説明

ゲームプログラム、記憶媒体及びゲーム機

【課題】被付与部に対してゲーム要素をどの程度付与するか又は付与しないかの設定を、属性の異なるゲーム要素が複数ある場合にも容易に設定することができ、また被付与部が複数ある場合にもこれらの設定を容易に行うことができるゲームプログラム、記憶媒体及びゲーム機を提供する。
【解決手段】属性の異なる複数の光の粒51a、夜露が予め所定法則に従って移動するようにモニタ30に表示する初期移動制御部と、マウスの操作に応じて、光の粒51a、夜露を誘導するカバー55等を配置し、初期移動制御部によって所定法則に従って移動している光の粒51a、夜露をカバー55等の形状に沿って誘導するカバー制御部と、光の粒51a、夜露が植物に衝突することにより光の粒51a、夜露に対応した情報を植物に付与するプレイ進行制御部と、して機能させるゲームプログラムを、ゲーム機1に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被付与部に対してゲーム要素を付与するゲームプログラム、記憶媒体及びゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示部に表示された植物等に対して水や光等の生長要素を付与して生長させるゲームがあった(例えば特許文献1)。これらのゲームでは、各生長要素をどの程度植物に付与するかの設定を、プレイヤが例えばキー入力等の入力装置を操作することにより行っていた。
しかし、生長要素毎に遂次キー入力等することは、操作が面倒であった。また、植物の種類が多い場合には、各要素を各植物に対して設定する必要があり、操作がさらに面倒になるという問題があった。
【特許文献1】特許2848219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、被付与部に対してゲーム要素をどの程度付与するか又は付与しないかの設定を、属性の異なるゲーム要素が複数ある場合にも容易に設定することができ、また被付与部が複数ある場合にもこれらの設定を容易に行うことができるゲームプログラム、記憶媒体及びゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0005】
請求項1の発明は、ゲーム要素(51a,57a,58a,C1〜C4)に対応した情報を被付与部(52〜54)に付与することにより前記ゲーム要素に対応した変化をプレイに反映するゲームプログラムであって、コンピュータ(1)を、属性の異なる複数の前記ゲーム要素が予め所定法則に従って移動するように表示手段(30)に表示する所定移動制御手段(23)と、操作部(2)の操作に応じて、前記ゲーム要素を誘導する誘導要素(55,59)を配置し、前記所定移動制御手段によって前記所定法則に従って移動している前記ゲーム要素を前記誘導要素の形状に沿って誘導する誘導要素制御手段(24)と、前記ゲーム要素が前記被付与部に衝突することにより前記ゲーム要素に対応した情報を前記被付与部に付与する付与制御手段(21)と、して機能させることを特徴とするゲームプログラムである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲームプログラムにおいて、前記誘導要素(55,59)は、前記操作部(2)の操作に応じて前記表示手段(30)に配置される線であり、前記誘導要素制御手段(24)を、前記線に衝突した前記ゲーム要素(51a,57a,58a,C1〜C4)を前記線に沿って誘導するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のゲームプログラムにおいて、前記誘導要素制御手段(24)を、前記操作部(2)の操作に応じて属性の異なる前記誘導要素(55,59)を配置し、前記ゲーム要素(51a,57a,58a,C1〜C4)が前記誘導要素に衝突した場合に、前記ゲーム要素の属性と前記誘導要素の属性との組み合せに応じた作用を、衝突した前記ゲーム要素に与えるように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記付与制御手段(21)を、所定のゲーム要素(57a,58a)が前記被付与部(52〜54)に衝突することにより前記所定のゲーム要素に対応したゲージ(52a〜54a)を増加させ、前記所定のゲーム要素とは属性の異なるゲーム要素(51a,C1,C4)が前記被付与部に衝突することにより前記所定のゲーム要素に対応したゲージを減少させるように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項5の発明は、請求項4に記載のゲームプログラムにおいて、前記付与制御手段(21)を、前記所定のゲーム要素(57a,58a)に対応したゲージ(52a〜54a)が所定レベルに達したことに応じて、プレイ内容に特定の変化を与えるように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記誘導要素制御手段(24)を、前記表示手段(30)に表示した前記誘導要素(55,59)を所定時間で消滅させるように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記誘導要素制御手段(24)を、前記表示手段(30)に表示した前記誘導要素(55,59)を前記誘導要素の大きさに応じて異なる時間で消滅させるように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、前記表示手段(30)を、属性が異なる複数の前記被付与部(52〜54)を表示するように機能させ、前記付与制御手段(21)を、前記ゲーム要素(51a,57a,58a,C1〜C4)が前記被付与部に衝突した場合に、前記ゲーム要素の属性と前記被付与部の属性との組み合せに応じた変化をプレイに反映するように機能させること、を特徴とするゲームプログラムである。
【0007】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のゲームプログラムを記憶した記憶媒体である。
【0008】
請求項10の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のゲームプログラムを記憶した記憶手段(10)と、前記記憶手段に記憶した前記ゲームプログラムを実行する制御手段(20)と、を備えたゲーム機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、ゲーム要素を誘導要素の形状に沿って誘導し被付与部に衝突することにより被付与部に付与するので、被付与部にどのゲーム要素をどの程度付与するか又は付与しないかを、誘導要素を配置するだけで容易に設定することができる。
(2)本発明は、誘導要素が線でありゲーム要素をこの線に沿って誘導するので、ゲーム要素をより自由に誘導でき、またゲーム要素が移動する方向をわかりやすく表示することができる。さらにコンピュータ用マウスを用いて線を配置できるようにすれば、複数のゲーム要素の誘導も容易に行うことができる。
【0010】
(3)本発明は、ゲーム要素の属性と誘導要素の属性との組み合せに応じた作用をゲーム要素に与えるので、プレイの進行に応じて属性を選択して誘導要素を配置することができるため、プレイ内容を複雑にして、プレイの面白さを向上することができる。
(4)本発明は、ゲーム要素が被付与部に衝突した場合に、ゲーム要素の属性に応じてゲージを増減させるので、プレイヤに対して、ゲージのレベルに応じて属性を選択してゲーム要素を被付与部に付与させるようなゲームを提供することができる。
【0011】
(5)本発明は、ゲージが所定レベルに達したことに応じてプレイ内容に特定の変化を与えるので、ゲージが所定レベルに達するように又は達しないようにと、プレイヤをプレイに熱中させることができる。
(6)本発明は、誘導要素が所定時間で消滅するので、誘導要素消滅後に、プレイヤに新たな誘導要素の配置を要求するため、プレイヤを退屈させることがない。
【0012】
(7)本発明は、誘導要素の大きさに応じて異なる時間で消滅させるので、誘導要素の大きさと消滅までの時間を考慮したプレイを、プレイヤに要求することができる。
(8)本発明は、ゲーム要素の属性と被付与部の属性の組み合せに応じた変化をプレイに反映する。これにより、属性が異なる複数の被付与部を有していても、各被付与部にどのゲーム要素を付与するか又は付与しないかを、容易に設定することができる。
(9)本発明は、ゲームプログラムを記憶した記憶媒体であるので、例えば磁気ディスク等の記憶媒体に記録して市場の流通過程にのせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、被付与部に対してゲーム要素をどの程度付与するか又は付与しないかの設定を、属性の異なるゲーム要素が複数ある場合にも容易に設定することができ、また被付与部が複数ある場合にもこれらの設定を容易に行うことができるゲームプログラム、記憶媒体及びゲーム機を提供するという目的を、コンピュータを、マウスの操作に応じてカバー等を配置し、所定法則に従って移動している光の粒、夜露等をカバー等の形状に沿って誘導するカバー制御部と、光の粒、夜露等が植物に衝突することにより光の粒、夜露に対応した情報を植物に付与するプレイ進行制御部として機能させるゲームプログラムを、ゲーム機に備えることによって実現した。
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1実施形態のゲーム機1のブロック図である。
ゲーム機1は、モニタ30に表示された植物(被付与部)に対して、光の粒や夜露等を付与することにより、植物を育てるようにプレイに反映するシュミレーションゲームを行うものである。ゲーム機1は、例えばパーソナルコンピュータ(以下パソコン)、このゲームのゲーム専用機、携帯電話機等の情報処理装置である。本実施形態では、パソコンの構成を例に説明する。なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、パソコンはもちろんゲーム専用機、携帯電話機も、記憶部、制御部(後述する)等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0015】
図1に示すように、ゲーム機1は、マウス2(操作部)と、記憶部10(記憶手段)と、制御部20(制御手段)と、モニタ30(表示手段)とを備えている。
マウス2は、パソコン操作用マウスであり、ゲーム機1に対して電気ケーブル等により接続されることにより、制御部20に対して電気的に接続される。
記憶部10は、ゲームに関する情報を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。記憶部10は、このゲームのプレイ進行に必要なゲームプログラムの記憶領域であるゲームプログラム記憶部11を備えている。
【0016】
制御部20は、ゲーム機1を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU(中央処理装置)等から構成される。制御部20は、プレイ進行制御部21(付与制御手段)と、画像制御部22と、初期移動制御部23(所定移動制御手段)と、カバー制御部24(誘導要素制御手段)とを備えている。各制御部は、必要に応じてバス(図示せず)を介し相互に情報を伝達することができる。制御部20は、記憶部10に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
プレイ進行制御部21は、ゲームの進行を統括的に制御する制御部である。
画像制御部22は、モニタ30を制御してモニタ30の表示画面にプレイ画面を表示する制御部である。
【0017】
初期移動制御部23は、ゲーム画面に光の粒51a(図2参照)、夜露57a(図3参照)等を出現させて所定の方向に移動するように表示させる。
カバー制御部24は、マウス2の操作に応じてモニタ30に誘導要素である線状のカバー55(図2参照)及び透明カバー59(図5参照)を配置(表示)する。カバー制御部24は、マウス2が右クリックされた状態で移動された場合に、マウス2の軌跡に対応したカバー55をモニタ30に配置する。また、カバー制御部24は、マウス2が左クリックされた状態で移動された場合に、マウス2の軌跡に対応した透明カバー59をモニタ30に配置する。
カバー制御部24は、カバー55に光の粒51a等が衝突した場合には、衝突した光の粒51a等をカバー55の形状に沿って画面下側へ流れ落ちる(移動する)ように制御する。
【0018】
次に、各制御部の動作を、ゲームのルールとともに説明する。
図2は、第1実施形態の第1日目の昼の画面の表示例を示す図である。
図3は、第1実施形態の第1日目の夜の画面の表示例を示す図である。
図4は、第1実施形態の第2日目の昼の画面の表示例を示す図である。
前述したように本実施形態のゲームは、植物を育てるシュミレーションゲームであるため、プレイ進行制御部21は、プレイ時間の経過ともに、昼(図2参照)、夜(図3参照)の場面を表示し、また、経過した日にちの情報と昼又は夜であるかの情報とを、日にち表示部31に表示してプレイヤに伝える。なお、これらの時間経過に関する表示は、プレイにおける仮想の時間経過を表示するものであり、現実の時間とは関係なく経過していく。
【0019】
図2に示すように、第1日目の昼の場面では、プレイ進行制御部21は、太陽51と、ひまわり52、サボテン53及び苗54の3つの植物と、各植物の水の貯水量を示す水分ゲージ52a〜54a等とをモニタ30に表示する。
初期移動制御部23は、プレイ時間経過ともに、太陽51がモニタ30の画面上部を左側から右側に順に移動するようにモニタ30に表示する。また、初期移動制御部23は、光の粒51aが太陽51から放射方向に降り注ぐ(移動する)ように表示する。このように、初期移動制御部23は、予め定められた所定法則に従って太陽51と光の粒51aとが移動するようにモニタ30に表示する。なお、光の粒51aや後述する夜露57aが移動する様子は、図中2点鎖線で示す。
【0020】
カバー制御部24は、プレイヤによるマウス2の操作に応じて、カバー55をモニタ30に配置する。図2は、2枚のカバー55a,55bが既に配置されており、マウス2の操作に応じてポインタ56が表示されカバー55cを配置している場面である。
また、カバー制御部24は、同時に配置可能なカバー55の枚数を5枚に制限する。枚数の制限なしにカバー55を設置できようにすると、モニタ30に多くのカバー55が表示され、プレイヤが煩わしさを感じるため、これらを防止するためである。また、配置できるカバー55の枚数を制限することにより、プレイヤは、カバー55の配置をよく考慮して行う必要がある。プレイ進行制御部21は、設置可能なカバーの残枚数を、残カバー表示部33に表示する。
【0021】
カバー制御部24は、カバー55に衝突した光の粒51aを、カバー55の形状に沿って画面下側へ向かって流れ落ちる(誘導する)ように制御する。カバー制御部24は、配置されたカバー55を、配置されてから所定時間(例えば数秒程度)経過することにより、モニタ30から消滅させる。このため、本実施形態のゲームは、カバー55の消滅後に新たなカバー55の配置をプレイヤに対して要求するので、プレイヤを退屈させることがない。
プレイ進行制御部21は、流れ落ちた光の粒51aが植物に衝突することにより、光の粒51aを植物に付与する。プレイ進行制御部21は、貯水されている場合に光の粒51aが植物に付与されることにより、植物を生長させる。
【0022】
プレイ進行制御部21は、各植物の貯水量の度合いを水分ゲージ52a〜54aに表示する。プレイ進行制御部21は、各植物に光の粒51aを付与することにより、つまり各植物に光の粒51aに対応した情報を付与することにより貯水量を減らして、水分ゲージ52a〜54aのレベルを下げる。一方、プレイ進行制御部21は、貯水されていない場合に光の粒51aが付与されると、水分不足により植物が枯れるように制御する。
プレイ進行制御部21は、植物が生長すると、その生長に対応した得点をプレイヤに付与する。本実施例では、付与された得点は、所持金32としてモニタ30に表示される。プレイ進行制御部21は、所持金32が所定の値になると、プレイヤに新たな植物の購入の機会を与える。
【0023】
なお、プレイ進行制御部21は、各植物を下記のような属性を有するように制御する。
ひまわり52の場合、貯水量が水分ゲージ52aの上限に達すると根腐れにより枯れる。
サボテン53の場合、貯水量が少なくても光の粒51aを付与することにより生長するが、大量の光の粒51aが必要である。また、貯水量が水分ゲージ53aの半分レベルに達すると水分過多により枯れる。
苗54の場合、貯水量が水分ゲージ54aの半分程度を維持するようにしないと枯れる。
【0024】
このように、プレイ進行制御部21は、光の粒51aが植物に衝突した場合に、光の粒51aの属性と植物の属性との組み合せに応じた変化をプレイに反映する。光の粒51aを与える場合、例えばサボテン53は、乾燥を好むので水分ゲージ53aのレベルが低くても多く与えることができる。夜露57aを与える場合、例えば苗54は、湿潤が苦手なので多く与えると水分ゲージ54aが増えて枯れてしまう。
このため、プレイヤは、水分ゲージ52a〜54aと与える光の粒51aとのバランスを考慮してカバー55を配置し、光の粒51aを植物に誘導する必要がある。プレイヤは、植物を育てて所持金(得点)を獲得したい場合には、後述する夜等の場面で貯水してから、光の粒51aを植物に誘導するようにカバー55を配置しなくてはならない。一方、貯水量が少ない場合には、光の粒51aを遮るようにカバー55を配置しなくてはならない。しかも、ひまわり52、サボテン53及び苗54はそれぞれ異なる属性を有するので、各属性に合わせてカバー55を配置して光の粒51aを誘導する必要がある。
このように、ゲーム機1は、各植物に対応した水分ゲージ52a〜54aのレベルを維持させようと、プレイヤをプレイに熱中させることができる。
【0025】
図3に示すように、プレイ時間が経過して第1日目の夜の場面になると(日にち表示部31参照)、プレイ進行制御部21は、太陽51のかわりに月57をモニタ30に表示する。また、1日目の昼が経過する間にひまわり52に本葉52bが増え、苗54に双葉54bが開き植物が生長したので、プレイ進行制御部21は、所持金32の値を「109」から「165」へと増加している。
夜の場面になると、初期移動制御部23は、夜露57aが画面上側から下側に向けて降り注ぐように、つまり所定法則に従って移動するようにモニタ30に表示する。光の粒51aと同様に、カバー制御部24は、衝突した夜露57aをカバー55に沿って画面下側へ流れ落ちるように制御する。プレイ進行制御部21は、流れ落ちた夜露57aが植物に衝突した場合に、夜露57aを植物に付与して水分ゲージ52a〜54aのレベルを増加させる。
【0026】
前述したように各植物は、属性が異なる。プレイヤは、後述する2日目の場面で植物を生長させるためには、植物の属性を考慮してカバー55を配置して、夜露57aを誘導して付与する必要がある。ひまわり52の場合には、水分ゲージ52aの上限付近まで夜露57aを付与することができる。一方サボテン53及び苗54場合には、水分ゲージ53a,54aの半分付近まで夜露57aを付与することが望ましい。
【0027】
このように、ゲーム機1は、カバー55を配置しカバー55の外形に沿って属性の異なる複数のゲーム要素つまり光の粒51a、夜露57aを誘導する。これにより、属性が異なる複数のゲーム要素を植物にどの位付与するか又は付与しないかの設定を短い時間で容易に行うことができる。また、属性が異なる複数の植物に対しても、これらの設定を容易な操作で行うことができる。
さらに、ゲーム機1は、カバー55が線状でありその外形に応じて光の粒51a等を誘導するので、複数の光の粒51a等をより自由に誘導でき、かつ光の粒51a等が移動する方向をわかりやすく表示することができる。
さらにまた、ゲーム機1は、光の粒51a等を植物に付与している状態をモニタ30表示するので、プレイヤは、どの位のペースで光の粒51a等が付与されているかが、一目瞭然である。
【0028】
図4に示すように、2日目の昼の場面では、1日目の夜の場面から植物が生長してひまわり52、サボテン53に花52c,53cが咲いており、所持金32の値が「200」へと増加している。
【0029】
図5は、第1実施形態の第2日目の昼の画面の図4とは異なる表示例を示す図である。
図5に示す場面では、初期移動制御部23が、太陽51に加えて2つの雲58をモニタ30に表示している。初期移動制御部23は、この場合、雨粒58aが雲58から放射方向に降り注ぐように(つまり所定法則に従って移動するように)モニタ30に表示する。
カバー制御部24は、プレイヤによるマウス2の操作に応じて、透明カバー59(59a,59b)をモニタ30に配置する。カバー制御部24は、カバー55とは異なる属性を有するように透明カバー59を制御する。つまり、カバー制御部24は、光の粒51aが透明カバー59に衝突しても透過するように制御する。一方、カバー制御部24は、雨粒58aが透明カバー59に衝突した場合には、通常のカバー55と同様に雨粒58aが透明カバー59の形状に沿って画面下側へ流れ落ちるように制御する。
なお、プレイヤは、マウス2を右クリックしながら移動させることにより、通常のカバー55も設置することができる。
【0030】
このように、図5に示す場面では、属性の異なる光の粒51aと雨粒58aとが同時にモニタ30に表示される。このような場面においても、ゲーム機1は、カバー55及び透明カバー59を配置することにより、属性の異なる複数のゲーム要素つまり光の粒51a、雨粒58aを、属性が異なる複数の植物に対してどの位付与するか又は付与しないかの設定を容易に行うことができる。
【0031】
また、カバー制御部24は、光の粒51aには透明カバー59を透過するように機能させ、雨粒58aには透明カバー59に誘導されるように機能させる。これにより、プレイ内容が複雑になり、プレイヤには、プレイの進行に応じて属性の異なるカバー55及び透明カバー59から選択してカバーを配置することが要求され、プレイの面白さを向上することができる。
【0032】
なお、カバー制御部24は、カバー55と透明カバー59とが配置されてから消滅するまでの時間を変えてもよい。この場合、プレイ内容がより複雑になり、プレイヤにはより高い技量が要求される。カバーの種類によって消滅までの時間は、プレイ開始時から予め変えていてもよいが、プレイ進行とともにプレイの難易度を上げるために、ステージが増える毎すなわち日にちの経過毎に徐々に変わるようにしてもよい。
【0033】
次に、制御部20による光の粒51a、夜露57a、雨粒58aに関する誘導処理について説明する。
図6は、第1実施形態の制御部20のカバー55に関する処理のフローチャートである。
最初に、ステップS(以下単にSという)100において、初期移動制御部23がプレイの進行に応じて光の粒51a、夜露57a、雨粒58aのなかから選択してモニタ30に出現させて移動させる。
S110において、カバー制御部24は、光の粒51aがカバー55に衝突したか否かを判定する。カバー制御部24は、光の粒51aが衝突したと判定した場合には(S110:YES)、S120に進み、光の粒51aがカバー55に衝突していないと判定した場合には(S110:NO)、S111に進む。
【0034】
S120において、カバー制御部24は、カバー55に衝突した光の粒51aを、カバー55の形状に沿って画面下側へ向かって流れ落ちるように制御する。
S130において、カバー制御部24は、光の粒51aが植物に衝突したか否かを判定する。カバー制御部24は、光の粒51aが植物に衝突したと判定した場合には(S130:YES)、S140に進み、一方光の粒51aが衝突しなかったと判定した場合には(S130:NO)、S110からの処理を繰り返す。
【0035】
S140において、プレイ進行制御部21は、光の粒51aが植物に衝突したことに応じて、植物に光の粒51aを付与して、S150に進んで、水分ゲージ52a〜54aを減少させるとともに、植物を生長させ所持金を増加させる。その後、プレイ進行制御部21は、S110からの処理を繰り返す。
なお、以上の処理において、制御部20は、誘導されていない光の粒51aが植物に直接衝突した場合にも光の粒51aを付与する。
【0036】
S111において、カバー制御部24は、夜露57a又は雨粒58aがカバー55に衝突したか否かを判定する。カバー制御部24は、夜露57a等が植物に衝突したと判定した場合には(S111:YES)、S112に進み、一方夜露57a等が衝突しなかったと判定した場合には(S111:NO)、S110からの処理を繰り返す。
【0037】
S112,S113において、カバー制御部24は、前述した光の粒51aの処理(S120,S130)と同様に、カバー55に衝突した夜露57a等を、カバー55の形状に沿って画面下側へ向かって流れ落ちるように制御し、S113において、夜露57a等が植物に衝突したか否かを判定する。
S113において、カバー制御部24は、夜露57a等が植物に衝突したと判定した場合には(S113:YES)、S140に進み水分ゲージ52a〜54aを増加させてからS110からの処理を繰り返す。一方カバー制御部24は、夜露57a等が植物に衝突しなかったと判定した場合には(S113:NO)、S110からの処理を繰り返す。
なお、前述したように、プレイ進行制御部21は、水分ゲージ52a〜54aのレベルに応じてS150,S114における処理において植物を枯らしたりするが、処理の詳細な説明は省略する。
【0038】
図7は、第1実施形態の制御部20の透明カバー59に関する処理のフローチャートである。
なお、以下の説明及び図面において、前述したカバー55に関する処理(図6)の同様の処理には、末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
S210において、カバー制御部24は、光の粒51aが透明カバー59に衝突したか否かを判定する。カバー制御部24は、光の粒51aが衝突したと判定した場合には(S210:YES)、S220に進み、光の粒51aが透明カバー59に衝突していないと判定した場合には(S210:NO)、S211に進む。
S220において、カバー制御部24は、衝突した光の粒51aを、カバー55の場合にはカバー55の沿うように誘導したのに対して(S120参照)、透明カバー59の場合には、透過するように制御する。
S230以降及びS211以降の処理は、図6に示す処理と同様であるので、説明を省略する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のゲーム機1は、光の粒51a、夜露57a等をカバー55等の形状に沿って誘導し植物に付与するので、光の粒51a、夜露57a等をどの程度付与するか又は付与しないかを容易に設定することができる。
また、ゲーム機1は、属性の異なる植物がある場合にも、各植物に光の粒51a、夜露57a等をどの程度付与するか又は付与しないかを容易に設定することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用したゲーム機の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のゲーム機200は、キャラクタC1〜C4をゲーム要素として追加し、これらをカバー55によって誘導可能にしたものである。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0041】
図8、図9は、第2実施形態の画面の表示例を示す図である。
図8に示すように、制御部(図1に示す制御部20参照)は、キャラクタC1,C2をモニタ30に表示する。
初期移動制御部(図1に示す初期移動制御部23参照)は、キャラクタC1が浮遊して移動するようにモニタ30に表示し、プレイ進行制御部(図1に示すプレイ進行制御部21参照)は、キャラクタC1が植物に付着すると、付着した植物の水分ゲージ52a〜54aを減らすように制御する。キャラクタC1がひまわり52に付着した場合には、水分ゲージ52aが減ってしまうので好ましくない。このため、プレイヤは、マウスを操作しカバー55を配置してひまわり52に付着しないように、キャラクタC1を誘導しなくてはならない。
一方、サボテン53に夜露57aを与え過ぎてしまい、水分ゲージ53aがサボテン53に適した半分のレベルよりも増加してしまった場合には、キャラクタC1がサボテン53に付着するように誘導し、水分ゲージ53aを半分のレベルまで下げることができる。
【0042】
また、プレイ進行制御部は、キャラクタC2を地表34の近傍に表示する。プレイ進行制御部は、カバー55を配置して夜露57aや雨粒を誘導し所定量貯水することにより、雲を出現させて雨粒を降らすように制御する。このため、プレイヤは、プレイ進行に応じて水分ゲージ52a〜54aを急激に増やしたい場合に、キャラクタC2を利用して雲を出現させて雨粒を降らすことができる。
【0043】
図9に示すように、制御部は、モニタ30にキャラクタC3,C4を表示する。
初期移動制御部は、キャラクタC3が浮遊して移動するようにモニタ30に表示し、プレイ進行制御部は、キャラクタC3が植物に付着すると、付着した植物の水分ゲージ52a〜54aの最大レベルを増やすように制御する。キャラクタC3を誘導し、ひまわり52に付着させた場合には、より多くの夜露57aを付与できるようになるので好ましい。一方サボテン53に付着させても、多くの夜露57aを付与すると水分過多により枯れてしまうのでほとんど効果がない。
【0044】
また、初期移動制御部は、キャラクタC4が浮遊して移動するようにモニタ30に表示し、プレイ進行制御部は、キャラクタC4が植物に付着すると、光の粒と同様に付着した植物を生長させるように制御する。これにより、ゲーム機200は、夜の場面でも植物を生長させ所持金を増やすように制御することができる。
【0045】
このように、本実施形態のゲーム機200は、光の粒、夜露57a等の他にも、ゲーム要素としてキャラクタC1〜C4を登場させるので、プレイが単調になることがない。
また、ゲーム機200は、キャラクタC1〜C4をどの植物に付与するかの設定を、光の粒、夜露57aと同様な操作で違和感なく行うことができ、その操作も容易に行うことができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0047】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)本実施形態において、カバー制御部は、カバーを所定時間経過することにより消滅させる例を示したが、これに限定されない。例えば、カバー制御部は、モニタに表示したカバーをカバーの大きさに応じて異なる時間で消滅させるように機能させてもよい。これにより、ゲーム機は、カバーの大きさと消滅までの時間を考慮したプレイを、プレイヤに要求することができる。
また、カバー制御部は、マウスを移動する速度に応じて、配置されたカバーが消滅するまでの時間が変化するようにしてもよい。この場合、プレイヤは、カバーの形状を制限されることなく、消滅時間を任意に設定してカバーを配置することができる。
【0048】
(2)本実施形態において、カバー制御部は、カバーを配置するためにマウスを利用する例を示したが、これに限定されない。例えば、カバー制御部は、入力装置としてタッチパネルを利用して、入力ペンをパネル表面に接触させることにより、カバーを配置できるようにしてもよい。
【0049】
(3)本実施形態において、ゲーム機にゲームプログラムが記憶されている例を示したが、これに限定されない。例えば、ゲームプログラムを記憶媒体(例えばCD−ROM等の磁気ディスク、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置等)に記憶させてもよい。これにより、これらの記憶媒体を市場の流通過程にのせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態のゲーム機1のブロック図である。
【図2】第1実施形態の第1日目の昼の画面の表示例を示す図である。
【図3】第1実施形態の第1日目の夜の画面の表示例を示す図である。
【図4】第1実施形態の第2日目の昼の画面の表示例を示す図である。
【図5】第1実施形態の第2日目の昼の画面の表示例を示す図である。
【図6】第1実施形態の制御部のカバーに関する処理のフローチャートである。
【図7】第1実施形態の制御部の透明カバーに関する処理のフローチャートである。
【図8】第2実施形態の画面の表示例を示す図である。
【図9】第2実施形態の画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1,200 ゲーム機
2 マウス
11 ゲームプログラム記憶部
20 制御部
21 プレイ進行制御部
23 初期移動制御部
24 カバー制御部
30 モニタ
33 残カバー表示部
51 太陽
51a 光の粒
52 ひまわり
52a〜54a 水分ゲージ
53 サボテン
54 苗
55 カバー
56 ポインタ
57a 夜露
58a 雨粒
59 透明カバー
C1〜C4 キャラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム要素に対応した情報を被付与部に付与することにより前記ゲーム要素に対応した変化をプレイに反映するゲームプログラムであって、
コンピュータを、
属性の異なる複数の前記ゲーム要素が予め所定法則に従って移動するように表示手段に表示する所定移動制御手段と、
操作部の操作に応じて、前記ゲーム要素を誘導する誘導要素を配置し、前記所定移動制御手段によって前記所定法則に従って移動している前記ゲーム要素を前記誘導要素の形状に沿って誘導する誘導要素制御手段と、
前記ゲーム要素が前記被付与部に衝突することにより前記ゲーム要素に対応した情報を前記被付与部に付与する付与制御手段と、
して機能させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームプログラムにおいて、
前記誘導要素は、前記操作部の操作に応じて前記表示手段に配置される線であり、
前記誘導要素制御手段を、前記線に衝突した前記ゲーム要素を前記線に沿って誘導するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のゲームプログラムにおいて、
前記誘導要素制御手段を、前記操作部の操作に応じて属性の異なる前記誘導要素を配置し、前記ゲーム要素が前記誘導要素に衝突した場合に、前記ゲーム要素の属性と前記誘導要素の属性との組み合せに応じた作用を、衝突した前記ゲーム要素に与えるように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記付与制御手段を、所定のゲーム要素が前記被付与部に衝突することにより前記所定のゲーム要素に対応したゲージを増加させ、前記所定のゲーム要素とは属性の異なるゲーム要素が前記被付与部に衝突することにより前記所定のゲーム要素に対応したゲージを減少させるように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のゲームプログラムにおいて、
前記付与制御手段を、前記所定のゲーム要素に対応したゲージが所定レベルに達したことに応じて、プレイ内容に特定の変化を与えるように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記誘導要素制御手段を、前記表示手段に表示した前記誘導要素を所定時間で消滅させるように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記誘導要素制御手段を、前記表示手段に表示した前記誘導要素を前記誘導要素の大きさに応じて異なる時間で消滅させるように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のゲームプログラムにおいて、
前記表示手段を、属性が異なる複数の前記被付与部を表示するように機能させ、
前記付与制御手段を、前記ゲーム要素が前記被付与部に衝突した場合に、前記ゲーム要素の属性と前記被付与部の属性との組み合せに応じた変化をプレイに反映するように機能させること、
を特徴とするゲームプログラム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のゲームプログラムを記憶した記憶媒体。
【請求項10】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のゲームプログラムを記憶した記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記ゲームプログラムを実行する制御手段と、
を備えたゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−22685(P2009−22685A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191696(P2007−191696)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(592044813)株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス (115)
【Fターム(参考)】