説明

コリン作動性リガンドとしての新規なジアザ二環式アリール誘導体

本発明は、ニコチン性アセチルコリン受容体のコリン作動性リガンドであり、且つモノアミン受容体及び輸送体のモジュレーターであることが分かった新規なジアザ二環式アリール誘導体に関する。本発明の化合物は、その薬理学的プロフィールにより、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン作動性系に関係する疾患又は障害、平滑筋収縮に関係する疾患又は障害、内分泌性疾患又は障害、神経変性に関係する疾患又は障害、炎症に関係する疾患又は障害、疼痛、及び化学物質の乱用中止によって引き起こされる禁断症状のような多様な疾患又は障害の治療に有用である可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチン性アセチルコリン受容体のコリン作動性リガンドであり、且つモノアミン受容体及び輸送体のモジュレーターであることが分かった新規なジアザ二環式アリール誘導体に関する。本発明の化合物は、その薬理学的プロフィールにより、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン作動性系に関係する疾患又は障害、平滑筋収縮に関係する疾患又は障害、内分泌性疾患又は障害、神経変性に関係する疾患又は障害、炎症に関係する疾患又は障害、疼痛、及び化学物質の乱用中止によって引き起こされる禁断症状のような多様な疾患又は障害の治療に有用である可能性がある。
【背景技術】
【0002】
内因性コリン作動性神経伝達物質であるアセチルコリンは、2種のコリン作動性受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)及びニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を介してその生物学的効果を及ぼす。
【0003】
ムスカリン性アセチルコリン受容体は、記憶及び認知に重要である脳領域中でニコチン性アセチルコリン受容体よりも量的に優位であることが十分に確証されているので、記憶に関係する障害の治療用薬剤の開発を目的とする多くの研究が、ムスカリン性アセチルコリン受容体モジュレーターの合成に焦点を合わせている。
【0004】
しかし、最近、nAChRモジュレーターの開発への関心が高まっている。いくつかの疾患は、コリン作動性系の変性、すなわちアルツハイマー型の老人性認知症、血管性認知症、及びアルコール依存症に直接関係する器質性脳損傷疾患による認知障害に関連する。確かにいくつかのCNS障害は、コリン作動性欠損、ドーパミン作動性欠損、アドレナリン作動性欠損、又はセロトニン作動性欠損に帰すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コリン作動性受容体、具体的には、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)、セロトニン受容体(5−HTR)、ドーパミン受容体(DAR)、及びノルエピネフリン受容体(NER)に関係する疾患又は障害の治療、並びにセロトニン(5−HT)、ドーパミン(DA)、及びノルエピネフリン(NE)に対する生理活性(biogenic)アミン輸送体に関係する疾患又は障害の治療に有効である、ニコチン性受容体及び/又はモノアミン受容体の新規なモジュレーターを提供することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物は、その薬理学的プロフィールにより、中枢神経系(CNS)、末梢神経系(PNS)のコリン作動性系に関係する疾患又は障害、平滑筋収縮に関係する疾患又は障害、内分泌性疾患又は障害、神経変性に関係する疾患又は障害、炎症に関係する疾患又は障害、疼痛、及び化学物質の乱用中止によって引き起こされる禁断症状のような多様な疾患又は障害の治療に有用である可能性がある。
【0007】
本発明の化合物は、様々な診断法で、特にin vivo受容体画像化(神経画像処理)用の診断ツール又はモニタリング剤(monitoring agent)としても有用であり、標識された又はされていない形で使用することができる。
【0008】
その第1の態様では、本発明は、式Iの新規なジアザ二環式アリール誘導体、
【化1】


そのエナンチオマーのいずれか、又はそのエナンチオマーのいずれかの混合物、或いは薬学的に許容されるそれらの塩を提供し、
式中、R’は、水素又はアルキルを表し、
Aは、芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、
Bは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、或いはN−アルキル−ウレイド、或いは芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、この炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、及びN−アルキル−ウレイドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は複数回置換されている。
【0009】
その第2の態様では、本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、本発明のジアザ二環式アリール誘導体、又は薬学的に許容されるその付加塩を治療有効量含む薬剤組成物を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、ヒトを含めた哺乳動物の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に応答する疾患又は障害又は状態の治療、予防、又は緩和用の薬剤組成物/医薬品を製造するための、本発明のジアザ二環式アリール誘導体、又は薬学的に許容されるその付加塩の使用に関する。
【0011】
最後の態様では、本発明は、ヒトを含めた動物生体の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に応答する疾患、障害、又は状態の治療、予防、又は緩和方法であって、本発明のジアザ二環式アリール誘導体の治療有効量を、それを必要とするこうした動物生体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0012】
本発明のその他の目的は、以下の詳細な説明及び実施例から当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ジアザ二環式アリール誘導体
第1の態様では、新規な3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンアリール誘導体が提供される。本発明のジアザ二環式アリール誘導体は、一般式I、
【化2】


そのエナンチオマーのいずれか、若しくはそのエナンチオマーのいずれかの混合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩によって表され得、
式中、R’は、水素又はアルキルを表し、
Aは、芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、
Bは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミド、或いは芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、この炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、及びN,N−ジアルキル−スルホンアミドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は複数回置換されている。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、R’は、水素又はアルキルを表す。
【0015】
より好ましい実施形態では、R’は、アルキルを表す。
【0016】
さらにより好ましい実施形態では、R’は、メチル又はエチルを表す。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態では、Aは、芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表す。
【0018】
より好ましい実施形態では、Aは、フェニル、フラニル、及びベンゾ[b]フラニルから選択される芳香族単環基を表す。
【0019】
さらにより好ましい実施形態では、Aは、フェン−1,4−ジイル、フラン−2,5−ジイル、及びベンゾ[b]フラン−1−イルから選択される芳香族単環基を表す。
【0020】
さらにより好ましい実施形態では、Aは、フェニル、フラニル、チエニル、セレノフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びトリアジニルから選択される芳香族単環基を表す。
【0021】
さらにより好ましい実施形態では、Aは、フラニル、具体的には、フラン−2,3−ジイル、フラン−2,4−ジイル、及びフラン−2,5−ジイル;チエニル、具体的には、チエン−2,3−ジイル、チエン−2,4−ジイル、及びチエン−2,5−ジイル;ピロリル、具体的には、ピロール−2,3−ジイル、ピロール−2,4−ジイル、及びピロール−2,5−ジイル;オキサゾリル、具体的には、オキサゾール−2,4−ジイル及びオキサゾール−2,5−ジイル;チアゾリル、具体的には、チアゾール−2,4−ジイル及びチアゾール−2,5−ジイル;イミダゾリル、具体的には、イミダゾール−2,4−ジイル及びイミダゾール−2,5−ジイル;イソオキサゾリル、具体的には、イソオキサゾール−3,4−ジイルとイソオキサゾール−3,5−ジイル;イソチアゾリル、具体的には、イソチアゾール−3,4−ジイル及びイソチアゾール−3,5−ジイル;ピリジル、具体的には、ピリド−2,4−ジイル、ピリド−2,5−ジイル、及びピリド−2,6−ジイル;ピリダジニル、具体的には、ピリダジン−3,5−ジイル及びピリダジン−3,6−ジイル;ピリミジニル、具体的には、ピリミジン−2,4−ジイル及びピリミジン−2,5−ジイル;ピラジニル、具体的には、ピラジン−2,5−ジイル及びピラジン−2,6−ジイルから選択された芳香族複素環基を表す。
【0022】
別の好ましい実施形態では、Aは、フラニル、具体的には、フラン−2,3−ジイル、フラン−2,4−ジイル、若しくはフラン−2,5−ジイル;オキサゾリル、具体的には、オキサゾール−2,4−ジイル若しくはオキサゾール−2,5−ジイル;又はイソオキサゾリル、具体的には、イソオキサゾール−3,4−ジイル若しくはイソオキサゾール−3,5−ジイルを表す。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態では、Aは、フラニル、具体的には、フラン−2,4−ジイル又はフラン−2,5−ジイルを表す。
【0024】
さらに別の好ましい実施形態では、Aは、インドリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、及びベンゾイミダゾリルから選択される芳香族二環式複素環基を表し、Bは、水素を表す。
【0025】
さらに別の好ましい実施形態では、Aは、インドリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、及びベンゾイミダゾリルから選択される芳香族二環式複素環基を表し、Bは、水素を表す。
【0026】
より好ましい実施形態では、Aは、ベンゾ[b]フラニルを表す。
【0027】
本発明の第3の好ましい実施形態では、Bは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミド、或いは芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、この炭素環又は複素環基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、及びN,N−ジアルキル−スルホンアミドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は複数回置換されている。
【0028】
より好ましい実施形態では、Bは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミドを表す。
【0029】
さらにより好ましい実施形態では、Bは、炭素環式アリール基が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、及びN,N−ジアルキル−スルホンアミドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は2回置換されたフェニル又はナフチルを表す。
【0030】
さらにより好ましい実施形態では、Bは、炭素環基が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、及びN−アルキル−ウレイドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は2回置換されたフェニルを表す。
【0031】
さらにより好ましい実施形態では、Bは、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、又はN−アルキル−ウレイドで場合によって置換されたフェニルを表す。
【0032】
最も好ましい実施形態では、本発明のジアザ二環式アリール誘導体は、
フラン−2−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−[5−(4−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−メタノン;
(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−メタノン;
ベンゾフラン−2−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
(5−ブロモ−フラン−2−イル)−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
ビフェニル−4−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
[5−(4−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
[5−(3−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
N−{4−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−アセトアミド;
N−{3−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−アセトアミド;又は
1−エチル−3−{4−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−尿素;
又はエナンチオマー、又はそのエナンチオマーの混合物、或いは薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0033】
本明細書に記載の実施形態の2種以上のどんな組合せも、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0034】
置換基の定義
本発明の文脈においては、ハロは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。したがって、トリハロメチル基は、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、及び類似したトリハロに置換されたメチル基を表す。
【0035】
本発明の文脈においては、アルキル基は、1価の飽和した直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を表す。この炭化水素鎖は、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、及びイソヘキシルを含めた、好ましくは1〜18個の炭素原子(C1〜18−アルキル)、より好ましくは1〜6個の炭素原子(C1〜6−アルキル;低級アルキル)を有する。好ましい実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルを含めた、C1〜4−アルキル基を表す。本発明の別の好ましい実施形態では、アルキルは、C1〜3−アルキル基を表し、具体的には、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルとすることができる。
【0036】
本発明の文脈においては、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルを含めた、好ましくは3〜7個の炭素原子(C3〜7−シクロアルキル)を含む環状アルキル基を表す。
【0037】
本発明の文脈においては、シクロアルキル−アルキル基は、上記で定義したシクロアルキル基を示し、このシクロアルキル基は、やはり上記で定義したアルキル基上で置換されている。本発明の好ましいシクロアルキル−アルキル基の例には、シクロプロピルメチル及びシクロプロピルエチルがある。
【0038】
本発明の文脈においては、アルコキシ基は、「アルキル−O−」基を示し、このアルキルは上記で定義した通りである。本発明の好ましいアルコキシ基の例には、メトキシ及びエトキシがある。
【0039】
本発明の文脈においては、シアノアルキル基は、「アルキル−CN」基を示し、このアルキルは上記で定義した通りである。
【0040】
本発明の文脈においては、芳香族単環式又は二環式炭素環基は、単環式又は多環式芳香族炭化水素基を示す。本発明の好ましいアリール基の例には、フェニル、インデニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル、及びアントラセニルがある。
【0041】
本発明の文脈においては、芳香族単環式又は二環式複素環基は、その環状構造に1個又は複数のヘテロ原子を保持する単環式又は二環式の化合物である。「ビ−又はポリ−複素環基」という用語は、1個又は複数のヘテロ原子を含有する、ベンゾ縮合した5員及び6員の複素環を含む。好ましいヘテロ原子としては、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)が挙げられる。
【0042】
本発明の文脈においては、5〜6員環芳香族単環式複素環は、環状構造中に1個又は複数のヘテロ原子を保持する5又は6員環ヘテロアリールを示す。好ましいヘテロ原子としては、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)が挙げられる。
【0043】
本発明の好ましい5員環ヘテロアリール基としては、フラニル、具体的には、フラン−2−又は−3−イル;チエニル、具体的には、チエン−2−又は3−イル;ピロリル(アゾリル)、具体的には、ピロール−2−又は3−イル;オキサゾリル、具体的には、オキサゾール−2、4−、又は5−イル;チアゾリル、具体的には、チアゾール−2、4−、又は5−イル;イソオキサゾリル、具体的には、イソオキサゾール−3、4−、又は5−イル;イソチアゾリル、具体的には、イソチアゾール−3−、4−、又は5−イル;オキサジアゾリル、具体的には、1,2,3−オキサジアゾール−4,5−ジイル又は1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、及びチアジアゾリル、具体的には、1,2,3−チアジアゾール−4−若しくは5−イル、又は1,3,4−チアジアゾール−2−イルが挙げられる。
【0044】
本発明のより好ましい5員環ヘテロアリール基としては、オキサジアゾリル、具体的には、1,2,3−オキサジアゾール−4,5−ジイル又は1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、及びチアジアゾリル、具体的には、1,2,3−チアジアゾール−4−若しくは5−イル、又は1,3,4−チアジアゾール−2−イルが挙げられる。
【0045】
本発明の好ましい6員環ヘテロアリール基としては、ピリジル、具体的には、ピリド−2−、3−、又は4−イル;及びピラジニル、具体的には、ピラジン−2−又は−3−イルが挙げられる。
【0046】
本発明の好ましい二環式ヘテロアリール基としては、インドリル、具体的には、インドル−2−、5−、又は6−イル;ベンゾ[b]フラニル、具体的には、ベンゾフラン−2−、5−、又は6−イル;ベンゾ[b]チエニル、具体的には、ベンゾチエン−2−、5−、又は6−イル;及びベンゾチアゾリル、具体的には、ベンゾチアゾール−2−、5−、又は6−イルが挙げられる。
【0047】
薬学的に許容される塩
本発明のジアザ二環式アリール誘導体は、所期の投与に適したどんな形でも提供することができる。適切な形としては、本発明の化合物の薬剤として(すなわち生理学上)許容される塩、プレドラッグ、又はプロドラッグの形が挙げられる。
【0048】
薬学的に許容される付加塩の例としては、それだけに限らないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコナート、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、それに由来するナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩など、無毒の無機及び有機の酸付加塩が挙げられる。こうした塩は、当技術分野で周知の記載されている手順によって形成することができる。
【0049】
本発明の化合物の金属塩には、カルボキシ基を有する本発明の化合物のナトリウム塩などのアルカリ金属塩がある。
【0050】
本発明の文脈においては、N含有化合物の「オニウム塩」も薬学的に許容される塩として企図されている。好ましい「オニウム塩」には、アルキルオニウム塩、シクロアルキルオニウム塩、及びシクロアルキルアルキルオニウム塩がある。
【0051】
立体異性体
本発明の化合物は、(+)及び(−)形、並びにラセミ形で存在することができる。こうした異性体のラセミ化合物及び個々の異性体自体は、本発明の範囲に含まれる。
【0052】
ラセミ形は、周知の方法及び技術によって光学対掌体に分割することができる。ジアステレオマー塩を分離する一方法は、光学活性な酸を使用し、塩基で処理して光学活性アミン化合物を遊離させるものである。ラセミ化合物を光学対掌体に分割する別の方法は、光学活性マトリクスのクロマトグラフィーに基づくものである。したがって、本発明のラセミ化合物は、例えば、d−又はl−塩(酒石酸塩、マンデル酸塩、又はカンファースルホン酸塩)の分別晶出によって、これらの光学対掌体に分割することができる。
【0053】
本発明の化合物はまた、本発明の化合物を、(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸など、光学的に活性な活性化されたカルボン酸と反応させてジアステレオマーアミドを生成させることによって、或いは本発明の化合物を光学活性なクロロギ酸などと反応させてジアステレオマーカルバミン酸塩を生成させることによって分割することができる。
【0054】
光学異性体を分割するためのさらなる方法は、当技術分野で周知である。こうした方法としては、J.Jaques、A.Collet、及びS.Wilenの「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons、ニューヨーク(1981)に記載のものが挙げられる。
【0055】
光学活性化合物はまた、光学活性な出発原料から調製することもできる。
【0056】
ジアザ二環式アリール誘導体の製造法
本発明のジアザ二環式アリール誘導体は、従来の化学合成法、例えば、実施例に記載されているものによって調製することができる。本出願に記載されている方法のための出発原料は、周知であり、又は市販の化学薬品から従来の方法によって容易に調製することができる。
【0057】
また、本発明のある化合物は、従来の方法を使用して本発明の別の化合物に転換することができる。
【0058】
本明細書に記載の反応の最終生成物は、従来の技術、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどによって単離することができる。
【0059】
生物活性
本発明は、コリン作動性受容体、特にニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に関係する疾患又は障害の治療に有効である、ニコチン性受容体の新規なリガンド及びモジュレーターを提供することを対象とする。本発明の好ましい化合物は、顕著なニコチン性アセチルコリンα7受容体サブタイプ選択性を示す。
【0060】
本発明の化合物は、特に、ニコチン性アセチルコリン受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、及び/又はアロステリックモジュレーターである可能性がある。
【0061】
本発明の化合物は、その薬理学的プロフィールにより、CNSに関係する疾患、PNSに関係する疾患、平滑筋収縮に関係する疾患、内分泌性疾患、神経変性に関係する疾患、炎症に関係する疾患、疼痛、及び化学物質の乱用中止によって引き起こされる禁断症状のような多様な疾患又は状態の治療に有用である可能性がある。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、中枢神経系に関係する疾患、障害、又は状態の治療に使用される。こうした疾患又は障害としては、不安、認知障害、学習欠陥、記憶障害及び機能障害、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁鬱病、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害;神経性食欲不振症、過食症、及び肥満などの摂食障害、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS認知症、老人性認知症、末梢ニューロパシー、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、癲癇、過食症、外傷後症候群、対人恐怖症、睡眠障害、仮性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、晩期黄体期症候群、慢性疲労症候群、無言症、トリコチロマニー、及び時差ボケが挙げられる。
【0063】
別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、痙攣性障害、狭心症、早産、痙攣、下痢、喘息、癲癇、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、早発射精、及び勃起障害を含めた、平滑筋収縮に関係する疾患、障害、又は状態の治療に有用である可能性がある。
【0064】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、甲状腺中毒症、クロム親和性細胞腫、高血圧症及び不整脈などの内分泌性障害の治療に有用である可能性がある。
【0065】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、一過性無酸素症及び誘発性神経変性を含めた神経変性疾患の治療に有用である可能性がある。
【0066】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、座瘡や酒さなどの炎症性皮膚障害、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、及び下痢を含めた炎症性疾患、障害、又は状態の治療に有用である可能性がある。
【0067】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の化合物は、急性、慢性、又は反復性の軽い、穏やかな、さらには激しい疼痛、並びに片頭痛、術後痛、及び幻肢痛によって引き起こされる疼痛に有用である可能性がある。
【0068】
最後に、本発明の化合物は、習慣性物質の使用中止によって引き起こされる禁断症状の治療に有用である可能性がある。こうした習慣性物質としては、たばこなどのニコチン含有製品;ヘロイン、コカイン、モルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン薬剤、ベンゾジアゼピン様薬剤、及びアルコールが挙げられる。習慣性物質からの離脱は、一般に、不安及びフラストレーション、怒り、不安、集中困難、落ち着きのなさ、心拍数の減少、及び食欲の増加、及び体重増加を特徴とする外傷的体験である。
【0069】
本発明においては、「治療」は、禁断症状の治療、防止、予防、及び緩和;及び節制、並びに習慣性物質の摂取量を自発的に減少させる治療を包含する。
【0070】
別の態様では、本発明の化合物は、例えば、様々な組織中のニコチン性受容体の同定及び局在化用の診断用薬として使用される。
【0071】
薬剤組成物
別の態様では、本発明は、本発明のジアザ二環式アリール誘導体を治療有効量含む新規な薬剤組成物を提供する。
【0072】
治療で使用する本発明の化合物を化合物そのままの形で投与することもできるが、有効成分を、場合によっては生理学的に許容される塩の形で、1種又は複数のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/又はその他の慣用の製薬補助剤と一緒に薬剤組成物として導入することが好ましい。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明は、本発明のジアザ二環式アリール誘導体、又は薬学的に許容されるその塩若しくは誘導体を、当技術分野で使用されている、周知の1種又は複数の薬学的に許容されるそれ用の担体、並びに場合によってはその他の治療用成分及び/又は予防用成分と一緒に含む薬剤組成物を提供する。この担体は、製剤の他の成分と適合し、レシピエントに有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0074】
本発明の薬剤組成物は、所望の治療に適する好都合な任意の経路で投与することができる。好ましい投与経路には、経口投与、特に錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末、又は液体の形での経口投与、並びに非経口投与、特に皮膚、皮下、筋肉内、又は静脈内注射がある。本発明の薬剤組成物は、所望の製剤に適した標準の方法及び通常の技術を使用して、いずれの当業者によっても製造することができる。所望の場合には、有効成分の徐放をもたらすように適合された組成物を使用することができる。
【0075】
製剤及び投与に関する技術のさらなる詳細は、「レミングトンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」(Maack Publishing Co.、イーストン、ペンシルバニア州)の最新版に出ている。
【0076】
実際の用量決定は、治療される疾患の性質及び重さに依存し、医師の裁量に委ねられ、所望の治療効果を生ずるために本発明の特定の状況に合わせて用量を増減(titration)することによって変えることができる。しかし、単位投与量当たり有効成分を約0.1〜約500mg、好ましくは約1〜約100mg、最も好ましくは、約1〜約10mg含有する薬剤組成物が、治療的処置に適していると現在企図されている。
【0077】
有効成分は、1日に1回又は数回投与することができる。ある場合には、0.1μg/kg(静脈内)及び1μg/kg(腹腔内)ほどの低い用量で満足のいく結果を得ることができる。用量範囲の上限は、現在、約10mg/kg(静脈内)及び100mg/kg(腹腔内)であると考えられている。好ましい範囲は、1日当たり約0.1μg/kg〜約10mg/kg(静脈内)、及び1日当たり約1μg/kg〜約100mg/kg(腹腔内)である。
【0078】
治療方法
本発明のジアザ二環式アリール誘導体は、有用なニコチン性及びモノアミン受容体モジュレーターであり、したがってコリン作動性機能障害を伴う一連の病気並びにnAChRモジュレーターの活性に応答する一連の障害の治療に有用である。
【0079】
別の態様では、本発明は、ヒトを含めた動物生体の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に応答する疾患又は障害又は状態の治療、予防、又は緩和方法であって、本発明のジアザ二環式アリール誘導体の治療有効量を、それを必要とするヒトを含めたこうした動物生体に投与することを含む方法を提供する。
【0080】
好ましい一実施形態では、疾患、障害、又は状態は、中枢神経系に関係するものである。
【0081】
好ましい一実施形態では、疾患、障害、又は状態は、不安、認知障害、学習欠陥、記憶障害及び機能障害、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁鬱病、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害;神経性食欲不振症、過食症、及び肥満などの摂食障害、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS認知症、老人性認知症、末梢ニューロパシー、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、癲癇、過食症、外傷後症候群、対人恐怖症、睡眠障害、仮性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、晩期黄体期症候群、慢性疲労症候群、無言症、トリコチロマニー、及び時差ボケである。
【0082】
別の好ましい実施形態では、疾患、障害、又は状態は、痙攣性障害、狭心症、早産、痙攣、下痢、喘息、癲癇、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、早発射精、及び勃起障害を含めた、平滑筋収縮に関連するものである。
【0083】
第3の好ましい実施形態では、疾患、障害、又は状態は、甲状腺中毒症、クロム親和性細胞腫、高血圧症、及び不整脈などの内分泌系に関係するものである。
【0084】
第4の好ましい実施形態では、疾患、障害、又は状態は、一過性無酸素症及び誘発性神経変性を含めた神経変性疾患である。
【0085】
第5の好ましい実施形態では、疾患、障害、又は状態は、座瘡や酒さなどの炎症性皮膚障害、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、及び下痢を含めた炎症性障害である。
【0086】
第6の好ましい実施形態では、疾患、障害、又は状態は、急性、慢性、又は反復性の軽い、穏やかな、さらには激しい疼痛、並びに片頭痛、術後痛、及び幻肢痛によって引き起こされる疼痛である。
【0087】
第7の好ましい実施形態では、疾患、障害、又は状態は、たばこなどのニコチン含有製品;ヘロイン、コカイン、及びモルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン薬剤及びベンゾジアゼピン様薬剤、及びアルコールを含めた習慣性物質の使用中止によって引き起こされる禁断症状に関連するものである。
【0088】
適切な用量範囲は、通常、具体的な投与方法、投与される形態、投与の対象となる適応症、関係する対象、及びこの関係する対象の体重、さらに担当する医師又は獣医師の好み又は経験に依存し、1日当たり0.1〜1000ミリグラム、1日当たり10〜500ミリグラム、特に1日当たり30〜100ミリグラムであると現在企図されている。
【0089】
ある場合には、0.005mg/kg(静脈内)及び0.01mg/kg(腹腔内)ほどの低い用量で満足のいく結果を得ることができる。用量範囲の上限は、約10mg/kg(静脈内)及び100mg/kg(腹腔内)である。好ましい範囲は、約0.001〜約1mg/kg(静脈内)、及び約0.1〜約10mg/kg(腹腔内)である。
【実施例】
【0090】
本発明について、以下の実施例を参照してさらに説明するが、これらの実施例は、本明細書で特許請求する本発明の範囲をいかなる意味でも限定することを意図するものではない。
【0091】
(実施例1)
調製例
空気感受性の試薬又は中間体が関与する全ての反応は、窒素中及び無水溶媒中で行った。後処理で硫酸マグネシウムを乾燥剤として使用し、溶剤を減圧下で蒸発させた。
【0092】
cis−1−メチルピロリジン−2,5−ジカルボン酸ジエチル(中間化合物)
メゾ−2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(101.7g、0.283mol)を、アルゴン下で加熱してTHF(400ml)に溶解し、次いで0℃に冷却した。得られた溶液に、事前冷却したメチルアミン(27.3g、0.88mol)のTHF(150ml)溶液を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。分離された結晶材料をろ過し、ろ液を濃縮し、残渣を、溶出液としてヘキサン:酢酸エチル(4:1)を用いてシリカゲルカラム(長さ10cm)のクロマトグラフィーで分離して、58.9g(91%)を得た。
【化3】

【0093】
3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン(中間化合物)
cis−1−メチルピロリジン−2,5−ジカルボン酸ジエチル(74.8g、0.383mol)のキシレン(150ml)溶液に、ベンジルアミン(41.0g、0.383mol)を添加し、混合物を16時間加熱還流した。次いで、キシレンを減圧で除去し、残渣を220℃で18時間加熱した。得られた粗生成物を、蒸留用Buchiオーブンで180℃及び0.1mbarで一部(30〜40g)を蒸留し、最初の留分を(約1時間後)収集した。一緒にした最初の留分を、ヘキサン:酢酸エチル(1:1)の混合物から結晶化させて30.6(34%)を得た。
【化4】

【0094】
3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(中間化合物)
3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン(28.3g、0.116mol)の無水ジオキサン(200ml)溶液に、LiAlH(7.6g;0.2mol)を添加し、混合物をアルゴン下で18時間煮沸した。次いで、水(7.5ml)とジオキサン(40ml)の混合物を反応混合物に滴下した。懸濁液を20分間混合し、密なガラスろ過器によってろ過した。ろ液を蒸発させ、残渣を蒸留用Buchiオーブンで120℃及び0.1mbarで蒸留した。収量17.6g(70%)。
【化5】

【0095】
8−メチル−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(中間化合物)
アルゴンで脱気した3−ベンジル−8−メチル−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(17.6g、0.08mol)のメタノール(50ml)溶液に、10%Pd/C(1.0g)を添加し、反応混合物に水素を24時間通過させた。触媒をろ過し、ろ液を蒸発させ、残渣を蒸留用Buchiオーブンで100℃及び0.1mbarで蒸留した。収量8.5g(85%)。
【化6】

【0096】
参考文献は、中間化合物の調製に関する。
Cignarella G&Nathansohn G;Gazz.Chim.Ital.1960 90 1495;
Blackman SW&Baltzly R;J.Org.Chem.1960 2750;及び
Cignarella G&Nathansohn G&Occelli E,J.Org.Chem.1960 2747.
【0097】
方法A
フラン−2−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン遊離塩基(化合物A1)
2−フロ酸(1.33g、11.9mmol)と塩化チオニル(20ml)の混合物を、還流温度で2時間撹拌した。混合物を蒸発させ、トルエンと共蒸発させ、8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(1.5g、11.9mmol)及び1,2−ジメトキシエタン(40ml)を添加し、室温で15時間撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液(50ml、1M)を添加し、混合物をジクロロメタン(2×40ml)で2回抽出した。溶媒としてジクロロメタン、10%メタノール、及び1%アンモニア水を用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにより、表題化合物を固体として得た。融点106℃。収量1.41g(54%)。
【0098】
(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−[5−(4−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−メタノン遊離塩基(化合物A2)
方法Aに従って調製した。融点140℃。
【0099】
(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−メタノンフマル酸塩(化合物A3)
方法Aに従って調製した。融点108.7〜109.4℃。
【0100】
ベンゾフラン−2−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノンフマル酸塩(化合物A4)
方法Aに従って調製した。融点150〜155℃。
【0101】
(5−ブロモ−フラン−2−イル)−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン遊離塩基(化合物A5)
方法Aに従って調製した。融点101〜104℃。
【0102】
ビフェニル−4−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノンフマル酸塩(化合物A6)
方法Aに従って調製した。融点197〜207℃。
【0103】
方法B
[5−(4−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン遊離塩基(化合物B1)
(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−[5−(4−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−メタノン遊離塩基と炭素担持パラジウム(5%、0.60g)とエタノール(20ml)とテトラヒドロフラン(20ml)の混合物を、水素(530ml)下で撹拌した。粗製混合物を、溶媒としてジクロロメタン、10%メタノール、及び1%アンモニア水を用いたシリカゲルのクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を固体として得た。融点189.7〜191.3℃。収量1.68(65%)。
【0104】
[5−(3−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノンフマル酸塩(化合物B2)
方法Bに従って調製した。融点171.7℃。
【0105】
方法C
N−{4−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−アセトアミドフマル酸塩(化合物C1)
[5−(4−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン(0.40、1.28mmol)と無水酢酸(197mg、1.93mmol)とジクロロメタン(5ml)の混合物を、室温で5時間撹拌した。水酸化ナトリウム水溶液(5ml、1M)を添加し、混合物をジクロロメタン(2×10ml)で2回抽出した。溶媒としてジクロロメタン、10%メタノール、及び1%アンモニア水を用いたシリカゲルのクロマトグラフィーによって、表題化合物が固体として得られた。フマル酸で飽和したジエチルエーテルとメタノールの混合物(9:1)を添加することによって対応する塩を得た。融点257〜259℃。収量515mg(86%)。
【0106】
N−{3−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−アセトアミドフマル酸塩(化合物C2)
方法Cに従って調製した。融点189〜193℃。
【0107】
方法D
1−エチル−3−{4−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−ウレア(化合物D1)
[5−(4−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン(0.44g、1.41mmol)とメタノール(30ml)の混合物に、エチルイソシアナート(291mg、4.08mmol)を−50℃で添加し、次いで放置して室温にした。水酸化ナトリウム水溶液(5ml、1M)を添加し、混合物をジクロロメタン(2×10ml)で2回抽出した。溶媒としてジクロロメタン、10%メタノール、及び1%アンモニア水を用いたシリカゲルのクロマトグラフィーによって、表題化合物が得られた。収量519mg(96%)。フマル酸で飽和したジエチルエーテルとメタノールの混合物(9:1)を添加することによって対応する塩を得た。融点183.6〜186.4℃。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表されるジアザ二環式アリール誘導体、
【化1】


そのエナンチオマーのいずれか、若しくはそのエナンチオマーのいずれかの混合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩
(式中、R’は、水素又はアルキルを表し、
Aは、芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、
Bは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミド、或いは芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、前記炭素環又は複素環基が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は複数回置換されている)。
【請求項2】
R’が水素又はアルキルを表す、請求項1に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項3】
R’がアルキルを表す、請求項2に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項4】
Aが芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表す、請求項1から3までのいずれか一項に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項5】
Aが、フェニル、フラニル、チエニル、セレノフェニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びトリアジニルから選択される芳香族単環基を表す、請求項4に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項6】
Aが、フラニル、具体的には、フラン−2,3−ジイル、フラン−2,4−ジイル、及びフラン−2,5−ジイル;チエニル、具体的には、チエン−2,3−ジイル、チエン−2,4−ジイル、及びチエン−2,5−ジイル;ピロリル、具体的には、ピロール−2,3−ジイル、ピロール−2,4−ジイル、及びピロール−2,5−ジイル;オキサゾリル、具体的には、オキサゾール−2,4−ジイル及びオキサゾール−2,5−ジイル;チアゾリル、具体的には、チアゾール−2,4−ジイル及びチアゾール−2,5−ジイル;イミダゾリル、具体的には、イミダゾール−2,4−ジイル及びイミダゾール−2,5−ジイル;イソオキサゾリル、具体的には、イソオキサゾール−3,4−ジイル及びイソオキサゾール−3,5−ジイル;イソチアゾリル、具体的には、イソチアゾール−3,4−ジイル及びイソチアゾール−3,5−ジイル;ピリジル、具体的には、ピリド−2,4−ジイル、ピリド−2,5−ジイル、及びピリド−2,6−ジイル;ピリダジニル、具体的には、ピリダジン−3,5−ジイル及びピリダジン−3,6−ジイル;ピリミジニル、具体的には、ピリミジン−2,4−ジイル及びピリミジン−2,5−ジイル;ピラジニル、具体的には、ピラジン−2,5−ジイル及びピラジン−2,6−ジイルから選択される芳香族複素環基を表す、請求項5に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項7】
Aが、フラニル、具体的には、フラン−2,3−ジイル、フラン−2,4−ジイル、若しくはフラン−2,5−ジイル;オキサゾリル、具体的には、オキサゾール−2,4−ジイル若しくはオキサゾール−2,5−ジイル;又はイソオキサゾリル、具体的には、イソオキサゾール−3,4−ジイル又はイソオキサゾール−3,5−ジイルを表す、請求項6に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項8】
Aが、インドリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、及びベンゾイミダゾリルから選択される芳香族二環式複素環基を表す、請求項4に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項9】
Bが水素を表す、請求項8に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項10】
Bが、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミド、或いは芳香族単環式又は二環式の炭素環又は複素環基を表し、前記炭素環又は複素環基が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は複数回置換されている、請求項1から8までのいずれか一項に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項11】
Bが、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミドを表す、請求項10に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項12】
Bは、炭素環式アリール基が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、N−アルキル−ウレイド、アミド、N−アルキル−アミド、N,N−ジアルキル−アミド、スルファモイル、スルホンアミド、N−アルキル−スルホンアミド、又はN,N−ジアルキル−スルホンアミドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は2回置換されたフェニル又はナフチルを表す、請求項10に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項13】
Bは、炭素環基が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノアルキル、ハロ、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、及びN−アルキル−ウレイドからなる群から選択される置換基で場合によっては1回又は2回置換されたフェニルを表す、請求項12に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項14】
Bが、アミノ、ニトロ、アルキル−カルボニル−アミノ、ウレイド、又はN−アルキル−ウレイドで場合によって置換されたフェニルを表す、請求項13に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項15】
フラン−2−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−[5−(4−ニトロ−フェニル)−フラン−2−イル]−メタノン;
(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−フラン−2−イル]−メタノン;
ベンゾフラン−2−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
(5−ブロモ−フラン−2−イル)−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
ビフェニル−4−イル−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
[5−(4−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
[5−(3−アミノ−フェニル)−フラン−2−イル]−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノン;
N−{4−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−アセトアミド;
N−{3−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−アセトアミド;又は
1−エチル−3−{4−[5−(8−メチル−3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニル)−フラン−2−イル]−フェニル}−尿素;
又はエナンチオマー、又はそのエナンチオマーの混合物、或いは薬学的に許容されるそれらの塩である、請求項1に記載のジアザ二環式アリール誘導体。
【請求項16】
少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に、請求項1から15までのいずれか一項に記載の治療有効量のジアザ二環式アリール誘導体又は薬学的に許容されるその付加塩を含む薬剤組成物。
【請求項17】
ヒトを含めた哺乳動物の、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に応答する疾患又は障害又は状態の治療、予防、又は緩和用の薬剤組成物/医薬品を製造するための、請求項1から15までのいずれか一項に記載のジアザ二環式アリール誘導体、又は薬学的に許容されるその付加塩の使用。
【請求項18】
前記疾患、障害、又は状態が、中枢神経系に関係する、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患、障害、又は状態が、不安、認知障害、学習欠陥、記憶障害及び機能障害、アルツハイマー病、注意欠陥、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁鬱病、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害;神経性食欲不振症、過食症、及び肥満などの摂食障害、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS認知症、老人性認知症、末梢ニューロパシー、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、癲癇、過食症、外傷後症候群、対人恐怖症、睡眠障害、仮性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、晩期黄体期症候群、慢性疲労症候群、無言症、トリコチロマニー、及び時差ボケである、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
前記疾患、障害、又は状態が、痙攣性障害、狭心症、早産、痙攣、下痢、喘息、癲癇、遅発性ジスキネジア、運動亢進症、早発射精、及び勃起障害を含めた、平滑筋収縮に関連する、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
前記疾患、障害、又は状態が、甲状腺中毒症、クロム親和性細胞腫、高血圧症、及び不整脈などの内分泌系と関係がある、請求項17に記載の使用。
【請求項22】
前記疾患、障害、又は状態が、一過性無酸素症及び誘発性神経変性を含めた神経変性疾患である、請求項17に記載の使用。
【請求項23】
前記疾患、障害、又は状態が、座瘡や酒さなどの炎症性皮膚障害、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、及び下痢を含めた炎症性障害である、請求項17に記載の使用。
【請求項24】
前記疾患、障害、又は状態が、急性、慢性、又は反復性の軽い、穏やかな、さらには激しい疼痛、並びに片頭痛、術後痛、及び幻肢痛によって引き起こされる疼痛である、請求項17に記載の使用。
【請求項25】
前記疾患、障害、又は状態が、たばこなどのニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン、モルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン薬剤、ベンゾジアゼピン様薬剤、及びアルコールを含めた習慣性物質の使用を中止することによって引き起こされる禁断症状に関連する、請求項17に記載の使用。
【請求項26】
ヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は状態の治療、予防、又は緩和の方法であって、前記障害、疾患、又は状態が、コリン作動性受容体及び/又はモノアミン受容体の調節に応答し、請求項1から15までのいずれか一項に記載のジアザ二環式アリール誘導体の治療有効量を、それを必要とするこうした動物生体に投与するステップを含む上記方法。


【公表番号】特表2008−521776(P2008−521776A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542004(P2007−542004)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056300
【国際公開番号】WO2006/058879
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】