説明

ケイ素化合物及びこの製造方法

【課題】
高い親水性を付与できるケイ素化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
式(1)で表されることを特徴とするケイ素化合物を用いる。

(MOSO-R-)Z-R-Si(CH(-Y)3−n (1)

ただし、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属原子又はアンモニウム(NH)、R及びRは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜8のアリーレン基、Zは-O(CO)-R-S-、-O(CO)-R-O-、-O(CO)-R-NH-、(-O(CO)-R-)N-、-S-、-O-、-NH-、>N−、-S-R-CO-又は−NHCONH−で表される基(Rはエチレン又は1−メチルエチレン)、Yは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、Sは硫黄原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、mは1又は2、nは0又は1を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素化合物及びこの製造方法に関する。さらに詳しくは改質剤用として好適なケイ素化合物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、親水性基としてポリオキシアルキレン鎖をもつケイ素化合物が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−238820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のケイ素化合物は、親水性が不十分に付与できないという問題がある。本発明の目的は、高い親水性を付与することができるケイ素化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のケイ素化合物の特徴は、式(1)で表される点を要旨とする。

(MOSO-R-)Z-R-Si(CH(-Y)3−n (1)
【0005】
ただし、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属原子又はアンモニウム(NH)、R及びRは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜8のアリーレン基、Zは-O(CO)-R-S-、-O(CO)-R-O-、-O(CO)-R-NH-、(-O(CO)-R-)N-、-S-、-O-、-NH-、>N−、-S-R-CO-又は−NHCONH−で表される基(Rはエチレン又は1−メチルエチレン)、Yは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、Sは硫黄原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、mは1又は2、nは0又は1を表す。
【0006】
本発明のケイ素化合物の特徴は、式(2)〜(6)のいずれかで表される点を要旨とする。
【0007】






【0008】
ただし、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属原子又はアンモニウム(NH)、R及びRは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜8のアリーレン基、Rはエチレン又は1−メチルエチレン、Rはエチレン又はフェニレンエチレン基(−C−CHCH−)、Xは−S−、−O−、−NH−又は>N−で表される基、Yは炭素数1〜4のアルコキシ基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、Sは硫黄原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、mは1又は2、nは0又は1を表す。
【0009】
本発明の改質剤の特徴は、上記のケイ素化合物を含有する点を要旨とする。
【0010】
本発明の製造方法の特徴は、上記のケイ素化合物を製造する方法であって、
(メタ)アクリロイルオキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、アルコキシシリルアルカンチオール、アルコキシシリルアルキルアミン、アルコキシシリルアレーンチオール若しくはアルコキシシリルアリールアミンとを反応する反応工程(1)、
【0011】
ビニルベンゼンスルホン酸(エステル又は塩)若しくはビニルスルホン酸(エステル又は塩)と、アルコキシシリルアルカンチオール、アルコキシシリルアルキルアミン、アルコキシシリルアレーンチオール若しくはアルコキシシリルアリールアミンとを反応する反応工程(2)、
【0012】
ヒドロキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、イソシアン酸アルコキシシリルアルキル若しくはイソシアン酸アルコキシシリルアリールとを反応する反応工程(3)、
【0013】
メルカプトアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルとを反応する反応工程(4)、又は
【0014】
アミノアルカンスルホン酸(エステル又は塩)若しくはアミノアレーンスルホン酸(エステル又は塩)と、イソシアン酸アルコキシシリルアルキル若しくはイソシアン酸アルコキシシリルアリールとを反応する反応工程(5)
を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のケイ素化合物は、高い親水性を付与できる。本発明の改質剤は、上記のケイ素化合物を含有するため、高い親水性を容易に付与することができる。また、本発明のケイ素化合物の製造方法によると、高い親水性を付与できるケイ素化合物を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<式(1)で表されるケイ素化合物>
水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属原子又はアンモニウム(NH)(M)のうち、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル及びt−ブチルが含まれる。
また、アルカリ金属原子としては、リチウム原子、カリウム原子及びナトリウム原子が含まれる。
【0017】
これらのうち、親水性の観点から、アルカリ金属原子が好ましく、さらに好ましくはリチウム原子、カリウム原子及びナトリウム原子である。
【0018】
炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜8のアリーレン基(R、R)のうち、アルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2−プロピレン、テトラメチレン及び2−メチルトリメチレン等が挙げられる。また、アリーレン基としては、フェニル、メチレンフェニレン(−CH−C−)、エチレンフェニレン(−CHCH−C−)及びフェニレンエチレン(−C−CHCH−)等が挙げられる。
【0019】
炭素数1〜4のアルコキシ基(Y)としては、メチル、エチル、n−プロピル、isoープロピル、n−ブチル及びtert−ブチル等が挙げられる。
【0020】
<式(2)〜(5)で表されるケイ素化合物>
式(1)で表されるケイ素化合物のうち、式(2)〜(5)のいずれかで表されるケイ素化合物が好ましい。
【0021】
式(2)で表されるケイ素化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物が含まれる。

LiOSOCHCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

NaOSOCHCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

KOSOCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

KOSOCHCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

KOSOCHCHCHOCOCH(CH)CH-S-CHCHCHSi(OCH

KOSOCHCHCHOCOCHCH-NH-CHCHCHSi(OCH

(KOSOCHCHCHOCOCHCHN-CHCHCHSi(OCH

KOSOCHCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSiCH(OCH

KOSOCHCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSi(OCHCH

CHOSOCHCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

CHOSOCHCHCHOCOCHCH-S-CHCHCHSi(OCH
【0022】
式(3)で表されるケイ素化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物が含まれる。

LiOSO-p-CCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

LiOSO-p-CCHCH-NH-CHCHCHSi(OCH

(LiOSO-p-CCHCHN-CHCHCHSi(OCH

LiOSO-p-CCHCH-S-CHCHCHSiCH(OCH

LiOSO-p-CCHCH-S-CHCHCHSi(OCHCH

LiOSO-p-CCHCH-S-CHCHCHSiCH(OCH

CHCHOSO-p-CCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

CHCHOSO-p-CCHCH-NH-CHCHCHSi(OCH

CHOSO-p-CCHCH-NH-CHCHCHSi(OCH

NaOSO-p-CCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

KOSO-p-CCHCH-S-CHCHCHSi(OCH

NaOSO-CHCH-S-CHCHCHSi(OCHCH
【0023】
式(4)で表されるケイ素化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物が含まれる。

LiOSOCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCHCH

NaOSOCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCHCH

NaOSOCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCH

CHOSOCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCH

CHCHOSOCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCH

KOSOCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCHCH

LiOSOCHCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCHCH

NaOSOCHCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCHCH

NaOSOCHCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCH

CHOSOCHCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCH

CHCHOSOCHCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCH

CHOSOCHCHCH-OCONH-CHCHCHSi(OCHCH

NaOSOCH-OCONH-CHCHCHSi(OCHCH
【0024】
式(5)で表されるケイ素化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物が含まれる。

NaOSOCHCH-S-CHCHCOO-CHCHCHSi(OCH

NaOSOCHCHCH-S-CHCHCOO-CHCHCHSi(OCH

LiOSOCHCH-S-CHCHCOO-CHCHCHSi(OCH

LiOSOCHCH-S-CHCHCOO-CHCHCHSi(OCHCH

CHOSOCHCH-S-CHCHCOO-CHCHCHSi(OCH
【0025】
式(6)で表されるケイ素化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物が含まれる。

NaOSO-p-C-NHCONH-CHCHCHSi(OCH

NaOSO-p-C-NHCONH-CHCHCHSi(OCHCH

LiOSO-p-C-NHCONH-CHCHCHSi(OCH

KOSO-p-C-NHCONH-CHCHCHSi(OCH

CHOSO-p-C-NHCONH-CHCHCHSi(OCH

NaOSO-CHCHCH-NHCONH-CHCHCHSi(OCHCH
【0026】
本発明のケイ素化合物は公知の製造方法で容易に得ることができる。
一般式(2)で表されるケイ素化合物の製造方法には、(メタ)アクリロイルオキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、アルコキシシリルアルカンチオール、アルコキシシリルアルキルアミン、アルコキシシリルアレーンチオール若しくはアルコキシシリルアリールアミンとを反応する反応工程(1)を含むことが好ましい。
【0027】
反応工程(1)には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、(メタ)アクリロイルオキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)及びアルコキシシリルアルカンチオール等と反応しないものであれば制限がなく、たとえば、エーテル{ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン及びジオキサン等}、ケトン{アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等}、非プロトン性溶媒{N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン及びジメチルスルホキシド(DMSO)等}及び炭化水素{ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン及びキシレン等}等が挙げられる。
【0028】
反応工程(1)において、アルコキシシリルアルカンチオール又はアルコキシシリルアレーンチオールを用いる場合、公知のラジカル開始剤{たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル}を用いるか又は、紫外線を照射することが好ましい。一方、アルコキシシリルアルキルアミン又はアルコキシシリルアリールアミンを用いる場合、ラジカル開始剤を用いたり、紫外線を照射する必要はない。
【0029】
反応工程(1)の反応温度は付加反応が進行すれば制限がなく、たとえば、−10〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは10〜150℃、特に好ましくは20〜130℃)程度である。
【0030】
一般式(3)で表されるケイ素化合物の製造方法には、ビニルベンゼンスルホン酸(エステル又は塩)若しくはビニルスルホン酸(エステル又は塩)と、アルコキシシリルアルカンチオール、アルコキシシリルアルキルアミン、アルコキシシリルアレーンチオール若しくはアルコキシシリルアリールアミンとを反応する反応工程(2)を含むことが好ましい。
【0031】
反応工程(2)において、公知のラジカル開始剤{たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル}を用いるか又は、紫外線を照射することが好ましい。
【0032】
反応工程(2)には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、ビニルベンゼンスルホン酸(エステル又は塩)若しくはビニルスルホン酸(エステル又は塩)及びアルコキシシリルアルカンチオール等と反応しないものであれば制限がなく、たとえば、反応工程(1)の場合と同様の溶媒及びアルコール(エチルアルコール等)等が挙げられる。
【0033】
反応工程(2)の反応温度は反応が進行すれば制限がなく、たとえば、−10〜150℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは10〜150℃、特に好ましくは20〜130℃)程度である。
【0034】
一般式(4)で表されるケイ素化合物の製造方法には、ヒドロキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、イソシアン酸アルコキシシリルアルキル若しくはイソシアン酸アルコキシシリルアリールとを反応する反応工程(3)を含むことが好ましい。
【0035】
反応工程(3)には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、ヒドロキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)及びイソシアン酸アルコキシシリルアルキル等と反応しないものであれば制限がなく、たとえば、反応工程(1)の場合と同様の溶媒等が挙げられる。
【0036】
反応工程(3)には、公知のウレタン化触媒{たとえば、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ}等を用いてもよい。
【0037】
反応工程(3)の反応温度は反応が進行すれば制限がなく、たとえば、−10〜150℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは10〜150℃、特に好ましくは20〜130℃)程度である。
【0038】
一般式(5)で表されるケイ素化合物の製造方法には、メルカプトアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルとを反応する反応工程(4)を含むことが好ましい。
【0039】
反応工程(4)には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、メルカプトアルカンスルホン酸(エステル又は塩)及び(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキル等と反応しないものであれば制限がなく、たとえば、反応工程(1)の場合と同様の溶媒等が挙げられる。
【0040】
反応工程(4)には、公知のラジカル開始剤{たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル}を用いるか又は、紫外線を照射することが好ましい。
【0041】
反応工程(4)の反応温度は付加反応が進行すれば制限がなく、たとえば、−10〜150℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは10〜150℃、特に好ましくは20〜130℃)程度である。
【0042】
一般式(6)で表されるケイ素化合物の製造方法には、アミノアルカンスルホン酸(エステル又は塩)若しくはアミノアレーンスルホン酸(エステル又は塩)と、イソシアン酸アルコキシシリルアルキル若しくはイソシアン酸アルコキシシリルアリールとを反応する反応工程(5)を含むことが好ましい。
【0043】
反応工程(5)には、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒としては、アミノアルカンスルホン酸(エステル又は塩)、アミノアレーンスルホン酸及びイソシアン酸アルコキシシリルアルキル等と反応しないものであれば制限がなく、たとえば、反応工程(1)の場合と同様の溶媒等が挙げられる。
【0044】
反応工程(5)には、公知のウレア触媒{たとえば、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ}を用いてもよい。
【0045】
反応工程(5)の反応温度は反応が進行すれば制限がなく、たとえば、−10〜150℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは10〜150℃、特に好ましくは20〜130℃)程度である。
【0046】
本発明のケイ素化合物は、改質剤等に適用でき、たとえば、シランカップリング剤や、コーティング剤{ゾルゲル法による}等として好適である。
【0047】
本発明の改質剤は、上記のケイ素化合物を含有すればよいが、上記のケイ素化合物以外に、アルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子及び/又はシリカゾルを含むことが好ましい。
【0048】
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0049】
アルコキシシランオリゴマーとしては、メチルシリケート51及びエチルシリケート48(コルコート株式会社)等が挙げられる。
【0050】
金属酸化物微粒子としては、アエロジル300及びアエロジルR974(日本アエロジル株式会社、「アエロジル」はデグサ アクチエンゲゼルシャフトの登録商標である。)等が挙げられる。
【0051】
シリカゾルとしては、コルコート株式会社のアルコール性シリカゾル{コルコートP、コルコートN−103X及びコルコートHSA−6等;「コルコート」はライオン株式会社及びコルコート株式会社の登録商標である。}が挙げられる。
【0052】
アルコキシシランを含む場合、アルコキシシランの含有量(重量%)は、上記のケイ素化合物の重量に基づいて、10〜90が好ましく、さらに好ましくは15〜75、特に好ましくは20〜60である。
【0053】
アルコキシシランオリゴマーを含む場合、アルコキシシランオリゴマーの含有量は、二酸化ケイ素の重量%として、上記のケイ素化合物の重量に基づいて、10〜90が好ましく、さらに好ましくは15〜75、特に好ましくは20〜60である。
【0054】
金属酸化物微粒子を含む場合、金属酸化物微粒子の含有量は、ケイ素化合物の重量に基づいて、10〜90が好ましく、さらに好ましくは15〜75、特に好ましくは20〜60である。
【0055】
シリカゾルを含む場合、シリカゾルの含有量は、二酸化ケイ素の重量%として、上記のケイ素化合物の重量に基づいて、10〜90が好ましく、さらに好ましくは15〜75、特に好ましくは20〜60である。
【0056】
さらに、本発明の改質剤には、作業性(取扱性及び塗装性等)を向上させるために希釈溶媒を含有させてもよい。希釈溶媒としては、本発明のケイ素化合物、アルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子及びシリカゾルと反応せず、これらを溶解するものであれば制限がなく、たとえば、エーテル{テトラヒドロフラン及びジオキサン等}、アルコール{メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn−ブチルアルコール等}、ケトン{アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等}及び非プロトン性溶媒{N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン及びジメチルスルホキシド等}等が挙げられる。
【0057】
希釈溶媒を含有する場合、本発明の改質剤の作業性が向上すれば希釈溶媒の含有量に制限はなく、希釈溶媒の含有量は、たとえば、本発明のケイ素化合物、アルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子及びシリカゾルの含有量が、本発明のケイ素化合物、アルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子、シリカゾル及び希釈溶媒の合計重量に基づいて、0.05〜10重量%(好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%)となる量である。
【0058】
本発明の改質剤は、本発明のケイ素化合物をそのまま含有させてもよいが、成膜性等の観点から、ケイ素化合物を加水分解することが好ましい。
加水分解する場合、加水分解を促進するために、触媒を添加することが好ましい。
触媒としては、酸{無機酸(塩酸、硫酸及び硝酸等)及び有機酸(ギ酸、酢酸及び酪酸等)等}及び塩基{無機塩基(アンモニア、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)及び有機塩基(トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン等)}等が挙げられる。
【0059】
加水分解する場合、水の添加量(モル倍率)としては、本発明のケイ素化合物のモル数に基づいて、1〜1000が好ましく、さらに好ましくは5〜500、特に好ましくは10〜300である。
【0060】
本発明の改質剤に、本発明のケイ素化合物以外に、アルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子、シリカゾル及び/又は希釈溶媒を含む場合、本発明の改質剤は、上記のケイ素化合物と、アルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子、シリカゾル及び/又は溶媒とを均一混合することにより得られる。
なお、上記のケイ素化合物を加水分解する場合、アルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子、シリカゾル及び/又は溶媒と均一混合する前に加水分解してもよいし、均一混合後に加水分解してもよい。
【実施例】
【0061】
以下特記しない限り、部は重量部を意味する。
<実施例1>
イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル(チッソ株式会社)6.86部(27.8モル部)、3−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ社、テクニカルグレード)4.5部(27.8モル部)及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.2部を、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略する。)100部溶解した後、アルゴン雰囲気下、80℃で17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(1){3−(N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバモイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウム;NaOSO-CHCHCH-OCONH-CHCHCH-Si(OCHCH}を含むDMF溶液を得た。
【0062】
なお、このDMF溶液の一部を濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した{JEOL(日本電子)、JNM−GSX270 FT−NMR SYSTEM、CDCl、以下同じ。;4.10(m、2H、-COCONH-)、3.82(q、6H、-OCCH)、3.0−3.2(m、4H、NaOSO-、-OCONHC-)、2.02(m、2H、NaOSOCH-)、1.55(m、2H、-CCHSi≡)、1.22(t、9H、-CH)、0.63(m、2H、-CSi≡)}。
【0063】
<実施例2>
イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル(チッソ株式会社)10.0部(40.5モル部)、2−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社、東京化成1級)6.0部(40.5モル部)及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.2部を、乾燥ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略する。)114部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、80℃で17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(2){2−(N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバモイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム;NaOSO-CHCH-OCONH-CHCHCH-Si(OCHCH}を含むDMF溶液を得た。
【0064】
なお、このDMF溶液の一部を濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した{4.41(m、2H、-COCONH-)、3.82(q、6H、-OCCH)、3.0−3.2(m、4H、NaOSO-、-OCONHC-)、1.58(m、2H、-CCHSi≡)、1.22(t、9H、-CH)、0.63(m、2H、-CSi≡)}。
【0065】
<実施例3>
3−(アクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸カリウム(アルドリッチ社)10部(43.1モル部)、3−(トリメトキシシリル)プロパン−1−チオール(チッソ株式会社)4.73部(24.1モル部)及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル353×10−3部(2.15モル部)を、DMSO166.5部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、約25℃で17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(3){3−(3−(3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ)プロピオニルオキシ)プロパンスルホン酸カリウム;KOSO-CHCHCH-OCO-CHCH-S-CHCHCH-Si(OCH}を含むDMSO溶液を得た。
【0066】
なお、このDMSO溶液の一部を減圧濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した{4.22(m、2H、-COCO-)、3.57(s、9H、-OC)、2.88(m、2H、KOSO-)、2.5−2.8(m、6H、-OCOC-S-C-)、2.06(m、2H、KOSOCH-)、1.70(m、2H、-CCHSi≡)、0.75(m、2H、-CSi≡)}。
【0067】
<実施例4>
4−スチレンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業株式会社)10部(48.5モル部)及び3−(トリメトキシシリル)プロパン−1−チオール(チッソ株式会社)9.5部(48.5モル部)を、DMF175.5部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル398×10−3部(2.42モル部)を加え、80〜90℃で17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(4){4−(2−(3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ)エチル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム;NaOSO-p-CCHCH-S-CHCHCH-Si(OCH}を含むDMF溶液を得た。
【0068】
なお、このDMF溶液の一部を減圧濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した{7.53(m、2H、NaOSO-o-C-)、7.16(m、2H、NaOSO-m-C-)、3.48(s、9H、-OC)、2.78(m、2H、-C-)、2.70(m、2H、-CCH-S-)、2.50(m、2H、-S-CCH-)、1.57(m、2H、-CCHSi≡)、0.70(m、2H、-CSi≡)}。
【0069】
<実施例5>
減圧乾燥した4−スチレンスルホン酸リチウム(東ソー株式会社)12.12部(63.8モル部)及び3−(トリメトキシシリル)プロパン−1−チオール(チッソ株式会社)12.5部(63.8モル部)を、乾燥エタノール175部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル520×10−3部(3.17モル部)を加え、還流しながら17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(5){4−(2−(3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ)エチル)ベンゼンスルホン酸リチウム;LiOSO-p-CCHCH-S-CHCHCH-Si(OCH}を含むエタノール溶液を得た。
【0070】
なお、このエタノール溶液の一部を減圧濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した{7.76(m、2H、LiOSO-o-C-)、7.30(m、2H、LiOSO-m-C-)、3.53(s、9H、-OC)、2.89(m、2H、-C-)、2.75(m、2H、-CCH-S-)、2.52(m、2H、-S-CCH-)、1.68(m、2H、-CHCHSi≡)、0.75(m、2H、-CHSi≡)}。
【0071】
<実施例6>
減圧乾燥した2−メルカプトエタンスルホン酸アトリウム(東京化成工業株式会社)5部(30.5モル部)及びビニルトリエトキシシラン(チッソ株式会社)5.8部(30.5モル部)を、乾燥DMSO100部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル250×10−3部(1.52モル部)を加え、還流しながら17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(6){2−(3−(トリエトキシシリル)エチルチオ)エタンスルホン酸ナトリウム;NaOSO-CHCH-S-CHCH-Si(OCHCH}を含むDMSO溶液を得た。
【0072】
なお、このDMSO溶液の一部を減圧濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した。
【0073】
<実施例7>
イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル(チッソ株式会社)9.2部(37.2モル部)、2−ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム(関東化学株式会社)5部(37.2モル部)及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.2部を、乾燥DMF128部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、80℃で17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(7){N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバモイルオキシメタンスルホン酸ナトリウム;NaOSO-CH-OCONH-CHCHCH-Si(OCHCH}を含むDMF溶液を得た。
【0074】
なお、このDMF溶液の一部を濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した。
【0075】
<実施例8>
イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル(チッソ株式会社)8.02部(32.5モル部)、4−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成株式会社)7.5部(32.5モル部)及びジラウリル酸ジ−n−ブチルスズ0.2部を、乾燥DMF140部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、80℃で17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(8){4−(N−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)カルバモイルアミノ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム;NaOSO-C-NHCONH-CHCHCH-Si(OCHCH}を含むDMF溶液を得た。
【0076】
なお、このDMF溶液の一部を濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した。
【0077】
<実施例9>
減圧乾燥した2−メルカプトエチレンスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ社)5.5部(33.5モル部)、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート(信越化学工業株式会社)7.85部(33.5モル部)及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル353×10−3部(2.15モル部)を、DMF120部に溶解した後、アルゴン雰囲気下、約25℃で17時間反応させて、本発明のケイ素化合物(9){2−(2−(3−(トリメトキシシリル)プロピルオキシカルボニル)エチルチオ)エタンスルホン酸ナトリウム;NaOSO-CHCH-S-CHCH-CO-CHCHCH-Si(OCH}を含むDMF溶液を得た。
【0078】
なお、このDMF溶液の一部を減圧濃縮して、H−NMR分析により化学構造を確認した。
【0079】
<比較例1>−特許文献1の合成例1−
メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(SDD−01203、日本乳化剤株式会社、数平均分子量400)400部及び白金触媒{PT−VTSC−3.0X、ユミコアプレシャスメタルズ社}0.2部を100℃で均一混合し、これに、100℃でトリエトキシシラン{SIT8185、アズマックス株式会社}181部を2時間かけて滴下した後、100℃で7時間反応させた。引き続き、過剰分のトリエトキシシランを減圧除去して、比較用のケイ素化合物{メトキシポリエチレングリコール変性トリエトキシシラン}を得た。
【0080】
なお、このケイ素化合物について、H−NMR分析により化学構造を確認した{3.82(q、6H、-OCCH)、3.24(s、3H、COCHCHO-)、3.5(m、-OCO-)、3.27(q、2H、-CHOCCHCH-)、1.5(m、2H、-CCHSi≡)、1.22(t、9H、-OCH)、0.61(m、2H、-CSi≡)}。
【0081】
実施例及び比較例で得たケイ素化合物を用いて、以下のようにしてスライドガラスの表面を改質し、接触角を測定した。
評価試料(本発明のケイ素化合物を含む溶液15部;又は比較用のケイ素化合物1.5部とMEK13.5部との混合物)、エタノール30部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、処理液(改質剤)を調製した。
スライドガラス{76mm、26mm、1.2mm;水酸化ナトリウムの2−プロパノール飽和溶液に17時間浸漬した後、水洗し、乾燥(60℃、2時間)したもの}を処理液(改質剤)に浸漬し、スライドガラスを取り出した後、液切りをし、130℃10分間か熱処理して、表面改質スライドガラスを得た。
【0082】
接触角測定装置{協和界面化学株式会社、DROP MASTER 500、液適量2μL、測定間隔1000ms、測定回数30回}で、表面改質スライドガラスの表面の任意の5箇所について、接触角(度)を測定し、平均値を算出した。これらの結果を表1に示した。
なお、表面改質していないスライドガラスの表面について、同様に接触角(度)を測定し、これらの平均値をブランクとして、表1に示した。
【0083】
【表1】



【0084】
本発明のケイ素化合物は、比較例のケイ素化合物に比べて、高い親水性を付与することができた。
【0085】
<実施例10>
実施例1で得たケイ素化合物(1)を含むDMF溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(1)を調製した。
【0086】
<実施例11>
実施例2で得たケイ素化合物(2)を含むDMF溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(2)を調製した。
【0087】
<実施例12>
実施例11で得た改質剤(2)10部及びエタノール30部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(3)を調製した。
【0088】
<実施例13>
実施例2で得たケイ素化合物(2)を含むDMF溶液10部及びシリカゾル(コルコートN−103X;コルコート株式会社)20部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(4)を調製した。
【0089】
<実施例14>
実施例2で得たケイ素化合物(2)を含むDMF溶液6部及びシリカゾル(コルコートHSA−6;コルコート株式会社)30部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(5)を調製した。
【0090】
<実施例15>
実施例2で得たケイ素化合物(2)を含むDMF溶液10部及びシリカゾル(コルコートHSA−6;コルコート株式会社)20部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(6)を調製した。
【0091】
<実施例16>
実施例3で得たケイ素化合物(3)を含むDMF溶液15部及びシリカゾル(コルコートHSA−6;コルコート株式会社)15部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(7)を調製した。
【0092】
<実施例17>
実施例3で得たケイ素化合物(3)を含むDMSO溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(8)を調製した。
【0093】
<実施例18>
実施例4で得たケイ素化合物(4)を含むDMF溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(9)を調製した。
【0094】
<実施例19>
実施例4で得たケイ素化合物(4)を含むDMSO溶液6部及びシリカゾル(コルコートHSA−6;コルコート株式会社)30部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(10)を調製した。
【0095】
<実施例20>
実施例5で得たケイ素化合物(5)を含むエタノール溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(11)を調製した。
【0096】
<実施例21>
実施例5で得たケイ素化合物(5)を含むエタノール溶液10部及びシリカゾル(コルコートN−103X;コルコート株式会社)20部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(12)を調製した。
【0097】
<実施例22>
実施例5で得たケイ素化合物(5)を含むエタノール溶液6部及びシリカゾル(コルコートN−103X;コルコート株式会社)30部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(13)を調製した。
【0098】
<実施例23>
実施例5で得たケイ素化合物(5)を含むエタノール溶液6部及びシリカゾル(コルコートHSA−6;コルコート株式会社)30部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(14)を調製した。
【0099】
<実施例24>
実施例6で得たケイ素化合物(6)を含むDMSO溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(15)を調製した。
【0100】
<実施例25>
実施例7で得たケイ素化合物(7)を含むDMF溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(16)を調製した。
【0101】
<実施例26>
実施例8で得たケイ素化合物(8)を含むDMF溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(17)を調製した。
【0102】
<実施例27>
実施例9で得たケイ素化合物(9)を含むDMF溶液15部、エタノール30部、テトラエトキシシラン0.5部、水3部及び酢酸0.3部を均一混合した後、約25℃で2日間攪拌して、本発明の改質剤(18)を調製した。
【0103】
実施例10〜27で得た改質剤について、上記と同様にして、表面改質スライドガラスを調製して、接触角(度)を測定し、平均値を算出した。これらの結果を表2に示した。
【0104】
【表2】



【0105】
本発明のケイ素化合物と公知の表面改質剤(たとえば、アルコキシシランやシリカゾル)とを用いた場合、本発明のケイ素化合物のみを用いた場合と比べて、同等の接触角であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されることを特徴とするケイ素化合物。

(MOSO-R-)Z-R-Si(CH(-Y)3−n (1)

ただし、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属原子又はアンモニウム(NH)、R及びRは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜8のアリーレン基、Zは-O(CO)-R-S-、-O(CO)-R-O-、-O(CO)-R-NH-、(-O(CO)-R-)N-、-S-、-O-、-NH-、>N−、-S-R-CO-又は−NHCONH−で表される基(Rはエチレン、1−メチルエチレン又は2−メチルエチレン)、Yは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、Sは硫黄原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、mは1又は2、nは0又は1を表す。
【請求項2】
式(2)〜(6)のいずれかで表されることを特徴とするケイ素化合物。







ただし、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルカリ金属原子又はアンモニウム(NH)、R及びRは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数6〜8のアリーレン基、Rはエチレン又は1−メチルエチレン、Rはエチレン又はフェニレンエチレン基(−C−CHCH−)、Xは−S−、−O−、−NH−又は>N−で表される基、Yは炭素数1〜3のアルコキシ基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、Sは硫黄原子、Hは水素原子、Siはケイ素原子、mは1又は2、nは0又は1を表す。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のケイ素化合物を含有することを特徴とする改質剤。
【請求項4】
さらにアルコキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、金属酸化物微粒子及び/又はシリカゾルを含む請求項3に記載の改質剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のケイ素化合物を製造する方法であって、
(メタ)アクリロイルオキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、アルコキシシリルアルカンチオール、アルコキシシリルアルキルアミン、アルコキシシリルアレーンチオール若しくはアルコキシシリルアリールアミンとを反応する反応工程(1)、
ビニルベンゼンスルホン酸(エステル又は塩)若しくはビニルスルホン酸(エステル又は塩)と、アルコキシシリルアルカンチオール、アルコキシシリルアルキルアミン、アルコキシシリルアレーンチオール若しくはアルコキシシリルアリールアミンとを反応する反応工程(2)、
ヒドロキシアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、イソシアン酸アルコキシシリルアルキル若しくはイソシアン酸アルコキシシリルアリールとを反応する反応工程(3)、
メルカプトアルカンスルホン酸(エステル又は塩)と、(メタ)アクリル酸アルコキシシリルアルキルとを反応する反応工程(4)、又は
アミノアルカンスルホン酸(エステル又は塩)若しくはアミノアレーンスルホン酸(エステル又は塩)と、イソシアン酸アルコキシシリルアルキル若しくはイソシアン酸アルコキシシリルアリールとを反応する反応工程(5)
を含むことを特徴とする製造方法。

【公開番号】特開2009−203185(P2009−203185A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46952(P2008−46952)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(591167430)株式会社KRI (211)
【Fターム(参考)】