説明

ケーブル接続具及びこれを備えたケーブルアッセンブリ

【目的】 本発明は、ケーブルの引っ張り強度を向上させることができるケーブル接続具及びこれを備えたケーブルアッセンブリを提供する。
【構成】 ケーブル接続具Cは、ケーブル10a、10bの第1端部から突出した芯線11a、11bに接触可能な端子200と、端子200が設けられたベース100と、ケーブル10a、10bの第1端部に固着可能なクランパ400とを備えている。クランパ400がベース100に係合可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブル接続具及びこれを備えたケーブルアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のケーブルアッセンブリは、端部から突出する芯線を有する複数のケーブルと、ケーブルの芯線が接続可能な端子と、端子が固着されたベースと、ケーブルの端部、端子及びベースが埋設された絶縁性を有するボディとを備えているものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−331529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ケーブルアッセンブリは、ケーブルの端部がボディに埋設されているだけであるので、ケーブルの引っ張り強度が弱い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、ケーブルの引っ張り強度を向上させることができるケーブル接続具及びこれを備えたケーブルアッセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のケーブル接続具は、ケーブルの端部から突出した芯線に接触可能な端子と、前記端子が設けられたベースと、前記ケーブルの端部に固着可能なクランパとを備えている。前記クランパが前記ベースに係合可能となっている。
【0007】
このような発明の態様による場合、ケーブルに固着させたクランパをベースに係合させることができるので、前記ケーブル接続具のケーブルの引っ張り強度を向上させることができる。
【0008】
前記ベースは、前記ケーブルを周方向に回転自在に保持可能なケーブル保持部を有する構成とすることが可能である。この場合、前記ケーブル保持部に保持された前記ケーブルを回転させることにより、前記クランパが前記ベースに係合されるようになっている。
【0009】
このような発明の態様による場合、ケーブル保持部にケーブルを保持させた状態で、ケーブルを回転させると、ケーブルに固着されたクランパがベースに係合される。よって、クランパとベースとの係合を簡単に行うことができる。
【0010】
前記端子は、前記ケーブル保持部に保持された前記ケーブルの芯線に接触可能に配置された接続部を有する構成とすることが可能である。このような発明の態様による場合、ケーブル保持部にケーブルを保持させるだけで、当該ケーブルの芯線が端子の接続部に接触する。よって、ケーブルを端子に容易に接続することができる。
【0011】
前記ベースは、第1係合部を有する構成とすることが可能である。前記クランパは、前記ケーブルの端部に外嵌可能なリング状のクランパ本体と、前記クランパ本体に設けられた第2係合部とを有する構成とすることが可能である。前記第1、第2係合部の何れか一方をフック、他方を前記フックが係合可能な係合穴又は係合溝とすることが可能である。
【0012】
このような発明の態様による場合、ケーブル保持部にケーブルを保持させた状態で、ケーブルを回転させると、フックが係合穴又は係合溝に係合される。よって、クランパとベースとの係合を簡単に行うことができる。
【0013】
前記ケーブル接続具は、前記ケーブル保持部に保持されており且つ前記ケーブルを回転自在に弾性保持可能な筒状のパッキンを更に備えた構成とすることが可能である。
【0014】
このような発明の態様による場合、ケーブル保持部に保持されたパッキンがケーブルを弾性保持するので、ケーブルの芯線と端子との接続部分に対する防水性及び防塵性の向上を図ることができる。しかも、ケーブル保持部に保持されたパッキンがケーブルを弾性保持するので、ケーブルに掛かる外部負荷を軽減することができる。よって、更に、ケーブルの引っ張り強度を向上させることができる。
【0015】
前記ケーブル保持部は、筒状の保持部本体と、前記保持部本体の第1端部側に設けられており且つ前記パッキンの外形と略同じ形の第1開口と、前記保持部本体の前記第1端部の反対側の第2端部を塞ぐ閉塞部と、前記閉塞部に設けられた第2開口とを有する構成とすることが可能である。前記第2開口は、前記パッキンの外形よりも小さく且つ前記パッキンの内形よりも大きい、又は前記パッキンの内形と略同じ形である。前記パッキンは前記第1開口から前記保持部本体に嵌合し且つ前記閉塞板に当接している。前記ケーブルは、前記第1開口から前記パッキンに嵌合し、前記第2開口から突出可能となっている。
【0016】
このような発明の態様による場合、パッキンが保持部本体に嵌合し且つ閉塞板に当接するので、ケーブルの芯線と端子との接続部分に対する防水性及び防塵性の更なる向上を図ることができる。
【0017】
本発明のケーブルアッセンブリは、上記した何れかの態様のケーブル接続具と、ケーブルとを備えている。前記ケーブルは、前記ケーブル接続具の前記クランパが固着した端部と、この端部から突出し、前記ケーブル接続具の前記端子に接触する芯線とを有している。
【0018】
前記ケーブルアッセンブリは、前記ケーブル接続具及びケーブルの端部が埋設又は収容された絶縁性を有するボディを更に備えた構成とすることが可能である。このような発明の態様による場合、ケーブル接続具及びケーブルの端部がボディに埋設又は収容されているので、ケーブルの芯線と端子との接続部分に対する防水性及び防塵性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、本発明の実施例1に係るケーブルアッセンブリの概略的平面図である。
【図1B】図1Bは、ボディを透過させた前記ケーブルアッセンブリの概略的平面図である。
【図1C】図1Cは図1B中の1C-1C断面図である。
【図1D】図1Dは図1C中の1D部分の拡大図である。
【図2】図2は、前記ケーブルアッセンブリの概略的分解斜視図である。
【図3A】図3Aは、前記ケーブルアッセンブリの組み立て手順を説明するための説明図である。
【図3B】図3Bは、前記ケーブルアッセンブリの図3Aの続きの組み立て手順を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例1に係るケーブルアッセンブリについて図1A〜図3Bを参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0021】
図1A及び図1Bに示す前記ケーブルアッセンブリは太陽光発電システムに用いられるケーブルの分岐部である。前記ケーブルアッセンブリは、ケーブル10aと、複数のケーブル10bと、ボディ20と、ケーブル接続具Cとを備えている。以下、前記ケーブルアッセンブリの各構成要素について詳しく説明する。なお、図1B〜図2において、ケーブルアッセンブリ及びケーブル接続具Cの長さ方向をY、ケーブルアッセンブリ及びケーブル接続具Cの幅方向をX、ケーブルアッセンブリ及びケーブル接続具Cの高さ方向をZとして示している。X方向はY方向に直交し、Z方向は、X、Y方向に直交している。
【0022】
ケーブル10bは、図2に示すように、芯線11bと、芯線11bを覆う内側絶縁体12bと、内側絶縁体12bを覆う外側絶縁体13bとを有している。ケーブル10bのY方向の第1端部において、内側絶縁体12bが外側絶縁体13bから露出し、芯線11bが内側絶縁体12bの露出部分から突出している。ケーブル10bのY方向の第1端部の反対側の第2端部は、図示しないプラグコネクタに接続されている。このプラグコネクタは、上記太陽光発電システムの太陽パネルに接続可能になっている。すなわち、ケーブル10bは太陽パネルにより発電された電気を送電する送電ケーブルである。なお、ケーブル10bは、第1端部において、内側絶縁体12の長さが相違する2タイプが存在している。
【0023】
ケーブル10aは、図2に示すように、芯線11aと、芯線11aを覆う内側絶縁体12aと、内側絶縁体12aを覆う外側絶縁体13aとを有している。ケーブル10aのY方向の第1端部において、内側絶縁体12aが外側絶縁体13aから露出し、芯線11aが内側絶縁体12aの露出部分から突出している。ケーブル10aのY方向の第1端部の反対側の第2端部は、図示しないパワーコンディショナーに接続されている。このようにケーブル10aは、第2端部の接続対象が異なる以外、ケーブル10bと同じものである。
【0024】
ケーブル接続具Cは、図1B〜図1Dに示すように、ケーブル10bの第1端部とケーブル10aの第1端部とを接続可能なアダプタである。このケーブル接続具Cは、ベース100と、端子200と、複数のパッキン300と、複数のクランパ400とを備えている。
【0025】
クランパ400は、図1C〜図2に示すように、金属板で構成されている。クランパ400は、クランパ本体410と、フック420(第1係合部)とを有している。クランパ本体410は略U字状の板である。クランパ本体410は、リング状に湾曲させ、カシメされることにより、ケーブル10a、10bの外側絶縁体13a、13bの第1端部に各々固着可能となっている。
【0026】
フック420は、クランパ本体410の頂部に設けられ且つ当該クランパ本体410の半径方向(Z方向)の外側に延びた略U字状の板である。このフック420は、基端部421と、中間部422と、先端部423とを有している。基端部421は、クランパ本体410に連接され且つクランパ本体410の軸方向(Y方向)に延びた板である。中間部422は、基端部421に連接され且つクランパ本体410から離れる方向(半径方向の外側方向)に延びた板である。中間部422の長さ寸法は、ベース100のZ方向の寸法(板厚)よりも若干大きい(図1C及び図1D参照)。先端部423は、中間部422に連接され、基端部421に対向するように折り返され且つ前記軸方向に延びた板である。
【0027】
パッキン300は、図1C〜図2に示すように、円筒状のシリコンゴム等の弾性体である。パッキン300の外周面には、複数の外側リング310がY方向に間隔をあけて設けられている。パッキン300の内周面には、複数の内側リング320がY方向に間隔をあけて設けられている。外側リング310と内側リング320とは、図1Dに示すように、Y方向に交互に配置されている。内側リング320の内径は、ケーブル10a、10bの内側絶縁体12a、12bの外径と略同じである。パッキン300内にケーブル10a、10bの内側絶縁体12a、12bが各々嵌合可能となっている。換言すると、パッキン300は、その内部に嵌合するケーブル10a、10bの内側絶縁体12a、12bの露出部分を各々弾性的に保持可能となっている。パッキン300は弾性体であり且つ複数の内側リング320がケーブル10a、10bの内側絶縁体12a、12bを弾性保持するようになっているので、ケーブル10a、10bの内側絶縁体12a、12bはパッキン300に保持された状態で周方向に回転可能である。なお、外側リング310の外径がパッキン300の外径に、内側リング320の内径がパッキン300の内径に相当する。
【0028】
ベース100は絶縁樹脂製の板であって、第1板110と、第2板120と、ケーブル保持部130aと、4つのケーブル保持部130bとを有している。第1板110は矩形状の板である。第1板110は、Y方向の第1端部、その反対側の第2端部、この第1、第2端部の間の中間部とを有している。第1板110の第1端部には、4つの円柱状の突起111がX方向に間隔をあけて配設されている。第1板110の中間部上には、パッキン300を介してケーブル10bを回転自在に保持可能な絶縁樹脂製の4つのケーブル保持部130bがX方向に一列で配設されている。第1板110のケーブル保持部130bのY方向の一方側には、3つの円柱状の突起112と2つの矩形状の孔114とがX方向に間隔をあけて交互に配設されている。第1板110のY方向の突起111と突起112との間の部分には、3つの矩形状の孔113がX方向に間隔をあけて開設されている。孔113のうちX方向の両端の孔113は外側に開放されている。
【0029】
ケーブル保持部130bは、保持部本体131bと、第1開口132bと、閉塞部133bと、第2開口134bとを有している。保持部本体131bは、ベース100上に設けられた略円筒である。保持部本体131bのY方向の第1端部側には円形の第1開口132bが設けられている。保持部本体131bのY方向の第2端部は閉塞部133bで塞がれている。保持部本体131bの内径及び第1開口132bの径はパッキン300の外径と略同じである。保持部本体131b内に第1開口132bからパッキン300が嵌合可能となっている。この嵌合状態で、パッキン300の外側リング310が保持部本体131bの内周面に弾性的に当接可能となっている。閉塞部133bは、保持部本体131bに嵌合したパッキン300に当接可能となっている。閉塞部133bには円形の第2開口134bが設けられている。第1、第2開口132b、134bの中心はY方向において一直線状に位置している(図1C参照)。第2開口134bの径は、パッキン300の外径よりも小さく且つパッキン300の内径よりも大きい。第2開口134bには、ケーブル10bの内側絶縁体12bの露出部分が各々挿入可能となっている。
【0030】
第1板110の各ケーブル保持部130bのY方向の他方側には、図2に示すように、当該第1板110を貫通する係合孔115(第2係合部(計4つ))が開設されている。全ての係合孔115のうちX方向の両端の係合孔115は外側に開放されている。このため、外側のケーブル保持部130bに嵌合したパッキン300に対してケーブル10bの内側絶縁体12bの露出部分が第1周方向に回転することにより、ケーブル10bに固着されたクランパ400のフック420が外側から両端の係合孔115に係合可能となっている(図3A上段の図を参照)。残りの係合孔115(内側の係合孔115)は、互いに近づく方向(ケーブル10bの第1周方向の逆の第2周方向)に延びている。内側のケーブル保持部130bに保持されたケーブル10bの第2周方向側の端面と、内側の係合孔115の内側の端面(ケーブル10bの第2周方向側の端面)との間のX方向の距離d1(図1B参照)は、クランパ400のフック420の前記半径方向の高さ寸法h(図1C参照)よりも大きく設定されている。このため、内側のケーブル保持部130bに嵌合したパッキン300に対してケーブル10bの内側絶縁体12bの露出部分が第2周方向に回転することにより、ケーブル10bに固着されたクランパ400のフック420が内側の係合孔115に係合可能となっている(図3A下段の図を参照)。
【0031】
第2板120は第1板110の第1端部に連接された当該第1板110よりも外形が小さい矩形状の板である。第2板120上には、絶縁樹脂製のケーブル保持部130aが設けられている。
【0032】
ケーブル保持部130aは、ケーブル保持部130bと対称形状である以外、同じ構成となっている。131aは保持部本体、132aは第1開口、133aは閉塞部、134aは第2開口である。保持部本体131aは、パッキン300を介してケーブル10aを回転自在に保持可能である。この嵌合状態で、パッキン300の外側リング310が保持部本体131aの内周面に弾性的に当接可能となっている。ケーブル10aの内側絶縁体12aの露出部分が保持部本体131a内のパッキン300に保持された状態で、ケーブル10aの内側絶縁体12aの露出部分が第2開口134aに挿入可能となっている。これ以外のケーブル保持部130bの各部の説明は、ケーブル保持部130bと重複するため、省略する。
【0033】
第2板120のケーブル保持部130aのY方向の一方側には、図1Bに示すように、当該第2板120を貫通する係合孔121(第2係合部)が設けられている。係合孔121は、図1Bの下側(ケーブル10aの後述する周方向)に延びている。ケーブル保持部130aに保持されたケーブル10aの周方向側の端面と、係合孔121の図1Bの下側の端面(ケーブル10aの周方向側の端面)とのX方向の距離d2は、クランパ400のフック420の前記半径方向の高さ寸法h(図1C参照)よりも大きく設定されている。これにより、ケーブル保持部130aに嵌合したパッキン300に対してケーブル10aの内側絶縁体12aの露出部分が周方向に回転することにより、ケーブル10aに固着されたクランパ400のフック420が係合孔121に係合可能となっている(図3B参照)。
【0034】
端子200は、図2に示すように、ベース100上に固着可能な導電性を有する金属板である。端子200は、メイン固定板210と、3つのサブ固定板220と、3つの第1接続部230と、2つの第2接続部240とを有している。メイン固定板210はX方向に延びた長方形の板である。このメイン固定板210には、4つの貫通孔211が間隔をあけて一列で設けられている。サブ固定板220は矩形状の板であって、X方向の寸法がメイン固定板210のX方向の寸法よりも小さい。サブ固定板220はX方向に間隔をあけて一列で配置されている。このサブ固定板220にも貫通孔221が設けられている。メイン固定板210は第1板110の第1端部上に、サブ固定板220は、第1板110の中間部上に固着可能となっている。具体的には、貫通孔211に第1板110の突起111が、貫通孔221に第1板110の突起112が嵌合した状態で、当該突起111、112が溶融することにより、メイン固定板210が第1板110の第1端部に、サブ固定板220が第1板110の中間部に固着される。
【0035】
第1接続部230は、メイン固定板210とサブ固定板220との間に各々設けられている。メイン固定板210及びサブ固定板220が第1板110上に固着された状態で、外側の第1接続部230は、外側のケーブル保持部130bのY方向の一方側に各々配置され、第1板110の外側の孔113に各々対向する。これにより、外側の第1接続部230は、外側のケーブル保持部130bに保持されたケーブル10bの芯線11bに各々接触可能に配置される。また、メイン固定板210及びサブ固定板220が第1板110上に固着された状態で、中央の第1接続部230は、ケーブル保持部130aのY方向の他方側に配置され、第1板110の中央の孔113に対向する。これにより、中央の第1接続部230は、ケーブル保持部130aに保持されたケーブル10aの芯線11aに接触可能に配置される。
【0036】
各第1接続部230は、図1Cに示すように、支持板231、232と、接続部本体233とを有している。支持板231はメイン固定板210に連接されている。支持板232はサブ固定板220に連接されている。支持板231、232は互いに近づく方向に上り傾斜している。接続部本体233は支持板231、232の上端に支持された略U字状の板である。接続部本体233は、リング状に湾曲させられ、カシメられることにより、ケーブル10a、10bの芯線11a、11bに各々固着可能となっている(図3B参照)。
【0037】
第2接続部240は、隣り合う第1接続部230の間に位置するようにメイン固定板210に各々連接されている。第1、第2接続部230、240は、図1Bに示すように、千鳥配置されている。メイン固定板210及びサブ固定板220が第1板110上に固着された状態で、第2接続部240は、内側のケーブル保持部130bのY方向の一方側に各々配置され、第1板110の孔114に各々対向する。これにより、第2接続部240は、内側のケーブル保持部130bに保持されたケーブル10bの芯線11bに各々接触可能に配置される。
【0038】
各第2接続部240は、図2に示すように、支持板241と、接続部本体242とを有している。支持板241はメイン固定板210に連接された略L字状の板である。接続部本体242は支持板241の先端に支持された略U字状の板である。接続部本体242は、リング状に湾曲させられ、カシメられることにより、ケーブル10bの芯線11bに各々固着可能となっている(図3B参照)。
【0039】
ボディ20は、図1B及び図2に示すように、ケーブル接続具C及びケーブル10a、10bの第1端部が埋設可能な絶縁樹脂製のブロックである。
【0040】
以下、上述したケーブルアッセンブリの組み立て手順について詳しく説明する。まず、端子200を用意する。その後、ベース100の突起111をメイン固定板210の貫通孔211に、ベース100の突起112をサブ固定板220の貫通孔221に嵌合させ、位置決めする。この状態で、突起111、112を溶融させ、端子200のメイン固定板210及びサブ固定板220をベース100に固着させる。すると、端子200の外側の第1接続部230が、ベース100上の外側のケーブル保持部130bのY方向の一方側に配置され、ベース100の外側の孔113に対向する。端子200の中央の第1接続部230は、ベース100のケーブル保持部130aのY方向の他方側に配置され、ベース100の中央の孔113に対向する。端子200の第2接続部240は、ベース100の内側のケーブル保持部130bのY方向の一方側に各々配置され、第1板110の孔114に各々対向する。
【0041】
その一方で、パッキン300を用意する。その後、パッキン300をベース100のケーブル保持部130a、130bに第1開口132a、132bから各々嵌合させる。すると、パッキン300がケーブル保持部130a、130bの閉塞部133a、133bに当接する。このとき、パッキン300の外側リング310がケーブル保持部130a、130bの保持部本体131a、131bの内周面に弾性的に当接する。
【0042】
以下、ケーブル保持部130a、130bにケーブル10a、ケーブル10bを接続する手順について説明する。まず、第1端部が上述の通りとなったケーブル10a、ケーブル10bを用意する。その一方で、クランパ400を用意する。その後、クランパ400のクランパ本体410をケーブル10a、10bの外側絶縁体13a、13bの第1端部に各々外嵌させ、カシメる。これにより、クランパ400がケーブル10a、10bの外側絶縁体13a、13bの第1端部に各々固着される。
【0043】
その後、図3Aに示すように、ケーブル10bの内側絶縁体12bの露出部分を外側のケーブル保持部130bに保持されたパッキン300に嵌合させると共に、当該ケーブル保持部130bの第2開口134bから外部に突出させる。すると、パッキン300の内側リング320がケーブル10bの内側絶縁体12bに弾性的に当接し、内側絶縁体12bの露出部分がパッキン300を介してケーブル保持部130bに弾性保持される。このとき、外側のケーブル10bの芯線11bが端子200の外側の第1接続部230の接続部本体233内に挿入され、接続部本体233に接触する。その後、ケーブル10bをケーブル保持部130b及びパッキン300に対して第1周方向に回転させる。これに伴って、当該ケーブル10bに固着されたクランパ400が回転し、当該クランパ400のフック420がベース100の外側の係合孔115に係合される。
【0044】
同様に、ケーブル10bの内側絶縁体12bの露出部分を内側のケーブル保持部130bに保持されたパッキン300に嵌合させると共に、当該ケーブル保持部130bの第2開口134bから外部に突出させる。すると、パッキン300の内側リング320がケーブル10bの内側絶縁体12bに弾性的に当接し、内側絶縁体12bの露出部分がパッキン300を介してケーブル保持部130bに弾性保持される。このとき、内側のケーブル10bの芯線11bが端子200の第2接続部240の接続部本体242内に挿入され、接続部本体242に接触する。その後、ケーブル10bをケーブル保持部130b及びパッキン300に対して第2周方向に回転させる。これに伴って、当該ケーブル10bに固着されたクランパ400が回転し、当該クランパ400のフック420がベース100の内側の係合孔115に係合される。その後、図3Bに示すように、上述の通り、残り2つのケーブル10bをケーブル保持部130bに保持させ、当該ケーブル10bに固着されたクランパ400のフック420をベース100の残り2つの係合孔115に係合させる。
【0045】
その後、ケーブル10aの内側絶縁体12aの露出部分をケーブル保持部130aに保持されたパッキン300に嵌合させると共に、当該ケーブル保持部130aの第2開口134aから外部に突出させる。すると、パッキン300の内側リング320がケーブル10aの内側絶縁体12aに弾性的に当接し、内側絶縁体12aの露出部分がパッキン300を介してケーブル保持部130aに弾性保持される。このとき、ケーブル10aの芯線11aが端子200の中央の第1接続部230の接続部本体233内に挿入され、接続部本体233に接触する。その後、ケーブル10aをケーブル保持部130a及びパッキン300に対して周方向に回転させる。これに伴って、当該ケーブル10aに固着されたクランパ400が回転し、当該クランパ400のフック420がベース100の係合孔121に係合される。
【0046】
その後、ベース100の孔113、114から治具を挿入し、当該治具で第1、第2接続部230、240の接続部本体233、242をカシメる。これにより、第1、第2接続部230、240がケーブル10a、10bの芯線11a、11bに各々接続される。その後、ケーブル接続具C及びケーブル10a、10bの第1端部をインサート成型用の型に入れ、当該型に絶縁樹脂を流し込んでインサート成型する。前記絶縁樹脂がボディ20となり、ボディ20内にケーブル接続具C及びケーブル10a、10bの第1端部が埋設される。
【0047】
以上のようなケーブルアッセンブリによる場合、ケーブル10a、10bに固着させたクランパ400がベース100に係合されているので、当該アッセンブリのケーブル10a、10bの引っ張り強度を向上させることができる。また、ケーブル保持部130a、130bに保持された弾性体であるパッキン300がケーブル10a、10bを弾性的に保持しているので、ケーブル10a、10bに掛かる外部負荷を軽減することができ、ケーブル10a、10bの引っ張り強度を向上させることができる。また、ケーブル10a、10bがケーブル保持部130a、130bに保持された状態で当該10a、10bを回転させることにより、クランパ400のフック420がベース100の係合孔115、121に各々係合されるようになっているので、クランパ400とベース100との係合を簡単に行うことができる。
【0048】
更に、パッキン300がケーブル保持部130a、130bに嵌合し、閉塞部133a、133bに当接している。パッキン300は、ケーブル10a、10bを弾性的に保持している。よって、ケーブル10a、10bの芯線11a、11bと第1、第2接続部230、240との接続部分に対する防水性及び防塵性の向上を図ることができる。これにより、長期にわたってケーブル10a、10bの芯線11a、11bと第1、第2接続部230、240との接続信頼性が確保される。
【0049】
また、前記アッセンブリは、ケーブル保持部130a、130bに保持されたケーブル10a、10bの芯線11a、11bが、第1、第2接続部230、240に接触するようになっている。よって、ケーブル10a、10bの芯線11a、11bが第1、第2接続部230、240に接触した状態で、第1、第2接続部230、240の接続部本体233、242を一度にカシメ、第1、第2接続部230、240をケーブル10a、10bの芯線11a、11bに各々接続することができる。よって、本ケーブルアッセンブリの製造効率を向上させることができる。
【0050】
なお、上述したケーブルアッセンブリ及びケーブル接続具は、上記実施例1に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0051】
上記実施例1では、ベース100は、第1板110と、第2板120と、ケーブル保持部130aと、4つのケーブル保持部130bとを有するとした。しかし、ベースは、端子が設けられ且つクランパが係合可能である限り任意に設計変更することが可能である。よって、ケーブル保持部は省略可能である。
【0052】
上記実施例1では、ケーブル保持部130a、130bはパッキン300を介してケーブル10a、10bの内側絶縁体12a、12bの露出部分が回転自在に保持されるとした。しかし、ケーブル保持部は、前記ベースに設けられ且つケーブルを周方向に回転自在に保持可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、ケーブル保持部は、ケーブルを直接保持する筒状や略U字状とすることが可能である。また、ケーブル保持部は、パッキンを介してケーブルを保持する場合であっても、筒状(閉塞部なし)や略U字状等の形状とすることが可能である。なお、ケーブル保持部はベースに少なくとも一つ設けられていれば良い。
【0053】
上記実施例1では、保持部本体131a、131bの内径及び第1開口132a、132bの径はパッキン300の外径と略同じであるとした。しかし、保持部本体の内形及び第1開口の形は、パッキンの外形と略同じであり且つ当該パッキンが第1開口から保持部本体に嵌合可能である限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施例1では、第2開口134a、134bの径は、パッキン300の外径よりも小さく且つパッキン300の内径よりも大きいとした。しかし、第2開口は、前記パッキンの外形よりも小さく且つ前記パッキンの内形よりも大きい、又は前記パッキンの内形と略同じ形である限り任意に設計変更することが可能である。
【0054】
上記実施例1では、パッキン300は、外側リング310と、内側リング320とを有するとした。しかし、パッキンは、前記ケーブル保持部に保持され且つケーブルを回転自在に弾性保持可能な筒状である限り任意に設計変更することが可能である。すなわち、パッキンは、外側リング及び内側リングを省略することが可能である。また、パッキンは、外側リング及び内側リングがY方向に交互に配置されている必要はなく、Y方向に同間隔(すなわち、Z方向に一列となるように)で配置することが可能である。また、パッキンは、外側リング及び内側リングの何れか一方のみを有する構成とすることが可能である。更に、パッキンがケーブル保持部に回転自在に嵌合する構成とすることが可能である。この場合、パッキンがケーブルと共にケーブル保持部に対して回転可能となる。
【0055】
上記実施例1では、端子200は、メイン固定板210と、3つのサブ固定板220と、3つの第1接続部230と、2つの第2接続部240とを有するとした。しかし、端子は、前記ベースに設けられ、ケーブルの端部から突出した芯線に接触可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、端子は、ベースにインサート成型されることにより、当該ベースに一体的に設けられる構成とすることが可能である。また、端子は、複数のケーブルが接続されるだけでなく、ケーブルと他の導電部(例えば、ベースに設けられた導電ラインやベースが設置可能な基板の導電ライン)とを接続する構成とすることが可能である。
【0056】
上記実施例1では、メイン固定板210及びサブ固定板220が第1板110上に固着された状態で、外側の第1接続部230が、外側のケーブル保持部130bのY方向の一方側に各々配置され、中央の第1接続部230が、ケーブル保持部130aのY方向の他方側に配置され、第2接続部240が、ベース100の内側のケーブル保持部130bのY方向の一方側に各々配置されるとした。しかし、接続部はベース上において、ケーブル保持部に保持されたケーブルの芯線に接触可能に配置され得る限り任意に設計変更することが可能である。なお、接続部は少なくとも一つあれば良い。
【0057】
上記実施例1では、クランパ400は、クランパ本体410とフック420とを有するとした。しかし、クランパは、ケーブルの端部に固着可能であり且つベースに係合可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、クランパのフックがベースの係合溝に係合される構成とすることが可能である。また、ベースに設けられたフックが、クランパに設けられた係合孔又は係合溝に係合される構成とすることが可能である。フックと係合孔又は係合溝との係合は、ケーブル保持部に保持されたケーブルの回転に伴って係合されるものだけに限定されず、ケーブルを回転させる手法以外の手法で係合させることが可能である。なお、クランパは少なくとも一つあれば良い。
【0058】
上記実施例1では、ベース100の外側の係合孔115は、ベース100を貫通し且つ外側が開放されているとした。ベース100の内側の係合孔115は、ベース100を貫通し且つ上記第2周方向に延びているとした。ベース100の係合孔121は、ベース100を貫通し且つ上記周方向に延びているとした。しかし、係合孔は、ベースに設けられ且つクランパのフックが係合可能である限り任意に設計変更することが可能である。なお、係合孔はベースに少なくとも一つ設けられていれば良い。
【0059】
上記実施例1では、ケーブル10a、10bは、芯線11a、11bと、内側絶縁体12a、12bと、外側絶縁体13a、13bとを有するとした。しかし、ケーブルは、クランパが固着可能な端部を有し且つ当該端部から突出する芯線を有している限り任意に設計変更することが可能である。
【0060】
上記実施例1では、ボディ20は、ケーブル接続具C及びケーブル10a、10bの第1端部が埋設可能な絶縁樹脂製のブロックであるとした。しかし、ボディは、省略可能である。また、ボディは、少なくともケーブル接続具及びケーブルの端部を埋設又は収容し得るものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、ボディは、ケーブル接続具C及びケーブル10a、10bを収容可能な絶縁樹脂製のケースとすることが可能である。
【0061】
なお、上記実施の形態では、ケーブルアッセンブリ及びケーブル接続具の各部を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。また、本発明は、太陽光発電システムの分岐部にのみ用いられるものでなく、その他のシステムに用いることが可能である。ケーブルも送電ケーブルに限定されず、信号伝送用ケーブル等その他のケーブルを使用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
10a・・・・ケーブル
11a・・・芯線
12a・・・内側絶縁体
13a・・・外側絶縁体
10b・・・・ケーブル
11b・・・芯線
12b・・・内側絶縁体
13b・・・外側絶縁体
20・・・・・ボディ
C・・・・・・ケーブル接続具
100・・・ベース
110・・第1板
111・突起
112・突起
115・係合孔(第2係合部)
120・・第2板
121・係合孔(第2係合部)
130a・ケーブル保持部
131a・保持部本体
132a・第1開口
133a・閉塞部
134a・第2開口
130b・ケーブル保持部
131b・保持部本体
132b・第1開口
133b・閉塞部
134b・第2開口
200・・端子
210・メイン固定板
211・貫通孔
220・サブ固定板
221・貫通孔
230・第1接続部
240・第2接続部
300・・パッキン
400・・クランパ
410・クランパ本体
420・フック(第1係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの端部から突出した芯線に接触可能な端子と、
前記端子が設けられたベースと、
前記ケーブルの端部に固着可能なクランパとを備えており、
前記クランパが前記ベースに係合可能であるケーブル接続具。
【請求項2】
請求項1記載のケーブル接続具において、
前記ベースは、前記ケーブルを周方向に回転自在に保持可能なケーブル保持部を有しており、
前記ケーブル保持部に保持された前記ケーブルを回転させることにより、前記クランパが前記ベースに係合されるケーブル接続具。
【請求項3】
請求項2記載のケーブル接続具において、
前記端子は、前記ケーブル保持部に保持された前記ケーブルの芯線に接触可能に配置された接続部を有しているケーブル接続具。
【請求項4】
請求項2又は3記載のケーブル接続具において、
前記ベースは、第1係合部を有し、
前記クランパは、前記ケーブルの端部に外嵌可能なリング状のクランパ本体と、
前記クランパ本体に設けられた第2係合部とを有しており、
前記第1、第2係合部の何れか一方はフックであり、他方は前記フックが係合可能な係合穴又は係合溝であるケーブル接続具。
【請求項5】
請求項2〜4の何れかに記載のケーブル接続具において、
前記ケーブル保持部に保持されており且つ前記ケーブルを回転自在に弾性保持可能な筒状のパッキンを更に備えているケーブル接続具。
【請求項6】
請求項5記載のケーブル接続具において、
前記ケーブル保持部は、筒状の保持部本体と、
前記保持部本体の第1端部側に設けられており且つ前記パッキンの外形と略同じ形の第1開口と、
前記保持部本体の前記第1端部の反対側の第2端部を塞ぐ閉塞部と、
前記閉塞部に設けられた第2開口とを有しており、
前記第2開口は、前記パッキンの外形よりも小さく且つ前記パッキンの内形よりも大きい、又は前記パッキンの内形と略同じ形であり、
前記パッキンは前記第1開口から前記保持部本体に嵌合し且つ前記閉塞板に当接しており、
前記ケーブルは、前記第1開口から前記パッキンに嵌合し、前記第2開口から突出可能となっているケーブル接続具。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のケーブル接続具と、
ケーブルとを備えており、
前記ケーブルは、前記ケーブル接続具の前記クランパが固着した端部と、
当該端部から突出し、前記ケーブル接続具の前記端子に接触する芯線とを有しているケーブルアッセンブリ。
【請求項8】
請求項7記載のケーブルアッセンブリにおいて、
前記ケーブル接続具及びケーブルの端部が埋設又は収容された絶縁性を有するボディを更に備えたケーブルアッセンブリ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2013−20829(P2013−20829A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153610(P2011−153610)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】