説明

ゲル粒子及びその製造方法

【課題】温和な条件でゲル粒子が製造され、生理活性物質の変質も防止されるドラッグデリバリシステム用ゲル粒子の製造方法と、この方法によって製造されたゲル粒子を提供する。
【解決手段】エオシン化ゼラチン等の可視光架橋物質と、還元糖などのハイドロゲンドナーと、生理活性物質とを親油性液体に添加して分散させ、次いで可視光を照射して分散粒子を光架橋させてゲル化させ、このゲル化粒子よりなるゲル粒子を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラッグデリバリシステム(DDS)等に用いられるゲル粒子の製造方法と、この方法により製造されたゲル粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
生理活性物質を失活させず、また細胞に傷害を与えることなくゲル内に包埋、封入したゲル粒子は、ドラッグデリバリシステムに用いることができる。
【0003】
このようなゲル粒子の製造方法として、下記非特許文献1〜3のものがある。
【0004】
非特許文献1及び2では、ベンゾフェノンで修飾した、ゼラチンやPEGへ紫外線を照射して架橋し、不溶化されることでゲル粒子を得る。ベンゾフェノンは、紫外光照射すると、プロトン引き抜き反応により分子内にラジカルを発生する。この反応を利用して、ラジカル重合の開始剤として使用される。
【0005】
非特許文献3では、ゼラチン水溶液をオリーブオイル中へ分散させ、化学架橋剤で不溶化してゲル粒子を得る。
【非特許文献1】S.Nishi et al, b-FGF Impregnated Hydrogel Micropheres, ASAIO J, 405-410, 1998
【非特許文献2】中山泰秀,光硬化型親水性高分子,人工臓器28,250-255,1999
【非特許文献3】H.Nakase, New Cytokine Delivery System Using Gelatin, J Pharmac and Experim, 59-65, 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1及び2に記載のベンゾフェノン修飾ゲルの架橋には、エネルギーの高い紫外線や放射線を使用して架橋するので、ゲルを形成するゼラチン骨格の分解が起こる。同様に、ゼラチン水溶液中に生理活性物質を含有させた場合には生理活性物質も分解する。ゼラチン骨格の分解からは活性の高い官能基が生成されるので、この官能基と生理活性物質との反応による生理活性物質の失活も問題となる。
【0007】
非特許文献3では、架橋に使用した化学架橋剤が最終的にゲル中に残留してしまう。化学架橋剤は生体組織、血液、タンパクなどと反応性が高く、すなわち毒性を発現する。また、残留する化学架橋剤と生理活性物質の反応による生理活性物質の失活も問題となる。
【0008】
本発明は、温和な条件でゲル粒子が製造され、生理活性物質の変質も防止されるゲル粒子の製造方法と、この方法によって製造された、毒性を発現することがないゲル粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1)のゲル粒子の製造方法は、下記(A)の化合物と、生理活性物質とを親油性液体に添加して分散させ、次いで可視光を照射して分散粒子を光架橋させてゲル化させ、ゲル粒子を得ることを特徴とするものである。
(A)キサンテン系色素で修飾した、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ケラタン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、エラスチン、ヘパラン硫酸、ラミニン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、オステオネクチン、エンタクチン、ガゼイン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリシドール、ポリグリシドールの側鎖エステル化体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、環状エステルの重合体、ポリビニルアルコールヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体、ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体、アルギン酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種。
【0010】
請求項2のゲル粒子の製造方法は、請求項1において、さらにハイドロゲンドナーを前記親油性液体に添加することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3のゲル粒子の製造方法は、請求項2において、ハイドロゲンドナーがチオール、アルコール、還元糖、ポリフェノール又は1分子内に少なくとも1個のN−アルキル及び/又はN,N−ジアルキルアミノ基を有する化合物であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4のゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、生理活性物質が、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルマコリン、バピプロスト、プロスタモリン、プロスタキリン同族体、デキストラン、ローフェプローアルグクロロメチルケトン、デイピリダモール、グリコプロテインの血小板膜レセプタ抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン抑制剤、脈管ペプチン、脈管テンシン転換酵素抑制剤、ステロイド、繊維芽細胞成長因子アンタゴニスト、フィッシュオイル、オメガ3ー脂肪酸、ヒスタミン、アンタゴニスト、HMG−CoAリダクテース抑制剤、セラミン、セロトニン阻止抗体、チオプロテイース抑制剤、トリマゾールピリデイミン、インターフェロン、ラパマイシン、FK506、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、形質転換増殖因子α、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、アンジオポイエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、形質転換増殖因子β、潜在型形質転換増殖因子β、アクチビン、骨形質タンパク、繊維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子β、二倍体繊維芽細胞増殖因子、ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子、シュワノーマ由来増殖因子、アンフィレグリン、ベーターセルリン、エピグレリン、リンホトキシン、エリスロエポイエチン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−17、インターフェロン、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、抗がん剤、拮抗剤、免疫抑制剤、レセプター遮断剤、抗パーキンソン病薬、ビタミン薬、フラボノイド、抗不整脈剤、インスリン、カルシトニン、放射性物質、還元グルタチオン、ニトログリセリン、プロスタグランジン、ポリフェノール、エリスロポイエチン、RNA、DNA、及び、RNA及び/又はDNAを導入したベクターよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5のゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、キサンテン系色素がエオシンであることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6のゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、親油性液体が炭化水素、ハロゲン化炭化水素、又は天然油であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7のゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、(A)がゼラチンであることを特徴とするものである。
【0016】
請求項8のゲル粒子の製造方法は、請求項7において、ゼラチンが1分子中に1個〜10個のキサンテン系色素分子を導入したものであることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9のゲル粒子の製造方法は、請求項7において、ゼラチンが1分子中に2個〜6個のキサンテン系色素分子を導入したものであることを特徴とするものである。
【0018】
請求項10のゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし9のいずれか1項において、製造されたゲル粒子の直径が10nm〜100μmであることを特徴とするものである。
【0019】
請求項11のゲル粒子は、請求項1ないし10のいずれかの製造方法により製造されたものである。
【0020】
請求項12のゲル粒子は、請求項11において、ドラッグデリバリシステム用ゲル粒子であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明のゲル粒子の製造方法にあっては、上記(A)の物質を含有した液が、親油性液体中に分散された後、可視光照射により架橋し、ゲル化する。このように可視光によって架橋させるので、熱などエネルギー負荷に弱い生理活性物質であっても失活させることなく包埋したゲル粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0023】
本発明では、可視光の照射によりラジカルを発生してゲル化する物質として、前記(A)の物質を用いる。ここでいう環状エステルの重合体としては、炭素数2から14の環状エステル化合物を開環重合することによって合成することができる。かかる環状エステル化合物の例としては、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、カプリロラクトン、ラウロラクトン、バルミトラクトン、ステアロラクトン、グリコシド、ラクチド、クマリン、クロトラクトン、α−アンゲリカラクトンやβ−アンゲリカラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン及びトリメチレンカーボネートなどを挙げることができる。
【0024】
この(A)の化合物におけるキサンテン系色素としてはエオシンが好適であり、上記(A)の物質としてはエオシン化ゼラチンが好適である。このエオシン化ゼラチンについては後に記述する。
【0025】
ゼラチンをキサンテン系色素で修飾する場合、ゼラチン1分子に対するキサンテン系色素分子の導入数は10個以下が好ましく、特に2〜6個であることが好ましい。この導入数が10よりも多いと、ゼラチンが水へ難溶となり、最終的にはゲル粒子が硬くなる。
【0026】
本発明では、ラジカルのカウンターであるプロトン供与体として、ハイドロゲンドナーを用いるのが好ましい。このハイドロゲンドナーとしては、チオール、アルコール、還元糖、ポリフェノール、1分子内に少なくとも1個のN−アルキル及び/又はN,N−ジアルキルアミノ基を有する化合物などが好適であり、特に1分子内に少なくとも1個のN−アルキル及び/又はN,N−ジアルキルアミノ基を有する化合物が好適である。
【0027】
生理活性物質としては、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルマコリン、バピプロスト、プロスタモリン、プロスタキリン同族体、デキストラン、ローフェプローアルグクロロメチルケトン、デイピリダモール、グリコプロテインの血小板膜レセプタ抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン抑制剤、脈管ペプチン、脈管テンシン転換酵素抑制剤、ステロイド、繊維芽細胞成長因子アンタゴニスト、フィッシュオイル、オメガ3ー脂肪酸、ヒスタミン、アンタゴニスト、HMG−CoAリダクテース抑制剤、セラミン、セロトニン阻止抗体、チオプロテイース抑制剤、トリマゾールピリデイミン、インターフェロン、ラパマイシン、FK506、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、形質転換増殖因子α、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、アンジオポイエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、形質転換増殖因子β、潜在型形質転換増殖因子β、アクチビン、骨形質タンパク、繊維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子β、二倍体繊維芽細胞増殖因子、ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子、シュワノーマ由来増殖因子、アンフィレグリン、ベーターセルリン、エピグレリン、リンホトキシン、エリスロエポイエチン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−17、インターフェロン、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、拮抗剤、免疫抑制剤、レセプター遮断剤、抗パーキンソン病薬、ビタミン薬、フラボノイド、抗不整脈剤、インスリン、カルシトニン、放射性物質、還元グルタチオン、ニトログリセリン、プロスタグランジン、ポリフェノール、エリスロポイエチン、RNA、DNA、及び、RNA及び/又はDNAを導入したベクターよりなる群から選択される少なくとも1種が好適である。
【0028】
親油性液体中に前記(A)、ハイドロゲンドナー、生理活性物質を添加する場合、生理活性物質を水溶液とすることが好ましく、特にこの水溶液中にハイドロゲンドナーを溶解させておくことが好ましい。
【0029】
また、(A)物質も水溶液としておくが、この(A)の物質は上記生理活性物質水溶液中に溶解しておいてもよく、これとは別の水溶液としておき、生理活性物質水溶液(生理活性物質とハイドロゲンドナーとの水溶液であってもよい)とは個別に親油性液体中に添加してもよい。(A)の物質の水溶液中の濃度は0.1〜50重量%程度が好ましい。
【0030】
親油性液体中に添加する場合の上記(A)、ハイドロゲンドナー、生理活性物質の割合は、(A)に対してハイドロゲンドナーを0.01〜150重量部、(A)に対して生理活性物質を0.01〜150重量部であることが好ましい。
【0031】
親油性液体中に水溶液を添加する方法としては、脱泡攪拌機を使用したり、キャピラリー等を使用して滴下するのが好ましい。滴下等によって添加するとき、又は添加した後に、親油性液体を攪拌し、水溶液をよく分散させることが好ましい。この場合、得られるゲル粒子の直径が10nm〜100μmとなるように分散させるのが好ましい。
【0032】
親油性液体としては、ヘキサン、シクロヘキサン、流動パラフィンなどの炭化水素;クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;ヒマシ油、オリーブ油などの天然油;のいずれでもよい。
【0033】
この親油性液体にポリオキシエチレンセシルエーテル、オキシエチレンオキシプロピレンコポリマー、ドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加してもよく、これにより粒子をより細かく分散させることができる。界面活性剤の親油性液体への添加量は0.1〜50重量%程度が好適である。
【0034】
親油性液体に、ポリエチレングリコール等の増粘剤を添加してもよく、これにより分散粒子径を均一にしたり、分散粒子径を小さくしたりすることができる。増粘剤の親油性液体への添加量は0.1〜20重量%程度が好適である。
【0035】
次に、本発明において用いるのに好適なエオシン化ゼラチンについて説明する。
【0036】
ここでゼラチンは、分子量5千〜10万、アミノ基約10〜100個/1分子程度の通常のゼラチンで良い。
【0037】
エオシン化ゼラチンは、下記反応に従ってゼラチンの側鎖にエオシンを導入することにより調製される。
【0038】
【化1】

【0039】
ゼラチン分子へのエオシンの導入数は、例えば、エオシン化ゼラチンの水溶液の吸光度をエオシンの最大吸収波長522nmにおいて測定し、エオシンのモル吸光係数(ε=94755)を基に算出可能であり、ゼラチン1分子に対して1〜10個、特に2〜5個程度が好ましい。このエオシン等の感光基を有する化合物の導入数が少ないとゲル化率が低下し、また必要以上に多くてもゼラチン固有の柔軟性が損なわれる可能性があると共に、水へ難溶性となってしまう。
【0040】
このエオシン化ゼラチンは、粘稠性の液体状である。これを例えば濃度1〜10重量%の水溶液とした場合には、300〜30,000lx程度の可視光、特に生体に対する用途にあっては、300〜15,000lx程度の比較的低照度で、生体に対して影響の低い可視光を0.1〜30分程度照射してゲル状に硬化させることができる。
【実施例】
【0041】
以下に、合成例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0042】
合成例1:エオシン化ゼラチンの合成
ゼラチン(分子量95,000、アミノ基量約37個/分子)に、水溶性カルボジイミドであるN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)の存在下、下記反応でゼラチンの側鎖のアミノ基にエオシンを結合させることにより、ゼラチン1分子当たりエオシン約5個を導入してエオシン化ゼラチンを合成した。精製は透析で行い、ゼラチン鎖へのエオシンの導入率は522nmの吸光度から算出した。
【0043】
【化2】

【0044】
実施例1
[ドラッグデリバリシステム用ゲル粒子の製造]
合成例1で合成したエオシン化ゼラチン及びベンゼン溶媒のAIBNを開始剤としたラジカル重合で合成したポリ(N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)をそれぞれ終濃度10重量%及び3重量%となるよう水へ溶解した。
【0045】
生理活性物質として、ヘパリン及び繊維芽細胞増殖因子(FGF−2)を水へ溶解した。
【0046】
上記エオシン化ゼラチン及びN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド溶液と生理活性物質溶液を混合し、ゲル粒子用原料溶液とした。
【0047】
ポリオキシエチレン(20)セシルエーテル(Aldrich社、Brji58)をシクロヘキサン(関東化学、特級)へ溶解して0.5Mの親油性溶液を得た。
【0048】
この親油性溶液150mLを窒素パージ、攪拌しながら、キャピラリーを使用して上記ゲル粒子用原料溶液5mLを滴下した。光化学反応装置(ウシオ電機製)中でハロゲンランプ(トクヤマ社製)にて波長400nm〜520nmの可視光を200mW/cmに調整して20分間照射し、ゼラチンを架橋した。
【0049】
これを4℃の水浴で冷却し、沈殿物を濾過して回収し、シクロヘキサンで洗浄した後にデシケーター中で残留するシクロヘキサンを蒸発させ平均粒径約1μmのドラッグデリバリシステム用ゲル粒子を得た(図1参照)。このゲル粒子を生理食塩水中に懸濁させると、膨潤し、平均粒径は約10μmとなった(図2参照)。
【0050】
[生理活性物質の徐放性評価]
このようにして得られたドラッグデリバリシステム用ゲル粒子をDMEM培地中へ懸濁し、経時的に培地中に放出された繊維芽細胞増殖因子(FGF−2)はELISA法により測定した。
【0051】
経時的に分取したアリコット中のゲル粒子をトルイジンブルー色素の水溶液へ作用させ、ビーズの着色の有無で、ヘパリンの溶出継続性を確認した。
【0052】
繊維芽細胞増殖因子(FGF−2)は19時間で約90%相当量が放出されていた。ヘパリンは2時間まで着色したが、それ以降はゲル粒子は着色せず、ほぼ全量が2時間で放出されたことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1で製造したゲル粒子の顕微鏡写真である。
【図2】図1のゲル粒子を生理食塩水に懸濁させたときの顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)の化合物と、生理活性物質とを親油性液体に添加して分散させ、次いで可視光を照射して分散粒子を光架橋させてゲル化させ、ゲル粒子を得ることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
(A)キサンテン系色素で修飾した、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ケラタン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、エラスチン、ヘパラン硫酸、ラミニン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、オステオネクチン、エンタクチン、ガゼイン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリシドール、ポリグリシドールの側鎖エステル化体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、環状エステルの重合体、ポリビニルアルコールヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体、ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体、アルギン酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種。
【請求項2】
請求項1において、さらにハイドロゲンドナーを前記親油性液体に添加することを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、ハイドロゲンドナーがチオール、アルコール、還元糖、ポリフェノール又は1分子内に少なくとも1個のN−アルキル及び/又はN,N−ジアルキルアミノ基を有する化合物であることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、生理活性物質が、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルマコリン、バピプロスト、プロスタモリン、プロスタキリン同族体、デキストラン、ローフェプローアルグクロロメチルケトン、デイピリダモール、グリコプロテインの血小板膜レセプタ抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン抑制剤、脈管ペプチン、脈管テンシン転換酵素抑制剤、ステロイド、繊維芽細胞成長因子アンタゴニスト、フィッシュオイル、オメガ3ー脂肪酸、ヒスタミン、アンタゴニスト、HMG−CoAリダクテース抑制剤、セラミン、セロトニン阻止抗体、チオプロテイース抑制剤、トリマゾールピリデイミン、インターフェロン、ラパマイシン、FK506、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、形質転換増殖因子α、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、アンジオポイエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、形質転換増殖因子β、潜在型形質転換増殖因子β、アクチビン、骨形質タンパク、繊維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子β、二倍体繊維芽細胞増殖因子、ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子、シュワノーマ由来増殖因子、アンフィレグリン、ベーターセルリン、エピグレリン、リンホトキシン、エリスロエポイエチン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−17、インターフェロン、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、抗がん剤、拮抗剤、免疫抑制剤、レセプター遮断剤、抗パーキンソン病薬、ビタミン薬、フラボノイド、抗不整脈剤、インスリン、カルシトニン、放射性物質、還元グルタチオン、ニトログリセリン、プロスタグランジン、ポリフェノール、エリスロポイエチン、RNA、DNA、及び、RNA及び/又はDNAを導入したベクターよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、キサンテン系色素がエオシンであることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、親油性液体が炭化水素、ハロゲン化炭化水素、又は天然油であることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、(A)がゼラチンであることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、ゼラチンが1分子中に1個〜10個のキサンテン系色素分子を導入したものであることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項7において、ゼラチンが1分子中に2個〜6個のキサンテン系色素分子を導入したものであることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項において、製造されたゲル粒子の直径が10nm〜100μmであることを特徴とするゲル粒子の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかの製造方法により製造されたゲル粒子。
【請求項12】
請求項11において、ドラッグデリバリシステム用ゲル粒子であることを特徴とするゲル粒子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−219446(P2006−219446A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35822(P2005−35822)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(591108880)国立循環器病センター総長 (159)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】