説明

コネクタ

【課題】平型柔軟ケーブルの端子とコンタクトとの接触圧が不足するのを抑制すると共に容易な接続作業で高いシールド効果を得る。
【解決手段】ハウジング本体21の凹部23の底面に、複数のコンタクト4が幅方向に沿って配列されている。シェル3が、ハウジング本体21の底面及び側面を覆っている。カバー部材5の軸部55が、シェル3に回動可能及び前後方向にスライド可能に支持されている。カバー部材5は、フラットケーブル70と接触する接触板部52を有している。接触板部52の後方端に後方に向かって突出する突出片53が形成されている。カバー部材5を、接触板部52が凹部23を閉じる閉位置から後方の係合位置にスライドさせることによって、突出片53が凹部23の壁面に形成された係合穴23bと嵌合する。このとき、シェル3とカバー部材5とが電気的に接続されつつ複数のコンタクト4を包囲する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平型柔軟ケーブルが接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットケーブルが接続されるコネクタにおいて、フラットケーブルの幅方向に配列された複数の端子と電気的に接続される複数のコンタクトが、ハウジング内に一方向に配列されている。フラットケーブルの複数の端子と複数のコンタクトとを確実に接触させるために、複数のコンタクト上にフラットケーブルの複数の端子が配置された状態で、ロック部材(カバー部材)によって、フラットケーブルを複数のコンタクトに向かって押圧する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−66242号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、カバー部材がコンタクトの配列方向に延在するため、フラットケーブルを押圧したときに、カバー部材が配列方向に沿って湾曲し易くなる。このため、配列方向に関する中央付近に配置されたコンタクトとフラットケーブルの端子との接触圧が弱まって、当該コンタクトと端子との電気的接続不良が発生することがある。また、上述した技術では、フラットケーブルを接続した後にコネクタ上にシールド部材を組み付けるため、フラットケーブルの接続作業が煩雑である。さらに、コネクタ上に組み付けたシールド部材は、コネクタの上方のみを覆うため、十分なシールド効果を得ることができない。
【0005】
本発明の目的は、平型柔軟ケーブルの端子とコンタクトとの接触圧が不足するのを抑制することができると共に容易な接続作業で高いシールド効果を得ることができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、平型柔軟ケーブルの端部が配置される凹部が形成されているハウジングと、前記ハウジングに支持されている導電性のシェルと、前記凹部の底面に一方向に配列されている複数のコンタクトと、前記一方向に延在している接触面が形成された接触板を有していると共に、前記接触面を前記複数のコンタクトに対向させつつ前記凹部を閉じる閉位置と、前記凹部を開く開位置とを選択的に取り得るように、前記ハウジング又は前記シェルに回動可能に支持されているカバー部材とを備えている。前記接触板が、前記接触面を含む平面と平行に突出する突出片を有しており、前記ハウジングが、前記突出片と係合する係合穴を有しており、前記カバー部材は、前記閉位置と、前記突出片が前記前記係合穴と係合する係合位置との間を、前記突出片の突出方向に関してスライド可能となっており、前記カバー部材が前記係合位置にあるとき、前記カバー部材及び前記シェルが、互いに接触することによって電気的に接続されると共に前記複数のコンタクトを包囲する。
【0007】
本発明によると、カバー部材を閉位置から係合位置に移動させることによって、接触板から突出している突出片がハウジングの係合穴と嵌合し、接触板の剛性が高くなる。これにより、接触板の接触面を平型柔軟ケーブルに接触させたときに、接触板が撓んで平型柔軟ケーブルの端子とコンタクトとの接触圧が不足するのを抑制することができる。また、カバー部材を係合位置までスライドさせることで、互いに電気的に接続されたカバー部材及びシェルが、複数のコンタクトを包囲するため、容易な接続作業で高いシールド効果を得ることができる。
【0008】
本発明においては、前記カバー部材が、前記開位置及び前記閉位置にあるときに前記シェルに接触することなく、且つ、前記係合位置にあるときに前記シェルに接触する突起部を有していることが好ましい。これによると、カバー部材が係合位置にあるときにカバー部材とシェルとを確実に電気的に接続することができると共に、カバー部材を開位置と閉位置との間においてスムーズに回動させることができる。
【0009】
また、本発明においては、前記接触板が、前記カバー部材が前記係合位置にあるとき、前記平型柔軟ケーブルが引き出される引き出し口からU字状に湾曲しつつ前記凹部内に侵入しており、前記突出片が、前記接触板の前記引き出し口から最も離れた端部から突出していることが好ましい。これによると、接触板がバネ性を有しているため、平型柔軟ケーブルの端子とコンタクトとを効率良く接触させることができる。
【0010】
さらに、本発明においては、前記接触板の前記一方向に延在する端部の中央近傍から、1又は複数の前記突出片が突出していることが好ましい。これによると、接触板の一方向に関する剛性を効率よく高くすることができる。
【0011】
加えて、本発明においては、前記ハウジングの前記一方向に関する両端近傍に、前記カバー部材が前記閉位置に向かって回動するときの回動方向に向いた一対の係止面が形成されており、前記カバー部材の前記一方向に関する両端近傍に、前記回動方向の反対方向に向かう当接面が形成された一対のフックを有しており、前記カバー部材が前記閉位置にあるとき、前記当接面が前記係止面と対向しない位置に前記フックが配置されると共に、前記カバー部材が前記係合位置にあるとき、前記当接面が前記係止面と当接する位置に前記フックが配置されることが好ましい。これによると、当接面と係止面とが当接することによって、カバー部材が回動しようとするのを規制するため、カバー部材が誤って開くのを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、カバー部材を閉位置から係合位置に移動させることによって、接触板から突出している突出片がハウジングの係合穴と嵌合し、接触板の剛性が高くなる。これにより、接触板の接触面を平型柔軟ケーブルに接触させたときに、接触板が撓んで平型柔軟ケーブルの端子とコンタクトとの接触圧が不足するのを抑制することができる。また、カバー部材を係合位置までスライドさせることで、互いに電気的に接続されたカバー部材及びシェルが、複数のコンタクトを包囲するため、容易な接続作業で高いシールド効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態によるコネクタの外観斜視図である。
【図2】(a)図1に示すコネクタの正面図である。(b)図1に示すコネクタの底面図である。
【図3】(a)図2(a)に示すIIIA−IIIA線に関するコネクタの断面図である。(b)図2(a)に示すIIIB−IIIB線に関するコネクタの断面図である。(c)図2(a)に示すIIIC−IIIC線に関するコネクタの断面図である。
【図4】(a)図3(a)に示すコネクタのカバー部材が開位置にあるときの断面図である。(b)図3(b)に示すコネクタのカバー部材が開位置にあるときの断面図である。(c)図3(c)に示すコネクタのカバー部材が開位置にあるときの断面図である。
【図5】(a)図3(a)に示すコネクタのカバー部材が閉位置にあるときの断面図である。(b)図3(b)に示すコネクタのカバー部材が閉位置にあるときの断面図である。(c)図3(c)に示すコネクタのカバー部材が閉位置にあるときの断面図である。
【図6】(a)図3(a)に示すコネクタのカバー部材が係合位置にあるときの断面図である。(b)図3(b)に示すコネクタのカバー部材が係合位置にあるときの断面図である。(c)図3(c)に示すコネクタのカバー部材が係合位置にあるときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1(a)及び図1(b)に示すように、コネクタ1は、フラットケーブル70が接続されるコネクタである。フラットケーブル70は、柔軟性を有する樹脂基板内に複数の電気配線が形成されたケーブルである。フラットケーブル70の端部の一方の面に、複数の電気配線に対応する複数の端子が配置されており、他方の面全域に、シールド材の一部が露出したシールド面72が形成されている(図5〜図6参照)。コネクタ1は、ハウジング2と、シェル3と、複数のコンタクト4と、カバー部材5とを有している。なお、以下の説明において、コネクタ1におけるフラットケーブル70が引き出される方向を前方(図中左下方向)とし、前方の反対方向を後方とする。図1(a)、図2(a)及び図2(b)に示すように、ハウジング2は、樹脂で形成された部材であり、図2の左右方向(以下、幅方向と称す)に延在した略直方体形状を有するハウジング本体21と、ハウジング本体21の幅方向に関する両側に配置された一対の係合板部22とを有している。
【0016】
ハウジング本体21は、前方上端の角部が切り欠かれるように形成された幅方向に延在する凹部23を有している。凹部23の前方側の開口が、フラットケーブル70が引き出される引き出し口23cとなっている。凹部23の底部には、前後方向に延在しつつ幅方向に配列された複数の細溝23aが形成されている。凹部23の後端に位置する内壁面には、開口が幅方向に延在しつつ幅方向に配列された2つの係合穴23bが形成されている。
【0017】
図2(a)に示すように、ハウジング本体21の幅方向に関する両側面の前方下端に、段差部21aが形成されている。段差部21aの下方を向いた面(カバー部材5が開位置から閉位置に向かって回動するときの回動方向に向かう面:後述)が係止面21bとなっている。図1(a)及び図3(c)に示すように、ハウジング本体21の幅方向に関する両側面の前方近傍上端に、後方に延在する段差部21cが形成されている。
【0018】
図2(b)に示すように、シェル3は、幅方向に延在する底板部31と、底板部31の幅方向に関する両端から上方に突出する一対の側壁32とを有する金属部材である。底板部31はハウジング本体21の底面に当接している。図3(a)に示すように、側壁32には、前方端部から後方に向かって(図中左方から右方に向かって)延在する切り欠き溝33が形成されている。切り欠き溝33の下端は直線状に延在しており、切り欠き溝33の上端は高さをステップ状に変化させている。切り欠き溝33には、上端の高さが変化することによって互いに幅(切り欠き溝33の幅)が異なる回動部33a、スライド部33b及び固定部33cが前端から順に形成されている。回動部33aの幅が最も広く、スライド部33bの幅が最も狭く、固定部33cの幅が回動部33aより狭く且つスライド部33bより広くなっている。後述するように、カバー部材5の開閉動作に伴って、カバー部材5の軸部55が、回動部33a、スライド部33b及び固定部33c内を移動する。
【0019】
側壁32は、ハウジング本体21の側面と係合板部22との間に配置されている。係合板部22には後方に向かって突出している突出部22aが形成されており、この突出部22aが切り欠き溝33の回動部33aと係合している。これにより、シェル3が、ハウジング本体21の底面及び側面の一部を被覆するように、ハウジング2に固定されている。
【0020】
図2(b)に示すように、シェル3の後端の幅方向に関する両端近傍には、後方に引き出された一対のグランドリード34が形成されている。
【0021】
図3(b)に示すように、コンタクト4は、上方に凸となるように湾曲した接触部41と、接触部41から前方(図中左方)に向かって延在した後、下方から後方(図中右方)に向かって湾曲しつつさらに後方に向かって延在するバネ部42と、バネ部42の後端からハウジング本体21の下面に引き出されたシグナルリード43とを有している。複数のコンタクト4のバネ部42が、ハウジング本体21の凹部23の底面に形成された複数の細溝23a内に配置されており、接触部41が細溝23aの開口から上方に突出している。このように、コンタクト4の接触部41が凹部23の底面に一方向に配列されている。バネ部42が弾性変形することによって、接触部41が上下方向に変位可能となっている。
【0022】
図2(b)に示すように、複数のシグナルリード43は、一対のグランドリード34間において幅方向に配列されている。グランドリード34及びシグナルリード43が、図示しない基板表面に形成されたランドとハンダ接合により電気的に接続されることによって、コネクタ1が基板に実装される。
【0023】
図1(a)及び図1(b)に示すように、カバー部材5は、フラットケーブル70を着脱する際に、凹部23を開閉する金属部材である。具体的には、カバー部材5は、シェル3に対して回動することによって、凹部23を開く開位置(図4参照)と、凹部23を閉じる閉位置(図5参照)とを選択的に取り得る。また、カバー部材5は、シェル3に対して前後方向にスライドすることによって、閉位置と、ハウジング本体21と係合する係合位置(図6参照)とを選択的に取り得る。カバー部材5は、上板部51と、接触板部52と、一対の側板部54とを有している。上板部51は、ハウジング本体21の上面を被覆し得る幅方向に延在した平面形状を有している。
【0024】
図1(a)及び図3(b)に示すように、接触板部52は、フラットケーブル70の引き出し口23cを画定する上板部51の前方端からハウジング本体21(凹部23)側に向かってU字状に湾曲しつつ上板部51と平行に延在している。図5(b)に示すように、接触板部52の下面が、フラットケーブル70のシールド面72と接触する接触面52aとなっている。接触板部52の後方端(引き出し口23cから最も離れた端部)の幅方向に関する中央に、さらに後方に向かって突出する2つの突出片53が形成されている。
【0025】
図2(a)に示すように、一対の側板部54は、上板部51の幅方向に関する両端に形成されており、ハウジング本体21の幅方向に関する両側に位置している。図2(b)及び図3(c)に示すように、各側板部54の後端には、接触板部52を含む平面と平行に且つ外側に向かって突出する軸部55が形成されている。図3(a)に示すように、軸部55は、図中左右方向に延在する略矩形状の断面を有しており、接触板部52の角度と軸部55の断面の長手方向の角度とが一致している。また、各軸部55は、シェル3の側壁32に形成された切り欠き溝33内に配置されている。
【0026】
切り欠き溝33の回動部33aの幅が、軸部55の断面の長手方向に関する厚み以上となっている。また、スライド部33b及び固定部33cの幅が、軸部55の断面の長手方向に関する厚み未満且つ幅方向に関する厚み以上となっている。このため、軸部55が回動部33a内に位置しているときにのみ、軸部55を含むカバー部材5が回動可能となる。また、軸部55が断面の長手方向が前後方向に沿うように配置されているとき、すなわち、上板部51及び接触板部52が前後方向に沿うように配置されているときにのみ、軸部55を含むカバー部材5が、回動部33aから固定部33cまでの間をスライド可能となる。
【0027】
なお、上板部51と接触板部52とが湾曲部を介して連結されているため、接触板部52がバネ性を有している。カバー部材が凹部23を閉じているとき、接触板部52のバネ性により、軸部55は常に上方(カバー部材5が凹部23を開くように回動する方向)に付勢され、軸部55が切り欠き溝33の上端と接触する。軸部55が回動部33a及び固定部33cにあるとき、軸部55は回動部33a及び固定部33cの上端の段差部と係合するため、軸部55がスライド不能となる。軸部55をスライド可能とするために、軸部55が回動部33a及び固定部33cの上端の段差部から離隔するように、ユーザがカバー部材5を下方に押し下げる。
【0028】
このように、軸部55が回動部33a内に位置しているときは、カバー部材5がシェル3に対して回動可能となる。これにより、カバー部材5は、接触板部52が凹部23から離隔することによって凹部23を開く開位置と、接触板部52が凹部23内に配置されることによって凹部23を閉じる閉位置とを選択的に取り得る。また、接触板部52が凹部23内に配置されるようにカバー部材5を回動させたときは、軸部55が断面の長手方向が前後方向に沿うように配置され、カバー部材5がシェル3に対して前後方向(切り欠き溝33の延在方向)にスライド可能となる。これにより、カバー部材5は、軸部55が回動部33aに位置する閉位置と軸部55が固定部33cに位置する係合位置とを選択的に取り得る。
【0029】
図5及び図6に示すように、カバー部材5を閉位置から係合位置にスライドさせたとき、カバー部材5の2つの突出片53が、ハウジング本体21の2つの係合穴23bにそれぞれ挿入されて両者が嵌合する。これにより、接触板部52の後方端部における幅方向に関する中央付近がハウジング本体21に固定され、接触板部52の幅方向に関する剛性が高くなる。
【0030】
図2に示すように、カバー部材5に係る各側板部54の前方端部近傍に、下方に延出した後に内側に向かって屈曲しているフック部54aが形成されている。フック部54aにおける上方に向いた内側の面(カバー部材5が開位置から閉位置に向かって回動するときの回動方向の反対方向に向かう面)が当接面54bとなっている。図5に示すように、フック部54aは、カバー部材5が閉位置にあるときはハウジング本体21の前方に位置し、図2(a)及び図6に示すように、カバー部材5を閉位置から係合位置にスライドさせることによって、カバー部材5の前方端部近傍に形成された一対のフック部54aが、ハウジング本体21の前方から後方に移動し、フック部54aの当接面54bがハウジング本体21の係止面21bと当接する。これにより、接続されたフラットケーブル70が上方向に引き上げられたことによって、カバー部材5が誤って開くのを防止することができる。
【0031】
図3(c)に示すように、各側板部54におけるのフック部54a近傍に、円形の平面を有していると共に内側に向かって突出する小突起54cが形成されている。図5に示すように、小突起54cは、カバー部材5が閉位置にあるときはハウジング本体21の前方に位置している。図6に示すように、小突起54cは、カバー部材5を閉位置から係合位置にスライドさせたとき、ハウジング本体21の前方角部を乗り越えて段差部21c内に配置される。このとき、カバー部材5をスライドさせたユーザがクリック感を得ることができるため、ユーザは、カバー部材5が係合位置に到達したことを確認することができる。
【0032】
各側板部54の長手方向に関する中央付近に、円形の平面を有していると共に外側に向かって突出する突起部54dが形成されている。図4及び図5に示すように、突起部54dは、カバー部材5が開位置及び閉位置にあるときはシェル3の側壁32から離隔している。そして、図6に示すように、突起部54dは、カバー部材5が閉位置からスライドして係合位置に移動したときにシェル3の側壁32と接触する。これにより、カバー部材5とシェル3とが電気的に接続される。このとき、互いに電気的に接続されたシェル3及びカバー部材5が、複数のコンタクト4を包囲しているため、高いシールド効果を得ることができる。
【0033】
コネクタ1に対するフラットケーブル70の接続作業について説明する。最初に、図4に示すように、凹部23が開かれるように、カバー部材5を開位置まで回動させる。そして、開かれた凹部23内に、フラットケーブル70の端部を配置する。このとき、フラットケーブル70の複数の端子が、凹部23の底面に形成された細溝23aから突出しているコンタクト4の接触部41と接触するように配置する。
【0034】
この状態で、カバー部材5を開位置から閉位置に回動させる。カバー部材5を閉位置まで回動させたとき、図5に示すように、カバー部材5の接触板部52が凹部23内に配置されると共に、接触板部52の接触面52aが、フラットケーブル70のシールド面72に接触しつつフラットケーブル70を凹部23の底面に向かって押圧する。これにより、接触板部52とシールド面72とが電気的に接続されると共に、フラットケーブル70の端子と対向するコンタクト4の接触部41とが接触しつつ電気的に接続される。このとき、カバー部材5(上板部51と接触板部52とを連結する湾曲部)及びコンタクト4のバネ部42のバネ性によって両者を適切な圧力で接触させている。
【0035】
さらに、軸部55が回動部33a及び固定部33cの上端から離隔して下端と当接するように、閉位置にあるカバー部材5が下方に押圧されることによって、軸部55がスライド可能となる。この状態で、カバー部材5を係合位置までスライドさせる。このとき、図6に示すように、カバー部材5の接触板部52から突出している2つの突出片53が、ハウジング本体21の2つの係合穴23bにそれぞれ挿入されて両者が嵌合する。これにより、接触板部52の後方端部における幅方向に関する中央付近がハウジング本体21に固定される。また、カバー部材5の各側板部54の前方端部近傍に形成された一対のフック部54aが、ハウジング本体21の前方から後方に移動し、フック部54aの当接面54bがハウジング本体21の係止面21bと当接する。さらに、小突起54cは、カバー部材5を閉位置から係合位置にスライドさせたとき、ハウジング本体21の前方角部を乗り越えて段差部21c内に配置される。
【0036】
また、カバー部材5の各側板部54に形成された突起部54dが、シェル3の側壁32と接触することによって、カバー部材5とシェル3とが電気的に接続される。このとき、互いに電気的に接続されたシェル3及びカバー部材5が、複数のコンタクト4を包囲する。以上で、コネクタ1に対するフラットケーブル70の接続作業が完了する。
【0037】
以上のように、本実施形態のコネクタ1によると、カバー部材5を閉位置から係合位置に移動させることによって、接触板部52から突出している2つの突出片53がハウジング本体21の2つの係合穴23bとそれぞれ嵌合するため、接触板部52の剛性が高くなる。これにより、接触板部52の接触面52aをフラットケーブル70に接触させたときに、接触板部52が幅方向に撓むのが抑制され、フラットケーブル70の端子とコンタクト4の接触部41との接触圧が不足するのを防止することができる。また、カバー部材5を閉位置から係合位置までスライドさせることで、互いに電気的に接続されたカバー部材5及びシェル3が、複数のコンタクト4を包囲するため、容易な接続作業で高いシールド効果を得ることができる。
【0038】
また、カバー部材5の各側板部54に形成された突起部54dが、カバー部材5が開位置及び閉位置にあるときは、シェル3の側壁32から離隔しており、カバー部材5が閉位置からスライドして係合位置に移動したときに、突起部54dがシェル3の側壁32と接触してカバー部材5とシェル3とが電気的に接続されるため、カバー部材5とシェル3とを確実に電気的に接続することができると共に、カバー部材5を開位置と閉位置との間においてスムーズに回動させることができる。
【0039】
さらに、接触板部52が、フラットケーブル70の引き出し口23cを画定する上板部51の前方端からハウジング本体21側に向かってU字状に湾曲しつつ上板部51と平行に延在しているため、接触板部52がバネ性を有し、フラットケーブル70の端子とコンタクト4の接触部41とを効率良く接触させることができる。
【0040】
加えて、2つの突出片53が、接触板部52の後方端の幅方向に関する中央から突出しているため、接触板部52の剛性を効率よく高くすることができる。
【0041】
さらに、カバー部材5を閉位置から係合位置にスライドさせることによって、カバー部材5の前方端部近傍に形成された一対のフック部54aの当接面54bが、ハウジング本体21の係止面21bと当接する。これにより、接続されたフラットケーブル70が上方向に引き上げられたことによって、カバー部材5が誤って開くのを防止することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態では、カバー部材5が、シェル3に回動可能及びスライド可能に支持している構成であるが、カバー部材がハウジングに回動可能及びスライド可能に支持されてもよい。また、カバー部材が、シェル又はハウジングの一方に回動可能に支持され、シェル又はハウジングの他方にスライド可能に支持されてもよい。なお、カバー部材がハウジングにスライド可能に支持されている場合、カバー部材及びシェルが一体となって、閉位置から係合位置との間をスライドする構成であってもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、カバー部材5の各側板部54に形成された突起部54dが、カバー部材5が開位置及び閉位置にあるときは、シェル3の側壁32から離隔しており、カバー部材5が閉位置からスライドして係合位置に移動したときに、突起部54dがシェル3の側壁32と接触してカバー部材5とシェル3とが電気的に接続される構成であるが、カバー部材が係合位置にあるときに、カバー部材とシェルとが電気的に接続されるのであれば、カバー部材とシェルとが他の構成によって電気的に接続されてもよい。例えば、カバー部材の位置に関わらずカバー部材とシェル3とが常に電気的に接続されてもよい。この場合、カバー部材の回動をスムーズに行うという観点からは、カバー部材がシェルに軸支される個所において電気的な接続を行うことが好ましい。
【0044】
さらに、上述の実施形態では、接触板部52が、上板部51の前方端からハウジング本体21側に向かってU字状に湾曲しつつ上板部51と平行に延在する構成であるが、上板部が接触板部を兼ねる構成であってもよい。この場合、上板部の底面が接触面となり、突起部が上板部の後端から突出することになる。
【0045】
加えて、上述の実施形態では、2つの突出片53が、接触板部52の後方端の幅方向に関する中央から突出している構成であるが、接触板部の後端から1又は2以上の突出片が突出する構成であってもよいし、突出片が、接触板部の後端の幅方向に関する任意の位置から突出する構成であってもよい。例えば、接触板部の後端の幅方向に関する両端近傍から突出片が突出する構成であってもよい。
【0046】
また、上述の実施形態では、カバー部材5が係合位置にあるとき、カバー部材5の前方端部近傍に形成された一対のフック部54aの当接面54bがハウジング本体21の係止面21bと当接する構成であるが、カバー部材5がフック部54aを有さない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 コネクタ
2 ハウジング
3 シェル
4 コンタクト
5 カバー部材
21 ハウジング本体
21a 段差部
21b 係止面
21c 段差部
22 係合板部
22a 突出部
23 凹部
23a 細溝
23b 係合穴
23c 引き出し口
31 底板部
32 側壁
33 切り欠き溝
33a 回動部
33b スライド部
33c 固定部
34 グランドリード
41 接触部
42 バネ部
43 シグナルリード
51 上板部
52 接触板部
52a 接触面
53 突出片
54 側板部
54a フック部
54b 当接面
54c 小突起
54d 突起部
55 軸部
70 フラットケーブル
72 シールド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平型柔軟ケーブルの端部が配置される凹部が形成されているハウジングと、
前記ハウジングに支持されている導電性のシェルと、
前記凹部の底面に一方向に配列されている複数のコンタクトと、
前記一方向に延在している接触面が形成された接触板を有していると共に、前記接触面を前記複数のコンタクトに対向させつつ前記凹部を閉じる閉位置と、前記凹部を開く開位置とを選択的に取り得るように、前記ハウジング又は前記シェルに回動可能に支持されているカバー部材とを備えており、
前記接触板が、前記接触面を含む平面と平行に突出する突出片を有しており、
前記ハウジングが、前記突出片と係合する係合穴を有しており、
前記カバー部材は、前記閉位置と、前記突出片が前記前記係合穴と係合する係合位置との間を、前記突出片の突出方向に関してスライド可能となっており、
前記カバー部材が前記係合位置にあるとき、前記カバー部材及び前記シェルが、互いに接触することによって電気的に接続されると共に前記複数のコンタクトを包囲することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記カバー部材が、前記開位置及び前記閉位置にあるときに前記シェルに接触することなく、且つ、前記係合位置にあるときに前記シェルに接触する突起部を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接触板は、前記カバー部材が前記係合位置にあるとき、前記平型柔軟ケーブルが引き出される引き出し口からU字状に湾曲しつつ前記凹部内に侵入しており、
前記突出片が、前記接触板の前記引き出し口から最も離れた端部から突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記接触板の前記一方向に延在する端部の中央近傍から、1又は複数の前記突出片が突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングの前記一方向に関する両端近傍に、前記カバー部材が前記閉位置に向かって回動するときの回動方向に向いた一対の係止面が形成されており、
前記カバー部材の前記一方向に関する両端近傍に、前記回動方向の反対方向に向かう当接面が形成された一対のフックを有しており、
前記カバー部材が前記閉位置にあるとき、前記当接面が前記係止面と対向しない位置に前記フックが配置されると共に、前記カバー部材が前記係合位置にあるとき、前記当接面が前記係止面と当接する位置に前記フックが配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコネクタ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−142008(P2011−142008A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1980(P2010−1980)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】