説明

コネクタカバー構造

【課題】携帯端末の外部接続端子に外部の接続対象物を接続する際にカバー本体や脱落防止帯が邪魔にならず、しかも、脱落防止帯の素材の劣化をも抑制し得るコネクタカバー構造を提供する。
【解決手段】カバー本体6の外周部から外側に向けて延出する可撓性の帯状体から成る脱落防止帯7の先端部7aに形成された止着部9を携帯端末1の筐体2の一面2bに設けられた取付部8に接続し、取付部8を回転中心として脱落防止帯7およびカバー本体6の回転姿勢変化を許容する。脱落防止帯7を大きく屈曲させなくても外部接続端子3の配設位置に対応して筐体2に形成された開口部4の前からカバー本体6を退かせられるようにすることで、カバー本体6や脱落防止帯7が邪魔にならないようにし、かつ、屈曲による脱落防止帯7の素材の劣化も抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続端子の配設位置に対応して携帯端末の筐体に形成された開口部を覆うコネクタカバーと此のコネクタカバーを筐体に接続するために筐体の一面に設けられた取付部とによって構成されるコネクタカバー構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS,携帯電話,スマートフォン等を始めとする各種の携帯端末には、有線LAN通信を利用した情報の入出力や充電等の際に外部の接続対象物と接続するための外部接続端子が設けられており、その防塵機能や防水機能を実現するためには、外部接続端子の配設位置に対応して携帯端末の筐体に形成された開口部を覆うためのコネクタカバーが必要とされる。
【0003】
この種のコネクタカバーは、一般に、筐体の開口部に嵌合して開口部を開閉可能に覆うカバー本体と、カバー本体の外周部から外側に向けて延出する可撓性の帯状体から成る脱落防止帯とによって構成されている。
【0004】
脱落防止帯はカバー本体の不用意な脱落や紛失を防止するためのもので、機械的なヒンジ構造を利用して構成する場合もあるが、昨今の携帯端末にあっては、防塵・防水対策や小型化および製造コスト等の面から、特許文献1等に開示されるように、専ら可撓性の帯状体が採用されている。
【0005】
更に、可撓性の帯状体から成る脱落防止帯を長めに形成し、その基部に抜け止めを設け、一定の限度で筐体に対して出入り自在とした構成を採用したものもある。
このような構成を適用した場合には、カバー本体と開口部との嵌合を解除した後、脱落防止帯を筐体から引き出して、長いスパンで脱落防止帯を屈曲させてカバー本体を開口部の前から退けさせることができるので、極度の屈曲による脱落防止帯の素材の劣化を抑制できるメリットがある。
【0006】
しかし、何れの場合においても、脱落防止帯を屈曲させて開口部の前から退ける点では同様であり、脱落防止帯やカバー本体から手を離すとカバー本体が脱落防止帯の弾性復帰力によって原位置つまり外部接続端子の配設位置に対応して筐体に形成された開口部を覆う位置に戻ってしまい、携帯端末の外部接続端子に外部の接続対象物たとえばプラグやクレードル等を接続する際に、カバー本体や脱落防止帯が干渉して邪魔になるといった不都合が生じる。
【0007】
また、カバー本体や脱落防止帯が接続対象物に干渉しないように脱落防止帯を大きく屈曲させてカバー本体を開くようなことを繰り返すと、脱落防止帯の素材が劣化して破断するといった恐れもある。
【0008】
特に、接続対象物がクレードルのように大きな物である場合にあっては、仮に、カバー本体を180°反転して開いたとしても、開口部を形成した筐体の面とクレードルとの間にカバー本体や脱落防止帯が挟み込まれることになり、カバー本体や脱落防止帯が著しく邪魔になる。
【0009】
特許文献2に開示されるカバーのように、弾性体からなるヒンジ部を屈曲させた状態で支持部とカバーを凹凸嵌合させることによってカバーを開放位置に保持するものも提案されているが、カバー内側の中央部にヒンジ部が形成されている関係上、カバーの開放角度は支持部とカバーとの干渉から90°前後が限界となる。つまり、カバーを180°反転して開くことはできないので、クレードルのように大きな物との接続にはカバーの干渉が避けられない。
【0010】
あるいは、特許文献3に開示されるようなフック構造を転用すれば、カバー本体や脱落防止帯を筐体から一体的に着脱可能とすることも可能となるが、カバー本体や脱落防止帯を纏めて取り外した際の紛失が問題となる。
【0011】
更に、頻繁に利用される充電機能等を実現するための外部接続端子をUSB等の外部接続端子と独立させて筐体の外側に露出するようなかたちで配設することによって充電用のクレードルとの接続作業を容易化するものも提案されているが、外部接続端子の数が増加する分だけ装置の製造コストが高くなる不都合がある。
しかも、このように変則的な解決策は、充電以外の目的で利用される外部接続端子、たとえば、寸法や配列の規格が決まっているUSB等の外部接続端子には利用できない不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−283157号公報(段落0020,図1−図2,図5)
【特許文献2】特開2008−235069号公報(段落0016−段落0019,図1−図4)
【特許文献3】特開2006−115163号公報(段落0034,図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明の目的は、携帯端末の外部接続端子に外部の接続対象物を接続する際にカバー本体や脱落防止帯が邪魔にならず、しかも、脱落防止帯の素材の劣化をも抑制し得るコネクタカバー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のコネクタカバー構造は、外部接続端子の配設位置に対応して携帯端末の筐体に形成された開口部を覆うコネクタカバーと此のコネクタカバーを筐体に接続するために筐体の一面に設けられた取付部とによって構成されるコネクタカバー構造であり、前記目的を達成するため、特に、
前記コネクタカバーが、前記開口部に嵌合して前記開口部を開閉可能に覆うカバー本体と、前記カバー本体の外周部から外側に向けて延出する可撓性の帯状体から成り其の先端部に前記取付部と接続するための止着部を一体に形成された脱落防止帯とによって構成され、
前記取付部および止着部が、前記取付部の配設位置における前記一面の法線を回転中心とした前記脱落防止帯およびカバー本体の回転姿勢変化を許容するように構成されていることを特徴とした構成を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコネクタカバー構造は、カバー本体の外周部から外側に向けて延出する可撓性の帯状体から成る脱落防止帯の先端部に形成された止着部を携帯端末の筐体の一面に設けられた取付部に接続することにより、取付部を回転中心とする脱落防止帯およびカバー本体の回転姿勢変化を許容するようにしたので、脱落防止帯を大きく屈曲させなくても、脱落防止帯の回転姿勢の変化によって、外部接続端子の配設位置に対応して筐体に形成された開口部の前からカバー本体を退かせて開口部を完全に開放することができる。
また、カバー本体の開放後、脱落防止帯の弾性復帰力によってカバー本体が不用意に開口部を塞ぐ位置に戻る恐れもない。
よって、携帯端末の外部接続端子に外部の接続対象物を接続する際にカバー本体や脱落防止帯が邪魔になることはなく、特に、接続対象物が大きいために開口部を形成した筐体面が接続対象物によって完全に覆われてしまうような場合であっても脱落防止帯を大きく屈曲させなくて済むことから、脱落防止帯の素材の劣化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のコネクタカバー構造を適用した一実施形態の携帯端末の外観についてカバー本体を閉じた状態で示した斜視図である(第1の実施形態)。
【図2】同実施形態の携帯端末の外観についてカバー本体を開いた状態で示した斜視図である(第1の実施形態)。
【図3】同実施形態の携帯端末の外観についてカバー本体が邪魔とならない位置に脱落防止帯およびカバー本体を回転させた状態で示した斜視図である(第1の実施形態)。
【図4】接続対象となるクレードルに携帯端末を接続した状態を示した斜視図である(第1の実施形態)。
【図5】取付部と止着部の接続構造の一例について示した図で、図5(a)はカバー本体が開口部を覆う位置にコネクタカバーを回転させた状態で取付部と止着部の嵌合状態を示した断面図、図5(b)はコネクタカバーの姿勢変化過程における取付部と止着部の嵌合状態を示した断面図、図5(c)は筐体とクレードルの接続に際してコネクタカバーが邪魔とならない位置にコネクタカバーを回転させた状態で取付部と止着部の嵌合状態を示した断面図である(第1の実施形態)。
【図6】携帯端末とクレードルの接続操作について示した斜視図である(第1の実施形態)。
【図7】本発明のコネクタカバー構造を適用した他の一実施形態の携帯端末の外観についてカバー本体を閉じた状態で示した斜視図である(第2の実施形態)。
【図8】同実施形態の携帯端末の外観についてカバー本体を開いた状態で示した斜視図である(第2の実施形態)。
【図9】同実施形態の携帯端末の外観についてカバー本体が邪魔とならない位置に脱落防止帯およびカバー本体を回転させた状態で示した斜視図である(第2の実施形態)。
【図10】同実施形態の携帯端末の構成について示した図で、図10(a)は其の平面図、図10(b)は其の左側面図、図10(c)は其の右側面図、図10(d)は其の下面図である(第2の実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態の幾つかについて、図面を参照して具体的に説明する。
〔第1の実施形態〕
【0018】
図1〜図3は本発明のコネクタカバー構造を適用した一実施形態の携帯端末1の外観について示した斜視図であり、図1ではカバー本体6を閉じた状態で携帯端末1を示し、また、図2ではカバー本体6を開いた状態の携帯端末1を示し、更に、図3ではカバー本体6が邪魔とならない位置に脱落防止帯7およびカバー本体6を回転させた状態で携帯端末1を示している。
また、図4は接続対象となるクレードル100に図3に示される状態の携帯端末1を接続した状況を示した斜視図である。
【0019】
この実施形態の携帯端末1は、たとえば、PHS,携帯電話,スマートフォン等といった可搬性の小型携帯端末であり、その外装を形成する筐体2には、図2および図3に示されるように、充電端子を備えたUSB規格の外部接続端子3の配設位置に対応して開口部4が穿設されている。
【0020】
そして、筐体2の一面2b上、より具体的には、開口部4を形成された面2aに隣接する一面2b上において、図4に示されるように、外部接続端子3に接続対象物であるクレードル100を接続した際にクレードル100と接触しない箇所に、コネクタカバー5を筐体2に接続するための取付部8が設けられている。
【0021】
この実施形態にあっては、図4に示されるように、開口部4を形成された筐体2の面2aつまり外部接続端子3を設けた側の面2aがクレードル100によって全面的に覆われるので、取付部8が配設可能な筐体2の面が、開口部4を形成された面2aに隣接する4つの面2b(右側面),2c(左側面),2d(表面),2f(裏面)に制限される。
また、このうち、筐体2の表面2dはユーザが内蔵ディスプレイの確認やボタン操作等に際して開閉操作する面、つまり、開口部4に対する位置や姿勢が変化する面であるから、取付部8を配設する面としては不適である。
筐体2の残る3つの面2b,2c,2fに関しては、クレードル100と接触しない箇所であることを条件に取付部8の配設が許容され得る。
より厳密には、この実施形態で接続対象とするクレードル100にあっては、図4に示されるように、筐体2の3つの面2b,2c,2fのうち、開口部4を形成された面2aからの垂直離間距離がH未満となる部分がクレードル100のケーシング部分によって包囲されることになるので、取付部8の配設が実際に許容されるのは、面2b,2c,2fの何れかの面上であって、かつ、開口部4を形成された面2aからの垂直離間距離がH以上の箇所ということになる。
【0022】
そこで、この実施形態においては、取付部8を配設する面として筐体2の一面2b(右側面)を選択し、この一面2b上であって開口部4を形成された面2aからの垂直離間距離がH以上となる箇所、つまり、接続対象物であるクレードル100を接続した際にクレードル100のケーシング部分と接触しない箇所に、取付部8を設けている。
面2b上であって面2aからの垂直離間距離がH以上となる箇所であれば何処でも取付部8を設けることが可能だが、取付部8を開口部4の形成面2aから余りにも離間させて配置するとコネクタカバー5の脱落防止帯7の全長が冗長されて取り扱いが不便となり、また、コネクタカバー5の製造に要する材料費も増大するので、取付部8は、面2b上であって面2aからの垂直離間距離がHを僅かに上回る位置に配設することが望ましい。
【0023】
なお、開口部4を形成した筐体2の面2aが接続対象物に対して全面的には当接しない構成、たとえば、USBケーブルのコネクタ等のように小さなものを専らの接続対象とするような構成にあっては、開口部4を形成した面2a上であって、かつ、USBケーブルのコネクタ等と当接しない箇所に取付部8を設けることも可能であり、開口部4を形成された面2a以外の面に取付部8を設けることは必ずしも必須の要件ではない。
【0024】
一方、コネクタカバー5は、図3に示されるように、筐体2の開口部4と嵌合して開口部4を開閉可能に覆うカバー本体6と、カバー本体6の外周部の片側から外側に向けて延出する脱落防止帯7によって構成される。
【0025】
脱落防止帯7はエラストマやポリプロピレン樹脂等の可撓性の帯状体から成り、其の先端部7aには、筐体2の一面2bに設けられた取付部8と接続するための止着部9が一体に形成されている。
この実施形態にあっては、カバー本体6と脱落防止帯7も完全に一体の構造である。
一般に、カバー本体6と開口部4との嵌合部は防塵機能や防水機能を有するが、その構成に関しては既に公知であるから、特に説明しない。
【0026】
取付部8と止着部9の接続構造の一例について、図5(a)の断面図を参照して説明する。
【0027】
この実施形態における取付部8は、筐体2の一面2b上に植設されたピンもしくは筐体2の一面2b上に一体に成形されたダボ等によって構成される柱状突起であり、また、止着部9は、柱状突起から成る取付部8を圧入状態で内嵌し得る大きさの孔から成る。
【0028】
特に図示しないが、柱状突起から成る取付部8の先端には抜け止め用の拡径部が一体に形成されており、脱落防止帯7の先端部7aを一時的に弾性変形させて孔から成る止着部9を押し広げ、柱状突起から成る取付部8を止着部9に突入させることによって、脱落防止帯7の先端部7aが取付部8を介して筐体2の一面2bに取り付けられるようになっている。
【0029】
柱状突起から成る取付部8によって脱落防止帯7の先端部7aを軸支する構成であるから、取付部8の配設位置における筐体2の一面2bの法線を回転中心とした脱落防止帯7の回転姿勢変化、つまり、図5(a)に示される取付部8の位置を回転中心とした時計方向および反時計方向へのコネクタカバー5の回転が許容されることになる。
【0030】
図5(a)はカバー本体6が開口部4を覆う位置にコネクタカバー5を回転させた状態で取付部8と止着部9の嵌合状態を示した断面図、図5(c)は筐体2とクレードル100の接続に際してコネクタカバー5が邪魔とならない位置にコネクタカバー5を回転させた状態で取付部8と止着部9の嵌合状態を示した断面図である。また、図5(b)は、図5(a)の状態から図5(c)の状態への姿勢の移行過程もしくは図5(c)の状態から図5(a)の状態への姿勢の移行過程における取付部8と止着部9の嵌合状態を示した断面図である。
【0031】
止着部9における取付部8との接触部、つまり、孔から成る止着部9の内周部には、図5(c)に示されるように、筐体2とクレードル100の接続に際してコネクタカバー5が邪魔とならない位置にコネクタカバー5を回転させた状態で取付部8の外周面の凹部10bに嵌合する凸部11bが形成され、また、図5(a)に示されるように、カバー本体6が開口部4を覆う位置にコネクタカバー5を回転させた状態で取付部8の外周面の凹部10aに嵌合する凸部11aが形成されており、これらの凹凸嵌合により図5(c)および図5(a)に示される各姿勢で脱落防止帯7の回転にクリックストップが掛けられるようになっている。
また、図5(b)に示されるような脱落防止帯7の姿勢の移行過程にあっては、止着部9の内周部に設けられた凸部11a,11bのうち少なくとも何れか一方が取付部8の外周面で押圧され、弾性限度内で圧縮変形することになるので、その反力が摩擦抵抗として作用し、脱落防止帯7の回転操作に適度な抵抗が与えられる。
【0032】
無論、凹部10a,10bに代えて凸部を設けると共に凸部11a,11bに代えて凹部を設けた構成によっても同様の作用・効果を得ることができる。
【0033】
図1に示されるようにしてコネクタカバー5のカバー本体6で筐体2の開口部4を覆われた状態にある携帯端末1をクレードル100に接続する際には、まず、カバー本体6に爪を掛けて手前に引くことによってカバー本体6と開口部4との嵌合を解除し、図2に示されるようにしてカバー本体6を開く。
【0034】
カバー本体6が開かれた状態つまり脱落防止帯7に何らの拘束力も作用しない状態にあっては、脱落防止帯7の弾性復帰力のためにカバー本体6の姿勢が図2に示されるような中途半端な状態に保持されるので、携帯端末1の外部接続端子3とクレードル100の接続端子101との接続に際してカバー本体6が邪魔になるといった不都合がある。
この問題はエラストマ等からなる帯状体を脱落防止帯あるいは単なるヒンジとして利用してカバー本体の開閉を行なうようにした従来型の携帯端末に共通する問題である。
従来の携帯端末にあっては帯状体の弾性復帰力に抗してカバー本体を指で押さえて開いた状態でUSBケーブルのコネクタ等を接続するようにしていたが、その作業は厄介であり、また、外部接続端子のための開口部を設けた筐体の面を全面的に覆うような大きな接続対象、たとえば、クレードル等に対して接続作業を行なう際にはカバー本体を180°反転して開く必要があるので、操作の煩わしさに加え、更に、ヒンジ等として機能する帯状体に屈曲による素材の劣化が生じ易くなるといった不都合もあった。
【0035】
そこで、本実施形態では、脱落防止帯7を大きく屈曲させるような無理な操作は行なわず、カバー本体6を開いた図2の状態から取付部8を中心としてコネクタカバー5を図5(a)中の反時計方向に回転させ、カバー本体6を筐体2の裏面2f側に移動させることによって開口部4の前方からカバー本体6を退かせる。
【0036】
そして、筐体2とクレードル100の接続に際してコネクタカバー5が邪魔とならない位置つまり図3や図4に示されるような位置にまで脱落防止帯7が回転すると、取付部8の外周面に形成された凹部10bに止着部9の凸部11bが図5(c)に示されるようにして嵌合し、脱落防止帯7の姿勢変化にクリックストップが掛けられる。
【0037】
この実施形態のクレードル100は、図6に示されるように、外部接続端子3のための開口部4を形成された面2aを下方に向けて携帯端末1を直立させた状態で筐体2の外部接続端子3とクレードル100の接続端子101とを接続する構造のものであるが、前述した通り、カバー本体6を筐体2の裏面2f側に移動させた状況下では脱落防止帯7の姿勢変化に自動的にクリックストップが掛かるので、コネクタカバー5の自重による脱落防止帯7の不用意な回転によってコネクタカバー5が下方つまり開口部4の側に移動する恐れはない。よって、指でコネクタカバー5を保持しなくても筐体2側の外部接続端子3をクレードル100の接続端子101に確実に接続することができる。
【0038】
しかも、筐体2の開口部4からカバー本体6を退けるために脱落防止帯7を強く屈曲する必要は全くないので、屈曲操作の繰り返しのために脱落防止帯7の素材が劣化するといった不都合も全く生じない。
【0039】
また、接続作業が円滑化して煩わしさが解消されるので、外部接続端子3以外の別の端子たとえば頻繁に使う充電専用の端子を筐体2の外側に露出するようなかたちで配設して充電作業の円滑化を図るといった必要性もなくなり、携帯端末1の製造コストが軽減され得る。
【0040】
一方、前記とは逆に、カバー本体6で筐体2の開口部4を覆う場合には、図3に示される状態にあるコネクタカバー5を図5(c)中の時計方向に回転させ、カバー本体6を筐体2の開口部4の手前に移動させることになるが、この場合は、図2に示されるような位置まで脱落防止帯7が回転した時点で取付部8の外周面に形成された凹部10aに止着部9の凸部11aが図5(a)に示されるようにして嵌合することで、開口部4の前にカバー本体6が的確に位置決めされることになる。
【0041】
よって、図2に示される状態でカバー本体6を開口部4に向けて押し付けるだけの簡単な操作でカバー本体6を開口部4に適切に嵌合させ、図1に示されるようにして開口部4を的確に閉鎖することができる。
【0042】
〔第1の実施形態の変形例〕
【0043】
以上、一例として、筐体2側の取付部8を柱状突起で構成する一方、コネクタカバー5側の止着部9を孔で構成したコネクタカバー構造について説明したが、これとは逆に、筐体2側の取付部8を孔で構成し、コネクタカバー5側の止着部9を柱状突起で構成して、取付部8に止着部9を内嵌する構成としてもよい。
〔第2の実施形態〕
【0044】
次に、本発明のコネクタカバー構造を適用した他の一実施形態の携帯端末12の構成について簡単に説明する。
【0045】
図7〜図9は本実施形態の携帯端末12の外観について示した斜視図であり、図7ではカバー本体13を閉じた状態で携帯端末12を示し、また、図8ではカバー本体13を開いた状態の携帯端末12を示し、更に、図9ではカバー本体13が邪魔とならない位置に脱落防止帯14,14およびカバー本体13を回転させた状態で携帯端末12を示している。
また、図10(a)は同実施形態の携帯端末12を示した平面図、図10(b)は携帯端末12を示した左側面図、図10(c)は携帯端末12を示した右側面図、図10(d)は携帯端末12を示した下面図である。
接続対象となるクレードルに関しては、図4および図6を参照して説明した第1の実施形態のクレードル100と同様であるので説明は省略する。
【0046】
携帯端末12の外装を形成する筐体15には、図8および図9に示されるように、充電端子を備えたUSB規格の外部接続端子3の配設位置に対応して開口部4が穿設されている。
【0047】
そして、開口部4を形成された筐体15の面15aに隣接し、かつ、互いに平行を成す二つの面15b(右側面),15c(左側面)の各々の面上にあって、筐体15の外部接続端子3にクレードル100を接続した際にクレードル100と接触しない箇所に、柱状突起から成る取付部16,16が対称的に配設されている。
取付部16,16の構成は前述した第1の実施形態における取付部8と同様であるが、筐体15の左右両側に対称的に設けられている点が前述した第1の実施形態とは異なる。
【0048】
一方、コネクタカバー17のカバー本体13には、エラストマやポリプロピレン樹脂等の可撓性の帯状体からな成る二つの脱落防止帯14,14が、たとえば10(d)に示されるように、カバー本体13の外周部の両側から外側に向けて延出するようにして対称的に設けられている。
【0049】
そして、脱落防止帯14,14の各先端部14a,14aには、筐体15の二つの面15b,15cに設けられた取付部16,16と接続するための止着部18,18が一体に形成されている。
【0050】
図10(b)および10(c)に示されるように、この実施形態の止着部18,18は孔によって構成されており、その構成は前述した第1の実施形態における止着部9と同様であるが、この実施形態では、更に、脱落防止帯14,14の各々に、止着部18からカバー本体13に向かって延びるスリット19と此のスリット19に連絡する孔から成る補助止着部20が形成されている点で前述した第1の実施形態とは異なる。
【0051】
より具体的には、補助止着部20は図10(b)および10(c)に示されるように、カバー本体13が開口部4に嵌合した状態で柱状突起から成る取付部16と嵌合する位置に設けられ、また、孔から成る止着部18は、図7および図8に示されるように、カバー本体13が開口部4の手前側に離間した状態で柱状突起から成る取付部16と嵌合する位置に設けられている。
【0052】
図7に示されるようにしてコネクタカバー17のカバー本体13で筐体15の開口部4を覆われた状態にある携帯端末12をクレードル100に接続する際には、まず、カバー本体13に爪を掛けて手前に引くことによってカバー本体13と開口部4との嵌合を解除し、図8に示されるようにしてカバー本体13を開く。
【0053】
このようにしてカバー本体13が手前に引かれることにより、柱状突起から成る筐体15側の取付部16,16と嵌合していた脱落防止帯14,14の補助止着部20,20が取付部16,16から手前側に抜け出すと共に、脱落防止帯14,14の先端部14a,14aの弾性変形によってスリット19,19が広がってスリット19,19に沿った取付部16,16の相対移動が許容され、最終的に、筐体15側の取付部16,16に脱落防止帯14,14の止着部18,18が嵌合する。
【0054】
この実施形態ではカバー本体13の左右端の外周部から外側に向けて延出するようにして二つの脱落防止帯14,14が設けられているため、カバー本体13が引き出された状態では、カバー本体13は、図8に示されるように筐体15の開口部4の正面に一定の間隔、より具体的には、止着部18と補助止着部20の離間距離に相当する間隔を置いて位置することになる。
【0055】
そこで、本実施形態では、カバー本体13を開いた図8の状態から、柱状突起から成る取付部16,16を中心として、脱落防止帯14,14およびカバー本体13から成るコネクタカバー17を図8中の反時計方向に回転させて、カバー本体13を筐体15の裏面15f側に移動させることにより、図9に示されるようにして開口部4の前からカバー本体13を退ける。
【0056】
そして、筐体15とクレードル100の接続に際してコネクタカバー17が邪魔とならない位置つまり図9に示される位置にまで脱落防止帯14,14が回転すると、前述した第1の実施形態と同様にして、取付部16,16の外周面に形成された凹部に止着部18,18の凸部が嵌合し、脱落防止帯14,14の姿勢変化にクリックストップが掛けられる。
【0057】
従って、前述した第1の実施形態と同様、コネクタカバー17の自重による脱落防止帯14,14の不用意な回転によってコネクタカバー17が下方つまり開口部4の側に移動する恐れはなく、指でコネクタカバー17を保持しなくても、筐体15側の外部接続端子3をクレードル100の接続端子101に確実に接続することができる。
【0058】
しかも、筐体15の開口部4からカバー本体13を退けるために脱落防止帯14,14を屈曲する必要がないので、屈曲操作の繰り返しのために脱落防止帯14,14の素材が劣化するといった不都合も全く生じない。
【0059】
一方、前記とは逆に、カバー本体13で筐体15の開口部4を覆う場合には、図9に示される姿勢からコネクタカバー17を図9中の時計方向に回転させ、カバー本体13を筐体15の開口部4の前に移動させることになるが、この場合は、図8に示される位置まで脱落防止帯14,14が回転した時点で取付部16,16の外周面に形成された凹部に止着部18,18の凸部が嵌合し、図8に示されるようにして開口部4の前にカバー本体13を的確に位置決めすることになる。
【0060】
よって、図8に示される状態でカバー本体13を開口部4に向けて押し込むだけの簡単な操作でカバー本体13を開口部4に適切に嵌合させ、図7に示されるようにして開口部4を的確に閉鎖することができる。
【0061】
この際、柱状突起から成る筐体15側の取付部16,16と嵌合していた脱落防止帯14,14の止着部18,18が取付部16,16から抜け出すと共に、脱落防止帯14,14の先端部14a,14aの弾性変形によりスリット19,19が広がってスリット19,19に沿った取付部16,16の相対移動を許容し、最終的に、筐体15側の取付部16,16に脱落防止帯14,14の補助止着部20,20が嵌合することになる。
〔第2の実施形態の変形例〕
【0062】
以上、一例として、筐体2側の取付部16,16を柱状突起で構成し、コネクタカバー17の脱落防止帯14,14に孔から成る止着部18と、止着部18からカバー本体13に向かって延びるスリット19と、スリット19に連絡する孔から成る補助止着部20を設け、カバー本体13が開口部4に嵌合した状態で補助止着部20が取付部16と嵌合し、カバー本体13が開口部4の手前側に離間した状態で止着部18が取付部16と嵌合するようにしたコネクタカバー構造について説明したが、これとは逆に、筐体2側の取付部16,16を孔で構成すると共に、筐体2の二つの面15b,15cの各々に、孔から成る取付部16から開口部4と逆の方向つまり筐体15の面15eの側に向かって延びるスリットと、此のスリットに連絡する孔から成る補助取付部を形成する一方、コネクタカバー17の脱落防止帯14,14に柱状突起から成る止着部を設け、カバー本体13が開口部4に嵌合した状態で補助取付部が止着部と嵌合し、カバー本体13が開口部4の手前側に離間した状態で取付部が止着部と嵌合する構成としてもよい。
【0063】
以上に開示した実施形態の一部または全部は、以下の付記に示す記載によって適切に表現され得るが、発明を実施するための形態や発明の技術思想は、これらのものに制限されるものではない。
【0064】
〔付記1〕
外部接続端子(3)の配設位置に対応して携帯端末(1)の筐体(2)に形成された開口部(4)を覆うコネクタカバー(5)と此のコネクタカバー(5)を筐体(2)に接続するために筐体(2)の一面(2b)に設けられた取付部(8)とによって構成されるコネクタカバー構造であって、
前記コネクタカバー(5)が、前記開口部(4)に嵌合して前記開口部(4)を開閉可能に覆うカバー本体(6)と、前記カバー本体(6)の外周部から外側に向けて延出する可撓性の帯状体から成り其の先端部(7a)に前記取付部(8)と接続するための止着部(9)を一体に形成された脱落防止帯(7)とによって構成され、
前記取付部(8)および止着部(9)が、前記取付部(8)の配設位置における前記一面(2b)の法線を回転中心とした前記脱落防止帯(7)およびカバー本体(6)の回転姿勢変化を許容するように構成されていることを特徴としたコネクタカバー構造。
【0065】
〔付記2〕
前記取付部(8)が、前記開口部(4)を形成された面(2a)に隣接する一面(2b)上であって、前記外部接続端子(3)に接続対象物(100)を接続した際に接続対象物(100)と接触しない箇所に配設されていることを特徴とした付記1記載のコネクタカバー構造。
【0066】
〔付記3〕
前記止着部(9)が、柱状突起から成る取付部(8)を内嵌する孔によって構成されていることを特徴とした付記1または付記2記載のコネクタカバー構造。
【0067】
〔付記4〕
前記止着部が、孔から成る取付部に内嵌される柱状突起によって構成されていることを特徴とした付記1または付記2記載のコネクタカバー構造。
【0068】
〔付記5〕
前記取付部(16)が、前記開口部(4)を形成された面(15a)に隣接し、かつ、互いに平行を成す二つの面(15b,15c)の各々にあって前記外部接続端子(3)に接続対象物(100)を接続した際に接続対象物(100)と接触しない箇所に対称的に配設されると共に、
前記カバー本体(13)には、二つの脱落防止帯(14,14)が対称的に設けられ、
前記脱落防止帯(14,14)の各々には、止着部(18)からカバー本体(13)に向かって延びるスリット(19)と此のスリット(19)に連絡する孔から成る補助止着部(20)が形成され、
前記補助止着部(20)は前記カバー本体(13)が前記開口部(4)に嵌合した状態で前記取付部(16)と嵌合する位置に、また、前記止着部(18)は前記カバー本体(13)が前記開口部(4)の手前側に離間した状態で前記取付部(16)と嵌合する位置に設けられていることを特徴とした付記3記載のコネクタカバー構造。
【0069】
〔付記6〕
前記取付部が、前記開口部を形成された面に隣接し、かつ、互いに平行を成す二つの面の各々にあって前記外部接続端子に接続対象物を接続した際に接続対象物と接触しない箇所に対称的に配設されると共に、
前記カバー本体には、二つの脱落防止帯が対称的に設けられ、
前記二つの面の各々には、取付部から前記開口部を形成された面と逆の方向に向かって延びるスリットと此のスリットに連絡する孔から成る補助取付部が形成され、
前記補助取付部は前記カバー本体が前記開口部に嵌合した状態で前記止着部と嵌合する位置に、また、前記取付部は前記カバー本体が前記開口部の手前側に離間した状態で前記止着部と嵌合する位置に設けられていることを特徴とした付記4記載のコネクタカバー構造。
【0070】
〔付記7〕
前記外部接続端子(3)に接続対象物(100)を接続する際に前記脱落防止帯(7)およびカバー本体(6)が邪魔とならない位置に前記脱落防止帯(7)およびカバー本体(6)を回転させた状態と前記カバー本体(6)が前記開口部(4)を覆う位置に前記脱落防止帯(7)およびカバー本体(6)を回転させた状態の各回転位置で前記止着部(9)の回転にクリックストップを掛けるための凹凸部(11a,11b/10a,10b)を、前記止着部(9)における前記取付部(8)との接触部および前記取付部(8)における前記止着部(9)との接触部に形成したことを特徴とする付記3,付記4,付記5または付記6のうち何れか一項に記載のコネクタカバー構造。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のコネクタカバー構造は、PHS,携帯電話,スマートフォン等を始めとする各種の携帯端末に適用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 携帯端末
2 筐体
2a 開口部を形成された面(下面)
2b 筐体の一面(右側面)
2c 左側面
2d 表面
2e 天面
2f 裏面
3 外部接続端子
4 開口部
5 コネクタカバー
6 カバー本体
7 脱落防止帯
7a 脱落防止帯の先端部
8 取付部(柱状突起)
9 止着部(孔)
10a,10b 取付部の凹部
11a,11b 止着部の凸部
12 携帯端末
13 カバー本体
14 脱落防止帯
15 筐体
15a 開口部を形成された面(下面)
15b 開口部を形成された面に隣接し、かつ、互いに平行を成す二つの面の内の一つ(右側面)
15c 開口部を形成された面に隣接し、かつ、互いに平行を成す二つの面の内の一つ(左側面)
15d 表面
15f 天面
15f 裏面
16 取付部(柱状突起)
17 コネクタカバー
18 止着部(孔)
19 スリット
20 補助止着部(孔)
100 クレードル(接続対象物)
101 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続端子の配設位置に対応して携帯端末の筐体に形成された開口部を覆うコネクタカバーと此のコネクタカバーを筐体に接続するために筐体の一面に設けられた取付部とによって構成されるコネクタカバー構造であって、
前記コネクタカバーが、前記開口部に嵌合して前記開口部を開閉可能に覆うカバー本体と、前記カバー本体の外周部から外側に向けて延出する可撓性の帯状体から成り其の先端部に前記取付部と接続するための止着部を一体に形成された脱落防止帯とによって構成され、
前記取付部および止着部が、前記取付部の配設位置における前記一面の法線を回転中心とした前記脱落防止帯およびカバー本体の回転姿勢変化を許容するように構成されていることを特徴としたコネクタカバー構造。
【請求項2】
前記取付部が、前記開口部を形成された面に隣接する一面上であって、前記外部接続端子に接続対象物を接続した際に接続対象物と接触しない箇所に配設されていることを特徴とした請求項1記載のコネクタカバー構造。
【請求項3】
前記止着部が、柱状突起から成る取付部を内嵌する孔によって構成されていることを特徴とした請求項1または請求項2記載のコネクタカバー構造。
【請求項4】
前記取付部が、前記開口部を形成された面に隣接し、かつ、互いに平行を成す二つの面の各々にあって前記外部接続端子に接続対象物を接続した際に接続対象物と接触しない箇所に対称的に配設されると共に、
前記カバー本体には、二つの脱落防止帯が対称的に設けられ、
前記脱落防止帯の各々には、止着部からカバー本体に向かって延びるスリットと此のスリットに連絡する孔から成る補助止着部が形成され、
前記補助止着部は前記カバー本体が前記開口部に嵌合した状態で前記取付部と嵌合する位置に、また、前記止着部は前記カバー本体が前記開口部の手前側に離間した状態で前記取付部と嵌合する位置に設けられていることを特徴とした請求項3記載のコネクタカバー構造。
【請求項5】
前記外部接続端子に接続対象物を接続する際に前記脱落防止帯およびカバー本体が邪魔とならない位置に前記脱落防止帯およびカバー本体を回転させた状態と前記カバー本体が前記開口部を覆う位置に前記脱落防止帯およびカバー本体を回転させた状態の各回転位置で前記止着部の回転にクリックストップを掛けるための凹凸部を、前記止着部における前記取付部との接触部および前記取付部における前記止着部との接触部に形成したことを特徴とする請求項3または請求項4記載のコネクタカバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−45534(P2013−45534A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181135(P2011−181135)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】