説明

グラウンドの排水装置

【課題】 グラウンドの水を排水するための排水機能を備え、グラウンド表層を流れ、流出する土砂・ゴムチップ他グランドの充填物や芝刈り残滓をろ過し、外部に流出するのを防ぐことが可能なグラウンドの排水装置を提供する。
【解決手段】 人工芝グラウンド1の周囲の一部又は全部に側溝2を設け、該側溝の下流側終端部が主排水溝100に接続されている基本構成において、側溝の少なくともグラウンド1の境界部より下流側位置を含めた単又は複数適所に、側溝内下部を塞ぐように堰部3を設けるとともに、側溝内底部に堰部を水密状態で貫通するように透水性管4を敷設し、更に透水性管の上流側端部を閉塞し、グラウンド表層から側溝内に流れ込んだ粒状物Aを透水性管でろ過してグラウンド施設からの流出を防止するとともに、雨水のみを透水性管を通じて主排水溝に排水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラウンドの排水装置に係わり、更に詳しくはクレーコート、クレーグラウンド又は人工芝グラウンド、あるいは天然芝グラウンド等のグラウンドにおいて、粒状物や芝刈り残滓の流出を防止するろ過機能を備えた排水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、野球場を始め、サッカー場、ラグビー場、アメリカンフットボール場、ホッケー場として、ランニングコストが低いこと、天候にあまり左右されずに使用できること等の利点のため、人工芝グラウンドが急激に普及してきた。このような目的に使用される人工芝は、熱可塑性樹脂製基布に合成樹脂製の芝葉を植設するとともに、基布の裏面に架橋した合成樹脂材料によって裏打ち層を形成し、芝葉の間に砂等の無機系粒状物または有機系粒状物からなる硬質粒状物とゴムチップ弾性粒状物を充填してクッション性を高めた構造となっている。
【0003】
これらの従来の人工芝グランドでは、雨水を透水性の人工芝の基材シートを通して下地弾性層から路盤層、路床へと浸透させて排水する構造であるが、浸透し切れない過剰な水はグラウンド表層を流れて側溝から排水される。この際に、人工芝の芝葉の間に充填した砂やゴムチップ等の粒状物が、水流に乗ってグラウンドから流れ出し、側溝を通して外部に流出することになる。同様に、クレーコートやクレーグラウンドにおいても砂等の粒状物が流出する。一方、天然芝グラウンドにおいても、頻繁に成長した芝葉を芝刈り機で刈り込む作業を行う必要があり、刈り取った芝葉は吸引して回収するが、完全に除去することは困難であり、その芝刈り残滓が雨の日に流出するのである。
【0004】
このように、グラウンドから流出した粒状物や芝刈り残滓が、側溝を通して外部に流出すると、グラウンド外の排水溝や排水管に溜まって本来の排水機能を損なわせ、あるいは下水や雨水処理場の負担の増大を来たし、社会問題あるいは環境問題を引き起こす可能性がある。
【0005】
そこで、人工芝グランドにおいて砂等の粒状物の流出を防止する構造が提案されている。特許文献1には、安定基盤の上に砂入りの第1の人工芝生を敷設し、前記安定基盤の端部には側溝が形成され、この側溝に隣接する安定基盤の端部上には前記第1の人工芝生を存在させず、その部分に透水性のブロックを敷き、このブロックの上に前記第1の人工芝生の基布に植毛されたパイルの高さより高さの低いパイルを基布に植毛してなる第2の人工芝生が敷設された砂入り人工芝生の端部砂止め構造が開示されている。また、特許文献2には、人工芝が敷設された区域において、その端辺部に敷設された人工芝が、当該端辺部より内側の区域に敷設された人工芝より、パイル密度が1.1倍以上となされ、パイル長さが長く、パイルに捲縮加工がなされており、ヤーンの幅が細くなされるとともに、前記人工芝が敷設されている区域の外側に設けられている排水溝部端部から間隔を置いて、人工芝に充填材が充填されている人工芝が開示されている。
【0006】
一方、特許文献3には、人工芝生に砂が混入された砂入り人工芝コート又はグランドの外周囲に、U字溝等の排水溝が設置されて成る人工芝コート又はグランドにおいて、前記砂入り人工芝コート又はグランドの人工芝生の高さより高い草丈の人工芝生により形成された砂流出防止用人工芝が、前記排水溝の蓋体の上面を含み、前記排水溝と砂入り人工芝コート又はグランドとの間に敷設されている砂入り人工芝等のコート又はグランドにおける砂流出防止構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】 特開2000−160505号公報
【特許文献2】 特開2006−207337号公報
【特許文献3】 特開2001−323407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1〜3に記載の構造は、何れも側溝に流入する前に砂等を阻止するものであり、一定の効果は期待できるものの、特許文献1,2の構造は風雨が強い場合には流出阻止領域を越えて側溝に粒状物等が流出する恐れがあり、また特許文献3の構造は側溝が完全に隠れているので粒状物等の流出防止効果に優れているものの、側溝内のメンテナンスに支障を来たすことになり、何れも一長一短がある。また、クレーコート、クレーグラウンドや天然芝グラウンドに適用することは想定していない。
【0008】
そこで、前述の課題を解決するために、本発明は、グラウンドの水を排水するための排水機能を備え、グラウンド表層を流れ、流出する土砂・ゴムチップ他グランドの充填物や芝刈り残滓をろ過し、外部に流出するのを防ぐことが可能なグラウンドの排水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、グラウンドの周囲の一部又は全部に側溝を設け、該側溝の下流側終端部が主排水溝に接続されているグラウンドの排水装置において、前記側溝の少なくともグラウンドの境界部より下流側位置を含めた単又は複数適所に、前記側溝内下部を塞ぐように堰部を設けるとともに、前記側溝内底部に前記堰部を水密状態で貫通するように透水性管を敷設し、更に前記透水性管の上流側端部を閉塞し、グラウンド表層から側溝内に流れ込んだ粒状物を前記透水性管でろ過してグラウンド施設からの流出を防止するとともに、雨水のみを前記透水性管を通じて主排水溝に排水することを特徴とするグラウンドの排水装置を構成した(請求項1)。
【0010】
ここで、前記透水性管の上流側端部の近傍を、支持手段で側溝内部に該側溝内下部を塞がないように固定してなることが好ましい(請求項2)。この場合、前記支持手段が、前記透水性管を上下から挟み込んで固定する二つ割り構造の連結部材に、前記側溝の内壁にボルト止めして保持する固定部材を一体的又は着脱可能に設けてなることがより好ましい(請求項3)。
【0011】
また、前記側溝の下流側終端部と主排水溝の接続部に、最下流側の前記堰部を設けてなることが好ましい(請求項4)。
【0012】
そして、前記透水性管を上下から挟み込んで固定する二つ割り構造の連結部材に、前記側溝の内部を塞ぐための堰板を一体的又は着脱可能に設け、前記堰部とすることも好ましい(請求項5)。
【0013】
また、前記透水性管が透水性コルゲート管であると好ましい(請求項6)。
【0014】
そして、前記グラウンドが、砂やゴムチップ等の粒状物が充填された人工芝グラウンドであるとより効果が顕著である(請求項7)。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明のグラウンドの排水装置によれば、グラウンドの周囲の一部又は全部に側溝を設け、該側溝の下流側終端部が主排水溝に接続されているグラウンドの排水装置において、前記側溝の少なくともグラウンドの境界部より下流側位置を含めた単又は複数適所に、前記側溝内下部を塞ぐように堰部を設けるとともに、前記側溝内底部に前記堰部を水密状態で貫通するように透水性管を敷設し、更に前記透水性管の上流側端部を閉塞したので、先ず側溝内の底部に設けた堰部でグラウンドから側溝に流入した砂やゴムチップ等の粒状物を含む雨水が外部へそのまま流出することを防止することができ、それから側溝内に溜まった粒状物を含む雨水は、側溝底部に堰部を貫通するように敷設した透水性管でろ過されて、雨水のみを透水性管を通してグラウンド施設外へ排水することができるのである。
【0016】
ここで、前記透水性管の直径と長さは、排水能力を考慮して決定すれば良く、側溝の全長に渡って透水性管を設ける必要がなく、側溝の下流側の一部のみに敷設すれば足りるので、通常の側溝に必要最小限のコストでろ過排水機能を付加することができる。また、通常、側溝にはグレーチング蓋等の蓋体が設けられているが、この蓋体を取り除いて、側溝内に過剰に堆積した粒状物は、掃除機のような吸引機器で吸引して容易に除去することができ、それにより簡単にろ過機能を回復させることができ、そして側溝内から除去した粒状物はグラウンドに散布して戻すことができる。
【0017】
そして、前記透水性管の上流側端部の近傍を、支持手段で側溝内部に該側溝内下部を塞がないように固定することにより、側溝内の水流や水圧によって透水性管の位置がずれたり、縮んだりすることがなく、設計どおりの排水能力を確保できるのである。この場合、透水性管の上流側端部の近傍を固定する支持手段として、前記透水性管を上下から挟み込んで固定する二つ割り構造の連結部材に、前記側溝の内壁にボルト止めして保持する固定部材を一体的又は着脱可能に設けた構造を採用することにより、施工性に優れ、また確実に透水性管を固定することができる。
【0018】
前記グラウンドが、砂やゴムチップ等の粒状物が充填された人工芝グラウンドであると、効果は顕著である。また、砂や土が押し固められたクレーコート、クレーグラウンドでも、砂や土のグラウンド外への流出を防止することができ、一定の効果がある。更に、天然芝グラウンドにおいても、芝刈り残滓のグラウンド外への流出を防止することができるので効果がある。
【0019】
本発明のグラウンドの排水装置は、側溝内に透水性コルゲート管を敷設し、その透水性コルゲート管の下流側端部を堰部に水密状態で貫通させ、該透水性コルゲート管の上流側端部を閉塞するとともに、上流側端部の近傍を接続用の上下二つ割り構造の連結部材で保持し且つ該連結部材に一体的又は着脱可能に設けた固定部材を側溝内壁にボルト止めするだけの簡単な構造であるので、施工が容易であり、低コストで優れたろ過機能を備えた排水施設にすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るグラウンドの排水装置を示し、側溝を横断する面の断面図である。
【図2】人工芝グラウンドの一例を示す部分断面図である。
【図3】本発明に係るグラウンドの排水装置を示す側溝を縦断する面の断面図である。
【図4】同じく部分平面図である。
【図5】透水性管を保持する構造を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るグラウンドの排水装置の他の実施形態を示し、側溝を縦断する面の断面図である。
【図7】同じく部分平面図である。
【図8】連結部材と堰板の関係を示す分解斜視図である。
【図9】堰板を側溝側壁にボルト止めにて取付ける構造を示す部分断面図である。
【図10】堰板をU字ブロックの接続部に形成される隙間に係合させて取付ける構造を示す部分断面図である。
【図11】メッシュ状の透水面を有する透水性コルゲート管の部分側面図である。
【図12】多数の小孔を有する透水性コルゲート管の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1〜図5は本発明のグラウンドの排水装置を示し、図中符号1は人工芝グラウンド、2は側溝、3は堰部、4は透水性管、5は閉塞部材、6は支持手段、7は蓋体をそれぞれ示している。また、図中符号100は主排水溝、101は主排水溝の側壁を示している。本実施形態では、人工芝グラウンド1に排水装置を設ける場合を例示するが、一般のクレーコート、クレーグラウンドや天然芝グラウンドにも適用することが可能であることは明らかである。また、前記主排水溝100は暗渠であっても構わない。
【0022】
本発明のグラウンドの排水装置は、人工芝グラウンド1の周囲の一部又は全部に側溝2を設け、該側溝2の下流側終端部が主排水溝100に接続されている基本構成において、前記側溝2の少なくともグラウンド1の境界部より下流側位置を含めた単又は複数適所に、前記側溝2内下部を塞ぐように堰部3を設けるとともに、前記側溝2内底部に前記堰部3を水密状態で貫通するように透水性管4を敷設し、更に前記透水性管4の上流側端部を閉塞し、グラウンド表層から側溝2内に流れ込んだ粒状物を前記透水性管4でろ過してグラウンド施設からの流出を防止するとともに、雨水のみを前記透水性管4を通じて主排水溝100に排水する構造である。また、前記側溝2の上端は金属製のグレーチング蓋のような透水性の蓋体7で覆われている。本発明において、グラウンド1の境界部とは、該グラウンド1に降った雨水が直接側溝2へ流れ込む最も下流側の位置を示している。
【0023】
前記人工芝グラウンド1は、地盤8の上に下地層9を形成し、その上に砂やゴムチップ等の粒状物Aが充填された人工芝10を敷設した構造である。本発明では、人工芝グラウンド1の構造に対する限定は不要であるが、前記粒状物Aに比重が小さく流出し易いゴムチップを含む構造であると効果は顕著になる。
【0024】
一般的な排水装置は、図3及び図4に示すように、前記側溝2の下流側終端部が主排水溝100の側壁101に接続されている。本実施形態では、前記側溝2の下流側終端部と主排水溝100の接続部に、最下流側の前記堰部3を設けている。この堰部3は、前記主排水溝100の側壁101に前記側溝2に連通するように設けた開口部を、前記透水性管4の端部を通過させて主排水溝100内に臨ませた状態で、コンクリートで埋めてコンクリート壁として構築する。あるいは、前記堰部3は、前記主排水溝100の側壁101に開けた挿通孔102に前記透水性管4の端部を挿通し、隙間をシーリング材103で塞いで構築する。
【0025】
そして、前記透水性管4の上流側端部を閉塞部材5で閉塞するとともに、上流側端部の近傍を、支持手段6で側溝2内部に該側溝2内下部を塞がないように固定する。本実施形態では、前記支持手段6は、前記透水性管4を上下から挟み込んで固定する二つ割り構造の連結部材11に、前記側溝2の内壁にボルト止めして保持する固定部材12を一体的又は着脱可能に設けた構造とした。
【0026】
具体的には、前記連結部材11は、上下に二つ割りした半円筒状の胴部13の両端に連結片14,14を屈曲形成した一対の金属部材11A,11Bからなり、この一対の金属部材11A,11Bを、前記透水性管4の上流側端部の近傍に配置し、該透水性管4と胴部13の間に図示しないシール材若しくは緩衝材を介在させて上下から挟み込み、互いの連結片14,14を上下からボルト、ナット15で締め付けて連結するのである。また、前記固定部材12は、前記連結部材11の一方の金属部材11Aの連結片14,14に一体的又は着脱可能に設けたL字形部材である。前記固定部材12の水平片16は、前記連結片14に溶接し、あるいは前記ボルト、ナット15を用いて締結する。また、前記固定部材12の垂直片17は、前記側溝2の側壁にコンクリート用アンカーボルト18で固定する。
【0027】
前記透水性管4として、図9又は図10に示すような透水性コルゲート管を用いる。また、前記堰部3を複数箇所に設ける場合は、最下流側以外の堰部3は、後述のようにステンレス製の堰板で構成する。尚、最下流側の堰部3をグラウンドの境界部より下流側位置で、前記主排水溝100の側壁101と一体として設けない場合には、この最下流側の堰部3もステンレス製の堰板で構成することが施工上、好ましい。勿論、前記堰部3をコンクリート壁を打設して形成しても良い。
【0028】
前記側溝2は、図1及び図3に示すように、前記人工芝グラウンド1の周囲の一部又は全部に、地面を掘り下げて形成した溝の底部にクラッシャーラン19を敷き打圧した上に、複数の既製U字ブロック20,…を設置してそれらを列設するとともに、所望の深さを確保するためにU字ブロック20の両側にコンクリートを打設し上方へ延びた側壁部21を形成して構築した。ここで、前記U字ブロック20の側壁と前記側壁部21の内面は面一になっている。また、前記側溝2は、排水方向に沿って若干の傾斜を設けている。
【0029】
本実施形態の前記人工芝グラウンド1の構造を図1及び図2に基づいて簡単に説明する。先ず、既存路床若しくは既存路盤表層を鋤取って不陸を整正して転圧した地盤8の表面に、高浸透性カチオン系アスファルト乳剤を散布して不透水性層22を形成する。そして、不透水性層22の上に、下地層9を設け、更に人工芝10を敷設するのであるが、前記下地層9は、クラッシャーランを80〜200mmの厚さに敷設して転圧して形成した排水層23と、該排水層23の上に厚さ30〜70mmで透水係数が10−2cm/sec以上の開粒度のアスファルトコンクリート舗装を施して形成した排水性アスコン層24とからなる。
【0030】
前記側溝2に隣接する部分の地盤8は、やや掘り下げ、単粒クラッシャーランを敷設して排水層23としている。この排水層23の内部には、面状ドレインあるいは面状排水材からなる板状暗渠管を適宜敷設し、前記側溝2の方向へ浸透した雨水を排水する。この場合、前記U字ブロック20の上端の高さを前記不透水性層22のレベルに略一致させ、前記側壁部21の上部に前記排水層23に連続する排水口(図示せず)をコンクリート打設時に設けることが好ましい。
【0031】
本実施形態では、前記人工芝10は、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールのように、倒れこんだり、スライディングしたりする激しいスポーツに供用するため、ゴムチップ入りのロングパイル人工芝を例示している。このような人工芝10は、透水性の基材シート25に芝葉26,…を植生し、芝葉26の間に、ゴムチップと粒度調整砂を混合した充填材27を充填する。例えば、前記芝葉26の長さが65mmで、充填材27の厚さが約40mmである。ここで、前記人工芝10の衝撃吸収率が60%〜80%となるように施工することが好ましい。前記人工芝10が十分な衝撃吸収性を備えてない場合には、前記排水性アスコン層24の上にアンダーパット層を形成し、その上に人工芝10を敷設する。
【0032】
前記透水性管4は、例えば5mm等の一定長さで提供されているので、それを前記連結部材11で連結して使用する。つまり、前記連結部材11の一対の金属部材11A,11Bを透水性管4,4の接合部に跨って配置し、該透水性管4と胴部13の間にシール材を介在させて上下から挟み込み、互いの連結片14,14を上下からボルト、ナット15で締め付けて連結するのである。ここで、複数の前記透水性管4,…を連結して用いる場合、中間部が水流や水圧で蛇行したり、伸縮すると好ましくないので、前記透水性管4,4を連結するために用いた前記連結部材11を、前記固定部材12を用いて側溝2の側壁に固定することも好ましい。
【0033】
このように構成した本発明の排水装置の機能を、図1及び図3に基づいて説明する。前記側溝2の内部は少なくともグラウンド1の境界部より下流側位置で、前記堰部3で塞がれている。そして、前記堰部3を透水性管4の下流側端部が貫通するように側溝2の底部に敷設されている。従って、前記側溝2の内部に人工芝グラウンド1の砂やゴムチップ等の粒状物Aが雨水とともに流れ込み、側溝2を下流側に流れてきたとしても、最下流側にある前記堰部3で止められ、また透水性管4の上流側端部は閉塞されているので、該透水性管4でろ過されて雨水だけ該透水性管4の内部を通って主排水溝100へ排水されるのである。前記粒状物Aは、側溝2の底部に堆積し、雨水が排水されて乾燥すると、掃除機のような吸引機器で吸い出すことができる。そして、前記側溝2から除去した粒状物Aを人工芝10の上面から散布して再利用することが可能である。
【0034】
また、複数箇所に前記堰部3,…を設けた場合には、堰部3,3の間の側溝2に流れ込んだ粒状物Aは下流側の堰部3を通過できず、その位置に堆積する。この構成は、大量に粒状物Aが流入する場合には有利である。つまり、大量に側溝2に流入した粒状物Aで、前記透水性管4が埋もれてしまい、ろ過排水機能を果たせなくなることを防止できるからである。尚、側溝2への予期しない雨水の大量流入が発生した場合にも排水機能を持たせるために、前記堰部3を側溝2の全断面にわたって設けるのではなく、側溝2の下部のみに限定し、大量の雨水を堰部3の上からオーバーフローさせるようにすることも好ましい。
【0035】
また、経年使用により、前記透水性管4が目詰まりを起こしたときには、前述のように、堆積した粒状物Aを除去した後、該透水性管4の外部から高圧水流によって粒状物Aを洗い流し、あるいは透水性管4の内部に多量の水を供給して、水を外側へ噴出させて粒状物Aを洗い流す、つまり逆洗することによってろ過機能を回復させることができる。
【0036】
次に、図1、図6、図7及び図8に基づいて、前記堰部3を複数箇所に設ける場合において、上流側の堰部3を構成する堰板28を説明する。前記堰板28は、ステンレスの板金で作製し、前記側溝2の内部下部を塞ぐように大きさを有している。前記堰板28には、前記透水性管4を貫通させる開口29が形成されており、前記連結部材11を構成する金属部材11A,11Bの一方の胴部13に溶接されている。また、前記堰板28の両側縁には、フランジ部30,30を直角に折曲して形成してあり、図9に示すように、前記フランジ部30,30を前記U字ブロック20の内壁にコンクリート用アンカーボルト18で固定している。図示した例では、前記U字ブロック20の溝幅は450mm、透水性管4の直径は300mmである。
【0037】
尚、本実施形態では、金属部材11Bの胴部13に堰板28を溶接して一体的に設けた構造としたが、ボルト、ナット等により胴部13に堰板28を着脱可能に連結するようにしても良い。また、前記堰板28は、両側にフランジ部30,30を形成したが、下端にもフランジ部を形成して該堰板28の剛性をより高めることも好ましい。
【0038】
このように、前記堰板28を側溝2の下部に固定し、該堰板28の開口29を貫通して透水性管4を設けた後、前記堰板28と側溝2の内面との間及び堰板28の開口29と透水性管4の間にシーリング材を充填して止水し、該透水性管4の内部以外を通して排水されないようにする。前記透水性管4は、連結部材11と堰板28を介して側溝2の内部に固定されるので、側溝2の内部でずれることがなく、初期の設計通りのろ過機能を備えた排水装置を維持できる。
【0039】
また、図10に示すように、前記堰板28の下縁と両側縁を、前記側溝2を構成するU字ブロック20,20の接続部に形成される隙間31に係合させて保持することも可能である。しかし、前記堰板28と連結部材11を一体化した場合には、透水性管4,4の接続部の位置と、U字ブロック20,20の接続部の位置が一致することは稀であるので、透水性管4,4の接続部は、単独の前記連結部材11を用いて別途連結する必要があり、コスト高となる。
【0040】
本実施形態で使用した前記透水性管4は、図11に示すように、メッシュ状の透水面32を螺旋状の合成樹脂補強材33で保持した構造の透水性コルゲート管である。あるいは前記透水性管4は、図12に示すように、多数の小孔34,…を有する筒部35を螺旋状の合成樹脂補強材33で保持した構造の透水性コルゲート管である。ここで、前記メッシュ状の透水面32又は筒部35の小孔34は、目的とする粒状物Aや芝刈り残滓が通過しない程度の開口寸法である。
【符号の説明】
【0041】
1 人工芝グラウンド、 2 側溝、
3 堰部、 4 透水性管、
5 閉塞部材、 6 支持手段、
7 蓋体、 8 地盤、
9 下地層、 10 人工芝、
11 連結部材、 11A,11B 金属部材、
12 固定部材、 13 胴部、
14 連結片、 15 ボルト、ナット、
16 水平片、 17 垂直片、
18 アンカーボルト、 19 クラッシャーラン、
20 U字ブロック、 21 側壁部、
22 不透水性層、 23 排水層、
24 排水性アスコン層、 25 基材シート、
26 芝葉、 27 充填材、
28 堰板(堰部)、 29 開口、
30 フランジ部、 31 隙間、
32 透水面、 33 合成樹脂補強材、
34 小孔、 35 筒部、
100 主排水溝、 101 側壁、
102 挿通孔、 103 シーリング材、
A 粒状物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウンドの周囲の一部又は全部に側溝を設け、該側溝の下流側終端部が主排水溝に接続されているグラウンドの排水装置において、前記側溝の少なくともグラウンドの境界部より下流側位置を含めた単又は複数適所に、前記側溝内下部を塞ぐように堰部を設けるとともに、前記側溝内底部に前記堰部を水密状態で貫通するように透水性管を敷設し、更に前記透水性管の上流側端部を閉塞し、グラウンド表層から側溝内に流れ込んだ粒状物を前記透水性管でろ過してグラウンド施設からの流出を防止するとともに、雨水のみを前記透水性管を通じて主排水溝に排水することを特徴とするグラウンドの排水装置。
【請求項2】
前記透水性管の上流側端部の近傍を、支持手段で側溝内部に該側溝内下部を塞がないように固定してなる請求項1記載のグラウンドの排水装置。
【請求項3】
前記支持手段が、前記透水性管を上下から挟み込んで固定する二つ割り構造の連結部材に、前記側溝の内壁にボルト止めして保持する固定部材を一体的又は着脱可能に設けてなる請求項2記載のグラウンドの排水装置。
【請求項4】
前記側溝の下流側終端部と主排水溝の接続部に、最下流側の前記堰部を設けてなる請求項1〜3何れかに記載のグラウンドの排水装置。
【請求項5】
前記透水性管を上下から挟み込んで固定する二つ割り構造の連結部材に、前記側溝の内部を塞ぐための堰板を一体的又は着脱可能に設け、前記堰部とする請求項1〜4何れかに記載のグラウンドの排水装置。
【請求項6】
前記透水性管が透水性コルゲート管である請求項1〜5何れかに記載のグラウンドの排水装置。
【請求項7】
前記グラウンドが、砂やゴムチップ等の粒状物が充填された人工芝グラウンドである請求項1〜6何れかに記載のグラウンドの排水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−137354(P2011−137354A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11411(P2010−11411)
【出願日】平成22年1月1日(2010.1.1)
【出願人】(508144819)マルソル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】