説明

ゲル状エラストマー組成物

本発明は、生物活性剤を局所塗布するのに有用なゲル状エラストマー組成物に関するものである。ある実施態様では、本発明は、約1.0〜50.0%のブロックコポリマーと、約0〜98%の鉱油および/または合成油と、約0.0〜98%のトリグリセリド油と、約0〜15.0%の遊離脂肪酸と、約0〜30%の粘着性改良剤と、約0〜20.0%の生物活性剤と、場合によりフィトステロール、セラミドおよび/またはビサボロールを含むゲル状エラストマー組成物に関する。このゲル状エラストマー組成物は、哺乳動物に生物活性剤を適用するのに有用である。ある実施態様では、このゲル状エラストマー組成物は、成形物品の形に作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第61/095,941号および同第61/171,683号(それぞれ、2008年9月10日および2009年4月22日に出願)の優先権を主張し、各出願の内容は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ヒトまたは動物の身体に生物活性剤を局所適用するのに有用なゲル状エラストマー組成物、ならびにこれらの組成物に基づく局所送達および治療の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
何十年にもわたり、エラストマー中間ブロックにスチレン末端基を結合させた熱可塑性エラストマー(TPE)ブロックコポリマーは、好適な油と組み合わせた場合に、高可塑化熱可逆性エラストマーゲルを形成することが知られている。そのようなポリマーの中間ブロックに充分な親和性を有するが、ポリスチレン末端ブロックの可溶化により低い傾向を有する油(即ち、中間ブロック可溶化油)を使用した場合、高温において、これらのTPEから溶液が形成される。さらに、そのような組成物は、室温/体温またはそれに近い温度で凝固して、熱可逆性ゲル状エラストマーを生じる。一般に、鉱油、および鉱油と他の合成油との混合物が、そのようなゲル状物質の組成物に使用される。TPEブロックコポリマーに添加される油は、可塑化用油として既知である。
【0004】
好適なスチレンブロックコポリマー構造(例えば、充分な分子量、適切な分子比のスチレン基/エラストマー末端ブロック等)と共に、TPEゲル中に充分に高い比率の可塑化用油があれば、このタイプの油ゲルは、極めて低レベルの硬度(20グラムBloomまで)および最大で3000グラムBloomのより高レベルの硬度を示すことができる。低レベルの硬度においてさえ、関連組成物は、優れた機械的復元力、高弾性、および溶融加工性(例えば、約120℃〜200℃の範囲の温度での粘性特性)を示すこともできる。Chenの米国特許第6,552,109号および米国特許第5,334,646号、ならびにPearceの米国特許第5,994,450号(それぞれの全内容は参照により本明細書に組み込まれる)にも、そのような組成物が詳しく記載されており、これらの物質の、広範囲の実用品への加工および製造も記載されている。
【0005】
これらTPEゲルの極めて高い適合性および柔軟性は、それらの適用および使用において重要な役割を果たす。特に、スチレンブロックコポリマー油ゲルは、多くの医療クッション用途に使用され、その際、ゲルは身体に加えられた応力を分散させる役目をする。
【0006】
純粋に機械的な機能に関係した適用の他に、ブロックコポリマー油ゲルは、ゲルマトリックスからの油の滲出および/または拡散に由来する用途も見出す。特に、ヒトまたは動物の身体(ならびにその他の表面)を包含する多くの表面と接触した場合に、そのようなゲル状組成物は、接触面に油を滲出または拡散させることが既知である。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、この過程は熱力学的分配作用と考えられ、それによって、ゲル内の油が、(系を、熱力学的平衡の方向に向けて)外部物質へのその親和性によって滲出する。
【0007】
着用者の快適性を得るために、身体に装着される物品に形成されるゲル状材料に、添加剤を組み込むことが既知である。例えば、米国特許第5,098,421号、同第5,167,649号、同第5,181,914号および同第5,330,452号(全てZookの特許であり、全内容は参照により本明細書に組み込まれる)には、薬理学的活性剤がゲルに組み込まれている粘弾性ゲルパッドを含む種々のデバイスが記載されている。Zookの米国特許第4,842,931号(これも、全内容が参照により本明細書に組み込まれる)には、ウオノメ、タコ、腱膜瘤等に対する圧力を均等にするための、高比率の可塑化用油を含有する軟質粘弾性ゲル材料から作製されたパッドが記載されている。皮膚病を治療するために、および皮膚を通して身体に薬剤を送達するために、皮膚への投薬を適用することも既知である。そのような外部適用投薬の例は、Kamiyaの米国特許第4,879,274号に開示されており、この特許は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられ、α−モノグリセリルエーテル、生理活性物質および油状物質を含むクリーム剤、軟膏剤等を記載している。生理活性物質は、例えば、薬剤、成長ホルモン等の化合物(ビタミン、例えばビタミンAおよびB12を包含する)を含む。
【0008】
このように、皮膚に適用または装着される、かかるゲルおよびゲル組成物に治療物質を組み込むことができ、そうすることによって、油の滲出/拡散(任意の溶解物質と共に)が、美容的および/または治療的有益性(任意に、付加的機械的クッション有益性と組み合わされる)を生じる。特に、鉱油を使用して可塑化されたTPEゲルに治療薬を組み込むこと、およびそのような組成物を局所治療薬送達手段として使用することが、一般に既知である。例えば、Zookの米国特許第5,167,649号には、ゲル組成物中に溶解した薬理活性剤の局所送達に有用な、スチレンブロックコポリマー鉱油ゲル組成物、ならびに身体への適用に好適な関連物品が開示されている。Zookの物品は、ウオノメ、タコおよび他の過敏領域にクッション作用を与えることに加えて、滲出によって活性化合物を送達する。
【0009】
活性剤を含有する鉱油基剤TPEブロックコポリマーゲルは、種々の天然油、特に、治療的有益性を有する天然油も含有してよく、それらは、これらの物質の局所送達を与えるために滲出することもできる。Gouldの米国特許第6,117,119号および同第6,673,054号(それらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、局所送達のために、特定の医療用グレードの天然油(オリーブ油、カノーラ油、ホホバ油およびグレープシード油を包含する)をスチレンブロックコポリマーゲルに添加することを検討している。さらに、Gouldは、Zook(前記の特許文献)によって開示されている方法と同様の方法で、このようなゲル内に活性薬理化合物を溶解させることを検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,552,109号
【特許文献2】米国特許第5,334,646号
【特許文献3】米国特許第5,994,450号
【特許文献4】米国特許第5,098,421号
【特許文献5】米国特許第5,167,649号
【特許文献6】米国特許第5,181,914号
【特許文献7】米国特許第5,330,452号
【特許文献8】米国特許第4,842,931号
【特許文献9】米国特許第4,879,274号
【特許文献10】米国特許第6,117,119号
【特許文献11】米国特許第6,673,054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
局所送達のために、TPEブロックコポリマー油ゲルに薬理活性剤を組み込み、これらの組成物に天然油を組み込むことが既知であるが、生物活性剤が身体に送達される速度を広く有用な範囲にわたって制御し持続しうる向上した油ゲル組成物がなお必要とされている。さらに、ゲルが実際に多くの実用品に溶融加工(例えば、布への溶融塗布、パッドのような形態への溶融成形等)されるように、加工性を操作することができる油ゲル組成物もなお必要とされている。最後に、実際に溶融加工可能なゲル組成物内での有用送達速度の同時達成が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的のために、本発明者等は、皮膚におよび/または皮膚を通して、トリグリセリド油および他の生物活性剤を送達するための改良されたゲル状組成物を見出した。この組成物は、例えば、生物活性剤(例えば、スキンケア剤、および/または非皮膚病用の他の治療剤、ならびに美容剤)を送達するために使用することができる。この組成物は、架橋三次元エラストマー網状構造を形成し、従って、例えば、哺乳動物の皮膚または身体または内部体腔または髪に直接的に適用しうる物品に形成することができる。
【0013】
本発明は、美容的および/または治療的処置用の生物活性剤の局所適用に有用な、ゲル状エラストマー組成物に関する。
【0014】
特定の実施形態において、本発明は、約1.0%〜50.0%のブロックコポリマー、約0%〜98%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油および/または合成油、および約0.0%〜98%のトリグリセリド油、および任意に、約0%〜15.0%の遊離脂肪酸、および約0%〜30%の粘着性調節剤、約0%〜20.0%の生物活性剤、および任意に、フィトステロール、セラミドおよび/またはビサボロール、を含むゲル状エラストマー組成物を提供する。
【0015】
他の実施形態において、本発明は、トリグリセリド油、および任意に1つ以上の付加的生物活性剤を哺乳動物に送達する方法を提供し、この方法は、動物に、本発明のゲル状エラストマー組成物を接触させることを含む。
【0016】
特定の実施形態において、本発明は、本発明のゲル状エラストマー組成物を含む成形品を提供する。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、ブロックコポリマー、および中間ブロック可溶化油、例えば鉱油および/または合成油、ならびにトリグリセリド油を含む、ゲル状エラストマー組成物を提供する。これらのゲル状エラストマー組成物は、局所送達用途のための油滲出の制御速度を有する。
【0018】
他の実施形態において、本発明は、実際の溶融加工を可能にするのに適した溶融粘度を有する、制御送達速度ゲル組成物を提供する。
【0019】
さらに別の実施形態において、本発明は、動物の皮膚または身体または内部体腔または髪に本発明組成物を適用することによって、ヒトおよび動物に美容的および医学的治療を与える方法を含む。
【0020】
さらに別の実施形態において、本発明は、ヒトまたは動物の身体への適用または装着に適した新規なゲル組成物から成る物品を提供する。
さらに他の実施形態は、ケロイドおよび肥厚性瘢痕の変色および厚さを減少させる方法であって、この方法は、以下の工程:
a) 支持体および本発明のゲル状エラストマー組成物を準備する工程であって、当該ゲル状エラストマー組成物が、ココナッツ油、カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、遊離脂肪酸、高リノール酸天然油(例えばベニバナ油)、高オレイン酸天然油、グレープシード油、アボカド油、ホホバ油、カノーラ油、セラミド、ビサボロール、ヘキシルデカノール、セチルヒドロキシプロリンパルミタミド、ステアリン酸およびアブラナ(ナタネ)ステロール、パジナパボニカ葉状体エキス、アロエ、p−メンタン3,8ジオールおよびそれらの混合物のうちの1つ以上を含み;
b) 任意に、ビタミンA、B12、C、D、Eおよびそれらの混合物から成る群から選択される治療活性剤を、本発明のゲル状エラストマー組成物に組み込む工程;
c) 前記ゲル状エラストマー組成物を前記支持体に結合させる工程;
d) 前記ゲル状エラストマー組成物を結合させた支持体を、身体保護物品に形成する工程;
e) ケロイドまたは肥厚性瘢痕に前記身体保護物品を長期間に渡って装着する工程、
を含む。
【0021】
さらに別の実施形態は、本発明の組成物を使用する方法、本発明の組成物からの油の滲出および/または拡散の速度を制御する方法、本発明の組成物の粘度を制御する方法、ならびに最適な油滲出および/または拡散プロフィールおよび溶融加工特性を見出すために、本発明の組成物を試験する方法である。
【0022】
さらに別の実施形態は、動物の皮膚または身体または内部体腔または髪への、生物活性剤送達の所望速度を有するゲル状エラストマー組成物を提供する方法であって、この方法は、以下の工程:
a) 生物活性剤を含む本発明のゲル状エラストマー組成物を準備する工程であって、当該組成物が、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の、ある比率を有し;
b) 前記生物活性剤を吸収できる物質に、前記ゲル状エラストマー組成物を接触させる工程;
c) 前記生物活性剤が前記物質に吸収される速度を測定する工程;
d) 前記吸収速度を、ヒトまたは動物の身体への送達速度と相関させる工程;
e) 生物活性剤を含む追加のゲル状エラストマー組成物を準備する工程であって、当該工程において、
工程(a)の前記ゲル状エラストマー組成物に存在する生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より遅い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を増加させ、
工程(a)の前記ゲル状エラストマー組成物に存在する生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より速い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を減少させ;
f) 追加のゲル状エラストマー組成物を使用して、工程(b)〜(d)を繰り返す工程;
g) 生物活性剤を含む本発明のさらに追加のゲル状エラストマー組成物を準備する工程であって、当該工程において、
先の追加のゲル状エラストマー組成物のゲル状エラストマー組成物に存在する前記生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より遅い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を増加させ、
先の追加のゲル状エラストマー組成物のゲル状エラストマー組成物に存在する前記生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より速い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を減少させ;
h) 所望の送達速度を有するゲル状エラストマー組成物が得られるまで、工程(f)および(g)を必要な回数繰り返す工程、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明による手袋の正面図である。
【図2】図2は、本発明による靴下の正面図である。
【図3】図3は、実施例5に記載されているゲル配合物の、油滲出速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
【0025】
本発明者らは、意外にも、トリグリセリド油を含有する多くのTPEブロックコポリマーゲル組成物に関連した有意な不安定性を見出した。先行技術における教示に反して、高極性(即ち、一般的なエラストマーTPE中間ブロックに使用されるものより有意に高い極性)の天然油は、著しく膨潤しないか、またはスチレンブロックコポリマーTPEと共にゲルを形成しない。本発明者らは、トリグリセリドを含有する天然油(即ち、トリグリセリド油)は、トリグリセリド油および他の成分の量を慎重に制御しなければ、そのようなTPEと共に安定なエラストマーゲルを形成できないことを見出した。さらに、トリグリセリド油がゲルに組み込まれた場合、ゲルからの離液(即ち、可塑化用油混合物の自発的滲出または放出)の可能性がより高くなる。これにより、局所送達に許容されない不安定ゲルが生じる。
【0026】
安定性を有し、容易に加工でき、しかも、油または油ブレンドおよび任意に1つ以上の付加的活性剤を局所送達に許容される速度で滲出するTPEゲルを提供することが重要な目的である。この目的のために、本発明者らは、有意フラクションの低極性中間ブロック可溶化油、例えばイソパラフィン(即ち、中間ブロックを膨潤/溶解させるが、ポリスチレン末端基を溶解しない油)が、トリグリセリド油の他に必要とされる場合が多いことを見出した。それによって、本発明者らは、意外にも、トリグリセリド油を他の中間ブロック可溶化油と特定の比率で組み合わせた場合に、身体への薬剤送達に関連した用途を可能にするのに充分な、油送達(および、その中の任意の生物活性成分)の制御速度が得られることを見出した。この送達速度は、このような比率を許容範囲内で変化させることによって、目的の用途に合わせることができる。
【0027】
本発明者らは、トリグリセリド油をゲル組成物に組み込んだ場合に、溶融加工性(例えば、溶融粘度)の予期しない変化も見出した。いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、例えばポリスチレン末端基の、相対的に極性の性質は、このような材料の自己集合およびゲル化に関与し、それによって、有意に極性の油(トリグリセリド油を包含する)の組込みが、高温でのポリマーの溶融溶媒和を向上させる。本発明者らは、例えばスチレンTPEゲルにおいて、トリグリセリド油を他の中間ブロック可溶化油(例えば、鉱油およびイソパラフィン)の代わりに使用した場合(他の全ての要素は一定に維持される場合)、ゲル溶融粘度が著しく低下することを見出した。より低い粘度は、溶融加工操作(特に、望ましくないウエットスルーを伴わない布へのゲルの溶融塗布)に理想的でないので、粘度を望ましい限度内で調節し制御できる改良された配合物が必要とされる。本発明者らは、トリグリセリド油を他の中間ブロック可溶化油と共に特定の比率で含有するTPEゲルの発見によって、これらの制限を克服した。本発明の油の組合せを使用した場合には、溶融粘度の増加が観察され、これはトリグリセリド油含有TPEゲルを加工に適したものにする。さらに、トリグリセリド油/中間ブロック相溶性油の比率を変化させることによって、ゲル溶融粘度を、目的の特定用途に応じて高くしたり低くすることができる。
【0028】
関連する技術的解決策を指向する研究において、本発明者らは、制御された速度で身体におよび/または体内に生物活性剤を送達するための、向上したゲル組成物(中間ブロック可溶化油およびトリグリセリド油の両方を特定比率で含む)を見出した。この組成物は、例えば、スキンケア剤および/または非皮膚病用の他の治療剤のような生物活性剤、ならびに美容剤を送達するのに使用することができる。さらに、これらの組成物は、使用者の身体に装着するのに好適な物品の製造を可能にする耐久性軟質弾性(体温において)を有し、それと同時に、適した熱可塑性であり、しかも、溶融加工可能である。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、スチレンブロックコポリマーを含み、コポリマーは、ポリスチレン末端基およびエラストマー中間ブロックを有し、油滲出についての有用速度を与える比率の中間ブロック相溶性油とトリグリセリド油との好適混合物とブレンドされている。トリグリセリド油およびまたは中間ブロック可溶化油は、本来、生物活性を有し、他の生物活性成分を添加せずに、これらの本発明の組成物内で機能しうるが、本発明の組成物は、付加的生物活性剤(例えば、活性な美容的および治療的物質)がゲル組成物に任意に組み込まれ、それによって、身体と接触した際に、滲出油と共にそれらが送達される配合物をさらに包含する。
【0030】
前記のように、本発明者らは、意外にも、ブロックコポリマーTPEゲル中のトリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率が、油滲出速度およびゲル溶融粘度の両方に有意な作用を有することを見出した。特に、彼らは、意外にも、油滲出速度がトリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の重量/重量比率の関数であり、この比率が増加するにつれて、この速度が増加することを見出した。いくつかの実施形態においては、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率が高くなりすぎると、油の離液が起こる。従って、これら2つの油の比率は、本発明の美容および医療用途に安定かつ好適な、有用ゲルおよび物品を提供するための重要な要素である。
【0031】
さらに、本発明者らは、意外にも、他の要素(例えば、ポリマー構成)を一定に保ちながらこれらのゲル組成物のトリグリセリド含有量を増加することは、溶融粘度を低下させ、従って、ポリマーのタイプおよび組成の適切な調整により、溶融粘度を極めて広い範囲に渡って調節できることを見出した。従って、本発明の組成物はゲル滲出速度(例えば、それに溶解した活性成分の送達速度)の正確な調節を、これまでに達成されず/認識されていない有用な範囲にわたって可能にし、それと同時に、溶融加工性の調節(身体への物質の送達に有用な物品の製造を容易にする手段として)も可能にする。
組成物
【0032】
本発明は、制御された安定放出トリグリセリド油−ポリマーゲルを形成する組成物に関する。この組成物は、好ましくは、低剛性、無方向性ゲル状エラストマーゲルを形成する量の、1つ以上のブロックコポリマーおよび1つ以上のトリグリセリド油を含む。そのような組成物は、例えば、トリブロックコポリマー、例えば、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン、水素化スチレン−イソプレン/ブタジエン、水素化スチレン−イソプレンのブロックを含むコポリマー、水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、および1つ以上のトリグリセリド油、および好ましくは、1つ以上の中間ブロック可溶化油、例えば、鉱油、合成油、イソパラフィン油およびエステル油、を含むことができる。この組成物は、皮膚、身体組織または髪への、生物活性美容または治療剤の局所適用に有用である。
【0033】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、液体部分、例えば、トリグリセリド油、またはトリグリセリド油および1つ以上の付加的種類の油(例えば中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油)、および熱可塑性エラストマー固体フラクションを含む。油または数種の油は上記ポリマーを膨潤させ、油およびポリマー部分が共に、架橋した三次元ゲル状エラストマーゲル網状構造を形成する。この油または数種の油は組成物中での移動性を維持し、移動速度は、配合および処理によって(例えば、ブロックコポリマーの種類を変えることによって、またはトリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を変えることによって)制御することができる。この組成物の油部分は、生物活性剤、例えば、皮膚軟化剤、ビタミン、保湿剤、または医薬的もしくは美容的活性剤を担持できる。
【0034】
いかなる特定の理論にも縛られるものではないが、コポリマー末端ブロック、例えばスチレン末端ブロックは、ナノスケール半結晶性ポリマー凝集物(いわゆる、共有結合のない分子間相互作用によって保持された「物理的」または「熱可逆的」架橋)に自己集合すると考えられる。この構造内で、油混合物が、本質的に、ポリマー中間ブロックを可溶化し、一方、ポリマー鎖末端は自己集合ポリスチレン末端セグメントによって実質的に架橋された状態に維持される。このような現象は、例えば米国特許第5,994,450号に示されている(このタイプのゲル構造内の良く似た分子網状構造/配置の、極めて基本的な概念図を示している図3を参照のこと)。
【0035】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、1つ以上のブロックコポリマー、1つ以上の中間ブロック可溶化油、および1つ以上のトリグリセリド油を含み、それらの量は、ヒトまたは動物の身体に生物活性剤を送達する用途に有用な油滲出レベルを示す低剛性、無方向性ゲル状エラストマーゲルを形成する量である。
【0036】
本明細書に記載されている熱可塑性、熱成形性および熱可逆性ゲル状エラストマー組成物は、好ましくは、その中に含有されている生物活性剤の安定性を高め、それらを、当分野で既知の組成物と比較して、より速い速度で送達する。本明細書に開示されている組成物は、例えば、油、従って生物活性剤を、現在入手可能な主な鉱油配合物によって得られる滲出速度より実質的に速い速度で滲出させる。本明細書に記載されているゲル状エラストマー組成物は、例えば、フォーム、ペーストおよびクリーム(これらは誤って「ゲル」と呼ばれる場合がある)と比較して、付加的な有利特性を有する。本明細書に開示されているゲル状エラストマー組成物は、大部分、非圧縮性の油である。従って、いくつかの実施形態において、ポリマー油ゲルは、圧力および剪断力を「油圧」的に分散させることができ、反発し、形を保持し、それにより、この特性をまねることができない従来物質、例えば、フォーム、ペーストおよびクリームよりも優れている。他の実施形態において、ゲルは、エラストマー的に、圧力および剪断力を分散させる。このゲル状エラストマー組成物は、種々の布および支持体に付着させて種々の形に成形でき(例えば、粘着性調節剤の含有によって)、自己付着性または非付着性となるよう配合でき、洗浄し再使用でき、油、皮膚軟化剤をゆっくり放出でき、または油と共に他の生物活性剤を皮膚に放出できるという望ましい特性も示す。油、従って生物活性剤、の分散速度は、配合化学によって制御できる。このゲルは、リザーバとして機能し、生物活性剤を保存し、従って、それを使用して、生物活性剤を長時間にわたって皮膚にゆっくり送達することができる。さらに、本明細書に記載されているゲル組成物は、細菌の増殖を助けない(即ち、この組成物は、自己抗菌性であり、完全疎水性であり、皮膚科学的に安全である)。
【0037】
本明細書に開示されている全ての濃度または量は、重量パーセント、即ちw/wで示されている。
【0038】
ゲル状エラストマー組成物は、1.0%〜50.0%のブロックコポリマー、0%〜98%の鉱油または合成油、0.0%〜98%のトリグリセリド油、0.0%〜20.0%の生物活性剤、0%〜15.0%の遊離脂肪酸を一般に含む。ゲル状エラストマー組成物は、フィトステロール、セラミドおよび/またはビサボロールをさらに含むことができる。組成物は、0%〜30%の1つ以上の粘着性調節剤をさらに含むことができる。好ましい粘着性調節剤は、水素化合成エステル、非水素化合成エステル、ウッドロジンエステルおよび他のロジンから成る群から選択される。ブロックコポリマーは、一般に、1〜50%(w/w)、好ましくは4%〜25%、より好ましくは10%〜25%の濃度で含有される。好ましくは、このブロックコポリマーはスチレンTPEブロックコポリマーである。1つの実施形態において、ゲル状エラストマーは、20〜35、25〜150、60〜150、200〜400、および90cPsおよびそれ以上の粘度(80000cPsおよびそれ以上の20重量%粘度に相当)を有する100pbwの水素化SI/Bブロックコポリマー、および20〜3000gブルーム(bloom)を達成する300〜1600pbwの選択可塑剤を含み、付加的コポリマーを含有するかまたは含有せず、それは例えば、SBS、SB、SIS、SI、SEP、SEPS、SEBS、SEB、SEP、SEB、PS、PB、EP、EB、PP、PEであり、線状、放射状、星状、平衡またはマルチアームである。他の好ましい実施形態において、ゲル状エラストマーは、水素化スチレンイソプレン/ブタジエンブロックコポリマー、水素化スチレンイソプレンブロックコポリマーまたは水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンの混合物9%〜30%を含む。本発明に使用するのに好適な他のブロックコポリマーは、Chenの米国特許第7,290,367号に記載されている。
【0039】
この広範囲のスチレンTPEブロックコポリマーにおいて、完全水素化ポリマーが、それらの一般安定性および耐崩壊/酸化性(両方とも、加工中および貯蔵/使用中)により好ましい。従って、SEBSおよびSEPSポリマーが、本発明のゲル組成物に使用するのに一般に好ましく、SEBSポリマーが特に好ましい。そのようなポリマーは、特に以下のポリマー:商品名KRATON(登録商標)で市販されているポリマー(製造会社:Kraton Polymers,LLC、Houston TX)、ならびに商品名SEPTON(登録商標)で市販されている物質(製造会社:Kurrary America Inc.,Septon B.U.,Pasade)、によって例示される。
【0040】
これらのスチレンブロックコポリマーは、単一の種類/銘柄の形態か、または多分散度を操作するために異なる種類の混合物において、本発明のゲル組成物に使用することができる。それにもかかわらず、そのようなポリマーの任意の単一分子量の使用、およびまたはそのようなポリマーの任意の混合物は、本発明のゲル配合物の範囲に含まれる。
【0041】
いくつかの実施形態において、前記のスチレンTPEポリマーは、本発明のゲル組成物に5重量%〜45重量%の量で組み込むことができる。好ましくは、ポリマーの全重量比率は7.0%〜38%である。最も好ましくは、ポリマーの全重量比率は8%〜35%である。
【0042】
可塑化用油は、例えば、白色鉱油、トリグリセリド油、および合成的誘導油であるが、それらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、中間ブロック可溶化油も含有する。本明細書において使用されている「中間ブロック可溶化油」という用語は、前記の任意ブロックコポリマーのエラストマー中間ブロックを膨潤/溶解するが、関連する末端ブロックを溶解しない任意の液体を意味する。そのような化合物は、一般に、(分離において、および他の油/物質を添加せずに)所定のプロックコポリマーTPEと共にゲルを形成することができる。
【0044】
好適な中間ブロック相溶性油の中で、好ましいのは、高純度の、医療/食品用途に適しているとして販売されているもの(特に、USPおよびまたはNF規格に従って製造されているもの)、および合成のものである(例えば、石油由来鉱油でないものであって、なぜなら、化石油は、潜在的不純物の観点から再生不能およびまたは不都合であると考えられるからである)。
【0045】
本発明に使用される中間ブロック可溶化油は、当該技術分野おいて周知である。それらには、ゴム加工油、例えば、パラフィン系およびナフチオン系石油、高精製芳香族化合物非含有パラフィン系およびナフチオン系食品および工業銘柄白色ワセリン鉱油、およびポリブテン、ポリプロペン、ポリテルペン等の合成液体オリゴマー等が挙げられるが、これらに限定されない。合成系プロセス油は、一般に高粘性のオリゴマーであり、それは、中〜高分子量の永久流動性液体ノンオレフィン、イソパラフィンまたはパラフィンである。代表的な商業的に入手可能な可塑化用油の例は、Amoco(商標)ポリブテン、水素化ポリブテン、およびポリブテンポリマーの一端にエポキシド官能性を有するポリブテン、ならびにARCO Prime、DuraprimeおよびTufflo油である。他の白色鉱油としては、Bayol、Bernol、American、Blandol、Drakeol、Ervol、Gloria、Kaydol、Litetek、Lyondell’s Duraprime系、Marcol、Parol、Peneteck、Primol、Protol、Sonrex等が挙げられる。一般に、平均分子量が約200未満および約700を超える可塑化用油も使用することができる。
【0046】
鉱油および/または合成油は、最大98%の量で存在する。鉱油および/または合成油の好ましい量は、1〜99%、10〜90%、20〜50%、30〜50%および25〜50%である。鉱油および合成油の特定の例は、USP−FCC白色鉱油、例えば、Duoprime−70、Duoprime 200またはClarion−70、およびまたは合成水素化ポリデセン、例えばExxon Mobil Pure−Syn−2、およびまたは合成ポリイソブテンまたは水素化ジデセンまたはポリデセン、例えばLipo Products PanalaneまたはSilkflo系、およびまたは鉱油代替物、例えば、トリデシルステアレート(および)ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート(および)トリデシルトリメリテートトリデシルステアレート(および)トリデシルトリメリテート(および)ジペンタエリトリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート、および/またはジペンタエリトリチルヘキサカプリレート/ヘキサカプレート(および)トリデシルトリメリテート(および)トリデシルステアレート(および)ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート、例えばLipovol MOS(商標)系、および/または合成油またはオクチルパルミテート、または同様の分子量および50〜10000cPsの粘度の他のパルミチン酸である。
【0047】
本明細書において使用されている「トリグリセリド油」という用語は、トリグリセリド分子を含有する任意の天然または合成油を意味する。
【0048】
トリグリセリド分子を含む多くの油は、天然由来であり、結合カルボン酸の構造および性質の点で大きく異なるトリグリセリド種の混合物を含む。さらに、そのような油は、種々の不純物、例えば、蝋、タンパク質、遊離カルボン酸、遊離アルコール、および多くの他の化合物も含有することができる。それにもかかわらず、全てのそのような組成物は、天然または合成由来のいずれであっても、本明細書においてトリグリセリド油として定義される。好ましくは、本発明のトリグリセリド油は50重量%より多いトリグリセリド分子(先に定義した通り)を含む。さらに、この化学的定義を満たす全ての物質は、室温で液体または固体であっても、天然または合成由来のいずれであっても、本明細書においてトリグリセリド油として定義され、本発明のゲル組成物に使用するのに好適であると考えられる(例えば、限定するものではないが、標準室温より少し高い温度で固体に結晶化し、小フラクションの遊離脂肪酸および他の不純物を一般に含む、76度ココナッツ油のような物質は、本明細書においてトリグリセリド油と定義される)。さらに、大部分の天然脂肪は、個々のトリグリセリドの複合混合物を含有する。このため、それらは広い温度範囲で溶融する。カカオ脂は、数少ないトリグリセリドだけから成る点で珍しく、それらの1つは、パルミチン酸、オレイン酸およびステアリン酸をその順序で含有する。トリグリセリド油は、最大99%(w/w)、例えば1〜99%の量で存在する。トリグリセリド油の好ましい量は、10%〜90%、20%〜80%、20%〜50%、30%〜50%、25〜50%、および1〜10%である。トリグリセリド油の例としては、カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、水素化植物油、Persea Gratissima(アボカド)油、Prunus Amygdalys Dulcis(スイートアーモンド)油、Vitis Vinifera(グレープシード)油、Glycine Soja(ダイズ)油、Simmonsia Chinensis(ホホバ)種子油、Prunus Armeniaca(アプリコット核)油、Clear Simmonsia Chinensis(ホホバ)種子油(これは、モノエステル脂肪酸−脂肪アルコールである)、Sesamum Indicum(ゴマ)油、Carthamus Tinctorius(混成ベニバナ)油、Carthamus Tinctorius(ベニバナ)油、Juglans Regia(クルミ)油、Trictum Vulgare(麦芽)油、Hellanthus Annuus(ヒマワリ種子)油、分別ココナッツ油、Guineenis(パーム)油、Olea Europaea(オリーブ)油、(ペール圧搾)Ricinus Communis(ヒマシ)油、マカダミアナッツ油、水素化ダイズ油、カノーラ油、ローザカニーナ果実油、ライトローザカニーナ果実油、Corylus Americana(ヘーゼルナッツ)油、Oryza Sativa(米ヌカ)油、バルサムコパイバ、Brassica Campestris(ナタネ)油、Rubus Idaeus(ラズベリー)種子油、オレイン酸/パルミトレイン酸/リノール酸グリセリド、水素化アボカド油、アンディローバ油、アロエベラ油、トウモロコシ油、コムギ油、パーム核油、ブラジルナッツ油、ピーナッツ油、精製ヒマワリ種子油、および他の水素化または非水素化、加工および精製、野菜、果実種子および植物油、ならびにそれらの分別誘導体、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
一般に既知のトリグリセリドの他に、モノグリセリドおよび/またはジグリセリドを含有する特定の油が、可塑化用油として、および特定の生物活性成分の部分可溶化剤として、有望であることが示されている。従って、いくつかの実施形態において、本発明のエラストマーゲルは、モノグリセリドおよび/またはジグリセリドを含むことができる。定義上、モノグリセリド(より正確には、モノアシルグリセロールとして既知)は、エステル結合によってグリセロール分子に共有結合した1つの脂肪酸鎖から成るグリセリドである。モノアシルグリセロールは、グリセロール成分に結合したエステルの位置によって、大きく2つの群:1−モノアシルグリセロールと2−モノアシルグリセロールに分けることができる。モノアシルグリセロールは、工業化学的方法および生物学的方法の両方によって生成できる。それらは、ジアシルグリセロールリパーゼまたはホルモン感受性リパーゼによるジアシルグリセロールからの脂肪酸の放出によって生化学的に生成される。モノアシルグリセロールは、モノアシルグリセロールリパーゼによって分解される。ジグリセリド、またはジアシルグリセロール(DAG)は、エステル結合によってグリセロール分子に共有結合した2つの脂肪酸から成るグリセリドである。右に示されている1つの例は、1−パルミトイル−2−オレオイル−グリセロールであり、これは、パルミチン酸およびオレイン酸から誘導された側鎖を含有する。ジアシルグリセロールは、C−1およびC−2位の両方に結合した脂肪酸の多種の組合せも含むことができる。
【0050】
モノ−およびジグリセリドは、一般に、市販の食品に少量で添加されている。それらは、乳化剤として機能し、それがなければ充分に溶け合わない油および水のような成分を混合するのを助ける。本発明のゲル組成物に使用するのに好適なモノグリセリドおよびジグリセリド油の中で、最も好ましいのは、高純度の、医療/食品用途に好適として販売されているもの(特に、USPおよびまたはNF規格に従って製造されているもの)である。
【0051】
いくつかの実施形態において、1つ以上のモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドを含有する油は、全油混合物の重量に基づいて特定の重量比率(本明細書に記載されている、トリグリセリド油および中間ブロック可溶化油、および任意に何らかの他の油性添加剤の全混合物に存在する、モノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドの量)で、20℃で離液を生じる量より僅かに多い量以下で、組み込まれる。好ましくは、全油比率に対するモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドは、所望レベルの油滲出を開始するのに充分な量に調節される。最も好ましくは、全油に対するモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドの比率は、本明細書に開示されている試験法のいずれかによって、身体への所望速度の生物活性剤送達を与えるのに充分な量に最適化される。
【0052】
特定の実施形態において、全油混合物の重量に基づくモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリド重量パーセントは、ゲルからの油の自発離液が体温でまたはその付近で生じる閾値にあるか、またはその付近にあるのが好ましい。それにもかかわらず、正確な離液閾値は厳密に定義するのが難しく、いずれにしても、身体に成分を送達するいくつかの本発明の実施形態は、所定ゲル系における離液境界の極めて近くかまたは僅かに過剰であるのが有用と考えられる。従って、いくつかの好ましい実施形態において、モノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリド分の比率は、本発明のゲル組成物中の全油混合物の重量に基づいて3重量%〜60重量%の範囲内である。全油混合物中のトリグリセリド含量の比率の好ましい範囲は、5重量%〜55重量%、7重量%〜51重量%、および10重量%〜50重量%である。
【0053】
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態において、上記組成物が、その中に含有された油を接触面の中におよび/または上に拡散およびまたは滲出させ、その速度は、ゲル中のトリグリセリド油重量/全油重量の比率の強関数であるか、またはトリグリセリド油/中間ブロック可溶化油(例えば、鉱油または合成油)の比率の関数であることを見出した。いくつかの実施形態において、本発明のゲル組成物へのトリグリセリドの添加は、比較可能な先行技術イソパラフィンゲル(例えば、一般に鉱油を含み、同様レベルの機械的柔軟性、靭性等においてポリマーの比較可能な濃度を有するゲル)において達成できない滲出速度を可能にする。滲出/拡散速度は、ゲルが自発油離液(即ち、ゲル表面からの油の自発滲出)を示す安定上限を有して、トリグリセリド油比率の増加と共に増加する。ゲル組成物内からの油の離液は、一般に、ゲルの不安定性を表わし、ゲルの2相への分離を生じる。従って、いくつかの実施形態において、トリグリセリド油は、離液が生じる時点の重量パーセントまたはそれ未満で存在する。離液点またはその付近の量のトリグリセリド油を含有する組成物は、送達が少しの相分離を必要とする場合、例えば、ゲルが超音波結合装置として使用される場合に有用である。
【0054】
特定の好ましい実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、トリグリセリド油および中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油を、約2:100〜35:40、または約15:60〜35:40、より好ましくは、約1、2、3、4、5、6または7:50、60、70、80、90または100、または約28、29、30、31、32、33、34または35:45、46、47、48、49、50、51または52の濃度比で含む。さらに、前記比率のトリグリセリド/中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、および約8〜20部のコポリマーを含むゲル状エラストマー組成物が好ましい。そのような組成物は、ゲル被覆物品または積層シートを容易に製造するための剛性および弾性を与え、配合物のトリグリセリド部分の結晶化に耐え、ゲルマトリックスからの油および/または生物活性剤の制御された遅い放出を示す望ましい特性を有するゲルを与える。トリグリセリド油と中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油との組合せは、鉱油または合成油だけを含む配合物より優れており、この配合物は、ゲル強度および完全性を維持しながら、有効濃度の生物活性剤を送達するのに充分な油滲出を与えるように配合するのが一般に困難である。
【0055】
好ましい実施形態において、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率は、約1:100〜約3:1、好ましくは約33:67〜約67:33、より好ましくは約60:40〜約40:60である。いくつかの実施形態において、この比率は約50:50である。0部の中間ブロック可溶化油/100部のトリグリセリド油(例えば、ココナッツ油)の比率において、不安定性、結晶化および弱い物理的特性が結果として生じることが示されている。
【0056】
これに代わる実施形態では、例えばゲルが超音波結合装置として使用される場合、離液および/または滲出が望ましい。いくつかの実施形態において、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率が約3:1を超える場合に、離液および/または滲出が観察される。従って、本発明は、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率が、離液および/または滲出が生じ始める比率であるかまたはそれに近い比率であり、好ましくは、離液および/または滲出が生じ始める比率よりも10%以上高くない比率であり、より好ましくは、離液および/または滲出が生じ始める比率よりも5%以上高くない比率であり、さらに好ましくは、離液および/または滲出が生じ始める比率よりも2%以上高くない比率であるゲルも意図している。離液および/または滲出が生じる比率の決定は、当業者によって、既知の方法および本明細書に詳しく記載されている方法を用いて行なうことができる。
【0057】
本発明者らは、さらに、極めて多くの物質をトリグリセリド油/中間ブロック可溶化油混合物に溶解させることができ(限定された程度であっても)、従って、これら物質は、例えばヒトまたは動物の身体に送達するために本発明のゲル組成物に組み込むことができることも認識した(特に、生物活性的およびまたは治療的有益性を有する物質)。そのような系では、ゲルを構成する油に溶解した任意の添加剤が、組成物がある表面と接触、例えば皮膚と接触した場合に生じる油滲出の間に、ある程度、一緒に運ばれることになる。
【0058】
各物質の送達速度は、必ずしも、(滲出物中の物質濃度が、ゲルの油フラクション中の濃度に等しいという仮定のもとに)油滲出速度から算出されるわけではないことを認識すべきである。特に、ゲルおよび組織それぞれの間に複雑な分配作用の可能性が存在し;分配作用は、各特定物質の物理的特性、ならびに組成物中の他の成分の性質に基づく。特定の例として、中間ブロック可溶化油成分の親和性と同様の、ポリマー中間ブロックへの高親和性を有する物質は、より高い極性の物質と共に境界を通って送達される際に、ゲル組成物を構成する油中よりも低い比率で存在すると考えられる。そのような場合、そのような物質の滲出速度は、ゲル中のその濃度の関数として、おそらく非直線性であると考えられる。
【0059】
それにもかかわらず、全油/活性拡散/滲出のメカニズムにより、本発明のゲル組成物への物質の添加が本発明者らによって示され;測定でき、全油滲出速度の最適化によって(例えば、トリグリセリド/中間ブロック可溶化油の比率、および/またはコポリマーの性質の操作によって)調節できる速度での、外部表面への物質の送達を可能にする。従って、本発明の方法に従うことによって、表面、例えば皮膚への、これらの物質の制御送達に適したゲル系を、開発することができ、所望の用途に基づいて最適化できる。油は、粘着性調節剤を添加してまたは添加せずに送達できる。粘着性調節剤は、好ましくは0%〜20%(wt/wt)の範囲で存在する。粘着性調節剤は限定されないが、水素化合成エステル、非水素化合成エステル、ウッドロジンエステル等を包含する。ロジンの例は、限定されないが、Eastman Foral、Regalite、Regalrez、EastotacおよびForalyn系樹脂、Prime Materials Sukorez樹脂、および他の水素化高処理松樹脂、およびそれらの合成誘導体である。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明のゲルが、そのような生物活性剤の身体への送達用のリザーバとして本質的に機能する必要があり、成分(特に、それに組み込まれている生物活性剤)に好ましくない化学変化を生じずに妥当な期間の貯蔵に適している必要がある場合、種々の安定化剤の添加が好ましい。さらに、加工作業(特に高温度での作業)中のゲル成分の分解を防止するために、種々の安定化剤を組み込むことが好ましい。本発明の枠組において、そのような安定化成分は、ゲルの成分の望ましくない化学変化を阻止しうる任意の物質を包含することができる。そのような安定化物質の例は限定されないが、UV吸収剤および酸化防止剤(BHAおよびBHTを包含する)、キレート化剤、および望ましくない反応性化学種の存在を除去するように設計された他の化合物である。従って、いくつかの好ましい実施形態において、本発明のゲル組成物は、そのような安定化物質を最大約10重量%の比率で含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明のゲルを、貯蔵中および適用時の両方において微生物の増殖速度を制限する物質と合わせることも望ましい。特に、これらの本発明のゲルが、ゲル本体内またはゲル表面上に存在しうる細菌、真菌、糸状菌および他の微生物の数に関して変化をなくす化合物を含むことが好ましい。従って、これらの実施形態において、種々の防腐化合物を本発明のゲル組成物に組み込むことが好ましく、その例は限定されるものではないが、任意のパラベン化合物、ならびに同様の相乗効果を有する他の物質、例えばグリセリルラウレートである。ここで、そのような物質の有効機能は、前記のタイプの安定化剤、特に酸化防止剤およびキレート化剤の存在によって相乗的に強化できることを認識することが重要である。従って、これらの実施形態において、そのような防腐化合物を本発明のゲル組成物に組み込むことが望ましく、最も好ましいのは、安定化物質のある組合せと共にそのような防腐剤を組み込むことである。特定の好ましい実施形態において、本発明のゲル組成物は、(いかなる相乗作用的安定化化合物も含まない)そのような防腐剤を最大5%の範囲の比率で含むことができる。
【0062】
いくつかの用途において、所定の本発明ゲルの匂い、外観、密度、色、手触り(例えば、身体との接触時の感触)、およびまたは一般的機械的特性を調節することが望ましい場合があるので、本発明の組成物は、そのような目的のための物質をさらに含むことができる。そのような物質の例としては、合成、無機および有機、植物および動物由来の芳香剤、ならびにガラスのような固体物質の粉末、中空ガラスビーズ、中実ガラスビーズ、ポリマー、セルロース等、ならびにエステル、蝋、顔料等の物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
特定の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、ブロックコポリマーおよびトリグリセリド油を含むか、それらから成るか、またはそれらから本質的に成る。従って、特定の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、下記物質を含むか、それらから成るか、またはそれらから本質的に成る:約1〜50%のブロックコポリマーおよび最大99%のトリグリセリド油;約1〜50%のブロックコポリマーおよび1〜99%のトリグリセリド油;約1〜50%のブロックコポリマーおよび10〜90%のトリグリセリド油;約1〜50%のブロックコポリマーおよび20〜80%のトリグリセリド油;約1〜50%のブロックコポリマーおよび20〜50%のトリグリセリド油;約1〜50%のブロックコポリマーおよび25〜50%のトリグリセリド油;約1〜50%のブロックコポリマーおよび30〜50%のトリグリセリド油;約4〜25%のブロックコポリマーおよび最大99%のトリグリセリド油;約4〜25%のブロックコポリマーおよび1〜99%のトリグリセリド油;約4〜25%のブロックコポリマーおよび10〜90%のトリグリセリド油;約4〜25%のブロックコポリマーおよび20〜80%のトリグリセリド油;約4〜25%のブロックコポリマーおよび20〜50%のトリグリセリド油;約4〜25%のブロックコポリマーおよび25〜50%のトリグリセリド油;約4〜25%のブロックコポリマーおよび30〜50%のトリグリセリド油;約10〜20%のブロックコポリマーおよび最大99%のトリグリセリド油;約10〜20%のブロックコポリマーおよび1〜99%のトリグリセリド油;約10〜20%のブロックコポリマーおよび10〜90%のトリグリセリド油;約10〜20%のブロックコポリマーおよび20〜80%のトリグリセリド油;約10〜20%のブロックコポリマーおよび20〜50%のトリグリセリド油;約10〜20%のブロックコポリマーおよび25〜50%のトリグリセリド油;または、約10〜20%のブロックコポリマーおよび30〜50%のトリグリセリド油。
【0064】
特定の好ましい実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、ブロックコポリマー、トリグリセリド油、および中間ブロック可溶化油、例えば鉱油および/または合成油を含むか、それらから成るか、またはそれらから本質的に成る。従って、特定の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、ブロックコポリマー、トリグリセリド油、および中間ブロック可溶化油、例えば鉱油および/または合成油を含むか、それらから成るか、またはそれらから本質的に成り、その際、前記のブロックコポリマーとトリグリセリド油との組合せは、最大98%(w/w)、1〜99%、10〜90%、20〜50%、30〜50%および25〜50%から選択される範囲の量の鉱油および/または合成油と混合される。
【0065】
他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、1.0%〜50.0%のブロックコポリマー、50%〜98%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0.0%〜98%のトリグリセリド油、0.0%〜20.0%の生物活性剤、0%〜15.0%の遊離脂肪酸を含む。好ましい実施形態において、ゲル状エラストマーは、9%〜30%の、水素化スチレンイソプレン/ブタジエンブロックコポリマー、水素化スチレンイソプレンブロックコポリマーまたは水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンの混合物;0%〜70%の、1つ以上の鉱油、水素化ポリデセンおよび/またはトリグリセリド;および0%〜15の生物活性剤;および0%〜30%の粘着性賦与剤、例えばウッドロジンの水素化エステル、を含む。
【0066】
他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、1〜50%のブロックコポリマー、10〜70%のトリグリセリド油、30〜70%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、4〜25%のブロックコポリマー、10〜70%のトリグリセリド油、30〜70%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、10〜25%のブロックコポリマー、10〜70%のトリグリセリド油、30〜70%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。
【0067】
他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、1〜50%のブロックコポリマー、10〜70%のトリグリセリド油、40〜60%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、4〜25%のブロックコポリマー、10〜70%のトリグリセリド油、40〜60%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、10〜25%のブロックコポリマー、10〜70%のトリグリセリド油、40〜60%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。
【0068】
他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、1〜50%のブロックコポリマー、20〜60%のトリグリセリド油、30〜70%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、4〜25%のブロックコポリマー、20〜60%のトリグリセリド油、30〜70%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、10〜25%のブロックコポリマー、20〜60%のトリグリセリド油、30〜70%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。
【0069】
他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、1〜50%のブロックコポリマー、25〜50%のトリグリセリド油、40〜60%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、4〜25%のブロックコポリマー、25〜50%のトリグリセリド油、40〜60%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、10〜25%のブロックコポリマー、25〜50%のトリグリセリド油、40〜60%の中間ブロック可溶化油、例えば鉱油または合成油、0〜20%の生物活性剤、および0〜15%の遊離脂肪酸を含む。
【0070】
好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、5%〜30%のスチレンブロックコポリマーTPE、および30%〜95%の油混合物(全油比率に対して3%〜60%のトリグリセリドを含有する)を含む。さらに、これらの組成物は、0.0%〜20.0%の生物活性剤、および0%〜15.0%の遊離脂肪酸を含むことができる。ゲル状エラストマー組成物は、フィトステロール、セラミドおよび/またはビサボロールをさらに含むことができる。組成物は、0%〜30%の1つ以上の粘着性調節剤をさらに含むことができる。以下に記載するように、新規な方法を任意に使用して、本発明の組成物を、所望される極めて好ましい有効範囲に調節し、最適化することができる。特に、所望速度の身体への生理活性物質送達を確実なものとし、かつ、本発明の物品への加工を可能にするのに好適な範囲となるよう、ゲル溶融粘度を調節するために最適化を行なうことができる。
【0071】
本発明のゲルは、例えば、製造されるゲルの量によって種々の大きさのミキサーで作製できる。一般に、ミキサーは、食品の大規模バッチングに使用されるミキサーと類似し(例えば、Marion Mixers Inc.によって製造されているリボンブレンディングミキサー)、ミキサーは、ポリマーを溶融させるのに充分な熱エネルギーを与え、材料の混合を助けるための、サーモスタット制御加熱ジャケットまたは加熱要素をさらに備え、さらに、作業温度および混合速度において一定真空下に混合する能力を備えている。他の好適なミキサーは、他の加熱混合器、例えば、加熱中に高粘度の材料を混合するのに充分な馬力の撹拌または混合羽根を備えたITWC Inc.から入手可能であるような加熱真空ポリマーポットである。一般に、液体油フラクションまたは成分が、所望の配合に応じて計量され、加熱混合器に装填され、次に、乾燥成分を計量し添加する前に特定温度にされるが、この添加順序は、ほとんどの配合物に特に不可欠ではない。いくつかの実施形態において、全ての成分を計量し、任意の順序で添加し、次に、それに応じて加熱し混合することができる。しかし、混合を助けるために、ある量の油成分を先ず加熱し、次に、ポリマーおよび他の乾燥または固体成分(例えば、粘着性樹脂、防腐剤、顔料、充填剤または他の成分)を混合しながらゆっくり添加し、次に、残りの油または液体成分(例えば、配合物に存在しうる鉱油または合成油またはトリグリセリド油、ビタミンまたは他の添加剤、または脂肪酸またはエステルまたはモノまたはジ−グリセリド)を添加することが必要な場合がある。いくつかの好ましい実施形態において、混合および配合温度は、使用される油の特定の化学的性質および引火点、または他の油または添加剤成分の分解温度に依存して、約100℃〜約200℃、より好ましくは約130℃〜180℃である。混合配合物の全成分が添加されたら、約15インチまたはそれ以上のHg、またはゲルに混入した空気の過剰気泡を防止するのに充分なレベルの真空を適用し、次に、好ましい温度および真空レベルにて、例えば約30分〜10時間、好ましくは約1時間〜5時間、または全ての成分が均一に混合され、ゲルが透明になり、塊または凝集物を含有しなくなるまで混合する。そこから、ゲルを、適切な、より小さい取扱用容器、例えば、ペールまたはスチールドラムに分配することができ、それによって他の溶融機器を使用して、次に、ゲルを再溶融し、適切な変換機器に移すことができる。
生物活性剤
【0072】
好ましい実施形態において、ゲルによって送達される物質は、組成物中の油混合物に、少なくともいくらかの溶解性を有する生物活性剤である。例えば、美容的およびまたは医薬的特性を有する生物活性剤を、これらのゲル組成物に組み込んで、油滲出によって身体に送達することができる。そのような物質は限定されるものではないが、好ましくは所望レベルの治療的有益作用を与えるために、有効量でゲル組成物に組み込まれる。
【0073】
付加的に、かつ好ましくは、粘着性を誘発し、物質の手触りまたは感触を向上させ、および/または貯蔵および/または使用中にゲルを微生物学的に静的にするために、基油組成物に適切な可溶性を有した種々の添加剤を、本発明のゲル組成物に組み込むことができる。そのような物質は限定されるものではないが、例えば、所望レベルの関連作用を生じるように調節された有効量でゲル組成物中に組み込まれる。
【0074】
従って、ゲル状エラストマー組成物は、1つ以上の生物活性剤を送達するために使用できる。生物活性剤は限定されるものではないが、例えば、医薬物質、薬理学的物質、生物学的物質、有機物質、天然物質、植物性物質、および美容的物質、例えば、皮膚、組織または髪の外観、健康または機能を変化または向上させる物質を包含する。
【0075】
生物活性剤の例としては、アラントイン、アロエベラ油、アルファ−ヒドロキシ酸、水酸化アルミニウム、アスピリン、バシトラシン、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、ベンゾカイン、ベータ−ヒドロキシ酸、BHA、BHT、バイオオイル、ビサボロール、ブレオマイシム、安息香酸、硼酸、ウンデシレン酸カルシウム、カラミン、コラーゲン、樟脳、カプリン酸、カプリル酸、センテラアジアチカ、セラミド2、セラミド3、セラミド6、抱水クローラル、クリオキノール、コロイド状オートミール、コルチコステロイド、硫酸シクロメチカン、ニワトコエキス、エミューオイル、オイゲノール、フォウオロウラシル、遊離脂肪酸、塩化第二鉄、イチョウ、グリセリン、サリチル酸グリコール、グリコール酸、グリコサミノグリカン、ゴツコラ、グレープシードエキス、ヘリックス・アスペルサ・ミュラーグリコプロテイン、ヘキシレソルシノール、ヒスタミンジヒドロクロリド、ヒアルロン酸、過酸化水素、イミキモッド、インターフェロン、リノール酸、メントール、メントキシプロパンジオール、サリチル酸メチル、メチルパラベン、硝酸ミコナゾール、硫酸ネオマイシン、オレイン酸、硫酸オキシキノリン、パンテノール、ペナサイクリントリテルペン樹脂、フェノール、サリチル酸フェニル、ポビドン−ビニルアセテートコポリマー、プロピオン酸、プロピルパラベン、タンパク質加水分解物、ピュアセリンオイル、塩酸ピリドキシン、ケルセチン、レゾルシノール、レチン酸、レチノール、ベニバナ油、サリチルアミド、サリチル酸、硝酸銀、銀イオン、シメチコン、ナトリウム、プロピオネート、サリチル酸ナトリウム、硫黄、タマヌオイル、タモキシフィン、タンニン酸、ティーツリーオイル、塩酸テトラサイクリン、チモール、トリンデート、トルナフテート、トピカルスターチ、トランスフォーミング増殖因子、トロラミン、サリチル酸トロラミン、ウンデシレン酸、ビタミンAパルミテート、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEアセテート、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛、プロピオン酸亜鉛、硫酸亜鉛、p−メンタン3,8ジオールメンタンジオール、オクタデセナ二酸、水素化ロジン酸グリセリル、水素化ガムロジン、水素化ロジン酸ペンタエリトリチル、パディナミエキス、天然または合成セラミド(例えば、セラミドBIO391、合成セラミド)、ステアリン酸、フィトステロール、塩酸リドカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
多くの他の治療剤を、本発明のゲル状エラストマー組成物に組み込むことができる。例えば、抗真菌剤(真菌剤)、例えば、シクロピロックス、クロロキシレノール、ウンデシレン酸、トルナフテート、ミコニゾール、クルミバゾール、クロトリゾール、グリセオフルビンおよびケトコノゾールをそれに組み込むことができる。抗生物質、例えば、ムピロシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、バシトラシン、テトラサイクリン等もゲル状組成物に組み込むことができる。防腐剤、例えば、ヨード、ポビドン−ヨード、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、クロルヘキシジン、ニトロフラゾン、過酸化ベンゾイル、ヘキサクロロフェン、フェノール、レゾルシノールおよび塩化セチルピリジニウム等を、本発明に組み込むことができる。さらに、抗炎症剤、例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、トリアムシロロン、ベタメタゾン等をゲル状組成物に組み込むことができる。さらに、局所麻酔剤、例えば、ベンゾカイン、リドカイン、プロカイン、ブピビカイン、プリロカインとリグノカインの共融混合物、フェノール、ジフェンヒドラミン等もゲル状組成物に組み込むことができる。組み込むことができる他の付加的物質は、透過促進剤、例えばジメチルスルホキシドまたはオクトリフェニルポリエテレングリコール、角質溶解剤、例えばサリチル酸、酵素、例えばプロテアーゼおよびヌクレアーゼ、ホルモン、例えばインスリン、発疱剤、例えばカンタリジン、腐食剤、例えばポドフィリン、および多くの他の付加的薬理学的活性物質を包含する。
【0077】
いくつかの実施形態において、生物活性剤の例としては、アラントイン、アロエベラ油、アルファ−ヒドロキシ酸、水酸化アルミニウム、アスピリン、バシトラシン、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、ベンゾカイン、ベータ−ヒドロキシ酸、BHA、BHT、バイオオイル、ビサボロール、ブレオマイシム、安息香酸、硼酸、ウンデシレン酸カルシウム、カラミン、コラーゲン、樟脳、カプリン酸、カプリル酸、センテラアジアチカ、セラミド2、セラミド3、セラミド6、抱水クローラル、クリオキノール、コロイド状オートミール、コルチコステロイド、硫酸シクロメチカン、ニワトコエキス、エミューオイル、オイゲノール、フォウオロウラシル、遊離脂肪酸、塩化第二鉄、イチョウ、グリセリン、サリチル酸グリコール、グリコール酸、グリコサミノグリカン、ゴツコラ、グレープシードエキス、ヘリックス・アスペルサ・ミュラーグリコプロテイン、ヘキシレソルシノール、ヒスタミンジヒドロクロリド、ヒアルロン酸、過酸化水素、イミキモッド、インターフェロン、リノール酸、メントール、メントキシプロパンジオール、サリチル酸メチル、メチルパラベン、クリムバゾールおよび全てのコナゾール系殺真菌剤、例えば、硝酸ミコナゾール、硫酸ネオマイシン、オレイン酸、硫酸オキシキノリン、パンテノール、ペナサイクリントリテルペン樹脂、フェノール、サリチル酸フェニル、ポビドン−ビニルアセテートコポリマー、プロピオン酸、プロピルパラベン、タンパク質加水分解物、ピュアセリンオイル、塩酸ピリドキシン、ケルセチン、レゾルシノール、レチン酸、レチノール、ベニバナ油、サリチルアミド、サリチル酸、硝酸銀、銀イオン、シメチコン、ナトリウム、プロピオネート、サリチル酸ナトリウム、硫黄、タマヌオイル、タモキシフィン、タンニン酸、ティーツリーオイル、塩酸テトラサイクリン、チモール、トリンデート、トルナフテート、トピカルスターチ、トランスフォーミング増殖因子、トロラミン、サリチル酸トロラミン、ウンデシレン酸、ビタミンAパルミテート、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEアセテート、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛、プロピオン酸亜鉛、硫酸亜鉛、p−メンタン3,8ジオール メンタンジオール、オクタデセナ二酸、水素化ロジン酸グリセリル、水素化ガムロジン、水素化ロジン酸ペンタエリスリチル、パディナミエキス、天然または合成セラミド(例えば、セラミドBIO391、合成セラミド)、ステアリン酸、フィトステロール、塩酸リドカイン、水素化牛乳タンパク質、尿素、オクタデカナ二酸(例えば、SedermaによるODA−White(登録商標))、および他の商業的に入手可能な前記の混合物(例えば、SymRise CorporationによるSymRepair(商標)を包含するが、それに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
代替の実施形態において、生物活性剤は、例えば、フロ脂肪族窒素殺真菌剤:ブチルアミン、シモキサニル、ドジシン、ドジン、ゲアザチン、イミノクタジンアミド殺真菌剤:カルプロパミド、クロラニホルメタン、シフルフェナミド、ジクロシメット、エタボキサム、フェノキサニル、フルメトベル、フラメトピル、イソピラザム、マンジプロパミド、ペンチオピラド、プロクロラズ、キナザミド、シルチオファム、トリホリン アシルアミノ酸殺真菌剤:ベナラキシル、ベナラキシル−M、フララキシル、メタラキシル、メタラキシル−M、ペフラゾエート、バリフェナレート、アニリド殺真菌剤:ベナラキシル、ベナラキシル−M、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンヘキサミド、イソチアニル、メタラキシル、メタラキシル−M、メトスルホバックス、オフラセ、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン、ピラカルボリド、セダキサン、チフルザミド、チアジニル、ベンズアニリド殺真菌剤:ベノダニル、フルトラニル、メベニル、メプロニル、サリチルアニリド、テクロフタラム、フラニリド殺真菌剤:フェンフラム、フララキシル、フルカルバニル、メトフロキサム、スルホンアニリド殺真菌剤:フルスルファミド、ベンズアミド殺真菌剤:ベンゾヒドロキサム酸、フルオピコリド、フルオピラム、チオキシミド、トリクラミド、ザリラミド、ゾキサミド、フラミド殺真菌剤:シクラフラミド、フルメシクロックス、フェニルスルファミド殺真菌剤:ジクロフルアニド、トリルフルアニド、スルホンアミド殺真菌剤:アミスルブロム、シアゾファミド、バリンアミド殺真菌剤:ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、抗生物質殺真菌剤:オーレオフンギン、ブラスチシジン−S、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、ポリオキソリム、ストレプトマイシン、バリダマイシン、ストロビルリン殺真菌剤:アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、トリフルオキシストロビン、芳香族殺真菌剤:ビフェニル、クロロジニトロナフタレン、クロロネブ、クロロタロニル、クレゾール、ジクロラン、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール、キントゼン、ナトリウムペンタクロロフェノキシド、テクナゼン、ベンズイミダゾール殺真菌剤:ベノミル、カルベンダジム、クロルフェナゾール、シペンダゾール、デバカルブ、フベリダゾール、メカルビンジド、ラベンザゾール、チアベンダゾール、ベンズイミダゾール前駆物質殺真菌剤:フロファネート、チオファネート、チオファネート−メチル、ベンゾチアゾール殺真菌剤:ベンタルロン、ベンチアバリカルブ、クロベンチアゾン、プロベナゾール、TCMTB、架橋ジフェニル殺真菌剤:ビチオノール、ジクロロフェン、ジフェニルアミン、カルバメート殺真菌剤:ベンチアバリカルブ、フロファネート、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、ピリベンカルブ、チオファネート、チオファネート−メチル、ベンズイミダゾリルカルバメート殺真菌剤:ベノミル、カルベンダジム、シペンダゾール、デバカルブ、メカルビンジド、カルバニレート殺真菌剤:ジエトフェンカルブ、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、コナゾール殺真菌剤:クリムバゾール、クロトリマゾール、イマザリル、ケトコナゾール、オキスポコナゾール、プロクロラズ、トリフルミゾール、アザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール−シス、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、硝酸ミコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ユニコナゾール、ユニコナゾール−P、銅殺真菌剤:ボルドー混合物、バーガンディ混合物、チェシャント混合物、酢酸銅、炭酸銅、塩基性水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オキシ塩化銅、珪酸銅、硫酸銅、硫酸銅、塩基性クロム酸銅亜鉛、クフラネブム、クプロバム、酸化第一銅、マンコッパー、オキシン銅、ジカルボキシイミド殺真菌剤:ファモキサドン、フルオロイミド、ジクロロフェニルジカルボキシイミド殺真菌剤:クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、イソバレジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン、フタルイミド殺真菌剤:カプタホール、カプタン、ジタリムホス、ホルペット、チオクロルフェンフィム、ジニトロフェノール殺真菌剤:ビナパクリル、ジノブトン、ジノキャップ、ジノキャップ−4、ジノキャップ−6、メプチルジノキャップ、ジノクトン、ジノペントン、ジノスルホン、ジノテルボン、DNOC、ジチオカルバメート殺真菌剤:アジチラム、カルバモルフ、クフラネブ、クプロバム、ジスルフィラム、フェルバム、メタム、ナバム、テコラム、チラム、ジラム、環状ジチオカルバメート殺真菌剤:ダゾメット、エテム、ミルネブ、高分子ジチオカルバメート殺真菌剤:マンコッパー、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ポリカルバメート、プロピネブ、ジネブ、イミダゾール殺真菌剤:シアゾファミド、フェナミドン、フェナパニル、グリオジン、イプロジオン、イソバレジオン、ペフラゾエート、トリアゾキシド、無機殺真菌剤:アジ化カリウム、チオシアン酸カリウム、アジ化ナトリウム、硫黄、無機水銀殺真菌剤:塩化第二水銀、酸化第二水銀、塩化第一水銀、有機水銀殺真菌剤:臭化(3−エトキシプロピル)水銀、酢酸エチル水銀、臭化エチル水銀、塩化エチル水銀、エチル水銀2,3−ジヒドロキシプロピル、メルカプチド、燐酸エチル水銀、N−(エチル水銀)−p−トルエンスルホンアニリド、ヒドラルガフェン、塩化2−メトキシエチル水銀、安息香酸メチル水銀、メチル水銀ジシアンジアミド、メチル水銀ペンタクロロフェノキシド、8−フェニルマーキュリオキシキノリン、フェニルマーキュリ尿素、酢酸フェニル水銀、塩化フェニル水銀、ピロカテコールのフェニル水銀誘導体、硝酸フェニル水銀、サリチル酸フェニル水銀、チオメルサール、酢酸トリル水銀、モルホリン殺真菌剤:アルジモルフ、ベンザモルフ、カルバモルフ、ジメトモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フルモルフ、トリデモルフ、有機燐殺真菌剤:アムプロピルホス、ジタリムホス、エジフェンホス、ホセチル、ヘキシルチオホス、イプロベンホス、ホスジフェン、ピラゾホス、トルクロホス−メチル、トリアミホス、有機錫殺真菌剤:デカフェンチン、フェンチン、酸化トリブチル錫、オキサチイン殺真菌剤:カルボキシン、オキシカルボキシン、オキサゾール殺真菌剤:クロゾリネート、ジクロゾリン、ドラゾキソロン、ファモキサドン、ヒメキサゾール、メタゾキソロン、ミクロゾリン、オキサジキシル、ビンクロゾリン、ポリスルフィド殺真菌剤:バリウムポリスルフィド、カルシウムポリスルフィド、カリウムポリスルフィド、ナトリウムポリスルフィド、ピラゾール殺真菌剤:ビキサフェン、フラメトピル、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ラベンザゾール、セダキサン、ピリジン殺真菌剤:ボスカリド、ブチオベート、ジピリチオン、フルアジナム、フルオピコリド、フルオピラム、ピリベンカルブ、ピリジニトリル、ピリフェノックス、ピロキシクロル、ピロキシフル、ピリミジン殺真菌剤:ブピリメート、ジフルメトリム、ジメチリモール、エチリモール、フェナリモール、フェリムゾン、ヌアリモール、トリアリモール、アニリノピリミジン殺真菌剤:シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル、ピロール殺真菌剤:フェンピクロニル、フルジオキソニル、フルオロイミド、キノリン殺真菌剤:エトキシキン、ハラクリネート、硫酸8−ヒドロキシキノリン、キナセトール、キノキシフェン、テブフロキン、キノン殺真菌剤:ベンキノックス、クロラニル、ジクロン、ジチアノン、キノキサリン殺真菌剤:キノメチオナット、クロルキノックス、チオキノックス、チアゾール殺真菌剤:エタボキサム、エトリジアゾール、イソチアニル、メトスルホバックス、オクチリノン、チアベンダゾール、チフルザミド、チアゾリジン殺真菌剤:フルチアニル、チアジフルオル、チオカルバメート殺真菌剤:メタスルホカルブ、プロチオカルブ、チオフェン殺真菌剤:エタボキサム、シルチオファム、トリアジン殺真菌剤:アニラジン、トリアゾール殺真菌剤:アミスルブロム、ビテルタノール、フルオトリマゾール、トリアズブチル、トリアゾロピリミジン殺真菌剤:アメトクトラジン、尿素殺真菌剤:ベンタルロン、ペンシクロン、キナザミド、尿素、非分類殺真菌剤:アシベンゾラル、アシペタックス、アリルアルコール、塩化ベンザルコニウム、ベンザマクリル、ベントキサジン、カルボン、クロロピクリン、DBCP、デヒドロ酢酸、ジクロメジン、ピロ炭酸ジエチル、フェナミノスルフ、フェニトロパン、フェンプロピジン、ホルムアルデヒド、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードメタン、イソプロチオラン、臭化メチル、イソチオシアン酸メチル、メトラフェノン、ニトロスチレン、ニトロタール−イソプロピル、OCH、2−フェニルフェノール、フタリド、ピペラリン、プロキナジド、ピロキロン、ナトリウムオルトフェニルフェノキシド、スピロキサミン、スルトロペン、チシオフェン、トリシクラゾール、ナフテン酸亜鉛等の殺真菌剤である。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、最大20%、またはさらには最大40%の任意の生物活性剤を含み、この活性剤は、ゲル組成物中にあるレベルで溶解していてもよく、かつ、どのような目的に対しても、身体への送達に有用でありうる。そのような生物活性剤は、例えば、医薬物質、薬理学的物質、生物学的物質、有機物質、天然物質、植物性物質、美容的物質、例えば、皮膚、組織または髪の外観、健康または機能を変化させるかまたは向上させる物質を包含するが、それらに限定されるものではない。本発明の概念の範囲において、そのような物質は、身体のある部分、例えば、限定するものではないが、皮膚、髪、歯、身体の開口部、例えば、口、直腸および膣と接触して、およびさらに内部的にカテーテル、ステント等の表面上に適用した際に、なんらかの治療的目的を果たす。
【0080】
特定の好ましい実施形態において、ビタミン添加剤を含む有効量の治療活性配合物が、ゲル状/可塑化油混合物に組み込まれる。ビタミン添加剤は、例えば、ビタミンA、B12、C、D、Eおよびそれらの混合物から選択される。好ましくは、ビタミン添加剤は、約1重量%〜約10重量%の濃度で治療活性配合物に存在する。
【0081】
特定の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、サリチル酸を含む。サリチル酸は、サリチル酸の融点より高い温度であるがその分解温度よりも低い温度にて、セラミド−3と等しい割合で混合することによって均質液体を形成し、その液体を冷却すると蝋状固形物になり、その後、この固形物をゲルの油部分と混合することによって配合物に添加することができる。
【0082】
他の実施形態において、ゲル状エラストマー組成物は、ケルセチンを含む。ケルセチンは、セラミド−3、DP−70鉱油、水素化ポリデセンまたはココナッツ油の1つ以上と予め混合することによって配合物に添加することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、生物活性剤は一般に、合計で組成物の0〜20%(wt/wt)含まれる。
【0084】
組成物は、0%〜5.0%の遊離脂肪酸、フィトステロールおよびセラミド、および/またはビサボロールをさらに含むことができる。
【0085】
好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約50重量%〜約80重量%の水素化ポリデセン、約20重量%〜約50重量%のCocos nucifera(ココナッツ)油、約5重量%〜19重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;約2重量%〜約20重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;および任意に、約1重量%〜約10重量%のビタミンE源、好ましくは酢酸トコフェリルを含む。
【0086】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約50重量%〜約80重量%の水素化ポリデセン、約7重量%〜約25重量%のCocos nucifera(ココナッツ)油、約5重量%〜19重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;約2重量%〜約20重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;および任意に、約1重量%〜約10重量%のビタミンE源、好ましくは酢酸トコフェリル、約1重量%〜約10重量%のPrunus Amygdalus Duclis(Non−GMOスイートアーモンド)油、および約1重量%〜約10重量%のBertholletia excelsa(Community Trade Brazil)ナッツ油を含む。
【0087】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約50重量%〜約80重量%の鉱油(パラフィナムリキィダム)、約20重量%〜約50重量%の水素化スチレンイソプレンコポリマー、約2重量%〜約20重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の樟脳樹脂;約1重量%〜約10重量%の炭化水素樹脂;約1重量%〜約10重量%のウッドロジンの水素化エステル、および任意に約1重量%〜約10重量%のメントールを含む。
【0088】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約50重量%〜約80重量%の水素化ポリデセン、約7重量%〜約25重量%のCocos nucifera(ココナッツ)油、約5重量%〜19重量%のパルミチン酸オクチル、約5重量%〜約19重量%のベニバナ油、約6重量%〜約29重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の分別ココナッツ油;約2重量%〜約20重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;および任意に、約1%〜約10%のビタミンA源、好ましくはメンタンジオール(p−メンタン3,8ジオール)を含む。
【0089】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約20重量%〜約50重量%の水素化ポリデセン、約7重量%〜約25重量%の水素化スチレン−イソプレン−スチレンコポリマー、約3重量%〜30重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約2重量%〜約20重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の分別ココナッツ油;約1重量%〜約10重量%のベニバナ油、および任意に、約1%〜約10%のビミンA源、好ましくはビタミンAパルミテート(レチニルパルミテート)を含む。
【0090】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約27重量%〜約75重量%の鉱油(パラフィナムリキィダム)、約15重量%〜約35重量%の水素化スチレンイソプレンコポリマー、約2重量%〜20重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の炭化水素樹脂;約1重量%〜約10重量%の水素化ロジン酸グリセリル、および任意に、約1%〜約10%のビミンA源、好ましくはビタミンAパルミテート(レチニルパルミテート)、を含む。
【0091】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約20重量%〜約50重量%の水素化ポリデセン、約20重量%〜約50重量%のCocos nucifera(ココナッツ)油、約6重量%〜29重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の麦芽油、約2重量%〜約20重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の分別ココナッツ油;約2重量%〜約20重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;および任意に、約1%〜約10%のビタミンE源、好ましくは酢酸トコフェリルを含む。
【0092】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約50重量%〜約80重量%の水素化ポリデセン、約7重量%〜約25重量%のCocos nucifera(ココナッツ)油、約5重量%〜19重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約1重量%〜約10重量%の麦芽油、約7重量%〜約39重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;約1重量%〜約10重量%のPersea gratissima(アボカド)油;約1重量%〜約10重量%の炭化水素樹脂;約1重量%〜約10重量%のウッドロジンの水素化エステル、および任意に、約1%〜約10%のビタミンE源、好ましくは酢酸トコフェリルを含む。
【0093】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約50重量%〜約80重量%の水素化ポリデセン、約7重量%〜約25重量%のCocos nucifera(ココナッツ)油、約6重量%〜29重量%の水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、約5重量%〜約19重量%のベニバナ油、約2重量%〜約10重量%の水素化スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー;および約1重量%〜約10重量%の分別ココナッツ油を含む。
【0094】
他の好ましい実施形態において、本発明のゲル状エラストマー組成物は、約20重量%〜約50重量%の鉱油(パラフィナムリキィダム)、約20重量%〜約50重量%の水素化スチレンイソプレンコポリマー、約1重量%〜10重量%のMelaleuca alterniflora(ティーツリー)油、および約20重量%〜約50重量%の炭化水素樹脂を含む。
本発明の物品
【0095】
本発明の他の態様において、使用者が、活性生物学的物質を送達するために、本発明のゲル組成物をヒトまたは動物の身体に適切に適用できるようにする物品が提供される。そのような物品は、成形された本発明ゲルパッド、パッチ、シリンダー、チューブ、開口部/身体輪郭形パッチ/プラグ、および本発明のゲル組成物でコーティングされた装着可能な布物品の形態をとる。
【0096】
本明細書に記載されている組成物は、身体組織または皮膚または髪と接触して装着される非依存性独立型の物品として成形してもよく、または、限定されるものではないが例えば、皮膚、身体組織または髪に組成物の一部を送達するように特別に設計された事前形成された手袋、靴下、ブーティ、カフ、スリーブ、バンド、ベルト、パッド、シリンダー、パッチ、靴下、レギンス、ズボン、下着または内部体腔装置との複合物品として成形してもよい。この組成物は、特定の大きさにカットでき、成形でき、または物品またはパッチに形成できる高分子および/または有機支持体フィルム、不織布ウェブまたは織布との複合物品としても成形することができる。そのような物品は、生物活性剤の直接送達系を形成するように構成でき、それによって、それらが適用された際に、ゲル状組成物が身体組織、皮膚または髪と直接接触し、それにより、組成物に含有された生物活性剤の直接局所送達を与える。または、透過性膜がゲル状組成物と身体組織、皮膚または髪との間に散在した間接送達システムを形成するように物品を構成することができる。
【0097】
本発明の別の実施形態においては、先に概説したゲル組成物のいずれかを、身体への生物活性物の送達法に使用でき、この方法は、身体の上または内部に装着または適用するのに好適な形態の本発明のゲルを提供する工程と、この形態/物品を、所望の投与量送達を達成するのに充分な時間にわたって適用する工程を含む。このタイプの好ましい物品は、成形された本発明のゲルのパッド、パッチ、シリンダー、開口部/身体輪郭形プラグ/パッチ、および本発明のゲル組成物でコーティングされた装着可能布物品を包含する。
【0098】
放出速度を制御するためにリザーバおよびキャリヤーの両方としてゲル状エラストマーを使用して利用される特定の活性成分は、皮膚、身体組織または髪に組成物の一部を送達するように特別に設計された成形品、手袋、靴下、ブーティ、カフ、スリーブ、バンド、ベルト、パッド、シリンダー、パッチ、靴下、レギンス、ズボン、下着または内部体腔装置、として使用された場合に、新規な治療法を示す。これらの配合物の使用に関する特定の指摘は、それらに含有されている生物活性剤によって下記のものである:皮膚軟化、美容的向上、脂質バリヤ向上、シワ減少、皮膚平滑化、瘢痕減少、瘢痕管理、妊娠線減少、妊娠線管理、抗ヒスタミン性、抗炎症性、抗酸化性、抗菌性のアクネ治療、筋弛緩、アロマセラピー、軟組織調整、皮膚エラスターゼ改善、細胞修復、皮膚冷却、皮膚加温、ヘアコンディショニング、頭髪強度向上、頭髪美容的増強、リッププランピング、抗刺激、やけど治療および疼痛寛解。
【0099】
図面を参照すると、図1および2は、本発明の原理に従って構成された身体保護物品の種々の実施形態を示している。図1は手袋10を示し、図2は靴下12を示している。しかし、当業者であれば、示されている手袋10および靴下12は例示するものにすぎず、身体に装着される多種の物品が、本発明のゲル状エラストマー組成物から送達される治療活性配合物を、覆われた皮膚に与えるのに有用であることを容易に理解するであろう。しかし、より広い意味において、身体保護物品は、特定の身体の部分を覆うために必要な任意の形および大きさで提供され、それは、あらゆる年齢および大きさの女性、男性および子供によって使用される成形パッドを包含する。
【0100】
図1に示されるように、手袋10は、手の平片14および手の甲片16から成り、それぞれは互いの鏡像である。手の平片14は、手首部分18を含み、それは手の平部分20を通って4本の指延長部分22および親指延長部分24に伸びている。グローブの裏片16も同様に手首部分26を有し、それは手の甲部分28を通って伸びて、指延長部分30および親指延長部分(図示せず)を形成している。手の平片14および手の甲片16は、例えば縫合によって、各手首部分18および26を除くそれらの周囲縁で接合され、手袋に手を入れるための開口部を与える。手首片32は、手の平片14および手の甲片16の両側に折りたたまれ、手袋開口部の周りでそれらに縫い付けられて、ほつれを防止し、手袋を手にはめたり脱いだりするための保全性を付加する。
【0101】
手の平片14および手の甲片16は、ゲル状エラストマー組成物34を密接に結合させた布材料から作製される。ゲル状組成物34が、点線36で示されているように、手首片32から間隔をあけた位置から、指22、30および親指24の末端に伸びている。好ましくは、手袋10を着用しているヒトの手に最も近いゲル状組成物の内部表面は、皮膚と直接的に接触する。
【0102】
布材料は、合成または天然繊維のいずれかまたは両方で構成された織物であってよい。好適な合成材料は、繊維、例えばポリエステル、ポリアミド、例えばナイロン、ポリオレフィン、アクリル等の繊維を包含し、好適な天然繊維は、綿、キャンブリック、羊毛、カシミヤ、レーヨン、ジュート等を包含する。
【0103】
図2は、本発明の他の実施形態による靴下12を示す。この靴下12は、下腿部分54に伸長した足首部分52につながっている足部分50から成る。靴下12は、一般に管状構造物を、つま先部分56によって一端で閉じ、縫い合わせて踵窪み58を与えることによって作製できる。手袋10と同様に、靴下12は、ゲル状エラストマー組成物60を密接に結合させたメリヤス生地から作製される。靴下14の生地およびゲル状組成物は、各手の平および手の甲片14および16ならびに手袋10のゲル状組成物34を構成するのに使用されたのと同様の材料から選択される。
【0104】
ゲル状材料は、好ましくは、手袋10に関して示し、記載したのと同様に皮膚に直接的に接触して、それに組み込まれた添加剤としての治療活性配合物によって、保護された皮膚に薬剤投与する。ゲル状組成物は、つま先部分から踵へ伸長し、足の裏を覆うのに充分な幅を有する。
【0105】
このように、本発明の成形および/または軟質物品は、混合、溶融、浸漬、流し込み、射出成形、押出および他の従来法によって、活性剤を任意に含み、布、織物、紙またはポリマーフィルム支持体に密接に結合された本発明のゲル状エラストマー組成物の溶融混合物から形成される。例えば、予め選択した剛性の溶融ゲル状エラストマー組成物を、布材料に直接的に流し込んで、成形または軟質物品、例えば手袋10および靴下12を形成する。ゲル状エラストマー組成物は、ダイカストし、一定の大きさにカットし、支持体に熱接着させることもできる。さらに、支持体、例えば、布、紙またはポリマーフィルム材料を、予め選択した剛性の溶融ゲル状エラストマー組成物に浸漬し、異なる剛性の同じかまたは異なる組成物に再浸漬することもできる。本発明の成形加工された複合物品は、必要に応じて、エラストマーフィルム、紙、布、織物またはそれらの組合せの保護膜で慣例的に覆うこともできる。
活性物質の滲出速度および送達速度を制御する方法
【0106】
本発明の新規方法の中の1つは、ゲルを使用して、身体に適合性、混和性および送達可能であることが示されている他の成分の有益量を送達しうる速度を得るために、ゲルからの油の滲出速度を調節できることである。約99:1およびそれ以上の中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油の比率において、トリグリセリドの量は、中間ブロック可溶化油だけを含有するゲルと比較して、ゲルからの油の滲出速度に最小限の作用を有するにすぎない。約90、91、92、93、94、95、96、97または98:10、9、8、7、6、5、4、3または2の中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油の比率において、滲出速度および対応する活性剤送達速度が増加する。いくつかの実施形態において、中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油の比率が約60:40〜約40:60である場合、ゲル組成物は、トリグリセリド油を含有しないかまたは極めて低レベルのトリグリセリドを含有する匹敵するゲル組成物(即ち、200:1以下の中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油の比率を有するゲル組成物)より約300%〜800%多い活性剤を、表面、例えば、ヒトまたは動物の身体に送達することができる。表I(下記)において先に示したように、中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油比率の選択は、最終用途、および溶融物の粘度による加工容易性の両方のためのゲルの物理的特性とバランスをとるべきである。
【0107】
全油重量パーセントを増加し、全ポリマー重量パーセントを減少させることによって、ゲルからのより速い滲出速度を達成できるが、ゲルの物理的特性は意図する最終用途に対して柔らかく弱すぎる物理的特性である場合が多い。これは、特に、引裂強度に対して当てはまる。さらに、いくつかの成分は、中間ブロック可溶化油だけにおいては容易可溶性でなく、中間ブロック可溶化油と、モノグリセリド、ジグリセリドおよび/またはトリグリセリド(例えば、本発明のトリグリセリド)を含有する油との混合物においてより容易可溶性である。従って、本発明のゲル組成物は、ゲルの物理的特性を損なわずに、活性剤の増加した送達を可能にし、さらに、中間ブロック可溶化油だけを含有するゲルより広い種類の活性剤(例えば、高極性の活性剤)の可溶化も可能にする。
【0108】
さらに、特定のMWおよび中間ブロック構造のコポリマーと組み合わせた特定のモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドの使用は、付加成分可溶性と、加工温度(即ち、ポリマーの溶融範囲の温度)における混合物粘度、生じるゲルの滲出速度、および生じるゲルの最終物理的特性とをつり合わす能力を生じることができる。いくつかの実施形態において、加工に有用な溶融粘度(即ち、加工温度における溶融ゲルの粘度)は、375°F(190℃)において約80〜約4000cPs、好ましくは375°F(190℃)において約150〜約3000cPs、より好ましくは375°F(190℃)において約190〜約2500cPsである。
【0109】
前記の溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計モデルDVII+およびブルックフィールド・サーモセル用いて150〜200RPMで#27スピンドルを使用して測定できる。センチポアズ測度に変換できる他の粘度計および粘度標準を、好適な測定基準として代用することができる。約190cPs未満の粘度の場合、ゲルは、大部分の支持体、特に布支持体の表面に滲み出す傾向がある。約2500cPより高い粘度の場合、ゲルは、浸漬および貼り合わせのような多くの変換工程に粘稠すぎる傾向があるが、射出成形には有用なことがある。
【0110】
しかし、最も好ましいのは、ゲルと身体との接触時に、所望速度の生物活性剤送達を与えるように最適化されたトリグリセリド油比率のレベルである。そのような最適化の方法は、所定ゲル組成物によって生じた生物活性剤の滲出/拡散の速度を、身体または何らかの他の代表的物質との接触において測定し、所望の送達速度が得られるまで、種々のレベルのトリグリセリド油比率を有する代替ゲル組成物を反復試験する任意の方法を包含する。関連する方法は、下記に詳しく説明する滲出試験を含むことができ、この試験では、ゲル試料をある種の非生体物質に暴露し、ある時間に渡って作用させ、接触から取り出し、滲出物を非生体物質から抽出し、滲出物を分析して、実際の生物活性剤送達のレベルを測定する。ゲル中の生物活性剤の濃度、スチレンブロックコポリマーTPE組成およびトリグリセリド油比率を全て系統的に変化させる多変量最適化も、関連する本発明の方法の範囲に含まれる。
【0111】
前記のように、所望速度の生物活性剤送達を得るために、滲出速度の定量化を目的とする試験法を使用して、本発明の組成物を最適化するのが最も好ましい。簡単に思われるが、そのような方法の適用は、局所送達を測定するために身体を模倣することに関連した複雑さによって一般に妨げられる。ゲルによって生体対象に実際に送達される生物活性剤の量を測定することは困難であり、場合によっては事実上不可能であるので、生体対象における間接的臨床効果を測定し最適化する(かなりの配慮、費用および反復を必要とする)か、または何らかの点で生体内滲出と相関する測定法を考案することが必要である場合が多い。そのような方法は、本発明の方法に含まれるものと考えられる。
【0112】
身体への生物活性剤送達の実際量を測定することは困難であるにもかかわらず、本明細書に概説されている方法は(可能であればそのような場合でも)、ゲル最適化の目的に好ましい。特に、時間の経過に伴う身体への送達レベルを測定する手段として、分析試験を血液、尿、体液または身体組織にて行なう場合、所定ゲル組成物の機能性を、実際の使用において定量化することができる。次に、ゲル組成、特に、中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油比率、およびゲル中の生物活性剤の比率の反復調節によって、実際の送達速度を最適化することができる。この新規な方法により、中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油比率、およびゲル中の生物活性比率の両方についての有効レベルを決定することができる(有効レベルは、特定条件下に、生体対象群への活性剤送達の所望平均値を生じるように調節されたレベルとして定義される)。従って、そのような直接的生体内測定法による中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油比率、および活性剤重量比率の最適化は、本明細書に開示された方法によって考察される。
【0113】
本発明の他の実施形態において、先に示した一般的重量パーセント範囲内の成分を含有する組成を、所望速度の制御された油送達を得るために変化させる方法によって、先に概説した任意のゲル組成物を最適化することができる。1つの関連方法は、ゲルからの活性物質の、身体模倣物質の上/中への局所送達の所望速度を同定する工程;物質にゲル試料を押し入れる工程;物質への油/生物活性剤の送達速度を測定する工程;および、所望レベルの滲出が得られるまで、ゲル組成物の後での配合において、中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油比率を変化させる工程を含む。他の関連方法は、ヒトまたは動物の身体への(またはその症状への)所望臨床作用を同定する工程;対象群におけるゲルの実際の作用の臨床試験(生体内)を行う工程;および、例えば中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油比率を変化させることによって、ゲル組成を反復的に変化させ、有効レベルの生物活性剤送達を得る工程を含む。
【0114】
本発明の他の実施形態において、先に示した一般的重量パーセント範囲内の成分を含有する組成を、所望温度での溶融加工のために所望される溶融粘度を得るために変化させる方法によって、先に概説した任意のゲル組成物を最適化することができる。この方法は、粘度依存性加工パラメーターの所望レベル(例えば、浸漬コーティングの間に生地の中にまたは生地を通って吸い上げるレベル)を同定する工程;および、所望の加工パラメーターレベルが得られるまで、例えばゲルの後続試料における中間ブロック可溶化油/トリグリセリド油比率を変化させる(先に示した一般的範囲内)工程を含む。
【0115】
本発明の好ましい実施形態において、先に示した送達速度および溶融粘度の最適化のために、2つ以上の前記の異なる方法を実施することによりゲル組成物が最適化される。
【0116】
本発明のゲル組成物に関連した生物活性送達速度の最適化のための、あまり直接的ではないが好ましい方法は、制御された条件下での生体対象物へのゲルの適用、および目的の症状(または治療的処置の標的とされる症状)へのゲル影響力の測定を含む。この新規な方法によって、ゲル組成、特にトリグリセリド油レベル、およびゲルにおける生物活性剤の比率を、有効レベル(有効レベルは、所望レベルの臨床結果を生じるように調整されたレベルである)を得るために反復的に最適化することができる。従って、生体対象における症状へのゲル作用のそのような臨床試験による、ゲルトリグリセリド比率、および生物活性比率の最適化は、本明細書に開示されている全般的な本発明の概念の一面であると考えられる。
【0117】
本発明のゲル組成物に関連した生物活性送達速度の最適化のための、さらにそれほど直接的ではないがやはり好ましい方法は、非生体物質へのゲルの適用、次に、実際の送達速度の直接的分析的測定を含む。他のゲル、および生体組織の化学的/物理的挙動を模倣するために様々に設計された物質を包含する広範囲の物質を、そのような目的に使用できるが、紙を包含する比較的簡単な物質も使用することができる。しかし、どのような支持体であっても、それへの実際の生物活性剤送達は、実際の生物体と接触したゲルを正確に模倣することは保証できない(実際に、直接的対応は期待されない)。それにもかかわらず、どのような試験支持体であっても一般的に単調な挙動を予想することができ、実際の生体内速度と何らかの相関関係にあると考えられる。従って、ゲルの相対的性能を評価し、最適化することができる。試験によって、かつ支持体および生体内の両方に対するゲルの相対的性能の調査によって、トリグリセリド油比率および生物活性剤のゲルパーセントの両方を、所望レベル(生体内観測との何らかの相関によって決定される)が得られるように調節することができる。
【0118】
あまり直接的ではないが、このタイプの方法は、ゲル滲出の相対測定に関する限り、実際に、極めて分析的結果をもたらしうるという利点を有する。非生体支持体は、任意の望ましい方法(溶媒抽出を包含する)で化学的に分析できるので、この方法を使用して、高度に系統的な枠組みの中で生物活性滲出速度の極めて正確な測定を行なうことができる。送達のレベルおよび速度を測定するために(少なくとも試験システム内)、純粋支持体、例えば濾紙を使用して、滲出物を既知量の溶媒に抽出し、次に、限定するものではないが例えば化学的検定、滴定、ガスクロマトグラフィー(GC)および高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を包含する方法によって分析することができる。次に、種々の生物活性剤比率および種々のトリグリセリド油比率を有するゲル間の相対比較を、分析的精度で行なうことができる。さらに、所望の送達速度を得るために(特に、なんらかの生体内交差比較が、任意の比較基準ゲル組成物に関して存在する場合)、これらの組成パラメーターの操作を行なうことができる。
【0119】
そのような組成最適化の方法は、臨床的方法ほど直接的ではないが、分析的にはるかに正確であり、より容易に制御できるという利点を有する。例えば、ゲルを、支持体(限定するものではないが、濾紙のような物質を包含する)に、任意の所望期間に渡って、任意の所望/制御温度において、極めてよく制御されたストレス条件下(限定するものではないが例えば、錘によって適用される外部荷重)に適用することができる。さらに、生体対象における臨床試験に関連した労力および費用を要さずに、分析的精度での多数回の反復測定が可能である。実際に、このような新規な方法は、本発明のゲル組成物の全般的開発のために特に開発され、広範囲に使用された。従って、関連するゲル組成物を最適化する方法は、本明細書に開示されている全体的本発明概念の範囲に含まれると考えられる。
【0120】
先に概説した新規な測定法および方法によって、ゲル組成物の有効性を評価し、所望レベルの生物活性送達速度および関連作用を達成することが可能になる(ゲル中の生物活性濃度ならびにトリグリセリド油比率の操作による)。従って、ヒトまたは動物の身体に接触して、ゲル接触の既知面積を考慮して、所望の投与量の生物活性剤が送達される期間にわたって、実際にゲルを使用することが可能になる。
【実施例】
【0121】
実施例1:典型的なゲル組成物ベース処方:
以下に示されるものは、典型的なゲル組成物ベース処方であり、これらは後で、例えば、約0重量%〜約5重量%の製薬的および化粧品的に活性な上記成分の1種以上と混合することができ、このような成分には、サリチル酸、サリチル酸メチル、メトキシプロパンジオール、天然メントール‐L、ケルセチンおよびセラミド‐3が含まれる。
【0122】
【表1】

【0123】
ベース処方
粘着性誘導成分として、例えば、リガルレッツ1094とフォーラルAXの50:50混合物の5%〜25%等の、リガルレッツ1094、フォーラルAX、フォーラル85‐EまたはH100‐Wまたは同様の天然または合成ロジンの様々な混合物の5%〜25%を添加することによって、柔らかな弾性挙動を示し、自己粘着性となるのに十分な粘着性を有した同様の製剤が得られる。
この他の典型的なゲル組成物ベース処方は、以下のものである。
【0124】
【表2】

【0125】
【表3】

【0126】
【表4】

【0127】
典型的なゲル組成物ベース製剤の製造
典型的なゲル状エラストマー組成物ベース製剤は、以下のようにして製造される。オイル部分は150〜175℃に加熱する。遊離脂肪酸、トリグリセリド、およびオイル可溶な生物活性成分および植物または有機抽出物を、セラミド、ビタミンおよび他の成分と前もって混合する。製剤の液体部分は、空気の混入が最小限となるように均一に原料を混合するために適切に設けられた加熱容器内で、コポリマーおよびエステル樹脂に添加する。全ての成分を混合し、均質となるまで混ぜる。
【0128】
実施例2:活性成分を含有する典型的なゲル組成物
以下のものは、1以上の活性成分を含有する本発明の典型的なゲル組成物である。これらの典型的なゲルは、上記の本発明の製造方法、およびTPEゲル組成物を製造する技術において公知の他の方法を用いて製造することができる。
【0129】
【表5】

【0130】
【表6】

【0131】
【表7】

【0132】
【表8】

【0133】
【表9】

【0134】
【表10】

【0135】
【表11】

【0136】
実施例3:活性成分の滲出
典型的なゲル状エラストマー組成物からの生物活性成分の滲出は、以下のようにして測定した。ゲル試料および対照サンプルオイル処方ゲルは、以下のようにして処方した。

対照サンプル処方g(w/w%) ゲル試料
ハイドロゲネート 4.18g(51.00%) ゲルフォーミュラ06-087CS 30.0g(84.77%)
ポリデセン
ココナッツ油 2.50g(30.50%) セラミドIII 1.375g(3.89%)
セラミドIII 0.41g(5.00%) サリチル酸 1.375g(3.89%)
サリチル酸 0.41g(5.00%) ケルセチン 0.300g(0.85%)
ケルセチン 0.08g(1.00%) サリチル酸メチル 0.780g(2.20%)
サリチル酸メチル 0.21g(2.50%) ビタミンAパルミテート 00.780g(2.20%)
ビタミンAパルミテート 0.21g(2.50%) 合成メントール 0.780g(2.20%)
合成メントール 0.21g(2.50%) 合計: 35.390g(100.00%)
合計: 8.20g(100.00%)
【0137】
サンプル濾紙ディスクを、37℃にて一定の低圧下(0.40psi.(2.8Mpa))で、同じ直径のゲル試料と接触するように置いた。ゲルへの濾紙の多数回‐制御曝露は、ゲルの同じ面に連続して行った。濾紙ディスクに転移した活性成分の定量化は、濾紙から活性成分を抽出した後、UV,MS,GCおよびまたはHPLC分析によって測定した。滲出速度は、単位表面積あたりのμg/単位時間として表した。ゲル状エラストマーからの滲出速度を測定するための試験の結果が、表3および表4に示されている。
【0138】
【表12】

【0139】
【表13】

【0140】
本発明のトリグリセリドゲル状エラストマー処方からの滲出速度は、これまでに知られている主な鉱油ベースのゲル処方からの活性成分の転移よりも速かった。最初の30分におけるオイル滲出は、主な鉱油ベースのゲル処方に比べて、トリグリセリドゲル状エラストマー処方からは300%大きく、最初の1時間におけるオイル滲出は、主な鉱油ベースのクッションゲル処方に比べて、トリグリセリドゲル状エラストマー処方からは800%であった。
【0141】
実施例4:中間ブロック可溶化油のトリグリセリド油に対する異なる割合を有する種々のゲルおよび滲出、ゲルの完全性および製造成形目的に適した粘度への影響
表5には、中間ブロック可溶化油のトリグリセリド油に対する異なる割合を有した8種類の異なるゲル組成物についての、滲出、ゲルの完全性(gel integrity)および粘度の定性的評価が記載されている。
【0142】
【表14】

【0143】
上記の試験を遂行するために、高速ミキサーを有した温度制御加熱マントルを使用し、表Xにおける成分の割合に基づき各処方について計300グラム調製した。成分は、0.00グラムの精度でデジタルスケールを用いて計量し、その後、所望の温度である165℃に達するまで、オイルを最初に加熱し、攪拌することにより順に開始して添加し、その後、ポリマーを添加し、その後、加熱下で45〜60分間の間、ラボミキサーおよび標準混合ブレードを用いて約250RPMの速度で混合した。均質になるまで調合物を混合し、全てのポリマー成分は、溶解してゲル内で均質となった。上記の処方T1001の場合には、温度は150℃〜170℃に調整した。この温度を超える温度の調整は、使用したオイルの引火点以上であるので避けた。このように、製造の間の温度には上限があり、約130℃〜165または170℃の範囲の温度における粘度は、変換目的のための製剤化において重要な事項である。
【0144】
実施例5:活性成分の滲出速度測定
トリグリセリドゲル処方06−087CSを、実験室内で以下の成分:サリチル酸、ケルセチン、サリチル酸メチル、ビタミンAパルミテート、および合成メントール(メンタンジオール)のそれぞれと混合することによってゲルを調製した。生物学的利用性成分を含むゲルは、06−087CSゲルの30g試料を最初に加熱し、その後、以下の表に挙げられた前述の成分をそれぞれの量をゲルに添加し、ビーカー内の加熱された攪拌板上で混合することによって製造した。
【0145】
【表15】

【0146】
この化合物をその後、それぞれ約10グラムの3つの等分試料に分け、2.625”の直径のアルミニウムペトリ皿に注ぎ入れ、冷却して個々のゲルサンプルディスクを形成した。引き続き、吸収性のあるセルロースフィルター吸い取り紙を打ち抜いて、以下のような特殊な条件下で上記ゲル化合物と直接接触させる繰り返し曝露用の心材媒体(wicking media)として使用されるに充分な直径2.625”のディスクとした。
【0147】
曝露条件:37〜40℃、同じ直径のゲル試料と接触したサンプル濾紙ディスクを、直径50mmのアルミニウムペトリ皿内に積み重ね、ゲル試料直径2.625”×0.125”厚み、濾紙ディスク直径2.625”、 別のペトリ皿と一体化して、積層物の上には1kgの重りを載せた。圧力は〜0.407psi.(2.8MPa)一定で計算した。試験条件ごとに2回反復。3時間繰り返し曝露した後、それぞれ18時間で3回曝露を行い、ディスクを変えたが、同じゲル試料で、各ゲル試料の同じ面を、それぞれ一連の濾紙ディスクサンプルと接触させ続けた。
【0148】
対照サンプルオイルおよび成分のみ(06−087CSゲルに含まれるポリマーは存在しないが、オイルと他の成分の比率は同じ)の混合処方を、以下のように調製した。
【0149】
【表16】

【0150】
2つの対照濾紙ディスクサンプルをその後、対照サンプル処方オイルに浸漬し、混合および試験条件曝露の間の各成分の揮発量%を決定するのに役立つ試験サンプルとして同じ条件に曝し、その後のHPLCおよびGC試験のための分析試験室に送った。
【0151】
それぞれ個々のサンプル濾紙吸い取りディスク試験試料によって吸収された滲出物の全重量を測定するためにデータを計算した。その後、オイルが、対照オイルサンプル中とゲル中に含まれる成分を同じ割合で含む場合には、オイルから滲出された各成分の理論量を決定するために、ゲルディスク処方中の成分の比率に基づいて計算を行った。このデータが以下に述べられている。
【0152】
【表17】

【0153】
上記濾紙ディスク試料aa〜kkは、その後、実験に使用されたプロトコルのためにHPLCおよびGC装置が較正できるよう、それぞれ個々の原料成分の少量サンプルと一緒に、HPLCおよびGC分析のための分析実験室に送った。この較正により、これらの技術を用いて測定でき、かつ、後でデータを補正するのに使用される各成分の最大回収可能(測定可能)量を測定することができた。その後、分析実験により、当業者に公知の湿式ウェット化学技術を用いて濾紙ディスクから流出した各添加活性剤の量を検出し、測定した。
【0154】
上記の分析データを解析し、その後、各濾紙吸い取りディスク試料に滲出され、その後で湿式化学を用いて抽出された各成分の量を、データ分析表計算ソフトに入力し、抽出された各成分の実際の濃度を決定するために分析回収速度に基づいて調整した。
【0155】
これらの計算結果は以下のとおりである。
【0156】
【表18】

【0157】
その後、これらの測定結果は、単位時間当たり、または、単位時間当たりの蓄積としてグラフ化できる。その後、これらの結果は、単位時間当たりに滲出した量としてグラフ化でき、ug/時間/sq.cmという形で単位面積当たり、単位時間当たりの各成分の滲出量の標準化測定を得るために、濾紙の正方形面積にて割られる。このような単位測定値は、身体に供給され、そしてまたは、その後で身体により吸収される得る最大使用可能投与量を計算するための、哺乳動物の身体への成分送達システムとして、ゲル状エラストマー化合物の使用におけるキーパラメーターである。身体へのこれらの成分の滲出速度の指標を得るために特殊な条件下で吸収媒体(この場合、フィルター吸い取り紙)に生体利用可能な成分を含有するゲル状エラストマー化合物を接触させる、このような方法や、同様の方法を使用することは、当業者には自明のことである。
【0158】
実施例6:トリグリセリド油の中間ブロック可溶化油に対する割合およびポリマー含量を調整することによる滲出速度の調整
以下の表は、トリグリセリド油の中間ブロック可溶化油に対する割合(T:M割合)およびポリマー含量を調整することによって、どのように滲出速度が調整できるかを示したものである。これらの研究は37℃にて行なわれた。これら実験の結果をグラフにしたものが、図3に示されている。
【0159】
【表19】

【0160】
【表20】

【0161】
【表21】

【0162】
本発明を充分に記載したことにより、当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、しかも、必要以上の実験を行わなくても、同等のパラメーター、濃度および条件の広い範囲内において本発明が実施できることが理解されるであろう。
【0163】
本発明についての特定の具体例に関して本発明を説明してきたが、本発明は更なる改変が可能であることが理解されるであろう。従って、本願は、例えば、そして限定されることなく、一般に、本発明の原理に従い、且つ本発明が属する技術分野で公知で且つ一般的な方法の範囲に属し、かつ、以下に掲げる必須の特徴に適用可能であるように本発明の開示から逸脱するものを含む、本発明の任意の変更例、用途または適用例を包含することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1.0重量%〜約50.0重量%のブロックコポリマーと、約1重量%〜約99重量%の中間ブロック可溶化油と、約1重量%〜約99重量%のトリグリセリド油を含むゲル状エラストマー組成物であって、前記トリグリセリド油の前記中間ブロック可溶化油に対する比率が、約1:100〜3:1であることを特徴とするゲル状エラストマー組成物。
【請求項2】
前記中間ブロック可溶化油が、鉱油または合成油であることを特徴とする請求項1に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項3】
前記トリグリセリド油の前記中間ブロック可溶化油に対する比率が、約1:100〜約50:50であることを特徴とする請求項2に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項4】
約10重量%〜約90重量%の前記中間ブロック可溶化油と、約10重量%〜約90重量%の前記トリグリセリド油を含むことを特徴とする請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項5】
前記トリグリセリド油の前記中間ブロック可溶化油に対する比率が、約7:70〜約50:50であることを特徴とする請求項4に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項6】
前記トリグリセリド油の前記中間ブロック可溶化油に対する比率が、約15:60〜約50:50であることを特徴とする請求項4に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項7】
約4重量%〜約25重量%の前記ブロックコポリマーと、約10重量%〜約70重量%の前記トリグリセリド油と、約40重量%〜約60重量%の前記鉱油または合成油を含むことを特徴とする請求項2に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項8】
約10重量%〜約25重量%の前記ブロックコポリマーと、約20重量%〜約60重量%の前記トリグリセリド油と、約30重量%〜約70重量%の前記鉱油または合成油を含むことを特徴とする請求項2に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項9】
前記トリグリセリド油の前記中間ブロック可溶化油に対する比率が、約1:2〜約2:1であることを特徴とする請求項1に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項10】
前記トリグリセリド油の前記中間ブロック可溶化油に対する比率が、約40:60〜約60:40であることを特徴とする請求項1に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項11】
約15%以下の1種以上の遊離脂肪酸を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項12】
1種以上の生物活性剤を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項13】
1種以上の前記生物活性剤が、アラントイン、アロエベラ油、アルファ−ヒドロキシ酸、水酸化アルミニウム、アスピリン、バシトラシン、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、ベンゾカイン、ベータ−ヒドロキシ酸、BHA、BHT、バイオオイル、ビサボロール、ブレオマイシム、安息香酸、硼酸、ウンデシレン酸カルシウム、カラミン、コラーゲン、樟脳、カプリン酸、カプリル酸、センテラアジアチカ、セラミド2、セラミド3、セラミド6、抱水クローラル、クリオキノール、コロイド状オートミール、コルチコステロイド、硫酸シクロメチカン、ニワトコエキス、エミューオイル、オイゲノール、フォウオロウラシル、遊離脂肪酸、塩化第二鉄、イチョウ、グリセリン、サリチル酸グリコール、グリコール酸、グリコサミノグリカン、ゴツコラ、グレープシードエキス、ヘリックス・アスペルサ・ミュラーグリコプロテイン、ヘキシレソルシノール、ヒスタミンジヒドロクロリド、ヒアルロン酸、過酸化水素、イミキモッド、インターフェロン、リノール酸、メントール、メントキシプロパンジオール、サリチル酸メチル、メチルパラベン、硝酸ミコナゾール、硫酸ネオマイシン、オレイン酸、硫酸オキシキノリン、パンテノール、ペナサイクリントリテルペン樹脂、フェノール、サリチル酸フェニル、ポビドン−ビニルアセテートコポリマー、プロピオン酸、プロピルパラベン、タンパク質加水分解物、ピュアセリンオイル、塩酸ピリドキシン、ケルセチン、レゾルシノール、レチン酸、レチノール、ベニバナ油、サリチルアミド、サリチル酸、硝酸銀、銀イオン、シメチコン、ナトリウム、プロピオネート、サリチル酸ナトリウム、硫黄、タマヌオイル、タモキシフィン、タンニン酸、ティーツリーオイル、塩酸テトラサイクリン、チモール、トリンデート、トルナフテート、トピカルスターチ、トランスフォーミング増殖因子、トロラミン、サリチル酸トロラミン、ウンデシレン酸、ビタミンAパルミテート、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEアセテート、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛、プロピオン酸亜鉛、硫酸亜鉛、p−メンタン3,8ジオール メンタンジオール、オクタデセナ二酸、水素化ロジン酸グリセリル、水素化ガムロジン、水素化ロジン酸ペンタエリスリチル、パディナミエキス、天然または合成セラミド(例えば、セラミドBIO391、合成セラミド)、ステアリン酸、フィトステロール、塩酸リドカインから成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項14】
約0重量%〜約20重量%の少なくとも1種の前記生物活性剤を含むことを特徴とする請求項13に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項15】
前記トリグリセリド油が、カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、水素化植物油、Persea Gratissima(アボカド)油、Prunus Amygdalys Dulcis(スイートアーモンド)油、Vitis Vinifera(グレープシード)油、Glycine Soja(ダイズ)油、Simmonsia Chinensis(ホホバ)種子油、Prunus Armeniaca(アプリコット核)油、Clear Simmonsia Chinensis(ホホバ)種子油、Sesamum Indicum(ゴマ)油、Carthamus Tinctorius(混成ベニバナ)油、Carthamus Tinctorius(ベニバナ)油、Juglans Regia(クルミ)油、Trictum Vulgare(麦芽)油、Hellanthus Annuus(ヒマワリ種子)油、分別ココナッツ油、Guineenis(パーム)油、Olea Europaea(オリーブ)油、(ペール圧搾)Ricinus Communis(ヒマシ)油、マカダミアナッツ油、水素化ダイズ油、カノーラ油、ローザカニーナ果実油、ライトローザカニーナ果実油、Corylus Americana(ヘーゼルナッツ)油、Oryza Sativa(米ヌカ)油、バルサムコパイバ、Brassica Campestris(ナタネ)油、Rubus Idaeus(ラズベリー)種子油、オレイン酸/パルミトレイン酸/リノール酸グリセリド、水素化アボカド油、アンディローバ油、アロエベラ油、トウモロコシ油、コムギ油、パーム核油、ブラジルナッツ油、ピーナッツ油、精製ヒマワリ種子油、および他の水素化または非水素化された加工および精製野菜、果実種子および植物油、ならびにそれらの分留誘導体から成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項16】
前記ブロックコポリマーが、スチレン誘導末端ブロックを含むことを特徴とする請求項1に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項17】
前記ブロックコポリマーが、スチレン‐エチレン/ブチレン‐スチレンコポリマー、スチレン‐エチレン/プロピレン‐スチレンコポリマー、水素化スチレン‐イソプレン/ブタジエンコポリマー、水素化スチレン‐イソプレンコポリマー、水素化スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンコポリマー、スチレンイソプレン/ブタジエンコポリマー、水素化スチレンイソプレンブロックコポリマー、または水素化スチレン‐エチレン/ブチレン‐スチレンコポリマーであることを特徴とする請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項18】
前記中間ブロック可溶化油が、鉱油、水素化ポリデセン、ポリイソブテン、水素化ジデセン、トリデシルステアレート、ネオペンチルグリコールジカプリレート、ネオペンチルグリコールジカプレート、トリデシルトリメリテート、トリデシルステアレート、ジペンタエリスリチルヘキサカプリレート、ジペンタエリスリチルヘキサカプレート、またはオクチルパルミテート、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項19】
請求項1に記載のゲル状エラストマー組成物からなることを特徴とする成形物品。
【請求項20】
請求項3に記載のゲル状エラストマー組成物からなることを特徴とする成形物品。
【請求項21】
前記物品が、手袋、靴下、ブーティ、カフ、スリーブ、バンド、ベルト、パッド、シリンダー、パッチ、レギンス、ズボン、下着または、皮膚、身体組織または髪へ前記ゲル状エラストマー組成物の一部を送達するように設計された内部体腔装置から成るグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項20に記載の成形物品。
【請求項22】
前記物品が、手袋または靴下であることを特徴とする請求項21に記載の成形物品。
【請求項23】
少なくとも一方の面に、請求項1に記載のゲル状エラストマー組成物が塗布された織物からなることを特徴とする可撓性物品。
【請求項24】
前記織物が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル綿、キャンブリック、羊毛、カシミア、レーヨンおよび黄麻から選ばれた1種以上の繊維を含むことを特徴とする請求項23に記載の可撓性物品。
【請求項25】
人間または動物の体への生物活性剤の供給が望ましい速度であるゲル状エラストマー組成物を提供するための方法であって、当該方法が、
a) 請求項12に記載のゲル状エラストマー組成物を提供する工程であって、当該組成物が、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油のある一定の比率を有し;
b) 前記生物活性剤を吸収できる物質に、前記ゲル状エラストマー組成物を接触させる工程;
c) 前記生物活性剤が前記物質に吸収される速度を測定する工程;
d) 前記吸収速度を、ヒトまたは動物の身体への送達速度と相関させる工程;
e) 請求項12に記載の追加のゲル状エラストマー組成物を提供する工程であって、当該工程において、
工程(a)のゲル状エラストマー組成物に存在する生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より遅い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を増加させ、
工程(a)のゲル状エラストマー組成物に存在する生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より速い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を減少させ;
f) 前記の追加のゲル状エラストマー組成物を使用して、工程(b)〜(d)を繰り返す工程;
g) 請求項12に記載の追加のゲル状エラストマー組成物を提供する工程であって、当該工程において、
先の追加のゲル状エラストマー組成物のゲル状エラストマー組成物に存在する生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より遅い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を増加させ、
先の追加のゲル状エラストマー組成物のゲル状エラストマー組成物に存在する生物活性剤の吸収速度が、所望の送達速度より速い場合、トリグリセリド油/中間ブロック可溶化油の比率を減少させ;
h) 所望の送達速度を有するゲル状エラストマー組成物が得られるまで、工程(f)および(g)を必要な回数繰り返す工程
を含むことを特徴とするゲル状エラストマー組成物の提供方法。
【請求項26】
ケロイドおよび肥厚性瘢痕の変色および厚みを減少させる方法であって、当該方法が、以下の工程:
a) 支持体を提供し、かつ、請求項3記載のゲル状エラストマー組成物を提供する工程であって、前記ゲル状エラストマー組成物が、ココナッツ油、カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、遊離脂肪酸、高リノール酸天然油(例えばベニバナ油)、高オレイン酸天然油、グレープシード油、アボカド油、ホホバ油、カノーラ油、セラミド、ビサボロール、ヘキシルデカノール、セチルヒドロキシプロリンパルミタミド、ステアリン酸およびアブラナ(ナタネ)ステロール、パジナパボニカ葉状体エキス、アロエ、p−メンタン3,8ジオールおよびそれらの混合物のうちの1つ以上を含み;
b) 任意に、ビタミンA、B12、C、D、Eおよびそれらの混合物から成る群から選択される治療活性剤を、前記ゲル状エラストマー組成物に組み込む工程;
c) 前記ゲル状エラストマー組成物を支持体に結合させる工程;
d) 前記ゲル状エラストマー組成物を結合させた支持体を、成形物品に形成する工程;および
e) 前記成形物品を、ケロイドまたは肥厚性瘢痕に長期間にわたって装着する工程
を含むことを特徴とするケロイドおよび肥厚性瘢痕の変色および厚みの減少方法。
【請求項27】
前記生物活性剤が、脂肪族窒素殺真菌剤:ブチルアミン、シモキサニル、ドジシン、ドジン、ゲアザチン、イミノクタジンアミド殺真菌剤:カルプロパミド、クロラニホルメタン、シフルフェナミド、ジクロシメット、エタボキサム、フェノキサニル、フルメトベル、フラメトピル、イソピラザム、マンジプロパミド、ペンチオピラド、プロクロラズ、キナザミド、シルチオファム、トリホリン アシルアミノ酸殺真菌剤:ベナラキシル、ベナラキシル−M、フララキシル、メタラキシル、メタラキシル−M、ペフラゾエート、バリフェナレート、アニリド殺真菌剤:ベナラキシル、ベナラキシル−M、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンヘキサミド、イソチアニル、メタラキシル、メタラキシル−M、メトスルホバックス、オフラセ、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン、ピラカルボリド、セダキサン、チフルザミド、チアジニル、ベンズアニリド殺真菌剤:ベノダニル、フルトラニル、メベニル、メプロニル、サリチルアニリド、テクロフタラム、フラニリド殺真菌剤:フェンフラム、フララキシル、フルカルバニル、メトフロキサム、スルホンアニリド殺真菌剤:フルスルファミド、ベンズアミド殺真菌剤:ベンゾヒドロキサム酸、フルオピコリド、フルオピラム、チオキシミド、トリクラミド、ザリラミド、ゾキサミド、フラミド殺真菌剤:シクラフラミド、フルメシクロックス、フェニルスルファミド殺真菌剤:ジクロフルアニド、トリルフルアニド、スルホンアミド殺真菌剤:アミスルブロム、シアゾファミド、バリンアミド殺真菌剤:ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、抗生物質殺真菌剤:オーレオフンギン、ブラスチシジン−S、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、ポリオキソリム、ストレプトマイシン、バリダマイシン、ストロビルリン殺真菌剤:アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、トリフルオキシストロビン、芳香族殺真菌剤:ビフェニル、クロロジニトロナフタレン、クロロネブ、クロロタロニル、クレゾール、ジクロラン、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノール、キントゼン、ナトリウムペンタクロロフェノキシド、テクナゼン、ベンズイミダゾール殺真菌剤:ベノミル、カルベンダジム、クロルフェナゾール、シペンダゾール、デバカルブ、フベリダゾール、メカルビンジド、ラベンザゾール、チアベンダゾール、ベンズイミダゾール前駆物質殺真菌剤:フロファネート、チオファネート、チオファネート−メチル、ベンゾチアゾール殺真菌剤:ベンタルロン、ベンチアバリカルブ、クロベンチアゾン、プロベナゾール、TCMTB、架橋ジフェニル殺真菌剤:ビチオノール、ジクロロフェン、ジフェニルアミン、カルバメート殺真菌剤:ベンチアバリカルブ、フロファネート、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、ピリベンカルブ、チオファネート、チオファネート−メチル、ベンズイミダゾリルカルバメート殺真菌剤:ベノミル、カルベンダジム、シペンダゾール、デバカルブ、メカルビンジド、カルバニレート殺真菌剤:ジエトフェンカルブ、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、コナゾール殺真菌剤:クリムバゾール、クロトリマゾール、イマザリル、ケトコナゾール、オキスポコナゾール、プロクロラズ、トリフルミゾール、アザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール−シス、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、硝酸ミコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ユニコナゾール、ユニコナゾール−P、銅殺真菌剤:ボルドー混合物、バーガンディ混合物、チェシャント混合物、酢酸銅、炭酸銅、塩基性水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オキシ塩化銅、珪酸銅、硫酸銅、硫酸銅、塩基性クロム酸銅亜鉛、クフラネブム、クプロバム、酸化第一銅、マンコッパー、オキシン銅、ジカルボキシイミド殺真菌剤:ファモキサドン、フルオロイミド、ジクロロフェニルジカルボキシイミド殺真菌剤:クロゾリネート、ジクロゾリン、イプロジオン、イソバレジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、ビンクロゾリン、フタルイミド殺真菌剤:カプタホール、カプタン、ジタリムホス、ホルペット、チオクロルフェンフィム、ジニトロフェノール殺真菌剤:ビナパクリル、ジノブトン、ジノキャップ、ジノキャップ−4、ジノキャップ−6、メプチルジノキャップ、ジノクトン、ジノペントン、ジノスルホン、ジノテルボン、DNOC、ジチオカルバメート殺真菌剤:アジチラム、カルバモルフ、クフラネブ、クプロバム、ジスルフィラム、フェルバム、メタム、ナバム、テコラム、チラム、ジラム、環状ジチオカルバメート殺真菌剤:ダゾメット、エテム、ミルネブ、高分子ジチオカルバメート殺真菌剤:マンコッパー、マンコゼブ、マネブ、メチラム、ポリカルバメート、プロピネブ、ジネブ、イミダゾール殺真菌剤:シアゾファミド、フェナミドン、フェナパニル、グリオジン、イプロジオン、イソバレジオン、ペフラゾエート、トリアゾキシド、無機殺真菌剤:アジ化カリウム、チオシアン酸カリウム、アジ化ナトリウム、硫黄、無機水銀殺真菌剤:塩化第二水銀、酸化第二水銀、塩化第一水銀、有機水銀殺真菌剤:臭化(3−エトキシプロピル)水銀、酢酸エチル水銀、臭化エチル水銀、塩化エチル水銀、エチル水銀2,3−ジヒドロキシプロピル、メルカプチド、燐酸エチル水銀、N−(エチル水銀)−p−トルエンスルホンアニリド、ヒドラルガフェン、塩化2−メトキシエチル水銀、安息香酸メチル水銀、メチル水銀ジシアンジアミド、メチル水銀ペンタクロロフェノキシド、8−フェニルマーキュリオキシキノリン、フェニルマーキュリ尿素、酢酸フェニル水銀、塩化フェニル水銀、ピロカテコールのフェニル水銀誘導体、硝酸フェニル水銀、サリチル酸フェニル水銀、チオメルサール、酢酸トリル水銀、モルホリン殺真菌剤:アルジモルフ、ベンザモルフ、カルバモルフ、ジメトモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フルモルフ、トリデモルフ、有機燐殺真菌剤:アムプロピルホス、ジタリムホス、エジフェンホス、ホセチル、ヘキシルチオホス、イプロベンホス、ホスジフェン、ピラゾホス、トルクロホス−メチル、トリアミホス、有機錫殺真菌剤:デカフェンチン、フェンチン、酸化トリブチル錫、オキサチイン殺真菌剤:カルボキシン、オキシカルボキシン、オキサゾール殺真菌剤:クロゾリネート、ジクロゾリン、ドラゾキソロン、ファモキサドン、ヒメキサゾール、メタゾキソロン、ミクロゾリン、オキサジキシル、ビンクロゾリン、ポリスルフィド殺真菌剤:バリウムポリスルフィド、カルシウムポリスルフィド、カリウムポリスルフィド、ナトリウムポリスルフィド、ピラゾール殺真菌剤:ビキサフェン、フラメトピル、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ラベンザゾール、セダキサン、ピリジン殺真菌剤:ボスカリド、ブチオベート、ジピリチオン、フルアジナム、フルオピコリド、フルオピラム、ピリベンカルブ、ピリジニトリル、ピリフェノックス、ピロキシクロル、ピロキシフル、ピリミジン殺真菌剤:ブピリメート、ジフルメトリム、ジメチリモール、エチリモール、フェナリモール、フェリムゾン、ヌアリモール、トリアリモール、アニリノピリミジン殺真菌剤:シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル、ピロール殺真菌剤:フェンピクロニル、フルジオキソニル、フルオロイミド、キノリン殺真菌剤:エトキシキン、ハラクリネート、硫酸8−ヒドロキシキノリン、キナセトール、キノキシフェン、テブフロキン、キノン殺真菌剤:ベンキノックス、クロラニル、ジクロン、ジチアノン、キノキサリン殺真菌剤:キノメチオナット、クロルキノックス、チオキノックス、チアゾール殺真菌剤:エタボキサム、エトリジアゾール、イソチアニル、メトスルホバックス、オクチリノン、チアベンダゾール、チフルザミド、チアゾリジン殺真菌剤:フルチアニル、チアジフルオル、チオカルバメート殺真菌剤:メタスルホカルブ、プロチオカルブ、チオフェン殺真菌剤:エタボキサム、シルチオファム、トリアジン殺真菌剤:アニラジン、トリアゾール殺真菌剤:アミスルブロム、ビテルタノール、フルオトリマゾール、トリアズブチル、トリアゾロピリミジン殺真菌剤:アメトクトラジン、尿素殺真菌剤:ベンタルロン、ペンシクロン、キナザミド、尿素、非分類殺真菌剤:アシベンゾラル、アシペタックス、アリルアルコール、塩化ベンザルコニウム、ベンザマクリル、ベントキサジン、カルボン、クロロピクリン、DBCP、デヒドロ酢酸、ジクロメジン、ピロ炭酸ジエチル、フェナミノスルフ、フェニトロパン、フェンプロピジン、ホルムアルデヒド、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードメタン、イソプロチオラン、臭化メチル、イソチオシアン酸メチル、メトラフェノン、ニトロスチレン、ニトロタール−イソプロピル、OCH、2−フェニルフェノール、フタリド、ピペラリン、プロキナジド、ピロキロン、ナトリウムオルトフェニルフェノキシド、スピロキサミン、スルトロペン、チシオフェン、トリシクラゾール、ナフテン酸亜鉛から選ばれた1種以上の殺菌剤であることを特徴とする請求項12に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項28】
約1.0重量%〜約50.0重量%のブロックコポリマーと、中間ブロック可溶化油とトリグリセリド油からなる油混合物約1重量%〜約99重量%を含み、前記トリグリセリドが、前記油混合物の重量に基づいて約5重量%〜約55重量%の割合で存在していることを特徴とするゲル状エラストマー組成物。
【請求項29】
約4重量%〜約25重量%の前記ブロックコポリマーと、約40重量%〜約60重量%の前記中間ブロック可溶化油を含み、前記トリグリセリドが、前記油混合物の重量に基づいて約7重量%〜約51重量%の割合で存在していることを特徴とする請求項28に記載のゲル状エラストマー組成物。
【請求項30】
生物学的症状または疾患を治療するための方法であって、当該方法が、前記症状または疾患の治療のための医薬的に活性な物質を有効量含む請求項1に記載のゲル状エラストマー組成物を含む医薬組成物を、当該治療を必要とする個体に投与することを含むことを特徴とする、生物学的症状または疾患の治療方法。
【請求項31】
前記医薬組成物が局所的に投与されることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記の生物学的症状または疾患がケロイド瘢痕であり、前記活性物質がケロイド瘢痕の治療に有効であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記の生物学的症状または疾患が瘢痕であり、前記活性物質が瘢痕の治療に有効であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記の生物学的症状または疾患が真菌感染症であり、前記活性物質が抗菌剤であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記の生物学的症状または疾患が細菌感染症であり、前記活性物質が抗生物質であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記の生物学的症状または疾患が湿疹であり、前記活性物質が湿疹の治療に有効であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記の生物学的症状または疾患が乾癬であり、前記活性物質が乾癬の治療に有効であることを特徴とする請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−502108(P2012−502108A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526978(P2011−526978)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/056571
【国際公開番号】WO2010/030824
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(398064992)シリポス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】