説明

コネクタ用プロテクタ

【課題】 握った場合に力を加え易く、リブにより補強した筒状プロテクタを得る。
【解決手段】 筒状プロテクタ7の周囲には、長手方向に沿って複数のリブ7aが形成され、これらのリブ7aの断面形状は頂部に平面を有するT字状とされている。ここで、電線2aに接続端子を接続してから、全ての接続端子をコネクタ3aに挿着し、コネクタ3aを同様に処理したコネクタ3bと嵌合する。続いて、筒状プロテクタ7をコネクタ3b側に引き寄せ、筒状プロテクタ7をコネクタ3aに連結してから、絶縁被覆9と筒状プロテクタ7の後部の隙間にグロメット10を押し込み、筒状プロテクタ7の内部を防水構造とする。この筒状プロテクタ7の移動に際して、リブ7aの上から握ることにより、滑りを生ずることもなく、痛みを感ずることなく、十分に力を加えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに接続した電線を保護するコネクタ用プロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数本の電線を束ねたケーブルをコネクタにより接続する場合に、ケーブルを保護するために、コネクタに筒状プロテクタを連結する場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この筒状プロテクタは或る程度の強度が必要であり、肉厚を大きくして強度を増すと重量が大きくなるため、表面にリブを形成して補強することが考えられる。
【0004】
しかし、この筒状プロテクタは握って、力を加えることも多いので、通常の凸状のリブでは滑り易くかつ手が痛くなり、力が入らないこともある。
【0005】
本発明の目的は、握った場合に力を加え易くリブにより補強したコネクタ用プロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するための本発明に係るコネクタ用プロテクタの技術的特徴は、コネクタの後部に連結し前記コネクタに配線した電線を保護する筒状のプロテクタであって、外側の長手方向に複数の補強用リブを形成し、該補強用リブの断面形状を頂部に平面部を有する略T字状としたことにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタ用プロテクタによれば、強度を高めると共に把持がし易くコネクタへの連結等の操作が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は実施例の分解斜視図、図2は縦断面図である。ケーブル1a、1b中の多数本の電線2a、2bは、一対の合成樹脂製のコネクタ3a、3bにより接続されている。コネクタ3a、3b内には接続端子が収納され、これらの接続端子に電線2a、2bがそれぞれ接続されており、コネクタ3aと3bとを嵌合すると、双方の接続端子が電気的に接続されるようになっている。
【0010】
なお、コネクタ3a、3b同士の間は、図示しない合成ゴム製のシール部材により合わせ目から水が浸入しないようにされ、更に各電線2a、2bごとにコネクタ3a、3bのハウジングとの間がシール部材により同様にシールされているため、コネクタ3a、3bの前方又は後方からコネクタ3a、3b内に水が浸入することはない。
【0011】
本実施例では電線2a、2bの本数が多く、コネクタ3a、3b同士の嵌合、解除に大きな力を必要とするため、例えばコネクタ3aにはカム溝4を有する回動レバー5が設けられ、カム溝4に相手側コネクタ3bに設けたピン6を係止して、回動レバー5の回動による両者のてこ作用によってコネクタ3a、3b同士を大きな力を要せずに嵌合、解離できるようにしている。
【0012】
コネクタ3aの後方には、合成樹脂製又は金属製の筒状プロテクタ7が連結されている。なお、コネクタ3bの後方にも同様な筒状プロテクタ7が配置され、コネクタ3aとほ対称の構造とされているが、以後、コネクタ3bの後方部の構造についての説明は省略する。
【0013】
筒状プロテクタ7の周囲には、長手方向に沿って複数のリブ7aが形成され、これらのリブ7aの断面形状は、図3に示すように頂部に平面を有するT字状とされている。
筒状プロテクタ7内のコネクタ3a側は、コネクタ3aの後部を覆うと共に嵌合する形状に形成され、コネクタ3aとの間に合成ゴム製のシール部材8が介在されており、筒状プロテクタ7への前方からの水の浸入が阻止されている。
【0014】
コネクタ3a、3bに連結された筒状プロテクタ7とケーブル1a、1bの絶縁被覆9間には、筒状プロテクタ7の後方から、合成ゴムから成るフランジ付きの筒状で内外面に断面波型を形成したグロメット10が挿入され、筒状プロテクタ7内は防水構造とされている。また、ケーブル1a、1bに対し絶縁被覆9上に合成樹脂製のケーブル固定具11が装着されると共に固定されている。
【0015】
この固定具11は絶縁被覆9に対して外面をテーパ面としたスリット付きのスリーブ12を被着して、締付具13とナット14を用いてスリーブ12の内径を縮小して、絶縁被覆9に固定するようになっている。締付具13の内面はスリーブ12のテーパ面に外接するテーパ面とされ、その外周には外ねじ13aが刻設されている。また、ナット14は締付具13を覆い、その内ねじ14aは締付具13の外ねじ13aと螺合するようにされている。
【0016】
締付具13のコネクタ3a側には2本のピン13bが突出されており、これらのピン13bは締付具13とグロメット10の間に挿入された多角リング15の2つの円弧溝15aにそれぞれ挿通されている。なお、多角リング15の外形の多角部15bは六角形などの多角形とされている。
【0017】
更に、絶縁被覆9上には合成ゴム製で後部にテーパ部を有するブッシュング16、環状形でブッシュング16のテーパ部に当接する金属製スリーブ17、ナット18が挿通されている。
【0018】
また、コネクタ3a、3b、筒状プロテクタ7、ケーブル固定具11の上に、合成樹脂製又は金属製の2つ割りの保護筒19が被着され、両端においてナット18により固定されている。そして、保護筒19の内側には、多角リング15の多角部15bが嵌まり込む同形の凹部19aが形成されている。
【0019】
組立時には、金属製のナット18、スリーブ17、ブッシュング16を絶縁被覆9に装着する。続いて、ケーブル固定具11をナット14、スリーブ12、締付具13、多角リング15の順に挿通し、最後にグロメット10、筒状プロテクタ7を挿通する。
【0020】
ここで、電線2aに接続端子を接続してから、全ての接続端子をコネクタ3aに挿着し、コネクタ3aを同様に処理したコネクタ3bと嵌合する。続いて、筒状プロテクタ7をコネクタ3側に引き寄せ、筒状プロテクタ7をコネクタ3aに連結してから、絶縁被覆9と筒状プロテクタ7の後部の隙間にグロメット10を押し込み、筒状プロテクタ7の内部を防水構造とする。
【0021】
この筒状プロテクタ7の移動に際して、頂部を平面状としたリブ7aの上から握ることにより、滑りを生ずることもなく、痛みを感ずることなく、十分に力を加えることができる。
【0022】
続いて、ケーブル固定具11を絶縁被覆9上の所定位置に固定し、その後に保護筒19を周囲に被着すると、保護筒19内に設けられた多角形の凹部19aが多角リング15の多角部15bの位相と一致していなくとも、つまり角度がずれていても、多角リング15は円弧溝15aにより或る程度の角度だけ回動が可能であり、保護筒19同士を強く合わせると、多角リング15が自然に回動して保護筒19の凹部19a内に嵌まり込む。続いて、保護筒19のねじ部19bにナット18を螺合して、図4に示すように2つ割りの保護筒19を一体化する。
【0023】
これにより、ケーブル1aは保護筒19に固定されることになり、ケーブル1aに捩れ、伸縮が加わっても、これらの力はブッシュング16を介して保護筒19が受けることになる。更に、絶縁被覆9はケーブル固定具11の多角リング15を介して保護筒19に固定されるので、保護筒19によるコネクタ3a、3bの保護は確実となる。なお、保護筒19の被着時における多角リング15の円弧溝15aの長さに相当する捩り分は、コネクタ3a側に伝えられるが、これらの捩りは電線2aが捩れることにより吸収される。なお、コネクタ3b側においてもこれらの作用は同じである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例の分解斜視図である。
【図2】縦断面図である。
【図3】筒状プロテクタの横断面図である。
【図4】組立状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1a、1b ケーブル
2a、2b 電線
3a、3b コネクタ
7 筒状プロテクタ
7a リブ
8 シール部材
9 絶縁被覆
10 グロメット
16 ブッシュング
18 ナット
19 保護筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの後部に連結し前記コネクタに配線した電線を保護する筒状のプロテクタであって、外側の長手方向に複数の補強用リブを形成し、該補強用リブの断面形状を頂部に平面部を有する略T字状としたことを特徴とするコネクタ用プロテクタ。
【請求項2】
前記コネクタとの接合部においてシール部材を介在したことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ用プロテクタ。
【請求項3】
前記ケーブルとの間に防水のためにグロメットを介在したことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ用プロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−42349(P2007−42349A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223613(P2005−223613)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】