説明

ケーブル接続部

【課題】熱収縮チューブの加熱収縮作業によって検電用リード線が熱損傷することのないケーブル接続部を提供する。
【解決手段】ケーブル絶縁体16上に連接して嵌装されたストレスコーン20及び保護金具22と、ストレスコーン20に埋設された電極を有する検電部44と、一端が検電部44に接続され、ケーブル絶縁体16と保護金具22との間を経て他端が外部の検電表示機に接続される検電用リード線46と、検電用リード線46を挿通させる開口部50を有し、かつ保護金具22の一端部とケーブル絶縁体16とに跨って嵌装された筒型の保護カバー48と、保護カバーの一端部とケーブル絶縁体とに跨って設けられた、熱収縮性チューブからなる防食層54とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GIS(ガス絶縁開閉装置)等の開閉器、変圧器、モータ等の、検電用リード線を備えたケーブル接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の検電用リード線を備えたケーブル接続部12として、例えば図4に示す構造のものがある。すなわち、図4において、ケーブル端部におけるケーブル絶縁体16上に、半導電ゴム層18を有するストレスコーン20と樹脂製の押しパイプ21とが連接した状態で嵌装されている。押しパイプ21の周囲には保護金具22が設けられている。ケーブル導体端部に、圧縮端子28を介してリング30が嵌装されている。ケーブル端部は、ブッシング34の内部に挿入されている。ブッシング34の頂部に設けられたキャップ状の連結導体32に、リング30が嵌装されている。
【0003】
保護金具22の一端は、フランジ36を介してブッシング34に接合されると共に、周囲数箇所に配置された取付ボルト38により固定されている。保護金具22と押しパイプ21との間に、コイルばね40が介在され、押しパイプ21がストレスコーン20の一端面を常時押圧するようにされている。
【0004】
防食処理あるいは防水処理のために、保護金具22とケーブル絶縁体16とに跨って熱収縮チューブ42が被せられ加熱収縮されて保護金具22の一端面が密閉されている。ストレスコーン20の、押しパイプ21の先端部が当接している部分の近傍に、電極を備えた検電部44が埋設されている。検電部44には、ケーブル接続部12の外方にある検電表示器(図示せず)に接続される検電用リード線46の一端が接続されている。検電用リード線46は、押しパイプ21内及び熱収縮チューブ42内のケーブル絶縁体16上に添って配線されて外部に引出されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の技術には、次のような解決すべき課題があった。
上記した従来のケーブル接続部を組立てる際、防食及び防水処理を行うときは、その簡便さから熱収縮チューブを使用することが多い。その加熱収縮作業にはドライヤーやガストーチ等の火気が必要となる。このため、熱収縮チューブの内方にあるリード線の被覆が加熱時の熱で損傷させてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、熱収縮チューブの加熱収縮作業によって検電用リード線が熱損傷することのないケーブル接続部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉
ケーブル絶縁体上に連接して嵌装されたストレスコーン及び保護金具と、上記ストレスコーンに埋設された電極を有する検電部と、一端が上記検電部に接続され、上記ケーブル絶縁体と上記保護金具との間を経て他端が外部の検電表示機に接続される検電用リード線と、上記検電用リード線を挿通させる開口部を有し、かつ上記保護金具の一端部とケーブル絶縁体とに跨って嵌装された筒型の保護カバーと、上記保護カバーの一端部とケーブル絶縁体とに跨って設けられた、熱収縮性チューブからなる防食層とを備えたことを特徴とするケーブル接続部。
【0008】
検電用リード線を保護カバーの開口部から外部に引出すことにより、検電用リード線がケーブル接続部の組立て時に加熱箇所から離されるので、防食層の加熱収縮作業により熱損傷を受けることから回避できる。
【0009】
〈構成2〉
構成1記載のケーブル接続部において、上記保護カバーの開口部は、外方に突出した円筒状に形成されていることを特徴とするケーブル接続部。
【0010】
開口部が外方に突出した円筒状であることにより、検電用リード線を密閉状態で安定よく挿通することができる。
【0011】
〈構成3〉
構成1又は2記載のケーブル接続部において、上記保護カバーの開口部に、上記検電用リード線の導体を接合する導体挿入孔を有する接続端子を嵌着したことを特徴とするケーブル接続部。
【0012】
検電用リード線を、保護カバーの開口部において着脱自在に接続できる。
【0013】
〈構成4〉
構成1ないし3のいずれかに記載のケーブル接続部において、上記保護カバーは、上記保護金具及び上記ケーブル絶縁体の各外周面に対して密着する弾力を有するゴム弾性材料により形成されたものであることを特徴とするケーブル接続部。
【0014】
保護カバーの両端部は、保護金具及びケーブル絶縁体に密着して嵌装される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を実施例ごとに詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1のケーブル接続部を示す断面図であり、前述した図4と同一の部分に同一符号を付している。図示したように、ケーブル接続部12は、ケーブル端部におけるケーブル絶縁体16上に連接した状態で嵌装されたストレスコーン20及び保護金具22と、ストレスコーン20に埋設された電極を有する検電部44と、一端が検電部44に接続され、ケーブル絶縁体16と保護金具22との間を経て他端が外部の検電表示機に接続される検電用リード線46と、検電用リード線46を挿通させる開口部50を有し、かつ保護金具22の一端部とケーブル絶縁体16とに跨って嵌装された筒型の保護カバー48と、保護カバー48の一端部とケーブル絶縁体16とに跨って設けられた、熱収縮性チューブからなる防食層54とを備えている。
【0017】
保護金具22の内側には樹脂製の押しパイプ21が備えられている。押しパイプ21とストレスコーン20とは突き合わされている。ケーブル導体端部に、圧縮端子28を介してリング30が嵌装され、さらにその上にキャップ状の連結導体32が嵌装されている。連結導体32とストレスコーン20の周上にブッシング34が嵌装されている。連結導体32はブッシング34に一体に装着されている。
【0018】
保護金具22の一端は、フランジ36を介してブッシング34に接合されると共に、周囲数箇所に配置された取付ボルト38により固定されている。保護金具22と押しパイプ21との間に、両筒を相互に軸方向に離間させるように付勢されたコイルばね40が介在されている。押しパイプ21は、コイルばね40により、ストレスコーン20の一端面を常時軸方向に押圧している。
【0019】
ストレスコーン20の外周面は、図中、左方向に向って先細となるテーパ面とされている。このテーパ面に対向するブッシング34の内周面にも、図中、左方向に向って先細となるテーパ面が設けられている。従って、ストレスコーン20は、押しパイプ21によって図中、左方向に押圧されることにより、ブッシング34とケーブル絶縁体16に挟圧される。
【0020】
ストレスコーン20の、押しパイプ21の先端部が当接している部分の近傍に、電極を備えた検電部44が埋設されている。検電部44には、ケーブル接続部12の外側に配設された検電表示器(図示せず)に接続される検電用リード線46の一端が半田付けで接続されている。検電用リード線46は、押しパイプ21内のケーブル絶縁体16上に添って配線され、保護カバー48の開口部50から外部に引出されている。検電用リード線46は、保護カバー48の一端部に設けられる熱収縮性チューブからなる防食層54から離れているので、加熱による熱的影響を受けない。
【0021】
保護カバー48は、保護金具22及びケーブル絶縁体16の各外周面に対して密着する弾力を有するゴム弾性材料により形成されている。保護カバー48の両端部は、内径がそれぞれ嵌装する保護金具22及びケーブル絶縁体16の各外径より小さ目に形成され、密着して嵌装されている。
【実施例2】
【0022】
図2は、実施例2のケーブル接続部の一部を示す断面図であり、図1と同一の部分に同一符号を付している。
この実施例のケーブル接続部は、保護カバー48の開口部50を、外方に突出した円筒状に形成したものである。開口部50の内径を検電用リード線46の外径より小さく形成すれば、検電用リード線46を密閉状態で挿通することができる。なお、開口部50以外の構成は、図1に示した構成と同じであるので、重複説明を省略する。
【実施例3】
【0023】
図3は、実施例3のケーブル接続部の一部を示す断面図であり、図1と同一の部分に同一符号を付している。
この実施例のケーブル接続部は、保護カバー48の開口部50に、検電用リード線46の導体を接合する導体挿入孔を有する接続端子52を嵌着したものである。接続端子52は、雌型端子52Aと、これに着脱自在に電気接合される雄型端子52Bとからなる既知の構成とされている。
【0024】
雌型端子52Aは、保護カバー48の開口部50に装着され、内方端面に検電用リード線46が接続されている。雄型端子52Bは、ケーブル接続部12の外側に配設された検電表示器56に接続される検電用リード線46の一端が接続され、絶縁カバー58により包覆されている。なお、開口部50以外の構成は図1に示した構成と同じであるので、重複説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1のケーブル接続部を示す断面図である。
【図2】実施例2のケーブル接続部の一部を示す断面図である。
【図3】実施例3のケーブル接続部の一部を示す断面図である。
【図4】従来のケーブル接続部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
12 ケーブル接続部
16 ケーブル絶縁体
18 半導電ゴム層
20 ストレスコーン
21 押しパイプ
22 保護金具
28 圧縮端子
30 リング
32 連結体
34 ブッシング
36 フランジ
38 取付ボルト
40 コイルばね
42 熱収縮チューブ
44 検電部
46 検電用リード線
48 保護カバー
50 開口部
52 接続端子
52A 雌型端子
52B 雄型端子
54 防食層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル絶縁体上に連接して嵌装されたストレスコーン及び保護金具と、
前記ストレスコーンに埋設された電極を有する検電部と、
一端が前記検電部に接続され、前記ケーブル絶縁体と前記保護金具との間を経て他端が外部の検電表示機に接続される検電用リード線と、
前記検電用リード線を挿通させる開口部を有し、かつ前記保護金具の一端部とケーブル絶縁体とに跨って嵌装された筒型の保護カバーと、
前記保護カバーの一端部とケーブル絶縁体とに跨って設けられた、熱収縮性チューブからなる防食層とを備えたことを特徴とするケーブル接続部。
【請求項2】
請求項1記載のケーブル接続部において、
前記保護カバーの開口部は、外方に突出した円筒状に形成されていることを特徴とするケーブル接続部。
【請求項3】
請求項1又は2記載のケーブル接続部において、
前記保護カバーの開口部に、前記検電用リード線の導体を接合する導体挿入孔を有する接続端子を嵌着したことを特徴とするケーブル接続部。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のケーブル接続部において、
前記保護カバーは、前記保護金具及び前記ケーブル絶縁体の各外周面に対して密着する弾力を有するゴム弾性材料により形成されたものであることを特徴とするケーブル接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−135333(P2007−135333A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327052(P2005−327052)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(306013120)昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Fターム(参考)】