説明

コインランドリー管理システム

【課題】コインランドリー利用者のクレーム対応を迅速且つ適切に行い、店舗のセキュリティを確実にし、コインランドリー管理業のアウトソーシングを実現できるコインランドリー管理システムを提供する。
【解決手段】コインランドリー集中制御部とネットワークカメラを店舗内に備え、コインランドリー集中制御部及びネットワークカメラと通信手段によって接続された中央制御装置を管理者側に備え、通信手段を介してコインランドリー機器を遠隔管理するコインランドリー管理システムにおいて、コインランドリー集中制御部と中央制御装置とは、ADSL回線を介して公衆回線網で接続され、また、ネットワークカメラと前記中央制御装置とは、ADSL回線を介してインターネットで接続され、管理者側が、中央制御装置に表示された店舗内の略リアルタイムの動画像と、コインランドリー機器の状態とに基づいて、コインランドリー機器の遠隔管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コインランドリー管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術では、例えば、コインランドリー店舗側に、コインランドリー機器の駆動制御を実行する制御装置と、この制御装置のデータを送信するデータコントローラを備え、一方、管理者側には、前記データコントローラと通信手段を介して接続された中央制御装置を備え、前記データコントローラから前記中央制御装置に送信されたデータに基づいて、前記コインランドリー機器を遠隔操作するコインランドリー機器の遠隔管理システム技術があった(例えば、特許文献1。)。
【0003】
しかし、このような技術では、管理者側からは、店舗内の状況が全く視認できず、データコントローラから送信されてくるコインランドリー機器のデータに基づいて中央装置のモニタに表示されたトラブルの内容だけでは、正確なトラブルの状況が把握できず、トラブルに遭遇したコインランドリーの利用者に電話連絡しながらトラブルの内容を確認しなければならない。さらに、利用者がコインランドリー機器自体の知識に乏しい場合は、電話連絡だけでは利用者から管理者側に正確なトラブル情報が伝わりにくく、また、管理者側のトラブル処置のアドバイスを利用者が正確に把握できにくい。そこで、トラブル処置のために、管理者側から係員をトラブルが発生した店舗に派遣しなければならない。このため、迅速且つ適切なクレーム対応ができないという問題があった。(例えば、特許文献1。)。
【0004】
この問題を解決するために、例えば、コインランドリー機器の駆動制御を実行する店舗側コントローラと、トラブル発生時に管理者との間で連絡を取るための店舗側電話機と、店舗内の状況を監視する監視カメラとをコインランドリー店舗側に備え、一方、管理者側には、店舗側電話機と公衆回線で接続される管理者側電話機と、店舗側コントローラと公衆回線で接続される管理者側コントローラと、モニタとが備えられ、店舗内でのトラブル発生時には、コインランドリー利用者が店舗内の電話機を使って遠隔地にいる管理者にトラブル発生を知らせると、管理者は監視カメラをONさせて店舗内の映像を管理者側のモニタに表示させ、店舗内に設置された電話機によってトラブルの解決手段を店舗内に入る利用者にアドバイスしたり、また、管理者が監視カメラで撮影された店舗内の映像をモニタに表示させ、店舗内での不正行為を監視したりする技術があった(例えば、特許文献2。)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2962993号公報
【特許文献2】
特許第3287555号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献2に開示されている従来の技術では、監視カメラは公衆回線で管理者側コントローラと接続されているが、この時点での技術水準では公衆回線は転送速度が最大でも数十Kbps程度のアナログ回線あるいはISDNと考えられ、この技術では動画像を略リアルタイムで送受信することは困難であり、このため複数の遠隔地で略リアルタイムに店舗の映像を見ることが実現できなかった。また、監視カメラも固定式のものでズーム機能も無く、不正行為と断定できる程度に拡大して撮影することができず、店舗内の利用者の様子やコインランドリー機器の正確な状況を把握することが困難であった。このため、前記した特許文献1の技術の問題と同様に、トラブルの正確な状況を把握し、その処置を確実に行うためには、利用者との電話連絡による対応や、係員の派遣を行わなければならず、迅速且つ適切なクレーム対応ができないという問題があった。また、店舗側コントローラから送信されてくるコインランドリー機器のデータにはタイムラグが発生するために、コインランドリー機器のトラブル発生時のリアルタイムの正確な情報は、利用者に問い合わせるか、係員を店舗に派遣しなければならず、迅速且つ適切なクレーム対応ができないという問題があった。尚、「クレーム対応」とは管理者側とコインランドリー利用者との連絡があるなしに拘らず、コインランドリー機器にトラブルが発生したときに管理者側が対応するトラブル処置と定義する。
【0007】
また、上記したように従来の監視カメラでは通常は店舗内の一部しか撮影できず、撮影できない部分での不正行為の発見ができないという問題があった。あるいは広角レンズを用いて店舗全体を撮影できるように設定変更した場合には、コインランドリー機器や利用者など個々の動画像が小さくなり状況が把握できないという問題があった。
【0008】
このように、従来の技術は、コインランドリー利用者のクレーム対応を迅速且つ適切に行うことができず、また、コインランドリー店舗のセキュリティが不確実なために、店舗のオーナー(事業主)が集金業務や清掃業務などを他人(他業者)に委託することはリスクが大きく、コインランドリー管理業のアウトソーシングが実現できなかった。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、コインランドリー利用者のクレーム対応を迅速且つ適切に行い、店舗のセキュリティを確実にし、コインランドリー管理業のアウトソーシングを実現できるコインランドリー管理システムを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、コインランドリー機器と、複数のセンサから読込まれた前記コインランドリー機器のデータに基づいて前記コインランドリー機器の運転を制御すると共にそのデータを記憶する制御装置と、該制御装置から前記データを送信させるデータコントローラとを備えたコインランドリー集中制御部と、
ズーム機能、パン機能、チルト機能を有し、撮影したコインランドリー店舗内の映像を動画像データに変換して送信可能なネットワークカメラと
を前記店舗内に備え、
また、モニタを有し、前記コインランドリー集中制御部及び前記ネットワークカメラと通信手段によって接続された中央制御装置を管理者側に備え、
前記コインランドリー集中制御部及び前記ネットワークカメラから前記通信手段を介して前記中央制御装置へ送信された前記コインランドリー機器のデータ及び前記店舗内の動画像に基づいて、前記コインランドリー機器を遠隔管理するコインランドリー管理システムであって、
前記コインランドリー集中制御部と前記中央制御装置とは、xDSL回線を介して公衆回線網で接続され、前記中央制御装置に送信された前記コインランドリー機器のデータの内容に基づいてコインランドリー機器の状態が前記中央制御装置のモニタに表示され、
また、前記ネットワークカメラと前記中央制御装置とは、前記xDSL回線を介してインターネットで接続され、前記中央制御装置によって前記管理者側が前記ネットワークカメラの撮影操作を行い、この撮影された前記店舗内の映像は動画像データに変換されてインターネットに接続された前記管理者側のホームページ用サーバに送信された後、前記ホームページに略リアルタイムな動画像として掲載され、
この動画像は、前記インターネットに接続された前記中央制御装置のモニタに表示され、
前記管理者側が、この前記店舗内の略リアルタイムの動画像と、
前記中央制御装置のモニタに表示されたコインランドリー機器の状態とに基づいて、
前記コインランドリー機器の遠隔管理を行うことを第1の特徴とする。ここで、xDSL(エックスディーエスエルと呼ぶ)とは、銅線によるツイストペア線で構成された既存の電話回線(アナログ回線)を使って高速なディジタルデータ通信を行うDSL(Digital Subscriber Line)技術の総称であり、このDSLの技術には、日本国内では最も商用サービスが普及しているADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)の他に、HDSL(High−bit−rate Digital Subscriber Line)、SDSL(Symmetric Digital Subscriber Line)、VDSL(Very high−bit−rate Digital Subscriber Line)、CDSL(Consumer Digital Subscriber Line)といった技術がある。
【0011】
また、請求項1記載のコインランドリー管理システムにおいて、ネットワークカメラで撮影された映像を静止画像としてホームページ上に掲載可能にし、この静止画像と前記動画像をホームページ上で選択的に閲覧できるようにしたことを第2の特徴とする。
【0012】
さらに、請求項1又は請求項2記載のコインランドリー管理システムにおいて、ネットワークカメラで撮影された映像が、録画手段によって録画され、この録画の再生画像が前記ホームページ上に掲載されることを第3の特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るコインランドリー管理システムの一実施例を示すネットワーク構成の説明図である。図2は、本発明に係るコインランドリー管理システムのコインランドリー集中制御部の説明図である。図3は、本発明に係るコインランドリー管理システムにおけるトラブル発生時のトラブル処置(クレーム対応)の手順を示すフローチャートである。図4は、本発明に係るコインランドリー管理システムの他の実施例を示すネットワーク構成図である。
【0015】
まず、本発明に係るコインランドリー管理システムの一構成例について説明する。本発明に係るコインランドリー管理システムは、店舗に設置されたネットワークカメラと管理者側に設置された中央制御装置との通信ネットワークと、店舗に設置されたコインランドリー集中制御部と管理者側に設置された中央制御装置との通信ネットワークとが、インターネットと公衆回線網の2系統に分かれており、これらをほぼ同時に使用して遠隔管理を行うものである。図1に示すように、本発明に係るコインランドリー管理システム1において、店舗2に設置されたコインランドリー集中制御部3はスプリッタ14に接続され、スプリッタ14はADSL回線24によって店舗側局22に接続されている。店舗側局22は管理者側局23と公衆回線網28で接続されている。管理者側15のモデム内蔵の中央制御装置16と管理者側局23とは、アナログ回線30で接続されている。このように、コインランドリー機器4のデータは、公衆回線網28を介して管理者側15の中央制御装置16と通信され、専用線で接続しなくてもよいので、通信経費の負担が軽減される。ここで、公衆回線網、ADSL回線、アナログ回線は、銅線で形成された既存のツイストペア線で構成された回線である。尚、店舗側局とは、店舗側の地域の通信サービスを行っている電話局のことであり、管理者側局とは管理者側の地域の通信サービスを行っている電話局のことである。オーナ宅側局についても同様である。従って、場所によっては、例えば店舗側局と管理者側局が同一の場合もある。複数の店舗と接続する場合も同様である。
【0016】
図2に示すように、コインランドリー集中制御部3の主要な構成は、1台のデータコントローラ5と、複数の制御装置6と、この制御装置6が接続された複数のコインランドリー機器4とからなっている。モデム機能を有するデータコントローラ5は、中央制御装置16からデータ送信要求信号を受信すると、該当する制御装置6に格納されているコインランドリー機器4のデータ送信要求を送信し、制御装置6から受信したコインランドリー機器4のデータを中央制御装置に16送信する。コインランドリー機器4には、機器毎にコインの投下量を検知するコインセンサ9、ランドリー機器の回転数を検知する回転数センサ10、ランドリー機器内の温度を検知する温度センサ11等の複数のセンサが取付けられており、これらのセンサによって検知されたコインランドリー機器4のデータは、制御装置6に搭載されたマイクロコンピュータ7に送信され、マイクロコンピュータ7はそのデータを制御装置6に搭載された半導体記憶装置8に格納する。データコントローラ5は、通常は、一定の周期で中央制御装置16からデータ送信要求信号を受信し、データ送信要求を該当する制御装置6に送信し、この信号を受信した制御装置6は、半導体記憶装置8に格納されているコインランドリー機器4のデータをデータコントローラ5に送信する。データコントローラ5は、制御装置6から受信したデータを中央制御装置16に送信する。
【0017】
また、データコントローラ5は、この予め設定された一定の周期とは無関係に、中央制御装置16からのデータ送信要求信号を受信した場合は、前記した一定の周期によるデータ送信要求信号に優先して、制御装置6にデータ送信要求を送信し、この信号を受信した制御装置6は、半導体記憶装置8に格納されているコインランドリー機器4のデータをデータコントローラ5に送信し、データコントローラ5は、制御装置6から受信したコインランドリー機器4のデータを中央制御装置16に送信する。
【0018】
この半導体記憶装置8は、データの読み出しと書き込みが可能なメモリが主体となって構成されており、マイクロコンピュータ8に内蔵されていてもよい。また、半導体記憶装置8は、ハードディスク装置(磁気ディスク装置)で代用されてもよい。また、データコントローラ5と制御装置6は、それぞれの機能を1つのモジュールの中に構成されたものでも代用できる。
【0019】
制御装置6は、コインランドリー利用者が設定した条件と、これに対応する予め組込まれたコインランドリー機器運転プログラムと、コインランドリー機器に取付けられた複数のセンサ9、10、11からの信号とに基づいて、コインランドリー機器4の運転を制御する。センサ9、10、11のいずれかからのトラブル信号を受信した場合は、コインランドリー機器4の運転を停止し、トラブル信号を半導体記憶装置8に格納すると共に、中央制御装置16に対してデータコントローラ5を介してデータ送信要求信号の発呼要求信号を送信する。中央制御装置16はこの発呼要求信号を受信すると、データコントローラ5を介して制御装置6にデータ送信要求信号を送信する。制御装置6は、データ送信要求を受信するとトラブル信号に基づいたデータを中央制御装置16に送信する。このデータは、エラーの内容に対応して設定されたエラーコードに変換されている。中央制御装置16のモニタには、受信したトラブル信号のデータの内容(エラーコード)に対応したトラブルの内容が表示される。管理者側15は、その表示された内容を把握して対応すべき手段を判断し、例えばコインランドリー機器4のリセット信号などのトラブル処置制御信号を中央制御装置16からデータコントローラ5を介して制御装置6に送信する。
尚、後述するように、ネットワークカメラ12で撮影されたコインランドリー機器4の略リアルタイムの映像をほぼ同時にモニタすることにより、トラブルに対して迅速且つ適切な処置が行える。また、店舗2に管理者側の係員を派遣する必要が無く、店舗の無人化が図られ、経費削減が行える。尚、コインランドリー集中制御部3の構成は、既存の技術であるため、主要な部分のみ記述した。
【0020】
一方、図1に示すように、ネットワークカメラ12と中央制御装置16との通信ネットワークは、店舗2側に設置されたネットワークカメラ12と、管理者側15に設置されたモニタ付き中央制御装置16と、ISP(インターネットサービスプロバイダ)のサーバ26とから構成され、これらは全てインターネット27に接続されている。店舗2側のネットワークカメラ12は、ADSLモデム一体型のルータ13に接続され、このルータ13は、前記スプリッタ14に接続されている。スプリッタ14と店舗側局22は、前記ADSL回線24で常時接続されており、スプリッタ14と店舗側局間22は1本のADSL回線24でコインランドリー機器4のデータとネットワークカメラ12の動画像データを同時に送信することができる。
【0021】
管理者側15には、中央制御装置16とADSLモデム一体型のルータ17が設置され、このルータはISP(インターネットサービスプロバイダ)のサーバ26と同軸ケーブル25で接続されている。このISPのサーバ26と店舗側局22はインターネット27で接続されている。また、コインランドリー管理業務をアウトソーシングした際のオーナー宅19の端末装置20とインターネット27とは、オーナー宅に設置されたADSLモデム内蔵のスプリッタ21、常時接続のADSL回線31、オーナー宅側局35によって接続されている。店舗2のネットワークカメラ12で撮影された店舗2内外の映像(動画像)データは、インターネット27を介して、ISP(インターネットサービスプロバイダ)のサーバ26上で構築されたホームページに略リアルタイムの動画像として常時掲載されると共に、このサーバに備えられているハードディスク装置(磁気ディスク装置)に格納(録画)される。また、動画像データは、ディジタルデータとしてサーバ26に格納され、必要なデータを選択して静止画像として復元し、一定の時間間隔でホームページに再生表示が可能であり、ホームページ閲覧者は、動画像と静止画像を選択的に閲覧できるようになっている。尚、前記ハードディスク装置はDVD(Digital Versatile Disk)装置で代用されても良いし、磁気テープ装置を利用しても良い。
【0022】
このように構成したことにより、図4に示すように、複数の店舗2、2a、2b、2c、2dの店舗内外の映像(動画像)は、インターネット27を介して管理者側15の中央制御装置16のモニタやオーナー宅19の端末装置20で、ホームページに掲載された動画像として略リアルタイムに見ることができる。もちろん、インターネット27に有線又は無線で接続されたインターネット利用者の固定端末装置33や、携帯電話や携帯端末(PDA)などの携帯用の端末装置29を利用しても同様の効果が実現できる。
【0023】
このように、コインランドリー店舗2内外の映像を遠隔地で略リアルタイムで見ることができる技術は、従来の技術水準では実現できなかった技術である。また、店舗2と店舗側局間22との接続に、専用回線ではなく、既存のツイストペア線を利用したADSL回線24を使用したことにより、設備の経費の負担を軽減することができる。また、ADSL回線24、24a、24b、24c、24dやインターネット27を利用して、ホームページ上に複数の店舗の映像を同時に閲覧可能にしたので、管理者側のクレーム対応も迅速になり、コインランドリー利用者にとっても、自宅や外出先からインターネット27に接続可能な端末装置からコインランドリー機器4の使用状況を確認できるので、非常に便利である。
【0024】
ネットワークカメラ12は、ズーム機能、パン機能、チルト機能を有し、これらの機能は管理者側15に設置された中央制御装置16で、ネットワークカメラ12の1台毎に付与されたグローバルIPアドレス又はドメイン名を使用して1台毎に制御され、コインランドリー機器4の状態が管理者側15の中央制御装置16のモニタで正確に視認することができる。また、コインランドリー機器4以外の店舗2内の様子や、店舗2外の様子も視認できる。このため、コインランドリー利用者のクレーム対応の際に、コインランドリー機器4の状態を正確に把握して適切且つ迅速な処置ができるだけでなく店舗2内の不正監視や店舗2外の駐車場の状況把握も行うことができる。さらに、このネットワークカメラ12で撮影された映像は、店舗2内でLANで接続されたモニタ(図示せず)にも映し出され、不正防止の効果が高められている。特に集金作業時や清掃作業時の不正防止に効果が期待できる。このように店舗のセキュリティが確実に行えるので、コインランドリー管理業務のアウトソーシング化が可能となる。尚、グローバルIPアドレスとドメイン名を対比するDNSサーバは図示していない。また、本実施例では、ネットワークカメラ12は、図1、図4に示すように、1店舗に1台設置されているが、1店舗に複数のネットワークカメラを設置することもできる。
【0025】
次に、本発明に係るコインランドリー管理システム1のトラブル発生時のクレーム対応の一実施例について説明する。図3に示すように、コインランドリー機器4に何らかのトラブルが発生した際(ステップS01)には、前記したように、このトラブルを検知したセンサから制御装置16にトラブル信号が送信され、該当するコインランドリー機器4の運転が停止(ステップS02)される。このトラブル信号は、制御装置6に搭載された半導体記憶装置8に格納されると共に、データコントローラ5を介して中央制御装置16にデータ送信要求信号の発呼要求信号を送信する。この発呼要求信号を受信した中央制御装置16は、データコントローラ5にデータ送信要求信号を送信し、データコントローラ5は、該当する制御装置6にデータ送信を要求する。この制御装置6は、半導体記憶装置8に格納されていたトラブル信号をデータコントローラ5に送信し、データコントローラ5から中央制御装置16に送信される。このとき、トラブル信号のデータは、前記したように、予めエラーの内容に対応して設定されたエラーコードに変換されている。このトラブル信号(エラーコード)を受けた中央制御装置16のモニタにそのエラーコードに対応したトラブル内容が表示される(ステップS03)と、管理者は、中央制御装置16からネットワークカメラ12を遠隔操作して、該当するコインランドリー機器4をズーアップして撮影し、コインランドリー機器4に表示されたモード表示ランプやコインランドリー機器4中央の覗き窓越しの内部の状況などをモニタに映し出して、実際のコインランドリー機器4の映像を視認してトラブルの真の内容を確認(ステップS04)する。そして、適切な処置を判断し、その処置すべき制御信号(例えばコインランドリー機器のリセット信号など)を中央制御装置16から送信し、この制御信号を受信したデータコントローラ5から該当するコインランドリー機器4の制御装置6に制御信号が送信されて、コインランドリー機器4のトラブル処置が実行(ステップS05)される。そして、中央制御装置16のモニタに表示されたコインランドリー機器4の状態と映像を確認(ステップS06)し、異常の有無を判断(ステップS07)する。もし、異常があれば、再度ネットワークカメラ12でコインランドリー機器4の状態を確認しながらトラブル処置を実行する。この操作(ステップS04〜ステップS07)を繰り返し、異常が無くなれば、トラブル処置が完了(ステップS08)する。実用上は、ネットワークカメラを利用した効果が大きいので、ステップS04〜ステップS07のサイクルを何度も繰返す必要はない。このように、トラブル信号と、略リアルタイムのコインランドリー機器4の状態とを確認しながら対応できるので、係員を店舗に派遣しなくても、適切且つ迅速な処置が行える。尚、上記の実施例では、コインランドリー利用者との連絡手段による応答が無くても実現可能であるが、コインランドリー利用者が、例えば携帯電話を使用して管理者側15に連絡をしてきても実現できることは言うまでもない。
【0026】
本発明に係るコインランドリー管理システム1では、ネットワークカメラ12で撮影した映像のデータ通信に常時接続の回線を使用するため、24時間稼動が可能である。また前記したように、ネットワークカメラ12がズーム機能、パン機能、チルト機能を有しているため、店舗2内外を細部あるいは広範囲に亘って撮影できるため、店舗2のセキュリティを確実に行うことができる。このため、コインの集金業務や店舗の清掃業務などをアウトソーシングしてオーナーの負担を大幅に軽減することができる。これにより、広範囲の地域に亘ってインターネット27を介して本システム1が構築でき、広範囲の地域に亘って使用方法が同一のコインランドリー機器4が設置できる。従って設置や維持のコストも低減され、また、コインランドリー利用者にとっても使い勝手の良いものとなる。
【0027】
また、本発明のコインランドリー管理システム1によれば、店舗2からの遠隔地でも略リアルタイムで店舗2内外の様子を見ることができるため、例えば、図4に示すように、クレーム対応業務だけを行うコールセンター32を管理者側15とは別の場所に設置することも可能である。コールセンター32にも中央制御装置16と同機能の制御装置16aを設置し、通信手段も同様にADSL回線31aとインターネット27を利用すれば、コールセンター32で見る複数の店舗2、2a、2b、2c、2dの映像と管理者側で見る複数の店舗2、2a、2b、2c、2dの映像は略同期して且つ略リアルタイムになるので、コールセンター32でのクレーム対応も、前記した管理者側15の場合と同様に適切且つ迅速にできる。また、これにより、クレーム対応業務だけを分離してアウトソーシングすることも可能となる。
【0028】
尚、本実施例では、ADSL回線による使用例を説明したが、HDSL回線やSDSL回線などの他のDSL回線を使用しても構わない。もちろん、ADSL回線も含めてそれぞれの回線を使用した場合には、転送速度が動画像を略リアルタイムで転送できる速度に設定できる条件で使用する必要がある。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るコインランドリー管理システムによれば、コインランドリー機器のクレーム対応を迅速且つ適切に行い、店舗のセキュリティを確実にし、コインランドリー管理業のアウトソーシングを実現できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るコインランドリー管理システムの一実施例を示すネットワーク構成の説明図である。
【図2】図2は、本発明に係るコインランドリー管理システムのコインランドリー集中制御部の説明図である。
【図3】図3は、本発明に係るコインランドリー管理システムにおけるトラブル発生時のトラブル処置の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係るコインランドリー管理システムの他の実施例を示すネットワーク構成図である。
【符号の説明】
1 コインランドリー管理システム
2 店舗
2a、2b 店舗
2c、2d 店舗
3 コインランドリー集中制御部
4 コインランドリー機器
5 データコントローラ
6 制御装置
7 マイクロコンピュータ
8 半導体記憶装置
9 コインセンサ
10 回転数センサ
11 温度センサ
12 ネットワークカメラ
13、17 ルータ
14、21 スプリッタ
15 管理者側
16 中央制御装置
16a コールセンター制御装置
19 オーナー宅
20 オーナー宅の端末装置
22 店舗側局
23 管理者側局
24 ADSL回線
24a、24b ADSL回線
24c、24d ADSL回線
31、31a ADSL回線
25 同軸ケーブル
26 ISPのサーバ
27 インターネット
28 公衆回線網
29 携帯用の端末装置
30 アナログ回線
32 コールセンター
33 固定端末装置
34 コールセンター側局
35 オーナー宅側局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインランドリー機器と、複数のセンサから読込まれた前記コインランドリー機器のデータに基づいて前記コインランドリー機器の運転を制御すると共にそのデータを記憶する制御装置と、該制御装置から前記データを送信させるデータコントローラとを備えたコインランドリー集中制御部と、
ズーム機能、パン機能、チルト機能を有し、撮影したコインランドリー店舗内の映像を動画像データに変換して送信可能なネットワークカメラと
を前記店舗内に備え、
また、モニタを有し、前記コインランドリー集中制御部及び前記ネットワークカメラと通信手段によって接続された中央制御装置を管理者側に備え、
前記コインランドリー集中制御部及び前記ネットワークカメラから前記通信手段を介して前記中央制御装置へ送信された前記コインランドリー機器のデータ及び前記店舗内の動画像に基づいて、前記コインランドリー機器を遠隔管理するコインランドリー管理システムであって、
前記コインランドリー集中制御部と前記中央制御装置とは、xDSL回線を介して公衆回線網で接続され、前記中央制御装置に送信された前記コインランドリー機器のデータの内容に基づいてコインランドリー機器の状態が前記中央制御装置のモニタに表示され、
また、前記ネットワークカメラと前記中央制御装置とは、前記xDSL回線を介してインターネットで接続され、前記中央制御装置によって前記管理者側が前記ネットワークカメラの撮影操作を行い、この撮影された前記店舗内の映像は動画像データに変換されてインターネットに接続された前記管理者側のホームページ用サーバに送信された後、前記ホームページに略リアルタイムな動画像として掲載され、
この動画像は、前記インターネットに接続された前記中央制御装置のモニタに表示され、
前記管理者側が、この前記店舗内の略リアルタイムの動画像と、
前記中央制御装置のモニタに表示されたコインランドリー機器の状態とに基づいて、
前記コインランドリー機器の遠隔管理を行うことを特徴とするコインランドリー管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のコインランドリー管理システムにおいて、ネットワークカメラで撮影された映像を静止画像としてホームページ上に掲載可能にし、この静止画像と前記動画像をホームページ上で選択的に閲覧できるようにしたことを特徴とするコインランドリー管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコインランドリー管理システムにおいて、ネットワークカメラで撮影された映像が、録画手段によって録画され、この録画の再生画像が前記ホームページ上に掲載されることを特徴とするコインランドリー管理システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインランドリー機器と、複数のセンサから読込まれた前記コインランドリー機器のデータに基づいて前記コインランドリー機器の運転を制御すると共にそのデータを記憶する制御装置と、該制御装置から前記データを送信させるデータコントローラとを備えたコインランドリー集中制御部と、
ズーム機能、パン機能、チルト機能を有し、撮影したコインランドリー店舗内の映像を動画像データに変換して送信可能なネットワークカメラと
を前記店舗内に備え、
また、モニタを有し、前記コインランドリー集中制御部及び前記ネットワークカメラと通信手段によって接続された中央制御装置を管理者側に備え、
前記コインランドリー集中制御部及び前記ネットワークカメラから前記通信手段を介して前記中央制御装置へ送信された前記コインランドリー機器のデータ及び前記店舗内の動画像に基づいて、前記コインランドリー機器を遠隔管理するコインランドリー管理システムであって、
前記コインランドリー集中制御部と前記中央制御装置とは、xDSL回線を介して公衆回線網で接続され、前記中央制御装置に送信された前記コインランドリー機器のデータの内容に基づいてコインランドリー機器の状態が前記中央制御装置のモニタに表示され、
また、前記ネットワークカメラと前記中央制御装置とは、前記xDSL回線を介してインターネットで常時接続され、前記中央制御装置によって前記管理者側が前記ネットワークカメラの撮影操作を行い、この撮影された前記店舗内の映像は動画像データに変換されてインターネットに常時接続された前記管理者側のホームページ用サーバに送信された後、前記ホームページに略リアルタイムな動画像として掲載され、
この動画像は、前記インターネットに常時接続された前記中央制御装置のモニタに表示され、
前記管理者側が、この前記店舗内の略リアルタイムの動画像と、
前記中央制御装置のモニタに表示されたコインランドリー機器の状態とに基づいて、
前記コインランドリー機器の遠隔管理を行うことを特徴とするコインランドリー管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−352179(P2006−352179A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−171310(P2003−171310)
【出願日】平成15年6月16日(2003.6.16)
【特許番号】特許第3520449号(P3520449)
【特許公報発行日】平成16年4月19日(2004.4.19)
【出願人】(502036136)WASH株式会社 (3)
【Fターム(参考)】