説明

ケーブル接続スライダ

【課題】フレキシブル導体の基端側に、ケーブル収容部への挿入方向と直交する方向の引張荷重が作用しても、フレキシブル導体と接続端子との電気的接続が不安定になることがなく、また、フレキシブル導体がケーブル押え片から剥がれることを防止することもできるケーブル接続スライダを提供すること。
【解決手段】ケーブル接続スライダ35に、ケーブル収容部39内でフレキシブル導体37を接続端子41に押圧接続するケーブル押え片46の基端においてフレキシブル導体37を挟持固定するケーブル把持部材55と、ケーブル押え片46の基端部と先端部との間でフレキシブル導体37を貼着支持する導体貼着面57とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダ式コネクタのハウジング本体に装着されて、前記ハウジング本体のケーブル収容部に挿入される平型のフレキシブル導体を、前記ケーブル収容部に臨んで配列されている接続端子に、押圧接続するケーブル接続スライダに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、平型のフレキシブル導体を簡単に接続できるようにしたスライダ式コネクタの従来例を示したものである。
【0003】
ここに示したスライダ式コネクタ1は、下記特許文献1に開示されたもので、樹脂製のハウジング本体3と、該ハウジング本体3にスライド可能に連結されたケーブル接続スライダ5とから構成されている。
【0004】
ハウジング本体3は、平型のフレキシブル導体7が挿入されるケーブル収容部9を有している。また、ハウジング本体3内のケーブル収容部9の周囲は、端子収容空間11となっていて、この端子収容空間11にはフレキシブル導体7を接続する接続端子13が圧入状態に装着されている。この接続端子13は、図10(a)に示すように、フレキシブル導体7に導通接続するための端子部13aが、ケーブル収容部9に臨んで配列されている。
【0005】
ケーブル接続スライダ5は、ケーブル収容部9に挿入されるケーブル押え片15と、ケーブル押え片15の基端側からハウジング本体3の外壁面上に延出したハウジング連結手段17とを備えている。
【0006】
ハウジング連結手段17は、ケーブル押え片15との間にハウジング本体3の外壁3aを挟持することで、ハウジング本体3との連結を果たしている。
【0007】
ハウジング連結手段17によるハウジング本体3との連結により、ケーブル押え片15は、ケーブル収容部9に対して抜き差し方向(図10(a)の矢印A方向)に、スライド可能になっている。
【0008】
平型のフレキシブル導体7は、例えばフレキシブルプリント回路(FPC)基板やフレキシブルフラットケーブル(FFC)などで、シート状又はフィルム状の樹脂基材で導体を被覆した各種の配線部材や回路部材が該当する。
【0009】
ケーブル収容部9に挿入されるフレキシブル導体7の先端部の片面には、撓みを抑制する補強板19が貼付されている。
【0010】
フレキシブル導体7は、図10(a)、図10(b)に示すように、補強板19をケーブル押え片15側に向けた状態で、ケーブル収容部9に挿入される。
【0011】
補強板19の先端には、ケーブル押え片15の先端部が係合する隆起部19aが設けられている。
【0012】
ケーブル押え片15の先端には、ケーブル収容部9に挿入されたときに、隆起部19aと係合して、隆起部19aをケーブル収容部9の内奥に押し込む段差部15aが設けられている。
【0013】
ハウジング連結手段17には、ハウジング本体3の外壁3aに突設された係止突起21に係合して、抜け止めとなる係合部23が設けられている。図10(c)に示すように、ケーブル押え片15がケーブル収容部9の最奥部まで挿入されて、フレキシブル導体7の先端がケーブル収容部9内の規定位置に到達するとき、ハウジング連結手段17の先端の係合部23がハウジング本体3の係止突起21に係合して、ケーブル接続スライダ5がハウジング本体3に固定された状態になる。
【0014】
図10(c)に示したようにケーブル接続スライダ5がハウジング本体3に固定された状態のとき、ケーブル接続スライダ5のケーブル押え片15は、フレキシブル導体7を端子部13aに押圧接続して、フレキシブル導体7と接続端子13とを電気的に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−93526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところが、前述した従来のスライダ式コネクタ1の場合、図11(a)に示すように、ケーブル接続スライダ5が支持しているフレキシブル導体7の基端側に、ケーブル収容部9への挿入方向と直交する方向(図中の矢印B方向)の引張荷重が作用すると、補強板19に反りが生じて、フレキシブル導体7と端子部13aとの接触が不安定になるおそれがあった。
【0017】
また、図11(b)に矢印Cで示すように、フレキシブル導体7が補強板19から剥がれる剥離が生じ、その結果、フレキシブル導体7をケーブル収容部9に抜き差しする際の取り扱い性が低下するおそれもあった。
【0018】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、スライダ式コネクタのケーブル収容部に固定しているフレキシブル導体の基端側に、ケーブル収容部への挿入方向と直交する方向の引張荷重が作用しても、フレキシブル導体と接続端子との電気的接続が不安定になることがなく、また、前記引張荷重の作用でフレキシブル導体がケーブル押え片から剥がれることを防止することもできるケーブル接続スライダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)スライダ式コネクタのハウジング本体のケーブル収容部に挿入されるケーブル押え片と、前記ケーブル押え片が前記ケーブル収容部に対して抜き差し方向にスライド可能なように前記ハウジング本体との連結を果たすハウジング連結部材と、を備え、
前記ケーブル押え片の外面に沿って前記ケーブル収容部に挿入されている平型のフレキシブル導体を、前記フレキシブル導体と対向するように前記ケーブル収容部に臨んで配列されている接続端子に、前記ケーブル押え片による押圧力で押圧接続させるケーブル接続スライダであって、
前記ケーブル収容部から外部に突出する前記ケーブル押え片の基端において当該ケーブル押え片との間に前記フレキシブル導体を挟持固定するケーブル把持部材と、ケーブル押え片の基端部と先端部との間において前記フレキシブル導体を貼着固定する導体貼着面と、を備えたことを特徴とするケーブル接続スライダ。
【0020】
(2)前記フレキシブル導体が貼着される前記ケーブル押え片の下面には、フレキシブル導体に形成された取付穴に嵌合して、フレキシブル導体を位置決めする位置決め突起が設けられていることを特徴とする上記(1)に記載のケーブル接続スライダ。
【0021】
(3)前記ケーブル把持部材は、一端が前記ケーブル押え片の一側面側に可撓ヒンジ部により回動自在に結合し、他端が前記ケーブル押え片の他側面側の係止部に係合することで、前記ケーブル押え片の他側面に固定される構成であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のケーブル接続スライダ。
【0022】
上記(1)の構成によれば、ケーブル押え片によってケーブル収容部内の接続端子に押圧接続される平型のフレキシブル導体の先端部は、前記ケーブル押え片の導体貼着面に貼着されて、ケーブル押え片に一体化されている。
【0023】
更に、前記ケーブル押え片の導体貼着面に貼着されたフレキシブル導体は、ケーブル押え片の基端で、ケーブル把持部材によりケーブル押え片に挟持固定されている。
【0024】
そのため、ハウジング本体のケーブル収容部に固定しているフレキシブル導体の基端側に、ケーブル収容部への挿入方向と直交する方向の引張荷重が作用しても、その引張荷重はケーブル把持部材による挟持部が支え、ケーブル押え片に貼着されているフレキシブル導体に対しては、貼着を剥がす方向の力としては作用しない。
【0025】
従って、引張荷重の作用でフレキシブル導体がケーブル押え片から剥がれることを防止することができる。
【0026】
また、ケーブル把持部材が装備されるケーブル押え片の基端は,ハウジング本体の外部に位置していて、厚肉化等により強度確保が容易なため、ケーブル収容部への挿入方向と直交する方向の引張荷重が作用しても、前記引張荷重により反りが発生することを回避でき、反りによってフレキシブル導体と接続端子との電気的接続が不安定になることも回避することができる。
【0027】
上記(2)の構成によれば、ケーブル押え片の下面に貼着するフレキシブル導体は、取付穴を位置決め突起に整合させることで、正確に、且つ容易にケーブル押え片に位置決めすることができ、フレキシブル導体の組み付け作業性が向上する。
【0028】
上記(3)の構成によれば、前記ケーブル把持部材がスライダ式コネクタに一体形成されているため、部品の増加を招かない。また、ケーブル把持部材の他端を、ケーブル押え片の他側面側の係止部から外した状態で、フレキシブル導体をケーブル押え片の下面に装着し、その後、ケーブル把持部材の他端をケーブル押え片の他側面側に係止させることで、簡単にフレキシブル導体を挟持した状態にすることができ、フレキシブル導体の組み付け作業性が向上する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によるケーブル接続スライダによれば、ケーブル押え片によってケーブル収容部内の接続端子に押圧接続される平型のフレキシブル導体の先端部は、ケーブル押え片に貼着されると共に、ケーブル把持部材によってケーブル押え片の基端に挟持固定されている。
【0030】
そのため、フレキシブル導体の基端側に、ケーブル収容部への挿入方向と直交する方向の引張荷重が作用しても、その引張荷重はケーブル把持部材による挟持部が支え、ケーブル押え片に貼着されているフレキシブル導体に対しては、貼着を剥がす方向の力としては作用しない。
【0031】
従って、引張荷重の作用でフレキシブル導体がケーブル押え片から剥がれることを防止することができる。
【0032】
また、ケーブル把持部材が装備されるケーブル押え片の基端は,ハウジング本体の外部に位置していて、厚肉化等により強度確保が容易なため、ケーブル収容部への挿入方向と直交する方向の引張荷重が作用しても、前記引張荷重により反りが発生することを回避でき、反りによってフレキシブル導体と接続端子との電気的接続が不安定になることも回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るケーブル接続スライダを使用するスライダ式コネクタの一実施形態の右面側から見た分解斜視図である。
【図2】図1に示したケーブル接続スライダ及びフレキシブル導体の左面側から見た分解斜視図である。
【図3】図1に示したハウジング本体の右面側から見た分解斜視図である。
【図4】図2のD矢視図で、フレキシブル導体及びケーブル接続スライダの下面図である。
【図5】図1に示したケーブル接続スライダ及びフレキシブル導体の組立状態を左面側から見た斜視図である。
【図6】図5に示した組立状態を、右側下方から見た斜視図である。
【図7】ケーブル接続スライダに取り付けられたフレキシブル導体がケーブル収容部への挿入方向と直交する方向に引っ張られた状態で、ハウジング本体に嵌合装着される時の分解斜視図である。
【図8】ハウジング本体に嵌合装着されているケーブル接続スライダの基端から、フレキシブル導体がケーブル収容部への挿入方向と直交する方向に引っ張られている状態の斜視図である。
【図9】ハウジング本体に嵌合装着されているケーブル接続スライダの基端から、フレキシブル導体がケーブル収容部への挿入方向と直交する方向に引っ張られている状態の縦断面図である。
【図10】従来のスライダ式コネクタの組み立て工程の説明図で、(a)はハウジング本体にフレキシブル導体が挿入される前の縦断面図、(b)はフレキシブル導体7がハウジング本体のケーブル収容部に挿入された状態の縦断面図、(c)はハウジング本体のケーブル収容部に挿入されたフレキシブル導体7がケーブル接続スライダによってケーブル収容部内の端子部に押圧接続されている状態の縦断面図である。
【図11】(a)は従来のスライダ式コネクタにおいてハウジング本体に接続されているフレキシブル導体がケーブル収容部への挿入方向と直交する方向に引っ張られている状態の縦断面図、(b)はフレキシブル導体に作用する引張力でフレキシブル導体の貼着部に剥離が発生した状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係るケーブル接続スライダの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明に係るケーブル接続スライダを使用するスライダ式コネクタの一実施形態の右面側から見た分解斜視図、図2は図1に示したケーブル接続スライダ及びフレキシブル導体の左面側から見た分解斜視図である。
【0036】
図1に示したスライダ式コネクタ31は、樹脂製のハウジング本体33と、該ハウジング本体33にスライド可能に連結されるケーブル接続スライダ35と、ケーブル接続スライダ35によりハウジング本体33に接続固定される平型のフレキシブル導体37とから構成されている。
【0037】
ハウジング本体33は、図3に示すように、フレキシブル導体37が挿入されるケーブル収容部39を有している。このハウジング本体33には、平型のフレキシブル導体37を接続するための接続端子41が装着されると共に、ハウジング本体33を基板等に固定するための金具43が取り付けられる。
【0038】
ハウジング本体33の内部構造は、図9に示す通りである。ハウジング本体33内のケーブル収容部39の周囲は、端子収容空間45となっていて、この端子収容空間45には平型のフレキシブル導体37を接続する接続端子41が圧入状態に装着されている。この接続端子41は、図示のように、フレキシブル導体37に導通接続するための端子部41aが、ケーブル収容部39に臨んで配列されている。
【0039】
ケーブル接続スライダ35は、ケーブル収容部39に挿入されるケーブル押え片46と、ケーブル押え片46の基端側からハウジング本体33の外壁面上に延出したハウジング連結部材47とを備えている。
【0040】
ハウジング連結部材47は、図9に示すように、ケーブル押え片46との間にハウジング本体33の外壁33aを挟持することで、ハウジング本体33との連結を果たす。
【0041】
ハウジング連結部材47によるハウジング本体33との連結により、ケーブル押え片46は、ケーブル収容部39に対して抜き差し方向(図9の矢印E方向)に、スライド可能になる。
【0042】
ハウジング連結部材47には、ハウジング本体33の外壁33aに突設された係止突起49に係合して、抜け止めとなる係合部51が設けられている。本実施形態の場合、係合部51は、図9に示すように、ハウジング連結部材47に揺動可能に一体形成されたロックレバーで、ケーブル押え片46のケーブル収容部39への挿入長が規定長に達したときに、先端の係止突起51aが係止突起49に係合して、ケーブル接続スライダ35をハウジング本体33に固定する。
【0043】
本実施形態の場合、ケーブル収容部39から外部に突出するケーブル押え片46の基端53には、当該ケーブル押え片46との間にフレキシブル導体37を挟持固定するケーブル把持部材55が備えられている。
【0044】
また、ケーブル押え片46の基端部と先端部との間には、図9に示すように、フレキシブル導体37を貼着固定する導体貼着面57が設定されている。
【0045】
本実施形態の場合、ケーブル把持部材55は、回動式のクランプ部材で、図1及び図2に示したように、一端がケーブル押え片46の一側面側に可撓ヒンジ部58により図1の矢印F方向に回動自在に結合されている。ケーブル把持部材55の他端には、ケーブル押え片46の他側面側の係止部59に係合する係合穴60が設けられている。
【0046】
ケーブル把持部材55は、他端をケーブル押え片46の他側面側に回動させて、図5に示すように、係合穴60を係止部59に係合させることで、ケーブル押え片46との間に平型のフレキシブル導体37を挟持する。
【0047】
また、図4に示すように、フレキシブル導体37が貼着されるケーブル押え片46の下面には、フレキシブル導体37側の取付穴61に嵌合して、フレキシブル導体37を位置決めする位置決め突起63が設けられている。
【0048】
位置決め突起63の上に重なるケーブル把持部材55には、位置決め突起63との干渉を回避する逃がし穴67が貫通形成されている。
【0049】
平型のフレキシブル導体37は、例えばフレキシブルプリント回路(FPC)基板やフレキシブルフラットケーブル(FFC)などで、シート状又はフィルム状の樹脂基材で導体を被覆した各種の配線部材や回路部材が該当する。
【0050】
フレキシブル導体37は、ケーブル押え片46の導体貼着面57に対応する領域に、両面粘着テープ70が貼付されている。また、ケーブル押え片46上の位置決め突起63の位置に対応して、位置決め突起63が嵌合する取付穴61が貫通形成されている。
【0051】
また、フレキシブル導体37には、取付穴61の周辺に、治具セット用の位置決め穴65が貫通形成されている。
【0052】
フレキシブル導体37は、図4に示すように、両面粘着テープ70を貼付した側とは逆側の面に、接続端子41の端子部41aに押圧接続する複数の端子37aが露出形成されている。
【0053】
フレキシブル導体37は、図5及び図6に示したように、予め、両面粘着テープ70によりケーブル押え片46の導体貼着面57に貼着され、更に、ケーブル把持部材55によりケーブル押え片46の基端に挟持固定された状態にされる。
【0054】
そして、図7及び図8に示すように、ケーブル接続スライダ35と一緒に、ケーブル収容部39に挿入装着される。ケーブル押え片46のケーブル収容部39への挿入長が規定長に達すると、図9に示したように、ケーブル接続スライダ35の係合部51がハウジング本体33の係止突起49に係合して、ケーブル接続スライダ35がハウジング本体33に固定された状態になる。この固定状態では、ケーブル押え片46の外面(下面)に沿って前記ケーブル収容部39に挿入されているフレキシブル導体37の端子37aが、フレキシブル導体37と対向するようにケーブル収容部39に臨んで配列されている接続端子41の端子部41aに、ケーブル押え片46による押圧力で押圧接続されている。
【0055】
以上に説明した一実施形態のケーブル接続スライダ35では、ケーブル押え片46によってケーブル収容部39内の接続端子41に押圧接続されるフレキシブル導体37の先端部は、ケーブル押え片46の導体貼着面57に貼着されて、ケーブル押え片46に一体化されている。
【0056】
更に、ケーブル押え片46の導体貼着面57に貼着されたフレキシブル導体37は、ケーブル押え片46の基端53で、ケーブル把持部材55によりケーブル押え片46に挟持固定されている。
【0057】
そのため、ハウジング本体33のケーブル収容部39に固定しているフレキシブル導体37の基端側に、図9に示すように、ケーブル収容部39への挿入方向と直交する方向の引張荷重Gが作用しても、その引張荷重Gはケーブル把持部材55による挟持部が支え、ケーブル押え片46に貼着されているフレキシブル導体37に対しては、貼着を剥がす方向の力としては作用しない。
【0058】
従って、引張荷重Gの作用でフレキシブル導体37がケーブル押え片46から剥がれることを防止することができる。
【0059】
また、ケーブル把持部材55が装備されるケーブル押え片46の基端は,ハウジング本体33の外部に位置していて、厚肉化等により強度確保が容易なため、ケーブル収容部39への挿入方向と直交する方向の引張荷重Gが作用しても、引張荷重Gにより反りが発生することを回避でき、反りによってフレキシブル導体37と接続端子41との電気的接続が不安定になることも回避することができる。
【0060】
また、上記一実施形態のケーブル接続スライダ35では、フレキシブル導体37が貼着されるケーブル押え片46の外面(下面)には、図4に示したように、平型のフレキシブル導体37側の取付穴61に嵌合して、フレキシブル導体37を位置決めする位置決め突起63が設けられている。
【0061】
そのため、ケーブル押え片46の下面に貼着するフレキシブル導体37は、取付穴61を位置決め突起63に整合させることで、正確に、且つ容易にケーブル押え片46に位置決めすることができ、フレキシブル導体37の組み付け作業性が向上する。
【0062】
また、上記一実施形態のケーブル接続スライダ35では、ケーブル把持部材55は、一端がケーブル押え片46の一側面側に可撓ヒンジ部58により回動自在に結合し、他端がケーブル押え片46の他側面側の係止部59に係合することで、ケーブル押え片46の他側面に固定される。
【0063】
即ち、ケーブル把持部材55がスライダ式コネクタ31に一体形成されているため、部品の増加を招かない。また、ケーブル把持部材55の他端を、ケーブル押え片46の他側面側の係止部59から外した状態で、フレキシブル導体37をケーブル押え片46の下面に装着し、その後、ケーブル把持部材55の他端をケーブル押え片46の他側面側に係止させることで、簡単にフレキシブル導体37を挟持した状態にすることができ、フレキシブル導体37の組み付け作業性が向上する。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0065】
31 スライダ式コネクタ
33 ハウジング本体
35 ケーブル接続スライダ
37 平型のフレキシブル導体
37a 端子
39 ケーブル収容部
41 接続端子
41a 端子部
46 ケーブル押え片
47 ハウジング連結部材
49 係止突起
51 係合部(ロックレバー)
55 ケーブル把持部材
57 導体貼着面
58 可撓ヒンジ部
59 係止部
60 係合穴
61 取付穴
67 逃がし穴
70 両面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダ式コネクタのハウジング本体のケーブル収容部に挿入されるケーブル押え片と、前記ケーブル押え片が前記ケーブル収容部に対して抜き差し方向にスライド可能なように前記ハウジング本体との連結を果たすハウジング連結部材と、を備え、
前記ケーブル押え片の外面に沿って前記ケーブル収容部に挿入されている平型のフレキシブル導体を、前記フレキシブル導体と対向するように前記ケーブル収容部に臨んで配列されている接続端子に、前記ケーブル押え片による押圧力で押圧接続させるケーブル接続スライダであって、
前記ケーブル収容部から外部に突出する前記ケーブル押え片の基端において当該ケーブル押え片との間に前記フレキシブル導体を挟持固定するケーブル把持部材と、ケーブル押え片の基端部と先端部との間において前記フレキシブル導体を貼着固定する導体貼着面と、を備えたことを特徴とするケーブル接続スライダ。
【請求項2】
前記フレキシブル導体が貼着される前記ケーブル押え片の下面には、フレキシブル導体に形成された取付穴に嵌合して、フレキシブル導体を位置決めする位置決め突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル接続スライダ。
【請求項3】
前記ケーブル把持部材は、一端が前記ケーブル押え片の一側面側に可撓ヒンジ部により回動自在に結合し、他端が前記ケーブル押え片の他側面側の係止部に係合することで、前記ケーブル押え片の他側面に固定される構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル接続スライダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−70841(P2011−70841A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219562(P2009−219562)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】