説明

ゲル状酸化染毛剤組成物

【課題】染毛力及び地肌汚れ防止効果に優れたゲル状酸化染毛剤組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)〜(D)成分を含有するとともに使用時の剤型がゲル状であることを特徴とするゲル状酸化染毛剤組成物。(A)酸化染料として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種、(B)アニオン性界面活性剤、(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤であって、該ノニオン性界面活性剤の使用時における含有量が0.5〜10質量%、(D)酸化剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば使用時の剤型がゲル状である酸化染毛剤組成物に関し、さらに詳しくは、地肌汚れを防止するとともに染色性を向上させることができるゲル状酸化染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、毛髪化粧料組成物として、例えば酸化染料、アルカリ剤及び酸化剤を含有する酸化染毛剤組成物が知られている。酸化剤は、毛髪中のメラニンを脱色するとともに酸化染料を発色させる。アルカリ剤は、酸化剤の作用を促進することにより毛髪の明度を向上させる。また、毛髪を膨潤させて毛髪への酸化染料の浸透性を向上させることにより、染色性を向上させる。酸化染毛剤組成物は、染毛力に優れるため、非常に便利であり、広く利用されている。
【0003】
酸化染毛剤組成物は要望に応じた種々の染料を使用することにより種々の色調に毛髪を染色することができる。優れた染毛力を付与することができる染料として、たとえば、特許文献1,2に開示される染料が知られている。特許文献1は、染料として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール(1−HE)について開示する。特許文献2は、染料としてN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(4APE)について開示する。1−HEが適用されることにより、鮮やかな赤色に染毛することができる。4APEが適用されることにより、例えば青、青紫、及びグレーの色に染毛することができる。
【0004】
しかしながら、上記染料は、染毛処理した後、地肌汚れが生ずる場合があるという問題があった。特許文献2は、酸化剤を配合せず、染料、及び液化石油ガス又はジメチルエーテルを含有するエアゾール型染毛剤として構成することにより、地肌汚れを防止するとともに安定性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−524288号公報
【特許文献2】特開2005−162614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2に開示される酸化染毛剤組成物は、酸化剤を含有しないため染毛力が不十分であるという問題があった。本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、染料として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール(1−HE)又はN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(4APE)を含有する酸化染毛剤組成物において、所定の界面活性剤を使用するとともに、使用時の剤型をゲル状とすることにより上記問題が解決されることを見出したことによりなされたものである。本発明の目的とするところは、染毛力及び地肌汚れ防止効果に優れたゲル状酸化染毛剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のゲル状酸化染毛剤組成物は、下記(A)〜(D)成分を含有するとともに使用時の剤型がゲル状であることを特徴とする。(A)酸化染料として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種、(B)アニオン性界面活性剤、(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤であって、該ノニオン性界面活性剤の使用時における含有量が0.5〜10質量%、(D)酸化剤。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のゲル状酸化染毛剤組成物において、さらに(E)炭素数10〜24であり、25℃で液状の高級アルコールを含有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のゲル状酸化染毛剤組成物において、さらに(F)溶剤が含有され、該(F)溶剤の使用時における含有量は、0.05〜10質量%であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のゲル状酸化染毛剤組成物において、使用時における前記(B)アニオン性界面活性剤の含有量に対する全ノニオン性界面活性剤の含有量の質量比は、0.4〜15であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、染毛力及び地肌汚れ防止効果に優れたゲル状酸化染毛剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るゲル状酸化染毛剤組成物(以下、単に酸化染毛剤組成物という)を具体化した実施形態について説明する。本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は、第1剤と第2剤とから構成される2剤式の酸化染毛剤組成物である。2剤式の酸化染毛剤組成物は、例えばアルカリ剤等を含有する第1剤と、(D)酸化剤等を含有する第2剤から構成される。この第1剤と第2剤とが混合された混合物が調製された後、毛髪の染毛に使用される。
【0013】
<第1剤>
第1剤は、アルカリ剤に加え、さらに、例えば(A)酸化染料、(B)アニオン性界面活性剤、及び(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤を含有する。好ましくは、さらに(E)炭素数10〜24であり、25℃で液状の高級アルコール、及び(F)溶剤を含有する。
【0014】
(A)酸化染料は、第2剤に含有される酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類される。酸化染料は少なくとも染料中間体を含んでいる。
【0015】
第1剤は、染料中間体として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール(1−HE)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン(4APE)、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種を含有する。1−HEが適用されることにより、鮮やかな赤色に染毛することができる。4APEが適用されることにより、例えば青、青紫、及びグレーの色に染毛することができる。第1剤は、染毛力を向上させるために、好ましくはカプラーを含有する。カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、α−ナフトール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、5−ヒドロキシメチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N−ジエチル−m−アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、及びそれらの塩が挙げられる。
【0016】
染料中間体として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールが用いられる場合、染毛力の向上及び地肌汚れ防止の観点から2,6−ジアミノピリジン、5−アミノ−o−クレゾール、5−ヒドロキシメチルフェノール、m−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、及びα−ナフトールから選ばれる少なくとも一種のカプラーが用いられることが好ましい。また、染料中間体として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾールが用いられる場合、染毛力及び地肌汚れ防止効果の更なる向上の観点から1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール以外の染料中間体、並びに2,6−ジアミノピリジン、5−アミノ−o−クレゾール、5−ヒドロキシメチルフェノール、m−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、及びα−ナフトール以外のカプラーを含有しない方がより好ましい。上記以外の染料中間体及びカプラーを併用すると、染毛後の毛髪の色が浅くなったり、くすんだ色になるおそれがある。
【0017】
酸化染毛剤組成物(第1剤と第2剤とが混合された混合物、以下同じ)中における染料中間体としての1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜2.5質量%である。0.01質量%未満では、染毛力が低下する場合がある。一方、10質量%を超えても、それ以上の染毛力の向上効果は得られない。また、地肌汚れが生ずる場合がある。
【0018】
(B)アニオン性界面活性剤は、(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤との併用により、地肌汚れ防止効果を向上させるために配合される。
【0019】
アニオン性界面活性剤としては、例えば硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型、スルホン酸塩型、及びカルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤が挙げられる。硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤としては、例えば、1)ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、及びステアリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、2)ポリオキシエチレン(以下POEと略す)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、及びPOEアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキル及びアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、3)硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル塩の硫酸エステル塩、4)高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、並びに5)硫酸化ヒマシ油が挙げられる。
【0020】
リン酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤としては、例えばラウリルリン酸、POEラウリルエーテルリン酸、POEオレイルエーテルリン酸、POEセチルエーテルリン酸、POEステアリルエーテルリン酸、POEアルキルエーテルリン酸、POEアルキルフェニルエーテルリン酸、及びそれらの塩を例示することができる。スルホン酸塩型のアニオン性界面活性剤としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びスルホコハク酸塩が挙げられる。カルボン酸塩型のアニオン性界面活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸、N−アシルサルコシン塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、エーテルカルボン酸塩、及びN−アシルペプチド塩が挙げられる。脂肪酸石鹸としては、脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸のアルカリ塩が挙げられる。アルカリ塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びモノエタノールアミン塩が挙げられる。
【0021】
酸化染毛剤組成物中における(B)アニオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜10質量%であり、さらに好ましくは0.25〜5質量%である。(B)アニオン性界面活性剤の含有量が0.01質量%未満であると、地肌汚れ防止効果を十分に向上することができない場合がある。(B)アニオン性界面活性剤の含有量が20質量%を超えて配合しても、それ以上の地肌汚れ防止の向上効果は得られず、使用後の毛髪にかさつき感を生じさせるおそれがある。
【0022】
(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤は、(B)アニオン性界面活性剤との併用により、地肌汚れ防止効果を向上させるために配合される。また、酸化染毛剤組成物の使用時における剤型をゲル状に保つために配合される。尚、アルキル基とは、ノニオン性界面活性剤からポリオキシアルキレン鎖を除いた構造を示す。主鎖とはアルキル基分子中において、直鎖ならばその鎖を示し、分岐ならばその中で最長の長さの鎖を示す。主鎖の炭素数は、酸化染毛剤組成物の使用時における剤型をゲル状態により良好に保ち、地肌汚れ防止効果をより向上する観点から、8〜17が好ましく、10〜17がより好ましい、12〜17がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいが、酸化染毛剤組成物の使用時における剤型をゲル状態により良好に保ち、地肌汚れ防止効果をより向上する観点から分岐鎖状であることが好ましい。
【0023】
(C)成分の具体例としては、例えばPOEトリデシルエーテル、POEアルキル(12〜14)エーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEラウリルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルが挙げられる。より具体的には、例えばPOE(5)トリデシルエーテル、POE(3)アルキル(12〜14)エーテル(パレス)、POE(9)ラウリルエーテル、及びPOE(3)イソステアリルエーテルが挙げられる。ノニオン性界面活性剤として、本発明の効果を阻害しない範囲内において、25℃で固体状のノニオン性界面活性剤と併用してもよい。酸化染毛剤組成物の使用時における剤型をゲル状態により良好に保ち、地肌汚れ防止効果をより向上する観点から(C)成分は25℃で固体状のノニオン性界面活性剤よりも多く配合することが好ましい。
【0024】
また、25℃で固体の高級アルコールが用いられる場合、酸化染毛剤組成物の剤型をゲル状にするために、酸化染毛剤組成物中における25℃で固体の高級アルコールの含有量の上限は、2.25質量%以下とすることが好ましい。
【0025】
酸化染毛剤組成物中における(C)成分の含有量は、0.5〜10質量%、好ましくは1.0〜7.5質量%、さらに好ましくは2.5〜5.0質量%である。(C)成分の含有量が0.5質量%未満であると、地肌汚れ防止効果を十分に向上することができない場合がある。(C)成分の含有量が10質量%を超えて配合すると地肌汚れ防止効果が低下するおそれがある。
【0026】
酸化染毛剤組成物中における前記(B)アニオン性界面活性剤の含有量に対する全ノニオン性界面活性剤の含有量の質量比(全ノニオン性界面活性剤/(B)アニオン性界面活性剤)は、好ましくは0.4〜15、より好ましくは1.0〜12、さらに好ましくは2.1〜2.5である。かかる範囲に規定することにより、地肌汚れ防止効果をより向上させることができる。
【0027】
(E)炭素数10〜24であり、25℃で液状の高級アルコールは、地肌汚れ防止効果をより向上させるために配合される。(E)成分としては、炭素数10〜14の直鎖状の高級アルコール、及び炭素数10〜24の分岐鎖状の高級アルコールが挙げられる。直鎖高級アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、及びミリスチルアルコールが挙げられる。分岐鎖高級アルコールとしては、例えばイソステアリルアルコール、オクチルドデシルアルコール(2−オクチルドデカノール)、2−ヘキシルデカノール、及び2−デシルテトラデカノールが挙げられる。
【0028】
酸化染毛剤組成物中における(E)成分の含有量は、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.05〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。(E)成分の含有量が0.01質量%未満であると、地肌汚れ防止効果を十分に向上することができない場合がある。(E)成分の含有量が15質量%を超えて配合すると地肌汚れ防止効果が低下するおそれがある。
【0029】
(F)溶剤は、染毛力及び地肌汚れ防止効果をより向上させるために配合される。(F)溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えば炭素数1〜3の一価アルコール、グリコール、グリセリン、及びジエチレングリコール低級アルキルエーテルが挙げられる。炭素数1〜3の一価アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びポリエチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。ジエチレングリコール低級アルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)が挙げられる。
【0030】
酸化染毛剤組成物中における(F)溶剤の含有量は、0.05〜10質量%、好ましくは0.05〜7.5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。(F)溶剤の含有量が0.05質量%未満であると、地肌汚れ防止効果を十分に向上することができない場合がある。(F)溶剤の含有量が10質量%を超えて配合すると、地肌汚れ防止効果が低下するおそれがある。
【0031】
アルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の染色性を向上させる。したがって、酸化染毛剤組成物は、好ましくはアルカリ剤を含有する。アルカリ剤は、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、及びリン酸塩が挙げられる。アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。ケイ酸塩としては、例えばケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムが挙げられる。炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、及び炭酸アンモニウムが挙げられる。炭酸水素塩としては、例えば炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素アンモニウムが挙げられる。メタケイ酸塩としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムが挙げられる。硫酸塩としては、例えば硫酸アンモニウムが挙げられる。塩化物としては、例えば塩化アンモニウムが挙げられる。リン酸塩としては、例えばリン酸第1アンモニウム、及びリン酸第2アンモニウムが挙げられる。
【0032】
第1剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば水、水溶性高分子化合物、上記以外の油性成分、上記以外の界面活性剤、糖、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、及び酸化助剤を含有してもよい。
【0033】
水は、第1剤の剤型が液状の場合、各成分の可溶化剤として配合される。水溶性高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、及び両性の天然又は合成高分子化合物が挙げられる。アニオン性高分子化合物として、例えばカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0034】
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、第1剤は、好ましくは油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂、ロウ、上記以外の高級アルコール、炭化水素、アルキルグリセリルエーテル、エステル、及びシリコーンが挙げられる。
【0035】
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
【0036】
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
【0037】
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
【0038】
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらのシリコーンのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0039】
酸化染毛剤組成物中における全油性成分(上記(E)成分を含む)の含有量は、好ましくは0.01〜15質量%、より好ましくは0.05〜10質量%であり、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。全油性成分の含有量が0.01質量%未満であると、地肌汚れ防止効果を十分に向上することができない場合がある。全油性成分の含有量が15質量%を超えて配合すると地肌汚れ防止効果が低下する場合がある。
【0040】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分の可溶化剤として酸化染毛剤組成物を使用時に乳化又は可溶化し、粘度を調整したり粘度安定性を向上させたりする。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0041】
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、及びメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0042】
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)が挙げられる。
【0043】
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型ノニオン性界面活性剤、及びエステル型ノニオン性界面活性剤が挙げられる。エーテル型ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、及びPOEオレイルエーテル(オレス)が挙げられる。
【0044】
エステル型ノニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0045】
糖としては、例えばソルビトール及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び塩基性アミノ酸が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸及び亜硫酸塩が挙げられる。キレート化剤としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸(HEDTA)及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類が挙げられる。酸化助剤としては、例えば過硫酸塩が挙げられる。過硫酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0046】
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状、液状、ゲル状、及びクリーム状が挙げられる。固体状としては、例えば粉末状及び粒子状が挙げられる。液状としては、例えば水溶液、分散液、及び乳化液が挙げられる。本実施形態において、第1剤及び第2剤を混合した混合物はゲル状に調製されるため、第1剤は当初よりゲル状に調製されることが好ましい。第1剤をゲル状に調製するためには、例えば、可溶化剤である水に(B)成分及び所定量の(C)成分を配合することにより調製することができる。
【0047】
<第2剤>
第2剤は、(D)酸化剤を含有する。酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色するとともに、染料としての酸化染料を酸化して発色させる。酸化剤としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。第2剤中における酸化剤の含有量は、好ましくは0.1〜15.0質量%であり、より好ましくは2.0〜9.0質量%であり、最も好ましくは3.0〜6.0質量%である。酸化剤の含有量が0.1質量%未満では、メラニンを十分に脱色することができない場合がある。酸化剤の含有量が15.0質量%を超えると、毛髪に損傷等が発生するおそれがある。
【0048】
(D)酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばエチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、及びヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウムが挙げられる。第2剤は、酸化染毛剤組成物に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1剤に含有される、アルカリ剤以外の成分を本発明の効果を阻害ない範囲内において適宜含有してもよい。
【0049】
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として、例えば固体状(酸化剤が常温で液体の場合は除く)、液状、ゲル状、及びクリーム状が挙げられる。固体状としては、例えば粉末状及び粒子状が挙げられる。液状としては、例えば乳化液が挙げられる。第1剤と第2剤が固体状の場合、使用時にさらに溶媒、例えば水を加えることにより混合物が調製される。
【0050】
酸化染毛剤組成物は、使用時に第1剤及び第2剤を混合することにより混合物が調製される。混合物の剤型はゲル状に調製される。次いで、必要量の混合物が薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布される。
【0051】
本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は以下の利点を有する。
(1)本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は、例えばアルカリ剤の他、(A)〜(C)成分を含有する第1剤と、例えば(D)酸化剤を含有する第2剤から構成されるとともに、混合物をゲル状に構成した。それにより(A)酸化染料として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が用いられる酸化染毛剤組成物において、染毛力及び地肌汚れ防止効果を向上させることができる。
【0052】
(2)本実施形態に係る酸化染毛剤組成物は、第1剤と第2剤が混合された混合物をゲル状に構成される。したがって、エアゾール型と異なり環境負荷の少ない容器、例えばチューブ容器、ポンプ式容器、及びスクイズ式容器を採用することができる。
【0053】
(3)好ましくは、(E)炭素数10〜24であり、25℃で液状の高級アルコールを含有する。したがって、地肌汚れ防止効果をより向上させることができる。
(4)好ましくは、(F)溶剤が含有され、該(F)溶剤の使用時における含有量は、0.05〜10質量%である。したがって、地肌汚れ防止効果をより向上させることができる。
【0054】
(5)好ましくは、使用時における(B)アニオン性界面活性剤の含有量に対する全ノニオン性界面活性剤の含有量の質量比(全ノニオン性界面活性剤/(B)アニオン性界面活性剤)は、0.4〜15である。したがって、地肌汚れ防止効果をより向上させることができる。
【0055】
前記実施形態は以下のように変更されてもよい。
・第1剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で上記以外の染料中間体を配合してもよい。上記以外の染料中間体として、例えばp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール、及びそれらの塩が挙げられる。第1剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料、及び直接染料から選ばれる少なくとも一種を適宜含有してもよい。
【0056】
・本実施形態の酸化染毛剤組成物は、保存時の剤型を粉末剤型とした1剤式酸化染毛剤組成物、又は配合成分を分割することにより3剤式以上の酸化染毛剤組成物として構成してもよい。
【実施例】
【0057】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
表1,2に示す各成分を含有する酸化染毛剤組成物の第1剤及び第2剤を調製した。表1,2における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。そして、第1剤と第2剤とを1:1の質量比で混合して、酸化染毛剤組成物を調製した。得られた酸化染毛剤組成物を、黒毛の人毛毛束(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、室温(25℃)にて30分間放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤組成物を水で洗い流した後、毛束にシャンプーを2回、及びリンスを1回施した。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置することにより各例の染毛処理毛束を得た。染毛処理が施された毛束について、下記に示す方法に従い染毛力、及び地肌汚れ防止効果の評価を行った。結果を表1,2に示す。
【0058】
表中「成分」欄における(A)〜(F)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す。一方、表中成分欄における(b)〜(e)の表記は、各比較例における本願請求項記載の成分の対比化合物を示す。
【0059】
<染毛力>
各実施例及び比較例の染毛処理毛束について、パネラー20名が標準光源下で目視にて発色度合いを評価することにより、発色が良いか否かを判断した。パネラー20人中「良い」と答えた人が17人以上を評価5、パネラー20人中「良い」と答えた人が13〜16人を評価4、パネラー20人中「良い」と答えた人が9〜12人を評価3、パネラー20人中「良い」と答えた人が5〜8人を評価2、パネラー20人中「良い」と答えた人が2〜4人を評価1、パネラー20人中「良い」と答えた人が0〜1人を評価0とした。
【0060】
<地肌汚れ防止効果>
各実施例及び比較例の染毛料を用い、頭皮に薬液が付着するようモデルの頭髪に染毛処理を行ない、処理後の頭皮について、パネラー20名が標準光源下で目視にて皮膚の汚れ具合を評価することにより、地肌汚れ防止効果が良いか否かを判断した。パネラー20人中「良い」と答えた人が17人以上を評価5、パネラー20人中「良い」と答えた人が13〜16人を評価4、パネラー20人中「良い」と答えた人が9〜12人を評価3、パネラー20人中「良い」と答えた人が5〜8人を評価2、パネラー20人中「良い」と答えた人が2〜4人を評価1、パネラー20人中「良い」と答えた人が0〜1人を評価0とした。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

表1,2に示されるように、本願発明の(A)〜(D)成分を配合することにより構成した各実施例は、「染毛力」及び「地肌汚れ防止効果」の各項目において良好な結果が得られた。実施例1に係る、第1剤中に(E)成分を含有する酸化染毛剤組成物は、実施例15に係る(E)成分を含有しない酸化染毛剤組成物に比べて高い地肌汚れ防止効果を発揮することが分かった。実施例1に係る、第1剤中に(F)成分を含有する酸化染毛剤組成物は、実施例16に係る(F)成分を含有しない酸化染毛剤組成物に比べて高い地肌汚れ防止効果を発揮することが分かった。
【0063】
表1に示されるように、比較例1に係る、第1剤中に(B)アニオン性界面活性剤の代わりにカチオン性界面活性剤を含有する酸化染毛剤組成物は、各実施例と比較して「地肌汚れ防止効果」の項目において評価が低いことが分かった。
【0064】
比較例2に係る、第1剤中に(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤の代わりに25℃で固体のPOE(7)セチルエーテルを含有する酸化染毛剤組成物は、混合物の剤型がゲル状とはならなかった。また、比較例2にかかる酸化染毛剤組成物は、「地肌汚れ防止効果」の項目において、各実施例と比較して評価が低い結果となった。また、比較例3,4に係る、混合物中における(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤の含有量が0.5〜10質量%の範囲を外れる酸化染毛剤組成物は、「地肌汚れ防止効果」の項目において、各実施例と比較して評価が低い結果となった。
【0065】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(イ)前記(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤は、前記アルキル基が分岐鎖状である前記ゲル状酸化染毛剤組成物。したがって、酸化染毛剤組成物の使用時における剤型をゲル状態により良好に保つことができるとともに、地肌汚れ防止効果をより向上させることができる。
【0066】
(ロ)前記ゲル状酸化染毛剤組成物中において、25℃で固体状のノニオン性界面活性剤を含有しない、又は前記(C)成分よりも少なく配合されている前記ゲル状酸化染毛剤組成物。したがって、酸化染毛剤組成物の使用時における剤型をゲル状態により良好に保つことができるとともに、地肌汚れ防止効果をより向上させることができる。
【0067】
(ハ)前記溶剤は、グリセリン、プロピレングリコール、及びジグリセリンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記ゲル状酸化染毛剤組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)成分を含有するとともに使用時の剤型がゲル状であることを特徴とするゲル状酸化染毛剤組成物。
(A)酸化染料として1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種、
(B)アニオン性界面活性剤、
(C)主鎖が炭素数17以下のアルキル基を持つとともに25℃で液体のポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤であって、該ノニオン性界面活性剤の使用時における含有量が0.5〜10質量%。
(D)酸化剤
【請求項2】
さらに(E)炭素数10〜24であり、25℃で液状の高級アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のゲル状酸化染毛剤組成物。
【請求項3】
さらに(F)溶剤が含有され、該(F)溶剤の使用時における含有量は、0.05〜10質量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゲル状酸化染毛剤組成物。
【請求項4】
使用時における前記(B)アニオン性界面活性剤の含有量に対する全ノニオン性界面活性剤の含有量の質量比は、0.4〜15であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のゲル状酸化染毛剤組成物。

【公開番号】特開2011−213628(P2011−213628A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81755(P2010−81755)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】