説明

ケーブル引出構造

【課題】 作業者の負荷を軽減することのできるケーブル引出構造とする。
【解決手段】 アンテナベース11に形成された貫通孔に、ケーブルを挟持している状態のケーブルカラー22を嵌入する。そして、圧入板21の圧入片を、ケーブルカラー22と貫通孔との間に挿入して、圧入板21を圧入していく。この際に、圧入板21に形成されている嵌入孔が、貫通孔側にテーパ部が設けられているボス11aに嵌入していき、圧入板21が貫通孔側に移動することにより、ケーブルカラー22が圧縮されて、ケーブルカラー22に挟持されているケーブルを固着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ等を収納しているケースからケーブルを引き出すケーブル引出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナケース内にアンテナを収納した車載用のアンテナ装置が知られている。この場合、アンテナにより受信された受信信号をアンテナケースの下面に嵌着されているアンテナベースからケーブルを引き出して車両内の受信機に供給するようにしている。従来提案されているアンテナベースからケーブルを引き出すケーブル引出構造を図18ないし図20に示す。図18は、従来のケーブル引出構造の構成を示す斜視図であり、図19は従来のケーブル引出構造の構成を拡大して示す斜視図であり、図20は従来のケーブル引出構造の組み付け途中の構成を断面図で示す側面図である。
これらの図に示すケーブル引出構造において、アンテナが内蔵されるアンテナケースの下面に金属製とされているアンテナベース111が嵌着されている。アンテナベース111の上には、例えばAMアンテナ、FMアンテナとGPSアンテナ等が設けられており、それぞれのアンテナから受信信号を出力する第1ケーブル120a、第2ケーブル120bと第3ケーブル120cがそれぞれ導出されている。第1ケーブル120a〜第3ケーブル120cは、アンテナベース111のほぼ中央に設けられている貫通孔からから引き出される。この貫通孔からケーブルが引き出されるケーブル引出構造をケーブル引出部112は備えている。ケーブル引出部112は、アンテナベース111とケーブルカラー122と圧入板121により構成され、アンテナベース111のほぼ中央には、第1ケーブル120a〜第3ケーブル120cが挿通される貫通孔が形成されている。この貫通孔に第1ケーブル120a〜第3ケーブル120cを挟持するためのケーブルカラー122が嵌着され、ケーブルカラー122を貫通孔に固着するための圧入板121が貫通孔とケーブルカラー122との間に圧入される。
【0003】
従来のケーブル引出構造の詳細を説明するために、各部の構成を説明する。まず、アンテナベース111の構成を図21(a)(b)および図22に示す。図21(a)はアンテナベース111の構成を示す斜視図であり、図21(b)は一部を拡大して示す平面図であり、図22は一部を拡大して断面図で示す側面図である。
これらの図に示す金属製とされたアンテナベース111は、先端部の幅が次第に狭まるように形成されたほぼ長方形状とされ、その裏面のほぼ中央部からボルト部113が突出するよう形成されている。このボルト部113には貫通孔111dが形成されており、アンテナベース111からボルト部113に貫通孔111dが形成されており、アンテナベース111における貫通孔111dはほぼ矩形状とされている。ボルト部113は、例えば車両のルーフに形成された取付孔に挿通されて、車両の内側からナットがボルト部113に螺着されることにより、アンテナベース111を備えるアンテナ装置が車両に取り付けられるようになる。貫通孔111dの上部の形状が若干大きくされて貫通孔111dの内部に後述するケーブルカラー122が係止される係止段部111eが形成されている。また貫通孔111dの上部と連通する嵌合凹部111fが貫通孔111dの近傍に形成されており、この嵌合凹部111f内に断面が断面円形のボス111aが、アンテナベース111の表面から突出するよう形成されている。
【0004】
次に、圧入板121の構成を図23ないし図27に示す。図23は圧入板121の構成を示す斜視図であり、図24は圧入板121の構成を示す右側面図であり、図25は圧入板121の構成を示す平面図であり、図26は圧入板121の構成を示す正面図であり、図27は圧入板121の構成を示す下面図である。
これらの図に示す金属製とされた圧入板121は、アンテナベース111のボス111aに嵌入される嵌入孔121cが形成された平面部121aと、平面部121aの前部を下方へほぼ直角に折曲して形成された圧入片121bと、平面部121aの左側から延伸されている延伸部121dを備えている。平面部121aの形状は、アンテナベース111に形成されている嵌合凹部111fとほぼ同形状とされて嵌合可能な形状とされている。また、圧入片121bの先端部にテーパ部121eが形成されて、先端に行くほど厚みが薄く形成されている。
【0005】
次に、ケーブルカラー122の構成を図28ないし図31に示す。図28はケーブルカラー122の構成を示す斜視図であり、図29はケーブルカラー122の構成を示す正面図であり、図30はケーブルカラー122の構成を示す側面図であり、図30はケーブルカラー122の構成を示す平面図である。
これらの図に示す合成樹脂製とされたケーブルカラー122は、四隅が丸みを帯びるように面取りされた厚みの薄い直方体の形状とされており、ほぼ半截された第1半部122aと第2半部122bと、第1半部122aと第2半部122bとを連結する連結部122dとを備えている。これらの第1半部122aと第2半部122bと連結部122dとの内側の形状により、3つの円が連結されたクローバ形状のケーブル挿通孔122cが形成されている。連結部122dの反対側におけるケーブル挿通孔122cからは挿通溝122eが引き出されている。第1半部122aと第2半部122bとは連結部122dを中心として左右に開くことができ、挿通溝122eの幅を広げて、広げた挿通溝122eから第1ケーブル120aないし第3ケーブル120cをケーブル挿通孔122cの中に挿通することができる。
【0006】
図19および図20に戻り、ケーブルカラー122の広げた挿通溝122eから第1ケーブル120aないし第3ケーブル120cをケーブル挿通孔122cの中に挿通した状態のケーブルカラー122を、アンテナベース111の貫通孔111d内に表面から嵌入する。そして、ケーブルカラー122の下面を貫通孔111d内の係止段部111eに当接させる。次いで、図20に示すように貫通孔111d内に嵌入されたケーブルカラー122の側面と貫通孔111dとの間隙に圧入板121の圧入片121bを圧入していく。この際に、圧入片121bの先端部にテーパ部121eが形成されているため、ケーブルカラー122の側面と貫通孔111dとの間隙に容易に圧入片121bを圧入することができる。さらに、圧入板121に形成されている嵌入孔121cをボス111aの位置に合うように移動させて、図20の黒矢印で示すように圧入板121を押し下げることにより、ボス111aに嵌入孔121cを嵌入していく。これにより、図19に示すように圧入板121の平面部121aが嵌合凹部111fに嵌合して、ボス111aの上部が圧入板121の嵌入孔121cから上に突出するようになる。この結果、ケーブルカラー122は圧入片121bにより圧縮されて、ケーブル挿通孔122c内に第1ケーブル120aないし第3ケーブル120cが挟持されて固着されるようになる。また、圧入板121の延伸部121dの下面がケーブルカラー122の上面に当接して、ケーブルカラー122が貫通孔111d内から抜け出ることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】再公表2008−62746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のケーブル引出構造では、圧入板121に形成されている嵌入孔121cをボス111aの位置に合わせるためには、圧入板121の圧入片121bによりケーブルカラー122が圧縮されるように、作業者は大きな力を圧入板121に加えてケーブルカラー122を位置合わせしていた。このため、作業者の負荷が重くなると云う問題点があった。
そこで、本発明は、作業者の負荷を軽減することのできるケーブル引出構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ケーブルを引き出す貫通孔が形成されていると共に、該貫通孔側の面にテーパ部が形成されているボスが、表面から突出するように前記貫通孔の周囲に形成されている平板状のベースと、開閉可能な第1半部と第2半部とからなり、該第1半部と該第2半部との間に前記ケーブルを挟持可能なケーブル挿通孔が形成されており、前記ベースに形成されている前記貫通孔内に嵌入可能なケーブルカラーと、前記第1半部と前記第2半部との間に前記ケーブルを挟持した状態で、前記ベースに形成されている前記貫通孔内に嵌入された前記ケーブルカラーと、前記貫通孔との間に圧入可能な圧入片がほぼ直角に折曲されて平面部に形成されており、前記ボスに嵌入可能な嵌入孔が前記平面部に形成されている圧入板とを備えることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1半部と第2半部との間にケーブルを挟持した状態で、ベースに形成されている貫通孔内に嵌入された前記ケーブルカラーと、貫通孔との間に圧入片を圧入して、ボスに平面部に形成されている嵌入孔を嵌入する場合に、ボスの貫通孔側の面にテーパ部が形成されていることから、ボスに圧入板に形成されている嵌入孔を大きな力を必要とすることなく容易に位置合わせして嵌入することができる。これにより、作業者の負荷を軽減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のケーブル引出構造が適用されるアンテナ装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例のケーブル引出構造の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明にかかるケーブル引出構造の構成を拡大して示す斜視図である。
【図4】本発明にかかるケーブル引出構造の組み付け途中の構成を断面図で示す側面図である。
【図5】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるアンテナベースの構成を示す斜視図および一部拡大図である。
【図6】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるアンテナベースの構成を断面図で示す側面図である。
【図7】本発明の実施例のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す右側面図である。
【図9】本発明の実施例のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の実施例のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す下面図である。
【図11】本発明の実施例のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す正面図である。
【図12】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す平面図である。
【図14】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す右側面図である。
【図15】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す左側面図である。
【図16】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す正面図である。
【図17】本発明の実施例のケーブル引出構造におけるのケーブルカラーの構成を示す下面図である。
【図18】従来のケーブル引出構造の構成を示す斜視図である。
【図19】従来のケーブル引出構造の構成を拡大して示す斜視図である。
【図20】従来のケーブル引出構造の組み付け途中の構成を断面図で示す側面図である。
【図21】従来のケーブル引出構造におけるアンテナベースの構成を示す斜視図および一部拡大図である。
【図22】従来のケーブル引出構造におけるアンテナベースの構成を断面図で示す側面図である。
【図23】従来のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す斜視図である。
【図24】従来のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す右側面図である。
【図25】従来のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す平面図である。
【図26】従来のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す正面図である。
【図27】従来のケーブル引出構造における圧入板の構成を示す下面図である。
【図28】従来のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す斜視図である。
【図29】従来のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す正面図である。
【図30】従来のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す側面図である。
【図31】従来のケーブル引出構造におけるケーブルカラーの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例にかかるケーブル引出構造が適用されるアンテナ装置1の概略構成を図1に示す。
図1に示すアンテナ装置1は、AMアンテナ、FMアンテナやGPSアンテナ等が収納されている合成樹脂製のアンテナケース10と、アンテナケース10の下面に嵌着されている金属製のアンテナベース11とにより構成されている。アンテナケース10は電波透過性の合成樹脂製とされており、先端に行くほど細くなる流線型の外形形状とされている。アンテナケース10の下面は取り付けられる車両の取付面の形状に合わせた形状とされている。アンテナケース10内には、図示していないがAMアンテナやFMアンテナが形成されているアンテナ基板を立設して収納できる空間と、GPSアンテナを収納できる空間と、アンプ基板等を収納する空間が形成されている。アンテナケース10の下面には金属製のアンテナベース11が嵌着されている。そして、アンテナベース11に上記したアンテナ基板が立設して固着されていると共に、GPSアンテナおよびアンプ基板が固着されている。
【0013】
アンテナベース11の下面からは、アンテナ装置1を車両に取り付けるためのボルト部13と、アンテナ装置1から受信信号を車両内に導くための複数本のケーブルを引き出すケーブル引出部12が突出して形成されている。この場合、ボルト部13およびケーブル引出部12が挿通される穴が車両のルーフに形成され、これらの穴にボルト部13およびケーブル引出部12が挿通されるようルーフ上にアンテナ装置1を載置する。そして、車両内に突出したボルト部13にナットを締着することによりアンテナ装置1を車両のルーフに固着することができる。この際に、位置決め用の突起としても作用するケーブル引出部12から引き出されたケーブルが車両内に導かれる。
【0014】
本発明の実施例にかかるケーブル引出構造を図2ないし図4に示す。図2は、本発明にかかるケーブル引出構造の構成を示す斜視図であり、図3は本発明にかかるケーブル引出構造のA部を拡大して示す斜視図であり、図4は本発明にかかるケーブル引出構造の組み付け途中の構成を断面図で示す側面図である。ただし、図3はケーブル引出構造の組み付け途中の構成を示しており、図4ではケーブルを省略して示している。
これらの図に示す本発明のケーブル引出構造において、アンテナベース11には、例えばAMアンテナ、FMアンテナとGPSアンテナが設けられており、それぞれのアンテナから受信信号を出力する第1ケーブル20a、第2ケーブル20bと第3ケーブル20cとがそれぞれ導出されている。第1ケーブル20a〜第3ケーブル20cは、アンテナベース11のほぼ中央に設けられている貫通孔からから引き出される。この貫通孔からケーブルが引き出されるケーブル引出構造をケーブル引出部12は備えている。ケーブル引出部12は、アンテナベース11とケーブルカラー22と圧入板21により構成され、アンテナベース11のほぼ中央には、第1ケーブル20a〜第3ケーブル20cが挿通される貫通孔が形成されている。この貫通孔に第1ケーブル20a〜第3ケーブル20cを挟持するためのケーブルカラー22が嵌着され、ケーブルカラー22を貫通孔に固着するための圧入板21が貫通孔とケーブルカラー22との間に圧入される。
【0015】
本発明にかかるケーブル引出構造の詳細を説明するために、各部の構成を説明する。まず、アンテナベース11の構成を図5(a)(b)および図6に示す。図5(a)はアンテナベース11の構成を示す斜視図であり、図5(b)はアンテナベース11の一部を拡大して示す平面図であり、図6は一部を拡大して断面図で示す側面図である。なお、これらの図において、ボルト部13は省略して示している。
これらの図に示す金属製とされたアンテナベース11は、先端部の幅が次第に狭まるように形成されたほぼ長方形状とされ、その裏面のほぼ中央部にケーブル引出部12を構成するほぼ矩形状の断面形状の貫通孔11dが形成されており、この貫通孔11dの内周面の一側から壁部11cが突出して形成されている。アンテナベース11に形成されている貫通孔11dの対向する面における上部の形状が若干大きくされて貫通孔11dの内部にケーブルカラー22が係止される係止段部11eが両側面に形成されている。また貫通孔11dの近傍に断面が長円形とされ、貫通孔11dに対向する周面にテーパ部11bがそれぞれ形成された2つのボス11aが、アンテナベース11の表面から突出して形成されている。
【0016】
次に、圧入板21の構成を図7ないし図11に示す。図7は圧入板21の構成を示す斜視図であり、図8は圧入板21の構成を示す右側面図であり、図95は圧入板21の構成を示す平面図であり、図10は圧入板21の構成を示す下面図であり、図11は圧入板21の構成を示す正面図である。
これらの図に示す金属製とされた圧入板21は、アンテナベース11に形成されている2つのボス11aにそれぞれ嵌入されるやや長円形状の嵌入孔21cが2つ形成された平面部21aと、平面部21aの前部を下方へほぼ直角に折曲して形成された圧入片21bと、平面部21aの左側から前方へ延伸されている延伸部21dとを備えている。圧入片21bの先端部にテーパ部21eが形成されて、先端に行くほど厚みが薄く形成されている。なお、嵌入孔21cの形状は、ボス11aの下端の形状とほぼ等しくされて、ボス11aの下端まで嵌入孔21cを嵌入できる形状とされている。
【0017】
次に、ケーブルカラー22の構成を図12ないし図17に示す。図12はケーブルカラー22の構成を示す斜視図であり、図13はケーブルカラー22の構成を示す平面図であり、図14はケーブルカラー22の構成を示す右側面図であり、図15はケーブルカラー22の構成を示す左側面図であり、図16はケーブルカラー22の構成を示す正面図であり、図17はケーブルカラー22の構成を示す下面図である。
これらの図に示す合成樹脂製とされたケーブルカラー22は、ほぼ直方体を半截した形状とされている上板第1半部22aと上板第2半部22bと、上板第2半部22bから下方へ延伸されて形成されている側板22dとを備えている。上板第1半部22aの外側の辺部の両側は面取りされて丸みを帯びており、上板第2半部22bの外側の辺部の両側は斜めに面取りされている。また、上板第1半部22aの下部は両側に段部22hが形成されるよう長辺が短くされており、上板第2半部22bの下部も両側に段部22hが形成されるよう長辺が短くされている。
【0018】
さらに、上板第1半部22aの下端には外側へ突出する第1係止片22gが形成されており、側板22dの下端には外側へ突出する第2係止片22eが形成されている。これらの上板第1半部22aと上板第2半部22bとは蝶番部22fにより互いに可動できるように連結されており、上板第1半部22aと上板第2半部22bとの内側の形状により、3つの円が連結されたクローバ形状のケーブル挿通孔22cとケーブル挿通孔22cに連通されている溝が両側に形成されている。上板第1半部22aと上板第2半部22bとは蝶番部22fを中心として左右に開くことができ、蝶番部22fの反対側における上板第1半部22aと上板第2半部22bとの間隔を広げて、広げた部位から第1ケーブル20aないし第3ケーブル20cをケーブル挿通孔22cの中に挿通することができる。
【0019】
図3および図4に戻り、ケーブルカラー22の上板第1半部22aと上板第2半部22bとの間を広げた溝から第1ケーブル20aないし第3ケーブル20cをケーブル挿通孔22cの中に挿通し、この状態のケーブルカラー22を、アンテナベース11の貫通孔11d内に表面から嵌入する。そして、ケーブルカラー22の下面の両側部を貫通孔11d内の両側面に形成されている係止段部11eにそれぞれ当接させる。これにより、上板第1半部22aの下端に形成されている第1係止片22gがアンテナベース11の下に突出してその下面に係合すると共に、側板22dの下端に形成されている第2係止片22eが壁部11cの下端面から突出してその下端面に係合する。これにより、ケーブルカラー22が貫通孔11d内から抜け出ないように固着することができる。次いで、図4に示す組み付け途中の構成のように貫通孔11d内に固着されたケーブルカラー22の側板22dと貫通孔11dとの間隙に圧入板21の圧入片21bを圧入していく。この際に、圧入片21bの先端部にテーパ部21eが形成されているため、ケーブルカラー22の側面と貫通孔11dとの間隙に容易に圧入片21bを圧入することができる。
【0020】
さらに、圧入板21に形成されている2つの嵌入孔21cを2つのボス11aの位置に合わせる。この場合、ボス11aの貫通孔11d側の周面にはテーパ部11bが形成されて上端に行くほど貫通孔11d側の周面が削られているため、図4に示すように大きな力を圧入板21に加えることなく2つの嵌入孔21cを2つのボス11aの位置にほぼ一致させられるようになる。次いで、図4の黒矢印で示すように圧入板21を押し下げることにより、2つのボス11aに2つの嵌入孔21cを嵌入していく。図3および図4は圧入板21が押し下げられる途中の状態を示しており、圧入板21が押し下げられるにつれて、嵌入孔21cの貫通孔11d側の内面はテーパ部11b上を摺動しながら下に移動していくことから、圧入板21は貫通孔11d側に移動していく。これに伴い、圧入片21bも貫通孔11d側へ移動することから、圧入片21bにより貫通孔11d内に固着されているケーブルカラー22が圧縮されて、ケーブル挿通孔22c内に第1ケーブル20aないし第3ケーブル20cが強く挟持されて固着されるようになる。なお、圧入板21を押し下げきった時に、2つのボス11aの上部が圧入板21の2つの嵌入孔21cからそれぞれ上に突出するようになる。また、圧入板21の延伸部21dの下面がケーブルカラー22の上面に当接して、ケーブルカラー22が貫通孔11d内から抜け出ることが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上説明した本発明にかかるケーブル引出構造は、車両用のアンテナ装置に適用するものとして説明したが、これに限るものではなく、ケース内からケーブルを引き出す構造を備える装置に適用することができる。
また、アンテナベースの下面に形成されている壁部はアンテナベースの位置決めのために設けられているが、位置決めが必要ない場合は壁部を省略することができる。壁部を省略した場合は、ケーブルカラーの側板を省略して上板第2半部の下端に第2係止片を設けるようにすればよい。
【符号の説明】
【0022】
1 アンテナ装置、10 アンテナケース、11 アンテナベース、11a ボス、11b テーパ部、11c 壁部、11d 貫通孔、11e 係止段部、12 ケーブル引出部、13 ボルト部、20a 第1ケーブル、20b 第2ケーブル、20c 第3ケーブル、21 圧入板、21a 平面部、21b 圧入片、21c 嵌入孔、21d 延伸部、21e テーパ部、22 ケーブルカラー、22a 上板第1半部、22b 上板第2半部、22c ケーブル挿通孔、22d 側板、22e 第2係止片、22f 蝶番部、22g 第1係止片、22h 段部、111 アンテナベース、111a ボス、111d 貫通孔、111e 係止段部、111f 嵌合凹部、112 ケーブル引出部、113 ボルト部、120a 第1ケーブル、120b 第2ケーブル、120c 第3ケーブル、121 圧入板、121a 平面部、121b 圧入片、121c 嵌入孔、121d 延伸部、121e テーパ部、122 ケーブルカラー、122a 第1半部、122b 第2半部、122c ケーブル挿通孔、122d 連結部、122e 挿通溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを引き出す貫通孔が形成されていると共に、該貫通孔側の面にテーパ部が形成されているボスが、表面から突出するように前記貫通孔の周囲に形成されている平板状のベースと、
開閉可能な第1半部と第2半部とからなり、該第1半部と該第2半部との間に前記ケーブルを挟持可能なケーブル挿通孔が形成されており、前記ベースに形成されている前記貫通孔内に嵌入可能なケーブルカラーと、
前記ベースに形成されている前記貫通孔内に嵌入された前記ケーブルカラーと、前記貫通孔との間に圧入可能な圧入片がほぼ直角に折曲されて平面部に形成されており、前記ボスに嵌入可能な嵌入孔が前記平面部に形成されている圧入板とを備え、
前記第1半部と前記第2半部との間に前記ケーブルを挟持した状態で、前記ベースに形成されている前記貫通孔内に嵌入された前記ケーブルカラーと、前記貫通孔との間に前記圧入片を圧入していくと共に、前記ボスに前記平面部に形成されている前記嵌入孔を嵌入していくことにより、前記ケーブルカラーが圧縮されて前記ケーブルが固着されるようにしたことを特徴とするケーブル引出構造。
【請求項2】
前記圧入板における前記圧入片が形成されている側から延伸する延伸部が前記圧入板に形成されており、前記ボスに前記平面部に形成されている前記嵌入孔が嵌入された際に、前記延伸部の下面が、前記ケーブルカラーの上面に当接するようなることを特徴とする請求項1記載のケーブル引出構造。
【請求項3】
前記ケーブルカラーの下端に係止片が形成されており、前記カーブルカラーを前記貫通孔内に嵌入した際に、前記係止片が前記ベースの下面に係止されるようにしたことを特徴とする請求項1記載のケーブル引出構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2012−64638(P2012−64638A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205449(P2010−205449)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】