説明

グルタチオンSトランスフェラーゼおよびコラーゲンIVの阻害剤としてのCHPの使用

本発明は、グルタチオンSトランスフェラーゼおよび/またはコラーゲンIVを阻害するためのシス−ヒドロキシプロリンの使用、さらにインビトロまたはインビボでグルタチオンSトランスフェラーゼおよび/またはコラーゲンIVの濃度を低下させるために使用される方法、さらに抗コラーゲンIV/コラーゲンIV低下剤またはグルタチオンSトランスフェラーゼ剤/グルタチオンSトランスフェラーゼ低下剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタチオンSトランスフェラーゼおよび/またはコラーゲンIVを阻害するためのシス−ヒドロキシプロリン(CHP)の使用、インビトロまたはインビボでグルタチオンSトランスフェラーゼおよび/またはコラーゲンIVの濃度を低下させるか、あるいは活性を減少させる方法、および抗コラーゲンIV剤/コラーゲンIV低下剤または抗グルタチオンSトランスフェラーゼ剤/グルタチオンSトランスフェラーゼ低下剤に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、代謝性疾患、自己免疫疾患、神経系疾患および/または腫瘍を処置する多数の選択肢が報告されている。上記疾患は併発することが多いが、併発型の上記疾患を処置することができる利用可能な薬剤は存在しない。
【0003】
より詳細には、その理由は、代謝性疾患、自己免疫疾患、神経系疾患、ならびに腫瘍疾患および/または他の病変の発症に関連する多機能性標的が検出されていないからである。したがって、前記標的に対して作用し、前述の疾患の発症を併せて妨げる利用可能な方法または薬剤は存在しない。
【0004】
先行技術では、多数の疾患に関連する主要標的が一致していないにもかかわらず、生体中に存在するいくつかの生体分子が報告され、該分子に関して、生物の病変に対する関連性が文献中で考察されている。例えば中性エンドペプチダーゼ(NEP)および他のメタロ−エンドペプチダーゼである。
【0005】
さらに具体的には、いわゆるマーカー分子が関係している。マーカー分子が特定濃度範囲内で存在すれば、疾患に関連する生体中の特定変化に関する証拠が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規主要標的を検出すること、および医薬剤および方法であって、それを用いて活性または、それぞれの、主要標的の濃度を阻害または抑制することができる医薬剤および方法を提供すること、すなわち、主要標的の低下剤として使用することができる薬剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、シス−ヒドロキシプロリンを使用して、主要標的であるコラーゲンIVおよび/またはグルタチオンSトランスフェラーゼの濃度または活性を阻害できることを発見した。より詳細には、本発明の意義でのシス−ヒドロキシプロリン(CHP)はシス−ヒドロキシ−L−プロリンおよびその塩である。
【0008】
CHPは、単離された化合物として、あるいは他の化合物との混合物として、あるいは生物の体内で遊離型のCHPに変換されるプロドラッグとして使用することができる。GST、特にαGST、およびコラーゲンIVの阻害または抑制はインビトロおよびインビボで達成することができる。例えば、インビボでの阻害は、生体内、例えば動物またはヒト個体内での阻害であってよく、インビトロでの阻害は、例えば、細胞生物学用の培養容器中の組織構造、例えば肝臓構造中での阻害であってよい。
【0009】
当然、体外循環中、例えば動物またはヒト患者に連結されている人工肝臓中で阻害を適用することもできる。
【0010】
CHPはインビトロおよびインビボの両環境で阻害効果を有し得る。インビボ系、例えば患者では、CHPの経口または静脈内または筋肉内適用が想定できる。インビトロ系では、CHPを、粉末または溶液形式で、あるいは担体、例えばリポソームと組み合わせてインビトロ系内に直接供給するか、あるいは培養液、例えば栄養液とあらかじめ混合し、後に系に組み入れることが例えば想定できる。
【発明の効果】
【0011】
細胞培養または生体中でのGST阻害または低下および/またはコラーゲンIV阻害または低下は、多数の影響を有する。生体またはインビトロ培養中で、例えば、GSTはGSHに結合する能力を有し、GSHを細胞外輸送用に処理する。腫瘍細胞の事象では、これは下記のことを意味する:GSTは腫瘍細胞の発癌成分(oncogens)または他の成分をGSHに結合させ、それらを細胞外領域内へ運び、とりわけ拡散(伝播)効果を生じさせ、その結果、転移を形成させる。GSH結合が増加すると、GSHはもはや他の細胞過程に利用可能ではなくなり、したがって細胞で病変が生じる。さらに、腫瘍細胞断片が結合すると、細胞内で異なる様式の情報処理が生じ、異なる様式で機能が進行するようになり、それによって細胞の形質転換が開始または促進される。さらに、前述の処理はアポトーシスを促進する。
【0012】
しかし、CHPによって生じる阻害の影響は、発癌物質に対する高い耐性および発癌の阻害だけではない。前記阻害の他の二次応答には、例えば自己免疫疾患の治療または軽減、化学療法後または化学療法と並行した細胞の再生、妨害ラジカルの除去による加齢過程の軽減、感染症ならびに代謝性疾患、特に肝臓、膵臓、腸および/または胃の処置が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
好ましい様式では、前記GST阻害の二次過程はコラーゲンIV阻害の他の化学的二次過程と関連している。特に、コラーゲンIV阻害の二次過程は、このグリコール−タンパク質の主要コラーゲンドメインを介して腫瘍細胞がドッキングし、そして細胞に浸潤および侵入する事実に起因して生じる。しかし、コラーゲン阻害は、腫瘍疾患における転移および浸潤および侵襲を減少させるだけでなく、正常組織が結合組織に再構築されているすべての炎症性疾患、例えば肺線維症、肝硬変、膵線維症および/または糸球体硬化症において治療効果を示す。さらにまた、コラーゲンIV阻害は、例えば、強皮症/マルファン症候群、血管疾患、代謝性疾患、自己免疫疾患、およびアルツハイマー病の場合のような神経組織が結合組織に変化している神経系疾患、いわゆるグリオーシスに対して良好な影響を示す。CHPによるコラーゲンIVの阻害に加えて、特に最後に述べた疾患において、支援的/追加的治療の形式で、線維化を誘発するパラレルメディケーション、例えばブレオマイシン/ブスルファンを投与することが当然可能である。
【0014】
また本発明は、生体中および/またはサンプル中のコラーゲンIVおよび/またはGSTの阻害方法であって、生物またはサンプルをCHPと接触させる方法に関する。例えば、化学療法後の生体中の細胞を再生させる併用療法において本方法を使用することができる。例えば、処置対象の生物またはサンプルとCHPの接触は、経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経膣、経直腸、局所および/または舌下的に行うことができる。
【0015】
また本発明は、場合により標準的補助剤とともに、CHPを含む、抗コラーゲンIV剤および/または抗GST剤またはコラーゲンIV低下剤またはGST低下剤に関する。より具体的には、前記標準的補助剤は、製薬的に許容される担体、アジュバントおよび/またはビヒクルであり、該担体は、充填剤、希釈剤、結合剤、湿気付与剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸着剤および/または滑沢剤を含む群から選択される。CHPを含むコラーゲンIV低下剤または阻害剤またはGST低下剤または阻害剤は、ゲル剤、粉剤(poudrage)、粉末剤、錠剤、徐放錠、プレミックス(premix)、エマルジョン、ブリューアップ(brew−up)製剤、点滴剤(drops)、濃縮物(concentrate)、注入用溶液剤、顆粒剤(granulate)、シロップ剤、ペレット剤、大形丸剤、カプセル剤、エアロゾル剤、噴霧剤および/または吸入剤の剤形で調製および/または使用することができる。好ましい様式では、0.1〜99.5、好ましくは0.5〜95、より好ましくは1〜80重量%の濃度でCHPを製剤中に存在させる。特に好ましい様式では、製剤は、CHPが1〜2重量%の範囲で存在する注入用溶液剤である。
【0016】
本発明の別の実施態様では、0.05〜1000mg/体重kg、好ましくは5〜450mg/体重kg/24時間の総量でCHPを使用する。
【0017】
コラーゲンIV阻害剤またはGST阻害剤またはCHPを単独で使用して、0.1〜100g/日/患者が投与されるようにすることができる。当然、一日量を分割し、2、4、6または10回またはそれ以上の回数で、対応する分割量を生物と接触させることも想定できる。
【0018】
コラーゲンIVおよび/またはGST、好ましくはαGSTのCHPによる阻害を、好ましくは、(i)炎症、特に好ましくは(ii)自己免疫疾患の処置において使用する。
【0019】
(i)本発明の意義での炎症とは、外部または内部的に誘発された炎症性刺激に対する、結合組織および血管によって媒介される生物の反応であり、この反応の目的は、該刺激を排除または不活性化し、該刺激に起因する組織損傷を修復することである。誘発作用は、機械的刺激(異物、圧力、傷害)および他の物理的要因(電離放射線、紫外光、熱、寒冷)、化学物質(アルカリ性溶液、酸、重金属、細菌毒素、アレルゲン、および免疫複合体)、および病原体(微生物、寄生虫(worms)、昆虫)、または異常代謝産物(pathologic metabolites)、脱線(derailed)酵素、悪性腫瘍に起因して生じる。この過程は、短時間の細動脈の狭窄(アドレナリン作用に起因)から開始され、不適切な循環および組織変化を伴い、その後、典型的な局所炎症性の徴候(GALENおよびCELSUSに基づく主徴)、すなわち発赤(reddening)(=潮紅(rubor);ヒスタミンに起因する血管拡張)、熱感(heat)(=熱(colar);代謝の局所増加に起因)、腫脹(=腫瘍;ヒスタミンによって変化した血管壁からのタンパク質に富む体液の分泌に起因し、これは前充血から静止までの意味で減速した血液循環によって特に支援される)、痛み(pain)(=疼痛(dolor);組織間緊張の増加および発痛性(algogenic)炎症産物、例えばブラジキニンに起因)、および機能障害(functional disorders)(=functio laesa)由来の徴候が発症する。この過程は、電解質代謝の障害(鉱質移動)、血管壁を通過する好中性顆粒球および単球の浸潤(invasion)(白血球遊走を参照)を伴い、その目的は炎症性刺激および損傷〜壊死細胞を排除すること(食作用)であり;さらにまた、リンパ球エフェクター細胞の浸潤を伴い、これにより炎症性刺激に対する特異的抗体の形成を生じ(免疫反応)、ならびに好酸球の浸潤(治癒期またはアレルギー−ヒペルエルギー過程(の非常に初期))を伴う。反応中に発生する補体系の活性化に起因して、該系の断片(C3aおよびC5a)が遊離し、これらは−ヒスタミンおよびブラジキニンと同様に−炎症メディエーターとして、すなわち前述の血液細胞の走化性を刺激する意味で作用し;さらにまた、血液凝固が活性化される。結果的に、関連器官実質の損傷(異栄養症および凝固壊死)が生じる。炎症の強度および種類に依存して、生体全体は、発熱、ストレス(環境適応症候群を参照)、白血球増加および血漿タンパク質組成の変化(急性期反応)で反応し、赤血球沈降の加速が生じる。本発明の意義での好ましい炎症は、化膿性、滲出性、線維素性、壊疽性(gangrenescent)、肉芽腫性、出血性、カタル性、壊死性、繁殖性または増殖性、偽膜性、漿液性、特異性および/または潰瘍性炎症である。
【0020】
(ii)本発明の意義での自己免疫疾患とは、自己抗体の形成および生体全体または器官系に対するその損傷作用に完全にまたは部分的に起因する疾患であり、すなわち自己攻撃に起因する疾患である。器官特異的、中間および/または全身性自己免疫疾患に分類することができる。好ましい器官特異的自己免疫疾患は、橋本甲状腺炎、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症(バセドウ病)、悪性貧血、アジソン病、重症筋無力症および/または若年型糖尿病である。好ましい中間性自己免疫疾患(intermediary autoimmune diseases)は、グッドパスチャー(GOODPASTURE)症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性白血球減少症、特発性血小板減少症、尋常性天疱瘡、交感性眼炎、原発性胆汁性肝硬変(primary bile cirrhosis)、自己免疫性肝炎、潰瘍性大腸炎および/またはシェーグレン症候群である。好ましい全身性自己免疫疾患は、関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、進行性全身性硬化症、ウェゲナー肉芽腫症、結節性汎動脈炎(panarteritis nodosa)および/または過敏性血管炎である。典型的な自己免疫疾患は、甲状腺中毒症、甲状腺に起因する粘液水腫、橋本甲状腺炎、汎発性(generalized)内分泌疾患、悪性貧血、慢性A型胃炎、血液の単一または全血球要素の疾患(例えば、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少症または血小板症;特発性白血球減少症または無顆粒球症)、尋常性天疱瘡および類天疱瘡、交感性眼炎、および多数の形式のブドウ膜炎、原発性胆汁性肝硬変(primarily biliary liver cirrhosis)および慢性攻撃的自己免疫性肝炎、I型糖尿病、クローン病および潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、アジソン病、播種性紅斑性狼瘡および円板状の該疾患、皮膚筋炎および強皮症のような疾患、関節リウマチ(=原発性慢性多発性関節炎(primarily chronic polyarthritis))、抗糸球体基底膜腎炎である。その基本原理は、自己決定因子に対する免疫寛容の崩壊に起因する攻撃的免疫反応およびTサプレッサー細胞(リンパ球マーカーT8を有する)の活性の減少またはサプレッサー細胞に対するTヘルパー細胞(リンパ球マーカーT4を有する)の過剰であり;さらにまた、例えば宿主タンパク質をハプテン(例えば薬物)とカップリングすることによって、自己寛容が成熟するまで発生していない個体発生的組織によって、例えばウイルスまたは細菌感染に関連した、タンパク質のコンフォメーション変化に起因して脱遮蔽されたタンパク質成分によって;ならびに異常増殖に関連して形成される新規タンパク質によって、自己抗原の形成が可能である。
【0021】
好ましい実施態様では、処置または予防的阻止、または再発予防対象の癌性疾患または腫瘍は、耳−鼻−咽頭領域、肺、縦隔、消化管、泌尿生殖器系、婦人科学系、乳房、内分泌系、皮膚の癌性疾患または腫瘍疾患、骨および軟組織肉腫、中皮腫、黒色腫、中枢神経系の新生物、乳児期の癌性疾患または腫瘍疾患、リンパ腫、白血病、腫瘍随伴症候群、未知の原発腫瘍を伴う転移(CUP症候群)、腹膜癌症(peritoneal carcinomatoses)、免疫抑制関連悪性腫瘍および/または腫瘍転移の群から選択される。
【0022】
さらに具体的には、前記腫瘍は下記種類の癌を含んでよい:乳房、前立腺および結腸の腺癌;気管支を発端にする全形式の肺癌;骨髄癌、黒色腫、肝細胞腫、神経芽細胞腫;乳頭腫;アプドーマ、分離腫、鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患、癌腫(例えば、ウォーカー癌、基底細胞癌、扁平基底癌(squamobasal carcinoma)、ブラウン・ピアース癌、管癌、エールリッヒ腫瘍、上皮内癌(in situ carcinoma)、2型癌(cancer-2 carcinoma)、メルケル細胞癌、粘膜癌、非小細胞性気管支癌、エンバク細胞癌、乳頭状癌、硬癌、細気管支肺胞上皮癌、気管支癌、扁平上皮癌および移行上皮癌);組織球性機能障害;白血病(例えばB細胞白血病、混合細胞白血病、ヌル細胞白血病、T細胞白血病、慢性T細胞白血病、HTLV−II関連白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、肥満細胞白血病、および骨髄球性白血病に関連);悪性組織球増殖症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、孤立性形質細胞腫;細網内皮症、軟骨芽細胞腫;軟骨腫、軟骨肉腫;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;白血肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;ユーイング肉腫;滑膜腫;腺線維腫;腺様リンパ腫;癌肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、未分化胚細胞腫、過誤腫;間葉細胞腫;中腎腫、筋肉腫、エナメル上皮腫、セメント腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫、絨毛膜癌;腺癌、腺腫;胆管腫;コレステリン腫;円柱腫(cylindroma);嚢胞腺癌、嚢腺腫;顆粒膜細胞腫;男女性胚腫(gynadroblastoma);汗腺腫;島細胞腫瘍;ライディッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫、卵胞膜細胞腫、平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫;筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣細胞腫;節神経細胞腫、神経膠腫;髄芽腫、髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫、神経線維腫、神経腫、傍神経節腫、非クロム親和性傍神経節腫、角化血管腫、好酸球増加随伴性血管類リンパ組織増殖症;硬化性血管腫(sclerotizing angioma);血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮細胞腫、血管肉腫;リンパ管腫、リンパ管筋腫(lymphangiomyoma)、リンパ管肉腫;松果体腫;葉状嚢肉腫;血管肉腫;リンパ管肉腫;粘液肉腫、卵巣癌;肉腫(例えば、ユーイング肉腫、試験的に、カポジ肉腫および肥満細胞肉腫);新生物(例えば、骨新生物、乳房新生物、消化器系の新生物、結腸直腸新生物、肝臓新生物、膵臓新生物、下垂体新生物、精巣新生物、眼窩新生物、頭部および頸部の新生物、中枢神経系の新生物、聴覚器官、骨盤、気道および尿生殖路の新生物);神経線維腫症および頸部扁平上皮形成異常(cervical squamous cell dysplasia)。
【0023】
別の好ましい実施態様では、処置または予防的阻止、または再発予防対象の癌性疾患または腫瘍は、本発明の規定でのMUC1を含む細胞を含む癌性疾患または腫瘍疾患であって、下記の群から選択される疾患の群から選択される:耳−鼻−咽頭領域の腫瘍、例えば内鼻(inner nose)、副鼻腔、上咽頭、唇、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、耳、唾液腺の腫瘍、および傍神経節腫、肺の腫瘍、例えば非小細胞性気管支癌、小細胞性気管支癌、縦隔の腫瘍、消化管の腫瘍、例えば食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢および胆道、小腸の腫瘍、結腸および直腸癌および肛門癌、泌尿生殖器の腫瘍、例えば腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎および精巣の腫瘍、婦人科学的腫瘍、例えば子宮頸部、膣、外陰の腫瘍、子宮癌、悪性栄養膜疾患、卵巣癌、卵管の腫瘍(Tuba Faloppii)、腹腔の腫瘍、乳癌、内分泌器官の腫瘍、例えば甲状腺、副甲状腺、副腎皮質の腫瘍、内分泌膵臓腫瘍、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群、多発性内分泌腫瘍、骨および軟組織肉腫、中皮腫、皮膚腫瘍、黒色腫、例えば皮膚および眼内黒色腫、中枢神経系の腫瘍、乳児期の腫瘍、例えば網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、神経線維腫症、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫腫瘍ファミリー、横紋筋肉腫、リンパ腫、例えば非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系の原発性リンパ腫、ホジキン病(morbus Hodgkin)、白血病、例えば急性白血病、慢性骨髄球性およびリンパ性白血病、形質細胞新生物、脊髄形成異常症候群、腫瘍随伴症候群、未知の原発腫瘍を伴う転移(CUP症候群)、腹膜癌症、免疫抑制関連悪性腫瘍、例えばエイズ関連悪性腫瘍、例えばカポジ肉腫、エイズ関連リンパ腫、中枢神経系のエイズ関連リンパ腫、エイズ関連ホジキン病およびエイズ関連肛門性器腫瘍、移植関連悪性腫瘍、転移型腫瘍、例えば脳転移、肺転移、肝転移、骨転移、胸膜および心膜転移、および悪性腹水。
【0024】
別の好ましい実施態様では、処置または予防的阻止、または再発予防対象の癌性疾患または腫瘍は、乳癌、消化管の腫瘍、例えば結腸癌、胃癌、大腸癌および小腸癌、膵臓癌、卵巣癌、肝癌、肺癌、腎細胞癌、多発性骨髄腫のような癌性疾患または腫瘍疾患を含む群から選択される。
【0025】
限定を意図することなく、下記の実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
ヒトでのCHPによるコラーゲンIVの阻害
表1は、健康な諸被験者由来のコラーゲンIVの測定の結果を時間(日数)との相関で示す。1日あたり4×2gのCHPを使用し、14日間にわたってCHPを繰り返し投与した。
【0027】
健康な被験者由来の血清サンプル中のコラーゲンIVの濃度
【表1】

【0028】
図1は、CHP投与(CHP4×2.0g/日;14日間)後の数日間の経過におけるコラーゲンIVの阻害を示す。血清中濃度の個別分布を図2に示す。
【0029】
α−グルタチオンSトランスフェラーゼの阻害
GST測定の結果を表2に示す。
【0030】
健康な被験者由来の血清サンプル中のα−グルタチオンSトランスフェラーゼの濃度
【表2】

【0031】
CHP4×2.0g/日の用量で14日間にわたってCHPを投与した後のGST値を図3に示す。さらにまた、数人の被験者におけるCHP投与後のGSTの個別分布を図4に示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】コラーゲンIVの阻害
【図2】血清中濃度の個別分布
【図3】CHPを投与した後のGST値
【図4】CHP投与後のGSTの個別分布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンIVおよび/またはグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を含む群から選択される主要標的を阻害するためのCHPの使用。
【請求項2】
阻害がインビトロまたはインビボで行われることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
CHPが、ゲル剤、粉剤、粉末剤、錠剤、徐放錠、プレミックス、エマルジョン、ブリューアップ(brew−up)製剤、注入用溶液剤、点滴剤、濃縮物、顆粒剤、シロップ剤、ペレット剤、大形丸剤、カプセル剤、エアロゾル剤、噴霧剤および/または吸入剤の剤形で調製および/または使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
CHPが、0.1〜99.5、好ましくは0.5〜95、より好ましくは1〜80重量%の濃度で製剤中に存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
1〜2重量%のCHPを含む注入用溶液剤を使用することを特徴とする、請求項3または4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
CHPを、0.05〜1000mg/体重kg、好ましくは5〜450mg/体重kg/24時間の総量で使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
自己免疫疾患、腫瘍、感染、代謝性疾患、神経系疾患、炎症性反応、強皮症、血管疾患、および結合組織の再構築が生じている疾患、好ましくは線維症を処置するためのコラーゲンIV阻害剤および/またはグルタチオンSトランスフェラーゼ阻害剤の製造に関するCHPの使用。
【請求項8】
インビボまたはインビトロ系でグルタチオンSトランスフェラーゼおよび/またはコラーゲンIVを阻害するための方法であって、系をCHPと接触させることを特徴とする方法。
【請求項9】
インビボ系の事象での接触を、経口、経膣、経直腸、鼻腔、皮下、静脈内、筋肉内、局部、腹腔内および/または局所的に行うことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
場合により製薬的に許容される担体とともに、CHPを含むことを特徴とする抗コラーゲンIVおよび/または抗GST剤。
【請求項11】
担体が、充填剤、希釈剤、結合剤、湿気付与剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸着剤および/または滑沢剤を含む群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の薬剤。
【請求項12】
担体が、リポソーム、シオソーム(siosomes)および/またはニオソームであることを特徴とする、請求項10または11に記載の薬剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−513895(P2007−513895A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543365(P2006−543365)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002762
【国際公開番号】WO2005/056006
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506126255)
【Fターム(参考)】