説明

クロロシラン類の分析装置および分析方法

【課題】安定して汚染等の少ない分析を行うことができるクロロシラン類の分析装置および分析方法を提供する。
【解決手段】クロロシラン類Lを蒸発させる蒸発器10と、蒸発により残存した物質r1,r2を分析する分析器と、を備えるクロロシラン類の分析装置において、蒸発器10は、ホットプレート11と、ホットプレート11の上に着脱可能に備えられ、このホットプレート11とともに加熱室13を構成するカバー12と、加熱室13内に配置され、クロロシラン類Lを収容可能な上方を開放状態とした試料容器14と、を備え、カバー12には、13加熱室内に不活性ガスや窒素ガスを供給するための供給口12aおよび加熱室13内の気体を排出するための排出口12bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロシラン類の分析装置および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のクロロシラン類は、多結晶シリコンの原料やシリコンウエハのエピタキシャル膜等の半導体用、光ファイバーの原材料等に用いられており、Fe,Ni,Cr,Al,Cu,Zn等の不純物濃度が極めて低いことが要求されている。これらの品質を評価するためには、評価試料作成段階における不純物の影響や分析段階における不純物の影響などの外因を極力小さくして分析することが求められている。
【0003】
従来、クロロシラン類を分析する技術としては、特許文献1に記載のように、クロロシラン液をアルゴンガスで希釈して高周波誘導結合プラズマ発光分析法を利用するものや、特許文献2に記載のように、ガス状のシランガスから水分を除去し、所定の装置を経て放電型光イオン化検出器に導入するもの等がある。
【0004】
しかしながら、これら特許文献に記載の技術では、濃縮工程を経ずにクロロシラン類を直接測定しているので、試料中の主成分が金属不純物の検出を妨害することが多々あるため、高い分析感度が得られない。より高感度の分析を行うために、例えば特許文献3記載のフォトレジスト現像液の分析技術では、試料を試料容器に入れて蒸発させることにより主成分を除去するとともに不純物を濃縮して、誘導結合プラズマ質量分析法により分析することが行われている。ところが、この方法では、加熱源としてマイクロ波を使用しているため、装置構成が複雑になる。さらに、試料ごとに不活性ガス配管を設けているため、一度に多くの試料を測定する場合等で不都合を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−13834号公報
【特許文献2】特開平3−172759号公報
【特許文献3】特開2002−5799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような分析装置において、クロロシラン類は空気に触れると塩酸系の腐食性ガスを発生するため、装置が腐食されることによる分析精度の低下および故障の原因となる等の問題がある。また、濃縮工程において蒸発したクロロシラン類によってシリカ(SiO)が発生すると、このシリカが分析装置の配管を閉塞させるなどして故障の原因となる。さらに、蒸発容器に付着したシリカが再溶解すると、そのシリコン成分が金属不純物の検出を妨害してしまうため、分析感度の低下を招くという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、簡便な加熱手段および不活性ガス供給手段を用いて、安定して汚染等の少ない分析を行うことができるクロロシラン類の分析装置および分析方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明は、クロロシラン類を蒸発させる蒸発器と、蒸発により残存した物質を分析する分析器と、を備えるクロロシラン類の分析装置において、前記蒸発器は、ホットプレートと、該ホットプレートの上に着脱可能に備えられ、このホットプレートとともに加熱室を構成するカバーと、前記加熱室内に配置され、クロロシラン類を収容可能な上方を開放状態とした試料容器と、を備え、前記カバーには、前記加熱室内に不活性ガスを供給するための供給口および前記加熱室内の気体を排出するための排出口
が設けられている。
【0009】
また、本発明のクロロシラン類の分析方法は、クロロシラン類を蒸発させる蒸発工程と、蒸発により残存した物質を分析する分析工程とを有し、前記蒸発工程は、試料容器の内部にクロロシラン類を収容するとともに、その試料容器を加熱室内に配置し、前記加熱室内に不活性ガスを流通させながら前記試料容器を加熱する。
【0010】
この発明によれば、加熱室内で不活性ガスを供給・排気しながらクロロシラン類を蒸発させるので、蒸発工程における試料付近での腐食性ガスやSiOの発生を抑え、装置の分析精度の低下や故障、試料の汚染を防ぐことができる。
【0011】
前記クロロシラン類の分析装置において、前記ホットプレートの加熱面、前記カバー内面および前記試料容器がフッ素系樹脂により形成されていることが好ましい。この場合、クロロシラン類によって腐食されないフッ素系樹脂によりホットプレートの加熱面、カバー内面および試料容器が形成されているので、加熱室内の腐食を防止できる。したがって、加熱室内の腐食等による試料の汚染を防止できる。
【0012】
前記クロロシラン類の分析装置において、前記供給口および前記排出口が、前記試料容器の上端よりも上方に形成されていることが好ましい。
この場合、クロロシランの蒸発時に気化した試料容器内のクロロシラン類を加熱室内から効率よく排出させることができるので、装置や試料の汚染をより効果的に防止することができる。
【0013】
前記クロロシラン類の分析方法において、前記加熱室内にクロロシラン類を収容した前記試料容器を複数個配置するとともに、クロロシラン類を収容しない空の参照容器を複数個設置して前記蒸発工程を行うことが好ましい。
この場合、蒸発工程の後に空の参照容器内に残存する物質は、加熱室内の環境によって生じたと考えられる。したがって、参照容器内の物質から環境による影響を考慮して、より正確にクロロシラン類を分析することができる。
また、各容器内の残存物質を分析した結果、あらかじめ設定された管理値と比較して各参照容器間の残存物質のばらつきが小さい場合の試料の測定結果を採用すれば、測定環境の影響が小さい分析結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のクロロシラン類の分析装置および分析方法によれば、クロロシラン類を蒸発させる工程において装置や試料の汚染を防ぐことができるので、試料作成段階における不純物の影響を受けない分析を確実かつ安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のクロロシラン類の分析装置の第1実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1に示す分析装置のA−A線に沿う横断面図である。
【図3】図1に示す分析装置を用いた分析方法における試料液の分出方法を説明する概略図である。
【図4】図1に示す分析装置を用いた分析方法におけるホットプレート上への試料容器および参照容器の設置状態を示す概略斜視図である。
【図5】図1に示す分析装置を用いた分析方法における蒸発工程時の状態を示す概略斜視図である。
【図6】図1に示す分析装置を用いた分析方法における試料の作成手順を示す概略図である。
【図7】図1に示す分析装置を用いた分析方法において試料を分析器に導入する手順を示す概略図である。
【図8】本発明の分析装置に用いられる蒸発器の変形例を示す内部を透視して示した概略斜視図である。
【図9】本発明の分析装置の第2実施形態を示す図1同様の概略縦断面図である。
【図10】図9に示す分析装置のB−B線に沿う横断面図である。
【図11】本発明の分析装置の第3実施形態を示す図1同様の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るクロロシラン類の分析装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に、本発明の第1実施形態のクロロシラン類の分析装置1を示す。この分析装置1は、ドラフトチャンバーD内に蒸発器10が設定されている。この蒸発器10は、ホットプレート11と、ホットプレート11の上部に着脱可能なカバー12とを備えている。これらホットプレート11およびカバー12によって、加熱室13が構成されている。さらに蒸発器10は、加熱室13内のホットプレート11上に配置される複数個(本実施形態ではそれぞれ3個)の試料容器14および参照容器15を備えている。この場合、ホットプレート11の加熱面(上面)はフッ素系樹脂によって被覆されており、また、カバー12、試料容器14および参照容器15は、フッ素系樹脂により形成されている。なお、試料容器14と参照容器15とは、同一素材からなる同一形状のビーカーであり、上方が開放されている。
【0017】
ホットプレート11は、上面全体が高温となるヒータであり、試料容器14および参照容器15を直接加熱することができる。カバー12は、下面が開放された箱状蓋であり、その側面には、加熱室13内に不活性ガスや窒素ガスが供給されるための1個の供給口12aと、加熱室13内の気体を加熱室13の外部に排出するための複数個の排出口12bとが開口している。供給口12aは、加熱室13に収容された試料容器14および参照容器15の上端よりも上方に距離H1(>0)離れて設けられている。同様に、排出口12bは、加熱室13に収容された試料容器14および参照容器15の上端よりも上方に距離H2(>0)離れて設けられている。
【0018】
これら供給口12aと排出口12bとは、対向状態の側壁12c,12dにそれぞれ配置されており、各排出口12bは、その側壁12dに同じ高さ位置で水平方向に一列に並んで配置されている。例えば、カバー12の全体高さが100mmであり、試料容器14および参照容器15の高さがいずれも60mmで、供給口12aの下縁までの高さおよび排出口12bの下縁までの高さがいずれも70mmとされ、したがって、H1=10mm、H2=10mmとされる。また、排出口12bは、ドラフトチャンバーDの後部に複数形成されているダクト孔Daと対向するように配置される。
【0019】
加熱室13には、供給口12aを通じてドラフトチャンバーDの外部から本実施形態では窒素ガスが配管25によって導かれ供給される。加熱室13内に供給された窒素ガスは、加熱室13内に放出されると、気流を作り、試料容器14から蒸発したクロロシラン類の蒸気と共に一定方向の流れによって排出口12bに向かう。そして、加熱室13からの排気は、排出口12bを通じてドラフトチャンバーDのダクト孔Daに流れ込み、このダクト孔Daに接続されているダクト配管26を介して、外部に設けられた除害設備(スクラバー、図示せず)へと送られる。このダクト配管26は、図2に示すようにドラフトチャンバーDの各ダクト孔Daのすべての外側開口を一体的に囲むヘッダカバー部26aと、該ヘッダカバー部26aの幅方向中央部から除害設備まで延びる配管部26bとから構成されている。
なお、ドラフトチャンバーDの前部には、その前部開口部Dbを開閉可能な扉Dcが設けられている。
【0020】
このように構成された本発明の分析装置1によれば、ホットプレート11の加熱面及びカバー12がフッ素系樹脂により形成されているので、クロロシラン類の蒸気によって腐食するのが防止され、腐食物によって試料が汚染されることを防止できる。また、密閉された加熱室13内が窒素ガスで満たされているので、クロロシラン類が空気に触れることにより空気中の水分と次式のように反応して腐食性ガスやSiOが生成されることを阻止できる。
SiHCl+2HO → SiO+H+3HCl
SiCl+2HO → SiO+4HCl
したがって、試料の汚染を防ぎ、安定かつ高純度な分析が可能となる。
【0021】
次に、以上のように構成された分析装置1を用いた本発明のクロロシラン類の分析方法について、図3から図7を参照して説明する。この分析方法は、クロロシラン類を蒸発させる蒸発工程と、蒸発により残存した物質を分析する分析工程とを含む。
【0022】
蒸発工程では、まず、図3に示すようにクロロシラン試料液Lを石英ボトル16からサンプリングカップ17に取り出し、このサンプリングカップ17からクロロシラン試料液Lを3個の試料容器14に同量ずつ(本実施形態では40ml)量り分ける。なお、参照容器15にはなにも入れず、空のままにしておく。
【0023】
次に、図4に示すように、ドラフトチャンバーD内に配置されたホットプレート11の上面に各試料容器14および各参照容器15を配置し、これらを覆うようにカバー12を配置する。すなわち、ホットプレート11およびカバー12によって構成された加熱室13内に、試料容器14および参照容器15を配置する(図5)。
そして、供給口12aを通じて窒素ガスを加熱室13内に供給しながら、ホットプレート11による加熱を行い、試料容器14に収容されたクロロシラン試料液Lを蒸発させる。このクロロシラン試料液Lの蒸気は、窒素ガスと共に排出口12bから排出される。この蒸発工程によって、クロロシラン試料液L中の不純物が残存物r1として各試料容器14内に残ると同時に、クロロシラン試料液を入れなかった参照容器15内にも環境の影響によって残存物r2が生じる(図6)。この残存物は、蒸発工程中に加熱室13内で生じた物質や気体中の物質が固形化したものであり、各試料容器14にも同様に生じていると考えられる。
【0024】
分析工程では、このようにして得られた残存物r1,r2を分析する。まず、図6に示すように、各試料容器14および各参照容器15に、硝酸(HNO):フッ化水素(HF)=1:1の溶解液をピペット21を用いて数滴入れて攪拌し残存物r1,r2を溶解し、さらにこれにマイクロピペット22で純水(希釈液)10mlを供給し、希釈して分析用試料Sとする。各試料容器14および参照容器15から生成した各分析用試料Sを、図7に示すように、サンプルボトルホルダー18に収容された複数のサンプルボトル19にそれぞれ入れ、誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて組成を分析する。
【0025】
ここで、各分析用試料Sを分析した結果に関する判断について説明する。
まず、参照容器15の残存物r2の平均値および参照容器15間のばらつきを確認する。参照容器15にはクロロシラン試料液Lを入れずに蒸発工程を行ったので、残存物r2は蒸発工程における環境による生成物と考えられる。
残存物r2間のばらつき(具体的には標準偏差)があらかじめ定められた管理値よりも小さい場合には、蒸発環境や測定環境に問題がなかったと判断できる。
次に、各試料容器14の残存物r1の組成を測定する。残存物r1は、各容器に入れられたクロロシラン試料液Lに含まれていた不純物に残存物r2を含むものと考えられる。したがって、試料中の不純物は、残存物r1の平均値と残存物r2の平均値との差と考えられる。
【0026】
各参照容器15の残存物r2間のばらつき(標準偏差)が予め定められた管理値よりも大きい場合、蒸発環境や測定環境に何らかの問題があったことが考えられる。このような場合には、分析結果の信頼性が低いと判断できるので、この分析結果を採用するべきではなく、そのようなばらつきを生じさせる要因、例えば、カバー12の内面やホットプレート面の汚れや、試料容器14又は参照容器15の汚れやその要因を除外する処置を行う必要があることがわかる。
【0027】
このように、本発明の分析方法によれば、クロロシラン試料液Lを入れた試料容器14と空の参照容器15とを同時に蒸発工程にかけ、蒸発工程後のそれらの残存物を比較する分析工程を行うことにより、環境からの汚染の要因を排除でき、より信頼性の高い分析結果を得ることができる。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、前記実施形態においては窒素ガスの供給口12aを単純な丸孔としたが、図8に示す蒸発器30のように、複数の供給口20aが水平方向に並ぶように設けられたノズル20を用いることもできる。この場合には、加熱室13内により均一に窒素ガスを供給できるので、加熱室13における窒素ガス流の滞留域を少なくして、クロロシラン蒸気による腐食性ガスやSiOの発生をより効果的に防止し、試料の汚染をより確実に防止することができる。
【0029】
また、前記実施形態では、カバー12の排出口12bとドラフトチャンバーDのダクト孔Daとを対向するように配置しただけであったが、図9及び図10に示す第2実施形態の構造としてもよい。この第2実施形態の分析装置2は、カバー12の排出口12bからドラフトチャンバーDのダクト孔Daまでの間を連結するように、これら排出口12b及びダクト孔Daに連通する複数の孔35,36を有する箱体37が取り付けられている。これは、加熱室13内で蒸発したクロロシラン類は供給口12から供給される窒素ガスの気流と共に排出口12bから排出されるが、このときに箱体37内を通ることにより、クロロシラン類を含む窒素ガスがドラフトチャンバーD内に拡散することを防止している。なお、加熱室13の外部のドラフトチャンバーD内の空気も図10に矢印で示すように同時に吸引されてダクト孔Daからダクト配管26に流動され、その際に、ドラフトチャンバーD内の空気中の水分が多いと排出口12bから排出される窒素ガスに含まれるクロロシラン類との反応によりSiOが生じる場合があるが、加熱室13内は窒素ガスが吹き込まれているので大気圧に対して陽圧となっており、ドラフトチャンバーD内は吸引されることから陰圧となっているため、ダクト孔Da周辺に発生するSiOが加熱室13内に入ってくることはない。この場合、箱体37は、その幅方向の両端部に、カバー12の排出口12b及びドラフトチャンバーDのダクト孔Da内に嵌合される筒状部39、40が配設されており、これら筒状部39、40を排出口12b及びダクト孔Daの内側にそれぞれ嵌合することにより、カバー12とドラフトチャンバーDとの間に固定されている。
【0030】
また、図9及び図10では、箱体37の一部(筒状部39、40)がカバー12の排出口12b及びドラフトチャンバーDのダクト孔Daに嵌合して固定されている例を示したが、図11に示す第3実施形態の分析装置3のように、カバー12の上壁に突出ピン41を立設しておき、箱体37に、その突出ピン41に係合するフック42を設けた構成とし、箱体37をカバー12に着脱可能に吊り下げるようにしてもよく、このような構成とすることにより、箱体37内にSiOが捕集された際に回収しやすくなる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。また、試料容器14は1個でもよいが、前記実施形態のように複数備えることにより、より正確な分析が可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1,2,3 分析装置
10,30 蒸発器
11 ホットプレート
12 カバー
12a 供給口
12b 排出口
12c,12d 側壁
13 加熱室
14 試料容器
15 参照容器
16 石英ボトル
17 サンプリングカップ
18 サンプルボトルホルダー
19 サンプルボトル
20 ノズル
20a 供給口
21 ピペット
22 マイクロピペット
25 配管
26 ダクト配管
26a ヘッダカバー部
26b 配管部
35,36 孔
37 箱体
39、40 筒状部
41 突出ピン
42 フック
D ドラフトチャンバー
Da ダクト孔
Db 前部開口部
Dc 扉
L クロロシラン試料液
r1,r2 残存物
S 分析用試料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロシラン類を蒸発させる蒸発器と、蒸発により残存した物質を分析する分析器と、を備えるクロロシラン類の分析装置において、
前記蒸発器は、ホットプレートと、該ホットプレートの上に着脱可能に備えられ、このホットプレートとともに加熱室を構成するカバーと、前記加熱室内に配置され、クロロシラン類を収容可能な上方を開放状態とした試料容器と、を備え、
前記カバーには、前記加熱室内に不活性ガス又は窒素ガスを供給するための供給口および前記加熱室内の気体を排出するための排出口が設けられている
ことを特徴とするクロロシラン類の分析装置。
【請求項2】
前記ホットプレートの加熱面、前記カバー内面および前記試料容器がフッ素系樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクロロシラン類の分析装置。
【請求項3】
前記供給口および前記排出口が、前記試料容器の上端よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のクロロシラン類の分析装置。
【請求項4】
クロロシラン類を蒸発させる蒸発工程と、蒸発により残存した物質を分析する分析工程とを有し、
前記蒸発工程は、試料容器の内部にクロロシラン類を収容するとともに、その試料容器を加熱室内に配置し、前記加熱室内に不活性ガスを流通させながら前記試料容器を加熱することを特徴とするクロロシラン類の分析方法。
【請求項5】
請求項4に記載のクロロシラン類の分析方法であって、前記蒸発工程において、前記加熱室内に、クロロシラン類を収容しない空の参照容器を複数個配置しておくことを特徴とするクロロシラン類の分析方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−66251(P2010−66251A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181057(P2009−181057)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】