行に一定間隔で列設され前記周方向溝及び軸方向溝よりも十分に浅い筋状の多数の浅溝を備えたことを特徴とするクロスヘッド軸受装置。
【請求項2】
前記多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイの表面に前記軸方向溝の間の全面に亘って形成したことを特徴とする請求項1記載のクロスヘッド軸受装置。
【請求項3】
前記多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイの表面に形成するとともに、前記軸方向溝の間のうち軸方向溝側に寄った部分の長さの一定長さに形成して、該浅溝の間には溝を形成しない平坦部を有することを特徴とする請求項1記載のクロスヘッド軸受装置。
【請求項4】
前記多数の浅溝は、軸方向溝側に寄った部分の長さの一定長さに形成し、該軸方向溝側に寄った部分を厚くして徐々に薄くして行き前記平坦部に到達するように形成したことを特徴とする請求項1記載のクロスヘッド軸受装置。
【請求項5】
前記多数の浅溝は、前記軸受合金上に鉛合金等の軟質金属からなるオーバーレイをエッチングや機械加工等の方法で形成する際に、該オーバーレイを凹凸面状に形成したことを特徴とする請求項1記載のクロスヘッド軸受装置。
【請求項6】
前記多数の浅溝は、前記周方向溝に近接する側の溝のピッチが周方向溝から遠ざかる部位の溝に比べて密になっていることを特徴とする請求項1記載のクロスヘッド軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−186000(P2009−186000A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29792(P2008−29792)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】