説明

グラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート方法と装置及びその織り布地を使用した袋物

【課題】グラビア印刷フィルムで織り布地をラミネートすることができ、接着強度に優れ、縫製加工にも耐え得るグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート方法を提供する。
【解決手段】織り布地の織目に感圧接着剤を介して熱可塑性ポリウレタン樹脂を熱圧着する樹脂圧着工程100を設定する。該織り布地の接着された熱可塑性ポリウレタン樹脂がわに感圧接着剤を介してグラビア印刷を施した延伸フィルムを重ね合わせるフィルム重合工程200を設定する。重合した織り布地と延伸フィルムとを熱圧着する接着工程300を設定する。織り布地に圧着した延伸フィルムを冷却する冷却工程400を設定する。これらの工程で織り布地にグラビア印刷フィルムによるラミネートを施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば袋基材となる織り布地に、グラビア印刷を施した延伸フィルムをラミネートすることができるグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート方法と装置及びその織り布地を使用した袋物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
織り布地にカラー写真印刷を施す方法として次のような手段がある。第1に、オフセット印刷機の通し台に織り布地を弱粘着剤で1枚ずつ貼り付け、この織り布地の上に印刷する手段。第2に、転写紙にオフセット印刷を施し、この転写紙を織り布地に1枚ずつ貼り付け、熱圧着により転写する手段。第3に、転写紙にグラビア輪転印刷を施し、この転写紙を織り布地に1枚ずつ貼り付け、熱圧着により転写する手段。第4に、織り布地に直接シルク印刷を施す手段、などである。
【0003】
特許文献1に、布帛本体の片面にポリウレタン樹脂を主体とする透湿防水性の膜を積層し、この膜に所定柄を直接印刷する手段が記載されている。この特許文献1で使用する印刷手段は、グラビアロール、ロータリースクリーン又はフラットスクリーン等にて柄用の印刷組成物を直接塗布し乾燥する手段が選択されている。
【0004】
一方、グラビア印刷に使用される合成樹脂フィルムを基材にラミネートする手段として、ドライラミネート方式や押し出しラミネート方式がある。ドライラミネート加工は、合成樹脂フィルムと基材とを接着剤を用いて貼り合わせていく加工方法である。一方、押し出しラミネート方式は、原料樹脂を押出機で押出した延伸合成樹脂フィルムを基材の表面に被覆圧着し、冷却してから巻取部に巻き取る手段である。
【0005】
特許文献2に、押し出しラミネート方式を使用した積層シート及びそれを用いたカバン地が記載されている。この積層シートは、熱可塑性樹脂製延伸糸からなる織り布地の少なくとも片面に、エチレン-α,β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体および熱可塑性エラストマーの組成物からなるラミネート層を設けたもので、カバン地に使用される積層シートである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−255132号公報
【特許文献2】特開2001−293807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
織り布地にカラー写真印刷を施す方法における前記第1の手段では、布が柔らかいので、この布を1枚ずつ通し台に貼り付ける作業が負担になる。第2、第3の手段では、転写紙が高価であり、しかも作業性が悪いので全体的にコストがかかるものである。第4の手段によると、シルク印刷は粗い印刷になり鮮明さやリアル感に欠ける欠点がある。また、特許文献1のように、ポリウレタン樹脂を主体とする透湿防水性の膜に柄用の印刷組成物を直接する場合は、グラビア印刷のような鮮明な印刷は不可能である。
【0008】
一方、グラビア印刷フィルムに使用される延伸合成樹脂フィルムを織り布地に直接ラミネートすると、フィルムの硬さで織り布地表面を硬くする現象が発生する。したがって、この織り布地を曲げたり折ったりすると、シワが生じるものであった。しかも、このシワは元に戻らないので、フィルムを直接ラミネートした織り布地を使用して縫製加工のような作業はできない。
【0009】
また、グラビア印刷を施した延伸合成樹脂フィルムを織り布地にラミネートすると、接着強度が得られず、表面にシワや折れが生じる上、更にテンションカール等も発生するといった不都合が生じている。
【0010】
すなわち、織り布地は織機で織っているため、織地が平滑になっていない。そのため、織り布地に延伸フィルムをラミネートすると、延伸フィルムと布地の接着間に空気層が発生し、工程中のラミネートロールを通る際にシワが発生する。また、織り布地の折り目となった部分のみ接着するため、接着強度が保てず、簡単に剥がれてしまう不都合が生じる。この代替手段として不織布にグラビア印刷を施した延伸フィルムをラミネートした製品が提供されている。ところが、この不織布は、織り布地に比べて強度が弱く、しかも、硬く平滑な印刷面となるので、安っぽい印象を与える不都合があった。
【0011】
しかも、押出しラミネートでは、機械スピードが速く、基材となる織り布地や延伸合成樹脂フィルムのテンションの調整が困難なため、接着強度にばらつきが生じる。更に、織り布地に延伸フィルムをラミネートすると、延伸フィルム自体のテンションによるカールが発生し易いので、織り布地が丸まって使用できなくなるなど、製造ロスが多発する。
【0012】
更に、特許文献2に記載のカバン地のごとく、織り布地の少なくとも片面に、ラミネート層を設けたものでは、ラミネート層の接着性や柔軟性などを高めるとしても、織り布地の網目はラミネート層に厚く覆われてしまう。そのため、ラミネート層の表面にシボ押し加工をすることで人工皮革の風合いを付与することは可能でも、織り布地の網目を生かした高級な風合いを残すことはできない。これらの理由から、今日、グラビア印刷した延伸フィルムで織り布地をラミネートしたものは提供されていなかった。
【0013】
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、グラビア印刷フィルムで織り布地をラミネートすることができ、接着強度に優れ、縫製加工にも耐え得る柔らかくシワのよらない仕上がりにすることが可能なグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート方法と装置及びその織り布地を使用した袋物の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、織り布地1の織目に感圧接着剤2を介して熱可塑性ポリウレタン樹脂3を熱圧着する樹脂圧着工程100と、該織り布地1の接着された熱可塑性ポリウレタン樹脂3がわに感圧接着剤4を介してグラビア印刷を施した延伸フィルム5を重ね合わせるフィルム重合工程200と、重合した織り布地1と延伸フィルム5とを熱圧着する接着工程300と、織り布地1に圧着した延伸フィルム5を冷却する冷却工程400と、を有するラミネート方法にある。
【0015】
第2の手段は、前記接着工程300において、織り布地1と延伸フィルム5とを熱圧着する温度を60度以下に設定したラミネート方法である。
【0016】
第3の手段は、TPUフィルム3Aに感圧接着剤2を塗布する塗布用ロール10と、TPUフィルム3Aの感圧接着剤2が塗布された面に織り布地シート1Aを重ね合わせて熱圧着する熱圧着ロール20と、該熱圧着ロール20により熱圧着されたTPUフィルム3Aを冷却する冷却ロール30と、を備えた下地形成機構Aを構成すると共に、
グラビア印刷を施した延伸フィルム5に感圧接着剤4を塗布する塗布用ロール50と、該延伸フィルム5の感圧接着剤4が塗布された面に、前記織り布地シート1AのTPUフィルム3Aが接着された面を重ね合わせて熱圧着する熱圧着ロール60と、織り布地シート1Aに熱圧着された延伸フィルム5を冷却する冷却ロール70と、を備えた印刷面形成機構Bを構成したラミネート装置である。
【0017】
第4の手段において、前記塗布用ロール10は、前記感圧接着剤2を前記TPUフィルム3Aに付着せしめるメッシュシート11を該塗布用ロール10表面に設けたラミネート装置とする。
【0018】
第5の手段において、前記熱圧着ロール20、60は、内部に熱伝導用オイルを蓄え、表面に剥離用PTFE布21を貼り付けたラミネート装置にある。
【0019】
第6の手段は、前記下地形成機構Aにおける前記熱圧着ロール20に送る前記織り布地シート1Aの両面に接触して該織り布地シート1Aのシワを取るシワ取りロール40を設け、前記印刷面形成機構Bにおける前記熱圧着ロール60に送る前記織り布地シート1Aの両面に接触して該織り布地シート1Aのシワを取るシワ取りロール80を設けたラミネート装置とする。
【0020】
第7の手段は、前記下地形成機構Aと前記印刷面形成機構Bとは共用して工程別に使い分けるように構成されたものである。
【0021】
第8の手段は、織目に感圧接着剤2を介して熱可塑性ポリウレタン樹脂3が熱圧着された織り布地1に、グラビア印刷を施した延伸フィルム5を重ね合わせて袋基材Pを形成し、該袋基材Pを縫製して形成した袋物とすることを課題解消の手段とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1及び請求項2に記載の製造方法によると、グラビア印刷を施した延伸フィルム5を織り布地1にラミネートすることが可能になった。しかも、接着強度に優れ、縫製加工にも耐え得る柔らかくシワのよらない仕上がりにすることができる。特に、織り布地1の布目を残して織り布地1の価値を損なわない仕上がりにすることができるので、不織布では得られない高級感が備わるものになった。
【0023】
また、請求項3乃至請求項7に記載の製造装置によると、グラビア印刷を施した延伸フィルム5を織り布地1にラミネートする作業を合理化すると共に、製造ロスが極めて少なくなった。
【0024】
更に、請求項8に記載の袋物は、接着強度に優れ、縫製加工にも耐え得る柔らかさを備え、印刷面にシワのよらない仕上がりになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の下地形成機構の一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明の下地形成機構で形成された織り布地を示す断面図である。
【図3】本発明の印刷面形成機構の一実施例を示す概略図である。
【図4】本発明の印刷面形成機構で形成された織り布地を示す断面図である。
【図5】本発明の熱圧着ロールの一実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明の塗布用ロール一実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明のシワ取りロールの一実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明で形成した袋物の一実施例を示す斜視図である。
【図9】本発明製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明によると、グラビア印刷フィルムで織り布地をラミネートすることができ、接着強度に優れ、縫製加工にも耐え得る柔らかくシワのよらない仕上がりにすることが可能になるなどといった当初の目的を達成した。
【0027】
本発明は、例えば袋基材Pとなる織り布地1にグラビア印刷を施した延伸フィルム5をラミネートするものである。
【0028】
本発明製造方法は、樹脂圧着工程100、フィルム重合工程200、接着工程300、冷却工程400にて行われる(図9参照)。そして、これらの工程は、図1に示す下地形成機構Aと、図3に示す印刷面形成機構Bとからなる本発明装置によって行われる。
【0029】
樹脂圧着工程100は、織り布1の種類によって異なる柔軟性を一定に規制するもので、織り布地1の織目に感圧接着剤2を介して熱可塑性ポリウレタン樹脂3を熱圧着する工程である。織り布地1は、繊維基材の素材であり不織布と異なる。例えば、綿、麻、毛、絹等の繊維から成る織り布地1や、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリウレタン等の繊維から成る織り布地1を使用する。実施例では、420デニールのポリエステル繊維からなる織り布地シート1Aを使用した。
【0030】
この樹脂圧着工程100は、本発明装置の下地形成機構Aによって行われる(図1参照)。すなわち、熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルム3A(以下、TPUフィルム3Aと称する)に塗布用ロール10で感圧接着剤2を塗布する。このとき使用する塗布用ロール10は、表面にメッシュシート11を設けてあり、このメッシュシート11からTPUフィルム3Aに感圧接着剤2を付着するように構成している(図6参照)。
【0031】
感圧接着剤2は、布とフィルムとを接着するもので、水性、油性を問わない。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニルポリマー樹脂、ポリプロピレン樹脂などの感圧接着剤2が使用可能である。
【0032】
次に、熱圧着ロール20でTPUフィルム3Aの感圧接着剤2を塗布した面に、織り布地シート1Aを重合する。この際、織り布地シート1Aを熱圧着ロール20に送るときに、この織り布地シート1Aにシワが寄らないようにする必要がある。そのため、織り布地シート1Aを送る際に、織り布地シート1Aの両面に接触して該織り布地シート1Aのシワを取るシワ取りロール40を設けている(図1参照)。図示のシワ取りロール40には、表面に、細い棒状の接触杆41を多数設けてあり、均一なテンションを維持できるように構成している。
【0033】
熱圧着ロール20は、重合時に加熱圧着することで織り布地シート1AとTPUフィルム3Aとを一体化するものである。そして、この熱圧着ロール20によって融合した感圧接着剤2や熱可塑性ポリウレタン樹脂3を冷却ロール30にて冷却すると、TPUフィルム3Aによって、素材によって異なる伸縮性が一定に規制された織り布地シート1Aが形成されるものである(図2参照)。この際、熱圧着ロール20には、内部に熱伝導用オイルを蓄え、表面に剥離用テフロン(登録商標)布21(以下、剥離用PTFE布21と称する)を貼り付けている(図5参照)。
【0034】
フィルム重合工程200は、下地形成機構Aで一体化した織り布地シート1Aの熱可塑性ポリウレタン樹脂3がわに、グラビア印刷を施した延伸フィルム5を重ね合わせる工程である。延伸フィルム5は、合成樹脂製フィルムが使用される。例えば、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン樹脂、EVAエチレンビニールアセテート、塩化ビニール等の延伸フィルム5にグラビア印刷が施されたものである。実施例では、15μ厚のナイロンを延伸フィルム5に使用することで、織り布地シート1Aの折り目まで再現できるようにしている。
【0035】
このフィルム重合工程200は、本発明装置の印刷面形成機構Bによって行われる(図3参照)。まず、塗布用ロール50にて、グラビア印刷を施した延伸フィルム5に感圧接着剤4を塗布する。この感圧接着剤4は、前記下地形成機構Aにて使用した感圧接着剤2と同様の材質から選択するものである。また、塗布用ロール50は下地形成機構Aの塗布用ロール10と同じ構成のものが使用される(図6参照)。
【0036】
その後、熱圧着ロール60にて、延伸フィルム5の感圧接着剤4がわに、下地形成機構Aで伸縮が規制された織り布地シート1Aを重合する。熱圧着ロール60は、前記熱圧着ロール20と同じ構成であり、内部に熱伝導用オイルを蓄え、表面に剥離用PTFE布21を貼り付けている。また、織り布地シート1Aを熱圧着ロール60に送る際に、この織り布地シート1Aにシワが寄らないようにする必要がある。そのため、熱圧着ロール60に送る際に、織り布地シート1Aの両面に接触して該織り布地シート1Aのシワを取るシワ取りロール80を設けている(図3参照)。このシワ取りロール80は、下地形成機構Aのシワ取りロール40と同じ構成である(図7参照)。このように、織り布地シート1Aの伸縮性をTPUフィルム3Aで規制すると共に、このシワ取りロール80にて均一に送ることで、延伸フィルム5との重合工程を正確に行えるものである。
【0037】
接着工程300は、重合した織り布地1と延伸フィルム5とを熱圧着する工程である。この接着工程300では、織り布地1と延伸フィルム5とを熱圧着する温度を60度以下に設定する。実験では、熱圧着する温度を60度以上にすると、熱圧着後に収縮が生じ、シワが発生することが分かった。
【0038】
この接着工程300を熱圧着ロール60が実施する。すなわち、延伸フィルム5の感圧接着剤4が塗布された面に、前記織り布地シート1AのTPUフィルム3Aが接着された面を重ね合わせて熱圧着ロール60が加熱圧着することで織り布地シート1Aと延伸フィルム5とを一体化する。図示例の熱圧着ロール60は、内部に熱伝導用オイルを蓄え、表面に剥離用PTFE布21を貼り付けたものである。この熱圧着ロール60は、下地形成機構Aの熱圧着ロール20と同じ構成のものを使用している(図5参照)。
【0039】
冷却工程400は、織り布地1に圧着した延伸フィルム5を冷却する工程である。この工程には冷却ロール70が使用される。図示例では、2個の冷却ロール70を使用しているが、この数は適宜変更することが可能である。そして、この冷却ロール70により織り布地1に圧着した延伸フィルム5や感圧接着剤4を冷却すると、織り布地シート1Aに延伸フィルム5が一体となり、織り布地シート1Aの表面にグラビア印刷が施されるものである(図4参照)。この冷却ロール70は下地形成機構Aの冷却ロール30と同じ構成のものを使用している。
【0040】
図示例では、本発明装置を下地形成機構A(図1参照)と、印刷面形成機構B(図3参照)とを別の機構として説明しているが、各機構を同じ機構を利用して工程別に使い分けるように構成することができる。すなわち、下地形成機構Aの塗布用ロール10を印刷面形成機構Bの塗布用ロール50として使用するものである。同様に、熱圧着ロール20を熱圧着ロール60として、冷却ロール30を冷却ロール70として、シワ取りロール40をシワ取りロール80として使用する。この結果、1台の装置で複数の工程を合理的に行うことができる。
【実施例】
【0041】
図8は、本発明のグラビア印刷フィルムでラミネートした織り布地シート1Aを袋基材Pとし、この袋基材Pを縫製して形成した手提げ袋の実施例を示している。すなわち、織目に感圧接着剤2を介して熱可塑性ポリウレタン樹脂3が熱圧着された織り布地1に、グラビア印刷を施した延伸フィルム5を重ね合わせて袋基材Pを形成し、該袋基材Pを縫製して形成したものである。
【0042】
この手提げ袋は、420デニールのポリエステル繊維からなる織り布地シート1Aを使用し、表面に15μ厚のTPUフィルム3Aを70度の温度で熱圧着した。また、延伸フィルム5は、15μ厚のナイロンフィルムにグラビア印刷を施したものを使用している。更に、下地形成機構Aと印刷面形成機構Bとで使用した感圧接着剤2は、ウレタン系接着剤を使用したものである。そして、織り布地シート1Aと延伸フィルム5とを大きめの熱圧着ロール20により50度で加熱しながら、ゆっくりと熱圧着した。さらに、1個目の冷却ロール70で予備冷却し、その後、2個目の冷却ロール70で安定する温度まで冷却して形成した袋基材Pを使用したものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明製造装置や袋物は、図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由な設計変更が可能である。また、本発明で製造されたグラビア印刷フィルムがラミネートされた織り布地の用途は、袋物に限られるものではなく、織り布地を使用するあらゆる製品に使用可能になるものである。
【符号の説明】
【0044】
A 下地形成機構
B 印刷面形成機構
P 袋基材
1 織り布地
1A 織り布地シート
2 感圧接着剤
3 熱可塑性ポリウレタン樹脂
3A TPUフィルム
4 感圧接着剤
5 延伸フィルム
10 塗布用ロール
11 メッシュシート
20 熱圧着ロール
21 剥離用PTFE布
30 冷却ロール
40 シワ取りロール
41 接触杆
50 塗布用ロール
60 熱圧着ロール
70 冷却ロール
80 シワ取りロール
100 樹脂圧着工程
200 フィルム重合工程
300 接着工程
400 冷却工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織り布地の織目に感圧接着剤を介して熱可塑性ポリウレタン樹脂を熱圧着する樹脂圧着工程と、該織り布地の接着された熱可塑性ポリウレタン樹脂がわに感圧接着剤を介してグラビア印刷を施した延伸フィルムを重ね合わせるフィルム重合工程と、重合した織り布地と延伸フィルムとを熱圧着する接着工程と、織り布地に圧着した延伸フィルムを冷却する冷却工程と、を有することを特徴とするグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート方法。
【請求項2】
前記接着工程において、織り布地と延伸フィルムとを熱圧着する温度を60度以下に設定した請求項1記載のグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート方法。
【請求項3】
TPUフィルムに感圧接着剤を塗布する塗布用ロールと、TPUフィルムの感圧接着剤が塗布された面に織り布地シートを重ね合わせて熱圧着する熱圧着ロールと、該熱圧着ロールにより熱圧着されたTPUフィルムを冷却する冷却ロールと、を備えた下地形成機構を構成すると共に、グラビア印刷を施した延伸フィルムに感圧接着剤を塗布する塗布用ロールと、該延伸フィルムの感圧接着剤が塗布された面に、前記織り布地シートのTPUフィルムが接着された面を重ね合わせて熱圧着する熱圧着ロールと、織り布地シートに熱圧着された延伸フィルムを冷却する冷却ロールと、を備えた印刷面形成機構を構成したことを特徴とするグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート装置。
【請求項4】
前記塗布用ロールは、前記感圧接着剤を前記TPUフィルムに付着せしめるメッシュシートを該塗布用ロール表面に設けた請求項3記載のグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート装置。
【請求項5】
前記熱圧着ロールは、内部に熱伝導用オイルを蓄え、表面に剥離用PTFE布を貼り付けた請求項3記載のグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート装置。
【請求項6】
前記下地形成機構における前記熱圧着ロールに送る前記織り布地シートの両面に接触して該織り布地シートのシワを取るシワ取りロールを設け、前記印刷面形成機構における前記熱圧着ロールに送る前記織り布地シートの両面に接触して該織り布地シートのシワを取るシワ取りロールを設けた請求項3記載のグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート装置。
【請求項7】
前記下地形成機構と前記印刷面形成機構とは共用して工程別に使い分けるように構成された請求項3乃至6記載のグラビア印刷フィルムによる織り布地のラミネート装置。
【請求項8】
織目に感圧接着剤を介して熱可塑性ポリウレタン樹脂が熱圧着された織り布地に、グラビア印刷を施した延伸フィルムを重ね合わせて袋基材を形成し、該袋基材を縫製して形成したことを特徴とするグラビア印刷フィルムがラミネートされた織り布地を使用した袋物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−158020(P2012−158020A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17885(P2011−17885)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000139115)株式会社リングストン (10)
【Fターム(参考)】