説明

コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法、コアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法

【課題】合成に際して排出される廃液量の低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成すること。
【解決手段】金属触媒の存在下におけるモノマーのリビングラジカル重合を経てコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成する際に、リビングラジカル重合によって合成されたハイパーブランチポリマーをコア部とし、コア部に酸分解性基を導入することにより形成されたシェル部における酸分解性基の一部を酸触媒を用いて分解して酸基を形成したコアシェル型ハイパーブランチポリマーを形成する。その後、コアシェル型ハイパーブランチポリマーを有機溶媒に溶解させた溶液と当該溶液における有機溶媒の量に対して所定割合となる量の超純水とを混合することにより、溶液と超純水との混合溶液中にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを析出させ、析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを混合溶液から抽出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法、コアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細加工技術として有望視されている光リソグラフィでは、光源の短波長化によりデザインルールの微細化が進み、超LSIなどの半導体集積回路の高集積化を実現している。32nm以下のデザインルールでは、EUVリソグラフィが有望視されている。
【0003】
レジスト組成物には、各光源に対して透明な化学構造を持つベースポリマーの開発が進められている。例えば、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)ではノボラック型ポリフェノールを基本骨格としたポリマー(たとえば、下記特許文献1を参照。)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)ではポリ(メタ)アクリル酸エステル(たとえば、下記特許文献2を参照。)、又はF2エキシマレーザー光(波長157nm)ではフッ素原子(パーフルオロ構造)を導入したポリマー(たとえば、下記特許文献3を参照。)を含むレジスト組成物がそれぞれ提案されており、これらポリマーは線状構造を基本とするものである。
【0004】
しかしながら、これら線状ポリマーを32nm以細の超微細パターン形成に適用した場合、ラインエッジラフネスを指標とするパターン側壁の凹凸が問題となってきた。たとえば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、およびPHS(ポリヒドロキシスチレン)を主とした従来のレジストに対して電子線や極端紫外光(EUV:13.5nm)露光を行って、極微細のパターンを形成するためには、表面平滑性をナノレベルで制御することが課題となることが指摘されている(たとえば、下記非特許文献1を参照。)。
【0005】
一方、近年、ハイパーブランチポリマーをレジスト材料として用いる試みがなされてきている。高度なブランチ(分岐)構造をコア部とし、分子末端に酸基(たとえば、カルボン酸)および酸分解性基(たとえば、カルボン酸エステル)を有するハイパーブランチポリマーは、線状ポリマーに見られる分子間での絡まりが小さく、主鎖を架橋する分子構造に比べて溶媒による膨潤も小さい。このようなハイパーブランチポリマーを含むレジスト材料を用いた場合、パターン側壁における表面ラフネスの原因となる大きな分子集合体の形成が抑制されると報告されている(たとえば、下記特許文献4を参照)。
【0006】
ハイパーブランチポリマーには、たとえば、コア部となるハイパーブランチポリマーと、コア部に酸分解性基を導入することによって形成されたシェル部と、を備えるコアシェル型のハイパーブランチポリマーがある。このようなコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、たとえば、ATRP(原子移動ラジカル重合)法にしたがって合成することができる。
【0007】
ATRP法にしたがった場合、まず、金属触媒存在下、リビングラジカル重合可能なモノマーを重合することによりコア部を生成し、生成されたコア部に酸分解性基を導入することによりシェル部を形成した後に、シェル部を形成する酸分解性基の一部を酸触媒を用いて分解して酸基を形成すること(以下、「脱保護」という)によって、コアシェル型のハイパーブランチポリマーを合成する。ATRP法は、原料入手やスケールアップの容易性から、コアシェル型のハイパーブランチポリマーを合成する方法として実用性が高い。
【0008】
上述したATRP法を用いたコアシェル型のハイパーブランチポリマーの合成に際しては、脱保護の後に、脱保護後の物質を少量の有機溶媒に溶解させ、脱保護後の物質が溶解された溶液に、当該溶液における有機溶媒量に対して10倍程度の大過剰の水を添加することで、溶液中に沈殿したコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得るようにした技術がある。
【0009】
【特許文献1】特開2004−231858号公報
【特許文献2】特開2004−359929号公報
【特許文献3】特開2005−91428号公報
【特許文献4】国際公開第2005/061566号パンフレット
【非特許文献1】Franco Cerrina, Vac.Sci.Tech.B,19,2890(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の技術では、脱保護後の物質を溶解する有機溶媒量に対して10倍程度の大過剰の水を添加するため、合成のスケールアップにともなって廃液量が増加し、工業スケールでの実施には不向きであるという問題があった。
【0011】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、合成に際して排出される廃液量の低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法、コアシェル型ハイパーブランチポリマー、レジスト組成物、半導体集積回路、および半導体集積回路の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法は、金属触媒の存在下におけるモノマーのリビングラジカル重合を経てハイパーブランチポリマーを合成するハイパーブランチポリマーの合成方法であって、前記リビングラジカル重合によって合成されたハイパーブランチポリマーをコア部とし、当該コア部に酸分解性基を導入することによりシェル部を形成するシェル部形成工程と、前記シェル部形成工程において形成されたシェル部における酸分解性基の一部を前記酸触媒を用いて分解して酸基を形成する酸基形成工程と、前記酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する第1の溶液および超純水を混合することにより、前記第1の溶液と前記超純水との混合溶液中にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを析出させる析出工程と、前記析出工程によって析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを有機溶媒に溶解させた第2の溶液を当該第2の溶液における前記有機溶媒の量に対して所定割合となる量の超純水で洗浄する事により、前記酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマー溶液から前記酸触媒を除去する工程前記析出工程によって析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを有機溶媒に溶解させた第2の溶液および当該第2の溶液における前記有機溶媒の量に対して所定割合となる量の超純水を混合した混合溶液中から、前記酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを前記有機溶媒中に抽出する液々抽出工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを溶解する有機溶媒量に対する超純水の量を制限することができで、液々抽出酸触媒除去工程においてける不純物の水層への溶解に支障を来たすことなく、液々抽出によって不純物酸触媒が溶解した水層(廃液)量が合成のスケールアップにともなって増加することを抑制できるので、合成のスケールアップにともなう廃液量の低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0014】
また、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法における前記酸触媒除去液々抽出工程は、前記所定割合として、前記有機溶媒に対する前記超純水の割合(以下、「超純水/有機溶媒」という)が、容量比で超純水/有機溶媒=0.1/1〜1/0.1となる範囲で、前記第2の溶液と前記超純水とを混合することを特徴とする。なお、本発明において特に指定のない限り容量比とは前記各液体それぞれの25℃における容量の比を示す。
【0015】
この発明によれば、有機溶媒に対する超純水の割合が容量比で0.1/1〜1/0.1の範囲内になるように調整して酸触媒除去液々抽出をおこなうことで、酸触媒除去工程において酸触媒が溶解した水層(廃液)量が合成のスケールアップ液々抽出による不純物の水層への溶解に支障を来たすことなく、液々抽出によって不純物が溶解した水層(廃液)量が合成のスケールアップにともなって増加することを抑制できるので、合成のスケールアップにともなう廃液量の低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0016】
また、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法における前記酸触媒除去液々抽出工程は、前記所定割合として、前記有機溶媒に対する前記超純水の割合(以下、「超純水/有機溶媒」という)が、容量比で超純水/有機溶媒=0.5/1〜1/0.5となる範囲で、前記第2の溶液と前記超純水とを混合することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、有機溶媒に対する超純水の割合が容量比で0.5/1〜1/0.5の範囲内になるように調整して液々抽出をおこなうことで、液々抽出による不純物の水層への溶解に支障を来たすことなく、液々抽出によって不純物が溶解した水層(廃液)量が合成のスケールアップにともなって増加することを抑制できるので、合成のスケールアップにともなう廃液量の確実な低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0018】
また、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法における前記有機溶媒は、前記析出工程によって析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを溶解し、水と分離する性質を有することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーが抽出された有機溶媒と水層とを容易に分離することができるので、液々抽出合成のスケールアップにともなう廃液量の確実な低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0020】
また、この発明にかかるレジスト組成物は、上記のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを包含することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる半導体集積回路は、上記のレジスト組成物を用いて、電子線、遠紫外線(DUV)、または極紫外線(EUV)リソグラフィなどによりパターンを形成されることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、性能が安定した、高集積、高容量な半導体集積回路を得ることができる。
【0023】
また、この発明にかかる半導体集積回路の製造方法は、上記のレジスト組成物を用いて、電子線、遠紫外線(DUV)、または極紫外線(EUV)リソグラフィなどによりパターンを形成する工程を含むことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、性能が安定した、高集積、高容量な半導体集積回路を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造に用いる物質)
はじめに、実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に用いる物質について説明する。コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、モノマー、金属触媒、および溶媒を用いる。コアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部に相当するハイパーブランチコアポリマーは、リビングラジカル重合の一種である原子移動ラジカル重合法(ATRP)によって合成される。ハイパーブランチコアポリマーの合成に用いるモノマーとしては、少なくとも下記式(I)であらわされるモノマーが挙げられる。
【0027】
【化1】

【0028】
上記式(I)中のYは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基をあらわしている。Yにおける炭素数は、1〜8であることが好ましい。Yにおけるより好ましい炭素数は、1〜6である。上記の式(I)中のYは、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を含んでいてもよい。
【0029】
上記式(I)中のYとしては、具体的には、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、アミレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられる。また、上記式(I)中のYとしては、上記の各基が結合した基、あるいは、上述した各基に「−O−」、「−CO−」、「−COO−」が介在した基が挙げられる。
【0030】
上述した各基の中で、式(I)中のYとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましい。炭素数1〜8のアルキレン基の中で、上記式(I)中のYとしては、炭素数1〜8の直鎖アルキレン基がより好ましい。より好ましいアルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、−OCH2−基、−OCH2CH2−基が挙げられる。上記式(I)中のZは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子(ハロゲン基)をあらわしている。上記式(I)中のZとしては、具体的には、たとえば、上述したハロゲン原子の中で、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0031】
上記式(I)であらわされるモノマーとしては、具体的には、たとえば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、p−(1−クロロエチル)スチレン、ブロモ(4−ビニルフェニル)フェニルメタン、1−ブロモ−1−(4−ビニルフェニル)プロパン−2−オン、3−ブロモ−3−(4−ビニルフェニル)プロパノール、などが挙げられる。より具体的に、ハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマーの中で、上記式(i)であらわされるモノマーとしては、たとえば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、p−(1−クロロエチル)スチレンなどが好ましい。
【0032】
この発明のハイパーブランチポリマーのコア部を構成するモノマーとしては、上記式(I)であらわされるモノマーに加え、他のモノマーを含むことができる。他のモノマーとしては、ラジカル重合が可能なモノマーであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ラジカル重合が可能な他のモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸エステル類、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸エステル類、スチレン類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などから選ばれるラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
【0033】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられた(メタ)アクリル酸エステル類としては、具体的には、たとえば、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸3−メチルペンチル、アクリル酸2−メチルヘキシル、アクリル酸3−メチルヘキシル、アクリル酸トリエチルカルビル、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルノルボニル、アクリル酸1−エチルノルボニル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸1−メトキシエチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸1−n−プロポキシエチル、アクリル酸1−イソプロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸1−イソブトキシエチル、アクリル酸1−sec−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−アミロキシエチル、アクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、アクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリエチルシリル、アクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチルブチル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸3−メチルペンチル、メタクリル酸2−メチルヘキシル、メタクリル酸3−メチルヘキシル、メタクリル酸トリエチルカルビル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−メチルノルボニル、メタクリル酸1−エチルノルボニル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフラニル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸1−メトキシエチル、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−n−プロポキシエチル、メタクリル酸1−イソプロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸1−イソブトキシエチル、メタクリル酸1−sec−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−アミロキシエチル、メタクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、メタクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリエチルシリル、メタクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、メタクリル酸クロルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、などが挙げられる。
【0034】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたビニル安息香酸エステル類としては、具体的には、たとえば、ビニル安息香酸tert−ブチル、ビニル安息香酸2−メチルブチル、ビニル安息香酸2−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−エチルブチル、ビニル安息香酸3−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−メチルヘキシル、ビニル安息香酸3−メチルヘキシル、ビニル安息香酸トリエチルカルビル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−メチルノルボニル、ビニル安息香酸1−エチルノルボニル、ビニル安息香酸2−メチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸2−エチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ビニル安息香酸テトラヒドロフラニル、ビニル安息香酸テトラヒドロピラニル、ビニル安息香酸1−メトキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシエチル、ビニル安息香酸1−n−プロポキシエチル、ビニル安息香酸1−イソプロポキシエチル、ビニル安息香酸n−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−イソブトキシエチル、ビニル安息香酸1−sec−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−アミロキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−n−プロピル、ビニル安息香酸1−シクロヘキシロキシエチル、ビニル安息香酸メトキシプロピル、ビニル安息香酸エトキシプロピル、ビニル安息香酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸トリメチルシリル、ビニル安息香酸トリエチルシリル、ビニル安息香酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、ビニル安息香酸1−メチルシクロヘキシル、ビニル安息香酸アダマンチル、ビニル安息香酸2−(2−メチル)アダマンチル、ビニル安息香酸クロルエチル、ビニル安息香酸2−ヒドロキシエチル、ビニル安息香酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、ビニル安息香酸5−ヒドロキシペンチル、ビニル安息香酸トリメチロールプロパン、ビニル安息香酸グリシジル、ビニル安息香酸ベンジル、ビニル安息香酸フェニル、ビニル安息香酸ナフチルなどが挙げられる。
【0035】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたスチレン類としては、具体的には、たとえば、スチレン、ベンジルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。
【0036】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたアリル化合物としては、具体的には、たとえば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、アリルオキシエタノールなどが挙げられる。
【0037】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたビニルエーテル類としては、具体的には、たとえば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなどが挙げられる。
【0038】
ラジカル重合が可能な他のモノマーとして挙げられたビニルエステル類としては、具体的には、たとえば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなどが挙げられる。
【0039】
ハイパーブランチコアポリマーを構成するモノマーとしては、具体的には、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、4−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸tert−ブチル、スチレン、ベンジルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレンが好ましい。
【0040】
ハイパーブランチコアポリマーを構成するモノマーは、ハイパーブランチポリマーの合成に際して用いる全モノマーに対して、10〜90モル%の量で含まれていることが好ましく、10〜80モル%がより好ましく、10〜60モル%の量で含まれていることがより一層好ましい。
【0041】
ハイパーブランチコアポリマーを構成するモノマーの量が上記の範囲内となるように調整することで、たとえば、ハイパーブランチコアポリマーをコア部とするコアシェル型ハイパーブランチポリマーをレジスト組成物に利用する場合に、当該ハイパーブランチポリマーの現像液に対する適度な疎水性を付与することができる。これによって、ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物を用いて、たとえば、半導体集積回路、フラットパネルディスプレイ、プリント配線板などの製造に際しての微細加工をおこなう際に、未露光部分の溶解を抑制することができるので、好ましい。
【0042】
上記式(I)で表わされるモノマーは、ハイパーブランチコアポリマーの合成に用いる全モノマーに対して、5〜100モル%の量で含まれていることが好ましく、20〜100モル%の量で含まれていることがより好ましく、50〜100モル%の量で含まれていることがより一層好ましい。ハイパーブランチコアポリマーにおいて、上記式(I)で表わされるモノマーの量が上記の範囲内にあると、ハイパーブランチコアポリマーが球状形態をとるため、分子間の絡まり抑制に有利であり、好ましい。
【0043】
ハイパーブランチコアポリマーが、上記式(I)であらわされるモノマーとその他のモノマーとの重合物であるとき、ハイパーブランチコアポリマーを構成する全モノマー中における上記式(I)の量は、10〜99モル%であることが好ましく、20〜99モル%であることがより好ましく、30〜99モル%であることがより一層好ましい。ハイパーブランチコアポリマーにおいて、上記式(I)で表わされるモノマーの量が上記の範囲内にあると、ハイパーブランチコアポリマーが球状形態をとるため、分子間の絡まり抑制に有利であるとともに、基板密着性やガラス転移温度の上昇などの機能が付与されるので好ましい。なお、コア部における上記式(I)であらわされるモノマーとそれ以外のモノマーとの量は、目的に応じて重合時の仕込み量比により調節することができる。
【0044】
ハイパーブランチコアポリマーの合成に際しては、金属触媒を用いる。金属触媒としては、たとえば、銅、鉄、ルテニウム、クロムなどの遷移金属化合物と配位子との組み合わせからなる金属触媒を使用することが可能である。遷移金属化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅、塩化第一鉄、臭化第一鉄、ヨウ化第一鉄などがあげられる。
【0045】
配位子としては、未置換、あるいはアルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン基、エステル基などにより置換されたピリジン類、ビピリジン類、ポリアミン類、ホスフィン類などがあげられる。好ましい金属触媒としては、たとえば、塩化銅と配位子により構成される銅(I)ビピリジル錯体、銅(I)ペンタメチルジエチレントリアミン錯体、塩化鉄と配位子より構成される鉄(II)トリフェニルホスフィン錯体、鉄(II)トリブチルアミン錯体などを挙げることができる。
【0046】
金属触媒の使用量は、ハイパーブランチコアポリマーの合成に用いるモノマーの全量に対して、0.01〜70モル%となるように使用するのが好ましく、0.1〜60モル%となるように使用するのがより好ましい。このような量で触媒を使用すると、反応性を向上させ、好適な分岐度を有するハイパーブランチコアポリマーを合成することができる。
【0047】
金属触媒の使用量が上記の範囲を下回った場合、反応性が著しく低下し、重合が進行しない可能性がある。一方、金属触媒の使用量が上記の範囲を上回った場合、重合反応が過剰に活発になり、生長末端のラジカル同士がカップリング反応しやすくなり、重合の制御が困難になる傾向がある。さらに、金属触媒の使用量が上記の範囲を上回った場合、ラジカル同士のカップリング反応により、反応系のゲル化が誘発される。
【0048】
金属触媒は、上述した遷移金属化合物と配位子とを装置内で混合し、錯体化されてもよい。遷移金属化合物と配位子とからなる金属触媒は、活性を持つ錯体の状態で装置に加えられてもよい。遷移金属化合物と配位子とを装置内で混合し、錯体化される方が、ハイパーブランチポリマーの合成作業の簡便化を図ることができるため好ましい。
【0049】
金属触媒の添加方法は特に限定されるものではないが、たとえば、ハイパーブランチコアポリマーの重合前に一括して添加することができる。また、重合開始後、触媒の失活具合に応じて金属触媒を追加して添加してもよい。たとえば、金属触媒となる錯体の反応系における分散状態が不均一である場合には、遷移金属化合物を装置内にあらかじめ添加しておき、配位子のみを後から添加するようにしてもよい。
【0050】
上述した金属触媒の存在下においてハイパーブランチコアポリマーを合成するための重合反応は、無溶媒でも可能であるが、溶媒中でおこなうことが望ましい。上述した金属触媒の存在下におけるハイパーブランチコアポリマーの重合反応に用いる溶媒としては、特に限定はされないが、たとえば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒が挙げられる。これらは、単独で使用されても、2種以上を併用しても良い。
【0051】
ハイパーブランチコアポリマーの合成(コア重合)に際しては、ラジカルが酸素の影響を受けることを防ぐために、窒素や不活性ガス存在あるいはフロー下、酸素不存在条件の下でコア重合をおこなうことが好ましい。コア重合は、バッチ方式、連続式のいずれの方法にも適用することができる。コア重合に際しては、金属触媒が酸化されて失活することを防ぐため、コア重合に使用する全ての物質、すなわち、金属触媒、溶媒、モノマーなどは、減圧、あるいは、窒素やアルゴンのような不活性ガスの吹き込みによって、十分に脱酸素(脱気)したものを使用することが好ましい。
【0052】
コア重合は、たとえば、反応容器内にモノマーを滴下しながら重合をおこなうことができる。金属触媒が低量である場合、モノマーの滴下スピードをコントロールすることで、合成されるマクロ開始剤における高い分岐度を保つことができる。すなわち、モノマーの滴下スピードをコントロールすることで、合成されるハイパーブランチコアポリマー(マクロ開始剤)における高い分岐度を保ったまま、金属触媒の使用量を低減することができる。ハイパーブランチコアポリマーにおける高い分岐度を保つため、滴下するモノマーの濃度は、反応全量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。
【0053】
コア重合に際しては、添加剤を用いる。コア重合に際しては、下記式(1−1)または式(1−2)で示される化合物の少なくとも一種類を添加することが可能である。
【0054】
1−A 式(1−1)
【0055】
2−B−R3 式(1−2)
【0056】
上記式(1−1)中のR1は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示している。より詳細には、上記式(1−1)中のR1は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基をあらわす。上記式(1−1)中のAは、シアノ基、水酸基、ニトロ基を示している。上記式(1−1)であらわされる化合物としては、たとえば、ニトリル類、アルコール類、ニトロ化合物などが挙げられる。
【0057】
具体的に、上記式(1−1)であらわされる化合物に含まれるニトリル類としては、たとえば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどが挙げられる。具体的に、上記式(1−1)であらわされる化合物に含まれるアルコール類としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘシキルアルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。具体的に、上記式(1−1)であらわされる化合物に含まれるニトロ化合物としては、たとえば、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロベンゼンなどが挙げられる。なお、式(1−1)であらわされる化合物は、上記の化合物に限定されるものではない。
【0058】
上記式(1−2)中のR2およびR3は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数1〜10のジアルキルアミノ基、Bはカルボニル基、スルホニル基を示している。より詳細には、上記式(1−2)中のR2およびR3は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数2〜10のジアルキルアミノ基をあらわす。上記式(1−2)中のR2とR3とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
上記式(1−2)であらわされる化合物としては、たとえば、ケトン類、スルホキシド類、アルキルホルムアミド化合物などが挙げられる。具体的に、ケトン類としては、たとえば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、シクロヘキサンノン、2−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2−メチルアセトフェノンなどが挙げられる。
【0060】
具体的に、上記式(1−2)であらわされる化合物に含まれるスルホキシド類としては、たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどが挙げられる。具体的に、上記式(1−2)であらわされる化合物に含まれるアルキルホルムアミド化合物としては、たとえば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミドなどが挙げられる。なお、上記式(1−2)であらわされる化合物は、上記の化合物に限定されるものではない。上記式(1−1)または上記式(1−2)であらわされる化合物の中で、ニトリル類、ニトロ化合物、ケトン類、スルホキシド類、アルキルホルムアミド化合物が好ましく、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ニトロエタン、ニトロプロパン、ジメチルスルホキシド、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。
【0061】
ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0062】
ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物を、溶媒として単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0063】
ハイパーブランチポリマーの合成に際して添加する、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量は、上述した金属触媒における遷移金属原子の量に対して、モル比で2倍以上であって10000倍以下であることが好ましい。上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量は、上述した金属触媒における遷移金属原子の量に対して、モル比で3倍以上であって7000倍以下であることがより好ましく、モル比で4倍以上であって5000倍以下であることがより一層好ましい。
【0064】
なお、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量が少なすぎる場合、急激な分子量の増加を十分に抑制できない。一方で、上記式(1−1)または式(1−2)であらわされる化合物の添加量が多すぎる場合、反応速度が遅くなりオリゴマーが多量にできてしまう。
【0065】
コア重合の重合時間は、重合物の分子量に応じて、0.1〜10時間の間でおこなうのが好ましい。コア重合に際して、反応温度は、0〜200℃の範囲であることが好ましい。コア重合に際してのより好ましい反応温度は、50〜150℃の範囲である。使用溶媒の沸点よりも高い温度で重合させる場合は、たとえば、オートクレープ中で加圧してもよい。
【0066】
コア重合に際しては、反応系を均一に分散させることが好ましい。たとえば、反応系を撹拌することで、反応系を均一に分散させる。コア重合に際しての具体的な撹拌条件としては、たとえば、単位容積当たりの攪拌所要動力が、0.01kW/m3以上であることが好ましい。コア重合に際しては、さらに、重合の進行や触媒の失活の程度に応じて、触媒を追加したり、触媒を再生させる還元剤を添加したりしてもよい。
【0067】
コア重合に際しては、コア重合が設定した分子量に到達した時点で重合反応を停止させる。コア重合の停止方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、冷却する、酸化剤やキレート剤などの添加によって触媒を失活させる、などの方法用いることができる。
【0068】
実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーは、上述のように合成されたハイパーブランチコアポリマー分子の末端を構成するシェル部を備えている。ハイパーブランチポリマーのシェル部は、下記式(II)、(III)であらわされる繰り返し単位の少なくとも一方を備えている。
【0069】
下記式(II)、(III)であらわされる繰り返し単位は、酢酸、マレイン酸、安息香酸などの有機酸あるいは塩酸、硫酸または硝酸などの無機酸の作用により、好ましくは光エネルギーによって酸を発生する光酸発生剤の作用により分解する酸分解性基を含む。酸分解性基は分解して親水基となるのが好ましい。
【0070】
【化2】

【0071】
【化3】

【0072】
上記式(II)中のR1および上記式(III)中のR4は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示している。このうち、上記式(II)中のR1および上記式(III)中のR4としては、水素原子およびメチル基が好ましい。上記式(II)中のR1および上記式(III)中のR4としては、水素原子がさらに好ましい。
【0073】
上記式(II)中のR2は、水素原子、アルキル基、またはアリール基を示している。上記式(II)中のR2におけるアルキル基としては、たとえば、炭素数が1〜30であることが好ましく、炭素数が1〜20であることがより好ましく、炭素数が1〜10であることがより一層好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状構造を有している。具体的に、上記式(II)中のR2におけるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、などが挙げられる。
【0074】
上記式(II)中のR2におけるアリール基としては、たとえば、炭素数6〜30であることが好ましい。上記式(II)中のR2におけるアリール基のより好ましい炭素数は、6〜20であり、より好ましい単位は、6〜10である。具体的に、上記式(II)中のR2におけるアリール基としては、たとえば、フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。このうち、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基などが挙げられる。上記式(II)中のR2として、もっとも好ましい基の1つとして水素原子が挙げられる。
【0075】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5は、水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基、オキソアルキル基、または下記式(i)であらわされる基を示している。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基としては、炭素数1〜40であることが好ましい。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜30である。
【0076】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜20である。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるアルキル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状構造を有している。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5としては、炭素数1〜20の分岐状アルキル基がより好ましい。
【0077】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5における各アルキル基の好ましい炭素数は1〜6であり、より好ましい炭素数は1〜4である。上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5におけるオキソアルキル基のアルキル基の炭素数は4〜20であり、より好ましい炭素数は4〜10である。
【0078】
【化4】

【0079】
上記式(i)中のR6は、水素原子またはアルキル基を示している。上記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状構造を有している。上記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。上記式(i)であらわされる基のR6におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜8であり、より好ましい炭素数は1〜6である。
【0080】
上記式(i)中のR7およびR8は、水素原子またはアルキル基である。上記式(i)中のR7およびR8における水素原子またはアルキル基は、互いに独立していてもよいし、一緒になって環を形成しても良い。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状構造を有している。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基のより好ましい炭素数は、1〜8である。上記式(i)中のR7およびR8におけるアルキル基のより一層好ましい炭素数は、1〜6である。上記式(i)中のR7およびR8としては、炭素数1〜20の分岐状アルキル基が好ましい。
【0081】
上記式(i)で示される基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−tert−アミロキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチル−エチル基などの直鎖状または分岐状アセタール基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基などの環状アセタール基、などが挙げられる。上記式(i)で示される基としては、前述した各基の中でも、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基、テトラヒドロピラニル基が特に好適である。
【0082】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5において、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、tert−アミル基などが挙げられる。このうち、tert−ブチル基が特に好ましい。
【0083】
上記式(II)中のR3および上記式(III)中のR5において、トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基などの、各アルキル基の炭素数が1〜6のものが挙げられる。オキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0084】
上記式(II)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとしては、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸tert−ブチル、ビニル安息香酸2−メチルブチル、ビニル安息香酸2−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−エチルブチル、ビニル安息香酸3−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−メチルヘキシル、ビニル安息香酸3−メチルヘキシル、ビニル安息香酸トリエチルカルビル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−メチルノルボニル、ビニル安息香酸1−エチルノルボニル、ビニル安息香酸2−メチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸2−エチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ビニル安息香酸テトラヒドロフラニル、ビニル安息香酸テトラヒドロピラニル、ビニル安息香酸1−メトキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシエチル、ビニル安息香酸1−n−プロポキシエチル、ビニル安息香酸1−イソプロポキシエチル、ビニル安息香酸n−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−イソブトキシエチル、ビニル安息香酸1−sec−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−アミロキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−n−プロピル、ビニル安息香酸1−シクロヘキシロキシエチル、ビニル安息香酸メトキシプロピル、ビニル安息香酸エトキシプロピル、ビニル安息香酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸トリメチルシリル、ビニル安息香酸トリエチルシリル、ビニル安息香酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、ビニル安息香酸1−メチルシクロヘキシル、ビニル安息香酸アダマンチル、ビニル安息香酸2−(2−メチル)アダマンチル、ビニル安息香酸クロルエチル、ビニル安息香酸2−ヒドロキシエチル、ビニル安息香酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、ビニル安息香酸5−ヒドロキシペンチル、ビニル安息香酸トリメチロールプロパン、ビニル安息香酸グリシジル、ビニル安息香酸ベンジル、ビニル安息香酸フェニル、ビニル安息香酸ナフチルなどが挙げられる。このうち、4−ビニル安息香酸と4−ビニル安息香酸tert−ブチルの重合体が好ましい。
【0085】
上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸3−メチルペンチル、アクリル酸2−メチルヘキシル、アクリル酸3−メチルヘキシル、アクリル酸トリエチルカルビル、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルノルボニル、アクリル酸1−エチルノルボニル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸1−メトキシエチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸1−n−プロポキシエチル、アクリル酸1−イソプロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸1−イソブトキシエチル、アクリル酸1−sec−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−アミロキシエチル、アクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、アクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリエチルシリル、アクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチルブチル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸3−メチルペンチル、メタクリル酸2−メチルヘキシル、メタクリル酸3−メチルヘキシル、メタクリル酸トリエチルカルビル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−メチルノルボニル、メタクリル酸1−エチルノルボニル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフラニル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸1−メトキシエチル、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−n−プロポキシエチル、メタクリル酸1−イソプロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸1−イソブトキシエチル、メタクリル酸1−sec−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−アミロキシエチル、メタクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、メタクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリエチルシリル、メタクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α―(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α―(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、メタクリル酸クロルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、などが挙げられる。このうち、アクリル酸とアクリル酸tert−ブチルの重合体が好ましい。
【0086】
なお、シェル部を構成するモノマーとしては、4−ビニル安息香酸またはアクリル酸の少なくとも一方と、4−ビニル安息香酸tert−ブチルまたはアクリル酸tert−ブチルの少なくとも一方と、の重合体も好ましい。シェル部を構成するモノマーとしては、ラジカル重合性の不飽和結合を有する構造であれば、上記式(II)および上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマー以外のモノマーであってもよい。
【0087】
使用することができる重合モノマーとしては、たとえば、上記以外のスチレン類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、クロトン酸エステル類などから選ばれるラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
【0088】
シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられた、上記以外のスチレン類としては、具体例には、たとえば、スチレン、tert−ブトキシスチレン、α−メチル−tert−ブトキシスチレン、4−(1−メトキシエトキ)シスチレン、4−(1−エトキシエトキ)シスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、アダマンチルオキシスチレン、4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)スチレン、4−(1−メチルシクロヘキシルオキシ)スチレン、トリメチルシリルオキシスチレン、ジメチル−tert−ブチルシリルオキシスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、ベンジルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。
【0089】
シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたアリルエステル類としては、具体例には、たとえば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、アリルオキシエタノール、などが挙げられる。
【0090】
シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたビニルエーテル類としては、具体例には、たとえば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル、などが挙げられる。
【0091】
シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたビニルエステル類としては、具体例には、たとえば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、などが挙げられる。
【0092】
シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとして挙げられたクロトン酸エステル類としては、具体例には、たとえば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネート、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、ジメチルマレレート、ジブチルフマレート、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリルなどが挙げられる。
【0093】
また、シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーとしては、具体的には、たとえば、下記式(IV)〜(XIII)なども挙げられる。
【0094】
【化5】

【0095】
【化6】

【0096】
【化7】

【0097】
【化8】

【0098】
【化9】

【0099】
【化10】

【0100】
【化11】

【0101】
【化12】

【0102】
【化13】

【0103】
【化14】

【0104】
シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーの中で、スチレン類、クロトン酸エステル類が好ましい。シェル部を構成するモノマーとして使用することができる重合モノマーの中でもスチレン、ベンジルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレン、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、無水マレイン酸が好ましい。
【0105】
ハイパーブランチポリマーにおいて、上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーは、ハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマー全体の仕込み量に対して、仕込み時において、10〜90モル%の範囲で含まれていることが好ましい。前述した繰り返し単位を与えるモノマーは、ハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマー全体の仕込み量に対して、仕込み時において、20〜90モル%の範囲で含まれていることがより好ましい。
【0106】
前述した繰り返し単位を与えるモノマーは、ハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマー全体の仕込み量に対して、仕込み時において、30〜90モル%の範囲でポリマーに含まれるのがより一層好ましい。特に、シェル部において上記式(II)または上記式(III)であらわされる繰り返し単位が、ハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマー全体の仕込み量に対して、仕込み時において、50〜100モル%、好ましくは80〜100モル%の範囲で含まれるのが好適である。前述した繰り返し単位を与えるモノマーが、ハイパーブランチポリマーの合成に用いるモノマー全体での仕込み量に対して、仕込み時において、前述の範囲内にあると、当該ハイパーブランチポリマーを含んだレジスト組成物を用いたリソグラフィの現像工程において、露光部が効率よくアルカリ溶液に溶解し除去されるので好ましい。
【0107】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーのシェル部が、上記式(II)または上記式(III)であらわされる繰り返し単位を与えるモノマーとその他のモノマーとの重合物によっ
て構成される場合、シェル部を構成する全モノマー中における上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方の量は、30〜90モル%であるのが好ましく、50〜70モル%であるのがより好ましい。
【0108】
シェル部を構成する全モノマー中における上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方の量が前述の範囲内にあると、露光部の効率的アルカリ溶解性を阻害せずに、エッチング耐性、ぬれ性、ガラス転移温度の上昇などの機能が付与されるので好ましい。なお、シェル部における上記式(II)または上記式(III)の少なくとも一方であらわされる繰り返し単位とそれ以外の繰り返し単位との量は、目的に応じてシェル部導入時のモル比の仕込み量比により調節することができる。
【0109】
ハイパーブランチコアポリマーにシェル部を重合(シェル重合)させる際には、ラジカルが酸素の影響を受けることを防ぐために、窒素や不活性ガス存在下あるいはフロー下、酸素不存在条件の下でおこなわれることが好ましい。シェル重合は、バッチ方式、連続式のいずれの方法にも適用することができる。シェル重合は、上述したコア重合に連続しておこなってもよいし、上述したコア重合後に金属触媒とモノマーとを除去してから、再度、触媒を添加することでおこなっても良い。また、シェル重合は、コア重合によって合成されたハイパーブランチコアポリマーを乾燥させてからおこなってもよい。
【0110】
シェル重合は、金属触媒の存在下でおこなう。シェル重合に際しては、上述したコア重合に際して用いた金属触媒と同様の金属触媒を用いることができる。シェル重合に際しては、たとえば、シェル重合の開始前に、シェル重合をおこなう反応系内にあらかじめ金属触媒を設けておき、この反応系にコア重合によって合成されたハイパーブランチコアポリマー(マクロ開始剤、コアマクロマー)およびシェル部を構成するモノマーを滴下する。具体的には、たとえば、反応用の釜の内面にあらかじめ金属触媒を設けておき、この反応用の釜にマクロ開始剤およびモノマーを滴下する。また、具体的には、たとえば、あらかじめハイパーブランチコアポリマーが存在する反応用の釜に、上述したシェル部を構成するモノマーを滴下するようにしてもよい。シェル重合に際して使用するモノマー、金属触媒、および溶媒は、上述したコア重合と同様に、十分に脱酸素(脱気)したものを使用することが好ましい。
【0111】
シェル重合に際して使用される金属触媒としては、たとえば、銅、鉄、ルテニウム、クロムなどの遷移金属化合物と配位子との組み合わせからなる金属触媒を使用することが可能である。遷移金属化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅、塩化第一鉄、臭化第一鉄、ヨウ化第一鉄などがあげられる。
【0112】
配位子としては、未置換、あるいはアルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン基、エステル基などにより置換されたピリジン類、ビピリジン類、ポリアミン類、ホスフィン類などがあげられる。好ましい金属触媒としては、たとえば、塩化銅と配位子により構成される銅(I)ビピリジル錯体、銅(I)ペンタメチルジエチレントリアミン錯体、塩化鉄と配位子より構成される鉄(II)トリフェニルホスフィン錯体、鉄(II)トリブチルアミン錯体などを挙げることができる。
【0113】
金属触媒の使用量は、シェル重合に用いるハイパーブランチコアポリマーの反応活性点に対して、0.01〜70モル%となるように使用するのが好ましく、0.1〜60モル%となるように使用するのがより好ましい。このような量で触媒を使用すると、反応性を向上させ、好適な分岐度を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0114】
金属触媒の使用量が上記の範囲を下回った場合、反応性が著しく低下し、重合が進行しない可能性がある。一方、金属触媒の使用量が上記の範囲を上回った場合、重合反応が過剰に活発になり、生長末端のラジカル同士がカップリング反応しやすくなり、重合の制御が困難になる傾向がある。さらに、金属触媒の使用量が上記の範囲を上回った場合、ラジカル同士のカップリング反応により、反応系のゲル化が誘発される。
【0115】
金属触媒は、上述した遷移金属化合物と配位子とを装置内で混合し、錯体化されてもよい。遷移金属化合物と配位子とからなる金属触媒は、活性を持つ錯体の状態で装置に加えられてもよい。遷移金属化合物と配位子とを装置内で混合し、錯体化される方が、ハイパーブランチポリマーの合成作業の簡便化を図ることができる。
【0116】
金属触媒の添加方法は特に限定されるものではないが、たとえば、シェル重合前に一括して添加することができる。また、重合開始後、触媒の失活具合に応じて追加して添加してもよい。たとえば、金属触媒となる錯体の反応系における分散状態が不均一である場合には、遷移金属化合物を装置内にあらかじめ添加しておき、配位子のみを後から添加するようにしてもよい。
【0117】
上述した金属触媒の存在下においてシェル重合反応は、無溶媒でも可能であるが、溶媒中でおこなうことが望ましい。上述した金属触媒の存在下におけるハイパーブランチコアポリマーの重合反応に用いる溶媒としては、特に限定はされないが、たとえば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒が挙げられる。これらは、単独で使用されても、2種以上を併用しても良い。
【0118】
上述したようにシェル重合をおこなうことによって、ハイパーブランチコアポリマーの濃度に関わらずゲル化を効率的に防ぐことができる。シェル重合に際してのハイパーブランチコアポリマーの濃度は、仕込み時におけるハイパーブランチコアポリマーおよびモノマーを含む反応全量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
【0119】
シェル重合に際してのモノマーの濃度は、コアマクロマーの反応活性点に対して0.5〜20モル当量であることが好ましい。シェル重合に際してのより好ましいモノマーの濃度は、コアマクロマーの反応活性点に対して1〜15モル当量である。コアマクロマーの反応活性点に対するモノマー量を適切にコントロールすることで、コア/シェル比をコントロールすることができる。
【0120】
シェル重合に際しての重合時間は、重合物の分子量に応じて0.1〜10時間の間でおこなうのが好ましい。シェル重合に際しての反応温度は、0〜200℃の範囲であることが好ましい。シェル重合に際してのより好ましい反応温度は、50〜150℃の範囲である。また、使用溶媒の沸点よりも高い温度で重合させる場合は、たとえば、オートクレープ中で加圧するようにしてもよい。
【0121】
シェル重合に際しては、反応系を均一に分散させる。たとえば、反応系を撹拌することで、反応系を均一に分散させる。シェル重合に際しても具体的な撹拌条件としては、たとえば、単位容積当たりの攪拌所要動力が、0.01kW/m3以上とすることが好ましい。
【0122】
シェル重合に際しては、重合の進行や触媒の失活に応じて、触媒を追加したり、触媒を再生させる還元剤を添加してもよい。シェル重合は、シェル重合が設定した分子量に到達した時点で停止させる。シェル重合の停止方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、冷却する、酸化剤やキレート剤などの添加によって触媒を失活させる、などの方法用いることができる。
【0123】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、シェル重合後に、金属触媒の除去と、モノマーの除去と、微量金属の除去(金属触媒由来)と、をおこなう。金属触媒は、シェル重合終了の後に除去する。金属触媒の除去方法は、たとえば、以下に示す(a)〜(c)の方法を、単独あるいは複数組み合わせておこなうことができる。
【0124】
(a)協和化学工業製キョーワードのような各種吸着剤を使用する。
(b)濾過や遠心分離によって不溶物を除去する。
(c)酸、およびまたは、キレート効果のある物質を含む水溶液で抽出する。
【0125】
上記の(c)の方法にしたがった場合に用いるキレート効果のある物質としては、たとえば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、マロン酸などの有機カルボン酸や、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミノ五酢酸などのアミノカーボネート、ヒドロキシアミノカーボネートなどが挙げられる。上記の(c)の方法にしたがった場合に用いるキレート効果のある物質としては、たとえば、無機酸である塩酸、硫酸などが挙げられる。キレート能を持つ物質の水溶液中の濃度は、化合物のキレート能に応じて異なるが、たとえば、0.05質量%〜10質量%であることが好ましい。
【0126】
モノマーの除去は、上述した金属触媒の除去後におこなっても、金属触媒の除去に引き続く微量金属の除去まで行った後におこなってもどちらでも良い。モノマーの除去に際しては、上述したコア重合およびシェル重合に際して滴下したモノマーのうち、未反応のモノマーを除去する。未反応のモノマーを除去する方法としては、たとえば、以下に示す以下に示す(d)〜(e)の方法を、単独あるいは複数組み合わせておこなうことができる。
【0127】
(d)良溶媒に溶解した反応物に貧溶媒を添加することにより、ポリマーを沈殿させる。
(e)良溶媒と貧溶媒の混合溶媒でポリマーを洗浄する。
【0128】
上記の(d)〜(e)において、良溶媒としては、たとえば、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、ニトリル、エーテル、ケトン、エステル、カーボ―トまたはこれらの溶媒を含む混合溶媒が挙げられる。具体的には、たとえば、テトラヒドロフランやクロロベンゼン、クロロホルムなどが挙げられる。貧溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、水、またはこれらの溶媒を組み合わせた溶媒が挙げられる。
【0129】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、上述した金属触媒の除去、モノマーの除去後に、ポリマー中に残存する微量の金属を低減させる。ポリマー中に残存する微量の金属を低減させる方法としては、たとえば、以下に示す(f)〜(g)の方法を単独、あるいは複数組み合わせておこなうことができる。
【0130】
(f)キレート能を持つ有機化合物の水溶液、無機酸水溶液、および純水によって液々抽出する。
(g)吸着剤、イオン交換樹脂を使用する。
【0131】
上記の(f)における液々抽出に用いる有機溶媒としては、たとえば、クロロベンゼンやクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミルのような酢酸エステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタン、2−ペンタノンのようなケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルアセテート類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類などが好ましいものとして挙げられる。
【0132】
より好ましくは、上記の(f)における液々抽出に使用する有機溶媒としては、たとえば、クロロホルム、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。上記の(f)にしたがった場合の液々抽出に際して、モノマーおよび金属触媒を除去した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの有機溶媒に対する質量%は、1〜30質量%程度であることが好ましく、5〜20質量%程度であることがより好ましい。
【0133】
上記の(f)にしたがった場合の液々抽出に用いるキレート能を持つ有機化合物としては、たとえば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、マロン酸などの有機カルボン酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミノ五酢酸などのアミノカーボネート、ヒドロキシアミノカーボネートなどがあげられる。上記の(f)における液々抽出に用いる無機酸としては、塩酸、硫酸があげられる。
【0134】
上記の(f)にしたがった場合の液々抽出に際して、キレート能を持つ有機化合物および無機酸の水溶液中の濃度は、たとえば、0.05質量%〜10質量%であることが好ましい。なお、上記の(f)における液々抽出に際しての、キレート能を持つ有機化合物および無機酸の水溶液中の濃度は、化合物のキレート能に応じて異なる。
【0135】
微量金属除去に際して、キレート能を持つ有機化合物の水溶液、無機酸水溶液を用いる場合、キレート能を持つ有機化合物の水溶液と無機酸水溶液とを混合して用いてもよいし、キレート能を持つ有機化合物の水溶液と無機酸水溶液とを別々に用いてもよい。キレート能を持つ有機化合物の水溶液と無機酸水溶液とを別々に用いる場合、キレート能を持つ有機化合物の水溶液または無機酸水溶液のどちらを先に用いてもよい。
【0136】
金属除去に際して、キレート能を持つ有機化合物の水溶液と無機酸水溶液とを別々に用いる場合に、無機酸水溶液を後半におこなう方がより好ましい。これは、キレート能を持つ有機化合物の水溶液が、銅触媒や多価金属の除去に有効であり、無機酸水溶液が、実験器具などに由来する1価金属の除去に有効であるためである。
【0137】
このため、キレート能を持つ有機化合物の水溶液と無機酸水溶液とを混合して用いる場合においても、後半に単独の無機酸水溶液を用いてシェル部の洗浄をおこなうことが望ましい。抽出回数は特に制限されるものではないが、たとえば、2〜5回おこなうのが望ましい。実験器具などに由来する金属の混入を防止するため、特に銅イオンが減少した状態で用いる実験器具は、予備洗浄を行ったものを用いることが好ましい。予備洗浄の方法は特に限定されないが、たとえば、硝酸水溶液による洗浄などがあげられる。
【0138】
無機酸水溶液単独による洗浄の回数は、1〜5回が好ましい。無機酸水溶液単独による洗浄を1〜5回おこなうことにより、1価金属を十分に除去することができる。また、残留する酸成分を除去するため、最後に純水による抽出処理をおこない、酸を完全に除去することが好ましい。純水による洗浄の回数は、1〜5回が好ましい。純水による洗浄を1〜5回おこなうことにより、残留する酸を十分に除去することができる。
【0139】
金属除去に際して、精製されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含む反応溶媒(以下、単に「反応溶媒」という。)とキレート能を持つ有機化合物の水溶液、無機酸水溶液、および純水との比率は、いずれも容量比にして1:0.1〜1:10が好ましい。より好ましい上記の比率は、容量比にして、1:0.5〜1:5である。このような比率の溶媒を用いて洗浄することにより、適度な回数で、金属を容易に除去することができる。これによって、操作の容易化、操作の簡易化を図ることができ、コアシェル型ハイパーブランチポリマーを効率よく合成する上で好適である。反応溶媒に溶解しているレジストポリマー中間体の重量濃度は、溶媒に対して、通常1〜30質量%程度であることが好ましい。
【0140】
上記の(f)における液々抽出処理は、たとえば、反応溶媒とキレート能を持つ有機化合物の水溶液、無機酸水溶液、および純水を混合した混合溶媒(以下、単に「混合溶媒」という。)を、2層に分離させ、金属イオンが移行した水層をデカンテーションなどにより、除去することによりおこなう。
【0141】
混合溶媒を2層に分離させる方法としては、たとえば、反応溶媒に、キレート能を持つ有機化合物の水溶液、無機酸水溶液、および純水を添加し、攪拌などにより十分に混合した後、静置することによっておこなう。また、混合溶媒を2層に分離させる方法としては、たとえば、遠心分離法を用いてもよい。上記の(f)における液々抽出処理は、たとえば、10〜50℃の温度においておこなうことが好ましく、20〜40℃の温度においておこなうことがより好ましい。
【0142】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に際しては、微量金属除去後に、必要に応じて酸分解性基の部分的分解をおこなってもよい。酸分解性基の部分的分解に際しては、たとえば、酸分解性基の一部を上述した酸触媒用いて酸基に分解(酸分解性基を誘導)する。
【0143】
酸分解性基の一部を上述した酸触媒用いて酸基に分解する(酸分解性基を部分的に分解する)際には、金属除去後におけるハイパーブランチポリマー中の酸分解性基に対して、通常、0.001〜100当量の酸触媒を使用する。酸触媒としては、特に限定はされないが、たとえば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸、などが挙げられる。
【0144】
上述した酸触媒用いて酸分解性基を部分的に分解する反応に使用される有機溶媒は、金属除去されたハイパーブランチポリマーを溶解しうるものであり、かつ、水に対して相溶性のある溶媒であることが望ましく、とえば、入手のし易さや、扱いの容易さから、上述した酸触媒用いて酸分解性基を部分的に分解する反応に使用される有機溶媒としては、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる溶媒が好ましい。
【0145】
上述した酸触媒用いて酸分解性基を部分的に分解する反応に使用される有機溶媒の量は、上述のように金属が除去されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーと酸触媒とが溶解していれば、特に限定はされないが、金属が除去されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーに対して5〜500質量倍であることが好ましい。上述した酸触媒用いて酸分解性基を部分的に分解する反応に使用される有機溶媒のより好ましい量は、8〜200質量倍である。上述した酸触媒用いて酸分解性基を部分的に分解する反応は、50〜150℃で10分〜20時間加熱攪拌することによりおこなうことができる。
【0146】
酸分解性基を部分的に分解した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、導入した酸分解性基を含有するモノマー中の0.1〜80モル%が脱保護されて酸基に変換されているのが好ましい。たとえば、酸分解性基を部分的に分解した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーをフォトレジストなどのレジスト組成物に利用する場合、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーを用いたレジスト組成物の組成により最適値が異なる。
【0147】
酸分解性基を部分的に分解した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率が上記のような範囲にあると、光に対する感度の向上と露光後の効率的なアルカリ溶解性が達成されるため好ましい。酸分解性基を部分的に分解した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーにおける酸分解性基と酸基との比率は、酸触媒の量、温度、反応時間を適宜選択することで、調節することができる。
【0148】
なお、たとえば、上述した脱保護後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーをフォトレジストなどのレジスト組成物に利用した場合、当該レジスト組成物の組成によって、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマーの酸分解性基と酸基との比率の最適値は異なる。酸分解性基と酸基との比率は、酸触媒の量、温度、反応時間を適宜選択することで、調節することができる。
【0149】
酸分解性基を部分的に分解する反応後は、酸分解性基を部分的分解する反応後の、酸基が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する溶液(以下、「反応液」という。)を超純水と混合し、酸分解性基を部分的分解する反応後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを析出させた後、析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含む溶液を用いて遠心分離、濾過、デカンテーションなどをおこなうことで、酸分解性基を部分的分解する反応後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを分離する。
【0150】
実施の形態においては、ここに、析出工程が実現されている。その後、析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを再度有機溶媒に溶解し、析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを溶解した溶液と超純水とを用いて液々抽出をおこなって、残存する酸触媒を除去する。実施の形態においては、ここに、液々抽出工程が実現されている。
【0151】
前述の液々抽出において使用される有機溶媒は、析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを溶解しうるものであり、かつ、水に対する相溶性が低いあるいは相溶性がないものであることが好ましい。このような性質を有している有機溶媒であれば特に限定されるものではないが、前述した液々抽出において使用される有機溶媒としては、たとえば、ハロゲン化炭化水素として、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、アルコール類として、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、フェノール類として、フェノール、p−クレゾール、エーテル類として、ジプロピルエーテル、アニソール、ケトン類として、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エステル類として、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、などが挙げられ、これらの溶媒を単独あるいは複数種を任意の割合で混合して使用することもできる。上記有機溶媒の中ではケトン類やエステル類が好ましく、特にメチルイソブチルケトン、酢酸エチルが好ましい。
【0152】
析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの、前述した液々抽出において使用される有機溶媒に対する溶解度は、当該コアシェル型ハイパーブランチポリマー分子内の酸分解性基と酸基との割合に応じて異なる。このため、前述した液々抽出において使用される有機溶媒中における、析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの濃度は、特に限定されるものではないが、たとえば、1〜40質量%の範囲にあることが好ましい。
【0153】
前述した液々抽出に使用される超純水は、有機溶媒に対して、容量比で超純水/有機溶媒=0.1/1〜1/0.1の範囲にあることが好ましい。この範囲の中でも、酸分解性基の一部を上述した酸触媒用いて酸基に分解する際には、前述した液々抽出に使用される超純水を、容量比で超純水/有機溶媒=0.5/1〜1/0.5の範囲で用いることで、廃液量の減少を図ることができるので、好ましい。
【0154】
前述した液々抽出は、10〜50℃の範囲において、水層のpHが中性を示すようになるまで繰り返されることが好ましい。抽出回数は、使用する酸の濃度に応じて決定されるが、工業化のためのコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成のスケールアップにともなう廃液量の増加を抑制するためには、1〜10回の範囲にあることが好ましい。
【0155】
前述した液々抽出抽出後は、液々抽出に用いた有機溶媒を留去し、乾燥させる。乾燥方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、真空乾燥や噴霧乾燥などの乾燥方法が挙げられる。乾燥に際しては、モノマーが除去されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーおよびコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する環境の温度(以下、「乾燥温度」という)を、10〜70℃の範囲とすることが好ましい。乾燥に際しては、乾燥温度を、15〜40℃の範囲とすることがより好ましい。
【0156】
乾燥に際しては、モノマーが除去されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する環境を、真空化することが好ましい。乾燥に際しての真空度は、20Pa以下であることが好ましい。乾燥時間は、1時間〜20時間であることが好ましい。なお、乾燥に際しての真空度および乾燥時間は、前述した値に限るものではなく、上述した乾燥温度が適正に保たれるように設定される。これによって、所望する構造を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得ることができる。
【0157】
(分子構造)
つぎに、上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマーの分子構造について説明する。コアシェル型ハイパーブランチポリマーにおけるコア部の分岐度(Br)は、0.3〜0.5であるのが好ましい。より好ましい分岐度(Br)は、0.4〜0.5である。コアシェル型ハイパーブランチポリマーにおけるコア部の分岐度(Br)が、上記の範囲にある場合、当該ハイパーブランチコアポリマーを用いて合成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーをレジスト組成物として用いた場合に、ポリマー分子間での絡まりが小さく、パターン側壁における表面ラフネスが抑制されるので好ましい。
【0158】
ここで、コアシェル型のハイパーブランチポリマーにおけるコア部の分岐度(Br)は、生成物の1H−NMRを測定し、以下のようにして求めることができる。すなわち、4.6ppmに現われる−CH2Cl部位のプロトンの積分比H1°と、4.8ppmに現われる−CHCl部位のプロトンの積分比H2°を用いて、下記数式(A)の演算をおこなうことにより算出できる。−CH2Cl部位と−CHCl部位との両方で重合が進行し、分岐が高まった場合、分岐度(Br)の値は0.5に近づく。
【0159】
【数1】

【0160】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーにおけるコア部の重量平均分子量(Mw)は、300〜8,000であるのが好ましく、500〜6,000であるのもまた好ましく、1,000〜4,000であるのが最も好ましい。コア部の分子量がこのような範囲にあると、コア部は球状形態をとり、また酸分解性基導入反応において、反応溶媒への溶解性を確保できるので好ましい。さらに、成膜性に優れ、上記分子量範囲のコア部に酸分解性基を誘導したハイパーブランチポリマーにおいて、未露光部の溶解抑止に有利となるので好ましい。
【0161】
コアシェル型のハイパーブランチポリマーにおけるコア部の多分散度(Mw/Mn)は1〜3であるのが好ましく、1〜2.5であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、露光後に不溶化などの悪影響を招く恐れがなく、望ましい。
【0162】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(M)は、500〜21,000が好ましく、2,000〜21,000がより好ましく、最も好ましくは3,000〜21,000である。コアシェル型ハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(M)がこのような範囲にあると、該ハイパーブランチポリマーを含有するレジストは、成膜性が良好であり、リソグラフィ工程で形成された加工パターンの強度があるため形状を保つことができる。またドライエッチング耐性にも優れ、表面ラフネスも良好である。
【0163】
ここで、コアシェル型のハイパーブランチポリマーにおけるコア部の重量平均分子量(Mw)は、たとえば、0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、温度40℃でGPC(Gel Permeation Chromatography)測定をおこなって求めることができる。測定に際しては、移動溶媒としてはテトラヒドロフランを用い、標準物質としてはスチレンを使用するとともに、GPC HLC−8020型装置を用いて、カラムをTSKgel HXL−M(東ソー株式会社製)2本を連結する。
【0164】
コアシェル型ハハイパーブランチポリマーの重量平均分子量(M)は、酸分解性基が導入されたポリマーの各繰り返し単位の導入比率(構成比)を1H−NMRにより求め、コアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア部分の重量平均分子量(Mw)をもとにして、各構成単位の導入比率および、各構成単位の分子量を使って計算により求めることができる。なお、合成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの形状は、NMRによる1級と2級との水素から球状であると判断できる。
【0165】
上述したように、実施の形態によれば、合成に際して排出される廃液量の低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法を提供することができる。
【0166】
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの用途)
コアシェル型ハイパーブランチポリマーの用途としては、特に限定されないが、たとえば、フォトレジスト用ポリマー、カラーフィルターやバイオチップなどのインクジェット加工用樹脂、粉体塗料などの架橋剤、固体電解質用基材、BDF用流動点降下剤などが挙げられる。
【0167】
たとえば、コアシェル型ハイパーブランチポリマーの用途をフォトレジスト用ポリマーとする場合、ハイパーブランチポリマーをコア部とし、ハイパーブランチポリマーの末端にシェル部として酸分解性を導入することで、パターン側壁の凹凸が少なく、露光後のアルカリ溶解性の高い、すなわち光に対する感度の高い、優れたフォトレジスト用ポリマーを得ることができる。このような用途においては、シェル部として、たとえば、t−ブチルアクリレートなどを原子移動ラジカル重合によって、上述したコアシェル型ハイパーブランチポリマーに重合することができる。
【0168】
当該レジスト組成物は、表面平滑性がナノオーダーで求められる電子線、遠紫外線(DUV)、および極紫外線(EUV)光源に対応し得、半導体集積回路製造用の微細パターンを形成することができる。これによって、この発明にかかる製造方法を用いて生成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物は、波長の短い光を照射する光源を用いて製造される半導体集積回路を用いる各種分野において好適に用いることができる。
【0169】
また、実施の形態のハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物を用いて製造される半導体集積回路においては、製造に際して露光および加熱し、アルカリ現像液に溶解させた後、水洗などによって洗浄した場合に、露光面に溶け残りが殆ど無く、ほぼ垂直なエッジを得ることができる。これによって、性能が安定し、電子線、遠紫外線(DUV)、および極紫外線(EUV)光源に対応した微細な半導体集積回路を得ることができる。
【0170】
(レジスト組成物)
つぎに、ハイパーブランチポリマーを用いたレジスト組成物について説明する。ハイパーブランチポリマーを用いたレジスト組成物(以下、単に「レジスト組成物」という。)における、コアシェル型のハイパーブランチポリマー(レジストポリマー)の配合量は、レジスト組成物の全量に対し、4〜40質量%が好ましく、4〜20質量%がより好ましい。
【0171】
レジスト組成物は、上述したコアシェル型のハイパーブランチポリマーと、光酸発生剤と、を含んでいる。レジスト組成物は、さらに、必要に応じて、酸拡散抑制剤(酸捕捉剤)、界面活性剤、その他の成分、および溶剤などを含んでいてもよい。
【0172】
レジスト組成物に含まれる光酸発生剤としては、たとえば、紫外線、X線、電子線などが照射された場合に酸を発生するものであれば特に制限はなく、公知の各種光酸発生剤の中から目的に応じて適宜選択することができる。具体的に、光酸発生剤としては、たとえば、オニウム塩、スルホニウム塩、ハロゲン含有トリアジン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物、芳香族スルホネート化合物、N−ヒドロキシイミドのスルホネート化合物、などが挙げられる。
【0173】
上述した光酸発生剤に含まれるオニウム塩としては、たとえば、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、などが挙げられる。前記ジアリールヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、などが挙げられる。
【0174】
上述したオニウム塩に含まれるトリアリールセレノニウム塩としては、具体的には、たとえば、トリフェニルセレノニウムヘキサフロロホスホニウム塩、トリフェニルセレノニウムホウフツ化塩、トリフェニルセレノニウムヘキサフロロアンチモネート塩、などが挙げられる。上述したオニウム塩に含まれるトリアリールスルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスホニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジフェニル−4一チオフエノキシフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩、ジフェニル−4−チオフエノキシフェニルスルホニウムペンタフロロヒドロキシアンチモネート塩、などが挙げられる。
【0175】
上述した光酸発生剤に含まれるスルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、p−トリルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムトリフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、などが挙げられる。
【0176】
上述した光酸発生剤に含まれるハロゲン含有トリアジン化合物としては、具体的には、たとえば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチルト1,3,5−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチルト1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−メトキシスチリル)4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ベンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、などが挙げられる。
【0177】
上述した光酸発生剤に含まれるスルホン化合物としては、具体的には、たとえば、ジフェニルジスルホン、ジ−p−トリルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロへキシルスルホニル)ジアゾメタン、(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルアセトフェノン、などが挙げられる。
【0178】
上述した光酸発生剤に含まれる芳香族スルホネート化合物としては、具体的には、たとえば、α−ベンゾイルベンジルp−トルエンスルホネート(通称ベンゾイントシレート)、β−ベンゾイル−β−ヒドロキシフェネチルp−トルエンスルホネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、1,2,3−ベンゼントリイルトリスメタンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、4−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、などが挙げられる。
【0179】
上述した光酸発生剤に含まれるN−ヒドロキシイミドのスルホネート化合物としては、具体的には、たとえば、N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−クロロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(シクロへキシルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(1−ナフテルスルホニルオキシ)スクシンイミド、n−(ベンジルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルポルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミド、などが挙げられる。
【0180】
上述した各種の光酸発生剤のうち、スルホニウム塩が好ましい。特に、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート;スルホン化合物、特に、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンが好ましい。
【0181】
上述した光酸発生剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。光酸発生剤の配合率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、この発明のハイパーブランチポリマー100質量部に対し0.1〜30質量部が好ましい。より好ましい光酸発生剤の配合率は、0.1〜10質量部である。
【0182】
レジスト組成物に含まれる酸拡散抑制剤としては、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分であれば特に制限はない。レジスト組成物に含まれる酸拡散抑制剤は、公知のも各種の酸拡散抑制剤の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
【0183】
レジスト組成物に含まれる酸拡散抑制剤としては、たとえば、同一分子内に窒素原子を1個有する含窒素化合物、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物、同一分子内に窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物、などが挙げられる。
【0184】
上記の酸拡散抑制剤として挙げられた、同一分子内に窒素原子を1個有する含垂素化合物としては、たとえば、モノ(シクロ)アルキルアミン、ジ(シクロ)アルキルアミン、トリ(シクロ)アルキルアミン、芳香族アミン、などが挙げられる。モノ(シクロ)アルキルアミンとしては、具体的には、たとえば、n−ヘキシルアミン、n−へブチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロへキシルアミン、などが挙げられる。
【0185】
同一分子内に窒素原子を1個有する含垂素化合物に含まれるジ(シクロ)アルキルアミンとしては、たとえば、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ベンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロへキシルメチルアミン、などが挙げられる。
【0186】
同一分子内に窒素原子を1個有する含垂素化合物に含まれるトリ(シクロ)アルキルアミンとしては、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ベンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−へブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、などが挙げられる。
【0187】
同一分子内に窒素原子を1個有する含垂素化合物に含まれる芳香族アミンとしては、たとえば、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、などが挙げられる。
【0188】
上記の酸拡散抑制剤として挙げられた、同一分子内に窒素原子を2個有する含窒素化合物としては、たとえば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、などが挙げられる。
【0189】
上記の酸拡散抑制剤として挙げられた、同一分子内に窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体としては、たとえば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミドの重合体、などが挙げられる。
【0190】
上記の酸拡散抑制剤として挙げられた、アミド基含有化合物としては、たとえば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロへキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4,−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミンN,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7一ジアミノへブタン、N,N’−−ジプートキtシ カルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N,−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N,−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N,−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダソール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、などが挙げられる。
【0191】
上記の酸拡散抑制剤として挙げられたウレア化合物としては、具体的には、たとえば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア、などが挙げられる。
【0192】
上記の酸拡散抑制剤として挙げられた含窒素複素環化合物としては、具体的には、たとえば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミグゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、ピベラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピベラジン、ピラジン、ピラソール、ビリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピベリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチピベラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、などが挙げられる。
【0193】
上記の酸拡散抑制剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。上記の酸拡散抑制剤の配合量としては、光酸発生剤100質量部に対して0.1〜1000質量部が好ましい。上記の酸拡散抑制剤のより好ましい配合量は、光酸発生剤100質量部に
対して0.5〜10質量部である。なお、上記の酸拡散抑制剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0194】
レジスト組成物に含まれる界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、などが挙げられる。なお、レジスト組成物に含まれる界面活性剤としては、塗布性、ストリエーション、現像性などを改良する作用を示す成分であれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。
【0195】
レジスト組成物に含まれる界面活性剤として挙げられたポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、具体的には、たとえば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、などが挙げられる。レジスト組成物に含まれる界面活性剤挙げられたポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルとしては、たとえば、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、などが挙げられる。
【0196】
レジスト組成物に含まれる界面活性剤として挙げられたソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的には、たとえば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルヒ゛タンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、などが挙げられる。レジスト組成物に含まれる界面活性剤として挙げられたポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤としては、具体的には、たとえば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルヒ゛タンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、などが挙げられる。
【0197】
レジスト組成物に含まれる界面活性剤として挙げられたフッ素系界面活性剤としては、具体的には、たとえば、エフトップEF301、EF303、EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SX102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)、などが挙げられる。
【0198】
レジスト組成物に含まれる界面活性剤として挙げられたシリコン系界面活性剤としては、たとえば、オルガノシロキサンボリマーKP341(信越化学工業(株)製)、などが挙げられる。上述した各種の界面活性剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。上述した各種の界面活性剤の配合量としては、たとえば、この発明にかかる製造方法を用いて生成されたハイパーブランチポリマー100質量部に対して0.0001〜5質量部が好ましい。
【0199】
上述した各種の界面活性剤の、より好ましい配合量は、この発明にかかる製造方法を用いて生成されたハイパーブランチポリマー100質量部に対して0.0002〜2質量部である。なお、上述した各種の界面活性剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0200】
レジスト組成物に含まれるその他の成分としては、たとえば、増感剤、溶解制御剤、酸解離性基を有する添加剤、アルカリ可溶性樹脂、染料、顔料、接着助剤、消泡剤、安定剤、ハレーション防止剤、などが挙げられる。レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた増感剤としては、具体的には、たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ビレン類、アントラセン類、フェノチアジン類、などが挙げられる。
【0201】
上記の増感剤としては、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを光酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示し、レジスト組成物のみかけの感度を向上させる効果を有するものであれば特に制限はない。上記の増感剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0202】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶解制御剤としては、具体的には、たとえば、ポリケトン、ポリスピロケタール、などが挙げられる。レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶解制御剤は、レジストとしたときの溶解コントラストおよび溶解速度をより適切に制御するものであれば特に制限はない。レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶解制御剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0203】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた酸解離性基を有する添加剤としては、具体的には、たとえば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル、リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル、などが挙げられる。上記各種の酸解離性基を有する添加剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。なお、上記各種の酸解離性基を有する添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性などをさらに改善するものであれば特に制限はない。
【0204】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられたアルカリ可溶性樹脂としては、具体的には、たとえば、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、部分水素添加ポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)、ポリ(3−ヒドロキシスチレン)、4−ヒドロキシスチレン/3−ヒドロキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、ノボラック樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。
【0205】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常、1000−1000000、好ましくは2000−100000である。上記のアルカリ可溶性樹脂は、単独または2種以上を混合して使用することができる。なお、レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられたアルカリ可溶性樹脂としては、この発明のレジスト組成物のアルカリ可溶性を向上させるものであれば特に制限はない。
【0206】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた染料あるいは顔料は、露光部の潜像を可視化させる。露光部の潜像を可視化させることによって、露光時のハレーションの影響を緩和することができる。また、レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた接着助剤は、レジスト組成物と基板との接着性を改善することができる。
【0207】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤としては、具体的には、たとえば、ケトン、環状ケトン、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル、3−アルコキシプロピオン酸アルキル、その他の溶剤などが挙げられる。レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤は、たとえば、レジスト組成物に含まれるその他の成分などを溶解することができる限り特に制限はなく、レジスト組成物に安全に使用可能なものの中から適宜選択することができる。
【0208】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤に含まれるケトンとしては、具体的には、たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2−へブタノン、2−オクタノン、などが挙げられる。
【0209】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤に含まれる環状ケトンとしては、具体的には、たとえば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、イソホロン、などが挙げられる。
【0210】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤に含まれるプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、具体的には、たとえば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−i−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−SeC−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテルアセテート、などが挙げられる。
【0211】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤に含まれる2−ヒドロキシプロピオン酸アルキルとしては、具体的には、たとえば、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−プロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸i−ブチル、2−ヒドロキシアロビオン酸sec−ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸t−ブチル、などが挙げられる。
【0212】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤に含まれる3−アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、たとえば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、などが挙げられる
【0213】
レジスト組成物に含まれるその他の成分として挙げられた溶剤に含まれるその他の溶剤としては、たとえば、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルプチレート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルピン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−プチロラクトン、トルエン、キシレン、カブロン酸、カプリル酸、オクタン、デカン、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゆう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。上記の溶剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0214】
上述したように、実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、脱保護において、酸基を形成した後に、酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを有機溶媒に溶解させた溶液と、当該溶液における前記有機溶媒の量に対して所定割合となる量の超純水と、を用いて液々抽出をおこなうことにより、酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを溶解する有機溶媒量に対する超純水の量を制限することができる。
【0215】
これによって、液々抽出による不純物の水層への溶解に支障を来たすことなく、液々抽出によって不純物が溶解した水層(廃液)量が合成のスケールアップにともなって増加することを抑制できるので、合成のスケールアップにともなう廃液量の低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0216】
また、実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、脱保護における、有機溶媒に対する超純水の割合が、容量比で超純水/有機溶媒=0.1/1〜1/0.1となる範囲で液々抽出をおこなうことにより、液々抽出による不純物の水層への溶解に支障を来たすことなく、液々抽出によって不純物が溶解した水層(廃液)量が合成のスケールアップにともなって増加することを抑制できるので、合成のスケールアップにともなう廃液量の低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0217】
また、実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法によれば、脱保護における、有機溶媒に対する超純水の割合が、容量比で超純水/有機溶媒=0.5/1〜1/0.5となる範囲で液々抽出をおこなうことにより、液々抽出による不純物の水層への溶解に支障を来たすことなく、液々抽出によって不純物が溶解した水層(廃液)量が合成のスケールアップにともなって増加することを抑制できるので、合成のスケールアップにともなう廃液量の確実な低減を図りつつ、安定的かつ大量にコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成することができる。
【0218】
また、実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーによれば、上記のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法にしたがって製造されているため、合成のスケールアップにともなって廃液量を増加させることなく、コアシェル型ハイパーブランチポリマーを安定的かつ大量に得ることができる。
【0219】
また、実施の形態のレジスト組成物によれば、上記のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを包含することにより、目的とする分子量および分岐度を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物を安定的に得ることができる。
【0220】
また、実施の形態の半導体集積回路によれば、上記のレジスト組成物によってパターンを形成されることにより、性能が安定し、電子線、遠紫外線(DUV)、および極紫外線(EUV)光源に対応した微細な半導体集積回路を得ることができる。
【0221】
また、実施の形態の半導体集積回路の製造方法によれば、上記のレジスト組成物を用いてパターンを形成する工程を含むことにより、性能が安定し、電子線、遠紫外線(DUV)、および極紫外線(EUV)光源に対応した微細な半導体集積回路を製造することができる。
【0222】
また、実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物は、パターン状に露光された後、現像をおこなってパターニング処理することができる。当該レジスト組成物は、表面平滑性がナノオーダーで求められる電子線、遠紫外線(DUV)、および極紫外線(EUV)光源に対応し得、半導体集積回路製造用の微細パターンを形成することができる。これによって、この発明にかかる製造方法を用いて生成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物は、波長の短い光を照射する光源を用いて製造される半導体集積回路を用いる各種分野において好適に用いることができる。
【0223】
また、実施の形態のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを含むレジスト組成物を用いて製造される半導体集積回路においては、製造に際して露光および加熱し、アルカリ現像液に溶解させた後、水洗などによって洗浄した場合に、露光面に溶け残りが殆ど無く、ほぼ垂直なエッジを得ることができる。
【実施例】
【0224】
以下に、この発明にかかる上述した実施の形態について、以下に示す実施例を用いて具体的に明らかにする。なお、この発明は、以下に示す実施例によって、何等限定的に解釈されるものではない。
【0225】
(重量平均分子量(Mw))
はじめに、実施例のコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の重量平均分子量(Mw)について説明する。実施例のコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の重量平均分子量(Mw)は、0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、東ソー株式会社製GPC HLC−8020型装置、カラムをTSKgel HXL−M(東ソー株式会社製)2本を連結、温度40℃でGPC(Gel Permeation Chromatography)測定をおこなって求めた。GPC測定に際しては、テトラヒドロフランを移動溶媒として使用した。GPC測定に際しては、スチレンを標準物質として使用した。
【0226】
(分岐度(Br))
つぎに、実施例のコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の分岐度(Br)について説明する。実施例のコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の分岐度(Br)は、生成物の1H−NMRを測定し、以下のようにして求めた。すなわち、実施例のコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部の分岐度(Br)は、4.6ppmに現われる−CH2Cl部位のプロトンの積分比H1°と、4.8ppmに現われる−CHCl部位のプロトンの積分比H2°と、を用いて、上記の数式(A)を用いた演算をおこなうことによって算出した。なお、−CH2Cl部位と−CHCl部位との両方で重合が進行し、分岐が高まると、分岐度(Br)の値は0.5に近づく。
【0227】
(コア/シェル比)
つぎに、実施例のコアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア/シェル比について説明する。実施例のコアシェル型のハイパーブランチポリマーのコア/シェル比は、生成物の1H−NMRを測定し、以下のようにして求めた。すなわち、実施例のコアシェル型
のハイパーブランチポリマーのコア/シェル比は、1.4〜1.6ppmに現われるt−ブチル部位のプロトンの積分比と、7.2ppm付近に現われる芳香族部位のプロトンの積分比と、を用いて算出した。
【0228】
(超純水)
つぎに、実施例のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に用いた超純水について説明する。実施例のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成に用いた超純水は、アドバンテック東洋(株)製GSR−200にて製造した、25℃における金属含有量が1ppb以下であり、比抵抗値18MΩ・cmの超純水を使用した。
【0229】
実施例のハイパーブランチコアポリマーの合成に際しては、Krzysztof Matyjaszewski, Macromolecules.,29,1079(1996)およびJean M.J.Frecht,J.Poly.Sci.,36、955(1998)に掲載されている合成方法を参考にし、以下のようにして(25℃恒温室内で)合成を行った。
【0230】
(実施例1)
(ハイパーブランチコアポリマーの合成)
つぎに、実施例1のハイパーブランチコアポリマーの合成について説明する。 攪拌機及び、冷却管を取り付けた1Lの4つ口反応容器に2.2’−ビピリジル46.0g、塩化銅(I)15.0gを量り取り、真空化、十分に脱気した。続いて、アルゴンガス雰囲気下で、反応溶媒のクロロベンゼン400mLを加え、クロロメチルスチレン 90.0gを5分間で滴下し、内部温度を125℃一定に保ちながら加熱攪拌した。滴下時間を含めた反応時間は、27分とした。
【0231】
反応終了後、濾過により、不溶物を除去し、濾液に超純水より調製した、500mLの3質量%シュウ酸水溶液を加え、20分攪拌した。その後、水層を取り除いた。この操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。銅が取り除かれた溶液にメタノール700mLを加えてポリマーを再沈させ、得られたポリマーに容量比でTHF:メタノール=2:8の混合溶媒を500mL加え、ポリマーを洗浄し、その後、溶媒をデカテーションにより、取り除いた。この洗浄操作を2回繰り返した後、乾燥させることにより、精製物ハイパーブランチコアポリマー46.8gを得た。収率は72%。重量平均分子量(Mw)は2000、分岐度(Br)は0.5であった。
【0232】
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例1のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成について説明する。攪拌機及び、冷却管を取り付けた1Lの4つ口反応容器にハイパーブランチコアポリマー10g、2.2’−ビピリジル5.1g、塩化銅(I)1.6gを量り取り、真空化、十分に脱気した。アルゴンガス雰囲気下で、反応溶媒のクロロベンゼン250mLを加え、アクリル酸tertブチルエステル 48mLをシリンジで注入し、120℃で5時間加熱攪拌した。
【0233】
重合終了後、濾過により、不溶物を除去し、濾液に超純水より調製した、300mLの3質量%シュウ酸水溶液を加え、20分攪拌した。その後、水層を取り除いた。この操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。得られた短黄色の溶液を溶媒留去し、メタノール700mLを加えることでポリマーを再沈させ、得られたポリマーをTHF50mLに溶解させた後、メタノール500mLを加え、再沈殿させる操作を2回繰り返した。乾燥させることにより、精製物である淡黄色のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを17.1g得た。収率は76%であった。1H−NMRより共重合体のモル比率を計算し、コア/シェル比率は、モル比で4/6であった。
【0234】
(微量金属の除去)
つぎに、実施例1の微量金属の除去について説明する。コアシェル型ハイパーブランチポリマー6gを100gのクロロホルムに溶解し、超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液100gと合わせ、30分間激しく攪拌した。有機層を取り出した後、再び超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液100gと合わせ、30分間激しく攪拌した。この操作を計5回繰り返した後、3質量%塩酸水溶液10gと合わせ、30分間激しく攪拌し、有機層を取り出し、続いて、超純水100gと合わせ、30分激しく攪拌後、有機層を取り出す操作を3回繰り返す。最終的に得られた有機層から溶媒を留去し乾燥させた後、原子吸光により含有金属量を計測したところ、銅、ナトリウム、鉄、アルミニウムの含有量は20ppb以下であった。
【0235】
(脱保護)
つぎに、実施例1の脱保護について説明する。還流管付反応容器に微量金属を除去したコアシェル型ハイパーブランチポリマー2.0gを採取し、ジオキサン98.0g、30質量%塩酸3.5gを加えて、90℃で60分還流攪拌した。次に、反応粗製物を980mLの超純水に注ぎ、再沈させ固形分を得た。固形分をメチルイソブチルケトン 50mLに溶解させ、超純水を50mL加えて、室温において30分、激しく攪拌した。水層を分離後、再び、超純水を50mL加えて、室温において30分、激しく攪拌後、水層を分離した。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下、留去し、乾燥させることにより、ポリマー1.3gを得た。収率は71%であった。酸分解性基と酸基の割合は、70/30であった。
【0236】
(実施例2)
(ハイパーブランチコアポリマーの合成)
つぎに、実施例2のハイパーブランチコアポリマーの合成について説明する。まず、攪拌機および冷却管を取り付けた1Lの4つ口反応容器に、トリブチルアミン54.6g、塩化鉄(II)18.7gを量り取り、反応容器を含む反応系全体を真空化して、十分に脱気した。つづいて、アルゴンガス雰囲気下で、反応溶媒のクロロベンゼン430mLを反応容器に加えてから、クロロメチルスチレン90.0gを5分間で滴下した。滴下後、反応容器の内部温度を125℃一定に保ちながら反応系を加熱攪拌した。滴下時間を含めた反応時間は、27分とした。
【0237】
反応終了後、超純水より調製した、500mLの3質量%シュウ酸水溶液を加え、20分攪拌した。その後、水層を取り除いた。この操作を4回繰り返すことで、反応触媒である鉄を取り除いた。鉄が取り除かれた溶液にメタノール700mLを加えてポリマーを再沈させ、得られたポリマーに容量比でTHF:メタノール= 2:8の混合溶媒を1200mL加え、ポリマーを洗浄し、その後、溶媒をデカンテーションにより、取り除いた。続いて、ポリマーに容量比でTHF:メタノール= 2:8の混合溶媒を500mL加え、ポリマーを洗浄後、溶媒をデカンテーションにより、取り除き、乾燥させることにより、実施例2のハイパーブランチコアポリマー72gを得た。収率は80%であった。重量平均分子量(Mw)は2000、分岐度(Br)は0.5であった。
【0238】
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例2のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成について説明する。攪拌機及び、冷却管を取り付けた1Lの4つ口反応容器にハイパーブランチコアポリマー10g、トリブチルアミン6.1g、塩化鉄(II)2.1gを量り取り、真空化、十分に脱気した。アルゴンガス雰囲気下で、反応溶媒のクロロベンゼン260mLを加え、アクリル酸tertブチルエステル 48mLをシリンジで注入し、120℃で5時間加熱攪拌した。
【0239】
重合終了後、300mLの超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液を加え、20分攪拌後、水層を取り除いた。この操作を4回繰り返すことで、反応触媒である鉄を取り除いた。鉄が除去された溶液にメタノール700mLを加えてポリマーを再沈させ、得られたポリマーをTHF50mLに溶解させた後、メタノール500mLを加え、再沈殿させる操作を2回繰り返した。その後、乾燥させることにより、実施例2のコアシェル型ハイパーブランチポリマー22gを得た。収率は74%であった。1H NMRより共重合体のモル比率を計算し、コア/シェル比率はモル比で3/7であった。
【0240】
(微量金属の除去)
つぎに、実施例2の微量金属の除去について説明する。コアシェル型ハイパーブランチポリマー6gを100gのクロロホルムに溶解し、超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液50gと1質量%塩酸水溶液50gと合わせ、30分間激しく攪拌する。有機層を取り出した後、再び超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液50gと1質量%塩酸水溶液50gと合わせ、30分間激しく攪拌する。この操作を計5回繰り返した後、有機層を取り出し、続いて、超純水100gと合わせ、30分激しく攪拌後、有機層を取り出す操作を3回繰り返す。最終的に得られた有機層から溶媒を留去し、乾燥させた後、原子吸光により含有金属量を計測したところ、鉄、ナトリウム、アルミニウムの含有量は20ppb以下であった。
【0241】
(脱保護)
つぎに、実施例2の脱保護について説明する。還流管付反応容器に微量金属を除去したコアシェル型ハイパーブランチポリマー2.0gを採取し、ジオキサン98.0g、30質量%塩酸3.5gを加えて、90℃で60分還流攪拌した。次に、反応粗製物を980mLの超純水に注ぎ、再沈させ固形分を得た。固形分を酢酸エチル50mLに溶解させ、超純水を50mLを加えて、室温において30分、激しく攪拌した。水層を分離後、酢酸エチルを総量で50mLになるように調製し、超純水を50mLを加えて、室温において30分、激しく攪拌後、水層を分離した。酢酸エチル溶液を減圧下、留去し、乾燥させることにより、ポリマー1.2gを得た。収率は66%であった。酸分解性基と酸基の割合は、70/30であった。
【0242】
(参考例1)
(4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルの合成)
Synthesis,833−834(1982)を参考にし、以下に示す合成方法で合成を行った。滴下ロートを取り付けた1Lの反応容器にアルゴンガス雰囲気下、4−ビニルベンゾイックアシッド91g、1,1'-カルボジイミダゾール 99.5g、4-tertブチルピロカテコール2.4g、脱水ジメチルホルムアミド500gを加え30℃に保ち、1時間攪拌した。その後、1.8ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン93gおよび脱水2−メチル−2−プロパノール91gを加え4時間攪拌した。反応終了後、ジエチルエーテル300mLおよび、10%炭酸カリウム水溶液を加え、目的物をエーテル層に抽出した。その後、ジエチルエーテル層を減圧乾燥することによって、淡黄色の4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルを得た。1H−NMRより目的物が得られていることを確認した。収率は88%であった。
【0243】
(実施例3)
(ハイパーブランチコアポリマーの合成)
つぎに、実施例3のハイパーブランチコアポリマーの合成について説明する。攪拌機及び、冷却管を取り付けた1Lの4つ口反応容器にペンタメチルジエチレントリアミン25.5g、塩化銅(I)14.6gを量り取り、真空化、十分に脱気した。続いて、アルゴンガス雰囲気下で、反応溶媒のクロロベンゼン460mLを加え、クロロメチルスチレン90.0gを5分間で滴下し、内部温度を125℃一定に保ちながら加熱攪拌した。滴下時間を含めた反応時間は、27分とした。
【0244】
反応終了後、濾過により、不溶物を除去し、超純水より調製した、500mLの3質量%シュウ酸水溶液を加え、20分攪拌した。その後、水層を取り除いた。この操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。銅が取り除かれた溶液にメタノール700mLを加えてポリマーを再沈させ、得られたポリマーに容量比でTHF:メタノール= 2:8の混合溶媒を1200mL加え、ポリマーを洗浄し、その後、溶媒をデカンテーションにより、取り除いた。この洗浄操作を2回繰り返した後、乾燥させることにより、実施例3のハイパーブランチコアポリマー64.8gを得た。収率は72%であった。重量平均分子量(Mw)は2000、分岐度(Br)は0.5であった。
【0245】
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例3のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成について説明する。攪拌機及び、冷却管を取り付けた1Lの4つ口反応容器にハイパーブランチコアポリマー10g、ペンタメチルジエチレントリアミン2.8g、塩化銅(I)1.6gを量り取り、真空化、十分に脱気した。アルゴンガス雰囲気下で、反応溶媒のクロロベンゼン400mLを加え、参考例1で合成した4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステル40gをシリンジで注入し、120℃で3時間加熱攪拌した。
【0246】
重合終了後、濾過により、不溶物を除去し、濾液に超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液を加え、20分攪拌後、水層を取り除いた。この操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。銅が除去された溶液にメタノール700mLを加えてポリマーを再沈させ、得られたポリマーをTHF50mLに溶解させた後、メタノール500mLを加え、再沈殿させる操作を2回繰り返した。乾燥させることにより、実施例3のコアシェル型ハイパーブランチポリマー20gを得た。収率は48%であった。1H NMRより共重合体のモル比率を計算し、コア/シェルの比率は、モル比で3/7であった。
【0247】
(微量金属の除去)
つぎに、実施例3の微量金属の除去について説明する。コアシェル型ハイパーブランチポリマー6gを100gのクロロホルムに溶解し、超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液50gと1質量%塩酸水溶液50gと合わせ、30分間激しく攪拌する。有機層を取り出した後、再び超純水より調製した、3質量%シュウ酸水溶液50gと1質量%塩酸水溶液50gと合わせ、30分間激しく攪拌する。この操作を計5回繰り返した後、有機層を取り出し、3質量%塩酸水溶液100gと合わせ、30分間激しく攪拌する。有機層を取り出し、続いて、超純水100gと合わせ、30分激しく攪拌後、有機層を取り出す操作を3回繰り返す。最終的に得られた有機層から溶媒を留去し、乾燥させた後、原子吸光により含有金属量を計測したところ、銅、ナトリウム、鉄、アルミニウムの含有量は20ppb以下であった。
【0248】
(脱保護)
つぎに、実施例3の脱保護について説明する。還流管付反応容器に微量金属を除去したコアシェル型ハイパーブランチポリマー2.0gを採取し、ジオキサン98.0g、30質量%塩酸3.5gを加えて、90℃で60分還流攪拌した。次に、反応粗製物を980mLの超純水に注ぎ、再沈させ固形分を得た。固形分をメチルイソブチルケトン 50mLに溶解させ、超純水を50mL を加えて、室温において30分、激しく攪拌した。水層を分離後、再び、超純水を50mL を加えて、室温において30分、激しく攪拌後、水層を分離した。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下、留去し、乾燥させることにより、コアシェル型ハイパーブランチポリマー1.6gを得た。収率は74%であった。酸分解性基と酸基の割合は、モル比で70/30であった。
【0249】
(実施例4)
(ハイパーブランチコアポリマーの合成)
つぎに、実施例4のハイパーブランチコアポリマーについて説明する。実施例4のハイパーブランチコアポリマーは、以下の方法によって合成した。まず、1Lの4つ口反応容器に、2.2’−ビピリジル11.8g、塩化銅(I)3.5g、ベンゾニトリル345mLを仕込み、クロロメチルスチレン54.2gを秤り取った滴下漏斗、冷却管および撹拌機を取り付けた反応装置を組み立てた後、当該反応装置の内部を全体に亘って脱気し、脱気後に反応装置の内部を全体に亘ってアルゴン置換した。アルゴン置換した後、上述した混合物を125℃に加熱し、クロロメチルスチレンを30分かけて滴下した。滴下終了後、3.5時間加熱攪拌した。反応容器内へのクロロメチルスチレンの滴下時間を含めた反応時間は、4時間とした。
【0250】
反応終了後、反応溶液を保留粒子サイズ1μmのろ紙を用いてろ過をおこない、メタノール844gと超純水211gを予め混合した混合溶液に対してろ液を加えることでポリ(クロロメチルスチレン)を再沈させた。
【0251】
再沈によって得られたポリマー29gをベンゾニトリル100gに溶解させた後、メタノール200gと超純水50gの混合溶液を加え、遠心分離後、溶媒をデカンテーションにより取り除いてポリマーを回収した。この回収操作を3回繰り返し行い、ポリマー沈殿物を得た。
【0252】
デカンテーション後、沈殿物を減圧乾燥し、ポリ(クロロメチルスチレン)14.0gを得た。収率は、26%であった。GPC測定(ポリスチレン換算)により求めた重合体の重量平均分子量(Mw)は1140であり、1H−NMR測定により求めた分岐度(Br)は0.51であった。
【0253】
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例4のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例4のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述したハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、およびハイパーブランチコアポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の500mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル48mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0254】
(微量金属の除去)
つぎに、実施例4の微量金属の除去について説明する。上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液308gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液615gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0255】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液62.5gを得た。得られた濃縮液にメタノール219g、続いて超純水31gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF20gに溶解させた溶液に、メタノール200g、続いて超純水29gを加えて、固形分を再沈させた。
【0256】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は23.8gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア/シェルの比率は、モル比で30/70であった。
【0257】
(脱保護)
つぎに、実施例4における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例4の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例4における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、60分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0258】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.6gを得た。酸分解性と酸基との比率は、78/22であった。
【0259】
(実施例5)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例5のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例5のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の500mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル81mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0260】
(微量金属の除去)
つぎに、実施例5の微量金属の除去について説明する。上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液340gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液680gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0261】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液88.0gを得た。得られた濃縮液にメタノール308g、続いて超純水44gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF44gに溶解させた溶液に、メタノール440g、続いて超純水63gを加えて、固形分を再沈させた。
【0262】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は33.6gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア/シェルの比率は、モル比で19/81であった。
【0263】
(脱保護)
つぎに、実施例5における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例5の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例5における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、30分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0264】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.6gを得た。酸分解性と酸基との比率は、92/8であった。
【0265】
(実施例6)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例6のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例6のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル187mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0266】
(微量金属の除去)
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液440gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液880gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0267】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液175gを得た。得られた濃縮液にメタノール613g、続いて超純水88gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF85gに溶解させた溶液に、メタノール850g、続いて超純水121gを加えて、固形分を再沈させた。
【0268】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は65.9gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア/シェルの比率は、モル比で10/90であった。
【0269】
(脱保護)
つぎに、実施例6における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例6の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例6における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、15分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0270】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、95/5であった。
【0271】
(実施例7)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例7のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例7のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマー10.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の500mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン248mL、アクリル酸tertブチルエステル14mLを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で5時間加熱攪拌した。
【0272】
(微量金属の除去)
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液285gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液570gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0273】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液32gを得た。得られた濃縮液にメタノール112g、続いて超純水16gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF16gに溶解させた溶液に、メタノール160g、続いて超純水23gを加えて、固形分を再沈させた。
【0274】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は12.1gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア/シェルの比率は、モル比で61/39であった。
【0275】
(脱保護)
つぎに、実施例7における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例7の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例7における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、150分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0276】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.4gを得た。酸分解性と酸基との比率は、49/51であった。
【0277】
(実施例8)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例8のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例8のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)0.8g、2,2'−ビピリジル 2.6g、および上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン421mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル46.8gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で3.5時間加熱攪拌した。
【0278】
(微量金属の除去)
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液490gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液980gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0279】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液41gを得た。得られた濃縮液にメタノール144g、続いて超純水21gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF21gに溶解させた溶液に、メタノール210g、続いて超純水30gを加えて、固形分を再沈させた。
【0280】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は15.9gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で29/71であった。
【0281】
(脱保護)
つぎに、実施例8における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例8の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例8における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、180分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0282】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、38/62であった。
【0283】
(実施例9)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例9のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例9のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン421mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル46.8gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で3時間加熱攪拌した。
【0284】
(微量金属の除去)
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液490gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液980gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0285】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液64gを得た。得られた濃縮液にメタノール224g、続いて超純水32gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF32gに溶解させた溶液に、メタノール320g、続いて超純水46gを加えて、固形分を再沈させた。
【0286】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は24.5gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で20/80であった。
【0287】
(脱保護)
つぎに、実施例9における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例9の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例9における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、90分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0288】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、71/29であった。
【0289】
(実施例10)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例10のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例10のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)1.6g、2,2'−ビピリジル 5.1g、および上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の1000mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン530mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル60.2gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で4時間加熱攪拌した。
【0290】
(微量金属の除去)
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液620gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液1240gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0291】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液130gを得た。得られた濃縮液にメタノール455g、続いて超純水65gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF65gに溶解させた溶液に、メタノール650g、続いて超純水93gを加えて、固形分を再沈させた。
【0292】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は50.2gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で9/91であった。
【0293】
(脱保護)
つぎに、実施例10における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例10の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例10における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、30分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0294】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.7gを得た。酸分解性と酸基との比率は、92/8であった。
【0295】
(実施例11)
(コアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成)
つぎに、実施例11のコアシェル型のハイパーブランチポリマーについて説明する。実施例11のコアシェル型のハイパーブランチポリマーは、上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマーを用いて、以下の方法によって合成した。塩化銅(I)0.8g、2,2'−ビピリジル 2.6g、および上述した実施例4のハイパーブランチコアポリマー5.0gが入ったアルゴンガス雰囲気下の300mLの4つ口反応容器に、モノクロロベンゼン106mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチル8.0gを、それぞれ、シリンジを用いて注入した。反応容器に各物質を注入した後、反応容器内の混合物を、125℃で1時間加熱攪拌した。
【0296】
(微量金属の除去)
上述した加熱攪拌による重合反応終了後、重合反応終了後の反応系を濾過することによって不溶物を除去した。つづいて、濾過によって得られた濾液127gに、超純水を用いて調製した3質量%のシュウ酸および1質量%の塩酸を含む混合酸水溶液254gを加えて、20分攪拌した。攪拌した後、攪拌した後の反応系から水層を取り除いた。そして、水層を取り除いた後のポリマー溶液に上述したシュウ酸および塩酸を含む混合酸水溶液を加えて攪拌し、攪拌後の溶液から水層を取り除く操作を4回繰り返すことで、反応触媒である銅を取り除いた。
【0297】
銅が取り除かれた淡黄色の溶液を40℃、15mmHgで減圧濃縮して濃縮液19gを得た。得られた濃縮液にメタノール67g、続いて超純水10gを順次加えて、固形分を沈殿させた。沈殿によって得られた固形分をTHF10gに溶解させた溶液に、メタノール100g、続いて超純水14gを加えて、固形分を再沈させた。
【0298】
前述した、再沈操作後、遠心分離によって回収した固形分を40℃、0.1mmHgの条件下において2時間乾燥させることによって、精製物である淡黄色の固体を得た。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーの収量は7.3gであった。1H−NMRによって、共重合体(シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー)のモル比率を計算した。シェル部が形成されたコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「コアシェル型ハイパーブランチポリマー」という。)のコア/シェルの比率は、モル比で60/40であった。
【0299】
(脱保護)
つぎに、実施例11における酸分解性基の部分的分解について説明する。実施例11の酸分解性基の部分的分解に際しては、まず、還流管付反応容器に、共重合体(実施例11における脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー)2.0gを採取してから、1,4−ジオキサン18.0g、50質量%硫酸0.2gを加えた。その後、還流管付反応容器を含む反応系全体を還流する温度まで加熱した状態で、240分還流攪拌した。還流攪拌後、還流攪拌後の反応粗製物を180mLの超純水に注いで固形分を沈殿させた。
【0300】
再沈によって得られた固形分をメチルイソブチルケトン50gに溶解させた後、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌した。水層を分離後、再び、超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離した。超純水50gを加えて、室温において30分、激しく撹拌後、水層を分離する操作を、さらに2回繰り返し行った。メチルイソブチルケトン溶液を減圧下で溶媒を留去し、40℃、減圧下で乾燥させることによってポリマー1.4gを得た。酸分解性と酸基との比率は、22/78であった。
【0301】
(比較例1)
実施例1と同様にして合成した脱保護前のコアシェル型ハイパーブランチポリマー2gを採取し、ジオキサン98g、30質量%塩酸3.5gを加えて、95℃で60分還流攪拌した。次に、反応粗製物を980mLの超純水に注ぎ、再沈させ固形分を得た。固形分をジオキサン80mL に溶解させ、超純水を800ml を加えて、再び再沈させた。固形分を回収し、乾燥させることにより、比較例1のコアシェル型ハイパーブランチポリマー1.2gを得た。収率は66%であった。酸分解性基と酸基の割合は、モル比で70/30であった。
【0302】
実施例1〜3と比較例1に示すように、比較例1の方法は、本発明の実施例1〜3に比べて、脱保護後の後処理時の廃液量がポリマー単位重量当たり2倍程度に上ることがわかる。また、実施例4〜11と比較例1に示すように、比較例1の方法は、本発明の実施例4〜11に比べて、脱保護後の後処理時の廃液量がポリマー単位重量当たり10倍程度に上ることがわかる。
【0303】
−レジスト組成物の調製−
実施例1〜11で得られたそれぞれのポリマーを4.0質量%、光酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを0.16質量%含有するプロピレングリコールモノメチルアセテート(PEGMEA)溶液を作成し、細孔径0.45μmのフィルターで濾過してレジスト組成物を調製した。得られたレジスト組成物をシリコンウエハ上にスピンコートし、90℃にて1分間の熱処理で溶媒を蒸発させて、厚さ100nmの薄膜を作成した。
【0304】
−紫外線照射感度測定−
光源として、放電管式紫外線照射装置(アトー株式会社製、DF−245型ドナフィックス)を用いた。シリコンウエハ上に成膜した厚さ約100nmの試料薄膜に対し、縦10mm×横3mmの長方形の部分に、波長245nmの紫外線を、エネルギー量を0mJ/cm2から50mJ/cm2まで変化させて照射することにより露光した。110℃にて4分間の熱処理後、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)2.4質量%水溶液中に25℃にて2分間浸漬させて現像した。水洗、乾燥後の膜厚を、Filmetrics株式会社製薄膜測定装置F20で測定し、現像後の膜厚がゼロになる照射エネルギー値(感度)を測った。結果を表1に示す。
【0305】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒の存在下におけるモノマーのリビングラジカル重合を経てコアシェル型ハイパーブランチポリマーを合成するコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法であって、
前記リビングラジカル重合によって合成されたハイパーブランチポリマーをコア部とし、当該コア部に酸分解性基を導入することによりシェル部を形成するシェル部形成工程と、
前記シェル部形成工程において形成されたシェル部における酸分解性基の一部を前記酸触媒を用いて分解して酸基を形成する酸基形成工程と、
前記酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーが存在する第1の溶液に超純水を混合することにより、前記第1の溶液と前記超純水との混合溶液中にハイパーブランチポリマーを析出させる析出工程と、
前記析出工程によって析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを有機溶媒に溶解させた第2の溶液に、当該第2の溶液における前記有機溶媒の量に対して所定割合となる量の超純水を混合した混合溶液中から、前記酸基を形成した後のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを前記有機溶媒中に抽出する液々抽出工程と、
を含むことを特徴とするコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法。
【請求項2】
前記液々抽出工程は、
前記所定割合として、前記有機溶媒に対する前記超純水の割合(以下、「超純水/有機溶媒」という)が、容量比で超純水/有機溶媒=0.1/1〜1/0.1となる範囲で、前記第2の溶液と前記超純水とを混合することを特徴とする請求項1に記載のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法。
【請求項3】
前記有機溶媒は、
前記析出工程によって析出されたコアシェル型ハイパーブランチポリマーを溶解し、水と分離する性質を有することを特徴とする請求項1、2のいずれか一つに記載のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの合成方法。
【請求項4】
請求項3に記載のコアシェル型ハイパーブランチポリマーを包含することを特徴とするレジスト組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のレジスト組成物によってパターンを形成されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項5に記載のレジスト組成物を用いてパターンを形成する工程を含むことを特徴とする半導体集積回路の製造方法。

【公開番号】特開2008−179770(P2008−179770A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285421(P2007−285421)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】