説明

コネクタ及びそれを有する半導体試験装置

【課題】インピーダンスの不整合やクロストークの発生を抑えるとともに、接触部間の干渉を招かないグランド端子の設計を容易化するコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタのグランド端子4は、筒状本体41を有している。筒状本体41の下縁には、回路基板に接触させるための複数の接触部が形成されている。グランド端子4は、接触部として内側接触部42と外側接触部43とを有している。内側接触部42は、筒状本体41の内方且つ下方に向かって伸び、外側接触部43は筒状本体41の内方且つ下方に向かって伸びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルが接続可能なコネクタ、及びそれを有する半導体試験装置に関し、特に、クロストークやインピーダンスの不整合を抑える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の同軸ケーブルを回路基板に接続するためのコネクタが利用されている。この種のコネクタは、同軸ケーブルのシールド線と接触する複数のグランド端子と、同軸ケーブルの信号線と接触する複数の信号端子とを有している。また、この種のコネクタには、コネクタに対して同軸ケーブルを上方から接続できるように、各端子が上方に向くように配置されるものがある。
【0003】
特許文献1では、同軸ケーブルの端部に設けられたグランド端子(特許文献1において外導体3)が、信号端子(特許文献1において内導体2)を囲むように筒状に形成され、その軸線が基板に対して垂直な方向に向くように配置されている。グランド端子の下縁と信号端子の下端とには、基板上の導体に接触する接触部が形成されている。この接触部は細長い金属板によって形成されたバネ状であり、これによって、接触安定性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−291501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタにおいても、特許文献1のように、信号端子を囲む筒状にグランド端子を形成し、グランド端子の下縁と信号端子の下端とにバネ状の接触部を形成することが考えられる。しかしながら、特許文献1では、1つのグランド端子に1つの接触部しか設けられていないので、信号端子の接触部はグランド端子によって囲まれていない。そのため、接触部の付近では、インピーダンスの不整合や、クロストークが生じ易い。
【0006】
この問題に対して、グランド端子の接触部の数を増し、それらを信号端子の接触部を囲むように配置する構造が考えられる。しかしながら、接触部の数を増やした場合、接触部間の干渉が生じ易くなる。例えば、全ての接触部が筒状のグランド端子の内方に向いている構造では、グランド端子の接触部間の干渉や、グランド端子の接触部と信号端子の接触部との干渉が生じ易くなる。また、全ての接触部が筒状のグランド端子の外方に向いている構造では、互いに隣り合う2つのグランド端子の接触部が干渉しやすくなる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、インピーダンスの不整合やクロストークを抑えるとともに、接触部間の干渉を招かない端子を容易に設計できるコネクタ、及びそれを有する半導体試験装置を提供することある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るコネクタは、それぞれ筒状本体を有し、当該筒状本体の軸線が回路基板に対して垂直な方向に向くように前記回路基板上に配置される複数のグランド端子と、それぞれ前記筒状本体の内側に配置された複数の信号端子と、を有する。前記グランド端子のそれぞれは、前記回路基板に接触させるための複数の接触部であって、前記筒状本体の下縁から伸びる複数の接触部を有する。前記グランド端子のそれぞれは、前記複数の接触部として、前記筒状本体の内方且つ下方に向かって伸びる内側接触部と、前記筒状本体の外方且つ下方に向かって伸びる外側接触部とを有している、
【0009】
本発明では、グランド端子は複数の接触部を有しており、インピーダンスの不整合やクロストークが抑えられる。また、グランド端子は、複数の接触部として、筒状本体の内方に向かって伸びる内側接触部と、筒状本体の外方に向かって伸びる外側接触部とを有している。そのため、接触部間の干渉を生じないグランド端子の設計を行いやすくなる。なお、本発明で示される「下方」は、回路基板に対する相対的な方向を示している。すなわち、本発明において示される「下方」は、回路基板の表面に向いた方向を意味している。
【0010】
上記態様においては、前記外側接触部は、当該外側接触部の延伸方向の直線が、隣のグランド端子が有する筒状本体の外側を通るように形成されてもよい。こうすることによって、外側接触部が隣のグランド端子に当ることを抑えることができ、隣接する2つのグランド端子間の距離を小さくできる。
【0011】
上記態様においては、さらに、前記グランド端子のそれぞれは、2つの前記外側接触部を含んでもよい。そして、前記2つの外側接触部は、当該2つの外側接触部の延伸方向に伸びる2つの直線の間に前記隣のグランド端子が位置するように形成されてもよい。こうすることによって、外側接触部の数を増すと同時に、隣接する2つのグランド端子間の距離を小さくできる。なお、外側接触部の数は2つに限られず、2つより多くの外側接触部が1つのグランド端子に設けられてもよい。
【0012】
上記態様では、さらに、前記グランド端子のそれぞれは、2つの前記内側接触部を含み、前記2つの内側接触部と前記2つの外側接触部は、前記信号端子を囲むように配置されてもよい。こうすることによって、インピーダンスの不整合やクロストークの発生を抑えることができる。なお、内側接触部の数は2つに限られず、2つより多くの内側接触部が1つのグランド端子に設けられてもよい。
【0013】
さらに、前記2つの内側接触部と前記2つの外側接触部は、前記筒状本体の中心を通り、且つ、前記複数のグランド端子が並ぶ方向に対して直交する平面を挟んで互いに反対側に位置し、前記信号端子は、その下端に、前記回路基板に接触させるための接触部を有し、前記信号端子の前記接触部は、前記平面を挟んで前記2つの内側接触部とは反対側に位置してもよい。こうすることによって、内側接触部と信号端子の接触部との接触を防止しながら、信号端子の接触部を十分な長さに形成できる。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る半導体試験装置は、前記コネクタと前記回路基板とを備える。本発明によれば、グランド端子は複数の接触部を有しており、インピーダンスの不整合やクロストークの発生が抑えられる。また、グランド端子は、複数の接触部として、筒状本体の内方に向かって伸びる内側接触部と、筒状本体の外方に向かって伸びる外側接触部とを有している。そのため、接触部間の干渉を生じないグランド端子の設計を行いやすくなる。
【0015】
また、本発明に係る半導体試験装置の一態様では、前記信号端子は、その下端に、前記回路基板に接触させるための接触部を有し、前記グランド端子のそれぞれは、2つの前記内側接触部と、2つの前記外側接触部を有してもよい。そして、前記回路基板の表面には、前記信号端子の前記接触部が接触する導体パターンと、前記信号導体パターンを囲むよう形成され前記2つの外側接触部と前記2つの内側接触部とが接触する導体パターンと、が形成されてもよい。この態様によれば、2つの内側接触部と2つの外側接触部とによって信号端子の接触部を囲むことができ、インピーダンスの不整合やクロストークの発生を抑えることができる。また、内側接触部と外側接触部とが接触する導体パターン(すなわち、グランド用の導体パターン)が、信号端子の接触部が接触する導体パターン(すなわち、信号伝送用の導体パターン)を囲むので、回路基板においても、良好なインピーダンス整合を得ることができるようになる。なお、内側接触部の数は2つに限られず、2つより多くの内側接触部が1つのグランド端子に設けられてもよい。また、外側接触部の数は2つに限られず、2つより多くの外側接触部が1つのグランド端子に設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【図2】上記コネクタの分解斜視図であり、同図では斜め上方から臨むコネクタが示されている。
【図3】上記コネクタの分解斜視図であり、同図では斜め下方から臨むコネクタが示されている。
【図4】上記コネクタが有するグランド端子の斜視図である。
【図5】上記コネクタが有する信号端子及びグランド端子の平面図である。
【図6】上記信号端子、グランド端子、及び上記コネクタが取り付けられる回路基板の平面図である。
【図7】上記コネクタの側面図(図1において矢印VIIの示す方向に上記コネクタを臨む図)である。
【図8】図1に示すVIII−VIII線での上記コネクタの断面図である。
【図9】上記回路基板の平面図である。
【図10】上記コネクタ及び上記回路基板を備える半導体試験装置の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態の例であるコネクタ1の斜視図である。図2及び図3は、コネクタ1の分解斜視図である。図2では斜め上方から臨むコネクタ1が示され、図3では斜め下方から臨むコネクタ1が示されている。図4は、コネクタ1のグランド端子4の斜視図である。図5は信号端子3及びグランド端子4の平面図である。図6は、信号端子3、グランド端子4、及び、コネクタ1が取り付けられる回路基板90の平面図である。図7は回路基板90に取り付けられたコネクタ1を部分的に示す側面図(図1において矢印VIIの示す方向にコネクタ1を臨む図)である。図8は図1に示すVIII−VIII線でのコネクタ1の断面図である。図9は、回路基板90の平面図である。
【0018】
なお、以下の説明では、コネクタ1が取り付けられる回路基板90に対して垂直な方向を上下方向とし、コネクタ1に対して回路基板90が位置する方向を下方としている。また、複数の端子3,4が並ぶ方向(図1においてX1−X2の示す方向)を左右方向とし、左右方向及び上下方向の双方に垂直な方向(図1においてY1−Y2の示す方向)を前後方向とする。
【0019】
図1に示すように、コネクタ1は、その使用時には回路基板90上に配置される。また、コネクタ1には同軸ケーブル80の端部が上方から挿入される。同軸ケーブル80は、信号線(不図示)と、信号線を囲む管状のシールド線(不図示)とを有している。また、同軸ケーブル80は、信号線の端部に位置するピン形状の信号端子81と、シールド線の端部に位置し信号端子81を囲む筒状に形成されるシールド端子82とを有している(図3参照)。
【0020】
図2又は図3に示すように、コネクタ1は複数の信号端子3と複数のグランド端子4とを有している。同軸ケーブル80の端部がコネクタ1に挿入された時、信号端子3は、同軸ケーブル80の信号端子81に接触し、信号線と電気的に繋がる。グランド端子4は同軸ケーブル80のシールド端子82に接触し、シールド線と電気的に繋がる。
【0021】
図2乃至図4に示すように、グランド端子4は筒状本体41を有している。コネクタ1の使用時には、筒状本体41は、その軸線(中心線)Cが回路基板90に対して垂直な方向(この説明では上下方向)に向くように配置される。すなわち、筒状本体41は回路基板90上で立つように配置されている。この例では、グランド端子4は金属板にプレス加工等を施すことによって形成された部材である。筒状本体41は、略環状の断面を有している(図5参照)。筒状本体41は、その上縁から上方(回路基板90の、コネクタ1が取り付けられる面が向く方向)に伸びる、細長い板バネ状に形成された2つの接触部41aを有している。2つの接触部41aは、前後方向(Y1−Y2方向)において互いに向き合うように形成されている。また、2つの接触部41aは、上端に近づくにしたがって、それらの間隔が徐々に小さくなるように、筒状本体41の軸線Cに対して傾斜している。コネクタ1に同軸ケーブル80が挿入された時には、2つの接触部41aの間に、シールド端子82が進入し、接触部41aはシールド端子82の外周面を挟む。また、グランド端子4は、回路基板90のグランド用の導体パターン92に電気的に接続される複数の接触部42,43を有している。この接触部42,43については、後において詳説する。
【0022】
信号端子3は、グランド端子4の筒状本体41の内側に配置され、上下方向に伸びるように形成されている。図5に示すように、筒状本体41の内側に位置する信号端子3の本体(以下、信号端子本体)31は、筒状本体41の軸線Cを囲む略U字形状の断面を有している。詳細には、信号端子本体31は、左右方向に向いた板状に形成された基壁部34と、前後方向において互いに向き合う一対の側壁部32とを有している。側壁部32は、それぞれ基壁部34の縁に繋がっている。
【0023】
図2又は図3に示すように、各側壁部32は、その上部に、接触部32aを有している。接触部32aはそれぞれ板バネ状に形成され、前後方向において互いに向き合っている。また、2つの接触部32aは、上端に近づくにしたがって、それらの間隔が狭くなるように、軸線Cに対して傾斜している。コネクタ1に同軸ケーブル80が挿入された時には、2つの接触部32aの間に、信号端子81が進入し、接触部32aは信号端子81を挟む。
【0024】
図3又は図7に示すように、信号端子3は、その下端に接触部33を有している。接触部33は、斜め下方に伸びる細長い板状のバネで構成され、回路基板90の表面に形成された信号伝送用の導体パターン91と接触する。この例では、接触部33は、基壁部34の下端から下方に伸びるとともに左右方向の一方(この例では、左方向)に傾斜している。
【0025】
コネクタ1が回路基板90に取り付けられた時、接触部33の先端は導体パターン91に接触する。この時、接触部33は、その基部を支点として上方に弾性変形する。そして、接触部33は、その弾性力によって、先端33aを導体パターン91に押し付ける。なお、この例では、図7に示すように、接触部33の先端33aは、下方に膨らむように湾曲しており、湾曲した先端33aの下面が導体パターン91に接触している。
【0026】
図6又は図7に示すように、コネクタ1が回路基板90に取り付けられ、接触部33が弾性変形した時においても、接触部33の先端33aは、コネクタ1の平面視において、筒状本体41の内側に位置している。すなわち、コネクタ1が回路基板90に取り付けられた時においても、先端33aが筒状本体41の内側に位置するように、接触部33の長さが設定されている。
【0027】
図2又は図3に示すように、コネクタ1は絶縁体(プラスチックなどの樹脂)によって形成されたハウジング11を有している。この例では、ハウジング11は略直方体の部材である。ハウジング11には、上下方向にハウジング11を貫通する複数の保持孔12が形成されている。各保持孔12にグランド端子4が下方から挿入され、グランド端子4の筒状本体41は保持孔12内で保持されている。
【0028】
図8に示すように、保持孔12は略円形であり、その内径は、筒状本体41の外径に相応している。そのため、保持孔12内での筒状本体41の姿勢変化が規制されている。また、図4に示すように、筒状本体41の外周面には、半径方向の外方に突出する複数の凸部41dが形成されている。保持孔12にグランド端子4が下方から挿入された時、この凸部41dが保持孔12の内面に押し付けられる。これによって、保持孔12内での筒状本体41の姿勢がさらに強固に維持され得る。なお、図8に示すように、保持孔12の内面には、上下方向に伸びる溝12aが形成されている。溝12aは、接触部41aの外側に位置している。これによって、接触部41aが弾性変形したときに、接触部41aが保持孔12の内面に当ることが防止されている。
【0029】
図8に示すように、ハウジング11は、各保持孔12の内側に位置する略円柱状の保持部13を有している。保持部13には、当該保持部13を上下方向に貫通する孔13aが形成されている。信号端子3は、保持部13に形成された孔13aに下方から挿入され、当該保持部13によって保持されている。この例では、図2に示すように、信号端子3の側壁部32の左右の縁には、爪32bが形成されている。この爪32bが保持部13の孔13aの内面に引っ掛かり、これによって信号端子3は保持部13によって保持される。
【0030】
なお、図8に示すように、ハウジング11は、保持部13の外周面と、保持孔12の内面とを連結し、保持孔12内で保持部13を支持する連結部16を有している。図4に示すように、グランド端子4の筒状本体41の上縁には、下方に伸びる凹部41bが形成されている。グランド端子4が保持孔12に挿入された時には、凹部41bに連結部16が嵌る。これによって保持孔12内でのグランド端子4の回転が規制される。
【0031】
図1に示すように、複数の保持孔12は左右方向に並んでいる。この例では、保持孔12は、複数の列(ここでは3列)で、左右方向に並んでいる。そのため、保持孔12内に配置されるグランド端子4及び信号端子3も、複数の列で左右方向に並んでいる。図6に示すように、隣接する2つの列に位置するグランド端子4は、左右方向において交互に位置している。すなわち、同じ列で互いに隣接する2つのグランド端子4の中間の位置Mを通り、グランド端子4が並ぶ方向(ここでは左右方向)に直交する直線L1上に、隣の列のグランド端子4の中心線Cが位置している。
【0032】
図2又は図3に示すように、ハウジング11には、ハウジング11を回路基板90に固定するための取付孔14が形成されている。この例では、取付孔14はハウジング11を上下方向に貫通しており、ハウジング11は取付孔14に差し込まれるリベットやネジ、プレスフィットピンなどの固定具によって回路基板90に固定される。ハウジング11には2つの取付孔14が形成され、これらの間に複数の保持孔12が位置している。なお、図3に示すように、ハウジング11の下面には、複数の凸部15が形成されている。一方、回路基板90には孔が形成されている。凸部15が回路基板90の孔に嵌ることによって、コネクタ1の回路基板90上における位置が規定される。
【0033】
なお、図3に示すように、ハウジング11の下面には、凹部11aが形成されている。保持孔12はこの凹部11aに位置している。信号端子3の接触部33の先端33a、及び後述するグランド端子4の接触部42,43の先端は、凹部11aの下面から突出するように形成され、ハウジング11の下面の右側の部分11cと左側の部分11dよりも低い位置に位置している。コネクタ1が回路基板90に取り付けられたとき、図7に示すように、信号端子3の接触部33の先端33a及びグランド端子4の接触部42,43の先端が、回路基板90の導体パターンに接触するとともに、ハウジング11の下面の右側の部分11cと左側の部分11dが回路基板90の表面に当る。
【0034】
上述したように、各グランド端子4は、回路基板90のグランド用の導体パターン92と電気的に接続する複数(この例では4つ)の接触部42,43を有している。図4に示すように、接触部42,43は、筒状本体41の下縁から斜め下方に伸びる板バネ状に形成されている。また、接触部42,43は、筒状本体41の周方向において互いに離れて配置されている。換言すると、接触部42,43は、筒状本体41の下縁における、互いに離れた位置から伸びている。この例では、筒状本体41の下縁には、上方に伸びる4つ切り欠き41cが形成されている。この切り欠き41cは、筒状本体41の周方向において概ね等間隔で並んでいる。接触部42,43は切り欠き41cの上縁から伸びている。そのため、接触部42,43の基部は、筒状本体41の周方向において概ね等間隔で配置されている。そして、接触部42,43は、信号端子3の接触部33を囲んでいる。
【0035】
グランド端子4は、接触部42,43として、2つの内側接触部42と、2つの外側接触部43とを有している。
【0036】
図5に示すように、内側接触部42の先端は、筒状本体41の内方且つ下方に向かって伸びている。すなわち、内側接触部42は、筒状本体41の半径方向における内方に向かって斜め下方に伸びている。そのため、コネクタ1の平面視において、内側接触部42は、筒状本体41の内側に位置している。この例では、内側接触部42の延伸方向に伸びる直線L2は、筒状本体41の軸線Cを通っている。また、2つの内側接触部42は、筒状本体41の軸線Cを含むとともに、左右方向に平行な平面P1を挟んで、対称に形成されている。
【0037】
図5に示すように、外側接触部43の先端は、筒状本体41の外方且つ下方に向かって伸びている。すなわち、外側接触部43は、筒状本体41の半径方向における外方に向かって斜め下方に伸びている。そのため、コネクタ1の平面視において、外側接触部43は、筒状本体41の外側に位置している。2つの外側接触部43は、内側接触部42と同様に、筒状本体41の軸線Cを含むとともに、左右方向に平行な平面P1を挟んで、対称に形成されている。また、内側接触部42と外側接触部43は、筒状本体41の軸線Cを挟んで互いに反対側に位置している。
【0038】
図5に示すように、内側接触部42と外側接触部43は、筒状本体41の軸線Cを含み、且つ、左右方向(すなわち、複数のグランド端子4が並ぶ方向)に対して直交する平面P2を挟んで互いに反対側に位置している。この例では、2つの内側接触部42は、筒状本体41の右側の部分(平面P2に対して右側の部分、以下において第1筒半部とする)41Aに形成されている。2つの外側接触部43は、筒状本体41の左側の部分(平面Pに対して左側の部分、以下において第2筒半部とする)41Bに形成されている。第1筒半部41Aは、隣のグランド端子4が有する第2筒半部41Bと左右方向において向き合っている。なお、図5に示すように、筒状本体41に形成された接触部41aの幅の中心は、平面P2上に位置している。同様に、信号端子3の接触部32aの幅の中心も平面P2上に位置している。
【0039】
図6に示すように、外側接触部43は、当該外側接触部43の延伸方向に伸びる直線L4が、同じ列で並ぶ隣のグランド端子4が有する筒状本体41の外側を通るように形成されている。また、2つの外側接触部43の延伸方向に伸びる2つの直線L4の間に、同じ列で並ぶ隣のグランド端子4が位置している。
【0040】
コネクタ1が回路基板90に取り付けられたとき、内側接触部42と外側接触部43の先端は、導体パターン92に接触する。内側接触部42と外側接触部43は板バネ状であるため、コネクタ1が回路基板90に取り付けられたとき、接触部42,43は、それらの基部を支点として上方に弾性変形する。そして、接触部42,43は、その弾性力によって、先端を導体パターン92に押し付ける。
【0041】
図4又は図5に示されるように、内側接触部42の基部は、筒状本体41の切り欠き41cの上縁から外方に僅かに伸び、その後、屈曲部42aにおいて内方に屈曲している。そして、内側接触部42は屈曲部42aから内方に伸び、内側接触部42の先端は筒状本体41の内側に位置している。このように内側接触部42が屈曲部42aを有することによって、内側接触部42の、筒状本体41の内側に位置する部分42bの長さを低減しながら、内側接触部42の全体の長さを増すことができている。
【0042】
また、外側接触部43の基部は、筒状本体41の切り欠き41cの上縁から内方に伸び、その後、屈曲部43aにおいて外方に屈曲している。そして、外側接触部43は、屈曲部43aからさらに外方に伸び、外側接触部43の先端は筒状本体41の外側に位置している。このように外側接触部43が屈曲部43aを有することによって、外側接触部43の、筒状本体41の外側に位置する部分43bの長さを低減しながら、外側接触部43の全体の長さを増すことができている。
【0043】
上述したように、信号端子3は、その下部に、斜め下方に伸びる接触部33を有している。図5に示すように、接触部33は、複数のグランド端子4が並ぶ方向に対して直交する平面P2を挟んで、内側接触部42とは反対側に位置している。また、接触部33は、コネクタ1の平面視では、外側接触部43が形成された第2筒半部41Bに向かって(この例では、左方向に)伸びている。さらに、接触部33の幅の中心は、筒状本体41の軸線Cを含み、グランド端子4が並ぶ方向と平行な平面P1上に位置している。
【0044】
上述したように、回路基板90の表面には、グランド用の複数の導体パターン92と、信号伝送用の複数の導体パターン91とが形成されている。図9に示すように、複数の導体パターン91,92は、複数の列で、左右方向に並んでいる。
【0045】
導体パターン91は、信号端子3の接触部33の下方に位置している。この例では、導体パターン91は、左右方向に長い矩形であり、信号端子本体31の下方の位置から、接触部33が伸びる方向(この例では、左方向)に伸びている。
【0046】
導体パターン92は略U字状に形成され、導体パターン91を囲んでいる。導体パターン92は、回路基板90及びコネクタ1の平面視においては、隣のグランド端子4の第1筒半部41Aに向かって(この例では、左方向に)開いている(図6参照)。
【0047】
各導体パターン92に、各グランド端子4が有する全ての内側接触部42及び外側接触部43が接触する。詳細には、導体パターン92は、前後方向に伸び2つの内側接触部42が接触する第1接触領域92Aと、前後方向において互いに離れて位置し、外側接触部43に接触する2つの第2接触領域92Bと、第1接触領域92Aと第2接触領域92Bとを結ぶ2つの連結領域92Cとを有している。2つの連結領域92Cの間に、信号伝送用の導体パターン91が位置している。また、導体パターン92は、隣の導体パターン92が有する第1接触領域92Aに向かって開く略U字状に形成されている。そのため、導体パターン91は、導体パターン92と、隣の導体パターン92の第1接触領域92Aとによって囲まれている。
【0048】
第1接触領域92Aの幅Waは連結領域92Cの幅Wcより大きくなっている。コネクタ1を回路基板90に取り付ける工程では、内側接触部42の先端は、第1接触領域92Aに当った後に、第1接触領域92A上でスライドしながら内方に進む。
【0049】
2つの第2接触領域92Bは、連結領域92Cから、それぞれ前方(Y1の示す方向)と、後方(Y2の示す方向)に広がっている。すなわち、第2接触領域92Bの幅Wbは連結領域92Cの幅Wcより大きくなっている。コネクタ1を回路基板90に取り付ける工程では、外側接触部43の先端は、第2接触領域92Bに当った後に、第2接触領域92B上でスライドしながら外方に広がる。
【0050】
互いに隣り合う2つの列の導体パターン92が有する第2接触領域92Bは、左右方向において交互に並んでいる。すなわち、第2接触領域92Bは、隣の列にある2つの導体パターン92が有する第2接触領域92Bの間に位置している。これによって、複数の導体パターン92を互いに近接して形成でき、且つ、広い第2接触領域92Bを確保できている。
【0051】
ここで、コネクタ1及び回路基板90を備える半導体試験装置100について説明する。図10は半導体試験装置100を模式的に示す図である。
【0052】
試験対象となる半導体101は、回路基板90上に配置されるデバイスソケット102に装着される。回路基板90の下面には、上述した複数の導体パターン91,92が形成されている。回路基板90の下面に、リベットやネジなどの固定具によって、複数のコネクタ1が取り付けられている。各コネクタ1が有する信号端子3は、導体パターン91及びデバイスソケット102を介して、半導体101に電気的に繋がっている。
【0053】
半導体試験装置100は、複数の同軸ケーブル80を含むマザーボード104を備えている。マザーボード104の上部には、複数のホルダ114が設けられている。各ホルダ114は同軸ケーブル80の信号端子81及びシールド端子82を保持している。回路基板90がマザーボード104上に配置された時、コネクタ1に複数の信号端子81及びシールド端子82が挿入される。また、マザーボード104の下部には、複数のホルダ116が配置されている。各ホルダ116は、同軸ケーブル80の下端に設けられた端子を保持している。
【0054】
半導体試験装置100は、複数の試験モジュール106を有するテストヘッド105を備えている。各試験モジュール106の縁にはコネクタ115が取り付けられており、マザーボード104がテストヘッド105上に配置された時には、各コネクタ115に、同軸ケーブル80の下端に設けられた端子が挿入される。各試験モジュール106は、試験装置本体107に繋がっており、試験装置本体107から受ける指示に応じて試験信号を生成し、半導体101に対して出力する。
【0055】
以上説明したように、コネクタ1のグランド端子4は、筒状本体41の下縁から伸びる複数の内側接触部42と外側接触部43とを有している。内側接触部42は、筒状本体41の内方且つ下方に向かって伸び、外側接触部43は筒状本体41の外方かつ下方に向かって伸びている。そのため、接触部42,43の干渉を生じさせない、端子の設計が容易になる。また、グランド端子4には複数の接触部42,43が設けられているため、それらを、信号端子3を囲むように配置できる。その結果、インピーダンスの不整合やクロストークの発生を抑えることができる。
【0056】
なお、本発明は、以上説明したコネクタ1に限られず、種々の変更が可能である。
【0057】
例えば、コネクタ1では、グランド端子4に2つの内側接触部42と2つの外側接触部43とが設けられていた。しかしながら、グランド端子4に設けられる接触部の数は、これに限られない。例えば、グランド端子4には、2つの外側接触部43と、1つの内側接触部42だけが設けられてもよい。また、グランド端子4には、1つの外側接触部43と、2つの内側接触部42だけが設けられてもよい。また、グランド端子4には、1つの外側接触部43と、1つの内側接触部42だけが設けられてもよい。
【0058】
また、コネクタ1では、グランド端子4の筒状本体41は、環状の断面を有していた。しかしながら、筒状本体41の形状はこれに限られず、例えば、筒状本体41は、八角形の断面を有してもよい。
【0059】
また、以上の説明では、内側接触部42と外側接触部43は、概ね等間隔で配置されていた。しかしながら、内側接触部42と外側接触部43は、必ずしも等間隔に配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 コネクタ、3 信号端子、4 グランド端子、11 ハウジング、11a 凹部、12 保持孔、12a 溝、13 保持部、13a 孔、14 取付孔、15 凸部、16 連結部、31 信号端子本体、32 側壁部、32a 接触部、32b 爪、33 接触部、33a 先端、34 基壁部、41 筒状本体、41A 第1筒半部、41B 第2筒半部、41a 接触部、41b 凹部、41c 凹部、41d 凸部、42 内側接触部、42a 屈曲部、43 外側接触部、43a 屈曲部、80 同軸ケーブル、81 信号端子、82 シールド端子、90 回路基板、91,92 導体パターン、92A 第1接触領域、92B 第2接触領域、100 半導体試験装置、101 半導体、102 デバイスソケット、104 マザーボード、105 テストヘッド、106 試験モジュール、107 試験装置本体、114 ホルダ、115 コネクタ、116 ホルダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ筒状本体を有し、当該筒状本体の軸線が回路基板に対して垂直な方向に向くように前記回路基板上に配置される複数のグランド端子と、
それぞれ前記筒状本体の内側に配置された複数の信号端子と、を有するコネクタにおいて、
前記グランド端子のそれぞれは、前記回路基板に接触させるための複数の接触部であって、前記筒状本体の下縁から伸びる複数の接触部を有し、
前記グランド端子のそれぞれは、前記複数の接触部として、前記筒状本体の内方且つ下方に向かって伸びる内側接触部と、前記筒状本体の外方且つ下方に向かって伸びる外側接触部とを有する、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記外側接触部は、当該外側接触部の延伸方向の直線が、隣のグランド端子が有する筒状本体の外側を通るように形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記グランド端子のそれぞれは、2つの前記外側接触部を含み、
前記2つの外側接触部は、当該2つの外側接触部の延伸方向に伸びる2つの直線の間に前記隣のグランド端子が位置するように形成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタにおいて、
前記グランド端子のそれぞれは、2つの前記内側接触部を含み、
前記2つの内側接触部と前記2つの外側接触部は、前記信号端子を囲むように配置される、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタにおいて、
前記2つの内側接触部と前記2つの外側接触部は、前記筒状本体の中心を通り、且つ、前記複数のグランド端子が並ぶ方向に対して直交する平面を挟んで互いに反対側に位置し、
前記信号端子は、その下端に、前記回路基板に接触させるための接触部を有し、
前記信号端子の前記接触部は、前記平面を挟んで前記2つの内側接触部とは反対側に位置している、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項1に記載のコネクタと前記回路基板とを備える半導体試験装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体試験装置において、
前記信号端子は、その下端に、前記回路基板に接触させるための接触部を有し、
前記グランド端子のそれぞれは、2つの前記内側接触部と、2つの前記外側接触部を含み、
前記回路基板の表面には、前記信号端子の前記接触部が接触する導体パターンと、前記信号導体パターンを囲むよう形成され前記2つの外側接触部と前記2つの内側接触部とが接触する導体パターンと、が形成されている、
ことを特徴とする半導体試験装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−238495(P2011−238495A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109655(P2010−109655)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【出願人】(390015244)日本モレックス株式会社 (37)
【Fターム(参考)】