説明

コネクタ用基板

【課題】 良好な高周波特性を有し、且つ多数の接続用端子を実装できるとともに全体的には小型化が可能なコネクタ用基板を提供する。
【解決手段】 シグナル線S1,S2,S3として機能するスルーホール11a,11b,11dの導電部30の外周側の近傍に、グランド線Gとして機能するスルーホール11cの導電部30から連続するグランドパターン12を配置する。コネクタ用基板3はZ方向の板厚寸法が小さくシグナル線S1,S2,S3としての信号線路長も短いため、良好な高周波特性を得ることが可能となる。しかも少なくとも一つのスルーホール11cのみをグランド線Gとすればよいため、他のすべてスルーホール11をシグナル線S1,S2,Sとして使用することが可能となるため、シグナル線の数量を増やすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスパイラル接触子を有する平板型コネクタに係わり、特にグランドラインを改善することにより良好な高周波特性を得ることを可能とした平板型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明に関連する先行技術文献としては、例えば下記の特許文献1などが存在しており、この特許文献1には高周波帯における伝送(高周波特性)を改善したフレキシブルプリント配線板用コネクタに関する発明が記載されている。
【0003】
前記特許文献1に記載されたフレキシブルプリント配線板用コネクタの特徴は、(1)コネクタ1のほぼ全面を覆うシールド板2を備えている点、(2)コネクタ1が、フレキシブルプリント配線板5の個々の信号線7に接触する信号端子4と、隣接する前記信号線7の間にフレキシブルプリント配線板5の個々の補助導線6及びシールド板2に接触するグランド端子3とを備えている点にある。
【特許文献1】特開2003−168523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記特許文献1に記載されたコネクタでは、高周波特性を良好にするための一つの手段として、一つの信号端子4をその両隣に配設したグランド端子3,3で挟む構造を採用しているが、この構造を採用するとコネクタ全体としての信号端子4の数量を増やすことが難しくなる。
【0005】
特に、前記コネクタはフレキシブルプリント配線板に接続されるグランド端子3や信号端子4などからなる接続用端子(コンタクトピン)が、ハウジング10に対して横方向に一列のみの配列である。したがって、前記接続用端子を多数設けるためにはコネクタ自体を大きくする必要があり、一定の大きさを維持したまま接続用端子を増やすには限界がある。
【0006】
また前記特許文献1に記載されたコネクタでは、前記フレキシブルプリント配線板の先端部、即ち差込端部が前記ハウジング受部で押圧されるが、前記ハウジング受部は前記差込端部の上方に位置するように形成されていることから、前記ハウジング受部の厚さ寸法分、前記コネクタの厚さ寸法も大きくなってしまう。
【0007】
すなわち、上記従来のコネクタでは、良好な高周波特性を維持しつつ、接続用端子の数量を増やすとともにコネクタ全体の小型化を図ることができないという問題がある。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、良好な高周波特性を有し、且つ多数の接続用端子を実装できるとともに全体的には小型化が可能なコネクタ用基板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の接触子が設けられた第1の面と、外部の回路基板と電気的に接続される複数の接続用バンプが設けられた第2の面と、前記第1の面と第2の面との間を垂直方向に貫通し且つ個々の接触子と個々の接続用バンプとを導通接続する複数のスルーホールと、を備えたコネクタ用基板において、
前記スルーホールは、前記接触子と接続用バンプとの間で信号を通過させるシグナル線と、接地用として機能するグランド線を形成しており、前記基板には前記グランド線から前記垂直方向に対して直交する方向に延びるとともに前記シグナル線を迂回して広がるグランドパターンが設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、簡単な構成で複数のシグナル線に対応するグランドパターンを包括的に設けることができるとともに、高周波特性に優れたコネクタ用基板を提供することができる。またグランド線として使用するスルーホールの数量を低く抑えることができるため、スルーホールのほとんどをシグナル線として使用することが可能となる。
【0011】
前記グランドパターンは、前記第1の面の表面に設けられているものとして構成することもできるし、前記基板が多層基板である場合には、前記グランドパターンは前記第1の面と第2の面との中間層に設けられているものとして構成することもできる。
【0012】
上記においては、前記グランドパターンと前記第1の面および/または前記第2の面の間に、導電層を備えた複数のビアホールが形成されているものが好ましい。
【0013】
上記構成では、各シグナル線の周囲を接地された導線層で包囲することにより電磁遮蔽することが可能となる。このため、高周波ノイズなどの影響を受け難いコネクタ用基板を提供することができる。
【0014】
また前記グランドパターンの一部が、接地用の端子として前記基板の外部に露出されている構成とすることもできる。
【0015】
上記構成では、グランド線およびグランドパターンを簡単且つ確実に接地することが可能となる。
【0016】
また前記接触子と前記接続用バンプとが平面マトリックス状に配列されているものが好ましく、さらに前記接触子はスパイラル接触子であるものが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、簡単な構成で複数のシグナル線の近傍にグランドパターンを設けることができ、高周波特性に優れたコネクタ用基板を提供することが可能となる。
【0018】
また、平面型のコネクタであるため、接触子を数多く実装することが可能になるとともに、このような実装とした場合でもコネクタ用基板を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明のコネクタ用基板が搭載されたコネクタの実施の形態を示す分解斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態を示すコネクタ用基板の断面図であるとともに図1のII−II線で切断した断面図、図3はコネクタ用基板を部分的に示すとともにスパイラル接触子を示す斜視図である。
【0020】
本発明のコネクタ用基板は、例えば図1に示すようなコネクタ1に使用される。このコネクタ1は、フレキシブルプリント配線板の外部接続部形成面と後記する基板の接触子形成面どうしを対向させたときに、前記外部接続部形成面に形成された外部接続部と前記接触子形成面に形成された接触子とが電気的に接続されるように構成された対面型のコネクタである。
【0021】
前記コネクタ1は、ハウジング2とコネクタ用基板3と、フレキシブルプリント配線板4とを有して構成されている。
【0022】
図1に示すように、前記ハウジング2には、図示Z方向に貫通する嵌合部2cが形成されている。前記コネクタ用基板3は、第1の面である上面3aと第2の面である下面3bとを有している。
【0023】
図1および図2に示すように、前記コネクタ用基板3の前記上面3aには本発明の接触子である複数のスパイラル接触子20が形成されている。図3に示すように、前記スパイラル接触子20はコネクタ用基板3の上面3aに、図示X方向及びY方向に所定間隔を空けて複数形成されている。前記スパイラル接触子20は接触子が渦巻き状に構成されたものであり、前記上面3aに図示X方向及びY方向に所定間隔を空けてマトリックス状(格子状または碁盤の目状)に配列している。
【0024】
図2に示すように、前記コネクタ用基板3には、上面(第1の面)3aと下面(第2の面)3bとの間を垂直方向(Z方向)に貫通するスルーホール11(個別に11a,11b,11cおよび11dで示す)が形成されている。前記スルーホール11の内側面には導電性材料で形成された導電部30が形成されている。なお、図2に示すように前記導電部30の上下の縁部には、前記スルーホール11の縁部から前記上面3aおよび下面3b上を水平方向にリング状に広がる上端30aと下端30bとが形成されている。また前記コネクタ用基板3は絶縁基板であり、例えばエポキシ樹脂にガラス繊維が混入して形成されている。
【0025】
前記スパイラル接触子20は基部21を有し、前記スパイラル接触子20の巻き始端22が前記基部21側に設けられている。そして、この巻き始端22から渦巻き状に延びた先端に巻き終端23が形成されている。
【0026】
図3に示す各スパイラル接触子20は、その巻き終端23付近が最も高く突き出すように、上方向(図示Z1方向)に向かって突出する円錐形状に立体成形されたものである。
【0027】
前記スパイラル接触子20は、例えばCu、Ni、Auなどの材質で形成でき、これらの材質から単層で構成されたものの他、CuとNiとの積層、あるいはNiとAuとの積層など、前記各材質を複数積層して構成しても良い。また前記スパイラル接触子20は前記各材質をメッキ形成することにより製造することができる。
【0028】
前記各スパイラル接触子20は、それぞれの基部21間が接合部材32によって繋がれている。前記接合部材32には、ちょうど前記スパイラル接触子20よりも一回り大きい穴部32aが設けられており、この穴部32aとスパイラル接触子20とが位置合わせされ、前記スパイラル接触子20の基部21上に前記接合部材32が貼り付けられている。前記接合部材32は例えばポリイミド等で形成されている。
【0029】
図2に示すように、前記導電部30の上端30aと前記スパイラル接触子20の前記基部21とは導電性接着剤などの接合手段によって接合されている。ここで、前記スルーホール11と前記穴部32aとが対向するように接合され、前記スルーホール11と穴部32aとで孔3cが形成される。また、前記巻き終端23が前記スルーホール11の中心に位置するように構成される。
【0030】
前記導電部30の下端30bには接続用バンプ40が接続されている。したがって、前記接続用バンプ40は、前記スルーホール11を挟んで前記スパイラル接触子20と個々に対向しており、前記下面3bに図示X方向及びY方向に所定間隔を空けて平面マトリックス状(格子状または碁盤の目状)に配列されている。
【0031】
この接続用バンプ40は、例えばCu、Ni、Auなどの材質で形成でき、これらの材質によって単層で構成されたものの他、CuとNiとの積層、あるいはNiとAuとの積層など、前記各材質を複数積層して構成しても良い。また前記接続用バンプ40は前記各材質を前記コネクタ用基板3の下面3bに直接メッキ形成することにより製造することができる。ただし、前記接続用バンプ40のみをあらかじめ作っておき、前記コネクタ用基板3の下面3bに接続用バンプ40を貼り付けて形成しても良い。
【0032】
前記コネクタ用基板3では、複数のスルーホール11のうちから選択されたいずれかのスルーホール11がグランド線として機能している。例えば図2において第1の実施の形態として示すコネクタ用基板3では、スルーホール11cの導電部30が接地用として機能するグランド線とされている。なお、その他のスルーホール11(例えば、スルーホール11a,11b,11dなど)の導電部30は、信号を通過させるためのシグナル線として機能している。
【0033】
すなわち、前記スルーホール11cの導電部30には、その外周から図示水平方向(垂直方向(Z方向)と直交する方向)に平面的に広がるグランドパターン12がCuなどの導電性材料で形成されている。前記グランドパターン12には、前記スルーホール11の直径寸法よりも大きな直径寸法で形成される複数の迂回穴12aがマトリックス状に配置されている。個々の迂回穴12a内には、グランド線として機能する前記スルーホール11c以外のスルーホール11の導電部30、すなわちシグナル線として機能するスルーホール11a,11b,11dの導電部30などがそれぞれ挿通されており、前記グランドパターン12からは電気的に分離されている。すなわち、前記グランドパターン12は、各迂回穴12aを介して各シグナル線を迂回しながら水平方向に平面的に延びている。
【0034】
なお、以下においてはスルーホール11a,11b,11dの各導電部30をそれぞれシグナル線S1,S2,S3とし、スルーホール11cの導電部30をグランド線Gと称して説明する。
【0035】
図2に示すように、前記コネクタ用基板3のY1およびY2方向の下部には、その一部を切り欠くことにより形成された段差部3d,3dが設けられており、この段差部3d,3dを介して前記コネクタ用基板3内に設けられたグランドパターン12の一部が外部に露出されている。
【0036】
なお、前記コネクタ用基板3が多層基板であるとすると、前記グランドパターン12は前記上面(第1の面)3aと下面(第2の面)3bとの間の中間層に設けることができる。
【0037】
図4は、フレキシブルシートのZ2側から見た部分斜視図、図5および図6はコネクタを図1に示すII−II線で切断した断面図であり、図5はフレキシブルプリント配線板を装着前の状態、図6はフレキシブルプリント配線板を装着した後の状態を示している。
【0038】
一方、前記フレキシブルプリント配線板4は、可撓性および絶縁性を有するフレキシブルシート4aを有している。図1および図4に示すように前記フレキシブルシート4aは、図示Z1側の面である上面4a1に、回路を構成する複数の導体線(図示せず)が形成され、前記上面4a1の先端領域に嵌合部材10に補強的に固定されている。
【0039】
図4に示すように、前記フレキシブルシート4aの下面(Z2側の面)4a2には、前記導体線に電気的にそれぞれ接続された複数の外部接続部4eが形成されている。この外部接続部4eは導電体により円状に形成されている。なお、前記外部接続部4eは、前記フレキシブルシート4aの前記下面4a2に、図示X方向及びY方向に所定間隔を空けて平面マトリックス状(格子状または碁盤の目状)に配列するように形成されている。
【0040】
前記嵌合部材10は、例えばエポキシ樹脂にガラス繊維が混入したものから形成され、200〜800μmの厚さ寸法を有し、例えば500μmの厚さで形成される。なお、前記フレキシブルシート4aの厚さ寸法は例えば0.1〜0.2μmである。
【0041】
図5に示すように、前記ハウジング2の内部には前記コネクタ用基板3が前記嵌合部2c内に嵌合された状態で保持される。前記ハウジング2の下面には前記コネクタ用基板3の下面3bに設けられた前記接続用バンプ40が露出されており、前記接続用バンプ40はマザーボード50上にマトリックス状態に形成された複数の接続パット51に対しそれぞれ半田付けされることにより固定されている。すなわち、前記ハウジング2はマザーボート50上に固定されている。
【0042】
このとき図5および図6に示すように、前記マザーボート50上で、且つ前記コネクタ用基板3の段差部3d,3dに対応する位置に金属製の板バネなどで形成したグランド接続部材52,52などを設けておくと、前記コネクタ用基板3を有するハウジング2をマザーボード50上に固定したときに、前記グランド接続部材52,52の弾性接点52a,52aを前記段差部3d,3dに露出されているグランドパターン12に圧接させることができる。これにより、前記グランド線G(スルーホール11cの導電部30)、前記グランド線G上に設けられたスパイラル接触子20およびグランドパターン12を、前記グランド接続部材52,52を介して接地することができる。よって、前記グランド線Gに対応するフレキシブルプリント配線板4内の外部接続部4eおよびこれに接続された導体線をグランドラインとして使用することが可能となる。すなわち、前記段差部3d,3dに露出されているグランドパターン12は、接地用の端子として機能している。
【0043】
上記コネクタ1では、前記ハウジング2内のコネクタ用基板3の上に前記フレキシブルプリント配線板4が載置され、このとき前記嵌合部材10が前記ハウジング2内の嵌合部2cに嵌合係止されることにより使用される。
【0044】
図6に示すように、前記ハウジング2の前記嵌合部2cに、前記コネクタ用基板3および前記フレキシブルプリント配線板4が係止された状態では、前記コネクタ用基板3に形成された複数のスパイラル接触子20が、前記フレキシブルプリント配線板4の下面4a2に形成された複数の外部接続部4eに対向した状態で接触して電気的に接続される。このとき、前記スパイラル接触子20は、上方向に向かって突出する山型形状に立体成型されているため、前記スパイラル接触子20は前記外部接続部4eに接触したときに、前記巻き終端23が図示Z2方向に押し下げられて平面的な形状に弾性変形させられる。前記スパイラル接触子20は前記外部接続部4eに弾性的に押し付けられた圧接状態で電気的に接続される。
【0045】
上記コネクタ1では、前記コネクタ用基板3の前記上面3aに複数の前記スパイラル接触子20が、マトリックス状に平面配列されている。また、前記フレキシブルプリント配線板4の前記フレキシブルシート4aの前記下面4a2に形成された複数の前記外部接続部4eも、前記下面4a2にマトリックス状に平面配列されている。したがって、前記コネクタ1では、前記スパイラル接触子20、およびこのスパイラル接触子20と対向して電気的に接続されることとなる前記外部接続部4eの実装密度を大きくすることができる。これにより、多数のスパイラル接触子20および外部接続部4eを設けた場合でも、前記コネクタ1を小型化することが可能となる。
【0046】
また、前記接続用バンプ40も前記下面3bに、マトリックス状(格子状または碁盤の目状)に配列しているため、前記マザーボート50上に接続パッド51を密集配置することが可能になり、実装面積を小さくすることができる。
【0047】
さらに、上記コネクタ用基板3では、シグナル線S1,S2,S3(スルーホール11a,11b,11dの導電部30)などの外周側の近傍に前記グランド線G(スルーホール11cの導電部30)から連続するグランドパターン12を包括的に配置することができ、Z方向の板厚寸法が小さくシグナル線S1,S2,S3としての信号線路長も短くすることができるため、良好な高周波特性を得ることが可能となる。しかも複数のスルーホール11のうち、少なくとも一つのスルーホール(例えばスルーホール11c)のみをグランド線Gとすればよく、従来のように一つの信号端子の両隣に位置する一対の端子をグランド端子とする必要がない。よって、前記複数のスルーホール11中から、実質的にシグナル線として使用可能な数量を増やすことができる。
【0048】
図7は本発明の第2の実施の形態を示す図2同様のコネクタ用基板の断面図である。
図7に本発明の第2の実施の形態を示すコネクタ用基板60の構成は、前記第1の実施の形態として説明したコネクタ用基板3の構成とほぼ同じである。したがって、以下には主として第1の実施の形態とは異なる点について説明する。
【0049】
前記第1の実施の形態に示すコネクタ用基板3と第2の実施の形態に示すコネクタ用基板60とは、前記グランド線Gから外周方向に水平に広がるグランドパターンを有する点では共通している。
【0050】
ただし、前記第1の実施の形態のコネクタ用基板60では前記コネクタ用基板3の中間層に形成されたグランドパターンが、第2の実施の形態では前記上面3aにグランドパターン30Aとして形成されている点で大きく相違している。
【0051】
前記グランドパターン30Aは、グランド線として機能する前記スルーホール11cの上端に水平方向にリング状に広がる前記上端30aを、前記コネクタ用基板3の上面(第1の面)3a全体に拡張させることにより形成されている。ただし、前記シグナル線S1,S2,S3などとして機能するスルーホール11の上端30aの外周には迂回穴30Bが形成されており、前記シグナル線S1,S2,S3などとグランドパターン30Aとは電気的に分離されている。すなわち、前記グランドパターン30Aは、各迂回穴30Bを介して各シグナル線S1,S2,S3などを迂回しながら水平方向に平面的に延びている。
【0052】
このようなコネクタ用基板60も上記同様にハウジング2内に保持され、前記マザーボード50上の各接続パット51に各接続用バンプ40が接続された状態で固定されている。そして、嵌合部材10を備えたフレキシブルプリント配線板4を前記ハウジング2の嵌合部2cに嵌合させることにより、前記フレキシブルプリント配線板4側の複数の外部接続部4eとコネクタ用基板60側の複数のスパイラル接触子20とが弾性的に押し付けられた圧接状態で電気的に接続される。
【0053】
上記コネクタ用基板60においても、第1の実施の形態同様に、良好な高周波特性を得ることができ、且つシグナル線として使用可能なスルーホール11の数量を増やすことが可能である。
【0054】
なお、前記コネクタ用基板が多層基板である場合には、前記コネクタ用基板の表面に第2の実施の形態で示すグランドパターン30Aを設け、且つ中間層に第1の実施の形態で示すグランドパターン30Aを設けた構成としたものであってもよい。さらには、複数の中間層のそれぞれに前記第1の実施の形態で示すグランドパターン30Aを配置した構成であってもよい。このようにすると、さらに良好な高周波特性を得ることができる。
【0055】
図8は本発明の第3の実施の形態を示す図2同様のコネクタ用基板の断面図、図9は図8のコネクタ用基板の部分的な断面を示す斜視図である。
【0056】
図8および図9に本発明の第3の実施の形態を示すコネクタ用基板60の構成は、前記第1の実施の形態として説明したコネクタ用基板3の構成とほぼ同じであるが、前記コネクタ用基板60には複数のビアホール13が形成されている点が前記第1の実施の形態とは異なっている。
【0057】
前記ビアホール13は、前記グランドパターン12と上面3aとの間を垂直方向(Z方向)に向かって形成された穴であり、一つのスルーホール11のX1、X2、Y1およびY2方向の四方に前記スルーホール11を取り囲むように形成されている。各ビアホール13の内面には、例えばCuなどの導電性金属をめっき処理することにより形成された導電層13aが、前記グランドパターン12から連続して形成され、且つ前記上面3a側のビアホール13の上縁まで一体に延びている。ただし、前記上面3aでは、ビアホール13の上縁の導電層13aとシグナル線S1,S2,S3などとして機能するスルーホール11a,11b,11dの上端30aとは電気的に分離されている。一方、ビアホール13の上縁の導電層13aとグランド線Gとして機能するスルーホール11cの上端30aとは電気的に接続されていてもよい。
【0058】
すなわち、ビアホール13の内面に設けられた導電層13aと前記グランド線Gとして機能するスルーホール11cとは前記グランドパターン12を介して電気的に接続されている。
【0059】
このため、前記シグナル線S1,S2,S3などとして機能する各スルーホール11a,11b,11dの周囲が、グランド線Gと電気的に接続されているビアホール13の導電層13aによって四方から囲まれる構成となっている。よって、各前記シグナル線S1,S2,S3に対し強固なシールド特性を発揮することが可能である。
【0060】
すなわち、シグナル線S1,S2,S3として機能する各スルーホール11a,11b,11dを接地された導電層13aで四方からそれぞれ包囲し電磁的に遮蔽することができるため、シグナル線S1,S2,S3などに重畳しやすい高周波ノイズを除去または低減することができる。またいずれかのシグナル線S1,S2,S3に高周波ノイズが重畳した信号が通過する場合には、他のシグナル線に与える影響を少なくすることができる。すなわち、高周波特性に優れたコネクタ用基板を提供することが可能である。
【0061】
なお、上記実施の形態に示すビアホール13は、グランドパターン12と上面(第1の面)3aとの間に設けられた実施の形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、グランドパターン12と下面(第2の面)3bとの間に設けられた構成であってもよく、あるいはグランドパターン12と上面(第1の面)3aとの間およびグランドパターン12と下面(第2の面)3bとの間の双方に設けられた構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のコネクタ用基板が搭載されたコネクタの実施の形態を示す分解斜視図、
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すコネクタ用基板の断面図であるとともに図1のII−II線で切断した断面図、
【図3】コネクタ用基板を部分的に示すとともにスパイラル接触子を示す斜視図、
【図4】フレキシブルシートのZ2側から見た部分斜視図、
【図5】コネクタを図1に示すII−II線で切断した断面図であり、フレキシブルプリント配線板を装着前の状態、
【図6】コネクタを図1に示すII−II線で切断した断面図であり、フレキシブルプリント配線板を装着した後の状態、
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す図2同様のコネクタ用基板の断面図、
【図8】本発明の第3の実施の形態を示す図2同様のコネクタ用基板の断面図、
【図9】図8のコネクタ用基板の部分的な断面を示す斜視図、
【符号の説明】
【0063】
1 コネクタ
2 ハウジング
3,60 コネクタ用基板
3a 上面
3b 下面
3c 孔
4 フレキシブルプリント配線板
4e 外部接続部
10 嵌合部材
11 スルーホール
11a,11b,11d スルーホール(シグナル線)
11c スルーホール(グランド線)
12,30A グランドパターン
12a,30B 迂回穴
13 ビアホール
13a 導電層
20 スパイラル接触子
30 導電部
40 接続用バンプ
50 マザーボード
51 接続パット
52 グランド接続部材
S1,S2,S3 シグナル線
G グランド線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接触子が設けられた第1の面と、外部の回路基板と電気的に接続される複数の接続用バンプが設けられた第2の面と、前記第1の面と第2の面との間を垂直方向に貫通し且つ個々の接触子と個々の接続用バンプとを導通接続する複数のスルーホールと、を備えたコネクタ用基板において、
前記スルーホールは、前記接触子と接続用バンプとの間で信号を通過させるシグナル線と、接地用として機能するグランド線を形成しており、前記基板には前記グランド線から前記垂直方向に対して直交する方向に延びるとともに前記シグナル線を迂回して広がるグランドパターンが設けられていることを特徴とするコネクタ用基板。
【請求項2】
前記グランドパターンが、前記第1の面の表面に設けられている請求項1記載のコネクタ用基板。
【請求項3】
前記基板が多層基板であり、前記グランドパターンは前記第1の面と第2の面との中間層に設けられている請求項1記載のコネクタ用基板。
【請求項4】
前記グランドパターンと前記第1の面および/または前記第2の面の間に、導電層を備えた複数のビアホールが形成されている請求項3記載のコネクタ用基板。
【請求項5】
前記グランドパターンの一部が、接地用の端子として前記基板の外部に露出されている請求項1ないし4のいずれか記載のコネクタ用基板。
【請求項6】
前記記接触子と前記接続用バンプとが平面マトリックス状に配列されている請求項1ないし5のいずれか記載のコネクタ用基板。
【請求項7】
前記接触子はスパイラル接触子である請求項1ないし6のいずれか記載のコネクタ用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−73363(P2006−73363A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255749(P2004−255749)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】