説明

グリコシルホスファチジルイノシトールを含有するポリペプチド

本発明は、グリコシルホスファチジルイノシトールの付加に関するシグナル配列を含むように操作されたキメラ組み換えポリペプチド、好ましくは治療用ポリペプチド(例えばサイトカイン又は抗体)、上記ポリペプチドを発現する細胞及び上記ポリペプチドを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコシルホスファチジルイノシトールの付加に関するシグナル配列を含むように操作されたキメラ組み換えポリペプチド、好ましくは治療用(therapeutic)ポリペプチド、上記ポリペプチドを発現する細胞及び上記ポリペプチドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPIアンカーは、タンパク質の翻訳後修飾であり、それはそれらのタンパク質が細胞膜の細胞外側に固着することを可能にするグリコシルホスファチジルイノシトールを付加することである。通常、GPIアンカーを有する細胞外タンパク質は膜貫通又は細胞質ドメインを有さない。GPIアンカータンパク質は、全ての真核生物で発生し、多種多様なタンパク質を形成し、これには限定としてではなく例として、膜結合酵素、原生動物寄生虫(トリパノソーマ・ブルーセイ種(Trypanosoma brucei spp.)等)の外側表面を被覆する接着分子及びタンパク質が挙げられる。ヒト腎臓には、GPIアンカー型タンパク質の多数の例、すなわちウロモジュリン(uromodulin)、炭酸脱水酵素IV型、アルカリホスファターゼ、Thy−1、BP−3、アミノペプチダーゼP及びジペプチジルペプチダーゼが含まれる。
【0003】
全てのGPIアンカータンパク質は、最初に膜貫通型アンカーと共に合成され、これは、小胞体を横断して移行した後、特異的トランスアミダーゼ酵素により、切断されて予め形成されたGPIアンカーに共有結合する。GPIアンカーの付加によるタンパク質の修飾は、重要な性質をタンパク質に与える。なぜなら、脂質部分の付加は、タンパク質が細胞膜内に挿入することを可能にし、それによりタンパク質が固着することを可能にするからであり、したがって有効な局部濃度が増加される。
【0004】
合成GPIアンカー配列を作製するのに、いくつかの一般的な必要条件が存在する。それら必要条件とは、塩基性残基のクラスターに続かない分子(10〜20アミノ酸)のC末端での疎水性領域、疎水性領域に先行する7〜10残基の「スペーサードメイン」、及びスペーサー領域後の小アミノ酸であり、ここで前駆体の切断及びアンカーの付加が生じる。GPIアンカーは、予め組み立てられ、且つ小胞体中の新生タンパク質に付加される。この工程に伴い、GPIアンカーがタンパク質の新たなC末端アミノ酸と共有結合するように、初期C末端ペプチドは除去される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
組み換えタンパク質の大規模産生には、これらのタンパク質の多くが医薬品として使用されるため、高い品質管理の基準を要する。これらのタンパク質は、例えば:成長ホルモン;レプチン;エリスロポイエチン;プロラクチン;TNF;インターロイキン(IL)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10及びIL−11;IL−12のp35サブユニット、IL−13及びIL−15;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);毛様神経栄養因子(CNTF);カルジオトロフィン−1(CT−1);白血病抑制因子(LIF);オンコスタチンM(OSM);インターフェロン、IFNα及びIFNγ;及び任意の細胞表面受容体からの細胞外受容体ドメインを含む。さらに、ワクチン、特にサブユニットワクチン(例えばHIVのgp120の解明された抗原に基づいたワクチン)の開発には、アナフィラキシーを誘発し得る汚染抗原がない、純粋なタンパク質を大量に産生することが必要である。
【0006】
細胞発現系における組み換えタンパク質の産生は、原核細胞発現又は真核細胞発現のどちらかに基づいている。タンパク質に対する翻訳後修飾が必要なときは、後者が好ましい。真核生物の系には、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞等の哺乳類細胞、スポドプテラ種(Spodoptera spp)等の昆虫細胞及びサッカロミセス種及びピチア種等の酵母の使用が含まれる。
【0007】
発明者等は、グリコシルホスファチジルイノシトールの付加に関してシグナル配列を添加することにより適合された組み換えタンパク質を開示する。上記適合タンパク質を発現する形質移入細胞は生物活性を保持し、有利なことに、これらのタンパク質を発現する、核酸分子で形質移入された細胞(代表的にはベクター)の細胞膜内での位置(及び/又は連続培養法を容易にする培養培地中に流すこと)により、比較的容易に生成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、キメラポリペプチドが提供され、上記ポリペプチドは、少なくとも1つのグリコシルホスファチジルイノシトール分子の付加を行う配列である、少なくとも1つの異種シグナル配列を含むドメインを含むように操作される。
【0009】
同時係属出願であるPCT/GB02/04665(現在は未公開)において、発明者等は、サイトカイン受容体のリガンド結合ドメインと、グリコシルホスファチジルイノシトールの付加に関するシグナル配列を含むドメインとの融合体を含む拮抗性キメラポリペプチドを開示している。PCT/GB02/04665の内容は、本出願を参照して放棄される。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記ドメインは以下のアミノ酸配列を含む:
PSPTPTETATPSPTPKPTSTPEETEAPSSATTLISPLSLIVIFISFVLLI。
【0011】
本発明の代替的に好ましい実施形態において、上記ドメインは以下のアミノ酸配列を含む:
LVPRGSIEGRGTSITAYNSEGESAEFFFLLILLLLLVLV。
【0012】
本発明のさらなる代替的な好ましい実施形態において、上記ドメインは以下のアミノ酸配列を含む:
TSITAYKSEGESAEFFFLLILLLLLVLV。
【0013】
本発明の好ましい実施形態において、上記ポリペプチドは、少なくとも1つのグリコシルホスファチジルイノシトール分子を含む。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記ポリペプチドは治療用ポリペプチドである。
【0015】
典型的には、治療用ポリペプチドは、アゴニスト活性又はアンタゴニスト活性を有するポリペプチドである。
【0016】
例えば、(限定するわけではないが)p53ポリペプチド、APCポリペプチド、DPC−4ポリペプチド、BRCA−1ポリペプチド、BRCA−2ポリペプチド、WT−1ポリペプチド、網膜芽細胞腫ポリペプチド(Lee他(1987)、Nature 329:642)、MMAC−1ポリペプチド、腺腫様結腸ポリープ症タンパク質(米国特許第5,783,666号明細書)、大腸癌欠失(DCC)ポリペプチド、MMSC−2ポリペプチド、NF−1ポリペプチド、上咽頭癌腫瘍抑制ポリペプチド(Cheng他、1998、Proc. Nat. Acad. Sci. 95:3042-3047)、MTS1ポリペプチド、CDK4ポリペプチド、NF−1ポリペプチド、NF−2ポリペプチド及びVHLポリペプチド等の腫瘍抑制ポリペプチドが挙げられる。
【0017】
「抗原ポリペプチド」(例えば、腫瘍拒絶抗原のMAGE、BAGE、GAGE及びDAGEファミリー等の腫瘍拒絶抗原。Schulz他、Proc. Natl, Acad. Sci. USA, 1991, 88, pp991-993を参照)。抗原ポリペプチドは、病原菌に対する防御を提供するワクチンの作製に用いられるポリペプチド抗原も含む。例えば、ヒト免疫不全ウィルス(HIV1及びHIV2)、ヒトT細胞白血病ウィルス(HTLV1及びHTLV2)、エボラウィルス、ヒトパピローマウィルス(例えば、HPV−2、HPV−5、HPV−8、HPV−16、HPV−18、HPV−31、HPV−33、HPV−52、HPV−54及びHPV−56)、パポバウィルス、ライノウィルス、ポリオウィルス、ヘルペスウィルス、アデノウィルス、エプスタインバーウィルス、インフルエンザウィルス、及びB型肝炎及びC型肝炎ウィルスが挙げられる。黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、大便連鎖球菌、ヒト結核菌、B群連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、ピロリ菌、淋菌、A群連鎖球菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラスマ・サプスラーツム(Histoplasma sapsulatum)、髄膜炎菌、フレクスナー赤痢菌、大腸菌及びインフルエンザ菌等の病原性細菌に由来する抗原が含まれる。トリパノソーマ種、プラスモディウム種及びスキズトソーマ(Schiztosoma)種等の寄生生物及びカンジダ種等の病原性真菌に由来する抗原も含む。
【0018】
「細胞毒性ポリペプチド」である治療用ポリペプチドも含む(例えば、緑膿菌外毒素、リシン毒素及びジフテリア毒素)。
【0019】
「細胞増殖抑制性ポリペプチド」である治療用ポリペプチドも含む(例えば、p21、網膜芽細胞腫ポリペプチド、E2F−Rbポリペプチド、P16、p15、p18及びp19等のサイクリン依存性キナーゼ抑制因子、及びBranellec他により記載された成長停止特異的ホメオボックス(GAX)ポリペプチド(国際公開97/16459号パンフレット及び国際公開96/30385号パンフレットを参照))。
【0020】
「プロドラッグ」活性化ポリペプチドである治療用ポリペプチドも含む(例えば、シトシンデアミナーゼ)。
【0021】
「アポトーシス誘導性」ポリペプチドである治療用ポリペプチドも含む(例えば、p53、アデノウィルスE3−11.6K(10.5K)、アデノウィルスE4orf4ポリペプチド、p53経路ポリペプチド及びカスパーゼ)。
【0022】
「医薬品用ポリペプチド」である治療用ポリペプチドも含む(例えば、成長ホルモン;レプチン;エリスロポイエチン;プロラクチン;TNF;インターロイキン(IL)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10及びIL−11;IL−12のp35サブユニット、IL−13及びIL−15;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);毛様神経栄養因子(CNTF);カルジオトロフィン−1(CT−1);白血病抑制因子(LIF);オンコスタチンM(OSM);インターフェロン、IFNα及びIFNγのサイトカイン;及び上記のサイトカインに対する細胞外ドメイン受容体に基づくアンタゴニスト又は上記のサイトカインとその同族の細胞外ドメイン受容体との融合体)。
【0023】
「抗血管新生」ポリペプチドである治療用ポリペプチドも含む(例えば、アンジオスタチン、Tie2等の血管内皮増殖因子(VEGF)の阻害剤(PNAS(米国)(1998)95:8795‐8800に記載)及びエンドスタチン)。
【0024】
治療用抗体もまた、治療用ポリペプチドの範囲内に含まれる。上記抗体は、モノクローナル抗体であるか、又は少なくとも活性を有するその結合フラグメントであることが好ましい。治療用抗体は、例えばリガンド又は受容体の生体分子と結合し、その活性を阻害する抗体であり得る。
【0025】
モノクローナル抗体は、ヒト化抗体又はキメラ抗体であり得る。キメラポリペプチド治療用抗体は、細胞外ドメイン受容体ポリペプチドとの融合体であり得る。
【0026】
キメラ抗体は、組み換え方法により、抗体の可変領域と共にヒト抗体の非可変領域又は定常領域を含有するように製造される。ヒト化抗体は、組み換え方法により、抗体の相補性決定領域(CDR)と、ヒト抗体の定常(C)領域及び可変(V)領域からのフレームワーク領域の両方とを組み合わせるように産生される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、上記フラグメントはFabフラグメントである。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記抗体は、F(ab’)、Fab、Fv及びFdフラグメントから成る群より選択され、且つ抗体はCDR3領域を有する。
【0029】
上記フラグメントは、単鎖抗体可変領域(scFV)又はドメイン抗体であることが好ましい。特異的なモノクローナル抗体に対してハイブリドーマが存在するときは、上記ハイブリドーマから抽出されたmRNAから、RT PCRによりscFVを単離することが、当業者によく知られている。代替的には、ファージディスプレイスクリーニングを行うことにより、scFVが発現しているクローンを同定することができる。ドメイン抗体は、一抗体の最も小さい結合部位である(約13kDa)。この技術の例は、米国特許第6,248,516号明細書、米国特許第6,291,158号明細書、米国特許第6,127,197号号明細書及び欧州特許0368684号明細書中に開示され、これらは本明細書中に完全に援用されて本明細書の一部とする。
【0030】
改変抗体、又は変異抗体、及び参照例の抗体は、任意の組み合わせで存在し得る、1つ以上の置換、付加、欠失及びトランケーションによりアミノ酸配列が異なってもよい。このうち、同類アミノ酸置換により、参考例のポリペプチドとは異なる変異体が好ましい。このような置換は、あるアミノ酸を、それと似た特徴を有する別のアミノ酸で置換するものである。以下の非限定的なアミノ酸の羅列が、同類置換(似ている)と考えられる:a)アラニン、セリン及びスレオニン;b)グルタミン酸及びアスパラギン酸;c)アスパラギン及びグルタミン;d)アルギニン及びリジン;e)イソロイシン、ロイシン、メチオニン及びバリン;及びf)フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン。増強した生物活性を示す変異体が、最も極めて好ましい。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記治療用抗体、又は活性を有するその結合フラグメントは分子を結合することにより、少なくとも1つのグリコシルホスファチジルイノシトール分子の付加を行う配列である、異種シグナル配列を含む上記ドメインと融合される。上記結合分子は、ペプチド結合分子であることが好ましい。
【0032】
ペプチド結合分子は、当該技術分野において既知であり、例えば、Gly Gly Gly Gly Ser配列の反覆である。例えば、結合分子は、上記配列の1、2、3又は4回の反覆を含む。結合分子は国際公開第01/96565号パンフレットに記載される。結合分子は、可動性又は固定性であり得る。
【0033】
特にscFVにおいて、抗体の結合フラグメントの製造に伴う問題が知られている。これらのフラグメントは、溶液中で凝集する傾向を有し、その大規模製造を困難なものにしている。scFVへの、グリコシルホスファチジルイノシトールモチーフを含むドメインの融合は、製造及び精製を容易にするであろう。
【0034】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明によるポリペプチドが提供され、これは少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により修飾されている本発明によるポリペプチドの配列変異体を提供する。
【0035】
典型的には、変異体は、その生理活性に関連しないポリペプチドの特徴を特に変更するように修飾されたキメラを包含する。例えば、システイン残基は、望まないジスルフィド結合を阻止するために、置換又は欠失され得る。同様に、特定のアミノ酸は、発現系でのプロテアーゼによるタンパク質分解を除去することにより、キメラの発現を高めるように変更され得る。
【0036】
当業者はまた、同類アミノ酸置換がキメラポリペプチドでなされて、前述のポリペプチド(すなわち、変異体はキメラの機能的能力を保有する)と機能的に等価な変異体を提供し得る。本明細書中で使用されるとおり、「同類アミノ酸置換」は、アミノ酸置換がなされるタンパク質の相対電荷、疎水性又はサイズ特性を有害に変更しないアミノ酸置換を指す。
【0037】
変異体は、例えば「分子クローニング:実験室手引書(Molecular Cloning : A Laboratory Manual)」、J. Sambrook他編、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989、又は「分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、F. M. Ausubel他編、John Wiley & Sons, Inc., New Yorkのような編纂した参照文献に見られる、当業者に既知のポリペプチド配列を変更する方法に従って調製され得る。アミノ酸の同類置換は、以下の群、(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;及び(g)E、D内で、アミノ酸間でなされる置換を含む(大きさや極性が保存されている場合、場合によってはQ、Nを含んでも良いが、キレート化は重要でない)。
【0038】
キメラポリペプチドと機能的に等価な変異体を産生するためのこれらポリペプチドのアミノ酸配列における同類アミノ酸置換が、典型的に、キメラをコードする核酸の改変によりなされる。そのような置換は、当業者に既知の様々な方法によりなされ得る。例えば、アミノ酸置換は、Kunkel(Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 82: 488-492, 1985)の方法に従って、PCR特異的(PCR-directed)突然変異、部位特異的(site-directed)突然変異誘発によりなされてもよい。
【0039】
代替的には、又は好ましくは、上記修飾が、本発明によるキメラポリペプチドの組み換え型又は合成型の産生に修飾アミノ酸を使用することを包含する。修飾アミノ酸として、限定としてではなく例として、4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリシン、N−アセチルリシン、N−メチルリシン、N,N−ジメチルリシン、N,N,N−トリメチルリシン、シクロヘキシル(cyclohexy)アラニン、D−アミノ酸及びオルニチンが挙げられることは、当業者に明らかであるだろう。
【0040】
本発明によるポリペプチドの生物活性を改変する修飾もまた、本発明の範囲内である。例えば、アゴニストをアンタゴニストに変換する修飾(しばしば、ドミナントネガティブ突然変異と称される)又はスーパーアゴニストを産生する修飾が挙げられる。同時係属出願であるPCT/GB02/005523号(現在は未公開)において、発明者等はアンタゴニストとして作用する変異体成長ホルモンポリペプチドを開示している。PCT/GB02/005523号において開示されるポリペプチド(参照されて本明細書の一部とする)は、成長ホルモン(GH)の少なくとも1つの修飾された結合ドメイン及び成長ホルモン受容体(GHR)の成長ホルモン結合ドメインを含むキメラポリペプチドである。
【0041】
修飾GHは、米国特許第5,849,535号明細書に開示され、参照されて本明細書の一部とする。GHの修飾は、部位1結合部位及び部位2結合部位の両方である。部位1への修飾は、野生型GHに比べて、GHRに対する親和力が高いGH分子を産生する。これらの修飾GH分子は、アゴニストとして作用する。また、部位2の修飾も開示され、その結果、GHアンタゴニストが作られる。部位1に対するGHの結合親和力を改変するGHの修飾のさらなる例は、米国特許第5,854,026号明細書、米国特許第6,004,931号明細書、米国特許第6,022,711号明細書、米国特許第6,057,292号明細書及び米国特許第6,136,563号明細書に開示され、それぞれは参照されて本明細書の一部とする。また、部位2への修飾、特に、アルギニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン又はグルタミン酸のいずれかに修飾されたとき、アンタゴニスト特性を有するGH分子を作る、GH中のアミノ酸残基G120も開示される。PCT/GB02/005523号は、成長ホルモン受容体の細胞外結合ドメインに融合された修飾成長ホルモンを含む、キメラポリペプチドを開示する。このキメラはアンタゴニストとして作用し、且つGHアンタゴニスト療法を必要とする被験体に投与されると、全身クリアランスを低減する特性を有する。
【0042】
今の出願は、グリコシルホスファチジルイノシトールの付加を行う異種シグナル配列を含むドメインの含有(inclusion)により、米国特許第5,849,535号明細書、米国特許第5,854,026号明細書、米国特許第6,004,931号明細書、米国特許第6,022,711号明細書、米国特許第6,057,292号明細書及び米国特許第6,136,563号明細書に開示されるこれらGH変異体を修飾する。また今の出願は、グリコシルホスファチジルイノシトールの付加に関する上記シグナル配列の含有により、PCT/GB02/005523号に開示されるキメラGHを修飾する。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ポリペプチドが提供され、上記ポリペプチドは、本発明による少なくとも2つのポリペプチドから成り、2つのポリペプチドは結合分子を介して結合される。上記結合分子は可動性リンカーであることが好ましい。代替的には、上記結合分子は固定性リンカーである。
【0044】
リンカーは、少なくとも1コピーの次のポリペプチド含むことが好ましい:Gly Gly Gly Gly Ser(本明細書中、「Gly4Ser」と示される)。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記リンカーは、少なくとも2、3、4又は5コピーの上記Gly4Serリンカーを含む。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記リンカーはさらに、プロテアーゼ感受性部位を含む。前記切断部位は、血清プロテアーゼに対して感受性であることが好ましい。
【0047】
上記切断部位は、アミノ酸配列LVPRGS又はその変異体を含むことが好ましい。
【0048】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記切断部位は、少なくとも1コピーのアミノ酸配列SGGGG又はその機能変異体を含む。上記切断部位はアミノ酸配列PGISGGGGGGを含むことが好ましい。
【0049】
上記切断部位は、アミノ酸配列LVPRGSPGISGGGGGG又はその変異体を含むことがさらに好ましい。
【0050】
代替的に、上記切断部位は、該切断部位に隣接する少なくとも2コピーのアミノ酸配列SGGGG又はその機能変異体を含む。
【0051】
本発明のさらに好ましい実施形態において、上記切断部位は、血清プロテアーゼトロンビンに対して感受性である。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施形態において、複数の本発明によるポリペプチドを含むオリゴマー(oligomeric)ポリペプチド分子が提供される。
【0053】
好ましい実施形態において、上記タンパク質は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9又は10個の本発明によるポリペプチドを含む。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるキメラポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子が提供される。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、本発明による核酸分子を含むベクターが提供される。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、上記ベクターは真核遺伝子発現に適合された発現ベクターである。
【0057】
典型的な、前記適合は、細胞/組織特異的発現を媒介する転写制御配列(プロモーター/エンハンサー配列)の提供を包含する。これらのプロモーター配列は、細胞/組織特異的、誘導性(inducible)又は構成性(constitutive)であってもよい。
【0058】
プロモーターは、当該技術分野で認識された用語であり、明確化という目的で以下の特徴を包含するが、これらは例示としてのみ提供され限定としてではない。エンハンサー要素は、遺伝子の転写開始部位に対して5'側でしばしば見いだされるcis作用性核酸配列である(エンハンサーはまた、遺伝子配列に対して3'側でも見いだされ得、又はイントロン配列にさえも位置し得、それゆえに位置独立性である)。エンハンサーは、エンハンサーが結合している遺伝子の転写速度を増加させるように機能する。エンハンサー活性は、エンハンサー要素に特異的に結合することが示されているtrans作用性転写因子(ポリペプチド)に応答する。転写因子の結合/活性(David S Latchman, Academic Press Ltd, San Diegoによる真核生物転写因子を参照してほしい)は、多数の環境信号(environmental cues)に応答し、これには、限定としてではなく例として、中間代謝産物(例えば、グルコース、脂質)及び環境効果因子(例えば、熱)が挙げられる。
【0059】
プロモーター要素はまた、転写開始部位を選択するように機能する、いわゆるTATAbox及びRNAポリメラーゼ開始選択(RIS)配列を含む。これらの配列は、とりわけRNAポリメラーゼによる転写開始選択を促進するように機能するポリペプチドにも結合する。
【0060】
適合はまた、選択可能なマーカー及び自己複製配列の提供を含み、これらは両方ともいずれの真核細胞で上記ベクターの維持を促進する。自律的に保持されるベクターは、エピソームベクターと呼ばれる。
【0061】
ベクターにコードされた遺伝子の発現を促進する適合は、転写終結/ポリアデニル化配列の提供を包含する。これはまた、2シストロン性又は多シストロン性(multi-cistronic)発現カセットに配列された、ベクターにコードされた遺伝子の発現を最大化するように機能する、内部リボソーム侵入部位(IRES)の提供を包含する。
【0062】
これらの適合は、当該技術分野でよく知られている。一般に発現ベクター構築及び組み換えDNA技術に関する文献が非常に多数出版されている。Sambrook他(1989)「分子クローニング:実験室手引書(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbour Laboratory, Cold Spring Harbour, NY及びその中の参考文献であるMarston, F (1987)「DNAクローニング技法:実用的アプローチ第三巻(DNA Cloning Techniques: A Practical Approach Vol III)」IRL Press, Oxford UK; DNA Cloning: F M Ausubel他「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons, Inc.(1994)を参照してほしい。
【0063】
本発明によるベクターは遺伝子治療ベクターであり得ることが当業者に明らかであるだろう。遺伝子治療ベクターは、典型的にはウイルスベースである。多数のウイルスが、一般に、外来遺伝子の送達用ベクターとして使用される。一般に用いられるベクターとして、組み換えで修飾された、外被のある又は外被のないDNA及びRNAウイルスが挙げられ、好ましくはバキュロウイルス科(baculoviridiae)、パルボウイルス科(parvoviridiae)、ピコルノウイルス科(picornoviridiae)、ヘルペスウイルス科(herpesveridiae)、ポックスウイルス科、アデノウイルス科(adenoviridiae)又はピコルナウイルス科(picornnaviridiae)から選択される。親ベクターの各特性の有利な要素を活用するキメラベクターもまた、用いられ得る(例えば、Feng他(1997) Nature Biotechnology 15: 866-870を参照)。このようなウイルスベクターは、野生型であってもよく、又は複製不十分であるか、条件付きで複製するか、若しくは複製適格であるように組み換えDNA技法により修飾されてもよい。
【0064】
好ましいベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及びレトロウイルスのゲノムに由来する。本発明の最も好ましい実施において、ベクターはヒトアデノウイルスゲノム由来である。特に好ましいベクターは、ヒトアデノウイルス血清型2又は5由来である。このようなベクターの複製能は、E1a及び/又はE1bコード領域での修飾又は欠失により(「複製不十分」と判断される時点まで)減弱され得る。特定の発現特性を達成するため、又は繰り返し投与を許容するため、又は免疫反応を低下させるため、ウイルスゲノムに対する他の修飾が好ましい。
【0065】
代替的には、ウイルスベクターは、条件付きで複製するか又は複製能力(competent)を有するものであってもよい。条件付きで複製するウイルスベクターは、有害な広域性感染を回避しながら、特定の細胞型で選択的発現を達成するのに使用される。条件付きで複製するベクターの例は、Pennisi, E. (1996)、Science 274: 342-343及びRussell及びS. J.(1994) Eur. J. of Cancer 30A (8): 1165-1171に記載されている。選択的に複製するベクターのさらなる例として、ウイルスの複製に必要な遺伝子の発現の非存在下ではウイルスが複製しないように、そのような遺伝子が特定の細胞型又は細胞状態においてのみ活性であるプロモーターの制御下にあるベクターが包含される。このようなベクターの例は、1997年12月16日付けで発行されたHenderson他の米国特許第5,698,443号及び1999年2月16日付けで発行されたHenderson他の米国特許第5,871,726号に記載され、それらの全教示は、参照により本明細書中に援用される。
【0066】
さらに、ウイルスゲノムは、特定の条件下でのみ複製又は発現を達成する誘導性プロモーターを包含するように修飾されてもよい。誘導性プロモーターの例は、科学文献で既知である(例えば、Yoshida及びHamada(1997) Biochem. Biophys. Res. Comm. 230: 426-430; Iida他(1996) J. Virol. 70 (9): 6054-6059; Hwang他(1997) J. Virol 71 (9): 7128-7131; Lee他(1997) Mol. Cell. Biol. 17 (9): 5097-5105;及びDreher他(1997) J. Biol. Chem 272 (46); 29364-29371を参照)。
【0067】
ベクターはまた、非ウイルス性であってもよく、当業者が容易に入手可能な多数の商業的供給元から入手可能である。例えば、ベクターは、エピソーム又は組み込みであり得るプラスミドでもよい。
【0068】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるベクター又は核酸分子で形質移入された細胞が提供される。
【0069】
本発明の好ましい実施形態において、上記細胞は真核細胞である。
【0070】
上記真核細胞は、真菌細胞(例えば、出芽酵母及びピチア種)、粘菌(例えば、タマホコリカビ種)、昆虫細胞(例えば、スポドプテラ・フルギペルタ)、植物細胞又は哺乳類細胞(例えば、CHO細胞)から成る群より選択される。
【0071】
細胞、特に真核細胞を形質移入する方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0072】
細胞内にDNAを導入する形質移入法は、典型的には、化学試薬、陽イオン性脂質又は物理的方法の使用を含む。細胞によるDNAの取り込みを容易にする化学的方法は、DEAE−デキストランの使用を含む(Vaheri及びPagano(1965)、Science 175: p434)。DAEA−デキストランは、負に帯電した陽イオンであり、細胞内にDNAを結合及び導入するが、細胞の生存の喪失につながり得る。リン酸カルシウムもまた、DNAと共沈殿して細胞内にDNAを導入する、一般的に使われる化学薬品である。(Graham他、Virology(1973) 52:p456)。
【0073】
陽イオン性脂質の使用(例えば、リポソーム(Felgner(1987)、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 84: p7413))は、上記した化学的方法により示された毒性の程度を有さないため、一般的な方法となっている。脂質の陽イオン性の頭部は、導入されるDNAの負に帯電した核酸主鎖と結合する。脂質/DNA複合体は、細胞膜と結合し、細胞と融合してその細胞内に、結合したDNAを導入する。リポソーム介在DNA輸送は、既存の方法を上回るいくつかの利点を有する。例えば、伝統的な化学的方法に関して扱いづらい細胞は、リポソーム介在輸送を用いて、より容易に形質移入される。
【0074】
つい最近になって、DNAを導入する物理的方法が、再生可能な形質移入細胞に対する効果的手段となっている。直接マイクロインジェクションは、細胞の核内に直接DNAを送達することができるこのような方法の1つである(Capecchi(1980)、Cell, 22: p479)。この方法は、単一細胞形質移入体の解析を可能にする。いわゆる「微粒子銃」方法は、パーティクルガンを用いて、細胞及び/又は細胞内小器官内にDNAを物理的に打ち込む(Neumann(1982)、EMBO J, 1: p841)。エレクトロポレーションは、ほぼ間違いなく、DNAを形質移入する最も一般的な方法である。この方法は、高電圧の電荷を用いて細胞膜を瞬間的に透過性にし、高分子複合体に対して透過性にすることを含む。
【0075】
つい最近になって、イムノポレーションと名付けられた方法が、細胞内に核酸を導入する技法として認識されてきた(Bildirici他、Nature(2000)、405, 298を参照)。この技法は、特異的な受容体に対する抗体で被覆したビーズの使用を含む。形質移入混合物は、核酸、典型的にはベクターDNA、抗体被覆ビーズ及び特異的細胞表面受容体を発現している細胞を含む。被覆ビーズは細胞表面受容体と結合し、剪断力が細胞に加えられると、ビーズは細胞表面から剥ぎ取られる。ビーズ除去の間、核酸及び/又は他の生体分子が入ることができる一時的な孔が作られる。用いられる核酸に応じて、40〜50%の形質移入効率が達成可能である。
【0076】
本発明のさらなる態様において、以下を含む、本発明によるポリペプチドを作製する方法が提供される:
(i)本発明によるベクター又は核酸で形質移入された細胞を、上記ポリペプチドの製造を誘導する条件で、増殖させること;及び
(ii)上記細胞又その増殖環境からの上記ポリペプチドを精製すること。
【0077】
本発明によるポリペプチドは、本発明による核酸を発現している細胞及び/又はベクターから、多数の方法により精製することができることが明確であろう。例えば、細胞は、細胞増殖培地からの単離に続いて、細胞膜からの上記ポリペプチドがタンパク質分解切断され得る。代替的には、ポリペプチドは、分泌されるか、又は細胞培養中で切断されて周囲の細胞増殖培地中にポリペプチドを放出することができる。次いでポリペプチドは順次、従来の技法により、細胞増殖培地から単離及び精製される(例えば、アフィニティーカラムクロマトグラフィー及び超遠心分離)。ポリペプチドはさらに処理され、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカーを除去することができる。
【0078】
本発明のさらなる態様よれば、少なくとも細胞表面で本発明によるポリペプチドを提示する細胞が提供される。
【0079】
細胞は、本明細書中に開示されるような、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカーを介して挿入する、且つ細胞膜に局在化するキメラポリペプチドと共にインキュベートされ得ることが、当業者には明白であろう。これらの細胞は、処置を必要としている被験体に投与されると、上記ポリペプチドに対する送達ビヒクルとして作用する。例えば、本発明によるポリペプチドは、被験体から採取された赤血球と共にインキュベートすることができ、続いて被験体に再投与される。
【0080】
また、本発明によるポリペプチドは、投与後に細胞膜に挿入されてもよい(すなわち、接合部又は全身に注入される場合、GPI含有ポリペプチドは細胞膜内に挿入され得る)。GPI含有サイトカインアンタゴニストは、局部的サイトカイン効果を遮断するのに、冠状動脈中に注入され得る。目下のところ一般的な問題は、冠状動脈が拡張した後の冠状動脈の炎症性再狭窄であり、サイトカインアンタゴニストの局部的注入により炎症反応を遮断することが望ましい。ペプチド自体を投与するか、又はペプチドGPIをコードするDNAを付加することにより局部的発現をさせるかのどちらかで挿入することができる。
【0081】
本発明のさらなる態様において、医薬品として用いられる本発明によるポリペプチド、核酸分子、ベクター又は細胞が提供される。
【0082】
上記ポリペプチド、核酸分子、ベクター又は細胞は、医薬組成物中にて使用されることが好ましい。
【0083】
投与される場合、本発明の医薬品/組成物は医薬上許容可能な調製物で投与される。そのような調製物は、医薬上許容可能な濃度の塩、緩衝化剤、保存料、適合キャリア及び任意の他の治療薬を、日常業務上必要に応じて含んでもよい。
【0084】
本発明の医薬品/組成物は、注射を包含する任意の従来経路で投与され得る。投与及び服用は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内(intracavity)、関節内、皮下、局所的(眼)、皮膚(例えばクリームリピド可溶を皮膚又は粘液膜に挿入されたもの)又は経皮であってもよい。
【0085】
本発明の医薬品/組成物は、有効量で投与される。「有効量」とは、単独又はさらなる投与量又は相乗的作薬品と併せて、所望の反応をもたらす医薬品/組成物の量である。これは、病気の進行を一時的に遅らせるだけということも含み得るが、より好ましくは、病気の進行を永久に停止させることを伴う。これは、日常業務上の方法でモニターされ得るか、又は診断法に従ってモニターされ得る。
【0086】
被験体に投与される医薬品/組成物の投与量は、種々の要因(parameters)によって、特に使用される投与様式及び被験体の状態(すなわち、年齢、性別)によって選択することができる。投与される場合、本発明の医薬品/組成物は、医薬上許容可能な量で、且つ医薬上許容可能な組成物で適用される。このような調製物は、塩、緩衝化剤、保存料、適合キャリア及び任意に他の治療薬を、日常業務上必要に応じて含んでもよい。薬に使用される場合、塩は医薬上許容可能であるべきだが、医薬上許容可能でない塩も、それらの医薬上許容可能な塩を調製するのに便宜上使用されてもよく、発明の範囲から排除されない。このような薬理学的且つ医薬上許容可能な塩として、以下の酸から調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等。同じく、医薬上許容可能な塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩等)として調製することができる。
【0087】
医薬品/組成物は、所望であれば、医薬上許容可能なキャリアと組み合わせてもよい。本明細書中で使用される用語「医薬上許容可能なキャリア」は、ヒトへの投与に適した1種又はそれ以上の、適合する固体又は液体充填剤、希釈剤又はカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」は、活性成分が組合わされて服用を容易にする、天然又は合成の、有機又は無機成分を示す。医薬組成物の構成成分もまた、所望の医薬的効果を実質的に損なう可能性がある相互作用がないような様式で、本発明の分子と、及びお互いに、共混合(co-mingled)し得る。
【0088】
医薬品/組成物は、適した緩衝化剤を含有してもよく、これには、塩状態の酢酸、塩状態のクエン酸、塩状態のホウ酸及び塩状態のリン酸を包含する。
【0089】
医薬品/組成物はまた、適した保存料(塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサール等)を必要に応じて任意に含んでもよい。
【0090】
医薬組成物は、便宜上、単位投薬(unit dose)形態で存在してもよく、且つ薬学の分野で既知の任意の方法により調製されてもよい。全ての方法は、活性剤を1種又はそれ以上の副成分を構成するキャリアと接触させる工程を含む。包括的に、組成物は、活性化合物を液体キャリア、微粉化固体キャリア又はその両方と均一且つ密接に接触させ、その後必要であれば生成物を成形することにより調製される。
【0091】
経口投与に適した組成物は、別個の単位(カプセル剤、錠剤、ロゼンジ等)として存在してもよく、それぞれが所定量の活性化合物を含有する。他の組成物として、水性液体又は非水性液体の懸濁液(シロップ、エリキシル剤又は乳濁液等)が挙げられる。
【0092】
非経口投与に適した組成物は、便宜上、滅菌水性又は非水性調製物を含み、これはレシピエントの血液と等張性であることが好ましい。この調製物は、適した分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の方法に従って配合され得る。滅菌注射用調製物はまた、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒の滅菌注射用溶液又は懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)であってもよい。許容可能な溶媒のうち、用いてもよいものは、水、リンガー溶液及び等張塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌した不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として従来より用いられる。この目的のため、任意の無刺激性不揮発性油が用いられてもよく、これには合成モノグリセリド又はジグリセリドが挙げられる。また、オレイン酸等の脂肪酸が注射用調製物に使用されてもよい。経口、皮下、静脈内及び筋肉内等の投与に適したキャリア配合物は、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、Mack Publishing Co. , Easton, PAに見いだされ得る。
【0093】
有利なことに、本発明によるポリペプチドを含む医薬調製物は、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカーの存在により、ミセルを形成することができる。ミセルの形成(投与前にin vitro、又は投与後にin vivoのどちらか)は、クリアランス速度が低下した巨大複合体の形成を可能にする。これは、投与されるポリペプチドを低有効量使うことを可能にし、有害な副作用を減少させる。
【0094】
類似した効果が、本発明のポリペプチドがリポソーム内に組込まれたときも見られる。リポソームは脂質ベースのベシクルであり、選択された治療薬を封入し、次いで被験体内に導入される。リポソームは、純正リン脂質又はリン脂質とホスホグリセリドとの混合物のどちらかから製造される。典型的には、リポソームは200nm未満の直径に製造され、これはリポソームの静脈注入を可能にし、且つ肺毛細管床を通過することを可能にする。さらに、リポソームの生化学的性質は、血管膜を横断する透過性を与え、選択された組織に近づく。リポソームは、比較的短い半減期を有する。ポリエチレングリコール(PEG)に被覆されたリポソームを含む、いわゆるSTEALTH(登録商標)リポソームが開発されてきた。PEG処理リポソームは、被験体に静脈内投与されたとき、有意に増大した半減期を有する。加えて、STEALTH(登録商標)リポソームは、網膜内皮系における取り込みの減少及び選択した組織での蓄積の増強を示す。加えて、選択した細胞/組織への薬剤の送達特異性を増大する、脂質ベースのベシクルと抗体(単数又は複数)を組み合わせる、いわゆるイムノリポソームが開発されてきた。
【0095】
送達手段としてのリポソームの使用は、米国特許第5,580,575号明細書及び米国特許第5,542,935号明細書に記載されている。
【0096】
本発明のさらなる態様によれば、有効量の本発明による核酸及び/又はベクター及び/又はポリペプチド及び/又は細胞を投与することを含む、動物、好ましくはヒトを処置する方法が提供される。
【0097】
本発明の実施形態を、以下の図を参照しながら、例によってのみ説明する。
【実施例】
【0098】
材料と方法
クローニング戦略
まず、GHRシグナル配列をベクター(pCR−3/GPI)中に挿入し、続いて発現したタンパク質を細胞膜への標的にさせた。BamHI部位及び(NdeI−EcoRV)部位で隣接されたGHRシグナル配列を、プライマーGHRss_for1及びGHRss_rev1を用いたPCRにより得た。この挿入は、BamHI及びEcoRV部位の間のpCR−3/GPI中に結合された。
【0099】
次いで、当該タンパク質を、GHRシグナル配列とThy−1(GPIアンカーシグナル配列)との間の、NdeI及びEcoRV制限部位の間のフレーム内(in-frame)に結合した。当該タンパク質をコードする遺伝子のどちらか一端に、適切な制限部位を生じさせるのにPCRを用いた。BamHI部位を遺伝子の上流に使用し、平滑切断制限酵素(EcoRV又はXmaI)をサブクローニングする遺伝子の下流に使用した(図1)。
【0100】
a)GH−GPI(図2)
プライマーGH2GPI_for1及びGH2GPI_rev1(表1)をPCR反応に用い、NdeI及びEcoRV部位で隣接されたhGH遺伝子を増幅した。得られたPCR産物をこれらの制限酵素で消化し、次いでNdeI/EcoRV二重消化pCR3−GPI中に結合した。次いでこれを大腸菌XL1 Blue細胞中に結合した(ligated)。
【0101】
b)1B1−GPI(図3)。1B1は、そのC末端を介してGH受容体の細胞外ドメインと結合したGHであり、GPIシグナル配列に結合している。1B1遺伝子はすでにEcoRV制限部位を含有しているため、NdeI及びXmaI制限部位の間に、プライマーGH2GPI_for1及び1B12GPI_rev1を用いて挿入を生じた(表1)。得られたPCR産物をこれらの制限酵素で消化し、NdeI/EcoRV二重消化pCR3−GPI中に結合した。次いでこれを大腸菌XL1 Blue細胞中に結合した(ligated)。
【0102】
c)1C1−GPI(図4)。1C1は、第二のGH C末端を介してGHシグナル配列と結合したGHのタンデムである。プライマーGH2GPI_for1及びGH2GPI_rev1(表1)をPCR反応に用いて、NdeI及びEcoRV部位にフランクされた1C1遺伝子を増幅した。得られたPCR産物をこれらの制限酵素で消化し、NdeI/EcoRV二重消化pCR3−GPI中に結合した。次いでこれを大腸菌SURE細胞中に結合した(ligated)。
【0103】
CHO細胞への一過性形質移入
CHO細胞を70%コンフルエントに増殖させ、次いで3μgのベクター(例えば、pCR−3/GHBP−GPI)で、LT1試薬キット(Corrus Scientific Ltd.)を用いて形質移入した。次いで細胞を一晩、37℃で増殖させた。
【0104】
CHO細胞への安定形質移入
CHO細胞を70%コンフルエントに増殖させ、次いで8μgのベクター(例えば、pCR−3/GHBP−GPI)で、Fugene 6 methodology(Roche)を用いて形質移入した。24時間のインキュベーション後、細胞上の培地を選択培地(400μg/mlのG418を含むCHO細胞培地)と取り替えた。必要な場合、細胞を新しい100mmシャーレ上に分割した(1:3)。シャーレをさらに2〜3日間インキュベートした。
【0105】
培地をもう1回選択培地(今回は1,000μg/mlのG418が添加されている)と取り替え、さらに2日間増殖させた。次いで細胞を、選択培地を有する新しいシャーレ上に分割し(1:10)、さらに4日間インキュベートした。
【0106】
培地をもう1回選択培地と取り替え、シャーレを一週間インキュベートした。この時点で、非形質移入細胞は死んでいるはずであり、形質移入細胞のみが残される。細胞を次いでFAC選別/解析用に処理し、発現レベルを決定した。
【0107】
チャコールアッセイ
この検定は、液体培地中に存在する結合タンパク質の量を決定するのに使われる。
【0108】
未知量の結合タンパク質(例えば、GHBP−GPI又はObr−GPI)を含有する溶液を、I125リガンド(例えば、I125GH又はI125レプチン)を加え、4℃で一晩、回転輪上でインキュベートした。次に、デキストラン被覆チャコール(Sigma、C−6197)をチューブに加え、これを室温で15分間、回転輪上でインキュベートした。チューブを13,000rpmで12分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移した。全結合(TB)をガンマ線測定器を用いて測定した。
【0109】
また、非特異的結合(NSB)を、I125リガンドに加えて過剰量の「非放射性(cold)」リガンドを加えること以外は、上記手順を繰り返すことによって測定した。I125リガンド単独でもこの方法で処理したが、このサンプルにはデキストラン被覆チャコールを加えなかったため、総数(TC)が得られた。
【0110】
特異的結合割合(PSB)を以下の式を用いて計算した:
PSB=(TB−NSB/TC)×100。
【0111】
各サンプルについてチャコールアッセイを3回ずつ行い、平均PSBを計算した標準誤差で報告した。
【0112】
このアッセイを、pCR−3/GHBP−GPIで形質移入(一過性又は安定)した細胞から、48時間後に培地中に放出されたGHBPの量を測定するのに用いた。検定前に、Centricon30カラムを用いて、培地を20倍に濃縮した。また、pCR−3/GPIで形質移入した細胞からの培地を同じ方法で処理した(図5)。
【0113】
精製
a)GHBP−GPIを安定に発現しているCHO−K1細胞系統からの可溶性及び膜分画の調製
非形質移入又はGHBP−GPI発現のどちらかのCHO−k1細胞を、100cmシャーレ上でコンフルエントまで増殖させた。24〜48時間の血清飢餓の後、培地を除去し、CentriconYM−10ろ過カラムを用いて濃縮及び脱塩し、−80℃で凍結した。
【0114】
膜の調製のため、細胞を先ずPBS、続いてプロテアーゼインヒビターカクテルを含む新たなPBS(1μg/mlのアプロチニン、アンチパイン、ペプスタチン、ロイペプチン、156.5μg/mlのベンズアミジン塩酸塩及び40μg/mlのPMSF。これは「PBSコンプリート」と称される)で洗浄した。過剰なPBSを排出し、細胞をプレートからこすり取り、Dounce homogeniserを用いて溶解させた。
【0115】
溶解物を先ず、2.5krpmで10分間、4℃で低速度スピンにかけた。得られたペレットは、核及び細胞残屑を含有する(P1分画)。上清(S1分画)は濁っており、細胞質及び膜結合分画を含有した。S1分画を回収し、40krpmで1時間、4℃で高速度スピンにかけた。上清(S2分画、可溶性細胞質物質を含有する)を回収し、−80℃で凍結した。ペレット(P2分画、不溶性膜結合物質を含有する)をPBSコンプリートで洗浄し、再び前と同じように遠心分離した。
【0116】
P2分画を0.1%(v/v)のTritonX−100を加えたPBSコンプリート中に再懸濁し、分割して−80℃で凍結した。GHBPの発現を、抗GHBP抗体を用いてウェスタンブロッティングにより確認した(図6)。
【0117】
b)GHアフィニティーカラムの調製
GHを、CNBr活性セファロースに以下の方法により共有結合させた。簡単には、0.5gのCNBr活性セファロース4fast flow(Sigma:C−5338、ロット番号:91K1548)を、10mlの氷冷した1mM HCl中に再懸濁し、次いで膨張したマトリックスを100mlの同じ溶液で洗浄した。洗浄したマトリックスを直ちに、計3mgのrhGHを含有する0.1M NaHCO/0.5M NaClの溶液(pH8.3)(カップリング緩衝液)3mlに加えた。溶液を室温で2時間、静かに混合し、続いてカップリング緩衝液で洗浄した。いずれも残っている活性基を、0.2Mのグリシン(pH8.0)と共に室温で2時間インキュベートすることによりブロックした。非特異的結合タンパク質を除去するため、マトリックスを、カップリング緩衝液続いて0.1M 酢酸ナトリウム/0.5M NaCl(pH4.5)で交互に洗浄した。0.02%NaNを含有するPBS(pH7.4)中に、4℃でマトリックスを保存した。
【0118】
c)CHO−K1培地からのGHBPの精製
GH結合カラムを、4℃で、10×カラム容積のPBSで平衡化した。濃縮及び脱塩したGHBP含有培地を、重力流下でカラム内を流れさせた。この過程を4回まで繰り返した。カラムをPBSで洗浄し、結合タンパク質を再び重力流下で、3MのKSCNを用いて溶出した。得られた溶出物を、Amicon ultrafree−MC遠心ろ過ユニット(30,000分画分子量)を用いて脱塩及び濃縮した。サンプルをSDS−PAGE及びウェスタンブロッティング技法により分析した。
【0119】
この手法は、0.1%Tritonが全ての緩衝液中に存在するものの、膜結合タンパク質を精製するのにも使われる。
【0120】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】GPI結合タンパク質を生じるクローニング戦略を示す。当該遺伝子は、NdeI(「粘着性」切断因子)及びEcoRV/XmaI(平滑末端切断因子)制限部位の間に、PCRにより位置する。次いで、PCR産物をNdeI及びEcoRV/XmaIで消化し、得られた産物をpCR−3/GHRss−GPI中のNdeI及びEcoRV部位の間に結合させ、GPI結合タンパク質が発現し得るベクターを得る。
【図2】GH−GPI構築物のヌクレオチド及びアミノ酸配列を示す。元のpCR−3/GPIベクターからの配列は下線で、プロモーターと開始コドン(ATG)の間のリンカー配列は黒地に白で、続くGHRシグナル配列は同様の色の斜体で示される。GH配列は大文字(CAPITALS)で示され、GHタンパク質とGPIアンカーの間の結合部は灰色地に黒で、GPIシグナル配列は斜体と下線で示される。全ての関連する制限部位は太字であり、BamHI(ggatcc)、NdeI(catatg)及びEcoRV(gatatc)を含む。
【図3】1B1−GPI構築物(1B1は、GHRに結合したGHである)のヌクレオチド及びアミノ酸配列を示す。オリジナルのpCR−3/GPIベクターからの配列は下線で、プロモーターと開始コドン(ATG)の間のリンカー配列は黒地に白で、続くGHRシグナル配列は同様の色の斜体で示される。1B1配列は大文字(CAPITALS)で示され、1B1タンパク質とGPIアンカーの間の結合部は灰色地に黒で、GPIシグナル配列は斜体と下線で示される。全ての関連する制限部位は太字であり、BamHI(ggatcc)、NdeI(catatg)及びXmaI(cccggg)を含む。
【図4】1C1−GPI構築物(1C1は、タンデムとしてGHに結合したGHである)のヌクレオチド及びアミノ酸配列を示す。元のpCR−3/GPIベクターからの配列は下線で、プロモーターと開始コドン(ATG)の間のリンカー配列は黒地に白で、続くGHRシグナル配列は同様の色の斜体で示される。1C1配列は大文字(CAPITALS)で示され、1C1タンパク質とGPIアンカーの間の結合部は灰色地に黒で、GPIアンカーシグナル配列は斜体と下線で示される。全ての関連する制限部位は太字であり、BamHI(ggatcc)、NdeI(catatg)及びEcoRV(gatatc)を含む。
【図5】GHBPに関するチャコールアッセイを示す。アッセイは、一過性及び安定形質移入CHO細胞から、48時間後に培地中に放出されたGHBPの量の比較を示す。全ての場合において、チャコールアッセイを行う前に、Centricon30カラムを用いて培地を20倍濃縮した。
【図6】CHO細胞内で発現したGHBP−GPIの膜精製からのサンプルのウェスタンブロットを示す。マウス抗GHBP抗体(2C8+263)でプローブし、次いでペルオキシダーゼ標識した抗マウスIgGでプローブすることにより、ウェスタンブロットを生じた。ブロット上のレーンは、1.陽性対照:GHBP−GPI(安定クローン)、2.非形質移入細胞(P1)、3.非形質移入細胞(P2)、4.非形質移入細胞(S1)、5.分子量スタンダード(25、37、50、75、100、150及び200kDa)、6.非形質移入細胞からの培地、7.GHBP−GPI(安定クローン)(P1)、8.GHBP−GPI(安定クローン)(P2)、9.GHBP−GPI(安定クローン)(S1)及び10.GHBP−GPI(安定クローン)からの培地を含む。ブロットは、膜プレップ(レーン8)においてGHBP−GPIが首尾よく精製されたことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのグリコシルホスファチジルイノシトール分子の結合を行う配列を含むドメインを包含ように操作されたキメラポリペプチドであって、該ポリペプチドはサイトカイン受容体のリガンド結合ドメインではなく、医薬品として使用される、キメラポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドは、サイトカイン又はその変異体である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ドメインは以下のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載のポリペプチド:
PSPTPTETATPSPTPKPTSTPEETEAPSSATTLISPLSLIVIFISFVLLI。
【請求項4】
前記ドメインは以下のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載のポリペプチド:
LVPRGSIEGRGTSITAYNSEGESAEFFFLLILLLLLVLV。
【請求項5】
前記ドメインは以下のアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載のポリペプチド:
TSITAYKSEGESAEFFFLLILLLLLVLV。
【請求項6】
前記ポリペプチドは、少なくとも1つのグリコシルホスファチジルイノシトール分子を包含する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のキメラポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドは、成長ホルモン;レプチン;エリスロポイエチン;プロラクチン;TNF;インターロイキン(IL)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10及びIL−11;IL−12のp35サブユニット、IL−13及びIL−15;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);毛様神経栄養因子(CNTF);カルジオトロフィン−1(CT−1);白血病抑制因子(LIF);オンコスタチンM(OSM);インターフェロン、IFNα及びIFNγから成る群より選択される、請求項2〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記ポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失又は置換により修飾され、それにより該ポリペプチドの配列変異体を提供する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記変異体ポリペプチドは、少なくとも1つの成長ホルモン受容体結合ドメインが修飾された成長ホルモンである、請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記成長ホルモン受容体結合ドメインは、成長ホルモンの部位1中にある、請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記成長ホルモン受容体結合ドメインは、成長ホルモンの部位2中が修飾される、請求項9に記載のキメラポリペプチド。
【請求項12】
前記成長ホルモン受容体結合ドメインは、成長ホルモンの部位1及び部位2中が修飾される、請求項9に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記修飾は、図2における成長ホルモンアミノ酸配列に示されるように、ヒスチジン18をアラニン又はアスパラギン酸で;及び/又はヒスチジン21をアスパラギンで:及び/又はグルタミン22をアラニンで;及び/又はフェニルアラニン25をアラニンで;及び/又はアスパラギン酸26をアラニンで;及び/又はグルタミン29をアラニンで;及び/又はグルタミン酸167をアラニンで;及び/又はアスパラギン酸171をセリンで;及び/又はリジン172をセリン又はアラニンで;及び/又はイソロイシン179をチロシンで修飾することから成る群より選択される、請求項10〜12のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記修飾は、図2におけるGHアミノ酸配列に示されるように、ヒスチジン18をアスパラギン酸で;ヒスチジン21をアスパラギンで;アルギニン167をアスパラギンで;アスパラギン酸171をアルギニンで;グルタミン酸174をセリンで;及びイソロイシン179をスレオニンでのアミノ酸置換から構成される、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記修飾は、図2におけるGHアミノ酸配列に示されるように、ヒスチジン18とアラニン;グルタミン22とアラニン;フェニルアラニン25とアラニン;アスパラギン酸26とアラニン;グルタミン29とアラニン;グルタミン酸65とアラニン;リジン168とアラニン;及びグルタミン酸174とアラニンのアミノ酸置換から構成される、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記部位2修飾は、図2に提示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基グリシン120に対する、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記部位2修飾は、グリシンの、アルギニン、アラニン、リジン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン及びグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸への置換である、請求項16に記載のキメラポリペプチド。
【請求項18】
前記部位2置換は、グリシン120を、アルギニン又はリジン又はアラニンへ、である、請求項17に記載のキメラポリペプチド。
【請求項19】
前記キメラポリペプチドは抗体である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項20】
前記抗体は、モノクローナル抗体又はその活性結合フラグメントである、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記モノクローナル抗体はヒト化抗体である、請求項20に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記モノクローナル抗体はキメラ抗体である、請求項20に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記活性結合フラグメントは、F(ab’)、Fab、Fv及びFdフラグメント;CDR3領域;及び単鎖抗体フラグメントから成る群より選択される、請求項20に記載のキメラポリペプチド。
【請求項24】
前記活性結合フラグメントは単鎖抗体フラグメントである、請求項23に記載のポリペプチド。
【請求項25】
オリゴマーポリペプチドであって、前記ポリペプチドは少なくとも2つの請求項1〜24に記載のポリペプチドを含み、且つ2つのポリペプチドは結合分子を介して結合する、オリゴマーポリペプチド。
【請求項26】
前記リンカーは、少なくとも1コピーのペプチド:Gly Gly Gly Gly Serを含む、請求項25に記載のオリゴマーポリペプチド。
【請求項27】
前記リンカーは、少なくとも2、3、4又は5コピーの前記リンカーを含む、請求項26に記載のオリゴマーポリペプチド。
【請求項28】
前記リンカーはさらに、プロテアーゼ感受性部位を含む、請求項25〜27のいずれか1項に記載のオリゴマーポリペプチド。
【請求項29】
前記切断部位は、血清プロテアーゼに対して感受性である、請求項28に記載のオリゴマーポリペプチド。
【請求項30】
前記切断部位は、以下のアミノ酸配列を含む、請求項29に記載のオリゴマーポリペプチド:
LVPRGS。
【請求項31】
前記切断部位は、以下のアミノ酸配列を含む、請求項29に記載のオリゴマーポリペプチド:
PGISGGGGGGSGGGG。
【請求項32】
前記切断部位は、以下のアミノ酸配列を含む、請求項29に記載のオリゴマーポリペプチド:
LVPRGSPGISGGGGGG。
【請求項33】
前記切断部位は、該切断部位を隣接する少なくとも2コピーのアミノ酸配列SGGGGを含む、請求項29に記載のオリゴマーポリペプチド。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子。
【請求項35】
請求項34に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項36】
前記ベクターは、真核遺伝子発現に適合する発現ベクターである、請求項35に記載のベクター。
【請求項37】
請求項34〜36のいずれか1項に記載の核酸分子又はベクターで形質移入される細胞。
【請求項38】
請求項1〜33のいずれか1項に記載のポリペプチド又はオリゴマーポリペプチドを作製する方法であって、
i)請求項37に記載の細胞を、前記ポリペプチドの製造を誘導する条件で増殖させること、及び
ii)前記細胞又その増殖環境からの前記ポリペプチドを精製すること
を含む、作製する方法。
【請求項39】
細胞であって、少なくともその細胞表面で、請求項1〜33のいずれか1項に記載のポリペプチド又はオリゴマーポリペプチドを提示する、細胞。
【請求項40】
有効量の請求項1〜37又は39のいずれか1項に記載の核酸及び/又はベクター及び/又はポリペプチド及び/又は細胞を投与することを含む、動物、好ましくはヒトを処置する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−527695(P2007−527695A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506114(P2006−506114)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001572
【国際公開番号】WO2004/090135
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(502452978)アステリオン・リミテッド (13)
【Fターム(参考)】