説明

グレリン結合核酸

本発明は、グレリンのアンタゴニスト(ここで、該アンタゴニストは核酸であり、そして好ましくは、該核酸はグレリンに結合している)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、グレリンのアンタゴニスト、グレリンに結合する核酸、そのような核酸の使用、そのような核酸を含んでなる組成物および複合体、標的分子に結合する核酸の作製および/もしくは同定の方法、標的分子に結合するL−核酸の作製の方法ならびにグレリンアンタゴニストのスクリーニングの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グレリンは、成長ホルモン分泌促進因子受容体1a(GHSR 1a)の天然リガンドとして同定された。該受容体は、下垂体においてそして脳の視床下部部分において最も豊富であるが、他の組織においても低濃度で検出することができる。70年代後半以来、分泌促進因子と名付けられた合成ペプチドおよび他の化合物は、成長ホルモンの放出を刺激することが示されていた。しかしながら、成長ホルモンの放出に関与する天然リガンドは、1999年におけるグレリンの発見まで依然として不明であった。グレリンは、そのN末端の第三のアミノ酸(セリン3)でオクタノイル酸側鎖を有する非常に塩基性の28アミノ酸のペプチドホルモンである。この珍しい修飾は、GHS受容体での相互作用およびその活性に必要とされる。精製されたラットグレリンのアミノ酸配列は、GSSFLSPEHQKAQQRKESKKPPAKLQPRであるとタンパク質シーケンサーにより決定された。
【0003】
グレリンは、タンパク同化状態に関する生理的機能を媒介することが示されている。それは下垂体からの成長ホルモン(GH)の放出を直接刺激するが、視床下部ニューロンに作用することによりGHに依存しない方法で摂食行動を誘導することもまたげっ歯類における実験によりグレリンに示された。興味深いことに、グレリン生産の主要部位は胃の胃酸分泌腺においてであり、それが胃、下垂体および視床下部の間のホルモンリンクとして働くことを示唆する。ラットにおけるグレリン投与は、エネルギー摂取および/もしくは燃料利用における変化の結果として体重増加をもたらしたという結果は、そのような役割を裏付ける。さらに、ヒトにおける全身グレリン投与は、試験被験体において空腹感を引き起こし、そして過食を誘導する。これらの結果に基づいて、グレリンは、食欲および体重の調節において重要な役割を有し、栄養不良状態の急性ならびに慢性シグナルとして働くと考えられる。この仮説のさらなる裏づけは、グレリンレベルならびに食欲が胃バイパス後の個体において減少され、体重減少をもたらすことにおける該処置の効率に少なくとも部分的に寄与するという結果によってもたらされる。プラダーウィリ症候群にかかっている患者からの臨床データもまた、該疾患と関連する過食症および肥満症が著しい高グレリン血症の結果であることを示唆する。さらに、グレリンは、高血糖およびインシュリン放出の阻害を誘導することが見出され、グルコース代謝への関与を示唆する。エネルギー代謝におけるこれらの機能に加えて、グレリンはまた多数の他のプロセスにも関係があるとされている。それは、多数の神経内分泌腫瘍において発現され、そして下垂体からのGH放出に加えて、ACTH、PRLおよびコルチゾールの放出を刺激することが見出された。健常人へのグレリンの単回注射は、心拍出量を増加しそして血圧を減少することが見出された。従って、グレリンの作用は、様々な異なるタスクに関与しているようである。背景となる情報は、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9から取り出すことができる。
【非特許文献1】M.Kojima,H.Hosoda,Y.Date,M.Nakazato,H.Matsu,K.Kangawa,“Ghrelin is a growth−hormone−releasing acylated peptide from stomach”,Nature 402:656−60,1999
【非特許文献2】M.Tschop,D.L.Smiley,M.L.Heiman,“Ghrelin induces adiposity in rodents”,Nature 407:908−13,2000
【非特許文献3】A.M.Wren et al.,“Ghrelin enhances appetite and increases food intake in humans”,Journal of Clinical Endocrinology Metabolism 86:5992−6,2001
【非特許文献4】M.Nakazato et al.,“A role for ghrelin in the central regulation of feeding”,Nature 409:194−8,2001
【非特許文献5】N.Nagaya,et al.,Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol.2001 May;280(5):R1483−7;Hemodynamic and hormonal effects of human ghrelin in healthy volunteers.
【非特許文献6】Volante M,et al.,J.Clin Endocrinol Metab.2002 Mar;87(3):1300−8.Expression of ghrelin and of the GH secretagogue receptor by pancreatic islet cells and related endocrine tumors.
【非特許文献7】Jeffery PL,et al.,J Endocrinol.2002 Mar;172(3):R7−11 Expression and action of the growth hormone releasing peptide ghrelin and its receptor in prostate cancer cell lines.
【非特許文献8】Egido EM,et al.,Eur J Endocrinol.2002 Feb;146(2):241−4 Inhibitory effect of ghrelin on insulin and pancreatic somatostatin secretion.
【非特許文献9】Broglio F,et al.,J Clin Endocrinol Metab.2001 Oct;86(10):5083−6,Ghrelin,a natural GH secretagogue produced by the stomach,induces hyperglycemia and reduces insulin secretion in humans.
【発明の開示】
【0004】
[発明の要約]
本発明の基礎となる問題は、グレリンの特異的アンタゴニストを提供することである。本発明の基礎となる問題のさらなる態様は、成長ホルモン分泌促進因子受容体1a(GHSR 1a)の特異的アンタゴニストを提供することである。本発明の基礎となる問題の別の態様は、グレリンおよびGHSR 1a受容体にそれぞれ関する疾患および障害の処置のための化合物を提供することである。
【0005】
本発明の基礎となる問題は、第1の態様としてグレリンのアンタゴニストにより解決され、ここで、該アンタゴニストは核酸である。好ましい実施形態(embodiment)として、該核酸はグレリンに結合している。
【0006】
本発明の基礎となる問題は、第1の態様としてGHSR 1a受容体系のアンタゴニストにより解決され、ここで、該アンタゴニストは核酸である。好ましい実施形態として、該核酸は該受容体のリガンドに結合しており、そしてここで、該リガンドは好ましくはグレリンである。
【0007】
本発明の第1および第2の態様の実施形態として、核酸は少なくとも1つのL−ヌクレオチドを含んでなる。
【0008】
本発明の第1および第2の態様の好ましい実施形態として、アンタゴニストはL−核酸である。
【0009】
本発明の第1および第2の態様のさらに好ましい実施形態として、核酸は本明細書に開示するとおりの核酸である。好ましくは、核酸は、本発明の第3および第4の態様に記載の核酸である。
【0010】
本発明の基礎となる問題は、第3の態様としてグレリンに結合する核酸により解決される。好ましくは、核酸はL−グレリンに結合するL−核酸である。
【0011】
好ましい実施形態として、L−核酸は本明細書に開示するとおりの核酸である。好ましくは、核酸は、本発明の第4の態様に記載の核酸である。
【0012】
本発明の基礎となる問題は、第4の態様として配列番号7〜配列番号125に記載の配列を含んでなる群から選択される配列を有する核酸により解決される。
【0013】
ある実施形態として、核酸は少なくとも1つのL−ヌクレオチドを含んでなる。
【0014】
好ましい実施形態として、核酸はL−核酸である。
【0015】
さらなる実施形態として、核酸はDNA、RNAおよびその組み合わせを含んでなる群から選択される。
【0016】
好ましい実施形態として、核酸のKdは1μM未満、好ましくは0.25μM未満、より好ましくは0.1μM未満、そして最も好ましくは0.01μM未満である。
【0017】
さらに好ましい実施形態として、核酸のKdは100nMより大きく、好ましくは10nMより大きく、より好ましくは1nMより大きく、そして最も好ましくは0.05nMより大きい。
【0018】
さらに好ましい実施形態として、核酸は15〜150ヌクレオチド、20〜100ヌクレオチド、20〜80ヌクレオチド、20〜60ヌクレオチド、20〜50ヌクレオチドおよび30〜50ヌクレオチドを含んでなる群から選択される長さのものである。
【0019】
なおさらなる実施形態として、核酸は最小結合モチーフを含んでなる。
【0020】
本発明の第3〜第6の態様の別の好ましい実施形態として、核酸は少なくとも二分(bipartite)構造を有する。
【0021】
本発明の基礎となる問題は、第5の態様として、グレリンおよび/もしくはGHSR 1a受容体系のアンタゴニストとしての本発明の核酸、好ましくは、本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸の使用により解決される。
【0022】
本発明の基礎となる問題は、第6の態様として、標的分子がグレリンであることを特徴とする、以下の段階:
a)核酸の不均一集団を作製する段階;
b)段階a)の集団を標的分子と接触させる段階;
c)標的分子と相互作用しない核酸(1つもしくは複数)を分離する段階;
d)場合により、標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)を分離する段階;および
e)場合により、標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)をシーケンスする段階
を含んでなる標的分子に結合する核酸の、好ましくは請求項6〜14のいずれかに記載の核酸の作製および/もしくは同定の方法により解決される。
【0023】
該方法のある実施形態として、段階c)の後で段階ca)を実施し、ここで、段階ca)は標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)の増幅からなる。
【0024】
好ましい実施形態として、段階b)〜d)を繰り返す。
【0025】
さらに好ましい実施形態として、核酸の不均一集団は本発明の少なくとも1つの核酸を含んでなる。好ましくは、本発明の核酸は、本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。
【0026】
本発明の基礎となる問題は、第7の態様によれば、標的分子がL−グレリンであり、そして標的分子の光学対掌体がD−グレリンであることを特徴とする、以下の段階:
a)D−核酸の不均一集団を作製する段階;
b)段階a)の集団を標的分子の光学対掌体と接触させる段階;
c)標的分子の光学対掌体と相互作用しないD−核酸を分離する段階;
d)標的分子の光学対掌体と相互作用するD−核酸をシーケンスする段階;および
e)段階d)において得られるD−核酸(1つもしくは複数)の配列と同一であるL−核酸配列(1つもしくは複数)を合成する段階;
を含んでなる自然立体配置における標的分子に結合するL−核酸の作製の方法により解決される。
【0027】
該方法のある実施形態として、段階c)の後で以下の段階:
ca)標的分子の光学対掌体と相互作用するD−核酸を増幅する段階
を導入する。
【0028】
好ましい実施形態として、段階b)〜e)を繰り返す。
【0029】
さらに好ましい実施形態として、核酸の不均一集団は本発明の核酸を含んでなる。好ましくは、核酸は、本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。
【0030】
本発明の基礎となる問題は、第8の態様として、薬剤の製造のための本発明の核酸のそして/もしくは本発明のアンタゴニストの使用により解決される。あるいはまた、上記の使用は美容製品の製造のためである。好ましい実施形態として、本発明の核酸は本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。さらに好ましい実施形態として、本発明のアンタゴニストは、本発明の第1および/もしくは第2の態様に記載のアンタゴニストである。
【0031】
さらなる実施形態として、薬剤は肥満症、エネルギーバランス、食欲および体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍、血圧ならびに/または心臓血管疾患を含んでなる群から選択される疾患もしくは障害の処置用である。さらなる実施形態として、美容製品は、食欲および体重管理用そして/もしくは肥満症用である。
【0032】
第9の態様として、本発明の基礎となる問題は、本発明の核酸および/もしくは本発明のアンタゴニスト、ならびに製薬学的に許容しうる担体を含んでなる組成物、好ましくは製薬学的組成物により解決される。好ましい実施形態として、本発明の核酸は本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。さらに好ましい実施形態として、本発明のアンタゴニストは本発明の第1および第2の態様に記載のアンタゴニストである。
【0033】
第10の態様として、本発明の基礎となる問題は、グレリンおよび本発明の核酸のいずれかを含んでなる複合体により解決される。好ましい実施形態として、複合体は結晶性複合体である。なおさらなる実施形態として、本発明の核酸は本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。
【0034】
第11の態様として、本発明の基礎となる問題は、グレリンの検出のための本発明の核酸のそして/もしくは本発明のアンタゴニストのいずれかの使用により解決される。好ましい実施形態として、本発明の核酸は本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。さらなる好ましい実施形態として、本発明のアンタゴニストは本発明の第1および第2の態様に記載のアンタゴニストである。
【0035】
第12の態様として、本発明の基礎となる問題は以下の段階:
−候補グレリンアンタゴニストを準備する段階;
−本発明の核酸および/もしくは本発明のアンタゴニストを準備する段階;
−グレリンアンタゴニストの存在下でシグナルを与える試験系を準備する段階;および
−候補グレリンアンタゴニストがグレリンアンタゴニストであるかどうかを決定する段階
を含んでなるグレリンアンタゴニストのスクリーニングの方法により解決される。好ましい実施形態として、本発明の核酸は本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。さらなる好ましい実施形態として、本発明のアンタゴニストは本発明の第1および第2の態様に記載のアンタゴニストである。
【0036】
第13の態様として、本発明の基礎となる問題は、本発明の核酸および/もしくは本発明のアンタゴニストを含んでなるグレリンの検出のためのキットにより解決される。好ましくは、本発明の核酸は本発明の第3および/もしくは第4の態様に記載の核酸である。さらなる好ましい実施形態として、本発明のアンタゴニストは本発明の第1および第2の態様に記載のアンタゴニストである。
[発明の詳細な記述]
グレリンは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する塩基性ペプチドであり、そして脂肪酸側鎖で修飾されている。グレリンの計算されたpIは、11.09である。本明細書において用いる場合、グレリンという用語は、哺乳類グレリンが包含されるがこれらに限定されるものではない任意のグレリンをさす。好ましくは、哺乳類グレリンは、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターおよびヒトグレリンを含んでなる群から選択される。最も好ましくは、グレリンはヒトグレリンである。
【0037】
本発明は、グレリンに特異的にそして高い親和性で結合する核酸を作製することが可能であるという驚くべき発見に基づく。塩基性タンパク質を対象とするアプタマー(すなわち、標的分子に結合する核酸)の作製は、この種の標的は高いが非特異的なシグナル対ノイズ比をもたらすので一般に非常に難しいことをEaton et al.(Eaton,B.E.;Gold,L.;Hicke,B.J.;Janjic,N.;Jucker,F.M.;Sebosta,D.P.;Tarasow,T.M.;Willis,M.C.;Zichi,D.A.;Bioorganic & Medicinal Chemistry,Vol 5,No.6;pp1087−1096,1997)が認めた限りにおいてこの発見は驚くべきことである。この高いシグナル対ノイズ比は、塩基性標的に対する核酸により示される高い非特異的な親和性に起因する。
【0038】
本明細書に記述するような本発明の核酸の特徴は、該核酸を単独でもしくは任意の組み合わせで用いる本発明の任意の態様において実現することができる。
【0039】
本発明の核酸はまた、本明細書に開示する特定の配列に本質的に相同である核酸も含んでなるものとする。実質的に相同なという用語は、相同性が少なくとも75%、好ましくは85%、より好ましくは90%、そして最も好ましくは95%、96%、97%、98%もしくは99%より大きいように理解されるものとする。
【0040】
本発明の核酸(inventive nucleic acid)もしくは本発明の核酸(nucleic acid according to the present invention)という用語はまた、本明細書に開示する核酸配列の一部を含んでなる核酸も含んでなるものとする(好ましくは、該一部はグレリンへの結合に関与する限りにおいて)。そのような核酸は、例えばトランケーションにより、本明細書に開示するものから得ることができる。トランケーションは、本明細書に開示するような核酸の末端のいずれかもしくは両方に関することができる。また、トランケーションは、ヌクレオチドの内部配列に関することもでき、すなわち、それは、それぞれ、5’および3’末端ヌクレオチド間のヌクレオチド(1つもしくは複数)に関することができる。さらに、トランケーションは、本明細書に開示する核酸の配列からの単一のヌクレオチドほどの欠失を含んでなるものとする。トランケーションはまた、本発明の核酸(1つもしくは複数)の1ストレッチより多くに関することもでき、ここで、該ストレッチは、わずか1ヌクレオチドの長さほどであることができる。本発明の核酸のトランケーションの例は、本記述の実施例部分に記述されている。
【0041】
本発明の核酸は、D−核酸もしくはL−核酸のいずれかであることができる。好ましくは、本発明の核酸はL−核酸である。さらに、核酸の1つもしくはいくつかの部分はD−核酸として存在するかまたは核酸の少なくとも1つもしくはいくつかの部分はL−核酸であることが可能である。核酸の「部分」という用語は、わずか1ヌクレオチドほどを意味するものとする。そのような核酸は、それぞれ、D−およびL−核酸と本明細書において一般に呼ばれる。
【0042】
本発明の核酸はさらに長い核酸の一部であり、ここで、このさらに長い核酸はいくつかの部分を含んでなり、ここで、少なくとも1つの部分は本発明の核酸もしくはその一部であることもまた本発明の範囲内である。これらのさらに長い核酸の他の部分は、D−核酸もしくはL−核酸のいずれかであることができる。任意の組み合わせを本発明に関連して用いることができる。さらに長い核酸のこれらの他の部分(1つもしくは複数)は、結合することと異なる機能を示すことができる。1つの可能な機能は、例えば、固定化、架橋、検出もしくは増幅のためのような他の分子との相互作用を可能にすることである。
【0043】
L−核酸は、本明細書において用いる場合、L−ヌクレオチドからなる、好ましくはL−ヌクレオチドから完全になる核酸である。
【0044】
D核酸は、本明細書において用いる場合、D−ヌクレオチドからなる、好ましくはD−ヌクレオチドから完全になる核酸である。
【0045】
本発明の核酸がD−ヌクレオチド、L−ヌクレオチドもしくは両方の組み合わせ(該組み合わせは、少なくとも1つのL−ヌクレオチドおよび少なくとも1つのD−核酸からなるストレッチのランダムな組み合わせもしくは定義された配列である)からなるかどうかにかかわらず、該核酸はデオキシリボヌクレオチド(1つもしくは複数)、リボヌクレオチド(1つもしくは複数)もしくはその組み合わせからなることができる。
【0046】
本発明の核酸をL−核酸として設計することは、いくつかの理由で有利である。L−核酸は、天然に存在する核酸の鏡像異性体である。D−核酸は、しかしながら、ヌクレアーゼの広範囲に及ぶ存在のために水溶液においてそして特に生体系もしくは生体サンプルにおいてあまり安定ではない。天然に存在するヌクレアーゼ、特に動物細胞からのヌクレアーゼは、L−核酸を分解することができない。このために、L−核酸の生物学的半減期は、動物および人体を包含するそのような系において有意に増加される。L−核酸の分解性を欠くことのために、いかなるヌクレアーゼ分解産物も生成されず、従って、それに起因するいかなる副作用も認められない。この態様は、グレリンの存在に関する疾患および/もしくは障害の治療において使用する事実上全ての他の化合物のL−核酸の範囲を定める。
【0047】
本発明の核酸は、それらがD−核酸、L−核酸もしくはD,L−核酸として存在するかどうかまたはそれらがDNAもしくはRNAであるかどうかにかかわらず、一本鎖もしくは二本鎖核酸として存在することができることもまた本発明の範囲内である。典型的に、本発明の核酸は、一次配列のために確定される二次構造を示し、従って3次構造を形成することもできる一本鎖核酸である。しかしながら、本発明の核酸はまた、相互に相補的である2本の鎖が相互にハイブリダイズしているという意味において二本鎖であることもできる。これは核酸に安定性を与え、それは、核酸がL−形態よりむしろ天然に存在するD−形態で存在する場合に有利である。
【0048】
本発明の核酸は、修飾することができる。そのような修飾は、核酸の単一のヌクレオチドに関することができ、そして当該技術分野において周知である。そのような修飾の例は、とりわけ、Kusser,W.(2000)J Biotechnol,74:27−38;Aurup,H.et al.(1994)Nucleic Acids Res,22,20−4;Cummins,L.L.et al,(1995)Nucleic Acids Res,23,2019−24;Eaton,B.E.et al.(1995)Chem Biol,2,633−8;Green,L.S.et al.,(1995)Chem Biol,2,683−95;Kawasaki,A.M.et al.,(1993)J Med Chem,36,831−41;Lesnik,E.A.et al.,(1993)Biochemistry,32:7832−8;Miller,L.E.et al.,(1993)J Physiol,469,213−43に記述されている。
【0049】
本発明の核酸は、多くの部分に分かれた核酸であることができる。多くの部分に分かれた核酸は、本明細書において用いる場合、少なくとも2本の核酸鎖からなる核酸である。これらの少なくとも2本の核酸鎖は機能単位を形成し、ここで、該機能単位は標的分子に対するリガンドである。少なくとも2本の核酸鎖は、2本の鎖を生成するように核酸を切断することによりもしくは本発明の、すなわち全部の核酸の第1の部分に対応する1つ核酸および全部の核酸の第2の部分に対応する別の核酸を合成することにより本発明の核酸のいずれかから得ることができる。切断および合成の両方とも、上記に例示するような2本より多い鎖がある多くの部分に分かれた核酸を作製するために適用することができると認識されるべきである。言い換えれば、少なくとも2本の核酸鎖は、様々な核酸部分間のある程度の相補性は存在し得るが、相補的でありそして相互にハイブリダイズする2本の鎖と典型的に異なる。
【0050】
結合定数を決定する可能性は、いわゆるビアコア装置の使用であり、それもまた当業者に既知である。親和性もまた、本明細書において用いる場合、実施例に記述するような「ビーズアッセイ」の使用により測定された。本発明の場合グレリンである標的への本発明の核酸間の結合の強さを表すために適切な尺度は、いわゆるKd値であり、それはその決定の方法と同様に当業者に周知である。
【0051】
本発明の核酸は、ある種のKd値を特徴とする。好ましくは、本発明の核酸により示されるKd値は1μM未満である。約1μMのKd値は、標的への核酸の非特異的な結合に特徴的であると言われる。当業者により認識されるように、本発明の核酸のような一群の化合物のKd値は、ある範囲内である。約1μMの上記のKdは、Kd値の好ましい上限値である。標的結合核酸のKdの好ましい下限値は、約10ピコモル以上であることができる。グレリンに結合する個々の核酸のKd値は、好ましくは、この範囲内であることは本発明の範囲内である。好ましい範囲は、この範囲内の任意の第1の数およびこの範囲内の任意の第2の数を選択することにより定義することができる。好ましい上限値は0.25μM、0.1μMおよび0.01μMであり、好ましい下限値は100nM、10nM、1nMおよび0.05nMである。
【0052】
本発明の核酸分子は、それらが依然として標的分子に結合することができるならば任意の長さを有することができる。本発明の核酸の好ましい長さがあることは当該技術分野において認識される。典型的に、該長さは15〜120ヌクレオチドの間である。15〜120の間の任意の整数が本発明の核酸の可能な長さであることは当業者により認識される。本発明の核酸の長さのさらに好ましい範囲は、約20〜100ヌクレオチド、約20〜80ヌクレオチド、約20〜60ヌクレオチド、約20〜50ヌクレオチドおよび約30〜50ヌクレオチドの長さである。
【0053】
グレリンに結合しそして特に本明細書に開示するようなさらなる特徴および特性を有する核酸の作製および/もしくは同定のための本明細書に開示する本発明の方法は、米国特許5,475,096に従がういわゆるSELEXプロセスに基づく。基本的に、SELEXプロセスは以下の段階:
a)核酸の不均一集団を作製する段階;
b)段階a)の集団を標的分子と接触させる段階;
c)標的分子と相互作用しない核酸(1つもしくは複数)を分離する段階;
d)場合により、標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)を分離する段階;および
e)場合により、標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)をシーケンスする段階
を含んでなる。
【0054】
SELEXプロセスの正確な操作は、当業者に既知である。
【0055】
好ましくは、SELEXプロセスは、ポリメラーゼ連鎖反応を用いる標的分子に結合する個々の核酸の増幅を含んでなる。この増幅を実現することにより、さらに高い割合の非特異的ヌクレオチド導入を実現することができ、それは、結合核酸の一次配列の変化をもたらす。これらの変化のために、とりわけ、増大した親和性もしくは特異性のような出発配列の一つと異なる結合特性を示す新しい配列を作製することができる。
【0056】
本発明の配列は、選択プロセスの出発材料となる核酸ライブラリーのメンバーのランダム化部分に完全にもしくは部分的に由来することは本発明の範囲内である。しかしながら、本発明の配列は、選択プロセスの出発材料となる核酸ライブラリーのメンバーの非ランダム化部分に完全にもしくは部分的に由来することもまた本発明の範囲内である。そのような非ランダム化部分は、例えば、増幅プライマーの結合部位として用いる部分である。
【0057】
グレリンに結合するL−核酸の作製のための本発明の方法は、国際特許出願WO98/08856に従属しているFurste et al.の方法に基づく。基本的に、この方法は以下の段階:
a)D−核酸の不均一集団を作製する段階;
b)段階a)の集団を標的分子の光学対掌体と接触させる段階;
c)標的分子の光学対掌体と相互作用しないD−核酸を分離する段階;
d)標的分子の光学対掌体と相互作用するD−核酸をシーケンスする段階;および
e)段階d)において得られるD−核酸(1つもしくは複数)の配列と同一であるL−核酸配列(1つもしくは複数)を合成する段階;
を含んでなる。
【0058】
本発明によれば、光学対掌体はグレリンである。光学対掌体は、ペプチドを形成するアミノ酸の全てがD−アミノ酸であることを意味するD−ペプチドとして存在する。標的分子、すなわち、グレリンはL−鏡像異性体として存在する。L−鏡像異性体はL−アミノ酸からなり、そして天然に存在する形態である。
【0059】
該プロセスを実現する方法に関するプロトコルは、当業者に既知である。
【0060】
本発明の核酸のいずれも、本発明のグレリンに結合する核酸の作製および/もしくは同定の方法ならびに/またはグレリンに結合するL−核酸の作製の方法にそれぞれ使用できることもまた本発明の範囲内である。
【0061】
本明細書において本発明の核酸および/もしくは本発明のアンタゴニストとも呼ばれる本発明の核酸は、薬剤の作製もしくは製造に用いることができる。そのような薬剤は、場合によりさらなる製薬学的活性化合物と一緒に、本発明の核酸の少なくとも1つを含有し、ここで、本発明の核酸は、好ましくは、製薬学的活性化合物それ自体として作用する。そのような薬剤は、好ましい実施形態として、少なくとも製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。そのような担体は、例えば、水、バッファー、澱粉、糖、ゼラチンもしくは任意の他の許容しうる担体物質であることができる。そのような担体は、一般に、当業者に既知である。そのような薬剤をその処置および/もしくは予防に用いることができる疾患および/もしくは障害および/もしくは病的症状には、肥満症、エネルギーバランス、食欲および体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍、血圧ならびに心臓血管疾患が包含されるが、これらに限定されるものではない。当業者により認識されるように、本発明の核酸は、グレリンのアンタゴニストをそのようなアンタゴニストを必要とする患者に投与することができそしてそのようなアンタゴニストが疾患もしくは障害の原因を取り除くためにまたは少なくとも疾患もしくは障害からの影響を減らすために適当である任意の疾患において事実上用いることができる。そのような影響には、肥満症、エネルギーバランス、食欲および体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍処置、血圧ならびに心臓血管疾患が包含されるが、これらに限定されるものではない。本発明の目的のためにエネルギーバランスの調節は疾患と見なされる。さらに特に、該使用は、エネルギーバランスの調節がグレリンにより直接的にもしくは間接的に影響を受けそしてグレリンの生物学的利用能の減少が所望される任意の疾患の処置のためである。同じことが糖代謝、血圧ならびに食欲および体重に当てはまる。場合により全身もしくは局所使用で、本発明の核酸を用いて処置することができるさらなる疾患は、下垂体腫瘍、先端巨大症、中心性(central)クッシング症候群、副腎性クッシング症候群、腫瘍随伴性クッシング症候群、異所性クッシング症候群、副腎腫瘍、ストレス、副腎皮質機能亢進症、心不全、心筋梗塞、発作、副腎皮質不全、低血圧症、大動脈弁狭窄症、肺緊張亢進(pulmonal hypertonia)、収縮性心内膜炎、感染症、感染性中毒性低血圧症、血液量減少および低ナトリウム血症を含んでなる群から選択することができるものである。
【0062】
本発明の核酸ならびにアンタゴニストは、薬剤としてもしくは薬剤の製造のためにだけでなく、美容目的に、特に肥満症におけるグレリンの関与に関しても使用できると理解されるべきである。同じ目的のために、本発明の核酸ならびにアンタゴニストは、食品添加剤、体重管理の手段および/もしくは食欲制御の手段として用いることができる。本発明の核酸ならびにアンタゴニストを含んでなる組成物は、上記の目的のいずれかに用いることができる。
【0063】
本発明の核酸はさらに、薬剤設計の出発材料として用いることができる。基本的に、2つの可能な方法がある。1つの方法は、化合物ライブラリーのスクリーニングであり、一方、そのような化合物ライブラリーは、好ましくは、低分子量化合物ライブラリーである。そのようなライブラリーは、当業者に既知である。あるいはまた、本発明の核酸は、薬剤の合理的設計に用いることができる。
【0064】
薬剤の合理的設計は、本発明の核酸のいずれかから開始することができ、そして本発明の核酸の構造に類似するかもしくは本発明の核酸の構造の結合媒介部分と同一である構造、好ましくは3次元構造を含む。いずれの場合でもそのような構造は、本発明の核酸と同じもしくは同様の結合特性を依然として示す。薬剤の合理的設計におけるさらなる段階においてもしくは代替段階として、神経伝達物質に結合する核酸のそれらの部分の好ましくは3次元構造をヌクレオチドおよび核酸と異なる化学基で模倣する。この模倣により核酸と異なる化合物を設計することができる。そのような化合物は、好ましくは、小分子もしくはペプチドである。
【0065】
当業者に既知である競合アッセイを用いることによるような、化合物ライブラリーのスクリーニングの場合、適切なグレリンアナログ、グレリンアゴニストもしくはグレリンアンタゴニストを見出すことができる。そのような競合アッセイは、下記のように設定することができる。本発明の核酸、好ましくは標的結合L−核酸であるスピーゲルマー(spiegelmer)を固相に連結する。グレリンアナログを同定するために標識したグレリンをアッセイに加えることができる。可能性があるアナログは、スピーゲルマーに結合するグレリン分子と競合し、それはそれぞれの標識により得られるシグナルの減少と同調する。アゴニストもしくはアンタゴニストのスクリーニングは、当業者に既知であるような細胞培養アッセイの使用を含むことができる。
【0066】
本発明のキットは、本発明の核酸の少なくとも1つもしくはいくつかを含んでなることができる。さらに、該キットは、少なくとも1つもしくはいくつかの陽性もしくは陰性コントロールを含んでなることができる。陽性コントロールは、例えばグレリン、特に本発明の核酸が、好ましくは液状で、それに対して選択されるかもしくはそれに結合するものであることができる。陰性コントロールは、例えば、グレリンと同様の生物物理学的性質に関して定義されるが本発明の核酸により認識されないペプチドであることができる。さらに、該キットは、1つもしくはいくつかのバッファーを含んでなることができる。様々な成分は、乾燥もしくは凍結乾燥形態でキットに含有するかまたは液体に溶解することができる。キットは1つもしくはいくつかの容器を含んでなることができ、それらはまたキットの1つもしくはいくつかの成分を含有することができる。
【0067】
本発明は、図面、実施例および配列表によりさらに説明され、それらからさらなる特徴、実施形態および利点を理解することができる。
【0068】
以下の表は、配列番号と本明細書に記述する様々なクローンおよび識別名をそれぞれ結び付ける。クローンB11〜G5は2つの異なる形態で存在することが理解されるべきである。本明細書において「完全」と称する形態は、使用するプールのランダム化ストレッチもしくはその一部ならびにDE.40Fプライマー配列およびDE.40Rプライマーを含んでなり、一方、本明細書において「コア」と称する形態は、それぞれの完全な形態から作製された最小結合モチーフである。別に示されない限り、表す鎖は(+)鎖であり、そして使用する核酸は2’OH RNAである。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
[実施例]
【実施例1】
【0073】
手動インビトロ選択
標的分子
ビオチニル化ラットD−グレリン(アミノ酸配列、H−Gly−Ser−Ser(オクタノイル)−Phe−Leu−Ser−Pro−Glu−His−Gln−Lys−Ala−Gln−Gln−Arg−Lys−Glu−Ser−Lys−Lys−Pro−Pro−Ala−Lys−Leu−Gln−Pro−Arg−OH)は、Bachem(Basel,Switzerland)によりカスタム合成された。選択中に使用したペプチドは、ビオチン−ニュートラアビジン(NeutrAvidin)相互作用を用いて結合していない核酸種からの分別を可能にするためにC末端にビオチン部分を含有する。
選択プール、開始プールの作製
選択プールDE.40は、5’末端でT7プロモーター保有38ntプライマーそして3’末端で20ntリバースプライマーが隣接する40ヌクレオチドのランダム領域からなる。T7プライマーは、転写開始配列、続いてフォワードプライマー配列を保有する。フォワードプライマーは、転写効率を高めるためにグアノシントリプレットから始まる。
DE.40−プール(RNAに対して補正する)
RNA−プール:5’−GGA GCT CAG ACT TCA CTC G TG−N40−CA CGT ACC ACT GTC GGT TCC AC−3’
逆相補物:5’−GTG GAA CCG ACA GTG GTA CG TG−N40−CA CGA GTG AAG TCT GAG CTC C−3’
DE.40T7:5’−TCT AAT ACG ACT CAC TAT AGG AGC TCA GAC TTC ACT CG−3’
DE.40R:5’−GTG GAA CCG ACA GTG GTA CG−3’
(T7プロモーターに下線を引く)
アニーリング温度を理論的に計算し、そしてプライマーのアニーリングの温度および時間を変えるいくつかの実験により後で最適化した。
【0074】
【表4】

【0075】
=融解温度、T=22+1.46x[2x(#GC)+(#AT)](Wu et al.:DNA and Cell Biology 10,233(1991));T7プロモーター領域のない

プールを化学的に合成し、塩基組成を決定し、そして1x10E15の異なる分子の複雑さ=1.78nmolの一本鎖DNA(ssDNA)をワンステップPCRにより増幅した。2−F’−RNA開始プールでは、プロトコル1を用いて1.78nmolの二本鎖DNAを2’フルオロ修飾ピリミジン(Trilink)を使用して転写し;RNAプールは、プロトコル2を用いて非修飾ヌクレオチドで転写した。
【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
ラットD−グレリン結合アプタマーのインビトロ選択
選択バッファー
全選択中に使用する選択バッファーは、ヒト血液における生理条件に従った(20mM Hepes,150mM NaCl,5mM KCl,1mM MgClおよび1mM CaCl)。pH7.4は、37℃で調整した。
選択およびストリンジェンシー
D−グレリン(「標的」)結合アプタマーの選択は、2’−フルオロ修飾DE.40プール(2’F−RNA)および非修飾RNAプール(RNA)を用いて実施した。標的へのプールの結合は、溶液中で2時間(10μM〜10nMのペプチド)および12時間(10nM〜500pM)行われた。ペプチド−RNA複合体の固定化は、ストレプトアビジン/ニュートラアビジン−ビオチン系を用いて行った。ビオチニル化ペプチドをニュートラアビジン誘導(derivated)アガロースもしくはストレプトアビジン結合ポリアクリルアミド(s.c.ウルトラリンク)と37℃で10分間インキュベーションし、そして短時間の遠心分離により分離した。その後でマトリックスを選択バッファーで洗浄して結合していないプールと弱く結合するプールを除いた。高親和性での標的への結合にマトリックスを必要とする、2価のアプタマーの生成を防ぐために2ラウンドごとのマトリックス交換を行った(ニュートラアビジン−アガロースから開始する)。結合RNAおよび2’F−RNAの溶出は、シェーカーにおいて10分間2段階(37℃、65℃)で4Mグアニジンチオシアネートでペプチド−RNA複合体を変性させることにより実施した。ラウンド13からは第3の溶出段階を95℃で実施した。溶出RNAもしくは2’F−RNAをフェノール−クロロホルムで抽出してペプチドを除き、イソプロパノールで沈殿させ、そしてPCRにより増幅した。
RNA/2’F−RNAのフォールディング
アプタマーの2価の独立したフォールディングを防ぐために、氷上での変性および再生をMg2+およびCa2+なしに行った。プールをPCRサイクラーにおいて95℃で5分間変性させ、そしてクラッシュアイス上で2分間スナップ冷却した。その後でTween 20(最終濃度0.1%)および2価のカチオンを10倍ミックスから加え、そして37℃でさらに10分間インキュベーションした。反応物をプレカラムに直接加えた。
プレカラム
ペプチドを溶液に加える前にプールRNAを純粋なマトリックスとインキュベーションする。これは、マトリックス結合アプタマーの濃縮を防ぐために行う。プレカラムのマトリックス容量は、RNA−ペプチド複合体を結合していない種から分離するために用いるメインカラムといつも同じ容量であった。純粋なマトリックスをフォールディングしたDE.40プールと一緒にシェーカーにおいて37℃で10〜15分間インキュベーションし、結合していないプールを取り除き、そして溶液中のグレリン結合反応物に直接加えた。
溶液中での結合および複合体の固定化
ある濃度を有するビオチニル化D−グレリンをプールにそれをプレカラムから取り除いた後に直接加えた。RNAおよび2’F−RNAでの選択に使用したペプチド濃度の勾配を図4Aおよび図4Bに示す。bio−グレリン結合RNA複合体の固定化は、結合反応物へのマトリックスの直接添加および800rpmでサーモシェーカーにおける37℃で10分間のインキュベーションにより実施した。
分別
固定化された複合体を予熱した選択バッファーで数回洗浄して結合していない分子と弱く結合する分子を取り除いた。洗浄段階は、5x100μlでそしてラウンド13からは5x1000μlの選択バッファーで行った。
結合分子の溶出
結合RNAおよび2F’RNAの溶出は、ペプチド−RNA複合体をシェーカーにおいて10分間2段階(37℃、65℃)で4Mグアニジンチオシアネートで変性させることにより実施した。ラウンド13からは、95℃での第3の溶出段階を実施した。各選択ラウンドに使用した全核酸に対するパーセントでの溶出RNAおよび2’F−RNAの経過を図5および図6に示す。バックグラウンドシグナルとグレリン媒介シグナルとを区別するために、コントロールカラム(いかなるペプチドも加えない)を各ラウンドで行った。コントロールカラムでのシグナルは、ノイズもしくはバックグラウンドシグナルと定義した。グレリン媒介シグナル対ノイズシグナルの比を図1および図2に示す。シグナル対ノイズ比が増加するたびに次の選択ラウンドにおける標的濃度を下げることによりストリンジェンシーを上げた。その後で、異なるペプチド濃度でのシグナル−ノイズ比の別の増加が得られるまでペプチド濃度を一定レベルで保った。該比の増加は、あるペプチド濃度での結合アプタマーの濃縮の手掛かりである。溶出RNAもしくは2’−F−RNAをフェノール−クロロホルムで抽出してペプチドを除き、イソプロパノールで沈殿させ、そしてPCRにより増幅した。
ダブルラウンドおよび結合試験
ダブルラウンドは、増幅なしの2回の後続選択ラウンドのプロセスを表す。第1の選択ラウンドs.c.コレクションラウンド(CR)は、結合しないアプタマーを除去するために比較的高濃度の標的で全てのD−グレリン結合アプタマーを集めるために用いる。結合RNA/2’−F−RNAの溶出および抽出の後に溶出核酸をそれを増幅せずに次のラウンドに使用する。このラウンドはダブルラウンド(DR)と呼ばれ、そして通常は非常に低い濃度の標的で行う。選択のこのプロセスは、アプタマーの増幅およびフォールディング/再フォールディングの圧力を除くために用いる。
【0079】
これらの選択において3回のダブルラウンドを行った(RNAではラウンド12、13、14そして2’−F−RNAではラウンド14、15、16)。各コレクションラウンド(CR)の前に広範囲の標的濃度にわたる「結合の試験」を実施してアプタマーを集めるために最もよい標的濃度を評価した。この試験はまた、ラウンドごとのプール濃縮の向上をモニターするためにも用いる。これらのダブルラウンドおよび結合の試験の結果を図7A、7B、8Aおよび8Bに示す。
増幅
抽出および沈殿
溶出RNAもしくは2’F−RNAをフェノール−クロロホルム抽出により精製し、そしてキャリアとして2μlのグリコーゲン、0.3Mの酢酸ナトリウム pH5.5および1容量のよく冷えたイソプロパノールで−20℃で20〜30分間沈殿させた。
逆転写(RT)
沈殿したRNA/2’F−RNAを逆転写酵素を用いることにより一本鎖DNAに翻訳した。30μlの反応当たり5pmol以下の鋳型をリバースプライマーと一緒に0.8Mのベタインにおいて95℃で5分間変性させ、リバースプライマーを氷上で5分間アニーリングさせ、反応バッファーおよびヌクレオチドを加え、そして反応物を48℃で2分間加熱し、その後で5ユニットの逆転写酵素を加えた。反応は、サーモサイクラーにおいて温度勾配(30分48℃、50℃20分、55℃10分、70℃15分)で行われた。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
RT反応物の3つの10μlアリコートをPCR反応の鋳型として用いた。反応の成分を下記のように加えた:
【0080】
【表7】

【0081】
8〜12サイクルの間の以下のプログラムをPCRサイクラーにおいて行った。
変性95℃:1分
アニーリング63℃:1分
伸長72℃:1分
反応物のアリコートをポリアクリルアミドゲル上で分析した。その後でPCR反応物を1μlのグリコーゲン、0.3Mの酢酸ナトリウム pH5.5および3容量のよく冷えた100%エタノールで−80℃で20〜30分間沈殿させた。ペレットを水に再懸濁し、そして50〜100pmolをインビトロ転写の鋳型として用いた。
2’−フルオロ転写
50〜100pmolのdsDNAをインビトロ転写の鋳型として用いた。条件は、開始プールの作製に関する上記のようにであった。作製されたRNAを次の選択ラウンドに用いる。各ラウンドに使用する量を図3に記載する。
【0082】
この選択の結果は、RNAプールを用いる選択は図22および図23に、そしてF’RNAプールを用いる選択は図24および25に示す。そのトランケーションした形態(これらは、しかしながら、依然として標的に結合することができる)を包含する、該図に示す配列のいずれも本発明の核酸であると理解されるべきである。
【実施例2】
【0083】
自動インビトロ選択
特異的に結合するラットD−グレリン結合アプタマーの自動選択を下記に記述する。
材料
ビオチニル化ラットD−グレリン(アミノ酸配列、H−Gly−Ser−Ser(オクタノイル)−Phe−Leu−Ser−Pro−Glu−His−Gln−Lys−Ala−Gln−Gln−Arg−Lys−Glu−Ser−Lys−Lys−Pro−Pro−Ala−Lys−Leu−Gln−Pro−Arg−OH)は、Bachem(Basel,Switzerland)によりカスタム合成された。選択中に使用したペプチドは、ビオチン−ニュートラアビジン相互作用を用いる結合していない核酸種から分別を可能にするためにC末端にビオチン部分を含有する。このために、ニュートラアビジンアガロースおよびニュートラアビジンウルタラリンクプラス(NeutrAvidin UltraLink Plus)(両方ともPerbio Science,Bonn,Germany)を用いた。ワンステップRT−PCRキットは、Qiagen(Hilden,Germany)から購入した。Taq DNAポリメラーゼ、Superscript II逆転写酵素およびRNaseOUT RNアーゼインヒビターは、Life Technologies(Karlsruhe,Germany)から、T7RNAポリメラーゼはStratagene(Amsterdam,The Netherlands)から、そしてDNアーゼIはSigma−Aldrich(Taufkirchen,Germany)からであった。PicoGreen二本鎖DNA検出色素は、Molecular Probesから、NTPはLarova(Teltow,Germany)から購入した。
プール、プライマーおよびRNAスピーゲルマー
DNAプールの配列は、5’−TCT AAT ACG ACT CAC TAT AGG AGC TCA GAC TTC ACT CGT G−N40−CAC GTA CCA CTG TCG GTT CCA C−3’であり、NはA、C、GおよびTの等モル混合物を表す。
フォワード(T7)プライマー DE.40T7:
5’−TCT AAT ACG ACT CAC TAT AGG AGC TCA GAC TTC ACT CG−3’
リバースプライマー DE.40R:
5’−GTG GAA CCG ACA GTG GTA CG−3’
濃縮されたプールのクローニングおよびシーケンスは、GATC(Konstanz,Germany)により行われた。
自動インビトロ選択のプロセス
自動インビトロ選択中の大部分の液体処理操作は、取り外し可能なふたを有する96ウェルプレート(NCCプレート;Bilatec AG,Germany)において行い;結合RNA種からの結合していないものの分別は、Mobicolカラム(MoBiTec AG,Germany)において行い;インビトロ転写産物の自動精製は、Microcon YM−30限外濾過ユニット(Millipore,Eschborn,Germany)を用いて行った。
自動選択に使用する投入RNA
第一の自動選択ラウンド(ラウンド3)のRNAは、第三の手動選択ラウンドにおいて使用したものと同じであった(実施例1を参照)。このRNAの250pmoleをラウンド3および4における;100pmoleを全てのさらなるラウンドにおける結合反応当たりの投入量として用いた。
RNAの変性
標的分子ラットD−グレリンと接触させる前のRNAの変性を除く全ての非酵素的選択段階は、選択バッファー(20mM Tris−HCl,pH7.4;150mM NaCl;5mM KCl;1mM MgCl;1mM CaCl;0.1%[wt/vol]Tween−20)において行った。変性には、100〜250pmolのRNAプールをCaClおよびMgClを含まない57μlの選択バッファーにおいて95℃に5分間加熱した。変性後に、RNAを素早く4℃に2分間冷却し、そして次に37℃で平衡化した。MgClおよびCaClを各々1mMの最終濃度になるように加え、そして混合物を37℃でさらに5分間インキュベーションした(RNAのフォールディング)。
結合していないRNAからの結合したものの分別
変性後に、RNAをペプチドなしに10μlの選択マトリックス(それぞれ、ニュートラアビジンアガロースもしくはニュートラアビジンウルトラリンク)と37℃で15分間接触させた。このいわゆる前選択は、混合物からの潜在的マトリックス結合RNA種を除くために考案された。マトリックス粒子を懸濁状態で保つために、サンプルを1,400rpm(37℃)で振盪した。次に、マトリックスを単純な沈降により溶液中のRNAから分離し、上清を新しいウェルに移し、そしてラットD−グレリンを図9に示すような濃度になるように加えた。37℃で60分後に、10μlのビオチン結合マトリックスを加え、そして結合反応物を振盪(1,400rpm、37℃)下でさらに10分間インキュベーションした。洗浄には、マトリックスを次にMobicolカラムに移し、そして135マトリックス容量までの予熱した選択バッファー(37℃)で洗浄して結合RNA種から結合していないものを除いた。洗浄容量は、45(ラウンド3、すなわち、第1の自動ラウンド)〜後のラウンドにおける135マトリックス容量の間で異なった(図9参照)。
結合RNAの溶出
結合RNAの溶出は、95μlのRT−PCRバッファーに結合RNAを有するマトリックス粒子を再懸濁しそして95℃に3分間加熱することにより行った。逆転写およびその後のPCRの酵素は、50℃で2分間の平衡化の後に加えた。バッファー条件および酵素の量は、供給業者Qiagenにより勧められるように使用した。
増幅
インビトロ転写−選択プロセスに使用するRNAの作製
転写は、150μlの容量においてT7反応バッファー(80mM HEPES pH7.5;22mM MgCl;1mMスペルミジン;10mMジチオスレイトール;4mM[各々]GTP、CTP、ATPおよびUPT;80μg/ml BSA)中150UのT7 RNAポリメラーゼおよび40UのRNaseOut RNアーゼインヒビターで行った。1つの転写反応において、25μlのRT−PCR反応物をインビトロ転写の鋳型として用いた。反応物を37℃で3時間インキュベーションした。最後に、鋳型DNAを消化するためにDNアーゼIを加え、そして反応物を37℃で15分間インキュベーションした。次に、沈殿した無機ピロリン酸塩を50℃のワークステーション上でEDTAを25mMの最終濃度になるように加えることにより溶解した。生成RNAを残存するNTPおよび他の所望されない反応成分から8M尿素を含有する変性ゲルによってもしくはMicrocon YM−30マイクロ濃縮器を使用する限外濾過を用いることにより分離した。限外濾過精製したRNAは、限外濾過膜から単にすすぎ、ゲル精製では、RNAバンドをUV光下で切り出し、RNAをゲルから溶出し、エタノール沈殿し、乾燥させ、そして水に再懸濁した。
選択RNAの逆転写およびPCR
選択RNA分子の逆転写は、120μlの容量においてニュートラアビジンアガロースもしくはウルトラリンクプラスマトリックスの存在下で供給業者により推奨されるような条件下でQiagenワンステップRT−PCRキットを用いて行った。サンプル(マトリックスおよび付着RNAと一緒にRT−PCR反応バッファー)を95℃で3分間加熱し、そして酵素を加える前に50℃で2分間平衡化した。逆転写では、反応物を50℃で20分間そして60℃で10分間保った。RT酵素の不活性化ならびに熱安定性DNAポリメラーゼの活性化は、95℃で15分間の混合物のインキュベーションにより実施した。
【0084】
熱循環パラメーターは下記のとおりであった:変性、95℃で30秒;アニーリング、63℃で30秒;重合、72℃で30秒。
PCR進行の制御
PCRサイクルの数を最小限に保つために、PCRにおいて生成される二本鎖DNAの量を半定量的に追跡した。反応は、インビトロ転写に十分な鋳型DNAが生成される間のみ循環させた。PCR中に、既定数のサイクルの後に3μlのアリコートを反応物からサンプリングし、そしてPicoGreen溶液(TEバッファー[10mM Tris−HCl,pH8;1mM EDTA]に1:400希釈する)と混合した。PicoGreenは、溶液中に遊離している場合にはほとんど全く蛍光を示さない蛍光色素である。しかしながら、該色素は二本鎖DNAに結合している場合に、強く蛍光を発する(ex:485nm;em:520nm)。熱安定性ポリメラーゼを欠くコントロールと比較した蛍光の測定は、PCR進行のかなり正確な概算を可能にする。設定閾値(ポリメラーゼを有する蛍光強度/ポリメラーゼなしの蛍光強度>2)に達した後、RT−PCR反応物のアリコートをインビトロ転写の鋳型として直接用いた。
自動操作
ラウンド3からは、6回のゲル精製段階を除く全ての操作をピペッティングロボット上で完全に自動化して行った。プロセス中に使用するモジュールの配置を図10に示し、モジュールの使用の順序を図11に示した。以下のモジュールを選択プロセス中に使用した:
・PCR中の増幅進行の制御のための蛍光読取機。インビトロ転写のために十分な量のdsDNAをすでに生成したサンプルは、中間で4℃で保存され、そしてさらなる熱循環に供されなかった。
・分別用のA室および転写反応物の精製用のB室を有するダブル真空マニホールド
・使い捨ての導電性バリアチップのラック
・PCRプログラムならびに様々なインキュベーション段階を行うためのサーモサイクラー
・結合もしくは反応バッファーに粒子状マトリックスを懸濁するためのシェーカー
・酵素反応のホットスタートのためのもしくは蛍光測定中にサンプルを採取するためにPCR反応物を高温で保つための50℃のワークステーション
・PCRもしくは転写反応物の中間保存用の4℃のワークステーション
・温度感受性試薬の保存用の4℃の試薬ラック
・洗浄バッファーの保存および予熱用の37℃の試薬ラック
・大部分のピペッティング段階を行うための37℃のワークステーション
・蛍光測定反応物を調製するための蛍光プレートワークステーション
・現在使用していないマイクロタイタープレートの保存用のホテル(hotel)
・使用したピペットチップの処分用の廃棄物ステーション
本実施例に関連したモジュールの関与ならびに自動インビトロ選択のプロセス中の関与の順序を図11に図示する。
選択の結果
選択の経過
ラットD−グレリンに対するインビトロ選択の経過を図9に示す。あらゆる選択ラウンドにおいて、異なるストリンジェンシーを有する3つの結合反応に加えて標的分子を欠く1つのボイドカラムを行った。ストリンジェンシーは、洗浄容量を変えることならびに標的濃度を下げることにより調整した。
【0085】
所望のプールの複雑さを表すために必要である多量のRNAプールは、ロボットにより安全に処理することができなかったので、選択ラウンド1および2を手動で行った。ラウンド3からは、選択を完全に自動で行った。2ラウンドごとに、どのストリンジェンシーをその後の2ラウンドに使用すべきかの決定を行った。
【0086】
図9において、図13に示す配列をもたらした選択ストランドを強調表示する。一般に、バックグラウンドに対して有意なシグナルを依然として示した最もストリンジェントなストランド(すなわち、それぞれ、最も低い標的濃度もしくは最も大きい洗浄容量を有するもの)の選択RNAを次のラウンドの投入として用いた。閾値レベルに達するために必要であったPCRサイクルの数(「PCR進行の制御」を参照)を尺度として用いた。全部で、19の選択ラウンド(そのうち17は自動)を行った。
【0087】
ラウンド17〜ラウンド19(各々6.2nMのD−グレリンで)からのdsDNA分子の集団をクローン化し、そしてシーケンスした。全部で、96個のクローンをシーケンスした(ラウンド17およびラウンド19からそれぞれ48個)。14の異なるクローンの頻度および発生は、図12(表5)に示すとおりであった。
配列
配列分析の結果を図13に見ることができる。全部で96個のクローンから、87個において両方のプライマーを見出すことができた。
【0088】
そのトランケーションした形態(これらは、しかしながら、依然として標的に結合することができる)を包含する、図13に示す配列のいずれも本発明の核酸であると理解されるべきである。
【実施例3】
【0089】
D−グレリンに対するRNAアプタマーの特性化
「ビーズアッセイ」(溶液における結合)を用いることによるクローンの順位付け
D−グレリンに対する自動インビトロ選択から得られた14個全てのクローンをビーズアッセイを用いることによりそれらの結合挙動に関して順位付けした。
【0090】
この目的のために、2pmol(20nM)のRNAをCa++、Mg++およびTween 20を含まない100μlの選択バッファーにおいて95℃で5分間変性させ、そして次に氷上に直接置くことによりスナップ冷却した。次に、Ca++およびMg++を各々1mMの最終濃度になるように、そしてTween 20を0.1%の最終濃度になるように加えた。溶液を37℃に平衡化した。
【0091】
このRNAを異なる濃度のビオチニル化D−グレリンと37℃で1時間プレインキュベーションした。次に、この溶液の40μlをマイクロタイタープレートに移し、そして30μlの常磁性ストレプトアビジン磁性粒子(「ビーズ」;Roche,10mg/ml)を加え、そして混合物を37℃で10分間インキュベーションして全てのビオチニル化D−グレリンをビーズ上に固定化した(遊離のペプチドならびにRNA:ペプチド複合体)。D−グレリン濃度に依存する上清におけるRNA濃度の減少をモニターするために、上清におけるRNAの量をOliGreen蛍光色素(Molecular Probes)を用いて定量した。
【0092】
OliGreenの蛍光は、オリゴヌクレオチドへの分子の結合に強く依存し;溶液中で結合していない場合、485nmの光で励起するとOliGreenは弱い蛍光を示すのみである。しかしながら、核酸が存在する場合、520nmでの蛍光シグナルは核酸の濃度に比例して上昇する。
【0093】
次に、ビーズを6Mの尿素に再懸濁しそして37℃で10分間インキュベーションすることによりRNA−標的複合体を分離した。標的濃度に依存する溶出RNAの増加をモニターするために、この溶出液におけるRNAの量を同様に定量した。全ての値は、ペプチドなしのコントロールにおけるバックグラウンドシグナルに対して補正した。上清および溶出液の代表的な結合曲線を図14A〜Eに示す。
【0094】
0、20、100および500nMのD−グレリン濃度を用いる第一の順位付けは、試験した全てのクローンが100nM未満の活性構造のKで同様に十分に結合したことを示した。上清におけるRNA濃度の減少から判断されるように、RNAの約40〜50%が活性構造であるようである。
【0095】
クローンB11、C11、C12、A8およびF12の0、5、10、20、50、100、200および400nMのD−グレリン濃度を今度は配置するさらに詳細な順位付けは、これらのクローンが全てこのアッセイにおいて約10nMの活性構造のKで結合することを示した(図14A〜E)。
【0096】
これらの図は、ビオチニル化D−グレリンの濃度に依存する核酸媒介蛍光の増加を示す。y軸上にペプチドなしのコントロールにおけるバックグラウンドシグナル(=0%)に対する溶出液における蛍光シグナルの増加[%]を示す。クローンA8に決定したデータ点は、式
【0097】
【数1】

【0098】
(Bmaxは、高いペプチド濃度での蛍光の増加の最大プラトー値の値である。Kは、[nM]での結合定数Kを示す。)を用いて1部位結合(OneSiteBinding)モデルで適合させた。
【0099】
10nM未満の結合定数はこのアッセイで分析することができないので、次に、3個の選択クローンの結合特性を放射性標識したRNAを用いる結合アッセイによりならびにビアコア2000装置の使用により特性化した。
選択した放射性標識クローンのそれらの結合挙動に関する順位付け
標的分子ラットD−グレリンに対する3個の選択分子の結合挙動の順位付けを行った。この目的のために、クローンB11、E3およびF12をα32P−GTPおよびα32P−ATPの存在下でインビトロ転写した。2〜5pmoleの放射性標識RNAをCa++およびMg++を含まない選択バッファーにおいて95℃で3分間変性させ、これらのイオンを37℃で1mMの最終濃度になるように加えることによりフォールディングし、そして0、3、10、30、100、300、1000および3000nMの濃度のビオチニル化ラットD−グレリンと37℃で1時間インキュベーションした。次に、一定量のニュートラアビジンアガロースをマトリックスとして加え、そしてRNA:ペプチド複合体を37℃でもう10分間振盪した。次に、結合したペプチドおよびペプチド:RNA複合体を有するマトリックスを分離し、上清を除き、そして結合したRNAと結合していないRNAとの差を決定した。計算した数から、コントロール(0nMのD−グレリン)をバックグラウンドとして引いた(図15、表6)。付着数での結合曲線を図16A〜Cに示す。
ビアコア2000装置を用いることによるクローンの順位付け
14個全てのクローンのビアコア測定は、グレリンチップ上でのRNA溶液の直接結合アッセイとして行った。結合パートナーは、遊離のRNAおよび前もって固定化したグレリンである。
【0100】
グレリンチップは、その表面が下記のようにEDC/NHSアミノカップリングで連結された4つのフローセルを有するCM5チップ(Biacore)からなった:
フローセル1:基準セルとして1265RUのアビジン
フローセル2:1270RUのL−グレリン(ラット)
フローセル3:740RUのD−グレリン(ラット)
フローセル4:600RUのD−グレリン(ラット)
試験するサンプルは、選択バッファーにおいて500nMの濃度に調整し、そして37℃に平衡化した。測定自体は、以下の条件下でビアコア2000装置で行った:
温度 37℃
流量 20μl/分
結合 5分
解離 5分
再生 1M NaCl+0.01% Triton X−100
14の試験したD−RNAのうち13がアミノ連結したD−グレリンに100〜200nMの範囲のKを有することが判明した(図17)。C12調製物のD−RNA濃度は全ての他のものよりはるかに低く、それははるかに低い最大シグナルをもたらす。これは解釈を困難にし、そして約20nMの明白な低いKは疑わしい。
遊離のラットD−グレリンでのクローンB11の競合
遊離のラットD−グレリンに対するクローンD−B11の結合特性を評価するために、競合実験を行った。一定濃度のD−B11(100nM)を異なる濃度の遊離のD−グレリン(0〜500nM)と選択バッファーにおいて37℃でプレインキュベーションし、そして次にビアコアに注入した。ビアコアチップ上の固定化グレリンと遊離のグレリンはRNAの結合に関して競合し、それは遊離のグレリンの増加する濃度とともにRNAのいっそう低い見かけの濃度、従っていっそう低いビアコアシグナルをもたらす。
【0101】
図18に示すように、ビアコアシグナルは溶液中のD−グレリンの増加する濃度とともに減少する。これは、固定化D−グレリンへの結合を遊離のD−グレリンと競合できることを意味する。
【実施例4】
【0102】
B11のトランケーションおよびスピーゲルマーの特性化
アプタマーB11の二次構造は、図19に示すようにプログラムrnafold(I.L.Hofacker et al.,1994.Monatsh.Chem 125:167−188)を用いることにより計算した。
【0103】
RNAスピーゲルマーの製造には、得られる結合モチーフが合理的努力下で化学合成を可能にしそしてグレリンへの親和性が失われないようにB11配列をトランケーションすることが必要であった。
【0104】
これを行うために、塩基1〜17および65〜82を取り除いた。それぞれの47mer B11trc(rnafoldにより計算された二次構造は、図19を参照)は、T7プロモーター配列を含有するssDNAを合成し、ssDNAをプライマーおよびTaqポリメラーゼを用いて転写可能なdsDNAに埋め、そしてこの鋳型でT7 RNAポリメラーゼ反応を設定することにより酵素的にD−RNAとして製造した。製造されたRNAをゲル精製し、そして水に溶解した。対応するスピーゲルマーを標準的なβ−シアノエチル化学を用いて合成した。
【0105】
LおよびD形態の両方のトランケーションしたB11バージョンならびに全長D−RNAを同じ実行において上記のようにビアコア2000装置で試験し、そして100〜200nMの間のKの同様の結果を与えた(図20)。クローンB11(D−RNA)およびトランケーションしたB11(それぞれ、D−およびL−RNA)のビアコア測定のオーバーレイを図21に示す。
【実施例5】
【0106】
グレリン結合スピーゲルマーによるグレリン誘発性カルシウム放出の阻害を分析する方法
ヒトグレリン受容体(GHS−R1a)を発現する安定なトランスフェクションCHO細胞(Euroscreen,Gosselies,Belgiumから得られた)を透明な底を有する黒色96ウェルプレート(Greiner)においてウェル当たり5〜7x10個の細胞で接種し、そして100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、400μg/mlのジェネティシンおよび2.5μg/mlのファンギゾンをさらに含有するUltraCHO培地(Cambrex)において37℃および5% COで一晩培養した。
【0107】
スピーゲルマーを0.2mlのロープロファイル96チューブプレートにおいて5mMのプロベネシドおよび20mMのHEPESを含有するUltraCHO培地(CHO−U+)においてヒトもしくはラットグレリン(Bachem)と一緒に室温もしくは37℃で15〜60分間インキュベーションする。
【0108】
カルシウム指示色素fluo−4を負荷する前に、細胞を200μlのCHO−U+で1回洗浄する。次に、50μlの指示色素溶液(CHO−U+中10μMのfluo−4(Molecular Probes)、0.08%のpluronic 127(Molecular Probes))を加え、そして細胞を37℃で60分間インキュベーションする。その後で細胞を180μlのCHO−U+で3回洗浄する。最後に、90μlのCHO−U+をウェル当たり加える。
【0109】
蛍光シグナルの測定は、注入ポンプを備えたFluostar Optimaマルチ検出プレート読取機(BMG)において485nmの励起波長および520nmの発光波長で行う。
【0110】
カルシウム濃度のグレリン誘発性変化の正確な時間経過を分析するために、刺激用の溶液をCHO−U+における10x濃縮溶液として調製し、そして注入ポンプの助けを借りて注入する。この種の測定では各ウェルを別個に分析する。各ウェルからの記録の最後に、10μlの1% Triton−X−100を注入して適切な負荷を制御する。
【0111】
いくつかのサンプルの平行測定には、96ウェルプレートの1(垂直)列のウェルを一緒に記録する。4秒の時間差を有する最初の3回の読み取りは、ベースラインの決定のために行う。次に記録を中断し、そしてプレートを装置から取り出す。マルチチャンネルピペットを用いて、10μlの刺激溶液をウェルに加え、次にプレートを再び装置に入れ、そして測定を続ける。4秒の時間間隔を有する全部で20回の記録を行う。
【0112】
各ウェルで最大蛍光とベースライン値との差を決定し、そしてグレリン濃度に対して、もしくはスピーゲルマーによるカルシウム放出の阻害に関する実験ではスピーゲルマーの濃度に対してプロットする。
【実施例6】
【0113】
自動再選択
向上した結合親和性を有するRNA結合物(binder)を得るために、グレリン結合アプタマーC12に基づく再選択を行った。それぞれのDNAプールの配列は、5’−TCT AAT ACG ACT CAC TAT AGG AGC TCA GAC TTA GCA GGT GGG TGA GG caa aaa cgt aag acc gaa ggt aac cat t CCT ACC CAC CAT CGA GTG TCG GTT CCA C−3’であり、小文字は34%のそれぞれの塩基、22%の3つの他の塩基の混合物を表す。フォワードプライマーDE2.T7は、配列5’−TCT AAT ACG ACT CAC TAT AGG AGC TCA GAC TTA GCA GG−3’を有し、リバースプライマーDE2.Rは、配列5’−GTG GAA CCG ACA CTC GAT GG−3’を有した。
【0114】
最初の2回の選択ラウンドは、実施例1の「手動インビトロ選択」に記述するように手動で行い;ラウンド3〜10は、実施例2の「自動インビトロ選択」に記述するようにロボットにより行った。
【0115】
ラウンド10(12nMのD−グレリンで)からのdsDNA分子の集団をクローン化し、そしてシーケンスした。全部で、46個のクローンをシーケンスした。結合特性を調べた25個の異なるクローンのヌクレオチド配列を図31に示す。
【実施例7】
【0116】
再選択からの個々のクローンの分析
異なる位置でバリエーションを示す再選択プールからの25個のクローン(実施例6、図31)を実施例3に記述する「ビーズアッセイ」を用いる順位付けのために選択した。D−RNAアプタマーの結合を0、10、20、50、100、200、400および800nMのD−グレリン濃度で分析し;基準として、アプタマーNOX−SOT−D(C12)を平行して分析した。いくつかの候補は、コントロールアプタマーNOX−SOT−D(C12)より強くD−グレリンに結合し、いっそう低いKもしくはいっそう多量の活性構造のいずれかを示す。
【0117】
さらに、これらのアプタマーの結合をビアコア2000装置(実施例3)を用いて分析した。全てのRNAは、シグナル強度ならびに結合および解離挙動の偏差を有するが、bio−D−グレリンに結合することが判明した(図32を参照)。クローンSOT−108−B1、SOT−108−C8、SOT−108−F2、SOT−108−B6、SOT−108−B7、SOT−108−D5、SOT−108−F7、SOT−108−G3、SOT−108−H4、SOT−108−E6およびSOT−108−C6は、コントロールクローンNOX−SOT−C(B11)およびNOX−SOT−D(C12)より優れた結合を有するようであり、測定におけるいっそう高いシグナルもしくはいっそう遅い解離速度を示す。これらのクローンは、「ビーズアッセイ」においても同様に優れていたことを記載しなければならない。
【0118】
従って、これらのクローンを細胞培養アッセイ(実施例5)においてスピーゲルマーとしてそれらの活性に関して試験した。同時に、これらの配列を50ヌクレオチド未満のサイズにトランケーションすることができるかどうかを分析した。試験したスピーゲルマーを図33に要約する。
【0119】
細胞アッセイの第一の組において、グレリン依存性カルシウム放出へのスピーゲルマーの阻害の影響を10nMおよび3nMのL−RNA濃度でそれぞれ検出した。これは、トランケーションしたクローンの生物学的活性の大まかな概算を可能にする。この2点測定の結果を図34に示す。
【0120】
細胞アッセイ条件下で、これらのトランケーションした再選択クローンは、NOX−SOT−D(C12)のものと匹敵する阻害活性を示す。しかしながら、スピーゲルマーsot_d_lr_054、sot_d_lr_056およびsot_d_lr_064は、コントロールNOX−SOT−C(B11)およびNOX−SOT−D(C12)と比較して、3nMおよび10nMでグレリン活性を有意に強く阻害する。
【0121】
実験の第二の組は、異なる濃度のL−RNA(実施例5)でこれらのスピーゲルマーsot_d_lr_054、sot_d_lr_056およびsot_d_lr_064の阻害活性を分析する。得られる用量応答曲線を図35に示す。全てのクローンは、10nMでグレリン誘発性カルシウム放出のほぼ最大の阻害を示した。明らかなIC50を〜5nMで検出することができ、一方、1nMのスピーゲルマー濃度ではいかなる応答も認めることができない。比較して、このアッセイにおけるNOX−SOT−C(B11)のIC50は、10nMを超えて検出された。
【0122】
細胞アッセイは5nMのグレリン濃度で機能し、これはさらに低いIC50を有する結合事象を分析することを困難にし;スピーゲルマーがグレリンに比較してサブ化学量論(sub−stoichiometric)量で存在する場合に、完全な阻害を認めることができないと考えられなければならない。しかしながら、10nMでのグレリン活性のほとんど完全な阻害は、スピーゲルマーsot_d_lr_054、sot_d_lr_056およびsot_d_lr_064の生物学的活性が、検出されるよりさらに優れている可能性があることを示唆する。
【実施例8】
【0123】
正常マウスの摂餌量へのi.v.投与した抗グレリン−スピーゲルマーの効果の調査
研究の開始の前に、マウス(NMRI)を少なくとも5日間順応させた。マウスは餌および水を自由に入手することができ、そして個々に飼育した。実験は、各々8匹の動物の3群で実施した。これらの群に、明期の最後に食塩水溶液、非活性コントロールスピーゲルマーもしくはPEG化(PEGylated)B11スピーゲルマーのいずれかをi.v.注射により与えた。スピーゲルマーは、90mg/kg(1.8μM/kg)の用量で使用した。投与後に動物は餌および水を無制限に入手することができ、そして摂餌量を5分の間隔で24時間記録した。全部で24匹の動物での実験を各々12匹の2組に分け、そして2つの異なる日に実施した。
【0124】
第1組において摂餌量の減少が認められ(図36Aおよび36B)、一方、第2組では抗グレリンスピーゲルマーとコントロールスピーゲルマーとの違いを認めることができない(図37Aおよび37B)。全体で、抗グレリン−スピーゲルマーの投与後の期間における摂餌量の減少への傾向が示される(図38Aおよび38B)。
【実施例9】
【0125】
食餌訓練したマウスの摂餌量へのi.v.投与した抗グレリン−スピーゲルマーの効果の調査
マウス(NMRI)を1時間の期間にわたって暗期中に2回のみ餌を入手できるように訓練した。これらの条件下でそれらはそれらの食餌必要条件を満たすためにその時間中に餌を食べることを素早く学ぶ。この方法の理論的根拠は、個々の試験動物と群全体との間のより優れた比較可能性を得ることである。
【0126】
実験を各々8匹の動物の3群で実施した。これらの群に明期の最後に食塩水溶液、非活性コントロールスピーゲルマーもしくはPEG化B11スピーゲルマーのいずれかをi.v.注射により与えた。スピーゲルマーは、60mg/kg(1μM/kg)の用量で使用した。全部で24匹の動物での実験を各々12匹の2組に分け、そして2つの異なる日に実施した。試験動物は、投与後1および7時間で1時間の期間にわたって餌を入手できるようにした。消費された餌の量は、各給餌期間後に手動で決定した。図39は、第1の実験における12匹の動物の摂餌量を示し、そして図40は第2の実験を要約する。群当たりの全ての動物の全摂餌量を図41に示す。
【0127】
特に、第1の給餌期間中に動物は餌消費の減少への傾向を示した(図39Aおよび39B)。しかしながら、全体では餌消費への抗グレリンスピーゲルマーの弱いそして一時的な効果のみを認めることができた。
【実施例10】
【0128】
カニューレを挿入したラットの摂餌量へのi.c.v.投与した抗グレリン−スピーゲルマーの効果の調査
オスウィスター系ラットを照明コントロール室(12時間の明/12時間の暗サイクル)において飼育し、そして標準的なラットの餌を自由に入手できるようにした。実験の1〜2週前にオスウィスター系ラットを脳室内注入のために準備した。ステンレス鋼脳室内(icv)カニューレをラットの頭蓋骨に麻酔下で埋め込んだ。icvカニューレ配置は、実験後に色素を導入することにより全てのラットにおいて確かめた。処置の日に群当たり4匹のラットに明期の最後にa)コントロールスピーゲルマー(0.7mM/5μl/ラット)、b)スピーゲルマーB11(0.7mM/5μl/ラット)もしくはc)賦形剤(0.9%食塩水/5μl/ラット)の単回icv投与を与えた。摂餌量を24時間測定し、そして注入前の日(ベースライン記録)と比較した(図42)。
【0129】
この実験において、抗グレリンスピーゲルマーの効果は、コントロール群において認められる結果と有意に異ならなかった。
【実施例11】
【0130】
抗グレリン−スピーゲルマーによる外因性グレリン投与後の成長ホルモン放出の阻害
本実験は、スプラーグ・ドーリーラットで群当たり6匹の動物の3群において7日の順応後に行った。2群には150nmolのPEG化抗グレリンスピーゲルマーもしくはPEG化コントロールスピーゲルマーの単回i.v.注射のいずれかを与えた。スピーゲルマー投与の30分後に各ラットに3nmolのグレリン(250μl)の静脈内注射を与えた。血液サンプルを成長ホルモンレベルのベースライン記録のためにグレリン投与の前にそして注射の5分、15分、30分および45分後に麻酔下で採取した。得られる血漿サンプルをラジオイムノアッセイ系(成長ホルモン、ラット、Biotrakアッセイキット、RPN2561,Amersham Biosciences Europe GmbH,Freiburg)により分析した。
【0131】
GH放出は、スピーゲルマー処置群において観察の全期間にわたって持続的に抑制されて阻害され(図43)、記述するモデルにおける抗グレリンスピーゲルマーのインビボ活性を示す。
【0132】
さらに、GH放出の阻害を抗グレリンスピーゲルマーの異なる用量を投与することにより調べた(図45)。15nmolの単回用量はGH放出へのグレリンの効果を抑制し、一方、3nmolの用量は十分ではなかった。
【実施例12】
【0133】
抗グレリンスピーゲルマーによる外因性グレリンの摂餌量の刺激の中和
本研究は、全部で32匹のオススプラーグ・ドーリーラットを用いて4群の動物で2つの実験に分けた。7日の順応の後に、動物を各々8匹の4群に無作為に割り当てた。ラットを個々に飼育し、そして通常の明暗サイクルで維持した。動物は餌および水を自由に入手することができた。動物、給餌ジャーおよび水ボトルを明期の開始後約2時間で秤量した(0.1gの位まで)。給餌ジャーおよび水ボトルを4時間後に秤量し、そしてラットの異なる群の餌および水摂取量を計算した。
【0134】
第1組において外因性グレリンの最適用量を試験した。グレリンの3つの異なる用量(それぞれ、16.7nmol/kg、33.4nmol/kgおよび83.5nmol/kg)を腹腔内経路により投与した。異なる用量群の餌および水摂取量を同時に決定した。給餌ジャーおよび水ボトルを薬剤投与の時点でそして1、2および4時間後に秤量した(図44)。i.p.投与後のラットにおける摂餌量の刺激の最適用量は、10nmol/動物であった(図44)。
【0135】
前記と同じプロトコルに従って行う次の実験において、抗グレリンスピーゲルマーによる摂餌量への外因性グレリンの効果の中和を調べた。最初に150nmol/動物および30nmol/動物の2つの用量レベルのスピーゲルマーをs.c.投与した。1時間後にラットにグレリンをi.p.投与により与えた。コントロール群には賦形剤を与えた。餌および水摂取量を上記のように1、2および4時間後にモニターした。抗グレリンスピーゲルマーは、摂餌量への効果を示した。
【0136】
本明細書、配列表、請求項および/もしくは図面に開示する本発明の特徴は、別個にそしてその任意の組み合わせの両方で本発明をその様々な形態で実現するための材料であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】D−グレリン結合アプタマーのRNA選択のシグナル対ノイズ比を示す表1Aを示す。
【図2】D−グレリン結合アプタマーの2’F−RNA選択のシグナル対ノイズ比を示す表1Bを示す。
【図3】選択プロセスに使用するRNA/2’F−RNAの量を示す表2を示す。
【図4A】RNA選択に使用するグレリンペプチド濃度の経過を示す。
【図4B】2’F−RNA選択に使用するグレリンペプチド濃度の経過を示す。
【図5】ペプチド濃度の経過の間の全使用RNAのパーセントでの溶出RNAの経過を示す。
【図6】ペプチド濃度の経過の間の全使用2’F−RNAのパーセントでの溶出RNAの経過を示す。
【図7A】RNA選択のラウンド12〜14で行ったダブルラウンドおよび結合アッセイを示す表3を示す;グレリンへのパーセント結合でのデータ、*は配列を明らかにする。
【図7B】ダブルラウンドにわたってモニターしたD−グレリンへのRNAプール結合の向上を示す。
【図8A】2’F−RNA選択のラウンド13〜15で行ったダブルラウンドおよび結合アッセイを示す表4を示す;グレリンへのパーセント結合でのデータ、*は配列を明らかにする。
【図8B】ダブルラウンドにわたってモニターしたD−グレリンへの2’F−RNAプール結合の向上を示す。
【図9】ラットD−グレリンに対する自動インビトロ選択の経過を示す。
【図10】RNAの自動インビトロ選択用のロボットのワークサーフェスを示す。
【図11】自動RNA選択中にロボットにより実行される作業手順を示すスキームを示す。
【図12】選択プロセス中の同一配列の発生を示す表5を示す;内部基準および配列番号を示す。
【図13】実施例2に記述するようなグレリンに対する自動インビトロ選択により単離されたRNAリガンドの配列のアライメントを示す、ここで、線は欠けているヌクレオチドを示す。
【図14A】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンA8の結合曲線を示す、結合挙動はビーズアッセイを用いて分析した。
【図14B】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンB11の結合曲線を示す、結合挙動はビーズアッセイを用いて分析した。
【図14C】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンC11の結合曲線を示す、結合挙動はビーズアッセイを用いて分析した。
【図14D】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンC12の結合曲線を示す、結合挙動はビーズアッセイを用いて分析した。
【図14E】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンF12の結合曲線を示す、結合挙動はビーズアッセイを用いて分析した。
【図15】自動インビトロ選択により単離されたクローンB11、F12およびE3のD−グレリンへの結合挙動を示す表6を示す。
【図16A】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンB11の結合曲線、活性およびKdを示す、対応するデータを図8に示す。
【図16B】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンF12の結合曲線、活性およびKdを示す、対応するデータを図8に示す。
【図16C】自動インビトロ選択により単離されたD−グレリン結合RNAクローンE3の結合曲線、活性およびKdを示す、対応するデータを図8に示す。
【図17】ビアコア2000装置を用いて決定した場合のD−グレリン結合RNAクローンA3、A8、A12、B7、B11、B12、C11、C12、E3、E12、F5、F12、G2およびG5のKd値を示す表7を示す。
【図18】ビアコア2000装置を用いて行った、クローンB11での競合実験を示す。
【図19】D−グレリン結合RNAスピーゲルマークローンB11のおよびトランケーションしたクローンB11trcの計算された二次構造を示す、二次構造は、プログラム「rnafold」(Hofacker et al.,1994,Monatsh,Chem 125:167−188)で計算した。
【図20】D形態のRNAクローンB11ならびにDおよびL形態のトランケーションしたクローンB11のKdを示す表8を示す、Kdはビアコア2000装置で測定した。
【図21】D形態のRNAクローンB11ならびにDおよびL形態のトランケーションしたクローンB11のビアコア2000による結合アッセイを示す。
【図22】実施例1に記述するようなグレリンに対する手動インビトロ選択(ラウンド13)により単離されたRNAリガンドの配列のアライメントを示す、ここで、線は欠けているヌクレオチドを示し、そして配列のプライマー部分はボールド体で印刷され、そしてここで、TはUとして理解されるものとする。
【図23】実施例1に記述するようなグレリンに対する手動インビトロ選択(ラウンド14)により単離されたRNAリガンドの配列のアライメントを示す、ここで、線は欠けているヌクレオチドを示し、そして配列のプライマー部分はボールド体で印刷され、そしてここで、TはUとして理解されるものとする。
【図24】実施例1に記述するようなグレリンに対する手動インビトロ選択(ラウンド14)により単離された2’−F−RNAリガンドの配列のアライメントを示す、ここで、線は欠けているヌクレオチドを示し、そして配列のプライマー部分はボールド体で印刷され、そしてここで、TはUとして理解されるものとする。
【図25】実施例1に記述するようなグレリンに対する手動インビトロ選択(ラウンド15)により単離された2’−F−RNAリガンドの配列のアライメントを示す、ここで、線は欠けているヌクレオチドを示し、そして配列のプライマー部分はボールド体で印刷され、そしてここで、TはUとして理解されるものとする。
【図26】33nMのグレリンでのヒトグレリン受容体(GHSR1)を安定に発現するCHO細胞の刺激後に得られる蛍光シグナルの時間経過を示す;細胞にCa++指示色素Fluo4を負荷し、そして蛍光シグナルを蛍光プレート読取機で記録し;記録の最後に、Triton−X100を加えて細胞の適切な色素負荷を調べた。
【図27】ヒトグレリン受容体を安定に発現するCHO細胞におけるグレリン誘発性Ca++放出の用量応答曲線を示す;刺激に使用したグレリン濃度に対して最大シグナルとベースラインシグナルとの差をプロットし、約5nMの半数有効濃度(EC50)を示す、グレリンの用量応答曲線が得られ、この濃度をスピーゲルマーによるCa++放出の阻害に関するさらなる実験に用いた。
【図28】室温でのスピーゲルマーB11によるグレリン誘発性Ca++放出の阻害の用量応答曲線を示す;細胞を5nMのグレリンもしくは様々な量のスピーゲルマーB11と室温でプレインキュベーションしたグレリンで刺激した;結果は、スピーゲルマーなしに得られるシグナルに正規化した蛍光シグナルのパーセンテージを示す;スピーゲルマーB11は、約5nMのIC50でグレリン誘発性Ca++放出を阻害することが見出された。
【図29】37℃でのスピーゲルマーB11によるグレリン誘発性Ca++放出の阻害の用量応答曲線を示す;細胞を5nMのグレリンもしくは様々な量のスピーゲルマーB11と37℃でプレインキュベーションしたグレリンで刺激した;結果は、スピーゲルマーなしに得られるシグナルに正規化した蛍光シグナルのパーセンテージを示す;スピーゲルマーB11は、約6nMのIC50で37℃でグレリン誘発性Ca++放出を阻害することが見出された。
【図30】スピーゲルマーB11およびC12によるグレリン誘発性Ca++放出の阻害の比較を示す;細胞を5nMのグレリンもしくは様々な量のスピーゲルマーB11もしくはスピーゲルマーC12と室温でプレインキュベーションしたグレリンで刺激した;結果は、スピーゲルマーなしに得られるシグナルに正規化した蛍光シグナルのパーセンテージを示す;この実験において、スピーゲルマーB11は、約8nMのIC50でグレリン誘発性Ca++放出を阻害することが見出され、一方、スピーゲルマーC12ではIC50は約4nMであった。
【図31】自動再選択から得られるクローンのヌクレオチド配列を示す、5’−X−、5’プライマー配列GGAGCUCAGACUUAGCA、3’−Y−、3’プライマー配列AUCGAGUGUCGGUUCCAC、ここで、TはUとして理解されるものとし、下線を引いた配列は、分子内らせん構造を形成すると考えられ、クローンのコア形態は下線を引いた配列から始まり、終わる、クローンSOT−108−H3は5回発生し、SOT−108−A6、SOT−108−B7、SOT−108−C2、SOT−108−C3およびSOT−108−D4は2回発生し、全ての他のクローンは1回のみ得られた。
【図32A−C】37℃でのbio−D−グレリンへの再選択プールからのアプタマーのビアコア2000による結合アッセイを示す。
【図33】細胞アッセイにおいて試験した再選択スピーゲルマーの配列を示す;ここで、TはUとして理解されるものとし、スピーゲルマーの配列、名称およびサイズ、ならびにそれが由来する再選択クローンの名称を示す。
【図34】細胞アッセイにおけるグレリン誘発性カルシウム放出へのスピーゲルマーの阻害活性を示す;結果は3回の独立した測定から合わせ、コントロールNOX−SOT−C(B11)およびNOX−SOT−D(C12)をそれらの各々に示す(全てのスピーゲルマーは、3nMおよび10nMの濃度で二重反復で分析した)。
【図35】スピーゲルマーNOX−SOT−C(B11)、sot_d_lr_054、sot_d_lr_056およびsot_d_lr_064の用量応答曲線を示す;各スピーゲルマーによるグレリン誘発性カルシウム放出の阻害は、二重反復で測定する。
【図36A−38B】i.v.注射による食塩水溶液、非活性コントロールスピーゲルマーもしくはPEG化B11スピーゲルマーのいずれかの投与後のマウスの摂餌量を示す。
【図39−40】i.v.注射による食塩水溶液、非活性コントロールスピーゲルマーもしくはPEG化B11スピーゲルマーのいずれかの投与後のマウスの摂餌量を示す;マウスを1時間の期間にわたって暗期中に2回のみ餌を入手できるように訓練した;全部で24匹の動物での実験を12匹の動物の2組に分け、図39は第1の実験における12匹の動物の摂餌量を示し、そして図40は第2の実験を示す。
【図41】図39〜40に示すデータを要約する、24匹全てのマウスの全摂餌量を示す。
【図42】食塩水溶液、非活性コントロールスピーゲルマーもしくはPEG化B11スピーゲルマーのいずれかのicv投与後のラットの24時間摂餌量を示す。
【図43】150nmol/ラットの抗グレリンスピーゲルマーの単回i.v.注射による外因性グレリン投与後の成長ホルモン放出の阻害を示す。
【図44】ラットにおける摂餌量へのグレリン(それぞれ、16.7nmol/kg、33.4nmol/kg、83.5nmol/kg)の単回i.p.投与の効果を示す。
【図45】ラットにおけるグレリンで刺激されるGH放出への抗グレリンスピーゲルマーの異なる用量の効果を示す;GH放出を3nmoleのグレリンの単回静脈内投与で誘導し(A)、そしてGHのグレリン誘発性放出は、15nmole(C)および30nmole(D)の抗グレリンスピーゲルマーの事前の静脈内投与により抑制されたが、3nmoleの抗グレリンスピーゲルマー(B)では抑制されなかった。
【配列表】
































【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸であり且つ好ましくは該核酸がグレリンに結合するグレリンのアンタゴニスト。
【請求項2】
核酸であり且つ好ましくは該核酸が該受容体のリガンドに結合し、そして好ましくは該リガンドがグレリンであるGHSR 1a受容体系のアンタゴニスト。
【請求項3】
核酸が少なくとも1つのL−ヌクレオチドを含んでなる請求項1もしくは2に記載のアンタゴニスト。
【請求項4】
アンタゴニストがL−核酸である請求項1〜3のいずれかに記載のアンタゴニスト。
【請求項5】
核酸が請求項6〜14のいずれかに定義するとおりの核酸である請求項1〜4のいずれかに記載のアンタゴニスト。
【請求項6】
グレリンに結合する核酸、好ましくは、L−グレリンに結合するL−核酸。
【請求項7】
L−核酸が請求項8〜14のいずれかに定義するとおりの核酸である請求項6に記載の核酸。
【請求項8】
配列番号7〜配列番号125に記載の配列を含んでなる群から選択される配列を有する核酸。
【請求項9】
核酸が少なくとも1つのL−ヌクレオチドを含んでなる請求項8に記載の核酸。
【請求項10】
核酸がL−核酸である請求項8〜9のいずれかに記載の核酸。
【請求項11】
核酸がDNA、RNAおよびその組み合わせを含んでなる群から選択される請求項8〜10のいずれかに記載の核酸。
【請求項12】
核酸のKdが1μM未満、好ましくは0.25μM未満、より好ましくは0.1μM未満、そして最も好ましくは0.01μM未満である請求項8〜11のいずれかに記載の核酸。
【請求項13】
核酸のKdが100nMより大きく、好ましくは10nMより大きく、より好ましくは1nMより大きく、そして最も好ましくは0.05nMより大きい請求項8〜12のいずれかに記載の核酸。
【請求項14】
核酸が15〜150ヌクレオチド、20〜100ヌクレオチド、20〜80ヌクレオチド、20〜60ヌクレオチド、20〜50ヌクレオチドおよび30〜50ヌクレオチドを含んでなる群から選択される長さのものである請求項8〜13のいずれかに記載の核酸。
【請求項15】
グレリンおよび/もしくはGHSR 1a受容体系のアンタゴニストとしての請求項6〜14のいずれかに記載の核酸の使用。
【請求項16】
標的分子がグレリンであることを特徴とする、以下の段階:
a)核酸の不均一集団を作製する段階;
b)段階a)の集団を標的分子と接触させる段階;
c)標的分子と相互作用しない核酸(1つもしくは複数)を分離する段階;
d)場合により、標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)を分離する段階;および
e)場合により、標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)をシーケンスする段階
を含んでなる標的分子に結合する核酸の、好ましくは請求項6〜14のいずれかに記載の核酸の作製および/もしくは同定の方法。
【請求項17】
段階c)の後に、標的分子と相互作用する核酸(1つもしくは複数)の増幅からなる段階ca)を実施する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
段階b)〜d)を繰り返す請求項16もしくは17に記載の方法。
【請求項19】
核酸の不均一集団が請求項6〜14のいずれかに記載の少なくとも1つの核酸を含んでなる請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
標的分子がL−グレリンであり、そして標的分子の光学対掌体がD−グレリンであることを特徴とする、以下の段階:
a)D−核酸の不均一集団を作製する段階;
b)段階a)の集団を標的分子の光学対掌体と接触させる段階;
c)標的分子の光学対掌体と相互作用しないD−核酸を分離する段階;
d)標的分子の光学対掌体と相互作用するD−核酸をシーケンスする段階;および
e)段階d)において得られるD−核酸(1つもしくは複数)の配列と同一であるL−核酸配列(1つもしくは複数)を合成する段階;
を含んでなる自然立体配置(natural configuration)における標的分子に結合するL−核酸の作製の方法。
【請求項21】
段階c)の後で以下の段階:
ca)標的分子の光学対掌体と相互作用するD−核酸を増幅する段階
を導入することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
段階b)〜e)を繰り返すことを特徴とする請求項20〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
核酸の不均一集団が請求項6〜14のいずれかに記載の核酸を含んでなることを特徴とする請求項20〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
薬剤の製造のための請求項6〜17のいずれかに記載の核酸のそして/もしくは請求項1〜5のいずれかに記載のアンタゴニストの使用。
【請求項25】
薬剤が肥満症、エネルギーバランス、食欲および体重の調節、摂食障害、糖尿病、グルコース代謝、腫瘍、血圧ならびに心臓血管疾患を含んでなる群から選択される疾患もしくは障害の処置用であることを特徴とする請求項24に記載の使用。
【請求項26】
請求項6〜14のいずれかに記載の核酸および/もしくは請求項1〜5のいずれかに記載のアンタゴニスト、ならびに製薬学的に許容しうる担体を含んでなる組成物。
【請求項27】
グレリンおよび請求項6〜14のいずれかに記載の核酸のいずれかを含んでなる複合体(好ましくは、該複合体は結晶性複合体である)。
【請求項28】
グレリンの検出のための請求項6〜14のいずれかに記載の核酸のそして/もしくは請求項1〜5のいずれかに記載のアンタゴニストのいずれかの使用。
【請求項29】
以下の段階:
−候補グレリンアンタゴニストを準備する段階;
−請求項6〜14のいずれかに記載の核酸および/もしくは請求項1〜5のいずれかに記載のアンタゴニストを準備する段階;
−グレリンアンタゴニストの存在下でシグナルを与える試験系を準備する段階;および
−候補グレリンアンタゴニストがグレリンアンタゴニストであるかどうかを決定する段階
を含んでなるグレリンアンタゴニストのスクリーニングの方法。
【請求項30】
請求項6〜14のいずれかに記載の核酸および/もしくは請求項1〜5のいずれかに記載のアンタゴニストを含んでなるグレリンの検出のためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24−1】
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【図24−2】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【図37A】
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【図37B】
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【図38A】
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【図38B】
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【図39A−B】
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【図40A−B】
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【図41A−B】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公表番号】特表2006−501864(P2006−501864A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506074(P2005−506074)
【出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【国際出願番号】PCT/EP2003/008542
【国際公開番号】WO2004/013274
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(504411214)ノクソン・フアルマ・アクチエンゲゼルシヤフト (8)
【Fターム(参考)】