説明

コネクタ組立体

【課題】より少ない挿入力でオスコンタクトをメスコンタクトに挿入できると共に、オスコンタクトとメスコンタクトとの接続状態を確実に維持することのできるコネクタ組立体を提供すること。
【解決手段】メスコンタクト200の受容部210の底面側は、第1隆起部260及び第2隆起部270を有する支持部250を構成し、支持部250の上方には、バネ部280が設けられている。オスコンタクト700は、オスコンタクト700とメスコンタクト200との接続時において第1隆起部260及び第2隆起部270とバネ部280の接点282とで挟まれる接触部710と、先端720から接触部710まで第1テーパ範囲に亘って傾斜した上側傾斜部730と、先端720から接触部710まで第2テーパ範囲に亘って傾斜した下側傾斜部740とを有している。ここで、第1テーパ範囲は、X方向(挿入方向)において第2テーパ範囲よりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのコネクタを嵌合接続してなるコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
第1コネクタのメスコンタクト又はソケットコンタクトを第2コネクタのオスコンタクト又はピンコンタクトに挿入接続するコネクタ組立体としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。メスコンタクトの例については、特許文献1の図7参照。オスコンタクトの例については特許文献2の図2参照。
【0003】
特許文献1のメスコンタクトは、上方へ向かって隆起した第1隆起部及び第2隆起部の形成された支持部を下側に有すると共に、接点を有するバネ部を上側に有している。バネ部の接点は、挿入方向において、第1隆起部と第2隆起部との間に位置している。このように配置された第1隆起部及び第2隆起部と接点とで、オスコンタクトをメスコンタクトに挿入した際にオスコンタクトを挟むこととすると、ガタつきのない接続を得ることができる。
【0004】
特許文献2のオスコンタクトは、一定の断面形状を有する接触部と、接触部から先端に向かって先細る形状を有する挿入部とを有している。挿入部がない場合と比較して、挿入部があることから、少ない挿入力でオスコンタクトをメスコンタクトに挿入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−281207号公報
【特許文献2】特開2009−105011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より少ない挿入力でオスコンタクトをメスコンタクトに挿入できると共に、オスコンタクトとメスコンタクトとをガタつきなく接続させることができ、且つ、その接続状態を高い信頼性をもって維持することのできるコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1のコネクタ組立体として、
メスコンタクトと前記メスコンタクトを保持する第1ハウジングとを備える第1コネクタと、オスコンタクトと前記オスコンタクトを保持する第2ハウジングとを備える第2コネクタとを備え、挿入方向に沿って前記メスコンタクトに前記オスコンタクトを挿入することにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合接続するコネクタ組立体であって、
前記メスコンタクトは、支持部と、前記挿入方向と直交する垂直方向において前記支持部の上方に位置するように設けられたバネ部とを備えており、
前記支持部は、前記挿入方向において離間して設けられた立上がり部と立下がり部とを有しており、
前記バネ部は、前記挿入方向において前記立上がり部の最上点と前記立下がり部の最上点との間に位置するように設けられた接点を有しており、
前記オスコンタクトは、前記垂直方向において前記立上がり部及び前記立下がり部と前記バネ接点との間に前記挿入方向に沿って挿入されるものであり、
前記オスコンタクトは、前記オスコンタクトが前記メスコンタクトに挿入された際に前記垂直方向において前記立上がり部の前記最上点及び前記立下がり部の前記最上点と前記接点とで挟まれる接触部と、先端と、前記先端から前記接触部まで第1テーパ範囲に亘って傾斜した上側傾斜部と、前記先端から前記接触部まで第2テーパ範囲に亘って傾斜した下側傾斜部とを有しており、
前記挿入方向において、前記第1テーパ範囲は、前記第2テーパ範囲よりも長い
コネクタ組立体が得られる。
【0008】
また、本発明によれば、第2のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記先端の前記垂直方向における中心は、前記接触部の前記垂直方向における中心よりも下側に位置している
コネクタ組立体が得られる。
【0009】
また、本発明によれば、第3のコネクタ組立体として、第1又は第2のコネクタ組立体であって、
前記上側傾斜部の傾斜角は、前記下側傾斜部の傾斜角よりも緩やかである
コネクタ組立体が得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第4のコネクタ組立体として、第1乃至第3のいずれかのコネクタ組立体であって、
前記支持部は、前記挿入方向において離間して位置すると共に上方に隆起した第1隆起部及び第2隆起部を有しており、
前記立上がり部の前記最上点は、前記第1隆起部の頂点であり、
前記立下がり部の前記最上点は、前記第2隆起部の頂点である
コネクタ組立体が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、第5のコネクタ組立体として、第1乃至第3のいずれかのコネクタ組立体であって、
前記支持部は、上方に隆起した隆起部を有しており、
前記立上がり部と前記立下がり部は、前記隆起部に設けられており、
前記立上がり部の前記最上点と前記立下がり部の前記最上点とは平面で連結されている
コネクタ組立体が得られる。
【0012】
また、本発明によれば、第6のコネクタ組立体として、第1乃至第5のいずれかのコネクタ組立体であって、
前記メスコンタクトと前記オスコンタクトとは、夫々、複数グループずつあり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合接続する際に、一つの前記グループに属する前記オスコンタクトの前記接触部がそれに対応する前記メスコンタクトの前記接点に接触するタイミングと、他の前記グループに属する前記オスコンタクトの前記接触部がそれに対応する前記メスコンタクトの前記接点に接触するタイミングとが異なるように、前記メスコンタクトと前記オスコンタクトとは前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとに夫々保持されている
コネクタ組立体が得られる。
【発明の効果】
【0013】
オスコンタクトがメスコンタクトに挿入された際に垂直方向においてメスコンタクトの立上がり部の最上点及び立下がり部の最上点とバネ部の接点とでオスコンタクトの接触部を挟むこととしたため、オスコンタクトのメスコンタクトに対するガタつきのない接続を得ることができる。一方、メスコンタクトのバネ部からバネ力を受けるオスコンタクトの挿入部の上側傾斜部の第1テーパ範囲をバネ部とは直接的には接しない下側傾斜部の第2テーパ範囲よりも長くしたことから、オスコンタクトの挿入時にスムーズに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態によるコネクタ組立体を構成する第1コネクタを示す正面図である。
【図2】図1の第1コネクタをII--II線に沿って示す断面図である。
【図3】図1の第1コネクタに含まれるメスコンタクトを示す一部切り欠き断面図である。
【図4】図3のメスコンタクトの受容部とその近傍を拡大して示す断面図である。
【図5】図4のメスコンタクトの変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態によるコネクタ組立体を構成する第2コネクタ示す正面図である。
【図7】図6の第2コネクタをVII--VII線に沿って示す断面図である。
【図8】図6の第2コネクタを示す斜視図である。
【図9】図6の第2コネクタに含まれるオスコンタクトを示す側面図である。
【図10】図9のオスコンタクトの先端とその近傍を拡大して示す側面図である。
【図11】メスコンタクトにオスコンタクトを挿入し始めた状態を示す側面図である。ここで、メスコンタクトの受容部は、断面で示されている。
【図12】図11の状態の一部を拡大して示す図である。
【図13】メスコンタクトとオスコンタクトとを接続した状態を示す図である。ここで、メスコンタクトの受容部は、断面で示されている。
【図14】図13の状態の一部を拡大して示す図である。
【図15】比較例のメスコンタクト及びオスコンタクトを示す図である。
【図16】挿入量と挿入力との関係を示すグラフである。
【図17】第1コネクタと第2コネクタを嵌合する過程を示す断面図である。
【図18】第1コネクタと第2コネクタを嵌合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態によるコネクタ組立体は、防水機能を有するものであり、図1及び図2に示される第1コネクタ100と、図6乃至図8に示される第2コネクタ600とを備えている。但し、本発明は防水機能を有するものに限定されるわけではなく、防水機能を有しないコネクタ組立体に対しても適用可能である。
【0016】
図1及び図2に示されるように、第1コネクタ100は、複数のメスコンタクト200と、メスコンタクト200を保持する第1ハウジング300と、第1ハウジング300の前端300f近傍に取り付けられるフロントシール部材400及びフロントキャップ450と、第1ハウジング300の後端300r近傍に取り付けられるリアシール部材500及びリアキャップ550とを備えている。
【0017】
図3に最も良く示されるように、メスコンタクト200は、一枚の金属板を加工して構成されるものであり、略角筒状の受容部210と、ケーブル900の導線910に接続される結線部220と、ケーブル900の外被920上にかしめられるかしめ部230とを有している。
【0018】
図3及び図4に示されるように、受容部210は、その底面で構成される支持部250と、支持部250とZ方向(垂直方向)において対向する(即ち、支持部250の上方に位置する)バネ部280とを有している。
【0019】
図4に最も良く示されるように、本実施の形態による支持部250には、Z方向に向かって(上方に向かって)隆起した第1隆起部260及び第2隆起部270が形成されている。第1隆起部260と第2隆起部270とは、X方向(挿入方向)において離間して設けられている。第1隆起部260の前側のスロープは立上がり部262として構成され、第2隆起部270の後側のスロープは立下がり部272として構成される。即ち、第1隆起部260の頂点264は、立上がり部262の最上点であり、第2隆起部270の頂点274は、立下がり部272の最上点である。
【0020】
図3及び図4に示されるように、バネ部280は、受容部210の前端近傍(入口付近)から後方に向かって折り返され、構成されている。即ち、バネ部280は、受容部210の前端近傍(入口付近)を支点として弾性変形可能となっている。このバネ部280には、−Z方向(下方)に張り出た接点282が設けられている。接点282は、X方向において、第1隆起部260の頂点264と第2隆起部270の頂点274との間に位置している。即ち、接点282と立上がり部262の最上点と立下がり部272の最上点とを結ぶと三角形が構成されるように、接点282は、X方向において、立上がり部262の最上点と立下がり部272の最上点との間に位置している。
【0021】
図2に示されるように、第1ハウジング300は、前方に突出した嵌合部310と、嵌合部310から離れるようにして嵌合部310の周囲を覆う外覆部320とを有している。また、第1ハウジング300には、後端300rから嵌合部310の前端まで貫通すると共に上述したメスコンタクト200を収容するコンタクト収容部330が形成されている。このコンタクト収容部330内には、斜め下前方に延びるランス340が設けられており、コンタクト収容部330内に収容されたメスコンタクト200の受容部210の後端をランス340によって押さえることにより、コンタクト収容部330内に収容されたメスコンタクト200の後方への抜け落ちが防止されている。本実施の形態によるコンタクト収容部330は、ランス340も含め、すべて同じ形状を有しており、また、そこに収容されるメスコンタクト200もすべて同じ形状を有している。従って、メスコンタクト200がコンタクト収容部330に収容された状態において、すべてのバネ部280の接点282の位置は、X方向において一致している。嵌合部310と外覆部320との間には、嵌合部310の後端近傍から後方に向かって延びるロックアーム350が設けられている。ロックアーム350には、上方に突出した係止爪355が設けられている。
【0022】
フロントシール部材400は、嵌合部310の周囲に取り付けられており、フロントキャップ450は、嵌合部310の前端に取り付けられている。フロントキャップ450には、規制突起470が設けられている。これら規制突起470は、フロントキャップ450の取り付け時に対応するコンタクト収容部330内に挿入され、それによって、ランス340の動きを規制している。
【0023】
リアシール部材500には貫通孔が設けられており、それら貫通孔内にケーブル900の一部が位置している。リアキャップ550は、そのリアシール部材500の後方に位置するように、第1ハウジング300の後端300r側から取り付けられている。
【0024】
上述した本実施の形態による第1コネクタ100のメスコンタクト200の支持部250は、第1隆起部260と第2隆起部270の2つの隆起部を有しているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、立上がり部と立下がり部を有している限り、異なる構成・形状を有していてもよい。例えば、図5に示されるように、支持部250aに隆起部260aを一つのみ設けることとし、その前側のスロープを立上がり部262aとし、後側のスロープを立下がり部272aとしてもよい。この場合、立下がり部262aの最上点264aと立下がり部272aの最上点274aとは平面277で連結されている。
【0025】
一方、図6乃至図8に示されるように、第2コネクタ600は、複数のオスコンタクト700と、オスコンタクト700を保持する第2ハウジング800とを備えている。
【0026】
本実施の形態によるオスコンタクト700は後述するように3種類あるが、概略的には互いに類する形状を有している。詳しくは、図7、図9及び図10に示されるように、オスコンタクト700は、第2ハウジング800に保持される保持部760と、接触部710と、先端720から接触部710まで傾斜した上側傾斜部730と、先端720から接触部710まで傾斜した下側傾斜部740と、第2コネクタ600が基板(図示せず)に搭載された際に基板上の導体パターンに接続固定される固定部750とを備えており、概略、L字状の形状を有している。
【0027】
このオスコンタクト700は、図11乃至図14に示されるように、メスコンタクト200の受容部210内に挿入され、メスコンタクト200と接続されるものである。より詳しくは、オスコンタクト700は、Z方向における第1隆起部260の頂点264及び第2隆起部270の頂点274とバネ部280の接点282との間に、X方向に沿って挿入され、それによってメスコンタクト200に接続されるものである。接触部710は、この接続の際に(即ち、オスコンタクト700がメスコンタクト200に挿入された際に)、Z方向において第1隆起部260の頂点264及び第2隆起部270の頂点274とバネ部280の接点282とで挟まれる部位である。即ち、接触部710は、第1隆起部260の頂点264と第2隆起部270の頂点274とバネ部280の接点282とで三点支持される。
【0028】
図10に示されるように、上側傾斜部730は、先端720からメスコンタクト200との接続部となる接触部710の方向へ第1テーパ範囲TR1に亘って傾斜しており、下側傾斜部740は、先端720から接触部710の方向へ第2テーパ範囲TR2に亘って傾斜している。ここで、X方向において、第1テーパ範囲TR1は、第2テーパ範囲TR2よりも長く、上側傾斜部730の傾斜角は、下側傾斜部740の傾斜角よりも緩やかである。更に、本実施の形態によるオスコンタクト700は、メスコンタクト200に挿入された状態においてバネ部280から遠ざかる方へ偏心している。詳しくは、図10及び図14から理解されるように、先端720のZ方向における中心Ctは、接触部710のZ方向における中心よりもバネ部280から離れる方向へズレている(即ち、下側に位置している)。
【0029】
図7及び図8に示されるように、第2ハウジング800は、第1コネクタ100に対する第2コネクタ600の嵌合時に第1ハウジング300の嵌合部310を収容する収容部810と、第2コネクタ600が基板(図示せず)に搭載された際に基板の孔に嵌合固定される搭載ポスト820とを有している。収容部810には、収容部810の上面をZ方向に貫通した係止孔812が設けられている。収容部810は、第1コネクタ100に対する第2コネクタ600の嵌合時に第1ハウジング300の嵌合部310と外覆部320との間に挿入される。その際、第1ハウジング300のロックアーム350の係止爪355が収容部810の係止孔812内に位置するため、第1コネクタ100と第2コネクタ600との嵌合状態がロックされる。
【0030】
図6及び図7に示されるように、本実施の形態においては、上段、中段、下段の3段構成となるように、オスコンタクト700が第2ハウジング800に保持されている。具体的には、オスコンタクト700は、先端720が収容部810内に位置するように第2ハウジング800の後端800rから圧入され、それによって、第2ハウジング800に保持されている。特に、本実施の形態において、上段のオスコンタクト700a、中段のオスコンタクト700b及び下段のオスコンタクト700cは、上述したように概略的には同じような形状であるが、互いに異なるサイズを有している。また、本実施の形態においては、上側傾斜部730と接触部710の境界部(図10も参照)から収容部810の前端(即ち、第2ハウジング800の前端800f)までの距離P1,P2,P3を段毎に異ならせることとしている。具体的には、上段のオスコンタクト700aの上側傾斜部730と接触部710の境界部から収容部810の前端までの距離P1は、中段のオスコンタクト700bの上側傾斜部730と接触部710の境界部から収容部810の前端までの距離P2よりも長く、また、中段のオスコンタクト700bの上側傾斜部730と接触部710の境界部から収容部810の前端までの距離P2は、下段のオスコンタクト700cの上側傾斜部730と接触部710の境界部から収容部810の前端までの距離P3よりも長い。即ち、P1<P2<P3となっている。
【0031】
図15に示されるような比較例によるオスコンタクト700′とメスコンタクト200との接続と上述した実施の形態によるオスコンタクト700とメスコンタクト200との接続とを比較した結果を図16に示す。なお、図15に示されるように、比較例によるオスコンタクト700における上側傾斜部730′と下側傾斜部740′のテーパ範囲は、互いに同じである。
【0032】
本実施の形態によるオスコンタクト700は、メスコンタクト200に挿入された状態においてバネ部280から遠ざかる方へ偏心しているため、オスコンタクト700のメスコンタクト200への挿入時に、受容部210の入り口近傍から挿入されたオスコンタクト700の先端720がバネ部280に当接した位置までの距離L1(図12参照)は、比較例において受容部210の入り口近傍から挿入されたオスコンタクト700′の先端720がバネ部280に当接した位置までの距離L2(図15参照)と比較して、長い。比較例のように距離L2が短いと、メスコンタクト200にオスコンタクト700′を挿入した際にオスコンタクト700′の先端720によってバネ部280の接点282よりもバネの支点により近い位置を押すこととなるため、従って、バネ部280を変形させてオスコンタクト700′をメスコンタクト200内に挿入するためには、より大きな挿入力が必要となる。これに対して、本実施の形態によれば、先端720をバネ部280の接点282又はその近傍に最初に当接させることができることから、バネ部280の弾性を適切に利用することができ、従って、初期の挿入力を小さくすることができると共に挿入力の変化(増加)も緩やかなものとすることができる。本実施の形態によるオスコンタクト700のメスコンタクト200への挿入接続は、比較例によるオスコンタクト700′のメスコンタクト200への挿入接続と比較して、バネ部280の弾性を有効に使えることから、図16のグラフの立上がり開始部分にて示されるように、初期の挿入力を抑えることができる。
【0033】
また、本実施の形態においては、X方向において、第1テーパ範囲TR1が第2テーパ範囲TR2よりも長く、上側傾斜部730の傾斜角が下側傾斜部740の傾斜角よりも緩やかであるため、図16のグラフのピークに至る直前の傾きにて示されるように、メスコンタクト200の受容部210にオスコンタクト700を挿入した際における挿入力の変化をより緩やかなものとすることができる。
【0034】
更に、それらの複合的な効果として、図16に示されるように、挿入力のピークも低くすることができる。
【0035】
加えて、図13及び図14に示されるようにオスコンタクト700をメスコンタクト200に完全に挿入した状態においては、第2隆起部270から接触部710と下側傾斜部740との境界部までの距離で規定される下側の有効接触長Leを十分にとることができていることから、接続状態の信頼性を高めることができる。
【0036】
ここで、挿入力のピークが出現するのは、本実施の形態の構造の場合、メスコンタクト200のバネ部280の接点282がオスコンタクト700の上側傾斜部730と接触部710との境界部を超えるときである。本実施の形態においては、メスコンタクト200の側の形状・配置等の条件を統一する一方で、オスコンタクト700a,700b,700cに関しては段毎に形状・配置等の条件を異ならせることとしている。具体的には、オスコンタクト700a,700b,700c毎に上側傾斜部730と接触部710の境界部から収容部810の前端までの距離P1,P2,P3を異ならせることとしたため、図17及び図18に示されるように、バネ部280の接点282がオスコンタクト700a,700b,700cの上側傾斜部730と接触部710との境界部を超えるタイミングを異ならせることができる。即ち、上段、中段、下段毎に挿入力のピークが出現するタイミングを異ならせることができる。従って、コネクタ組立体全体でみると、挿入力のピークがすべて重なってしまった場合と比較して、一時的に必要とされる最大挿入力を低くすることができる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、オスコンタクト700a,700b,700cの形状・配置等の条件のみを異ならせることとして挿入力のピークの出現タイミングを分散させることとしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、メスコンタクト200側の形状・配置等の条件を異ならせることとして挿入力のピークの出現タイミングを分散させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
100 第1コネクタ
200,200a メスコンタクト
210 受容部
220 結線部
230 かしめ部
250,250a 支持部
260 第1隆起部
262 立上がり部
264 頂点(立上がり部の最上点)
270 第2隆起部
272 立下がり部
274 頂点(立下がり部の最上点)
260a 隆起部
262a 立上がり部
264a 最上点
272a 立下がり部
274a 最上点
277 平面
280 バネ部
282 接点
300 第1ハウジング
300f 前端
300r 後端
310 嵌合部
320 外覆部
330 コンタクト収容部
340 ランス
350 ロックアーム
355 係止爪
400 フロントシール部材
450 フロントキャップ
470 規制突起
500 リアシール部材
550 リアキャップ
600 第2コネクタ
700,700a,700b,700c,700′ オスコンタクト
710 接触部
Cc (接触部の)中心
720 先端
Ct (先端の)中心
730,730′ 上側傾斜部
TR1 第1テーパ範囲
740,740′ 下側傾斜部
TR2 第2テーパ範囲
750 固定部
760 保持部
800 第2ハウジング
800f 前端
800r 後端
810 収容部
812 係止孔
820 搭載ポスト
900 ケーブル
910 導線
920 外被

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メスコンタクトと前記メスコンタクトを保持する第1ハウジングとを備える第1コネクタと、オスコンタクトと前記オスコンタクトを保持する第2ハウジングとを備える第2コネクタとを備え、挿入方向に沿って前記メスコンタクトに前記オスコンタクトを挿入することにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合接続するコネクタ組立体であって、
前記メスコンタクトは、支持部と、前記挿入方向と直交する垂直方向において前記支持部の上方に位置するように設けられたバネ部とを備えており、
前記支持部は、前記挿入方向において離間して設けられた立上がり部と立下がり部とを有しており、
前記バネ部は、前記挿入方向において前記立上がり部の最上点と前記立下がり部の最上点との間に位置するように設けられた接点を有しており、
前記オスコンタクトは、前記垂直方向において前記立上がり部及び前記立下がり部と前記バネ接点との間に前記挿入方向に沿って挿入されるものであり、
前記オスコンタクトは、前記オスコンタクトが前記メスコンタクトに挿入された際に前記垂直方向において前記立上がり部の前記最上点及び前記立下がり部の前記最上点と前記接点とで挟まれる接触部と、先端と、前記先端から前記接触部まで第1テーパ範囲に亘って傾斜した上側傾斜部と、前記先端から前記接触部まで第2テーパ範囲に亘って傾斜した下側傾斜部とを有しており、
前記挿入方向において、前記第1テーパ範囲は、前記第2テーパ範囲よりも長い
コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ組立体であって、
前記先端の前記垂直方向における中心は、前記接触部の前記垂直方向における中心よりも下側に位置している
コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタ組立体であって、
前記上側傾斜部の傾斜角は、前記下側傾斜部の傾斜角よりも緩やかである
コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタ組立体であって、
前記支持部は、前記挿入方向において離間して位置すると共に上方に隆起した第1隆起部及び第2隆起部を有しており、
前記立上がり部の前記最上点は、前記第1隆起部の頂点であり、
前記立下がり部の前記最上点は、前記第2隆起部の頂点である
コネクタ組立体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタ組立体であって、
前記支持部は、上方に隆起した隆起部を有しており、
前記立上がり部と前記立下がり部は、前記隆起部に設けられており、
前記立上がり部の前記最上点と前記立下がり部の前記最上点とは平面で連結されている
コネクタ組立体。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコネクタ組立体であって、
前記メスコンタクトと前記オスコンタクトとは、夫々、複数グループずつあり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合接続する際に、一つの前記グループに属する前記オスコンタクトの前記接触部がそれに対応する前記メスコンタクトの前記接点に接触するタイミングと、他の前記グループに属する前記オスコンタクトの前記接触部がそれに対応する前記メスコンタクトの前記接点に接触するタイミングとが異なるように、前記メスコンタクトと前記オスコンタクトとは前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとに夫々保持されている
コネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−79505(P2012−79505A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222461(P2010−222461)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】